JP3026115B2 - 建物の施工方法 - Google Patents

建物の施工方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、人工地盤的な大スパン
架構を用いて建築物を構築する場合に、大スパン架構上
に構築する建築物を構成する上部架構の柱脚の施工方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、人工地盤的な大スパン架構を用い
る建築物の構築にあっては、建築物を構成する上部架構
の柱脚は、大スパン架構上に立設するとともに、上部に
梁を架け渡して、この梁に固定することによって施工す
る。
【0003】このような柱脚の施工方法の場合、施工後
の柱脚を再施工することが難しいため、施工中の設計の
補正等のために柱脚にピン支承的な構造を設けた場合に
は、この柱脚を上部から積載される建築物の荷重の支持
に機能させることはブレース等を設けない限り困難であ
る。
【0004】従って、前記の柱脚の施工方法の場合、柱
脚にかかわる施工中の設計の補正は、柱脚を剛接合とし
て、仮設的なたわみ制御により行なわれている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記した従
来技術における次のような課題を解決せんとするもので
ある。
【0006】すなわち、前記大スパン架構は、十分に強
度を有するものであるが、この上に建築物を形成する普
通スパンのラーメンを載せようとすると、大スパン架構
の大スパン梁の長期たわみにひきずられてラーメンが所
定の設置位置に位置しなくなる。
【0007】そのために、上部架構の設計ができなくな
るという問題点である。
【0008】本発明は、前述の課題に鑑みてなされたも
ので、柱脚に介在させたピンジョイントを上部構造物の
仕上完了後に固定して剛結合することなより上部架構の
施工における大スパン梁のたわみの影響を積載荷重のみ
とする柱脚の施工方法を提供することを目的とするもの
である。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の建物の施工方法
では、大スパン架構の上にラーメン構造の上部架構を構
築する場合の上部架構の施工方法であって、上部架構を
構成する最下階の柱脚の一部にピンジョイントを介在さ
せておき、上部構造物の仕上完了まで柱脚をピン結合
し、仕上完了後、柱脚のピンジョイントの部分を固定し
て剛接合することを特徴とすることを前記課題の解決手
段とした。
【0010】
【作用】本発明の柱脚の施工方法によれば、柱脚に介在
させたピンジョイントを上部構造物の仕上完了後に固定
して剛結合することにより、施工中の大スパン架構のた
わみに対しても柱脚を適切な位置で固定することを可能
とする。
【0011】
【実施例】以下本発明の一実施例を、図1ないし図4を
参照して説明する。
【0012】図中符号1は、本発明の施工方法により施
工した鉄骨造の建物の上部架構である。
【0013】図3に示すように、予め構築された人工地
盤的な大スパン架構2の上にラーメン構造の上部架構1
を施工するには、以下のようにして行う。
【0014】まず、大スパン架構2に、例えば図4に示
す適切な位置に、上部架構1を構成する最下階の柱脚3
を立設する。
【0015】柱脚3は、予め下部にピンジョイントを介
在させて構成する。
【0016】このピンジョイントは、柱脚3の下端部を
形成する下部柱脚3aに、柱脚3の本体部を形成する上
部柱脚3bを揺動自在に取り付けてなっている。
【0017】下部柱脚3aと上部柱脚3bは、図2に示
すように、共に長さのみが異なる同様の部材からなり、
断面正方形の柱鉄骨3cと、板状の鉄製部材を幅方向の
端辺同士で接続して成る柱鉄骨3cの外側を囲む外枠3
dとで構成される。
【0018】外枠3dは、柱鉄骨3cの表面から等距離
でその外側を囲む平面視正方形に形成され、柱鉄骨3c
の各々の側面の中央部から外方に突出して取り付けられ
た支持板3eの外側の端部に溶接で固定される。
【0019】なお、支持板3eは、柱鉄骨3cの長手方
向と略等しい長さで形成され、かつ図1に示すように、
下部柱脚3aの上部及び上部柱脚3bの下部で外枠3d
の外方に突出する固定部3fを有している。
【0020】柱脚3を立設するには、下部柱脚3aを大
スパン架構2に対してその上部が上方に突出するように
設置してその下部を固定し、この下部柱脚3aの上に上
部柱脚3bを載置する。
【0021】図1及び図2に示すように、下部柱脚3a
と上部柱脚3bの側面に上下にならぶ前記固定部3f、
3fに、左右から挟着するように連結板3g、3gを取
り付け、これら固定部3fと連結板3を貫通するボルト
孔3hを適切な位置で複数形成する。
【0022】そして、それぞれのボルト孔3hをボルト
結合することによって、下部柱脚3aと上部柱脚3bと
を連結する。
【0023】各柱脚3の立設が完了後、隣り合って対を
なすそれぞれの柱脚3の間に、柱脚3に働く水平方向の
力を処理するべく仮設ブレース4を取り付けた後、これ
ら各柱脚3の上部に建物の梁を架け渡して固定する。
【0024】引き続いて、柱脚3及び梁の上部に建物の
上に上部架構1を組み上げるとともに、この上部架構1
を骨組みとして建物の上部構造物5を施工する。
【0025】そして、上部構造物5の仕上の完了後、適
宜位置の柱脚3の前記ボルト結合を解除して、連結板3
gも取り外す。
【0026】大スパン架構2の大スパン梁2aには、上
部構造物5の重量によってたわみが生じるため、上部柱
脚3bと下部柱脚3aを、このたわみによって発生する
鉛道方向の力に対して適切な位置で設置し直すととも
に、双方の接合部分を溶接して剛接合する。
【0027】以下、本実施例の建物の施工方法の作用を
説明する。
【0028】本実施例の建物の施物の上部構造物5の仕
上完了後に固定して剛結合することにより、施工中の大
スパン梁2aのたわみによって発生する鉛直方向の力に
対して適切な位置で柱脚3を固定する。
【0029】したがって、上部架構1の施工における柱
脚3の大スパン梁2aのたわみによる鉛直方向の影響を
解消するから、上部構造物5に生じる内部応力を減少し
て建物の強度が向上する。
【0030】また、上部構造物5の仕上完了までピンジ
ョイントは固定されないから、柱脚3の位置の微調整が
可能であり、柱や、梁の位置決めが容易となって施工性
が向上する。
【0031】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の建物の施
工方法によれば、大スパン架構の上にラーメン構造の上
部架構を構築する場合の上部架構の施工方法であって、
上部架構を構成する最下階の柱脚の一部にピンジョイン
トを介在させておき、上部構造物の仕上完了まで柱脚を
ピン結合し、仕上完了後、柱脚のピンジョイントの部分
を固定して剛接合することを特徴とするから、施工中の
大スパン架構のたわみによって発生する水平方向の力に
対して適切な位置で柱脚を固定することで、上部架構の
施工における柱脚の大スパン梁たわみによる鉛道方向の
影響を解消する結果、建物の上部構造物に生じる内部応
力を減少して建物の強度が向上する。
【0032】また、上部構造物の仕上完了までピンジョ
イントは固定されないから、柱脚の位置の微調整が可能
であり、柱や、梁の位置決めが容易となって施工性が向
上する。次のような優れた効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す柱脚の正面図である。
【図2】前記柱脚の平面図である。
【図3】本実施例の建物の施工方法によって施工される
建物の下部を示す正面図である。
【図4】大スパン架構に柱脚が立設された状態を示す平
面図である。
【符号の説明】
1 上部架構 2 大スパン架構 3 柱脚 5 上部構造物

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 大スパン架構の上にラーメン構造の上部
    架構を構築する場合の上部架構の施工方法であって、上
    部架構を構成する最下階の柱脚の一部にピンジョイント
    を介在させておき、上部構造物の仕上完了まで柱脚をピ
    ン結合し、仕上完了後、柱脚のピンジョイントの部分を
    固定して剛接合することを特徴とする建物の施工方法。
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