JP3013969B2 - 動圧軸受装置 - Google Patents

動圧軸受装置

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JP3013969B2
JP3013969B2 JP6163200A JP16320094A JP3013969B2 JP 3013969 B2 JP3013969 B2 JP 3013969B2 JP 6163200 A JP6163200 A JP 6163200A JP 16320094 A JP16320094 A JP 16320094A JP 3013969 B2 JP3013969 B2 JP 3013969B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、動圧軸受装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、図5に示されるような動圧軸受装
置を適用した、例えばHDD用のスピンドルモータが知
られている。このスピンドルモータは所謂中心軸回転型
且つラジアル軸受固定型であって、図が煩雑になるのを
避けるために、中心線より右半分のみが示されている。
【0003】同図において、符号1は固定部材たるモー
タハウジングとしてのフレームを示しており、このフレ
ーム1には筒状の軸受ホルダー部1aが立設するように
して一体成形されている。すなわち、軸受ホルダー部1
aを含むフレーム1は、一端が閉塞され他方が開放され
た凹形状をなしている。該軸受ホルダー部1aの外周面
にはステ−タコア6が固定されており、このステ−タコ
ア6にはコイル5が巻回されている。
【0004】上記軸受ホルダー部1aの内周にはラジア
ル滑り軸受2,2がそれぞれ嵌合固定されており、これ
らラジアル滑り軸受2,2の内周には回転部材としての
中心軸3が挿入配置されている。該中心軸3の外周面及
びラジアル滑り軸受2,2の内周面の少なくとも一方に
は、例えばへリングボーン状等の動圧発生溝が形成され
ており、摺動部(中心軸3とラジアル滑り軸受2,2と
の間の空隙)Aには非圧縮性流体としてのオイル等の潤
滑油が充填されている。すなわち、中心軸3は、ラジア
ル滑り軸受2,2の内周面との間に発生するラジアル動
圧力によりラジアル方向の振れが抑えられて、ラジアル
滑り軸受2,2内を回転するようになっている。
【0005】中心軸3のフレーム閉塞側(図における下
方)の端部にはスラスト円盤13が嵌合固定されてい
る。このスラスト円盤13は、その外径がラジアル滑り
軸受2の内径より大であり、フレーム閉塞側の端面(図
における下端面)13aが中心軸3のフレーム閉塞側の
端面(図における下端面)3aと略面一になるように配
設されている。該スラスト円盤13の下端面13a(中
心軸3の下端面3aを含んでも可)及びフレーム1の凹
所底部1bの少なくとも一方と、スラスト円盤13の上
端面13b及びフレーム閉塞側のラジアル滑り軸受2の
下端面2aの少なくとも一方には、動圧発生溝が形成さ
れており、摺動部(スラスト円盤13の上下端面13
b,13aとこれに軸方向において対向する部材2,1
bとの間の空隙)C,Cには潤滑油が充填されている。
すなわち、スラスト円盤13を収容するスペース15に
は潤滑油が充填されており、中心軸3は、スラスト円盤
13の下端面13a(中心軸3の下端面3aを含んでも
可)と凹所底部1bとの間に発生するスラスト動圧力及
び、スラスト円盤13の上端面13bとフレーム閉塞側
のラジアル滑り軸受2の下端面2aとの間に発生するス
ラスト動圧力によりスラスト方向のバランス及び振れが
抑えられて、凹所底部1b上を回転するようになってい
る。
【0006】中心軸3のフレーム開放側(図における上
方)の端部には、上記コア6、コイル5等を覆うような
形状のハブ4が嵌合固定されている。このハブ4の外周
面には図示されないディスクが装着されており、ハブ4
内周の上記コア6に対向する位置には駆動マグネット7
が固定されている。
【0007】上記軸受ホルダー部1aの内外を連通する
通路10の途中、すなわち軸受ホルダー1aの図におけ
る上端部(フレーム開放側のラジアル滑り軸受2より上
方の位置)には磁性流体シール8が配設されている。こ
の磁性流体シール8は、磁石8bと、この磁石8bを軸
線方向に挟むようにして設けられ磁路を形成するポール
ピース8a,8aとから構成されており、このポールピ
ース8a,8a内周面と中心軸3の外周面との間に磁性
流体9,9が保持され得るようになっている。従って、
この磁性流体シール8により、上記摺動部A,Cに充填
されている潤滑油を含むホルダー部1a内部に満たされ
ている潤滑油14の、軸受部から外方への漏れが防止さ
れていると共に、外部から軸受部内への塵芥等の侵入の
防止が図られている。
【0008】そして、図示されないモータ外部の電源供
給手段からフレキシブル基板12を介してコイル5に所
定の駆動電圧が印加されると、ディスクを装着したハブ
4が回転するようになっている。なお、符号11は滑り
軸受2,2間に当接して配置される軸受カラーを示して
いる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ここで、上記HDD用
等のモータにおいては、振動、衝撃等があってもディス
クへの読み書きが必要とされるために、上述のような、
ラジアル及びスラスト動圧力を発生させることにより、
振動、衝撃等に対して安定した振れ特性を得るようにし
ている。
【0010】ここで、例えば中心軸3に押し込み方向
(図における下方)の振動、衝撃等が加わったとする
と、スペース15の容積が中心軸3の軸断面積分だけ減
少しスペース15内の潤滑油がラジアル滑り軸受2側に
向かって移動しようとするが、該ラジアル滑り軸受2と
中心軸3との間のクリアランスが非常に小さいために流
体抵抗が大きく、当該部位(摺動部)Aにおいて大きな
絞り膜作用が働き、中心軸3の閉塞側に向かう振れは抑
制されるが、中心軸3に引き抜き方向(図における上
方)の振動、衝撃等が加わったとすると、スペース15
の容積が拡大することになり、ある速度以上になると真
空状態となってある限度以上の抑制力が働かなくなり、
中心軸3の開放側に向かう振れを抑制できないといった
問題がある。
【0011】ここで、上述のように、スラスト円盤13
の上下面13b,13aに動圧発生溝を形成し、該上下
面13b,13aに働くスラスト動圧力により両方向
(押し込み、引き抜き方向)の振れを抑制することがで
きるが、この場合には、軸ロス(ロストルク)が非常に
大きくなるといった問題がある。
【0012】また、このように充分なスラスト動圧力を
得るには、そのクリアランス、すなわちスラスト円盤1
3の下端面13a(中心軸3の下端面3aを含んでも
可)と凹所底部1bとの間及び、スラスト円盤13の上
端面13bとフレーム閉塞側のラジアル滑り軸受2の下
端面2aとの間のクリアランスを非常に狭くしなければ
ならないが、そのようなスラスト方向の寸法管理は構造
上難しいといった問題がある。
【0013】さらにまた、スラスト動圧発生用の溝をス
ラスト円盤13の両側13a,13b(対向する部材2
a,1bでも可)に設けなければいけないので、高コス
トになるといった問題もある。
【0014】そこで本発明は、スラスト方向の安定した
振れ特性を、軸ロスを小さくし且つ厳しい寸法管理をさ
ほど必要とせずに、得ることができる動圧軸受装置を提
供することを第1の目的とする。
【0015】また、上記第1の目的に加えて、スラスト
動圧発生溝の個数を減少することができる動圧軸受装置
を提供することを第2の目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】第1手段の動圧軸受装置
は上記第1の目的を達成するために、回転部材を回転自
在に支承するラジアル軸受を備え、このラジアル軸受の
摺動部に充填された非圧縮性流体に動圧を生ぜしめるよ
う構成された動圧軸受装置において、回転部材または固
定部材の何れか一方に、他方に対して突出する突部を軸
方向に離間して設けると共に、これら突部に対向する他
方の部材と該突部との間に非圧縮性流体を充填して、ラ
ジアル軸受の摺動部を構成し、これら突部に対向する他
方の部材に、該突部間に形成されたスペース内に突出す
ると共に、前記突部の摺動面の径と異なる径で形成され
た突出部を設け、この突出部に対向する部材と該突出部
との間に、狭ギャップ部を設けると共に、前記スペース
内に非圧縮性流体を充填してなる。
【0017】第2手段の動圧軸受装置は上記第1の目的
を達成するために、上記第1手段に加えて、突部を、ラ
ジアル軸受としたことを特徴としている。
【0018】第3手段の動圧軸受装置は上記第1の目的
を達成するために、上記第1手段に加えて、突部を、軸
に設けた大径部としたことを特徴としている。
【0019】第4手段の動圧軸受装置は上記第1の目的
を達成するために、上記第1手段に加えて、狭ギャップ
部を境にして軸方向に分けられたスペースを、非圧縮性
流体溜りとしたことを特徴としている。
【0020】第5手段の動圧軸受装置は上記第1の目的
を達成するために、上記第1手段に加えて、突出部は、
抜け止めを兼用することを特徴としている。
【0021】第6手段の動圧軸受装置は上記第1の目的
を達成するために、上記第1手段に加えて、突出部と突
部との間に、スラスト動圧力を発生させてなる。
【0022】第7手段の動圧軸受装置は上記第2の目的
を達成するために、上記第1手段に加えて、回転部材の
スラスト方向の通常のバランスは、スラスト動圧発生溝
によるスラスト動圧力とこれに対向する方向の磁気吸引
力により平衡が保たれることを特徴としている。
【0023】第8手段の動圧軸受装置は上記第1の目的
を達成するために、上記第1手段に加えて、狭ギャップ
部のクリアランスを、3〜30μmとしたことを特徴と
している。
【0024】第9手段の動圧軸受装置は上記第1の目的
を達成するために、上記第1手段に加えて、突部を軸に
対向する部材に設け、該突部の内径をr1 、突出部の外
径をr2 、突部内径に対する突出部の外径の比(r2
1 )=n1 とした時にn1=1.2〜3.0としたこ
とを特徴としている。
【0025】第10手段の動圧軸受装置は上記第1の目
的を達成するために、上記第1手段に加えて、突部を軸
に設け、該突部の外径をr3 、突出部の内径をr4 、突
部外径に対する突出部の内径の比(r4 /r3 )=n2
とした時に、n2 =0.5〜0.9としたことを特徴と
している。
【0026】
【作用】このような第1、第2、第3、第4手段におけ
る動圧軸受装置によれば、例えば回転部材に押し込みま
たは引き抜き方向の振動、衝撃等が加わったとすると、
突出部を収容するスペースのうちの突部と突出部とが接
近する側のスペースとしての、例えば非圧縮性流体溜り
の容積が突部と突出部との径が異なることから縮小しこ
の非圧縮性流体溜りの非圧縮性流体が流体抵抗の大きい
狭ギャップ部及びラジアル軸受の摺動部を通り移動しよ
うとするので、当該部位において大きな絞り膜作用が働
き、回転部材の押し込みまたは引き抜き方向への振れが
抑制される。従って、スラスト方向の安定した振れ特性
が得られる。しかも、軸ロスは面積の小さい狭ギャップ
部で働くので、軸ロスが大幅に減少される。さらに、厳
しい寸法管理が狭ギャップ部の円周方向だけとなるの
で、その管理は簡易である。
【0027】このような第5手段における動圧軸受装置
によれば、突出部が抜け止めを兼用するので、抜け止め
を新たに設ける必要がない。
【0028】このような第6手段における動圧軸受装置
によれば、突出部と突部との間にスラスト動圧力を発生
させているので、従来用いていた、例えばスラスト円盤
等のスラスト軸受が不要にされる。
【0029】このような第7手段における動圧軸受装置
によれば、一方のスラスト動圧力を磁気吸引力で得てい
るので、このスラスト動圧力を発生させるためのスラス
ト動圧発生溝が不要となり、スラスト動圧発生溝の個数
が減少される。
【0030】このような第8手段における動圧軸受装置
によれば、狭ギャップ部のクリアランスは、絞り膜作用
の3乗に反比例、軸ロスに反比例し、実用上必要な絞り
膜作用/軸ロスの2乗に反比例するので、できる限りク
リアランスは小さいほうが良いが、実際にはラジアル軸
受の摺動部のクリアランスと同程度の3μmから絞り膜
作用が有効に働く30μmとするのが最適である。
【0031】このような第9手段における動圧軸受装置
によれば、n1 が大きくなると、突出部の外周が大きく
なることから絞り膜作用の流体抵抗は小さくなるが、圧
力発生部の面積が増えるので、絞り膜作用は(n1 3−2
1 +1/n1 )に比例し、軸ロスはn1 3に比例する。
従って、絞り膜作用/軸ロスは(1−2/n1 2+1/n
1 4)に比例することになるので、n1 =1.2〜3.0
が実用上の有効範囲となる。
【0032】このような第10手段における動圧軸受装
置によれば、n2 が小さくなると、突出部の内周が小さ
くなることから絞り膜作用の流体抵抗は大きくなるが、
圧力発生部の面積が増えるので、絞り膜作用は(n2 3
2n2 +1/n2 )に比例し、軸ロスはn2 3に比例す
る。従って、絞り膜作用/軸ロスは(1−2/n2 2+1
/n2 4)に比例することになるので、n2 =0.5〜
0.9が実用上の有効範囲となる。
【0033】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。図1は本発明の第1実施例を示す動圧軸受装置を
適用した中心軸回転型且つラジアル軸受固定型のHDD
用モータの要部の横断面図であり、従来技術で説明した
ものと同一なもの及び同一機能を果たすものについては
同一符号が付してあり、これらについては重複を避ける
ために、ここでの説明は省略する。
【0034】この第1実施例にあっては、ラジアル滑り
軸受として2個のラジアル滑り軸受22A,22Bが用
いられており、これら突部としてのラジアル滑り軸受2
2A,22Bは軸方向に離間配置されて軸受ホルダー部
1aに嵌合固着されている。すなわち、ラジアル滑り軸
受22A,22Bの端面間にはスペース25が形成され
た状態となっている。
【0035】該ラジアル滑り軸受22A,22Bに対向
する部材、すなわち回転軸3におけるラジアル滑り軸受
22A,22B間には、ラジアル滑り軸受22A,22
Bの内径r1 より大なる外径r2 を有し、上記スペース
25内に突出する突出部23が設けられている。この突
出部23は、軸方向の両端から軸方向の略中央に向かう
に従って外径が大きくなる略算盤玉を半分にした断面形
状をしており、この最大外径部としての突出部端部23
Aとこの突出部端部23Aに対向する固定部材としての
軸受ホルダー部1aとの間に狭ギャップ部Xが形成され
ている。
【0036】突出部23のフレーム閉塞側端面(図にお
ける下端面)23a及びこの端面23aに対向するフレ
ーム閉塞側のラジアル滑り軸受22Bの端面(図におけ
る上端面)22BBの少なくとも一方には、スラスト動
圧発生用の溝が形成されている。
【0037】ここで、該狭ギャップ部Xのクリアランス
は、本実施例においては、3〜30μmとなっている。
また、ラジアル滑り軸受22A,22Bの内径をr1
突出部23の最大外径をr2 、これらの比(r2 /r
1 )=n1 とした時に、n1 =1.2〜3.0となるよ
うに、r1 、r2 の設定がなされている。
【0038】突出部23が収容されるスペース25は、
該狭ギャップ部Xを境にして軸方向に分けられており、
開放側(図における上側)、閉塞側(図における下側)
スペース25a,25bがそれぞれ形成されている。
【0039】軸受ホルダー部1aの凹部内で且つ磁性流
体シール8より閉塞側には、非圧縮性流体としての潤滑
油14が満たされており(勿論スペース25内にも潤滑
油が充填されている)、従って、突出部23のフレーム
閉塞側端面23aとフレーム閉塞側のラジアル滑り軸受
22Bの開放側端面22BBとの間Cに、回転軸3に対
してフレーム開放側に向うスラスト動圧力が発生するよ
うになっている。
【0040】また、上記回転軸3には、ステ−タコア6
と駆動マグネット7の磁気中心をずらす公知の手法によ
り、フレーム閉塞側に向かう磁気吸引力が作用してい
る。従って、通常は、このフレーム閉塞側に向かう磁気
吸引力と上記フレーム開放側に向うスラスト動圧力によ
り、軸方向のバランスが保たれるようになっている。
【0041】上記開放側、閉塞側スペース25a,25
bには、上述のように、潤滑油14がそれぞれ充填され
ており、従って開放側、閉塞側潤滑油溜り25a,25
bとしてそれぞれ機能するようになっている。
【0042】ここで、例えば回転軸3に押し込み方向の
振動、衝撃等が加わったとすると、ラジアル滑り軸受2
2A,22Bの内径をr1 と突出部23の最大外径をr
2 の径が異なることから、閉塞側潤滑油溜り25bの容
積が縮小しこの閉塞側潤滑油溜り25bの潤滑油が流体
抵抗の大きい狭ギャップ部X及び閉塞側ラジアル滑り軸
受22Bの摺動部Aを通り移動しようとするので、当該
部位において大きな絞り膜作用が働き、回転軸3の閉塞
側に向かう振れが抑制されることになる。
【0043】一方、例えば回転軸3に引き抜き方向の振
動、衝撃等が加わったとすると、ラジアル滑り軸受22
A,22Bの内径をr1 と突出部23の最大外径をr2
の径が異なることから、開放側潤滑油溜り25aの容積
が縮小しこの開放側滑油溜り25aの潤滑油が流体抵抗
の大きい狭ギャップ部X及び開放側ラジアル滑り軸受2
2Aの摺動部Aを通り移動しようとするので、当該部位
において大きな絞り膜作用が働き、回転軸3の開放側に
向かう振れが抑制されることになる。
【0044】このように、本実施例においては、回転軸
3に振動、衝撃等による押し込みまたは引き抜き力が加
わったとしても、狭ギャップ部Xにおいて大きな絞り膜
作用が働くので、回転軸3のスラスト方向の振れを抑制
できるようになっている。しかも、軸ロスは面積の小さ
い狭ギャップ部Xで働くので、軸ロスを大幅に減少でき
るようになっている。さらに、厳しい寸法管理は狭ギャ
ップ部Xの円周方向だけとなるので、その管理を簡易に
できるようになっている。すなわち、スラスト方向の安
定した振れ特性を、軸ロスを小さくし且つ厳しい寸法管
理をさほど必要とせずに、得ることが可能となってい
る。
【0045】また、突出部23が抜け止めとしても機能
しているので、抜け止めを新たに設ける必要がなくなっ
ており、部品点数の減少を図ることが可能となってい
る。
【0046】また、突出部23と閉塞側のラジアル滑り
軸受22Bとの間Cにスラスト動圧力を発生させるよう
にしているので、従来技術で説明したスラスト円盤13
が不要にされており、部品点数の減少を図ることが可能
となっている。
【0047】また、振動・衝撃時のスラスト方向の移動
抑制力は上記絞り膜作用により得られるようになってお
り、しかも通常のバランスをとるための閉塞側に向うス
ラスト動圧力を磁気吸引力で得ているので、閉塞側に向
うスラスト力を発生させるためのスラスト動圧発生溝が
不要となっており、従ってスラスト動圧発生溝の個数を
従来に比して減少できるようになっており、低コスト化
を図ることが可能となっている。
【0048】また、狭ギャップ部Xのクリアランスは、
絞り膜作用の3乗に反比例、軸ロスに反比例し、実用上
必要な絞り膜作用/軸ロスの2乗に反比例するので、で
きる限りクリアランスは小さいほうが良いが、実際には
ラジアル滑り軸受22A,22Bの摺動部A,Aのクリ
アランスと同程度の3μmから絞り膜作用が有効に働く
30μmとするの最適であり、本実施例においては、3
μm〜30μmとしているので、該動圧軸受装置は最も
実用的且つ効果的となっている。
【0049】また、(r2 /r1 )=n1 が大きくなる
と、突出部23の外周が大きくなることから絞り膜作用
の流体抵抗が小さくなるが、圧力発生部の面積が増える
ので、絞り膜作用は(n1 3−2n1 +1/n1 )に比例
し、軸ロスはn1 3に比例する。従って、絞り膜作用/軸
ロスは(1−2/n1 2+1/n1 4)に比例することにな
るので、n1 =1.2〜3.0が実用上の有効範囲とな
るが、本実施例においては、n1 =1.2〜3.0とし
ているので、該動圧軸受装置は最も実用的且つ効果的と
なっている。
【0050】図2は本発明の第2実施例を示す動圧軸受
装置を適用した中心軸及びラジアル軸受固定型のHDD
用モータの要部の横断面図であり、第1実施例で説明し
たものと同一なもの及び同一機能を果たすものについて
は同一符号が付してあり、これらについては重複を避け
るために、ここでの説明は省略する。
【0051】この第2実施例にあっては、回転軸3にお
けるラジアル滑り軸受22A,22Bに対向する位置
に、突部としての大径部222A,222Bがそれぞれ
設けられている。該大径部222A,222Bに対向す
る部材、すなわち軸受ホルダー部1aにおける大径部2
22A,222B間には、大径部222A,222Bの
外径r3 より小なる内径r4 を有し、大径部222A,
222B間に形成されたスペース25内に突出する突出
部33が設けられている。この突出部33は、軸方向の
両端から軸方向の略中央に向かうに従って内径が小さく
なる形状をしており、この最小内径部としての突出部端
部33Aとこの突出部端部33Aに対向する回転部材と
しての回転軸3との間に狭ギャップ部Xが形成されてい
る。
【0052】突出部33のフレーム開放側端面33b及
びこの端面33bに対向するフレーム開放側の大径部2
22Aの端面222AAの少なくとも一方には、スラス
ト動圧発生用の溝が形成されており、これら端面33
b,222AA間Cに、回転軸3に対してフレーム開放
側に向うスラスト動圧力が発生するようになっている。
従って、このフレーム開放側に向うスラスト動圧力とフ
レーム閉塞側に向かう磁気吸引力により、通常のバラン
スが保たれるようになっている。
【0053】このように構成しても、先の第1実施例と
同様な効果を得ることができるというのはいうまでもな
い。
【0054】ここで、大径部222A,222Bの外径
をr3 、突出部33の最小内径をr4 、これらの比(r
4 /r3 )=n2 とした時に、n2 =0.5〜0.9と
なるように、r3 、r4 の設定がなされている。(r3
/r4 )=n2 が小さくなると、突出部33の内周が小
さくなることから絞り膜作用の流体抵抗が大きくなる
が、圧力発生部の面積が増えるので、絞り膜作用は(n
2 3−2n2 +1/n2 )に比例し、軸ロスはn2 3に比例
する。従って、絞り膜作用/軸ロスは(1−2/n2 2
1/n2 4)に比例することになるので、n2 =0.5〜
0.9が実用上の有効範囲となるが、本実施例において
は、n2 =0.5〜0.9としているので、該動圧軸受
装置は最も実用的且つ効果的となっている。
【0055】なお、第1実施例と同様に、突出部33の
フレーム閉塞側端面33a及びこの端面33aに対向す
るフレーム閉塞側の大径部222Bの端面222BBの
少なくとも一方に、スラスト動圧発生用の溝を形成し、
これら端面33a,222BB間に、回転軸3に対して
フレーム閉塞側に向うスラスト動圧力を発生させるよう
にしても良い。しかしながら、このように構成した場合
には、磁気吸引力の方向を逆にする必要がある。
【0056】図3は本発明の第3実施例を示す動圧軸受
装置を適用した中心軸及びラジアル軸受回転型のHDD
用モータの要部の横断面図であり、第1実施例で説明し
たものと同一なもの及び同一機能を果たすものについて
は同一符号が付してあり、これらについては重複を避け
るために、ここでの説明は省略する。
【0057】この第3実施例にあっては、突部としての
ラジアル滑り軸受22A,22Bは回転軸3に嵌合固着
されている。該ラジアル滑り軸受22A,22Bに対向
する軸受ホルダー部1aにおけるラジアル滑り軸受22
A,22B間には、ラジアル滑り軸受22A,22Bの
外径r3 より小なる内径r4 を有し、ラジアル滑り軸受
22A,22B間に形成されたスペース25内に突出す
る第2実施例と同様な突出部33が設けられている。
【0058】そして、突出部33のフレーム開放側端面
33b及びこの端面33bに対向するフレーム開放側の
ラジアル滑り軸受22Aの端面22AAの少なくとも一
方には、スラスト動圧発生用の溝が形成されており、こ
れら端面33b,22AA間Cに、回転軸3に対してフ
レーム開放側に向うスラスト動圧力が発生するようにな
っている。従って、このフレーム開放側に向うスラスト
動圧力とフレーム閉塞側に向かう磁気吸引力により、通
常のバランスが保たれるようになっている。
【0059】このように構成しても、先の第1、第2実
施例と同様な効果を得ることができるというのはいうま
でもない。
【0060】図4は本発明の第4実施例を示す動圧軸受
装置を適用した中心軸回転型且つラジアル軸受固定型の
HDD用モータの要部の横断面図である。
【0061】この第4実施例が第1実施例と違う点は、
算盤玉断面形状の突出部23に代えて、ラジアル滑り軸
受22A,22Bの摺動面の径r1 より大なる外径r2
を有する円盤状の突出部43を用い、この円盤状の突出
部43の外周面に対向し軸受ホルダー部1aに嵌合固着
されたリング状の環状部材53の内周面に、第2、第3
実施例と同様な突出部端部53Aを設け、この突出部端
部53Aと突出部43との間に狭ギャップ部Xを形成し
た点である。なお、スラスト動圧発生溝は、突出部43
のフレーム閉塞側端面43a及びフレーム閉塞側のラジ
アル滑り軸受22Bのフレーム開放側端面22BBの少
なくとも一方に形成されている。
【0062】このように構成しても、第1乃至第3実施
例と同様な効果を得ることができるというのはいうまで
もない。なお、本構成を第1乃至第3実施例に適用す
る、すなわち突出部23,33を突出部端部23A,3
3Aのないリング状部材とし、このリング状部材に対向
して第1乃至第3実施例と同様な構成の突出部23,3
3を設けることは勿論可能である。
【0063】以上本発明者によってなされた発明を実施
例に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施例に
限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で
種々変形可能であるというのはいうまでもなく、例え
ば、上記実施例においては、軸ロスをできるだけ小さく
するために、突出部端部23A,33A,53Aの軸方
向長さLを図に示されるように短くしているが、突出部
23,33が固着される部材3,1aとの連設部分の長
さと同程度の長さにする(環状部材53にあっては軸受
ホルダー部1aとの連設部分の長さと同程度の長さにす
る)、すなわち突出部23,33、環状部材53の形状
を略リング形状にすることも可能である。しかしなが
ら、このように構成した場合には、軸ロスは上記実施例
より勿論大きくなるが、本発明効果が妨げられるもので
はない。
【0064】また、第1、第2、第4実施例の動圧軸受
装置を、回転部材と固定部材を逆にした中心軸固定型且
つラジアル軸受回転型のモータに対して適用することも
可能であり、また、第3実施例の動圧軸受装置を、回転
部材と固定部材を逆にした中心軸固定型且つラジアル軸
受固定型のモータに対して適用することも可能である。
因に、このようなモータに適用した場合には、第1、第
4実施例の動圧軸受装置にあっては、スラスト動圧発生
溝を、他方の軸受22Aの突出部23,43側端面及び
この端面に対向する突出部23,43の端面の少なくと
も一方に、また第2実施例の動圧軸受装置にあっては、
スラスト動圧発生溝を、他方の大径部222Bの突出部
33側端面及びこの端面に対向する突出部33の端面の
少なくとも一方に、また第3実施例の動圧軸受装置にあ
っては、スラスト動圧発生溝を、他方の軸受22Bの突
出部33側端面及びこの端面に対向する突出部33の端
面の少なくとも一方に設ける必要がある。ここで、スラ
スト動圧発生溝を各実施例のままとするならば、磁気吸
引力を反対の方向に働かせる必要がある。
【0065】また、突出部23,33,43と突部との
間でスラスト動圧力を発生させずに、他の部材(例えば
従来技術で説明したスラスト円盤13)によりスラスト
動圧力を発生させるようにしても良い。なお、このよう
にしても、振動・衝撃時のスラスト方向の移動抑制力は
上記絞り膜作用により得られるようになっており、しか
も通常のバランスをとるための一方のスラスト動圧力を
磁気吸引力で得ているので、このスラスト動圧力を発生
させるためのスラスト動圧発生溝は不要であり、上記実
施例と同様に、その個数を減少することができる。
【0066】また、上記実施例においては、突出部2
3,33、環状部材53の形状が、各図において軸方向
において非対称に描かれているが、勿論対称形状であっ
ても良い。
【0067】また、突部を3個以上としても良い。
【0068】また、上記実施例においては、非圧縮性流
体をオイル等の潤滑油としているが、これに限定される
ものではなく、例えば磁性流体等であっても良く、特に
スペース25に充填される流体に限っていえば、絞り膜
作用を起こさせる非圧縮性流体であればどのようなもの
であっても構わない。
【0069】また、上記実施例においては、動圧軸受装
置をHDD用のスピンドルモータに対して適用した例が
述べられているが、他のモータに対して適用することも
勿論可能である。
【0070】
【発明の効果】以上述べたように、第1乃至第10発明
の動圧軸受装置によれば、たとえ回転部材に振動、衝撃
等による押し込みまたは引き抜き力が加わったとして
も、狭ギャップ部において大きな絞り膜作用が働くの
で、回転部材のスラスト方向の振れを抑制できる。しか
も、軸ロスは面積の小さい狭ギャップ部で働くので、軸
ロスを大幅に減少できる。さらに、厳しい寸法管理は狭
ギャップ部の円周方向だけとなるので、その管理を簡易
にできる。すなわち、スラスト方向の安定した振れ特性
を、軸ロスを小さくし且つ厳しい寸法管理をさほど必要
とせずに、得ることが可能となる。
【0071】また、第5発明の動圧軸受装置によれば、
突出部が抜け止めを兼用するので、抜け止めを新たに設
ける必要がないという新たな効果がある。
【0072】また、第6発明の動圧軸受装置によれば、
突出部と突部との間にスラスト動圧力を発生させている
ので、従来用いていた、例えばスラスト円盤等のスラス
ト軸受を不要にできるという新たな効果がある。
【0073】また、第7発明の動圧軸受装置によれば、
一方のスラスト動圧力を磁気吸引力で得ているので、こ
のスラスト動圧力を発生させるためのスラスト動圧発生
溝が不要となり、従ってスラスト動圧発生溝の個数が減
少され、低コスト化が可能となるという新たな効果があ
る。
【0074】また、第8発明の動圧軸受装置によれば、
狭ギャップ部のクリアランスを、ラジアル軸受の摺動部
のクリアランスと同程度の3μmから絞り膜作用が有効
に働く30μmとしているので、該動圧軸受装置は最も
実用的且つ効果的となる。
【0075】また、第9発明の動圧軸受装置によれば、
絞り膜作用/軸ロスは、(1−2/n1 2+1/n1 4)に
比例することになるが、n1 =1.2〜3.0としてい
るので、該動圧軸受装置は最も実用的且つ効果的とな
る。
【0076】また、第10発明の動圧軸受装置によれ
ば、絞り膜作用/軸ロスは、(1−2/n2 2+1/
2 4)に比例することになるが、n2 =0.5〜0.9
としているので、該動圧軸受装置は最も実用的且つ効果
的となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例を示す動圧軸受装置を適用
した中心軸回転型のHDD用モータの要部の横断面図で
ある。
【図2】本発明の第2実施例を示す動圧軸受装置を適用
した中心軸回転型のHDD用モータの要部の横断面図で
ある。
【図3】本発明の第3実施例を示す動圧軸受装置を適用
した中心軸回転型のHDD用モータの要部の横断面図で
ある。
【図4】本発明の第4実施例を示す動圧軸受装置を適用
した中心軸回転型のHDD用モータの要部の横断面図で
ある。
【図5】従来技術を示す動圧軸受装置を適用した中心軸
回転型のHDD用モータの横断面図である。
【符号の説明】
1 固定部材 3 回転部材 14 非圧縮性流体 22A,22B,222A,222B 突部 23,33,43 突出部 25 スペース 25a,25b 非圧縮性流体溜り A ラジアル軸受の摺動部 X 狭ギャップ部 r1 突部の内径 r2 突出部の外径 r3 突部の外径 r4 突出部の内径

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回転部材を回転自在に支承するラジアル
    軸受を備え、このラジアル軸受の摺動部に充填された非
    圧縮性流体に動圧を生ぜしめるよう構成された動圧軸受
    装置において、 回転部材または固定部材の何れか一方に、他方に対して
    突出する突部を軸方向に離間して設けると共に、 これら突部に対向する他方の部材と該突部との間に非圧
    縮性流体を充填して、ラジアル軸受の摺動部を構成し、 これら突部に対向する他方の部材に、該突部間に形成さ
    れたスペース内に突出すると共に、前記突部の摺動面の
    径と異なる径で形成された突出部を設け、 この突出部に対向する部材と該突出部との間に、狭ギャ
    ップ部を設けると共に、 前記スペース内に非圧縮性流体を充填してなる動圧軸受
    装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の動圧軸受装置において、 突部は、ラジアル軸受であることを特徴とする動圧軸受
    装置。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の動圧軸受装置において、 突部は、軸に設けられた大径部であることを特徴とする
    動圧軸受装置。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の動圧軸受装置において、 狭ギャップ部を境にして軸方向に分けられたスペース
    を、非圧縮性流体溜りとしたことを特徴とする動圧軸受
    装置。
  5. 【請求項5】 請求項1記載の動圧軸受装置において、 突出部は、抜け止めを兼用することを特徴とする動圧軸
    受装置。
  6. 【請求項6】 請求項1記載の動圧軸受装置において、 突出部と突部との間に、スラスト動圧力を発生させてな
    る動圧軸受装置。
  7. 【請求項7】 請求項1記載の動圧軸受装置において、 回転部材のスラスト方向の通常のバランスは、スラスト
    動圧発生溝によるスラスト動圧力とこれに対向する方向
    の磁気吸引力により平衡が保たれることを特徴とする動
    圧軸受装置。
  8. 【請求項8】 請求項1記載の動圧軸受装置において、 狭ギャップ部のクリアランスを、3〜30μmとしたこ
    とを特徴とする動圧軸受装置。
  9. 【請求項9】 請求項1記載の動圧軸受装置において、 突部を軸に対向する部材に設け、該突部の内径をr1
    突出部の外径をr2 、突部内径に対する突出部の外径の
    比(r2 /r1 )=n1 とした時に、n1 =1.2〜
    3.0としたことを特徴とする動圧軸受装置。
  10. 【請求項10】 請求項1記載の動圧軸受装置におい
    て、 突部を軸に設け、該突部の外径をr3 、突出部の内径を
    4 、突部外径に対する突出部の内径の比(r4 /r
    3 )=n2 とした時に、n2 =0.5〜0.9としたこ
    とを特徴とする動圧軸受装置。
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