JP3024471B2 - 電磁アクチュエータおよびその製造方法 - Google Patents
電磁アクチュエータおよびその製造方法Info
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Description
特に磁気回路を構成する固定鉄心および可動鉄心の構造
およびその製造方法に関するものである。
号公報に示されている電磁アクチュエータを応用した電
子制御式燃料噴射装置の断面図である。電子制御式燃料
噴射装置の電磁アクチュエータは、磁束を発生させる電
磁コイル1と、電磁コイル1で発生する磁束を通す固定
鉄心2と、この固定鉄心2に対向しギャップを開けて同
軸的に配置されかつ往復運動可能な状態に支持された可
動鉄心3とで構成されている。固定鉄心2は、可動鉄心
3に磁束が流れる磁気回路を形成するために強磁性部が
二つに分割され、この強磁性部2a,2bの中間部に非
磁性部2cを有する構造になっている。
は、電磁コイル1で発生された磁束が固定鉄心2aから
直接固定鉄心2bに流れずに、固定鉄心2a→エアギャ
ップ4→可動鉄心3→エアギャップ5→固定鉄心2bと
流れる磁気回路を形成するための磁気抵抗として作用す
るものである。すなわち、電磁コイル1に電流を流すこ
とにより、可動鉄心3と固定鉄心2bとの間に軸方向の
吸引力が働き、可動鉄心3は固定鉄心2bの方向に吸
引,駆動される。次に、電磁コイル1の電流を遮断する
と前記軸方向吸引力は作用しなくなり、ばね6により可
動鉄心3は固定鉄心2bから離れる。電磁コイル1の電
流をオンオフ制御することにより、可動鉄心3が軸方向
に往復駆動制御されるものである。
性部2a,2bと非磁性部2cとの三つの部材で構成さ
れ、それぞれの部分はOリングシール,または溶接など
により金属シールされている。
三つの部材2a,2b,2cからなり、例えば同軸を確
保するなど高い組立精度が必要であった。上記3部材2
a,2b,2cを精度よく組み立てるためにはめ合い構
造などが必要となり、複雑な部品形状や高い部品加工精
度が要求されるため、部品コストが高いという問題点が
あった。また、三つの部材2a,2b,2cで構成され
てシール部が2箇所あるので、例えば溶接は2箇所必要
であるなど、これらの組立工程の工数が多く、組立コス
トが高いという問題点があった。
b,2cを組み合わせるために小型化に限界があり、小
型化するほど相対的にコストアップするという問題点が
あった。
アクチュエータの固定鉄心2の非磁性部2cをレーザ合
金化を応用した局部改質により形成する方法が発案され
ている。
3435号により提案されている溶融合金化を応用した
燃料噴射装置用電磁アクチュエータの固定鉄心の製造工
程図である。鉄−クロム系合金,またはフェライト系ス
テンレス鋼,またはマルテンサイト系ステンレス鋼など
の強磁性部材7に、ニッケルなどのオーステナイト生成
元素またはそれを主成分とする合金元素8を添加しつ
つ、局所的に溶融合金化し、かつ合金組成を制御するこ
とにより、非磁性のオーステナイト相の溶融改質部9を
得るものである。
0を照射しながら、強磁性部材7を一定速度で回転させ
る。これと同時にNiワイヤ8を所定の速度でレーザ照
射部に供給して、強磁性部材7とNiワイヤ8とを溶
融,希釈させて合金化することにより、固定鉄心2の強
磁性部2a,2bの中間部に非磁性部2cの溶融改質部
9を形成するというものである。
3号公報に示されている電磁アクチュエータの問題点を
解決する別の方法として、電磁アクチュエータの固定鉄
心2の溶接金属部を非磁性化する方法が発案されてい
る。
3436号により提案されている燃料噴射装置用電磁ア
クチュエータの固定鉄心の製造工程図である。鉄−クロ
ム系合金,またはフェライト系ステンレス鋼,またはマ
ルテンサイト系ステンレス鋼よりなる強磁性部材7a
と、鉄−ニッケル系合金よりなる強磁性部材7bとを両
者の希釈率を調整しながら突き合わせ溶接し、非磁性の
オーステナイト相となる組成の溶接金属部11を得るも
のである。すなわち、二つの強磁性部材7a,7bを突
き合わせ部の近傍にCO2 レーザ10を照射することに
より突き合わせ溶接する。所望の組成の溶接金属部を得
るために、CO2 レーザ10を照射する位置を突き合わ
せ面に対して直角方向に対して制御することによって、
両者の希釈率を調整しながら突き合わせ溶接するという
ものである。
磁性材料のレーザ合金化を応用した局部改質により、固
定鉄心2の非磁性部2cを形成する場合、強磁性部材7
へのレーザやプラズマなど熱源の照射位置がずれて、非
磁性部2cの形成位置がずれる場合があった。その結
果、可動鉄心3の駆動力としてまったく作用しない可動
鉄心3の外周面から固定鉄心2の内周面への漏れ磁束が
生じてエネルギのロスが大きくなり、電磁アクチュエー
タの作動特性が悪くなるという問題点があった。
上がりが生じることから、可動鉄心3の移動方向に対し
て平行な面が出ている固定鉄心2の強磁性部2a,2b
を可動鉄心3との摺動面にするので、可動鉄心3と固定
鉄心2との間の磁力によって摺動面の摩耗が大きくなる
という問題点があった。その結果、繰り返し使用中に摩
耗によってばりが発生し、そのばりが可動部に詰まって
電磁アクチュエータが作動しないことがあり、信頼性に
欠けるという問題点があった。
おいて、溶融をともなうことから、溶融改質部9に収縮
が生じる。特に、溶融熱源が移動熱源であるので、強磁
性部材7の溶融改質部9付近に不均一な温度分布が生
じ、冷却後に変形が生じるという問題点があった。その
結果、その後のモールド工程において固定鉄心2が型に
収まらず、時には型が損傷するという問題点があった。
点との重なり部分での入熱過多により、改質幅が狙いの
値からばらつく。その結果、組成ずれが生じて狙いの透
磁率よりも大きくなった結果、固定鉄心2を流れる磁束
の増加により可動鉄心3を流れる磁束が減少するので、
可動鉄心3の作動応答性がきわめて悪いものが生じるこ
とがあった。
融改質するので、非磁性部2cの周方向、とくに局部改
質の始点と終点との重なり部分(始終端)でのワイヤの
送給制御が難しく、添加元素量に過不足が生じるという
問題点があった。その結果、始終端部が所望の組成にな
らず透磁率が高くなってしまい、その部分は磁束が通り
やすくなり、可動鉄心3を通る磁束が減少し、径方向の
吸引力のバランスがくずれて、始終端と反対の方向に引
きつけられるので、電磁アクチュエータとしての作動特
性への影響がきわめて大きいものがあった。
ストを低く抑えるために冷間鍛造と切削加工を組み合わ
せて使うのが一般的である。このため、その素材として
切削性を向上させるためにアルミニウムを含んだ冷間鍛
造性の良い12%前後のクロムを含んだ強磁性フェライ
ト系ステンレス鋼が用いられる。しかし、この材料を使
用すると、溶融凝固組織の粒界に低融点のAlが偏析し
て引張り強度が低下する現象が生じる。通常の溶接の場
合には、この強度低下は問題にはならないが、オーステ
ナイト相に改質した場合は、線膨張係数が母材が約10
×10-6/K(0〜500℃平均)に対して約1.5倍
になり、溶融改質部9にかかる引張り応力が過大となっ
て割れが発生するという問題点があった。割れが生じる
と、気密性低下や強度低下など信頼性保証が困難となる
ことから、Alを含まない切削性の悪い強磁性鋼を使わ
なければならなかった。
金,またはフェライト系ステンレス鋼,またはマルテン
サイト系ステンレス鋼よりなる強磁性部材7aと、鉄−
ニッケル系合金よりなる強磁性部材7bとを両者の希釈
率を調整しながら突き合わせ溶接し、非磁性のオーステ
ナイト相となる組成の溶接金属部11を得る製造方法に
おいて、製造装置の機械精度や被加工物の形状精度によ
り溶接熱源に狙いずれが生じた場合に、希釈率が所望の
値からずれて狙いの透磁率にならないという問題点があ
った。その結果、電磁アクチュエータとしての作動特性
が極めて悪いものがあった。
電磁アクチュエータの製造コストの低減と小型化を実現
するためになされたものである。
鉄心の非磁性部の位置がずれても、可動鉄心の駆動特性
すなわち電磁アクチュエータの作動特性への影響がな
く、安定した特性が得られる電磁アクチュエータを得る
ことを目的とする。
が小さい電磁アクチュエータを得ることを目的とする。
磁性部を溶融改質することにより形成する時に生じる変
形量を低減できる電磁アクチュエータの固定鉄心の製造
方法を得ることを目的とする。
磁性部を溶融改質することにより形成する時に前記非磁
性部の透磁率のばらつきが小さい電磁アクチュエータの
固定鉄心の製造方法を得ることを目的とする。
に形成された非磁性部の円周方向、とくに局部改質の始
点と終点との重なり部分(始終端)で、添加元素量に過
不足が発生しない添加元素の供給方法を提供し、非磁性
部の周方向全周にわたって均一な透磁率が得られる電磁
アクチュエータの固定鉄心の製造方法を得ることを目的
とする。
改質部の組織を完全オーステナイト相ではなく、例えば
数%程度のフェライトを含むように組成制御することに
より、改質部の溶融凝固組織の線膨張係数を母材なみに
抑制しようとするもので、その結果として溶融改質部に
かかる引張り応力を低減し、割れの発生を抑制,防止し
て、切削性が優れたAlを含む磁性鋼を固定鉄心素材と
して使用できる電磁アクチュエータの固定鉄心の製造方
法を得ることを目的とする。
狙いずれに影響されずに所望の希釈率が得られ、非磁性
の溶接金属部の透磁率のばらつきが小さい突き合わせ溶
接法による電磁アクチュエータの固定鉄心の製造方法を
得ることを目的とする。
クチュエータは、固定鉄心および可動鉄心が対向する円
周部分の一部をエアギャップもしくは非磁性部材で構成
するものである。
は、可動鉄心と対向する部分に局部的なエアギャップを
設けた固定鉄心でも構成できる。
可動鉄心を有する電磁アクチュエータにおいて、可動鉄
心のエアギャップ部に位置しかつ前記エアギャップ部と
同等またはそれよりも小さい固定鉄心に固定した非磁性
部材を有し、前記非磁性部材を可動鉄心の摺動面とする
ものである。
定鉄心の製造方法は、対向する2箇所を溶融加熱し、か
つ一つの加熱箇所のみにオーステナイト生成元素を供給
することにより製造される。
造方法は、固定鉄心の非磁性形成部の相当幅の板厚を強
磁性部の板厚の10〜70%に加工して強磁性部材を溶
融改質したものである。
造方法は、固定鉄心に形成された非磁性部の周方向、と
くに局部改質の始点と終点との重なり部分(始終端)
で、過不足が発生しない添加元素を供給するものであ
る。
ワイヤ状またはリボン状の添加元素を固定鉄心の表面に
巻き付けてスポット溶接などにより固定し、かつ巻き付
けの始端および終端の処理をしたあと溶融合金化するこ
とにより、始終端での添加元素量の過不足の発生を抑制
するものである。
ーステナイト生成元素またはその合金を、たとえリボン
の始終端でのギャップやラップに起因する添加元素量の
過不足が生じても、それを周方向に分散させることによ
り、組成変化を抑制する方法である。
を含む合金の細径のワイヤを強磁性部材にスポット溶接
などにより複数回巻き付け、溶融合金化することによ
り、非磁性部の周方向全周にわたって均一な透磁率を得
る方法である。
材とは異なる部材を挟み、前記中間部の部材の全てまた
は一部分および中間部材を挟む両側の強磁性部材の一部
分を同時に溶融することにより、製造する方法である。
造方法は、溶融改質部の組織を線膨張係数が大きい完全
オーステナイト相ではなく、例えば数%程度のフェライ
トを含むように組成制御することにより、改質部の溶融
凝固組織の線膨張係数を母材なみに抑制しようとするも
のである。
固定鉄心は、Crまたはそれを含む合金の膜を形成した
強磁性部材に局所的にオーステナイト生成元素を溶融添
加し、非磁性部を体積率で10%以下のフェライト相を
含むオーステナイト相にすることによっても製造でき
る。
造方法は、突き合わせ部をはめ合い構造にした強磁性部
材を用いるものである。
心が対向する円周部分の一部をエアギャップもしくは非
磁性部材で構成したので、固定鉄心の非磁性部の位置が
ずれても、可動鉄心の円周面からの漏れ磁束の発生が抑
制される。したがって、固定鉄心の非磁性部の形成位置
にずれが生じても可動鉄心の作動応答性に影響しない電
磁アクチュエータが得られる。
鉄心の摺動面にしたので、非磁性部材と可動鉄心との間
に働く摩擦力に大きく影響する電磁力は発生せず、摺動
面の摩耗が小さい電磁アクチュエータが得られる。
溶融加熱し、かつ一つの加熱箇所のみにオーステナイト
生成元素を供給するので、元素が安定かつ均一に添加さ
れつつ、固定鉄心の非磁性部を溶融改質することにより
生じる変形を低減できる。
当幅の板厚を強磁性部の板厚の10〜70%に加工して
強磁性部材を溶融改質した固定鉄心が得られるので、非
磁性改質部の幅が安定するために狙いの透磁率を得るこ
とができる。
した帯状またはワイヤ状のオーステナイト生成元素また
はその合金を強磁性部材にスポット溶接などにより巻き
付けるか,リング状の添加元素を挟み込んで溶融合金化
するようにしたので、周方向の透磁率分布を均一にでき
る。
部を体積率で10%以下のフェライト相を含むオーステ
ナイト相にするので、溶融改質部に生じる割れを防止す
ることができる。
金,またはフェライト系ステンレス鋼,またはマルテン
サイト系ステンレス鋼よりなる強磁性部材と、鉄−ニッ
ケル系合金よりなる強磁性部材とを突き合わせ溶接し、
この突き合わせ部をはめ合い構造とするので、溶接熱源
の狙い位置に影響されずに所望の希釈率を得ることがで
きる。
チュエータを搭載した燃料噴射装置の断面図、図2は図
1の要部拡大図である。この電磁アクチュエータは、磁
気ヨークを兼ねたケーシング12の内側に配置された定
置の電磁コイル1と,固定鉄心2と,この固定鉄心2に
対して同軸的にギャップを開けて配置された可動鉄心3
とで構成されている。固定鉄心2は、強磁性部2a,2
bが二つに分割され、その中間部に非磁性部2cを有し
ている。なお、非磁性部2cは内径8mm,幅2mmで
ある。一方、可動鉄心3は、直径7.95mmの円筒状
で、固定鉄心2との当たり面部分から約4mmの部分が
直径6.4mmと細くなっており、固定鉄心2と0.8
mmのエアギャップ13を持つ構造になっている。
電磁コイル1に電流を流すことにより、ケーシング12
→固定鉄心2の強磁性部2a→エアギャップ4→可動鉄
心3→エアギャップ5→固定鉄心2の強磁性部2bと磁
束が流れる磁気回路が形成されている。非磁性部2cの
位置が固定鉄心2の強磁性部2aの方へずれても、エア
ギャップ13の働きによって半径方向への磁束の漏れが
防止される。したがって、非磁性部2cの位置が0.5
mmずれた場合、従来のエアギャップ13が無い場合に
は作動特性が劣化するのに対して、この発明の構造では
作動特性の劣化は認められなかった。
凸状になっても、切削加工などにより平坦化することも
不要である。
アギャップの代わりに、オーステナイトステンレス鋼や
アルミニウム合金等の非磁性金属材料、アルミナやジル
コニア等のセラミックスを使用しても同様の効果を奏す
る。
を示す電磁アクチュエータの断面拡大図である。電磁ア
クチュエータの基本構造は、上記実施例1に示すものと
同様である。固定鉄心2は、強磁性部2a,2bが二つ
に分割され、その中間部に外径10mm,内径8mm,
幅2mmのリング形状の非磁性部2cを有している。ま
た、可動鉄心3は直径6.35mmのシリンダ形状をし
ており、固定鉄心2の強磁性部2aと摺動部を形成して
いる。固定鉄心2には、可動鉄心3との当たり面側から
3.5mmの幅で深さ0.8mmのリング形状のエアギ
ャップ13を有している。
施例1に示す電磁アクチュエータと同様の動作,機能,
効果を奏する。すなわち、非磁性部2cの位置が固定鉄
心2の強磁性部2aの方へずれても、エアギャップ13
の働きによって半径方向への磁束の漏れが防止される。
したがって、非磁性部2cの位置が0.5mmずれた場
合、従来のエアギャップ13が無い場合には作動特性が
劣化するのに対して、この発明の構造では作動特性の劣
化は認められなかった。また、非磁性部2cの形成によ
り、内面が凸状になっても、切削加工などにより平坦化
することも不要である。
示す電磁アクチュエータの断面拡大図である。この電磁
アクチュエータの基本構造は、上記実施例1の図1に示
すものと同様である。固定鉄心2は、強磁性部2a,2
bが二つに分割され、その中間部に外径10mm,幅2
mmの非磁性部2cを有している。また、直径7.95
mmのシリンダ形状をした可動鉄心3には、固定鉄心2
の強磁性部2bとの当たり面側に3.5mmの幅で深さ
0.8mmの機械加工により除去したエアギャップ13
を有している。また、固定鉄心2には可動鉄心3との当
たり面に端面が接している外径8mm,内径6.3m
m,幅3.45mmのSUS304N2製非磁性部材1
4を有している。この非磁性部材14の固定鉄心2への
固定方法には、溶融改質前に圧入する方法,溶融改質と
同時に溶融改質部に溶接する方法,溶融改質後に圧入す
る方法がある。
14を可動鉄心3との摺動面としている。この燃料噴射
装置の摩耗特性を評価したところ、作動回数2×108
回で、0.003mmの摩耗が生じていた。一方、固定
鉄心2の強磁性部2a,2bを可動鉄心3の摺動面とし
た燃料噴射装置は、作動回数2×108 回で、0.01
6mmの摩耗が生じていた。以上の結果から、この発明
の電磁アクチュエータは可動鉄心3の摺動面の摩耗特性
に優れていることがわかる。
て、固定鉄心2への非磁性部2cの形成のための溶融改
質時に発生するスパッタは、非磁性部材14によりその
発生が抑えられるという特徴もある。また、可動鉄心3
の作動応答性を向上させるため、可動鉄心3と固定鉄心
2の強磁性部2bとの当たり面に形成する非磁性ギャッ
プ5を、可動鉄心3に形成したエアギャップ13の幅よ
りも非磁性部材14の幅を大きくして、可動鉄心3と非
磁性部材14の端面とを当てることにより形成可能であ
る。
の材料にSUS304N2を用いているが、他のオース
テナイト系ステンレス鋼やアルミニウム合金,銅合金を
用いることも可能である。また、非磁性部材14には圧
縮力が働くので、圧縮強度が高いアルミナやジルコニア
などのセラミックスも使用できる。
示しかつ固定鉄心への非磁性部形成のための熱エネルギ
投与方法及びオーステナイト生成元素を含むワイヤ供給
方法を示す図である。熱源には、CO2 レーザ10a,
10bを用い、フェライト系ステンレス鋼(SUS41
0L)製強磁性部材7を水平軸を中心に回転させながら
照射する。CO2 レーザ10a,10bは、下方に進む
向きにおいては、強磁性部材7の回転軸に対しては垂直
に、かつ水平面に対して上方に30度傾けた方向10a
から照射し、またそれと対向する方向(上方に進む向き
で、水平面に対して下方に30度傾けた方向)10bの
2箇所から照射する。また、水平面に対して上方に30
度傾けた方向からのCO2 レーザ10aの照射部には前
方からNiワイヤ8を供給する。
右の曲がりを抑制するためには、溶融改質時の部材の温
度分布を回転軸に対して対称にすることが必要である。
このような温度分布を実現するためには、対向する2方
向から熱エネルギを投与してバランスを取る方法が考え
られる。強磁性部材7を鉛直軸に対して水平回転させる
場合には、重力の影響により断面形状が非対称になり、
断面方向の添加元素の分布にも不均一が生じる。一方、
強磁性部材7を水平軸に対して回転させる場合、図5で
縦軸の左側に熱源がある場合には重力の影響により添加
元素は溶融池の下方まで急速に流れるため、断面方向に
は攪拌されずに添加元素の分布に不均一が生じる。ま
た、図5で縦軸の右側に熱源がある場合には、元素添加
部分に溶融池が形成されて攪拌されるため、断面方向の
添加元素の分布が均一になる。したがって、2方向照射
で添加元素の均一分布を得るには、強磁性部材7の回転
軸は水平軸とし、2箇所のCO2 レーザ10a,10b
の照射部にワイヤを半回転供給してレーザを一回転照射
するか,または図5で縦軸の右側に位置するCO2 レー
ザ10aの照射部一箇所のみにワイヤを供給しながらレ
ーザを一回転照射すればよい。ここで、どちらの元素添
加方法においても強磁性部材7を一回転させることか
ら、制御性の良さやワイヤ供給安定性のよさから一箇所
のみにワイヤを供給するほうが合理的である。また、図
5で縦軸の左側に位置するCO2 レーザ10bの照射部
にワイヤを供給する場合にも、ワイヤを一回転供給して
レーザを一回転半照射すれば同様の効果を得ることがで
きる。
径8mm,長さ50mmのSUS405を回転数30r
pmで回転させ、出力1.5kW,ab値1でCO2 レ
ーザ10a,10bを一回照射し、その照射部に1m/
minの速度で0.7mm径のNiワイヤを供給した場
合、回転軸が平均で0.07度曲がる。一方、同条件で
下方だけから強磁性部材7が一回転するあいだ照射した
場合には、回転軸が平均で0.69度曲がることから、
この発明の変形抑制効果は明らかである。
示す電磁アクチュエータの固定鉄心の製造工程図であ
る。まず、非磁性形成部が外径11mm,内径8mmの
パイプ形状の固定鉄心2の形状に加工したフェライト系
ステンレス鋼(SUS410L)製強磁性部材7と直径
0.7mmのNiワイヤ(純度99.9%以上)8とを
用意する。次に、切削加工により非磁性形成部に内径側
に深さ0.3mm,外径側に深さ0.2mmの幅2mm
の矩形の溝を形成する。この溝を形成することにより、
非磁性形成部の板厚は1mm、その周辺の板厚は1.5
mmのままである。そして、強磁性部材7を回転数30
rpmで回転させながら、CO2 レーザ10を出力1k
W,ab値1で非磁性形成部中央の外面に振幅1mm,
周波数100Hzでオシレートしながら一回照射し、そ
の照射部にNiワイヤ8を0.9m/minで供給す
る。レーザ照射部は、レーザ移動方向に対して幅2mm
の完全溶込み型の溶融改質部9を生じ、溶融改質部内に
Niが均一に分散する。レーザ照射後に溶融改質部9が
凝固し、その溶融部のみが非磁性となる。以上の処理に
より、固定鉄心2は強磁性部2a,2bの中間部に非磁
性部2cを有する構造となる。
らつきは、2mmに対して±3%であった。その溶融改
質部9の組成をEPMAにより測定した結果、Ni1
5.3〜15.8%,Cr10.0〜10.1%であ
り、磁気天秤法で透磁率を測定したところ1.01以下
であった。一方、溝を形成せずに非磁性形成部が同一寸
法(外径10.6mm,内径8.6mmのパイプ形状)
のSUS410L製強磁性部材7を溶融改質した場合の
溶融改質部9の幅のばらつきが2mmに対して±12%
であった。特に、改質の始端と終端の重なり部分におい
て、幅の差が大きくなっている。また、その他の部分で
も幅が±7%ばらついている。その溶融改質部9の組成
をEPMAにより測定した結果、Ni14.2〜16.
9%,Cr9.9〜10.3%であり、磁気天秤法で透
磁率を測定したところ1.0〜1.5でばらついてい
た。以上の結果から、この発明では、改質の始端と終端
の重なり部分での熱の蓄積や熱源の変動による入熱量の
変化を板厚差で設けた熱容量差で吸収するために、溶融
改質部9の幅が安定し、透磁率のばらつきを小さくする
効果があることがわかる。したがって、溶融改質部9の
幅のばらつきを抑制するためには非磁性形成部とその周
辺に熱容量差を設ければよいことから、溝の形成は両側
に限らず、外径側または内径側の片側だけでもよい。ま
た、段加工によっても非磁性形成部とその周辺に熱容量
差を設けることが可能である。
成した溝がガイドの役割となり、供給するNiワイヤ8
が安定に溶融添加されるという特徴もある。さらに、溶
融金属の表面張力のバランスにより、裏波が凹になると
いう特徴もある。
な温度分布が生じて、冷却後に熱変形が生じるので、同
軸度が大きくなる場合がある。所望の同軸度を満足して
いないものには、局所加熱により同軸度を修正すること
を行う。すなわち、局所加熱後に同軸度を測定し、所望
の値に達していなければもう一度局所加熱を行い同軸度
を測定する。これを同軸度が所望の値以下になるまで繰
り返す。同軸度の測定については、局所加熱装置上で行
うこともあり、その測定結果をもとに加熱条件を演算し
て同軸度修正のための局所加熱を行うこともある。
一実施例を示す電磁アクチュエータの固定鉄心の製造工
程図および製造途中の強磁性部材の模式図である。強磁
性部材7として非磁性形成部分が外径10mm,内径8
mmに加工されたフェライト系の強磁性ステンレス鋼S
US410L、添加元素8として厚さ0.3mm,幅
1.3mmのリボン状、または直径0.7mmのワイヤ
状のNi線材(いずれも純度99.9%以上)を用い
る。なお、発明の効果とは直接関係ないが、リボンの方
が必要添加量に応じてリボン幅をスリッタなどで切断す
るときに自由に選択できるので、使いやすいというメリ
ットがある。
部形成部分の表面に前記線材8を巻き付け、始端と終端
が密着するように切断し、スポット溶接などで強磁性部
材7に固定する。ここでは、線材8の先端から約2mm
のところを強磁性部材7にCO2 レーザ10aでスポッ
ト溶接(ピーク出力0.7kW,パルス幅1ms,パル
スエネルギ0.6J)15し、強磁性部材7に巻き付け
ながら約4mmピッチで順次スポット溶接15により固
定するようにした。さらに、始終端部の線材を重ねた状
態にしたあと、カッタで切断16し始端と終端を密着さ
せた状態でスポット溶接15により固定した。つぎに、
上記のように固定鉄心素材を回転させつつ、CO2 レー
ザ10bを照射し、素材と線材とを溶融合金化すること
により、全周にわたり均一な所望の組成および組織が得
られるようになった。ちなみに、CO2 レーザ10a,
10bは連続出力1.5kW,強磁性部材7の回転速度
30rpm(周速0.9m/min)で、溶融改質幅2
mmを安定に確保するため、集光したビーム(ab値
1.0)を移動方向と直交方向に振幅1mm,周波数1
00Hzでオシレートしながら照射した。なお、スポッ
ト溶接15には、CO2 レーザ10a,10bを用いた
が、YAGレーザや抵抗スポット溶接や抵抗シーム溶接
などが適用可能である。
周方向、とくに局部改質の始点と終点との重なり部分
(始終端)で、添加元素量に過不足が発生しないので、
周方向全周にわたって均一な透磁率の非磁性部2cが得
られるようになった。その結果、径方向の吸引力がバラ
ンスして互いにキャンセルして、不要な力が作用しない
ので、良好な作動特性を安定に得られるという効果があ
る。
材の溶融改質部形成部分の表面に前記線材8を巻き付け
たあと、始端と終端が密着するように切断するので、線
材8に無駄が生じるとともに工程が煩雑になり、かつ切
断方法があまり自動化に適さないなどの問題点が残って
いる。
る第5の発明の他の実施例を示す固定鉄心の模式図であ
る。強磁性部材7および添加元素としては、実施例6と
同じであり、この実施例ではリボンを使用する。強磁性
部材7の溶融改質部形成部分の表面に、例えば先端が4
5度に切断されたリボンを巻き付けてゆき、固定鉄心素
材の溶融改質部の外周の長さで終端を45度で切断(反
対側が次に巻き付けるリボンの先端になる)し、終端と
始端を合わせて固定鉄心2に固定する。リボンの固定
は、実施例6とほぼ同様な方法でできる。すなわち、線
材8の先端から約3mmのところを強磁性部材7にCO
2 レーザでスポット溶接(ピーク出力0.7kW,パル
ス幅1ms,パルスエネルギ0.6J)15し、強磁性
部材7に巻き付けながら約4mmピッチで順次スポット
溶接15により固定するようにした。さらに、始終端部
の線材8を合わせたあとスポット溶接15により固定し
た。つぎに、上記強磁性部材7を回転させつつ、CO2
レーザを照射し、素材と線材とを溶融合金化することに
より、全周にわたり均一な所望の組成および組織が得ら
れるようになった。この方法および加工条件は、実施例
6とまったく同じである。なお、ワイヤ先端角度にはと
くに規定はないが、実用的には30〜45度程度が一般
的である。また、リボンとして予め所定の長さ,所定の
角度に切断したものを使用してもよい。
約30mmの長さに対して、±0.1mmのばらつきが
見込まれる。すなわち、リボンを巻き付けた状態で0.
1mmラップした状態からギャップが0.1mmあく状
態までばらつくことになる。この始終端のばらつきに起
因する添加元素量の周方向の過不足は、リボン幅が1.
3mmで45度に切断してあるので、最大で±8%程度
であり、磁気特性にはまったく影響しない範囲である。
に形成された非磁性部2cの円周方向、とくに局部改質
の始点と終点との重なり部分(始終端)で、添加元素量
に過不足が発生しないので、周方向全周にわたって均一
な透磁率の非磁性部2cが得られるようになると共に、
径方向の吸引力がバランスして互いにキャンセルして、
不要な力が作用しないので、良好な作動特性を安定に得
られるという効果がある。さらに、線材8の歩留りの向
上(ほぼ100%)、および量産安定性を確保できると
いう効果がある。
例6の残りの課題を解決しようとするもので、図10は
この実施例8の強磁性部材の模式図である。固定鉄心素
材および添加元素としては、実施例6と同じであり、こ
の実施例ではワイヤを使用する。
8mmのパイプ形状の固定鉄心2の形状に加工した強磁
性ステンレス鋼(SUS410L)製強磁性部材7と直
径0.3mmのNiワイヤ(純度99.9%以上)8と
を用意する。次に、図10に示すように、強磁性部材7
にNiワイヤ8を抵抗シーム溶接により固定しながら、
0.15mmのオーバーラップが生じるように5重に巻
く。抵抗シーム溶接装置の始端部及び終端部の位置決め
精度はそれぞれ±0.05mmであり、0.05〜0.
25mmのオーバーラップが生じる。そして、強磁性部
材7を回転数30rpmで回転させながら、CO2 レー
ザを非磁性形成部中央の外面に一回照射して、その照射
部にレーザ移動方向に対して幅2mmの完全溶込み型の
溶融改質部を形成した。その溶融改質部の組成は、オー
バーラップ部以外ではNi14.6%,Cr10.2
%、オーバーラップ部ではNi16.7%,Cr10.
0%となった。そして、透磁率を磁気天秤法で測定した
結果、オーバーラップ部以外では1.02〜1.05、
オーバーラップ部では1.01以下であり、溶融改質部
は全周にわたりほぼ均一な透磁率となっていることが明
らかになった。ちなみに、強磁性部材7の回転速度は3
0rpm(周速0.9m/min)であり、CO2 レー
ザは出力1.5kW,ab値1で非磁性形成部中央の外
面に振幅1mm,周波数100Hzでオシレートしなが
ら一周照射した。
に、固定鉄心2に形成された非磁性部2cの円周方向、
とくに局部改質の始点と終点との重なり部分(始終端)
で、添加元素量に過不足が発生しないので、周方向全周
にわたって均一な透磁率の非磁性部2cが得られるよう
になると共に、径方向の吸引力がバランスして互いにキ
ャンセルして、不要な力が作用しないので、良好な作動
特性を安定に得られるという効果がある。また、線材の
歩留りおよび量産安定性を確保できるという効果がある
ことはいうまでもない。
例を示す電磁アクチュエータの固定鉄心の製造工程図で
ある。まず、固定鉄心2の形状に加工したフェライト系
ステンレス鋼(SUS410L)製強磁性部材7a,7
bと外径10mm,内径8mmの厚さ0.4mmのNi
リング(純度99.9%以上)8を用意する。次に、強
磁性部材7a,7bの間にNiリング8を挟んで突き合
わせ、それらを回転速度30rpm(周速0.9m/m
in)で回転させながら、CO2 レーザ10を出力1.
5kW,ab値1で非磁性形成部中央の外面に振幅1m
m,周波数100Hzでオシレートしながら一回照射す
る。レーザ照射部は、レーザ移動方向に対して幅1mm
の完全溶込み型の溶融改質部9を生じ、溶融部内にNi
が均一に分散し、非磁性となる。以上の処理により、固
定鉄心2は強磁性部2a,2bの中間部に非磁性部2c
を有する構造となる。
に形成された非磁性部2cの円周方向、とくに局部改質
の始点と終点との重なり部分(始終端)で、添加元素量
に過不足が発生しないので、周方向全周にわたって均一
な透磁率の非磁性部2cが得られるようになると共に、
径方向の吸引力がバランスして互いにキャンセルして、
不要な力が作用しないので、良好な作動特性を安定に得
られるという効果がある。
を用いているが、Cu,Mn,Co,Fe−Co合金,
Ni−Co合金等も利用可能であり、この実施例のもの
に限定されるものではない。
施例を示す電磁アクチュエータの固定鉄心の製造工程図
である。まず、固定鉄心2の形状に加工したフェライト
系ステンレス鋼(SUS410L)製強磁性部材7a,
7bとオーステナイト系ステンレス鋼(SUS304)
製の外径10mm,内径8mmの厚さ2mmの非磁性部
材17を用意する。次に、強磁性部材7a,7bの間に
非磁性部材17を挟んで突き合わせ、これらを回転速度
30rpm(周速0.9m/min)で回転させなが
ら、CO2 レーザ10を出力1kW,ab値1.02で
非磁性形成部中央の外面に振幅2mm,周波数100H
zでオシレートしながら一回照射する。レーザ照射部
は、レーザ移動方向に対して幅3mm,最大深さ0.5
mmの溶融部18を生じ、この溶融部18内にフェライ
ト系ステンレス鋼とオーステナイト系ステンレス鋼が均
一に希釈して、非磁性となる。以上の処理により、固定
鉄心2は強磁性部2a,2bの中間部に非磁性部2cを
有する構造となる。
定鉄心2に形成された非磁性部2cの円周方向、とくに
局部改質の始点と終点との重なり部分(始終端)で、添
加元素量に過不足が発生しないので、周方向全周にわた
って均一な透磁率の非磁性部2cが得られるようになる
と共に、径方向の吸引力がバランスして互いにキャンセ
ルして、不要な力が作用しないので、良好な作動特性を
安定に得られるという効果がある。
7にSUS304を用いているが、これに限定されるも
のではない。
例に用いるNiワイヤを示す断面図である。このワイヤ
は、Niワイヤ19の表面にCrめっき20を形成した
ものである。以下に、今回行っためっき手法を示す。ま
ず、表面洗浄を行った直径0.7mmのNiワイヤ19
(純度99.9%以上)を陰極にして、陽極とともにめ
っき浴に浸した。めっき浴は、無水クロム酸(濃度25
0g/l)と硫酸(濃度2.5g/l)の組成のものを
用い、浴の温度は45℃に保った。そして、電極間に電
流密度65A/dm2 で2時間通電した。以上の処理に
より、直径0.7mmのNiワイヤ19の表面に厚さ
0.15mmのCr膜(純度99%以上)20が形成さ
れ、全体として直径1mmのワイヤとなった。
の固定鉄心2を製造した。素材には、割れの原因となる
Alを0.3%含んだ強磁性フェライト系ステンレス鋼
を用いた。素材のステンレス鋼は、非磁性形成部が外径
10mm,内径8mmのパイプ形状の固定鉄心2の形状
に加工し、回転させながらCO2 レーザを外面に照射し
てワイヤを溶融添加し、中間部に幅2mmの完全溶込み
型の溶融改質部を形成した。ここで、ワイヤの送り速度
は0.6m/min,ステンレス鋼の回転速度は30r
pm(周速0.9m/min)としたので、溶融改質部
の組成はNi9.4%,Cr17.8%となった。この
組成は、Ni当量11.8%,Cr当量19.3%とな
り、図14に示すシェフラーの状態図で、オーステナイ
ト相とフェライト相とに位置する。この溶融改質部をフ
ェライトインジケータで調べたところ、約5%のフェラ
イト組織を有するオーステナイト組織であり、透磁率が
1.5で非磁性であることがわかった。また、以上の方
法で製造した固定鉄心2は、その断面を切断して観察し
たが割れは認められず、また圧力5kg/cm2 ,1分
間のHeリークテストに合格した。ちなみに、CO2 レ
ーザは連続出力1.5kW,ab値1で、移動方向と直
交方向に振幅1mm,周波数100Hzでオシレートし
ながら照射した。
ータの固定鉄心の製造工程図である。強磁性部材7とし
て、割れの原因となるAlを0.3%含んだフェライト
系ステンレス鋼を用いた。強磁性部材7は、非磁性形成
部が外径10mm,内径8mmのパイプ形状の固定鉄心
2の形状に加工し、全面に厚さ0.15mmのCrめっ
き20(純度99%以上)を施した。Crめっき20
は、前記実施例11と同様の方法で行った。次に、ステ
ンレス鋼を回転させながらCO2 レーザ10を外面に照
射して直径0.7mmのNiワイヤ(純度99.9%以
上)8を溶融添加し、中間部に幅2mmの完全溶込み型
の溶融改質部9を形成した。ここで、ワイヤの送り速度
は0.6m/min,ステンレス鋼の回転速度は30r
pm(周速0.9m/min)としたので、非磁性改質
部の組成はNi9.1%,Cr18.2%となった。こ
の組成は、Ni当量11.5%,Cr当量20.3%と
なり、図14に示すシェフラーの状態図でオーステナイ
ト相とフェライト相とに位置する。この溶融改質部9を
調べたところ、約10%のフェライト組織を有するオー
ステナイト組織であり、透磁率が2.5で非磁性である
ことがわかった。また、以上の方法で製造した固定鉄心
2は、その断面を切断して観察したが割れは認められ
ず、また圧力5kg/cm2 ,1分間のHeリークテス
トに合格した。ちなみに、CO2 レーザ10は連続出力
1.5kW,ab値1で、移動方向と直交方向に振幅1
mm,周波数100Hzでオシレートしながら照射し
た。
例を示す電磁アクチュエータの固定鉄心の製造工程図で
ある。一方強磁性部材7aには鉄−42%ニッケル合金
を、また他方の強磁性部材7bにはフェライト系ステン
レス鋼(SUS410L)をそれぞれ素材として用い
る。強磁性部材7aには内径側に、強磁性部材7bには
外径側にそれぞれに図16に示すようにはめ合い構造を
形成する。はめ合い部の大きさは、所望の溶接金属部2
1の幅よりも0.5mm以上大きいことが望ましい。ま
た、はめ合い部の肉厚は、各強磁性部材7a,7bにお
いて一様であり、溶接金属部21に要求される組成に応
じて組み合わせを変える。そして、これらの強磁性部材
7a,7bを突き合わせて回転させながら外面にCO2
レーザ10を照射することにより溶接する。溶接金属部
21は、鉄−クロム−ニッケル合金となり、非磁性のオ
ーステナイト相となる。
外径10mm,内径9mm,また強磁性部材7bは外径
9mm,内径8mmで、大きさ2.5mmのはめ合い部
を形成した。そして、これらの部材を突き合わせて回転
させながらはめ合い部の外面中央にCO2 レーザ10を
照射して溶接した。溶接金属部21は、幅2mmの完全
溶込み型となり、その組成はNi21%,Cr6.0%
となった。この溶接金属部21のX線回折パターンを測
定した結果、オーステナイト相からの回折ピークしか認
められず、溶接金属部21は完全オーステナイト組織で
あることがわかった。また、磁気天秤法により透磁率を
測定したところ、1.01以下の非磁性であった。さら
に、CO2 レーザ10の照射位置を強磁性部材7a,7
bの回転軸方向に±0.2mm動かしても、溶融金属部
21の組成は変化せず、透磁率が1.01以下であっ
た。
い位置に影響されずに安定した透磁率が得られるという
効果があることがわかる。
び固定鉄心2の形状は適宜決定してよい。また、非磁性
部2cの範囲も同様に適宜決定してもよい。
いているが、YAGレーザや電子ビーム等の励起ビー
ム,アークやプラズマも利用可能であり、上記各実施例
に限定されるものではない。また、励起ビームの照射条
件及び被加工物の回転数は、要求される固定鉄心2の非
磁性部2cの大きさで決まる溶融部の大きさ及び添加元
素の量に応じて決定されるものであり、以上の実施例の
ものに限定されるものではない。
法にワイヤ供給方法を用いているが、めっき法,粉末供
給法も利用可能であり、以上の実施例のものに限定され
るものではない。同様に上記実施例において、Crの添
加方法にめっき法を用いているが、PVD法,CVD法
も利用可能であり、以上の実施例のものに限定されるも
のではない。
a,7bは改質部分で分割されたものを用いてもよく、
前記固定鉄心2の形状が複雑な場合には分割した方が部
品コストが安くなることもある。したがって、前記固定
鉄心素材は、コストなどを考慮して一体ものまたは2分
割ものを自由に選択できる。
定鉄心および可動鉄心が対向する円周部分の一部をエア
ギャップもしくは非磁性部材で構成したので、可動鉄心
の円周面からの漏れ磁束の発生が抑制され、固定鉄心の
非磁性部の形成位置にずれが生じても可動鉄心の作動応
答性に影響しないという効果が得られる。
可動鉄心の摺動面とすることにより、摺動面に対して法
線方向の磁力が生じないために摺動面での摩耗が小さい
ので、製品の信頼性が向上するという効果が得られる。
所を溶融加熱し、かつ一つの加熱箇所のみにオーステナ
イト生成元素を供給するので、固定鉄心に非磁性の溶融
改質部を形成する時に生じる変形を低減でき、その後の
モールド工程において固定鉄心を支障なく型に収めるこ
とができるという効果が得られる。
の相当幅の板厚を強磁性部の板厚の10〜70%に加工
して強磁性部材を溶融改質した固定鉄心を有するので、
非磁性改質部の幅が安定するために狙いの透磁率を安定
に得ることができ、可動鉄心の作動応答性の製品間格差
を小さくできるという効果が得られる。
成された非磁性部の円周方向、とくに局部改質の始点と
終点との重なり部分(始終端)で、添加元素量に過不足
が発生せずに周方向の透磁率分布を均一にできるので、
作動特性の製品間格差を小さくできるという効果が得ら
れる。
生じる割れを防止することができるので、切削性のよい
強磁性鋼を固定鉄心の素材として用いることができると
いう効果が得られる。
わせ部にはめ合い構造を形成して、溶接熱源の狙い位置
に影響されずに所望の希釈率を得ることにより、非磁性
部の透磁率のばらつきが小さくなるので、可動鉄心の作
動応答性の製品間格差を小さくできるという効果が得ら
れる。
を搭載した燃料噴射装置の断面図である。
の断面拡大図である。
の断面拡大図である。
磁性部形成のための熱源供給方向およびオーステナイト
生成元素を含むワイヤ供給方向を示す図である。
の固定鉄心の製造工程図である。
の固定鉄心の製造工程図である。
ある。
チュエータの固定鉄心の模式図である。
図である。
タの固定鉄心の製造工程図である。
ータの固定鉄心の製造工程図である。
示す断面図である。
係を表したシェフラーの状態図である。
ータの固定鉄心の製造工程図である。
ータの固定鉄心の製造工程図である。
御式燃料噴射装置を示す断面図である。
電磁アクチュエータの固定鉄心の製造工程図である。
装置用電磁アクチュエータの固定鉄心の製造工程図であ
る。
Claims (13)
- 【請求項1】 磁気ヨークとして機能するケーシング
と、このケーシングの内側に配置された電磁コイルと、
非磁性部を挟んで両側に強磁性部を有する固定鉄心と、
この固定鉄心に吸引駆動される可動鉄心とで構成した電
磁アクチュエータにおいて、 強磁性体で構成される前記可動鉄心の一部,すなわち前
記固定鉄心の非磁性部と対向する部分を非磁性としたこ
とを特徴とする電磁アクチュエータ。 - 【請求項2】 可動鉄心の一部に設けられた非磁性部
は、切削加工などによる空洞,すなわちエアギャップと
なっていることを特徴とする請求項1の電磁アクチュエ
ータ。 - 【請求項3】 請求項2の可動鉄心を有する電磁アクチ
ュエータにおいて、この可動鉄心に設けた空間部分に固
定鉄心に固定される非磁性部材を有することを特徴とす
る電磁アクチュエータ。 - 【請求項4】 磁気ヨークとして機能するケーシング
と、このケーシングの内側に配置された電磁コイルと、
非磁性部を挟んで両側に強磁性部を有する固定鉄心と、
この固定鉄心に吸引駆動される可動鉄心とで構成される
電磁アクチュエータにおいて、 前記可動鉄心と対向する部分に局部的な空間を設けた固
定鉄心を有することを特徴とする電磁アクチュエータ。 - 【請求項5】 磁気ヨークとして機能するケーシング
と、このケーシングの内側に配置された電磁コイルと、
非磁性部を挟んで両側に強磁性部を有する固定鉄心と、
この固定鉄心に吸引駆動される可動鉄心とで構成される
電磁アクチュエータの、前記固定鉄心の非磁性部を溶融
改質により形成する電磁アクチュエータの製造方法にお
いて、 対向する2箇所を加熱溶融しかつ一つの加熱箇所のみに
オーステナイト生成元素を供給することを特徴とする電
磁アクチュエータの製造方法。 - 【請求項6】 磁気ヨークとして機能するケーシング
と、このケーシングの内側に配置された電磁コイルと、
非磁性部を挟んで両側に強磁性部を有する固定鉄心と、
この固定鉄心に吸引駆動される可動鉄心とで構成される
電磁アクチュエータの、前記固定鉄心の非磁性部を溶融
改質により形成する電磁アクチュエータの製造方法にお
いて、 前記非磁性形成部の相当幅の板厚をこの非磁性形成部と
接する前記強磁性部の板厚の10〜70%に加工して強
磁性部材を溶融改質することを特徴とする電磁アクチュ
エータの製造方法。 - 【請求項7】 磁気ヨークとして機能するケーシング
と、このケーシングの内側に配置された電磁コイルと、
非磁性部を挟んで両側に強磁性部を有する固定鉄心と、
この固定鉄心に吸引駆動される可動鉄心とで構成される
電磁アクチュエータの、前記固定鉄心の非磁性部を溶融
改質により形成する電磁アクチュエータの製造方法であ
って、 リボン状またはワイヤ状のオーステナイト生成元素また
はそれを含む合金を強磁性部材の固定鉄心に巻き付け、
スポット溶接などにより前記の巻き付けた合金を強磁性
部材に固定した後、溶融合金化して前記非磁性部を形成
する電磁アクチュエータの製造方法において、 前記リボン状またはワイヤ状のオーステナイト生成元素
またはその合金の両端をテーパ状にしたことを特徴とす
る電磁アクチュエータの製造方法。 - 【請求項8】 磁気ヨークとして機能するケーシング
と、このケーシングの内側に配置された電磁コイルと、
非磁性部を挟んで両側に強磁性部を有する固定鉄心と、
この固定鉄心に吸引駆動される可動鉄心とで構成される
電磁アクチュエータの、前記固定鉄心の非磁性部を溶融
改質により形成する電磁アクチュエータの製造方法であ
って、 リボン状またはワイヤ状のオーステナイト生成元素また
はそれを含む合金を強磁性部材の固定鉄心に巻き付け、
スポット溶接などにより前記の巻き付けた合金を強磁性
部材に固定した後、溶融合金化して前記非磁性部を形成
する電磁アクチュエータの製造方法において、 オーステナイト生成元素またはそれを含む合金の総添加
量に対応する体積を改質長さで割った値の1/2以下の
断面積である前記ワイヤまたは帯で、その巻き数を2回
以上にすることを特徴とする電磁アクチュエータの製造
方法。 - 【請求項9】 磁気ヨークとして機能するケーシング
と、このケーシングの内側に配置された電磁コイルと、
非磁性部を挟んで両側に強磁性部を有する固定鉄心と、
この固定鉄心に吸引駆動される可動鉄心とで構成される
電磁アクチュエータの製造方法において、 前記強磁性部を構成する強磁性部材の中間部にこの強磁
性部材とは異なる部材を挟み、この中間部材の全てまた
は一部分を溶融し、かつ前記中間部材を挟む両側の強磁
性部材を部分的に溶融し、これらの溶融部が連続的であ
ることを特徴とする電磁アクチュエータの製造方法。 - 【請求項10】 磁気ヨークとして機能するケーシング
と、このケーシングの内側に配置された電磁コイルと、
非磁性部を挟んで両側に強磁性部を有する固定鉄心と、
この固定鉄心に吸引駆動される可動鉄心とで構成される
電磁アクチュエータの、前記非磁性部が強磁性部の一部
を溶融改質することにより形成される電磁アクチュエー
タの製造方法において、 オーステナイト生成元素とクロムを溶融添加し、非磁性
の溶融改質部を体積率で10%以下のフェライト相を含
むオーステナイト相にすることを特徴とする電磁アクチ
ュエータの製造方法。 - 【請求項11】 オーステナイト生成元素またはそれを
含む合金のワイヤの表面にクロムまたはその合金の膜を
形成したフィラーを溶融添加することにより、非磁性部
が強磁性部の一部を溶融改質することにより体積率で1
0%以下のフェライト相を含むオーステナイト相を形成
することを特徴とする請求項10の電磁アクチュエータ
の製造方法。 - 【請求項12】 クロムまたはそれを含む合金の膜を形
成した強磁性部材に局所的にオーステナイト生成元素を
溶融添加することにより、非磁性部が体積率で10%以
下のフェライト相を含むオーステナイト相になることを
特徴とする請求項10の電磁アクチュエータの製造方
法。 - 【請求項13】 磁気ヨークとして機能するケーシング
と、このケーシングの内側に配置された電磁コイルと、
非磁性部を挟んで両側に強磁性部を有する固定鉄心と、
この固定鉄心に吸引駆動される可動鉄心とで構成される
電磁アクチュエータの、鉄−クロム系合金,またはフェ
ライト系ステンレス鋼,またはマルテンサイト系ステン
レス鋼よりなる強磁性部材と、鉄−ニッケル系合金より
なる強磁性部材とを両者の希釈率を調整しながら突き合
わせ溶接し、非磁性のオーステナイト相となる組成の溶
接金属部を得るものである電磁アクチュエータの製造方
法において、 溶接金属形成部の相当幅以上のはめ合い部を有する強磁
性部材を溶接することを特徴とする電磁アクチュエータ
の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5335375A JP3024471B2 (ja) | 1993-12-28 | 1993-12-28 | 電磁アクチュエータおよびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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