JP3017018U - 框 材 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 滑り止めの機能を備え、滑り止め機能を付加
するための取付作業が不要であり、上面全体に滑り止め
機能を持っており、しかも框本体と滑り止め機能部分と
の見た目の一体感があるような框材を提供する。 【構成】 例えば段板化粧材(20）において、段差の角
部の水平部分を覆う水平部(20B)と垂直部分（段鼻）を
覆う垂直部(22C)とを有して垂直断面が略Ｌ字形をなす
框本体(20A)と、その框本体(20A)の上面側に框本体(20
A)と一体となる滑り止め構造（例えば滑り止め突条21）
とを備え、その滑り止め構造(21)は、框材(20A)の長手
方向に平行な複数の突条として、框材(20A)の上面全体
に設ける。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は框材、更に詳しくは、上がり框、階段の段板などの「框材」に滑り 止め機能を付加したものに関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来より、上がり框、階段の段板などの框材に滑り止めの機能を付加したもの は提供されてきた。 滑り止めの機能を付加する手段は、第一に、框材そのものに凹状の溝を設ける ことによって達成されていた。第二に、框材とは別部材として用意された滑り止 め部材、例えばゴムなどの弾性変形しやすい軟質部材でできたシートを框材の表 面に貼付したりすることによって達成されることもあった。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

しかし、上記した技術では、以下のような問題点があった。 まず、框材そのものに凹状の溝を設けることによって付加された滑り止めは、 その溝内に足の裏や履き物の底が食い込むことによって機能するのであるから、 場合によっては滑り止めとしての機能をあまり発揮しないことがあった。例えば 、底が硬めの材質のスリッパを履いていた場合、凹状の溝にスリッパの底が弾性 変形して食い込みにくく、そのため滑り止めの効果は薄いという欠点があった。

【０００４】 一方、框材とは別部材として用意された滑り止め部材は、その滑り止め部材に 凹状の溝を設ける場合の他、突条や突起などの突部を設ける場合もあったが、い ずれの場合も滑り止め部材の材質を弾性変形しやすいものとしていることから、 底が硬めの材質のスリッパを履いていた場合であっても滑り止め部材自体が変形 してスリッパの底に食い込むので、滑り止めとして機能することができる。しか し、滑り止め部材が框材とは別部材であるのでその取付作業が必要であること、 上面全体に滑り止め機能を持ったものがないこと、および見た目に框本体との一 体感がないこと、などの欠点があった。

【０００５】 本考案が解決すべき課題は、滑り止めの機能を損なうことなく、滑り止め機能 を付加するための取付作業が不要であり、上面全体に滑り止め機能を持っており 、しかも框本体と滑り止め機能部分との見た目の一体感があるような框材を提供 することにある。 ここで、請求項１ないし請求項３記載の考案の目的は、滑り止めの機能を備え 、滑り止め機能を付加するための取付作業が不要であり、上面全体に滑り止め機 能を持っており、しかも框本体と滑り止め機能部分との見た目の一体感があるよ うな框材を提供することである。

【０００６】 また、請求項４記載の考案の目的は、さらに滑り止めとしての機能が高められ た框材を提供することである。 また、請求項５記載の考案の目的は、さらに製造が簡単な框材を提供すること である。 なお、上記の課題を解決する技術を、予め日本特許情報機構（ＪＡＰＩＯ）の 先行技術調査（パトリス）の利用により、以下の検索式で昭和５５年以後の特許 出願、実用新案登録出願を調査し、その結果、特許出願２０件、実用新案登録出 願７６件を抽出した。

【０００７】 検索式 ： Ｅ０４Ｆ１９／００Ｂ しかし、本願考案と同一の技術思想の創作は発見できなかった。

【０００８】

【課題を解決するための手段】

本考案は、上記した目的を達成するためのものである。 請求項１記載の框材は、建物内の床面（例えば二階の床面、階段の段板面）を 形成する床仕上げ材（例えば二階のフローリング材、階段を形成する段板基礎材 10）とその床仕上げ材の下方に形成される段差部分（例えば階段に形成される段 差）との間に固定される框材（例えば階段の段板、段板化粧材20）であって、 その段差の水平部分をなす水平部(20B)と垂直部分をなす垂直部(22C)とを有する 框本体(20A)と、その框本体(20A)の上面側に框本体(20A)と一体となる滑り止め 構造（例えば滑り止め突条21）とを備え、その滑り止め構造(21)は、框材(20A) の長手方向に平行な複数の突条として、框材(20A)の上面全体に設けたことを特 徴とする。

【０００９】 ここで、「框材」とは、請求項２に示す階段の段板、請求項３に示す上がり框 だけでなく、床の間の框部材、スキップフロアの段板、階段の踊り場の床板など を含む概念である。 また、「床仕上げ材」とは、フローリング床材、タイル床材、カーペットなど 、足または靴に触れる床材を形成する板状体すべてを含む概念である。

【００１０】 また、「框本体と一体となる滑り止め構造」とは、木材などの框本体の材料の 削り出して滑り止め構造を形成するもののほか、樹脂、例えば硬質樹脂の一体成 形によるものなどを含む概念である。 請求項２記載の框材は、請求項１にて特定した框材が階段の段板であるという ものである。

【００１１】 請求項３記載の框材は、請求項１にて特定した框材が上がり框であるというも のである。 請求項４記載の框材は、請求項１記載の框材を技術的に限定したものであり、 滑り止め構造(21)は、軟質の熱可塑性樹脂にて形成したことを特徴とする。 すなわち、軟質の熱可塑性樹脂を、硬質材料で形成している框本体の上面に一 体化することによって框材を形成するものである。例えば框本体を木材で形成し た場合には、軟質の熱可塑性樹脂にて形成する滑り止め構造と一体化しやすいよ うに表面処理を行う必要がある。

【００１２】 請求項５記載の框材は、請求項４記載の框材を技術的に限定したものであり、 框本体(20A)は、硬質の熱可塑性樹脂にて形成したことを特徴とする。

【００１３】

【作 用】

請求項１記載の框材の作用について説明する。 請求項１記載の框材は、框本体(20A)の上面側に框本体(20A)と一体となる滑り 止め構造(21)を設けているので、滑り止め機能を付加するための取付作業が不要 であり、しかも框本体と滑り止め機能部分との見た目の一体感がある。また、そ の滑り止め構造(21)は、框材(20A)の上面全体に設けているので、滑り止めの機 能が高い。

【００１４】 請求項２記載の框材は、階段の段板として使用され、請求項１記載の框材のよ うな作用をなす。 請求項２記載の框材は、上がり框として使用され、請求項１記載の框材のよう な作用をなす。 また、請求項４記載の框材は、請求項１記載の框材と異なる作用として、以下 の作用をなす。すなわち、滑り止め構造(21)を軟質の熱可塑性樹脂にて形成して いるので、踏みつけたときに変形し、滑り止めとしての機能が高められている。

【００１５】 また、請求項５記載の框材は、請求項４記載の框材と異なる作用として、以下 の作用をなす。すなわち、軟質の熱可塑性樹脂にて形成する滑り止め構造(21)と 、硬質の熱可塑性樹脂にて形成する框本体(20A)とを、熱可塑性樹脂の成形技術 によって一体成形したので、製造が簡単となる。

【００１６】

【実施例】

以下、本考案を実施例及び図面に基づいて、更に詳しく説明する。ここで使用 する図面は、図１ないし図７である。図１は、階段の一部を示す垂直断面図であ る。図２は、階段の段板の垂直断面図である。図３は、階段の段板部分を示す組 立垂直断面図である。図４は、階段の段板の化粧部材を示す垂直断面図である。 図５および図６は、階段の一部を示す垂直断面図である。図７は、階段の段板の 垂直断面図である。

【００１７】 まず、第一の実施例について、図１を参照させながら説明する。 第一の実施例に示す框材は、階段における二つの蹴込み板３０，３０の間に位 置する段板基礎材１０の角部に固定される段板化粧材２０である。この段板化粧 材２０は、段板基礎材１０の水平部分を覆う水平部２０Ｂおよび段鼻部分を覆う 垂直部２２Ｃによって垂直断面が略Ｌ字形をなす框本体２０Ａと、その框本体２ ０Ａの上面側に框本体２０Ａと一体である滑り止め突条２１とを備えて形成され ている。そして、その滑り止め突条２１は、框材２０Ａの長手方向に平行な複数 の突条として、框材２０Ａの上面全体に、同じピッチで設けられている。

【００１８】 この段板化粧材２０は木材を削り出すことによって、框本体２０Ａと滑り止め 突条２１とを一体に形成している。 上記のような段板化粧材２０によれば、框本体２０Ａの上面側に框本体２０Ａ と一体となる滑り止め突条２１を設けているので、滑り止め機能を付加するため の取付作業が不要であり、しかも框本体と滑り止め機能部分との見た目の一体感 がある。また、その滑り止め突条２１は、框材２０Ａの上面全体に設けているの で、滑り止めの機能が高い。

【００１９】 次に、第二の実施例について、図２を参照させながら第一の実施例との比較に おいて説明する。 第二の実施例に示す框材は、階段における二つの蹴込み板３０，３０の間に位 置する段板２０である。すなわち、第一の実施例で示した段板基礎材１０と段板 化粧材２０とを一体化したものである。したがって、第一の実施例で示した段板 基礎材１０の段鼻部分を覆う垂直部２２Ｃの代わりに段鼻部２５を備え、第一の 実施例で示した段板基礎材１０に備えられている蹴込み呑み込み用欠設部２４を 備えた框本体２０Ａとなっている。また、框材２０Ａの長手方向に平行な複数の 突条として框材２０Ａの上面全体に、同じピッチで、滑り止め突条２１が設けら れている。

【００２０】 この段板２０もまた木材を削り出すことによって、框本体２０Ａと滑り止め突 条２１とを一体に形成している。したがって、滑り止め機能を付加するための取 付作業が不要であり、しかも框本体と滑り止め機能部分との見た目の一体感があ る。さらに、その滑り止め突条２１は、框材２０Ａの上面全体に設けているので 、滑り止めの機能が高い。

【００２１】 次に、第三の実施例について、図３を参照させながら第一の実施例との比較に おいて説明する。 第三の実施例に示す框材は、第一の実施例の段板化粧材２０と形状及び材質を 異ならせた段板化粧材２０である。形状については、框本体２０Ａの垂直部２０ Ｃの下端から、段板基礎材１０の段鼻部分を覆い隠すような段鼻横面隠し部２３ を連続させて設けた点が異なる。材質については、熱可塑性樹脂を押出成形して 框本体２０Ａと滑り止め突条２１とを一体に形成したものである点が異なる。こ のように形成したものは、木材を削り出して形成したものよりも製造が簡易迅速 である。

【００２２】 材質についてさらに詳しく説明する。 この実施例では、段板化粧材２０は、長手方向に直角な断面形状が同一であり 、木目模様を有する熱可塑性樹脂の押し出し成型（射出成形）にて形成する。具 体的には、セルロース系材料の微粉末に無機材料の微粉末を打ち込んで作成した 粉体を混合した樹脂を成形する。それによって表面に木目模様を呈するように形 成することができる。すると、階段に連続する床が木目調のフローリングである 場合には、その外観を統一することができる。

【００２３】 ここで、上記説明中の「セルロース系材料」とは、木粉である。また、「無機 材料」とは、酸化チタン、フェライト、アルミニウム、ニッケル、銀などの金属 材料、またはセラミック等の非金属材料である。 なお、框本体２０Ａを硬質の熱可塑性樹脂にて形成し、滑り止め突条２１を軟 質の熱可塑性樹脂にて框本体２０Ａと一体となるように形成することもできる。 そのようにすれば、滑り止め２１が踏みつけたときに変形し、滑り止めとしての 機能が高められる。

【００２４】 また、段板化粧材２０の形成手段および熱可塑性樹脂の種類についてはこれに 限られるものではなく、他の熱可塑性樹脂を用いても形成できるし、第一及び第 二の実施例のように、木材を材料に加工しても形成できる。 次に、第四の実施例について、図４を参照させながら第三の実施例との比較に おいて説明する。

【００２５】 第四の実施例に示す框材は、第三の実施例の段板化粧材２０と形状を異ならせ た段板化粧材２０である。その形状については、框本体２０Ａの水平部２０Ｂの 下面部分において、段板基礎材１０の上面に接触しない基礎材非接触部２６を複 数設けた点が異なる。このため、材料となる熱可塑性樹脂の使用量が減り、材料 費の低減、軽量化などが実現される。

【００２６】 次に、第五の実施例について、図５を参照させながら第三の実施例との比較に おいて説明する。 第五の実施例に示す框材は、第三の実施例の段板化粧材２０と形状を異ならせ た段板化粧材２０である。形状については、框本体２０Ａの段鼻横面隠し部２３ を、蹴込み板３０に対して斜めに接触するように設けた点が異なる。これにより 、段鼻に足先が引っかかることを軽減できる。

【００２７】 次に、第六の実施例について、図６を参照させながら第三の実施例との比較に おいて説明する。 第六の実施例に示す框材は、第三の実施例の段板化粧材２０と形状を異ならせ た段板化粧材２０である。形状については、框本体２０Ａの段鼻横面隠し部２３ を設けずに、垂直部２０Ｃに丸みをつけた設けた点が異なる。これにより、段鼻 に存在する角部分を減らすことができる。

【００２８】 次に、第七の実施例について、図７を参照させながら第二および第六の実施例 との比較において説明する。 第七の実施例に示す框材は、第二の実施例の段板２０と形状を異ならせた段板 ２０である。形状については、第六の実施例の段板化粧材２０と同じように垂直 部２０Ｃに丸みをつけた設けた点が異なる。これにより、段鼻に存在する角部分 を減らすことができる。

【００２９】 次に、上記した実施例のバリエーションについて説明する。 例えば框本体２０Ａを木材で形成し、軟質の熱可塑性樹脂にて滑り止め突条２ １を形成することもできる。この場合、框本体２０Ａと滑り止め突条２１とが一 体化しやすいように、框本体２０Ａに滑り止め突条２１の軟質熱可塑性樹脂にな じみやすいコーティングを施すなどの表面処理を行う必要がある。

【００３０】 上記実施例では、階段の段板あるいは段板化粧材を「框材」として説明してき たが、床の間の框部材、スキップフロアの段板、玄関の上がり框、階段の踊り場 床板などであってもよい。

【００３１】

【考案の効果】

請求項１ないし請求項３記載の考案によれば、滑り止めの機能を備え、滑り止 め機能を付加するための取付作業が不要であり、上面全体に滑り止め機能を持っ ており、しかも框本体と滑り止め機能部分との見た目の一体感があるような框材 を提供することができた。

【００３２】 また、請求項４記載の考案によれば、さらに滑り止めとしての機能が高められ た框材を提供することができた。 また、請求項５記載の考案によれば、さらに製造が簡単な框材を提供すること ができた。

【図面の簡単な説明】

【図１】階段の一部を示す垂直断面図である。

【図２】階段の段板の垂直断面図である。

【図３】階段の段板部分を示す組立垂直断面図である。

【図４】階段の段板の化粧部材を示す垂直断面図であ
る。

【図５】階段の一部を示す垂直断面図である。

【図６】階段の一部を示す垂直断面図である。

【図７】階段の段板の垂直断面図である。

【符号の説明】

１０ 段板基礎材 ２０ 段板化粧材（段板） ２０Ａ 框本体 ２０Ｂ 水平部 ２０Ｃ 垂直部 ２１ 滑り止め突条 ２３ 段鼻横
面隠し部 ２４ 蹴込み呑み込み用欠設部 ２５ 段鼻部 ２６ 基礎材非接触部 ３０ 蹴込み板

Claims (5)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】建物内の床面を形成する床仕上げ材とその
   床仕上げ材の下方に形成される段差部分との間に固定さ
   れる框材であって、その段差の水平部分をなす水平部と
   垂直部分をなす垂直部とを有する框本体と、その框本体
   の上面側に框本体と一体となる滑り止め構造とを備え、
   その滑り止め構造は、框材の長手方向に平行な複数の突
   条として、框材の上面全体に設けたことを特徴とする框
   材。
2. 【請求項２】前記框材を、階段の段板としたことを特徴
   とする請求項１記載の框材。
3. 【請求項３】前記框材を、上がり框としたことを特徴と
   する請求項１記載の框材。
4. 【請求項４】滑り止め構造は、軟質の熱可塑性樹脂にて
   形成したことを特徴とする請求項１、請求項２または請
   求項３記載の記載の框材。
5. 【請求項５】框本体は、硬質の熱可塑性樹脂にて形成し
   たことを特徴とする請求項１、請求項２、請求項３また
   は請求項４記載の框材。