JPS6325199B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、特に内燃機関すなわちエンジンの冷
却システム用に使用される形式のフアン構造に関
する。最近のフアン構造には、エンジンとラジエ
タの冷却フアンとを回転連結するフアン駆動部す
なわち流体カツプリングが多く採用されている。
フアン駆動部は、エンジンの冷却条件によつてエ
ンジンとフアンとの間に連結度合を調節できるよ
うに、温度制御が行われる。かような方法によれ
ば、フアンがエンジンから奪うエネルギは、エン
ジンの冷却条件にほぼマツチングされるので、燃
料消費量を大幅に減少させることができる。しか
しながら、流体カツプリングは、そのシヤーリキ
ツド（Shear liquid）すなわち作動流体及び他の
回転機械部品の結合を保つために、冷却されるこ
とがしばしば必要になる。このため、多くの流体
カツプリングには、シヤーリキツドに発生した熱
の逃散を助けるための冷却フインが設けてある。

かかる従来技術の構成では、冷却フイン間を通
る空気流は流体カツプリングの前部から後部へ或
いはその反対に軸線方向に流れる空気流に限定さ
れるのでこの空気流はフイン全体を十分に冷却す
ることはできず、従つて、カツプリングの冷却効
果、換言すると、カツプリング内のシヤーリキツ
ドから周囲大気への熱伝達率は必ずしも十分大き
いとは言えなかつた。

本発明は、流体カツプリング或いは他の形式の
フアン駆動部の冷却フインに空気流を流通させる
フアン構造の改良によつて、シヤーリキツドから
周囲の大気への熱伝達率を増大させることを目的
とするものである。

この目的を達成するために、本発明は、環状構
造のハブを有し、該ハブが、その外面から半径方
向外方に延びている複数のフアンブレードを支持
している型式のフアン構造において、フアンの回
転により周囲の空気を孔を通して半径方向に通過
させるため、前記ハブにこれを半径方向に貫通す
る孔を設け、該孔は、フアンブレードの吸込側で
あつて各フアンブレードの前縁部の軸線方向後方
で各フアンブレードに近接して位置決めされ、ハ
ブの内側に流体カツプリングをさらに含み、前記
流体カツプリングはハブを支持し且つこれを回転
させ、前記流体カツプリングは流体カツプリング
中の粘性流体から熱を放散させるため、フアンの
回転中ハブの孔を通つて半径方向外方に通過する
周囲空気が接触するように外面に半径方向に延び
た冷却フインを有し、これにより流体カツプリン
グの中の粘性流体から対流によつて熱を奪うこと
を特徴とするフアン構造を提供する。

以下、本発明の実施例を添付図面を参照して説
明する。

図面によれば、環状構造のハブ１２には複数の
フアンブレード１４が支持されている。本発明の
一実施例においては、ハブ１２とフアンブレード
１４とはプラスチツクで一体成形されている。ハ
ブ１２又は該ハブの一体構造部分には、金属製の
平らな環状薄板状カツプリング部材すなわちシー
トカツプリング１５が取り付けられている。該シ
ートカツプリング１５は、半径方向内方に延びる
複数の耳部１６を有し、各々の耳部１６には孔が
設けてある。該孔を通るねじ取付具１８によつ
て、フアン駆動部すなわち流体カツプリング
（viscous drive coupling）３０の一部分がハブ
１２に固定されている。流体カツプリング３０の
ケーシングにはこれと一体に複数の冷却フイン３
２が設けてある。流体カツプリング３０からのシ
ヤフト３４には、エンジンの回転部分に取り付け
るためのコネクタ３６が設けてある。ここに使用
する特定の形式の流体カツプリング３０は、本発
明の実施に重要な意味をもつものではない。

ハブ１２には、その内部から外部に延びる複数
の孔４０が設けてある。各々の孔４０は個々のブ
レード１４と対応関係をなして設けられ、実施例
においては、各々の孔４０は、その関連したブレ
ードに他のブレードよりもより近接して設けられ
ている。本実施例では各々の孔４０は、その関連
したブレードの吸込側５０に該ブレードに近接し
て設けられている。フアンが回転している時は、
いずれのブレードの吸込側５０も、ブレードの回
転方向前方側５２よりも低圧である。孔４０は、
これらが流体カツプリング３０の直径の大きい方
の部分（第１図に示す方）およびブレード１４の
前縁部１４１の軸線方向後方において、ハブ１２
に設けられている。従つて、冷却フイン３２の最
外先端とハブの内面との間には空間があり、又フ
イン３２の間でハブ１２の内部空気が入るから、
ハブ内に設けられている流体カツプリング３０
が、孔４０を通る空気流路を邪魔することがな
い。

本フアン組立体の作動モードは次の通りであ
る。第１図の矢印で示すようにフアンが時計回り
方向に回転している場合を考えれば、各孔４０の
半径方向最外方の部分の圧力は、半径方向最内方
の部分の圧力よりも低くなるであろう。その理由
は、フアンブレードによつてハブの外面近くの空
気を移動させるが、ハブの内面近くの空気を移動
させないためである。よく知られているベルヌー
イの定理の適用により、各々のフアンブレード１
４の付け根付近の空気の圧力は、各孔４０に隣接
したハブ１２の内側の圧力よりも小さいことが理
解される。従つて、この圧力差により、第１図及
び第３図において矢印で示す方向に空気の流れを
生じさせ、すなわち空気は孔４０を通つて半径方
向外方に流れることになる。このため空気が流体
カツプリングの冷却フイン３２の上を半径方向外
方に流れることになるので、流体カツプリング３
０内に収容された作動流体すなわちシヤーリキツ
ド（shear liquid）から周囲の大気中への熱伝達
率は増大する。

以上から、本発明がフアンの材質すなわちハブ
或いはハブブレードがプラスチツク構造体ででき
ていることとは無関係なものであることが理解で
きるであろう。更に、ブレードをハブと一体構造
にする必要がないことも理解できるであろう。本
発明は、流体カツプリングすなわちシヤーカツプ
リング以外のフアン駆動部であつて冷却を要する
或いは少なくとも一部分を空気の流れで冷却する
必要のある他のあらゆる形式のフアン駆動部に対
しても適用できるものであることは明白である。
更に、本発明は、フアン駆動部の一部分がハブ１
２内で軸線方向に装着された流体カツプリング或
いは他の形式のカツプリングにも適用できること
は明らかであろう。

本発明による構成の特有の効果は、冷却フイン
３２を通る空気流を増大させることである。孔４
０がない場合には、軸線方向（第２図に示すよう
に、左から右へ、或いは右から左へ）に移動する
空気だけがフイン３２に接触してカツプリング３
０から熱を奪う。本発明によれば、孔４０をブレ
ードの吸込側でこれに近接してしかもブレードの
前縁部の軸線方向後方でハブに設けたから、フア
ンの回転中孔を通してハブの内側から外側に向う
半径方向外向きの吸引作用が効果的に作り出さ
れ、空気の運動の半径方向外方の成分が付加され
るので、流体カツプリングの冷却が一層効果的に
行われる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、流体カツプリングの一部分と組合わ
された本発明のフアン構造を示す平面図である。
第２図は、第１図の立面図である。第３図は、第
２図の３―３線に沿う方向から見た図である。 １２……ハブ、１４……ハブブレード、３２…
…冷却フイン、４０……孔。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 環状構造のハブを有し、該ハブが、その外面
   から半径方向外面に延びている複数のフアンブレ
   ードを支持している型式のフアン構造において、
   フアンの回転により周囲の空気を孔を通して半径
   方向に通過させるため、前記ハブにこれを半径方
   向に貫通する孔を設け、該孔は、フアンブレード
   の吸込側であつて各フアンブレードの前縁部の軸
   線方向後方で各フアンブレードに近接して位置決
   めされ、ハブの内側に流体カツプリングをさらに
   含み、前記流体カツプリングはハブを支持し且つ
   これを回転させ、前記流体カツプリングは流体カ
   ツプリング中の粘性流体から熱を放散させるた
   め、フアンの回転中ハブの孔を通つて半径方向外
   方に通過する周囲空気が接触するように外面に半
   径方向に延びた冷却フインを有し、これにより流
   体カツプリングの中の粘性流体から対流によつて
   熱を奪うことを特徴とするフアン構造。