JP3025832B2 - 高気密高断熱性家屋と建築工法 - Google Patents

高気密高断熱性家屋と建築工法

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JP3025832B2
JP3025832B2 JP6254183A JP25418394A JP3025832B2 JP 3025832 B2 JP3025832 B2 JP 3025832B2 JP 6254183 A JP6254183 A JP 6254183A JP 25418394 A JP25418394 A JP 25418394A JP 3025832 B2 JP3025832 B2 JP 3025832B2
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小野  誠
悦見 遠藤
昭一 千葉
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有限会社オノ建築企画室
有限会社岩代工務店
有限会社千葉電設
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は断熱性が高くかつ気密性
が高いとともに、自然熱や生活排熱を有効利用し、省エ
ネルギー化するとともに、遮音性が高く、かつ耐久性の
高い家屋と、その家屋を建築する工法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より各種の高気密性で高断熱性で通
気空間を有し換気可能とし、冷暖房の効率を向上させた
家屋に関する技術が提案されている。
【0003】しかしながら、従来の家屋はいずれもその
性能は充分ではない。即ち、各居住室にエアコンを取り
付けても、例えば、部屋は暖かくても廊下、トイレ、脱
衣室は冷えている等、空調用に多くの費用を要する割合
には各室間に温度差を生じ、湿度むらを生じている。ま
た、冬は窓ガラスに結露を生じ、壁や天井にカビやダニ
を多量に発生し、ぜんそくやアトピー性皮膚炎の原因と
なったり、家屋の汚損を生じる。そのほか床下の換気を
考慮していないので、床下の臭いが発生し、じめじめす
るので、住宅寿命を短縮することになる。更には、トイ
レや台所臭等の生活臭が充分排気されず、室内の一酸化
炭素や二酸化炭素の濃度が上昇するほか室外の騒音が侵
入したり及び室内音が放散したりする等の欠点があっ
た。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明
は、自然エネルギー及び生活排熱を有効利用して省エネ
ルギー化し、温度むらを生じることなく結露を生じず、
遮音性が高く、生活臭を拡散することがない家屋及びそ
の家屋を建築するための工法を提供することを目的とす
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するために、床下外周部に断熱材を埋設し外気に対し
て閉鎖した床下空間を形成するコンクリート基礎部、内
壁材の外側に貼設した断熱ボードと外壁材との間に地上
から屋根部まで連通する外壁通気層を形成した外壁構造
体、外側屋根材と断熱ボードとの間に前記外壁通気層と
連通する屋根通気層を形成し、屋根通気層の最上部に棟
換気部を形成した屋根構造体、家屋内全室を循環する空
気循環式空調装置からなる高気密高断熱性家屋におい
て、居住室に対角線上に給気口と排気口を設け、1階の
空気は廊下を通り、2階の空気は廊下と階段を通り回収
されて外部へ排出され、床下コンクリート基礎部に配設
した空気排出孔を有するダクトを通して空気を床下へ供
給し屋根裏空間を経て外部へ排出するようになした空気
循環式空調装置と、風呂、トイレ、乾燥室等と連通して
空気を排出しうるように屋根裏に設けた熱交換装置とか
らなる高気密高断熱性家屋を構成したものであり、ま
た、床下外周部に断熱材を埋設し床下全面にコンクリー
ト基礎部を形成し、該コンクリート基礎部上に外気に対
して閉鎖した床下を形成し、内壁材の外側に断熱ボード
を貼設し、断熱ボードと外壁との間に地上から屋根部ま
で連通する外壁通気層を形成し、外側屋根材と前記断熱
ボードとの間に前記外壁通気層と連通する屋根通気層を
形成し、屋根通気層の最上部に棟換気部を形成し、空気
循環式空調装置により空気を家屋内全室にわたり循環さ
せる高気密高断熱性家屋の建築工法において、居住室に
対角線上に設けた給気口と排気口により1階の空気は廊
下を通り、2階の空気は廊下と階段を通り回収されて外
気へ排出され、床下コンクリート基礎部に配設した空気
排出孔を有するダクトを通して空気を床下へ供給し屋根
裏空間を経て外部へ排出するようになし、屋根裏に設け
た熱交換装置により風呂、トイレ、乾燥室等と連通して
空気を排出しうる高気密高断熱性家屋の建築工法とした
ものである。
【0006】
【作用】本発明は上記のように構成したので、床下から
は年間を通して温度変化の少ない熱を受けるとともに室
内の熱の床下への急速な放散は防止され、外壁通気層の
地上部分から屋根通気層を経て棟換気口に至る通気路に
よって屋根や外壁から室内側に伝達されようとする熱
は、通気流によって棟換気口から外部に放散されるとと
もに、断熱ボードによる熱の伝導抵抗によって外壁の内
面から室内側に至る輻射熱の伝播を防ぐ。そして室内の
熱は断熱ボードによって外部への放散は防止され、かつ
外壁側との温度差を生じることが防がれ結露が防止され
る。また、室内は外部と高気密状態となるので熱の漏れ
が少なく遮音性が高く、冬季の日射侵入による太陽熱を
室内に取入れて逃がすことがなく、全室循環式空調装置
によって各室間の温度差が小さくなり、結露が防止され
るほか、トイレや台所等の空気を最後に直接空調機に吸
入させることにより生活臭を他室に拡散することがなく
なる。
【0007】
【実施例】本発明の実施例を図面に沿って説明する。図
1は本発明による家屋の全体構造を示し、この家屋の建
築にあたっては図2に細部を示すような基礎工事を行
う。即ち、地面1を所定深さ及び形状に掘削して割栗石
2を敷設する。その際の掘削地面は、コンクリート基礎
外周囲予定部から床下に至る部分に法面3を形成する。
割栗石2の上には砕石4を転圧して固め、その上面には
防湿性のポリエチレンフィルム5を適宜重ね代をとりつ
つ、また、テーピングにより接着しつつ全面に貼設す
る。ポリエチレンフィルム5の上には、前記法面3部分
及びこの法面3の上端から床下に延びる略1mの範囲
に、外周囲をポリエチレンフィルム防湿紙で被覆された
25mm厚程度の硬質ウレタンフォーム製断熱ボード6
を貼着配置する。その上に型枠形成と共に鉄筋7を配置
し、型枠内にコンクリートを流し込み、また、床下基礎
部8の上面を適宜整えてコンクリートを硬化させる。基
礎立上がり部9の外周には30mm厚程度のコンクリー
ト打込用硬質ウレタンフォーム製断熱ボード10を貼
り、その上面にラス張りを施こしてモルタル11の金ゴ
テ押えを行う。断熱ボード10の下端外周で転圧した砕
石4上のポリエチレンフィルム5上面には押えコンクリ
ート12を配置し、基礎立上がり部9の外周囲に掘削し
た土を埋め戻して基礎形成を終了する。
【0008】 基礎立上がり部9の上端面には、免震座
金を併用した免震基礎パッキン14を介在させて耐湿性
の大きなヒバ、ヒノキ、栗等の木材を用いた土台15を
載置し、その上に各種柱を組み上げる。その際、1階の
13’の床下14’は外気からは気密上遮断される
が、内部的には開放される。土台の上に組み上げた柱1
5の室内側には内装材16が、外側には断熱ボード17
としての厚さ40mm程度の硬質ウレタンフォームを貼
着する。硬質ウレタンフォームは、外壁面及び屋根面に
おいては、外側面をビニールコーティングしたクラフト
紙を貼り、内側面をビニールコーティングしたアルミ箔
を貼ったものを用いる.この時、室内側のアルミ箔は気
密層、室外側のクラフト紙側はウレタン内部のガスが逃
げ出さないための層として作用する。そして、断熱ボー
ド17のアルミ箔側の気密層を連続させるために継手部
分には、あらかじめスポンジ状の両面気密テープを貼っ
ておく。なお、以降、前記材料をビニールコーティング
したアルミ箔を貼った断熱ボードと総称する。
【0009】 建築した家屋の外壁に面する部分には、
窓等を除いて全て上記のようなビニールコーティングし
たアルミ箔を貼った断熱ボードを貼る。また、この断熱
ボードが縦胴縁のかかり材等の各種構造材18と当接す
る部分には、両者間の間隙から空気が漏れることがない
ように、また多少の段差に追随して気密層の連続性を可
能にするために断熱ボードのアルミ箔側にスポンジ状の
両面気密テープを貼り、更に断熱ボード保護のため外側
から防水テープ20を貼る。更に、前記基礎の立上がり
部9の外周に貼った断熱ボード10の上端部において構
造材18と当接する部分に形成される空間を塞ぎ、かつ
地震その他の挙動によっても隙間が生じることを防ぐた
め、この空聞にスポンジ状の両面気密テープにより気密
層を連続しつつシリコン21を充填してシールを行う。
なお、断熱ボードを貼る前にあらかじめ継手部分にスポ
ンジ状の両面気密テープを貼ることにより気密性を確保
した上、防水テープあるいはシリコンは、断熱材の外面
側継手部分等、空隙の生じるおそれのある部分には、適
宜いずれかを選択して施し、断熱ボード内部のガスの
流出を防ぎ、断熱ボードそのものの寿命を伸ばす。
【0010】 断熱ボード17の外側には厚み30mm
程度の空隙を縦胴縁22により形成し、外壁材23を固
定する。この空隙は外壁通気層24を形成しており、そ
の下端部は地面1に近い部分において開口25し、後述
する屋根通気層19にその上端が開口し、屋根面及び外
壁が太陽光で加熱され、その裏面に熱伝導し、外壁通気
層24内の空気を暖める時、その空気は入口と出口の圧
力差による煙突現象によって上昇し屋根通気層に抜け、
地面近傍の空気を開口25から吸入して連続的な通気が
なされる。
【0011】このように周囲の壁や床、天井内部を気密
工法により室内と同様に空調された空気が循環している
から、これらの表面温度が常に室内空気と均衡状態に保
たれるため、従来工法のように室内側空気の一部にだけ
熱を加えるために対流を生じ、相対的に低温側である外
部開口部や周囲の壁や天井、床に向かって熱の移動が起
こり、いわゆる逆輻射による熱が奪われるという現象は
皆無となる。また、気密性が高く熱伝導率が非常に小さ
い断熱ボード17によって室外側への熱伝導は防止され
る。なお、図示されない外気側がアルミ製、室内側がプ
ラスチック製の複合タイプ、内外共プラスチック製等の
気密性2等級以上かつ断熱性2.6Kcal/m2 ・h
・℃以下の性能を有する窓形成用サッシ枠の外周と断熱
ボード17との当接部においても前記シール手段を断熱
ボード内外に施こし、室内外の気密性と断熱ボードの耐
久性を高める。また、経年変化によって躯体の変形、挙
動が予想され、それにより断熱性、気密性の悪化が予想
される部分には、スポンジ状の両面気密テープにシリコ
ンシーラント処理を併用しておくことが好ましい。
【0012】屋根部分にいては図1及び図3に示すよう
に、柱15の上端部に設けた桁材16’の上方に適宜の
支持によって所定の傾斜のタルキ27を組み上げ、屋根
の基本構造を構成し、その上に前記外壁部の断熱ボード
17と同様のビニールコーティングしたアルミ箔を貼っ
た断熱ボード28を全面に、前記と同様両面にわたるシ
ール手段を施こしつつ貼り付ける。外壁部の断熱ボード
17上端部と屋根部の断熱ボード28の接続部にも、ス
ポンジ状の両面気密テープ30で気密層を連続しつつシ
リコン31を充填してシールを行う。断熱ボード28の
上方にはタルキ32で空隙を保持して杉材等の野地板3
3を張り、その上に屋根材として例えばアスファルトル
ーフイング34を設けて屋根35を形成する。屋根35
の端面36は外壁部と同様の外壁材23によって塞ぐ。
タルキ32で形成された空隙は屋根通気層19として下
端部において外壁通気層24と密封状に連通し、一連の
通気層を形成している。
【0013】 図4に示すように、左右の屋根材の突き
台わせ部、即ち屋根の最高位置部分には棟換気37を設
けている。即ち、左右の屋根35の屋根材の突き合わせ
部には開口38が設けられ、この開口38を覆うように
外側にステンレス板等の板金40を被覆した棟包み下地
41を、屋根35の外面との間にハニカム状通路12を
有するポリプロピレン材からなる板状部材43を介在さ
せつつ丸釘44’で屋根35に打ちつけることにより固
定している。板状部材43の開口38側端面は、開口3
8から上昇する気流を板状部材43内のハニカム状通路
42内に円滑に導くことができるように、下方に開放状
に形成されており、その下端側開口44は略水平方向に
傾斜して形成されている。なお、暴風雨時に屋根35上
を吹き上げる雨水が開口38内に流入を防止するため、
屋根35の開口端部に板金からなる水返し45を設け
る。また、屋根部の断熱ボード28の突き合わせ部には
契状の断熱ボード46を埋め、その上面を防水気密テー
プ47を貼り、シールを行う。なお、屋根35の面積が
大きく外壁通気層24を透空気が棟換気部37で充分放
熱できない場合は、図5に示すようにビスにより取り付
けられた板状部材43内のハニカム状通路42を大きく
してもよい。
【0014】上記のようにして建築される家屋には、床
材や内壁材を張る前に図1、図6、図7に示すようにエ
アダクト50を配設する。家屋の一部には熱交換器付き
空調機51を設け、所定の温度の空気を第1ダクト52
により1階の居住室に、第2ダクト53により2階の居
住室に送給する。また、第3ダクト54により、台所5
5に供給する。そして、図6、図7に示すように1階、
2階の居住室には対角線上に給気口(+)と排気口
(−)を設け、矢印に示す方向に空気流を形成して室全
体の空調を行い、1階の空気は廊下60を通って熱交換
器付き空調機51の吸引口58に吸引される。また2階
の空気は廊下60を通って階段61を通り、1階の居住
室からと同様に熱交換器付き空調機51の吸引口58に
吸引される。また台所55に供給された空気はダクトを
通して直接熱交換器付き空調機51へ回収される。更に
熱交換器付き空調機51の第4ダクト62は屋外に開放
して空気を排出し、第5ダクト63は屋外からの空気を
吸引し換気時の排出空気の温湿度の廃熱回収をする。な
お、風呂56、トイレ57、乾燥室59の空気は、外気
が快適な5月、10月頃に熱交換器付き空調機51を停
止した場合でも熱交換装置65を通して常時排気され
る。更に図1、図2に示すように、第1ダクト52から
分岐した第6ダクト66を床下の基礎コンクリート部8
上に配設し、一方小屋裏空間から熱交換器付き空調機5
1まで第7ダクト67を配設する。床下の基礎コンクリ
ート部8上に配設したアルミダクト66には適宜の空気
排出孔68を設けて空調された空気を床下へ排出するよ
うにする。なお、熱交換装置65は点検を容易にするた
めに1階と2階との間の室内と連通したところに設置す
ると便利である。
【0015】また、基礎コンクリート全体を蓄熱槽とし
て外気の影響が少ない安定的な季節毎の主たる熱源とし
ている。夏は約16℃の地熱を冷房の一部とし、冬は約
13℃の地熱を暖房の一部として取り出す。通常の利用
方法は、前記した第6ダクト66により常時床下へ空調
された空気は送り続けられると、不特定の内壁内部を木
部の乾燥状態を伴いながら通過して小屋裏空間へと到達
する。そこで第7ダクト67に再び引き込まれ、熱交換
器付き空調機51へ戻された後、熱回収されてから屋外
へ汚染空気(コンクリートに接する空気にはラドンガス
が含まれており、そのまま屋内に送りこまれると肺ガン
の危険性が増大する。)として排気され知らないうちに
その作用は行われているのである。そして、この定常的
な継続により気温が高い夏には相対的に低い地熱によっ
て冷房効果を得、気温が低い冬には外部開口部から侵入
する日射や照明、人体発熱等の生活排熱などを暖房の熱
源として昼間のうちに床下の蓄熱槽へ供給し続ける。そ
して夜間になり、室温のゆるやかな低下と共にこの逆作
用が働き、蓄熱槽がゆっくり放熱を始めるようになる。
こうして、たとえ外気温が急激に変動しても熱容量の非
常に大きなコンクリートの性質を利用した蓄熱と放熱の
サイクルを都合よく利用することにより、極めて変動の
少ない室内空間に仕上げられるのである。
【0016】万一、こうした作用の効率を上げる目的
で、地熱の回収を床下から直接室内に引き込もうとする
と、危険なラドンガスをも同様に室内に呼び込んでしま
うことになる。そこで、図示されないスチールダクトを
基礎コンクリート中になるべく長い距離で打設して、ま
ず床下空気とは完全に隔離したルートを設定してもよ
い。そして、その中に新鮮な清浄空気を送りつづけるこ
とによってスチールダクトからコンクリートを媒介して
地熱との熱交換現象を起こさせる。
【0017】こうして、夏は室温に対して相対的に低い
地熱をほぼ直接取り出し、また冬は外気温に対して相対
的に高い地熱を夏とは逆の現象で取り出す。そして冬の
蓄熱作用もこの方法によって飛躍的に高めることになる
のである。この原理で取り出しした熱はそのまま生活空
間へ導入しても全く問題のない空気の中に含まれている
ため、ロスもなく一段上の低ランニングコストで冷暖房
を実現する。
【0018】上記空調システムにおいては、上記の機能
を行うため、三方切換弁等を適宜配置し、制御装置によ
って自動的に切替えを行われるが、それらは周知のもの
であるので説明は省略する。また、上記空調システムに
用いるエアダクトとしては、螺旋ワイヤにより補強され
た筒状グラスウール体の内外周をビニールコーティング
したもの等、周知の各種の断熱性エアダクトを使用する
ことができる。
【0019】上記のような構成に建築された家屋は、夏
季の日中において外壁及び屋根は太陽熱により高温に加
熱されるが、その熱は外壁材及び屋根材を通して室内側
に伝熱するが、室内側には外壁通気層及び屋根通気層が
存在するので、その空気を加熱することとなる。これら
の加熱された空気は全て煙突現象もしくは外気風力によ
り無動力で上昇し、外壁通気層の最下部に設けた開口か
ら吸入する地面近傍の空気と共に外壁通気層、屋根通気
層を通り、屋根通気層の最上部に設けた棟換気のハニカ
ム状通気路を通って外部に排出される。この気流によっ
て外壁材及び屋根材を通って室内に至る熱のほとんどは
排出される。
【0020】また、室内の空調機からの冷熱は、内壁、
床、天井等を通って外へ伝熱しようとするが、その熱は
家屋の外囲全周に設けた断熱ボードによって伝熱が遮断
され、熱の放散は防止される。また、この断熱ボードに
はアルミニウム被覆を施こしているので、気密性が高く
熱伝導率が極めて低いことから、外部からの熱を室内側
に伝えることは最小限となる。更に、断熱ボードの継手
等には各種二重シールを施こしており、これらの部分か
らの空気の漏洩は防止され、断熱ボードの端部にもシー
ルを施こしているので断熱ボード内の気泡の中に閉じ込
められたガスの流出も防止される。また、1階の床下は
断熱材を埋設したコンクリートにより外気に対して閉鎖
的空間を形成しているので、従来のもののような床下へ
の放熱が防止されるばかりでなく、年間を通してほぼ一
定の地熱を取り出すことができ、基礎の立ち上がり部外
周に断熱ボードを設けることにより、より断熱効果を高
めることができ、これらの相乗によって小型の空調機に
よって屋内全室の空調を行うことができるとともに、空
調機の運転経費を減少することができる。
【0021】一方、冬季においては窓等からの太陽熱に
よって室温は上昇し、各室は前記のように断熱性及び気
密性が高いので、その熱は全室に循環し、温度むらを生
じることがなくなるほか、高効率の空調を行うことがで
きる。また、外壁から室内壁に冷熱が伝熱することがな
く、上記のように屋内に温度むらを生じることがないの
で、従来のような結露を生じることがなく、それによる
かびの発生、ダニの発生が防止され、居住者のぜんそく
やアトピー性皮膚炎等のアレルギー性病気の発生を防ぐ
ことができる。
【0022】更に、家屋全体の気密性が高まるので、ピ
アノや音響製品からの音が隣家にほとんど伝わることが
なくなり、また、外部の車等の騒音及び隣家の騒音等の
侵入を防止することができる。
【0023】また、家屋内における台所、風呂、トイレ
等生活臭を発散する室の空気は、各室内を循環した空気
が取り入れられ、その空気が臭気とともに空調機に直接
吸引されて処理されるので、風呂、トイレ等は常時負圧
室となり、ドアを開けても外気が入るのみで室内の異臭
は外部に漏れることがない。
【0024】上記構成からなる家屋を実際に建築し換気
回数を計測した結果、下記のようなデータが得られた。 気密仕様の床面積 142.13m3 … 小屋裏の気積 83.55m3 … 床下の気積 30.4m3 …… 小屋裏と床下の合計気積(+) 113.95m3 … の気積の床面積への換算 ∴ 113.95m3/2.6m≒43.83m2 … 気密測定結果により総隙間相当面積αA=65cm2 ……… 建物外被の実効延べ面積(+) S=142.13+43.83=185.96m2 … 床面積1m2当りの隙間相当面積(/) C=65/185.96≒0.3495(cm2/m2) 建物全体の気積 525.05m3 測定結果による50pa時の確定流量 229m3/h ∴ 換気回数=229/525.05≒0.436回/h/50pa という結果が得られ、世界的な省エネルギー住宅の代表
とも言われるカナダのR−2000住宅の1.5回/h
/50paと比較しても極めて高い気密性能を実現する
ことができた。
【0025】このような気密性と断熱材の効果によっ
て、約60坪の建屋の空調は、約4000kcal/h
程度の空調機1台で充分であり、その家屋の測定結果に
よると 、 冬季の室温 18℃前後 湿度 50%内外 夏季の室温 28℃前後 湿度 50〜60% と外気の温度、湿度の大きな変化にかかわらず、小型の
空調機でほぼ設定通りの安定した温度及び湿度を維持で
きることが確認された。
【0026】
【発明の効果】本発明は上記のように構成し作用するの
で、極めて断熱性及び気密性が良く、床下、室内壁内を
含めて屋内全体を均一な温度に維持でき、太陽熱及び地
熱等の自然エネルギー及び家屋内の生活排熱を有効利用
でき、省エネルギーな家屋とすることができ、温度むら
を生じないことにより結露を生じず、その結果かびを生
じることがなく、ダニが発生せず、これらによるアレル
ギー性の病気を防止することができる。また、遮音性が
高く屋内からの音漏れ及び外部からの音の侵入を防止で
きるほか、屋内の生活臭は家屋内を循環する空気によっ
て最終的に排出され、家内に拡散することがない。ま
た、室内の空気中に浮遊するホコリは常時回収されるの
で、目視によっても非常に清浄であることが確認でき
る。
【0027】更に、空調機からは各室への給気は低速循
環流によるため、気流による空調の不快感がなくなり、
家屋は湿気を完全に防ぐことができるので、木造の住宅
でも70年、100年と長期間使用することが可能とな
るほか、防蟻処理等の有害な薬剤散布等が不要となり、
また、日照条件の悪い家でも年間を通して安定した地熱
の影響により快適な生活空間を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による家屋の実施例を示す全体概要図で
ある。
【図2】同基礎部近傍の断面図である。
【図3】同屋根部近傍の断面図である。
【図4】同棟換気部近傍の断面図である。
【図5】同棟換気部近傍の他の実施例の断面図である。
【図6】本考案による家屋の1階の換気空調ダクト配管
系統を示す全体概要図である。
【図7】同2階の換気空調ダクト配管系統を示す全体概
要図である。
【図8】本考案による家屋の1階の換気ルートを示す全
体概要図である。
【図9】同2階の換気ルートを示す全体概要図である。
【符号の説明】
1 地面 2 割栗石 3 法面 4 砕石 5 ポリエチレンフィルム 6 断熱ボード 7 鉄筋 8 床下基礎コンクリート部 9 基礎立上り部 10 断熱ボード 11 モルタル 12 押えコンクリート 13 上端面 14 免震基礎パッキン 15 土台 16 内壁材 17 断熱ボード 18 縦胴縁のかかり材等の構造材 19 屋根通気層 20 防水テープ 21 シリコン 22 縦胴縁 23 外壁材 24 外壁通気層 25 外壁通気層の流入口 27 下タルキ 28 断熱ボード 30 スポンジ状の両面気密テープ 31 シリコン 32 上タルキ 33 野地板 34 アスファルトルーフィング 35 屋根 36 破風板 37 棟換気部 38 開口 40 板金 41 棟包み下地 42 ハニカム状通路 43 リッヂベンツ 44 棟換気の排気口 45 水返し 46 断熱ボード 47 防水気密テープ 50 エアダクト 51 熱交換器付き空調機 52 第1ダクト 53 第2ダクト 54 第3ダクト 55 台所 56 風呂 57 トイレ 58 吸引口 60 廊下 61 空調室 62 第4ダクト 63 第5ダクト 66 第6ダクト 67 第7ダクト
フロントページの続き (72)発明者 遠藤 悦見 東京都町田市常盤町3241番地 (72)発明者 千葉 昭一 東京都八王子市弐分方町316番地の3 (56)参考文献 特開 平3−99147(JP,A) 特開 昭59−210139(JP,A) 特開 平2−229323(JP,A) 特開 昭58−153839(JP,A) 特開 平3−279541(JP,A) 特開 平5−171759(JP,A) 実開 平2−5514(JP,U) 実開 昭61−37311(JP,U) 実開 昭57−204312(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) E04B 1/70 F24F 7/10

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 床下外周部に断熱材を埋設し外気に対し
    て閉鎖した床下空間を形成するコンクリート基礎部、内
    壁材の外側に貼設した断熱ボードと外壁材との間に地上
    から屋根部まで連通する外壁通気層を形成した外壁構造
    体、外側屋根材と断熱ボードとの間に前記外壁通気層と
    連通する屋根通気層を形成し、屋根通気層の最上部に棟
    換気部を形成した屋根構造体、家屋内全室を循環する空
    気循環式空調装置からなる高気密高断熱性家屋におい
    て、居住室に対角線上に給気口と排気口を設け、1階の
    空気は廊下を通り、2階の空気は廊下と階段を通り回収
    されて外部へ排出され、床下コンクリート基礎部に配設
    した空気排出孔を有するダクトを通して空気を床下へ供
    給し屋根裏空間を経て外部へ排出するようになした空気
    循環式空調装置と、風呂、トイレ、乾燥室等と連通して
    空気を排出しうるように屋根裏に設けた熱交換装置とか
    らなることを特徴とする高気密高断熱性家屋。
  2. 【請求項2】 断熱ボードは、外壁面及び屋根面には外
    側面はビニールコーティングしたクラフト紙を貼り、内
    側面にはビニールコーティングしたアルミ箔を貼った硬
    質ウレタンフォームからなる請求項1記載の高気密高断
    熱性家屋。
  3. 【請求項3】コンクリート基礎は砕石の上に防湿フイル
    ムを貼設し、基礎外周部に断熱材を設け、その上にコン
    クリート層を設けたものである請求項1または請求項2
    記載の高気密高断熱性家屋。
  4. 【請求項4】 コンクリート基礎外周立上がり部の外面
    に断熱材を貼設し、その外面にモルタル層を設けたもの
    である請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の高気密
    高断熱性家屋。
  5. 【請求項5】 断熱ボード相互の継手間表面にはテープ
    状シール材を取付け、断熱ボード開放端面にはテープ状
    シール材を設けてなる請求項1乃至請求項4のいずれか
    に記載の高気密高断熱性家屋。
  6. 【請求項6】 棟換気部は、ハニカム状通路を有するポ
    リプロピレン材製板状部材を介在させ開口端部に板金か
    らなる水返しを設けたものからなる請求項1乃至請求項
    5のいずれかに記載の高気密高断熱性家屋。
  7. 【請求項7】 床下外周部に断熱材を埋設し床下全面に
    コンクリート基礎部を形成し、該コンクリート基礎部上
    に外気に対して閉鎖した床下を形成し、内壁材の外側に
    断熱ボードを貼設し、断熱ボードと外壁との間に地上か
    ら屋根部まで連通する外壁通気層を形成し、外側屋根材
    と前記断熱ボードとの間に前記外壁通気層と連通する屋
    根通気層を形成し、屋根通気層の最上部に棟換気部を形
    成し、空気循環式空調装置により空気を家屋内全室にわ
    たり循環させる高気密高断熱性家屋の建築工法におい
    て、居住室に対角線上に設けた給気口と排気口により1
    階の空気は廊下を通り、2階の空気は廊下と階段を通り
    回収されて外気へ排出され、床下コンクリート基礎部に
    配設した空気排出孔を有するダクトを通して空気を床下
    へ供給し屋根裏空間を経て外部へ排出するようになし、
    屋根裏に設けた熱交換装置により風呂、トイレ、乾燥室
    等と連通して空気を排出しうるようにしたことを特徴と
    する高気密高断熱性家屋の建築工法。
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