JP3015386B2 - 磁気記録再生装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［発明の目的］ （産業上の利用分野） 本発明は、回転ヘッド型磁気記録再生装置（以下VTR
と略称する）における回転磁気ヘッドと外部回路との信
号結合に用いる回転トランスとを備えた磁気記録再生装
置に係わり、特に、広帯域、高伝送レートの磁気記録再
生装置に関する。

（従来の技術） 近年、高精細VTR及び現行テレビジョン方式ディジタ
ルVTR（以下これらを総称して広帯域・高伝送レートVTR
と呼ぶ）等の広帯域、高伝送レートのVTRが開発され、
実用化されている。これらのVTRでは、従来のVTRで問題
とされなかった回転トランスのインダクタンスや浮遊容
量、さらには回転トランスと磁気ヘッドとの結合ケーブ
ル容量が問題になってきた。即ち、磁気記録における電
磁変換系の伝送特性は、記録系では磁気ヘッド及び回転
トランスのインダクタンスと再生回路の入力容量及びそ
の他の浮遊容量とによる共振周波数から決定され、再生
系では磁気ヘッドのインダクタンスと回転トランスのイ
ンダクタンスと再生回路の入力容量及びその他の浮遊容
量とによる共振周波数から決定される。従って、広帯
域、高伝送レートのVTRを実現するには、磁気ヘッドと
記録回路及び再生回路の間に回転トランスを介在させな
いようにすることが望まれる。

そこで、この種のVTRでは例えば、情報通信学会技報
（MR85−54）に記載されているように記録回路及び再生
回路を回転ドラム内に搭載し、回転トランスを介さずに
直接磁気ヘッドと記録回路及び再生回路とを接続するこ
とにより記録再生の広帯域化を図ることがなされてい
る。

また回転ドラム内の外を信号伝送する回転トランスと
回転トランスを駆動するドライバ回路と回転トランスか
らの信号を受けるレシーバ回路も広帯域化を図らなくて
はならない。すなわち磁気ヘッドと再生回路の入力容量
から記録再生帯域が決定されるのと同様にロータリート
ランスのインダクタンスとレシーバ回路の入力容量や浮
遊容量によってロータリートランスの伝送帯域が決定さ
れる。従ってドライバ、レシーバ回路と回転トランスと
の結合に容量の大きい同軸ケーブル等は使用できない。
このため回転トランスの広帯域化を図るためにはドライ
バとレシーバ回路は回転トランスに近接させて配置、実
装しなくてはならない。従ってスキャナー（以下回転ド
ラム、固定ドラム等を含めてドラム系メカの総称をスキ
ャナーと呼ぶ）は回転トランスのドライバとレシーバ回
路の実装分複雑かつ大型化してしまう。

さらにこの種のVTRでは、テレビジョン学会（VR87−
５）あるように通常再生と特殊再生用を加えて少なくと
も６個以上の磁気ヘッドを使用しなければならない。例
えばＤ−１フォーマット525ディジタルVTRを例にとると
16個下の磁気ヘッドを使用している。

回転ドラム内外の信号伝送には通常回転トランスを使
用し、そのチャンネル数は回転ドラムに搭載された磁気
ヘッド分の数が必要となる。しかし多チャンネルの磁気
ヘッドに対応した回転トランスをスキャナーに搭載する
とスキャナーメカニズムが大きくかつ複雑になり、この
ため各部の機械精度が悪くなる。同様に磁気ヘッド分の
数が必要な記録あるいは再生回路は回路をIC化すること
により小形、軽量化が図れるが、回転トランスは広帯
域、チャンネル間の低クロストークが要求され、小型化
にも限界がある。

従ってスキャナーのメカニズム、記録回路及び再生回
路を含む電子回路の構成を簡易にするため回転トランス
のチャンネル数を減らすことが要求される。

このような問題点は、回転ドラム上に磁気ヘッドと共
に搭載され、情報信号の記録あるいは再生を行うｎ個
（ｎ＝360/R Ｒは実効記録エリア角 ｎは小数点以下
切捨て）の記録回路あるいは再生回路あるいはその両方
を行う回路と回転トランスと共通に接続し、回転ドラム
の回転位置により前記ｎ個の記録回路あるいは再生回路
あるいはその両方を行う回路を順次選択的に切替えて能
動状態にすることにより、解決できる。（これに関し、
本出願人により出願されている。） しかし、ｎ個の記録回路あるいは再生回路あるいはそ
の両方を行う回路は回転ドラム換言すれば回転トランス
の回転部材の回転角度方向で夫々異なる方向に配置され
ているため、それらｎ個の回路を順次選択的に切替えて
従来の１つの溝に１つの巻線を設置した回転トランスと
共通に接続し能動状態にするには、回転トランスの回転
部材の引き出し線の回転角度方向の位置と、ｎ個の回路
の回転角度方向の位置とが、最大180度異なってしまう
ことになる。この場合回転トランスの回転部材の引き出
し線の回転角度方向の位置とのずれが大きな回路ほどド
ライバ、レシーバ回路と回転トランスとの結合に長いケ
ーブルが必要となり、ドライバ、レシーバ回路と回転ト
ランスとの結合容量が増加して伝送特性が悪化してしま
い、結果としてｎ個の記録回路あるいは再生回路あるい
はその両方を行う回路の特性の差異が出てしまうとの問
題があった。例えば、第９図に示すものは２つの記録ヘ
ッドの例、第10図のものは２つの再生ヘッドを、また第
11図は記録ヘッドと再生ヘッドを例にしたものであるが
その様子が明らかに解る。

（発明が解決しようとする課題） 上述したように従来の問題を解決するためになされた
本出願人による提案、すなわち従来の回転トランスで
は、回転トランスの回転部材の回転角度方向で夫々異な
る方向に配置されているｎ個の回路を順次選択的に切替
えて能動状態にするには、回転トランスの回転部材の引
き出し線の回転角度方向の位置と、ｎ個の回路の回転角
度方向の位置とが、最大180度異なってしまうため回転
トランスの回転部材の引き出し線の回転角度方向の位置
とのずれが大きな回路ほどドライバ、レシーバ回路と回
転トランスとの結合に長いケーブルが必要となり、ドラ
イバ、レシーバ回路と回転トランスとの結合容量が増加
して伝送特性が悪化してしまい、結果としてｎ個の記録
回路あるいは再生回路あるいはその両方を行う回路の特
性の差異が出てしまうとの問題があった。

本発明は、上記事情に鑑みてなされた本出願人の先の
提案に関する改良であって、回転トランスの回転部材の
回転角度方向で夫々異なる方向に配置されているｎ個の
記録回路あるいは再生回路あるいはその両方を行う回路
を順次選択的に切替えて能動状態にすることにより回転
トランスのチャンネル数を減らす場合に於いて、ドライ
バ、レシーバ回路と回転トランスとの結合容量を最小に
し、かつｎ個の記録回路あるいは再生回路あるいはその
両方を行う回路の特性の差異が最小になるようにする回
転トランス装置を備えた磁気記録再生装置を提供するこ
とを目的とする。

［発明の構成］ （課題を解決するための手段） 本発明の磁気記録再生装置は、回転ドラムを回転駆動
し且つ該回転ドラムの周面に対して、少なくとも実効記
録エリア角Ｒが180度かあるいはそれ以下となるように
記録媒体としての磁気テープを当接しつつ走行させるた
めの機械的駆動手段と、前記回転ドラムに前記磁気テー
プを当接し得るように設けられ、情報の記録および再生
の少なくとも一方を行うためのｎ個（ｎ＝360/R、ｎは
自然数）の磁気ヘッドと、前記ｎ個の磁気ヘッドの各々
に結合されて、前記回転ドラムに設けられ、それぞれ能
動状態および非能動状態を制御し得るｎ個の増幅回路
と、前記ｎ個の増幅回路に結合される、固定部材および
回転部材との間で信号の伝送を該固定部材および回転部
材の各々に設けられた溝の巻線を用いて行う１つの回転
トランスと、前記ｎ個の増幅回路に結合され、前記回転
ドラムの回転に連動して前記ｎ個の増幅回路を選択的に
制御し、いずれか１つを能動状態とし他を非能動状態と
するための選択制御手段とを備え、前記固定部材の溝に
１つの巻線を配し、該固定部材の巻線を配した溝に対応
する前記回転部材の溝に、ｎ個の巻線を配置し、前記ｎ
個の増幅回路と各々接続したことを特徴とするものであ
る。

また、本発明の磁気記録再生装置は、回転ドラムを回
転駆動し且つ該回転ドラムの周面に対して、記録媒体と
しての磁気テープを当接しつつ走行させるための機械的
駆動手段と、前記回転ドラムに前記磁気テープを当接し
得るように設けられ、情報の記録および再生の少なくと
も一方を行うための複数の磁気ヘッドと、 前記複数の磁気ヘッドの各々に結合されて、前記回転
ドラムに設けられ、それぞれ能動状態および非能動状態
を制御し得る複数の増幅回路と、前記複数の増幅回路の
各々に接続される巻線を用いて、固定部材および回転部
材との間で信号の伝送を行う１つの回転トランスと、前
記複数の増幅回路に結合され、前記回転ドラムの回転に
連動して前記複数の増幅回路を選択的に制御し、いずれ
か１つを能動状態とし他を非能動状態とするための選択
制御手段とを備え、前記固定部材の溝に１つの巻線を配
し、該固定部材の巻線を配した溝に対応する前記回転部
材の溝に、複数の巻線を配置するとともに、前記回転部
材の溝に配置される複数の巻線の各々の引き出し位置
を、前記回転部材の溝に配置される複数の巻線の各々が
接続される増幅回路との接続を最短にする位置とするこ
とを特徴とするものである。

さらに、本発明の磁気記録再生装置は、回転ドラムを
回転駆動し且つ該回転ドラムの周面に対して、少なくと
も実効記録エリア角Ｒが180度かあるいはそれ以下にな
るように記録媒体としての磁気テープを当接しつつ走行
させるための機械的駆動手段と、前記回転ドラムに前記
磁気テープを当接し得るように設けられ、情報の記録お
よび再生の少なくとも一方を行うためのｎ個（ｎ＝360/
R、ｎは自然数）の磁気ヘッドと、前記ｎ個の磁気ヘッ
ドに各々結合されて、前記回転ドラムに設けられ、それ
ぞれ能動状態および非能動状態を制御し得るｎ個の増幅
回路と、前記ｎ個の増幅回路の各々に接続される巻線を
用いて、固定部材および回転部材との間で信号の伝送を
行う１つの回転トランスと、前記ｎ個の増幅回路に結合
され、前記回転ドラムの回転に連動して前記ｎ個の増幅
回路を選択的に制御し、いずれか１つを能動状態とし他
を非能動状態とするための選択制御手段とを備え、前記
固定部材の溝に１つの巻線を配し、該固定部材の巻線を
配した溝に対応する前記回転部材の溝に、ｎ個の巻線を
配置するとともに、前記ｎ個の巻線の各々の引き出し位
置を、前記ｎ個の巻線の各々が接続される増幅回路との
接続を最短にする位置とすることを特徴とするものであ
る。

なお、前記複数の増幅回路は、再生回路であって、該
複数の再生回路の出力段を、エミッタフォロアーあるい
はダーリントンエミッタフォロアー回路にしたことを特
徴とするものでもよい。

また、前記複数の増幅回路は、記録回路であって、該
複数の記録回路の入力段を、エミッタフォロアーあるい
はダーリントンエミッタフォロアー回路にしたことを特
徴とするものでもよい。

さらに、前記複数の増幅回路は、再生回路であって、
前記選択制御手段は、前記複数の再生回路のうち少なく
とも１つの再生回路が能動状態の時、残りの再生回路の
出力をハイインピーダンス状態にするように制御するこ
とを特徴とするものでもよい。

（作用） 本発明によれば回転トランスの回転部材の回転角度方
向で夫々異なる方向に配置されているｎ個の記録回路あ
るいは再生回路あるいはその両方を行う回路を順次選択
的に切替えて能動状態にすることにより回転トランスの
チャンネル数を減らす場合に於いて、ドライバ、レシー
バ回路と回転トランスとの結合容量を最小にし、かつｎ
個の記録回路あるいは再生回路あるいはその両方を行う
回路の特性の差異が最小になるようにすることが出来
る。

（実施例） 以下、図面を参照して本発明の一実施例を説明する。

第１図は本発明の一実施例に係わる回転トランス装置
の回転部材或いは固定部材或いは回転部材と固定部材の
両方の平面図である。この実施例では実効記録エリア角
を180度にした場合について説明する。同図に示すよう
に、フェライト等からなるコア１に形成された巻線溝２
に、巻線3a、巻線3bの２つの巻線が巻かれている。4a、
4bは、これら２つの巻線3a、3b、夫々の引き出し線であ
り、回転トランスの回転角度方向の全く違った方向（本
実施例の場合180度対向）に引き出されている。

第２図は、第１図の部材を例えば回転部材（ロータ
側）５とし、巻線溝に１つの巻線が巻かれている部材を
固定部材（ステータ側）６とした本発明の回転トランス
装置12を記録に使用した場合の例である。磁気テープに
記録される情報信号（以下RF信号という）は回転トラン
スドライブ回路10で増幅され、回転トランス装置12で回
転ドラム内部に伝送する。この場合、２個の磁気ヘッド
R1、R2は180度対向して配置される。従って、夫々これ
ら２個の磁気ヘッドに接続される２個の記録回路11a、1
1bは接続容量が最小になるようにケーブルの長さを最小
にするために、回転ドラム内に180度対向して配置され
る。尚、回転トランスドライブ回路10に入力されるRF信
号は、磁気ヘッドR1とR2によって記録される情報信号を
両方含んでおり、これらの信号を特性の劣化を出来るだ
け少なくして磁気ヘッドR1とR2に伝送することが必要で
ある。そこで一方の記録回路11aは回転部材５の巻線溝
に巻かれた第一の巻線である3aの引き出し線4aに接続
し、他方の記録回路11bは回転部材５の巻線溝に巻かれ
た第二の巻線である3bの引き出し線4bに接続する。固定
部材６の溝に設けられた巻線７の位置は、対向する回転
部材５に設けられた２つの巻線3a、3bのほぼ中央に位置
するよう設けるものである。このようにすると、引き出
し線4a、4bは夫々回転ドラム内に180度対向して配置さ
れているので、記録回路11a、11bと回転トランスの巻線
3a、3bとの接続を最短にすることが出来、回路と回転ト
ランスとの結合容量を最小にし、かつ記録回路の差異が
最小になるようにすることが出来る。そして記録回路11
a、11bは、R1切替え信号とR2切替え信号で180度毎にそ
れぞれ順次、能動状態、非能動状態に切替えられ、能動
状態の時に磁気ヘッドR1あるいはR2を駆動して図示しな
い磁気テープにRF信号を記録する。

この場合信号の伝送は、巻線７と巻線3aとの間と、巻
線７の巻線3bとの間とで、回転ドラムが180度回転する
ごとに交替に行われるが、巻線７の巻線3aとの間で信号
が伝送されているとき、記録回路11bの入力インピーダ
ンスがローになっている、もしくは巻線７と巻線3bとの
間で信号が伝送されているとき、記録回路11aの入力イ
ンピーダンスがローなっていると、伝送特性が劣化す
る。従って、巻線７の巻線3aとの間で信号が伝送されて
いるときは、記録回路11bの入力インピーダンスがハイ
に、巻線７と巻線3bとの間で信号が伝送されているとき
は、、記録回路11aの入力インピーダンスがハイになる
ようにする必要がある。記録回路11a、11bは伝送特性の
劣化が起こらないように入力段の回路はエミッタフォロ
ワあるいはダーリントンエミッタフォロワにして入力イ
ンピーダンスを高くする。

第３図にこの記録回路の切替え動作の一連のタイムシ
ーケンスを示す。記録回路11a、11bは（ａ）R1切替信号
と（ｂ）R2切替信号で180度毎にそれぞれ順次、能動状
態、非能動状態に切替えられ、入力される（ｃ）RF信号
を各能動状態の時に磁気ヘッドR1あるいはR2を駆動して
磁気テープに（ｄ）（ｅ）に示す記録電流に対応するRF
信号を記録するのである。

第４図は第１図の部材を例えば回転部材５とし、巻線
溝に１つの巻線が巻かれている部材を固定部材６とした
本発明の回転トランス装置12を再生に使用した場合の例
である。

磁気ヘッドP1、P2により磁気テープから再生されたRF
信号は再生回路13a、13bで増幅され、再生回路13a、13b
の出を回転トランス装置12を駆動し、回転ドラム外へ再
生RF信号を伝送する。再生回路13a、13bは、第５図の再
生回路の切替え動作の一連のタイムシーケンスに示すよ
うに（ａ）P1切替え信号と（ｂ）P2切替え信号で180度
毎にそれぞれ順次、能動状態、非能動状態に切替えら
れ、能動状態の時に磁気ヘッドP1あるいはP2から再生さ
れる（ｃ）P1再生信号（ｄ）p2再生信号から（ｅ）RF信
号を回転トランス装置12から回転ドラム外へ伝送する。
回転トランスｂから伝送された再生RF信号は回転トラン
スレシーブ回路14で受信し、後の回路に伝送する。

この場合、２個の磁気ヘッドP1、P2は180度対向して
配置される。従って、夫々これら２個の磁気ヘッドに接
続される２個の再生回路13a、13bは接続容量が最小にな
るようにケーブルの長さを最小にするために、回転ドラ
ム内に180度対向して配置される。この場合、回転トラ
ンスレシーブ回路14に入力されるRF信号は磁気ヘッドP1
とP2によって再生される情報信号を両方含んでいなけれ
ばならず、これらの信号を特性の劣化を出来るだけ少な
くして磁気ヘッドP1とP2から伝送することが必要であ
る。そこで一方の再生回路13aは回転部材５の巻線溝に
巻かれた第一の巻線である3aの引き出し線4aに接続し、
他方の再生回路13bは回転部材５の巻線溝に巻かれた第
二の巻線である3bの引き出し線4bに接続する。このよう
にすると、引き出し線4a、4bは夫々回転ドラム内に180
度対向して配置されているので、再生回路13a、13bと回
転トランスの巻線3a、3bとの接続を最短にすることが出
来、回路と回転トランスとの結合容量を最小にし、かつ
記録回路の差異が最小になるようにすることが出来る。
そして再生回路13a、13bは、P1切替え信号とP2切替え信
号で180度毎にそれぞれ順次、能動状態、非能動状態に
切替えられ、能動状態の時に磁気ヘッドP1あるいはP2を
駆動して図示しない磁気テープからのRF信号を再生す
る。

再生回路13a、13bはその出力を同一の回転トランス装
置12に接続したことにより能動状態の再生回路の周波数
特性の劣化が起こらないように、非能動状態の再生回路
の出力はハイインピーダンス状態にしておく。例えば、
第６図に示すように再生回路の出力をハイインピーダン
スにするよう構成する。尚、本発明の再生回路の出力は
平衡出力になっているが説明を簡単にするためにその片
側のみを図示する。通常この種の再生回路は負荷に対し
て充分な駆動能力を持たせるために出力段はエミッタフ
ォロワあるいはダーリントンエミッタフォロワが使用さ
れる。第６図ではエミッタフォロワQ1を使用している。
トランジスタQ2、ダイオードD1、抵抗Z1、Z2で定電流回
路を構成し、エミッタフォロワQ1に定電流を流す。この
エミッタフォロワの能動状態、非能動状態の切替えはト
ランジスタQ3、Q4及びインバータIN1により行う。切替
え信号がＨ（高）と時にはQ3、Q4のベースはＬ（低）レ
ベルになりQ3、Q4はオフになり、エミッタフォロワQ1は
動作し、RF信号を出力する。次に切替え信号がＬ（低）
の時にはQ3、Q4のベースはＨ（高）レベルになりQ3、Q4
はオンになり、エミッタフォロワQ1のベースはＬ（低）
レベルになり、エミッタフォロワQ1はオフ状態になり、
その出力はハイインピーダンス状態になると言うもので
ある。

第７図は第１図の部材を例えば回転部材５とし、巻線
溝に１つの巻線が巻かれている部材を固定部材６とした
本発明の回転トランス装置12を記録再生両方に使用した
場合の１実施例である。この例では記録と再生を回転ド
ラムが180度回転する毎に交互に行うものである。15は
記録回路で回転トランス装置12からの情報信号を増幅し
て磁気ヘッドＲを駆動する。磁気ヘッドＲに180度対向
して磁気ヘッドＰは配置され、情報信号は磁気テープか
ら磁気ヘッドＰで再生し、再生回路16で増幅され、その
出力に接続されている回転トランス装置12により回転ド
ラム外部へ伝送される。磁気テープに記録される情報信
号（以下RF信号という）は回転トランスドライブ回路17
で増幅され、回転トランス装置12で回転ドラム内部に伝
送する。記録回路15は、第８図の記録回路、再生回路の
切替え動作の一連のタイムシーケンスに示すように、18
0度毎にそれぞれ順次、（ａ）Ｒ切り替え信号で能動状
態と、非能動状態とを切替えられ、能動状態の時に磁気
ヘッドＲを駆動して磁気テープ（ｃ）RF信号を記録す
る。

次に磁気テープからのRF信号の再生について説明す
る。磁気ヘッドＰにより磁気テープから再生されたRF信
号は再生回路16で増幅され、回転トランス装置12を駆動
し、回転ドラム外へ再生RF信号を伝送する。再生回路16
は、第８図の記録回路、再生回路の切替え動作の一連の
タイムシーケンスに示すように、（ｂ）Ｐ切替え信号で
180度毎にそれぞれ順次、能動状態、非能動状態に切替
えられ、能動状態の時に磁気ヘッドＰから再生される
（ｄ）RF信号を回転トランス装置12から回転ドラム外へ
再生RF信号を伝送する。回転トランス装置12から伝送さ
れた再生RF信号は回転トランスレシーブ回路18で受信
し、後の回路に伝送する。

この場合、２個の磁気ヘッドＲ、Ｐは180度対向して
配置される。従って、夫々これら２個の磁気ヘッドに接
続される記録回路15と再生回路16は接続容量が最小にな
るようにケーブルの長さを最小にするために、回転ドラ
ム内に180度対向して配置される。この場合、これらの
信号を特性の劣化を出来るだけ少なくして、記録時はRF
信号入力から磁気ヘッドＲへ、再生時は、磁気ヘッドＰ
からRF信号出力へ伝送することが必要である。そこで記
録回路15は回転部材５の巻線溝に巻かれた第二の巻線で
ある3bの引き出し線4bに接続し、再生回路16は回転部材
５の巻線溝に巻かれた第一の巻線である3aの引き出し線
4aに接続する。このようにすると、引き出し線4a、4bは
夫々回転ドラム内に180度対向して配置されているの
で、記録回路15と回転トランスの巻線3b、再生回路16と
回転トランスの巻線3aとの接続を最短にすることが出
来、回路と回転トランスとの結合容量を最小にし特性の
劣化を最小にすることが出来る。

記録回路15、再生回路16を同一の回転トランス装置12
に接続したことにより能動状態の回路の周波数特性の劣
化が起こらないように、非能動状態の記録回路の入力及
び非能動状態の再生回路の出力はハイインピーダンス状
態にしておく。その方法は前記２つの実施例と同様であ
る。

又、第12図に示すように本発明を適用せずに接続を最
短にすると、回転トランス装置のチャンネル数が増加し
てしまうことになる。従って、本発明は回転トランス装
置のチャンネル数を削減にも寄与することになる。

以上の各実施例では、平板型の１チャンネルの回転ト
ランス装置を例にとって回転部材のみに本発明を適用し
た例を説明したが、本発明を固定部材に適用することも
可能である。又、同軸型の回転トランス装置にも本発明
を適用することは可能である。又、回転トランス装置の
チャンネル数、巻線の巻数等の違いに係わり無く、本発
明を適用することも可能である。

［発明の効果］ 以上、詳述したように、本発明によれば、回転トラン
スの回転部材と回転角度方向で夫々異なる方向に配置さ
れているｎ個の記録回路あるいは再生回路あるいはその
両方を行う回路を順次選択的に切替えて能動状態にする
ことにより回転トランスのチャンネル数を減らす場合に
於いて、ドライバ、レシーバ回路と回転トランスとの結
合容量を最小にし、かつｎ個の記録回路あるいは再生回
路あるいはその両方を行う回路の特性の差異が最小にな
るようにすることが可能な磁気記録再生装置を提供出来
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の回転トランス装置の回転部材或いは固
定部材或いは回転部材と固定部材の両方の平面図、第２
図は第１図の部材を例えば回転部材とし巻線溝に１つの
巻線が巻かれている部材を例えば固定部材６とした回転
トランス装置を記録に使用した実施例を示す説明図、第
３図は第２図の実施例に於ける記録回路の切り替え動作
の一連のタイムシーケンスを示す図、第４図は第１図の
部材を例えば回転部材とし巻線溝に１つの巻線が巻かれ
ている部材を例えば固定部材６とした回転トランス装置
を記録に使用した実施例を示す説明図、第５図は第４図
の実施例に於ける再生回路の切り替え動作の一連のタイ
ムシーケンスを示す図、第６図は再生回路の出力をハイ
インピーダンスにする回路の基本構成の一例を示す図、
第７図は第１図の部材を例えば回転部材とし巻線溝に１
つの巻線が巻かれている部材を例えば固定部材６とした
回転トランス装置を記録及び再生に使用した実施例を示
す説明図、第８図は第７図の実施例に於ける記録回路、
再生回路の切り替え動作の一連のタイムシーケンスを示
す図、第９図は従来の部材のみを回転部材及び固定部材
に使用した回転トランス装置を記録に使用した例を示す
説明図、第10図は従来の部材のみを回転部材及び固定部
材に使用した回転トランス装置を再生に使用した例を示
す説明図、第11図は従来の部材のみを回転部材及び固定
部材に使用した回転トランス装置を記録及び再生に使用
した例を示す説明図、第12図は本発明を適用せずに回転
ドラム内の回路と回転トランス装置の接続を最短にした
従来例の一例（記録の場合）を示した図である。 １……コア ２……回転部材の巻線溝 3a……回転部材の第一の巻線 3b……回転部材の第二の巻線 4a……回転部材の第一の引き出し線 4b……回転部材の第二の引き出し線 ５……回転部材 ６……固定部材 ７……固定部材の巻線 ８……固定部材の引き出し線 ９……固定部材の巻線溝 10……回転トランスドライブ回路 11a、ｂ……記録回路 12……回転トランス装置 13a、ｂ……再生回路 14……回転トランスレシーバ回路 15……記録回路 16……再生回路 17……回転トランスドライブ回路 18……回転トランスレシーバ回路

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) G11B 5/02 H01F 23/00

Claims (6)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】回転ドラムを回転駆動し且つ該回転ドラム
   の周面に対して、少なくとも実効記録エリア角Ｒが180
   度かあるいはそれ以下となるように記録媒体としての磁
   気テープを当接しつつ走行させるための機械的駆動手段
   と、 前記回転ドラムに前記磁気テープを当接し得るように設
   けられ、情報の記録および再生の少なくとも一方を行う
   ためのｎ個（ｎ＝360/R、ｎは自然数）の磁気ヘッド
   と、 前記ｎ個の磁気ヘッドの各々に結合されて、前記回転ド
   ラムに設けられ、それぞれ能動状態および非能動状態を
   制御し得るｎ個の増幅回路と、 前記ｎ個の増幅回路に結合される、固定部材および回転
   部材との間で信号の伝送を該固定部材および回転部材の
   各々に設けられた溝の巻線を用いて行う１つの回転トラ
   ンスと、 前記ｎ個の増幅回路に結合され、前記回転ドラムの回転
   に連動して前記ｎ個の増幅回路を選択的に制御し、いず
   れか１つを能動状態とし他を非能動状態とするための選
   択制御手段と を備え、 前記固定部材の溝に１つの巻線を配し、該固定部材の巻
   線を配した溝に対応する前記回転部材の溝に、ｎ個の巻
   線を配置し、前記ｎ個の増幅回路と各々接続したことを
   特徴とする磁気記録再生装置。
2. 【請求項２】回転ドラムを回転駆動し且つ該回転ドラム
   の周面に対して、記録媒体としての磁気テープを当接し
   つつ走行させるための機械的駆動手段と、 前記回転ドラムに前記磁気テープを当接し得るように設
   けられ、情報の記録および再生の少なくとも一方を行う
   ための複数の磁気ヘッドと、 前記複数の磁気ヘッドの各々に結合されて、前記回転ド
   ラムに設けられ、それぞれ能動状態および非能動状態を
   制御し得る複数の増幅回路と、 前記複数の増幅回路の各々に接続される巻線を用いて、
   固定部材および回転部材との間で信号の伝送を行う１つ
   の回転トランスと、 前記複数の増幅回路に結合され、前記回転ドラムの回転
   に連動して前記複数の増幅回路を選択的に制御し、いず
   れか１つを能動状態とし他を非能動状態とするための選
   択制御手段と を備え、 前記固定部材の溝に１つの巻線を配し、該固定部材の巻
   線を配した溝に対応する前記回転部材の溝に、複数の巻
   線を配置するとともに、 前記回転部材の溝に配置される複数の巻線の各々の引き
   出し位置を、前記回転部材の溝に配置される複数の巻線
   の各々が接続される増幅回路との接続を最短にする位置
   とすることを特徴とする磁気記録再生装置。
3. 【請求項３】回転ドラムを回転駆動し且つ該回転ドラム
   の周面に対して、少なくとも実効記録エリア角Ｒが180
   度かあるいはそれ以下になるように記録媒体としての磁
   気テープを当接しつつ走行させるための機械的駆動手段
   と、 前記回転ドラムに前記磁気テープを当接し得るように設
   けられ、情報の記録および再生の少なくとも一方を行う
   ためのｎ個（ｎ＝360/R、ｎは自然数）の磁気ヘッド
   と、 前記ｎ個の磁気ヘッドに各々結合されて、前記回転ドラ
   ムに設けられ、それぞれ能動状態および非能動状態を制
   御し得るｎ個の増幅回路と、 前記ｎ個の増幅回路の各々に接続される巻線を用いて、
   固定部材および回転部材との間で信号の伝送を行う１つ
   の回転トランスと、 前記ｎ個の増幅回路に結合され、前記回転ドラムの回転
   に連動して前記ｎ個の増幅回路を選択的に制御し、いず
   れか１つを能動状態とし他を非能動状態とするための選
   択制御手段と を備え、 前記固定部材の溝に１つの巻線を配し、該固定部材の巻
   線を配した溝に対応する前記回転部材の溝に、ｎ個の巻
   線を配置するとともに、 前記ｎ個の巻線の各々の引き出し位置を、前記ｎ個の巻
   線の各々が接続される増幅回路との接続を最短にする位
   置とすることを特徴とする磁気記録再生装置。
4. 【請求項４】前記複数の増幅回路は、再生回路であっ
   て、該複数の再生回路の出力段を、エミッタフォロアー
   あるいはダーリントンエミッタフォロアー回路にしたこ
   とを特徴とする請求項１乃至３のいずれか一項に記載の
   磁気記録再生装置。
5. 【請求項５】前記複数の増幅回路は、記録回路であっ
   て、該複数の記録回路の入力段を、エミッタフォロアー
   あるいはダーリントンエミッタフォロアー回路にしたこ
   とを特徴とする請求項１乃至３のいずれか一項に記載の
   磁気記録再生装置。
6. 【請求項６】前記複数の増幅回路は、再生回路であっ
   て、 前記選択制御手段は、前記複数の再生回路のうち少なく
   とも１つの再生回路が能動状態の時、残りの再生回路の
   出力をハイインピーダンス状態にするように制御するこ
   とを特徴とする請求項１乃至３のいずれか一項に記載の
   磁気記録再生装置。