JP3009294B2 - 建築用パネルの取付構造 - Google Patents

建築用パネルの取付構造

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聖一 富田
雅彦 阿倍
英喜 滝口
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は建築、構築物の外壁を形
成するための、建築用パネルの取付構造に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の建築用パネル(以下、単
にパネルという)の壁下地への取り付けは、例えば図1
4に示すように下段のパネルa1 の凹溝をヘクス、テク
ス等の固定具βで鉄骨下地等からなる壁下地αに固定
し、上段のパネルa2 を落とし込み、その上面で凹溝、
すなわち固定具βの頭を被覆しながら順次下段から上段
へ施工して行く取付構造が上市されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記取
付方法はあくまでもパネル表面側からの取付構造であ
り、現在の大都市に見られるような建築物の密集化に伴
い、建築物同士の立地間隔が狭く、表側からパネル取り
付けのための足場を設置できないような条件下では、上
記した従来の取付方法を用いることができないという欠
点があった。さらに、パネルが直接壁下地に固定されて
いるために、地震等の壁下地の振動に対してパネルが追
従することができず、固定部が破壊され剥落する危険性
があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】そこで本発明では、雄、
雌連結構造により形成されているパネル間にパネル支持
具とパネル取付具を介し、パネルを支持しているパネル
支持具を突起を有するパネル取付具により柱状の壁下地
の側面に固定具、あるいは溶接により取り付けることに
より、パネルをパネル裏面側、すなわち建築物の室内側
より取り付けることができ、しかも通常の取付強度と施
工性を失うことなく取り付けることができる構造を提案
するものである。
【0005】
【実施例】以下に図面を用いて本発明に係る建築用パネ
ルの取付構造について詳細に説明する。図1〜図3は本
発明に係る取付構造の代表例を示す断面図であり、パネ
ルA、パネル支持具B、パネル取付具C、壁下地α、固
定具βとからなる構造である。
【0006】壁下地αは例えば図4に示すようなC型
鋼、もしくは図示しないが、L型鋼、H型鋼、角型鋼管
等の鉄骨下地、あるいは主柱、間柱等の木造下地等より
なるものである。
【0007】パネルAは例えば図5(a)に示すよう
に、表面材1、裏面材17、芯材20からなるサンドイ
ッチ構造のパネルAである。表面材1は不燃性の金属薄
板材よりなり、例えばAl、Fe、Cu、ステンレス、
アルミ・亜鉛合金メッキ鋼板、カラー鋼板、ホーロー鋼
板、フッ素樹脂塗装鋼板、クラッド鋼板、サンドイッチ
鋼板等の一種をプレス成形、押出成形、ロール成形等に
よって形成したもので、パネルAに対しメンテナンスフ
リーの効果を発揮させるものである。
【0008】さらに詳説すると、表面材1は図5(b)
に示すように、横長の化粧面部2と、雄型連結部6、雌
型連結部12とから樋状部1aを形成したものであり、
化粧面部2は化粧面2aの長手方向の端縁を内方に任意
角度で屈曲した側壁3、4と側壁3の下端縁を外方に突
出した目地下地5とから形成したものである。雄型連結
部6は目地下地5の先端をさらに外方に突出した上縁8
と、上縁8の先端を内方に略コ字状に屈曲した下縁9よ
りなる差込縁7と、差込縁7の上縁8に形成した凹状の
凹溝10と、下縁9の先端を内方にL字状に屈曲した補
強片11よりなるものである。
【0009】差込縁7は図2、図3に示すように、後記
する雌型連結部12の嵌合溝15に挿入され壁下地αに
固定される部分であると共に、後記するパネル支持具B
の固定溝26に挿入係止され、パネル支持具Bと一体化
する部分である。また凹溝10は、連結部内に空隙を形
成して毛細管現象を防止し、防水性を強化するためのも
のである。
【0010】雌型連結部12は側壁4の下端縁を内方に
屈曲した上面13と、上面13の先端を外方に屈曲した
下面14と、上面13と下面14とから断面略コ字状に
形成した嵌合溝15と、下面14の先端を内方に突出し
た補強片16とからなるものである。この嵌合溝15
は、雄型連結部6の差込縁7に係合され壁下地αにパネ
ルAを固定する部分である。なお、化粧面2aに形成し
た段差2b、2cは、化粧目地を階段状とすることによ
り、目地部の立体化、明確化を図り、意匠性を向上する
ものである。
【0011】裏面材17は図5(c)に示すように、長
尺状板材の一端縁を内方に板材と略平行でL字状に屈曲
した内片18と、他端縁を外方に板材と略平行でL状に
屈曲した外片19とから形成されたものであり、図では
内片18、外片19の先端を上方に屈曲して安定片18
a、19aを形成し、係合時のガイド面、生産時の型と
して機能させ、これらより樋状部17aを形成したもの
である。この裏面材17は後記する芯材20の裏面を覆
ってパネルAをサンドイッチ構造体とし、パネルA自体
の機械強度を向上すると共に、不燃シート、防水膜、遮
熱シート、吸水シート、防音シート、パッキング材など
の1つの機能として役立つものであり、その素材として
は前記表面材1と同質の金属材、あるいはアスベスト
紙、クラフト紙、アスファルトフェルト、金属箔(A
l、Fe、Pb、Cu)、合成樹脂シート、ゴムシー
ト、布シート、石膏紙、水酸化アルミ紙、ガラス繊維不
織布等の1種、または2種以上をラミネートしたもの、
防水処理、難燃処理されたシートなどからなるものであ
る。
【0012】その装着は、後記する芯材20により一体
に形成すると共に、下縁9、内片18により断面凹状の
雌実部21を、下面14、外片19により断面凸状の雄
実部22を形成し、図1〜図3に示すようにパネル支持
具Bを介して差込縁7と嵌合溝15を係合すると共に、
雌実部21に雄実部22を差し込むように係合し、パネ
ルA同士を連結するためのものである。また、裏面材1
7の内片18、外片19は連結部において耐火性、防水
性、気密性を大幅に向上するためのものであり、特に万
が一の火災に対して、裏面17bまで火炎が侵入するの
を防止し、耐火試験に合格し得るパネルAとするための
ものである。
【0013】芯材20は主に合成樹脂発泡体を用い、断
熱材、防水材、防音材、緩衝材、防火材等として機能す
るものであり、例えばポリイソシアヌレートフォーム、
フェノールフォーム、ポリウレアフォーム、ポリイミド
フォーム等の合成樹脂発泡体、およびこれら合成樹脂発
泡体に難燃剤(硼酸塩、珪酸塩、リン酸塩等)、難燃助
剤(石膏スラグ、タルク、シラスバルーン等)、骨材
(パーライト、ガラスビーズ等)、繊維状物(長、短繊
維)等を混入したもの、パーライトの周囲にフェノール
フォーム粉末をコーティングし、これを加温、加圧して
発泡させたもの、石膏ボード、岩綿ボード、グラスウー
ルボード、ALC、インシュレーションボード、木片チ
ップボード、グラスウール等で、単一素材、あるいは複
数の素材を組み合わせて形成したものであり、表面材
1、裏面材17の樋状部1a、17aに充填するもので
ある。また、23はパッキンであり、パネルA間の防水
性を強化するものである。
【0014】パネル支持具Bは図6に示すような短尺材
であり、図1〜図3に示すようにパネルAの雌実部21
に挿入され、雌実部21側を固定するためのものであ
り、垂直平面状の固定面24、ガイド面25と、固定面
24とガイド面25間の固定溝26と、固定溝26の最
奥端を水平に突出した突出片27と、突出片27の先端
をパネルAの雌実部21の形状と略同じ形状に形成した
側片28、底片29、係止片30よりなる凸部31、凹
部32と、係止片30の先端を略コ字状に屈曲した引っ
掛け片33と、係止片30と引っ掛け片33とからなる
係止溝34とからなるものである。
【0015】パネル取付具Cは図7に示すような短尺材
であり、図1〜図3に示すようにパネルAの雌実部21
に挿入されたパネル支持具Bの固定溝26に挿入される
固定片35と、固定片35の一端を90°で屈曲した固
定部36と、固定片35の他端を内方に突出した突起3
7と、固定部36に形成した下孔38とからなるもので
ある。
【0016】さらに詳説するとパネル取付具Cの固定片
35は図1〜図3に示すようにパネル支持具Bの固定溝
26に挿入されるものであり、固定部36を固定具β
(図ではボルト・ナット)により壁下地αの側面に取り
付けることにより、パネルAを壁下地αに固定するもの
である。
【0017】また、突起37はパネル取付具Cの固定片
35をパネル支持具Bの固定溝26に挿入した際に、パ
ネル取付具Cの固定部36とこの突起37によりパネル
支持具Bの固定面24を3面により押さえ込むことによ
り嵌合し、パネル支持具Bが左右に移動するのを防止す
るものである。
【0018】なお、パネル取付具Cは図ではボルト・ナ
ットよりなる固定具βにより取り付けているが、溶接に
より取り付けることもできる。
【0019】また、パネル支持具B、パネル取付具Cの
素材としては、アルミ合金、鋼材、ステンレス、プラス
チック材等の押出品、ロール加工品、プレス加工品であ
り、パネルAの自重をささえるだけの強度のあるもので
あれば良いものである。
【0020】ここで各部の寸法関係について簡単に説明
すると、パネル支持具Bにおいて幅をl1 、固定溝26
の開口の幅をt1 、固定面24の厚さをt2 、パネル取
付具Cにおいて幅をl2 、固定片35の板厚をt3 、突
起37の長さをt4 とすると、l1 ≒l2 、t1
3 、t2 ≒t4 の関係である。
【0021】次に施工例について簡単に説明する。い
ま、図4に示す壁下地α(C型鋼)、図6、図7に示す
ようなパネル支持具B、パネル取付具Cを用いて図1〜
図3に示すように横張りで施工すると仮定する。なお、
パネル支持具B、パネル取付具Cは1.6mm厚の鋼材
よりなり、パネルAとしては、表面材1、裏面材17と
して0.5mm厚のカラー鋼板を用い、芯材20として
はフェノールフォーム原料にパーライト粒を混入した原
料を吐出し、反応、発泡させ、次にキュアして一体化し
たものである。そこでC型鋼からなる壁下地αに第n段
目のパネルA1 の雄型連結部6側を固定するためにパネ
ル支持具Bの凸部31を雌実部21に挿入する。
【0022】次に、パネル支持具Bの固定溝26にパネ
ル取付具Cの固定片35を挿入すると共に、固定部36
と突起37により固定面24を挟み込み、下孔38を介
してドリルにより壁下地αに下孔を形成し、この孔と下
孔38にボルト・ナットを挿入し締め付ける。この工程
を壁下地αのピッチごとに行うことにより、第n段目の
パネルA1 の施工を完了する。
【0023】次に、n+1段目のパネルA2 をクレーン
等で建築物の屋上から吊り下げてパネルA1 の雌実部2
1にパネルA2 の雄実部22を落とし込むものである。
また壁体全体を形成するには、上記したような工程を順
次行えばよいものである。なお、土台部分には水切り
(図示せず)、出、入隅、縦目地等の部分(図示せず)
にはコーキング材、役物を用いる必要がある。
【0024】以上説明したのは、本発明に係る建築用パ
ネルの取付構造の一実施例であり、例えばパネルAを図
8(a)〜(f)に示す断面形状とすることもできる。
特に図8(f)は雌実部21にパッキング材39を形成
したものであり、軟質のシリコン、ゴム、プラスチック
等からなるものである。
【0025】また、図9は芯材20のその他の例であ
り、すなわち、表面材1、裏面材17と芯材20間に、
不織布40、41を接着剤42を介して介在させると共
に、軽量骨材43を細密充填し、そのバインダーとして
合成樹脂発泡体44を用いたものである。
【0026】不織布40、41としては、ポリエステル
系、ナイロン系、ボロン系、炭素系、アルミナ系、炭化
ケイ素系、アラミド系の繊維からなるシート状物であ
り、パネルAの機械的強度の向上、表面材1、裏面材1
7と芯材20の接着性の強化、表面材1、裏面材17の
フラット性を向上させる機能を持つものである。
【0027】接着剤42の一例としてはエラストマー型
エポキシ樹脂、イソシアネート、例えばメチレンジイソ
シアネート(略称MDI)等のエマルジョンタイプ、ホ
ットメルトタイプ、および、その変性イソシアネート、
例えばウレタン変性、ビュレット変性イソシアネート、
イソシアヌレート変性イソシアネート等の1種を用いる
ものである。
【0028】軽量骨材43としては、パーライト粒、ガ
ラスビーズ、石膏スラグ、タルク石、シラスバルーン等
からなり、図9では直径5〜20mm程度のパーライト
粒を用いており、芯材20に対し防火性、耐火性を向上
させると共に、パネルAの機械的強度をも向上させるも
のである。
【0029】合成樹脂発泡体44としては、前記したポ
リイソシアヌレートフォーム、フェノールフォーム、ポ
リウレタンフォーム、ポリイミドフォーム、塩化ビニル
フォーム等からなり、パネルAの断熱性の向上、芯材2
0の難燃剤、軽量骨材43のバインダー、不織布40、
41の接着剤として機能するものである。
【0030】また、図10〜図12はパネル支持具Bの
変形例であり、図10(a)〜(f)、図11(a)〜
(d)は押出成形により形成したパネル支持具Bであ
り、特に図11(d)は固定面24を下方に形成したパ
ネル支持具B、図12(a)〜(c)はロール成形、プ
レス加工により形成したパネル支持具Bであり、特に図
12(c)は固定面24を90°で屈曲し、パネル固定
面45を形成したパネル支持具Bである。
【0031】さらに、図13(a)〜(d)はパネル取
付具Cの変形例であり、特に(a)図は引っ掛け片46
を形成したパネル取付具C、(c)図は図11(d)に
対応したパネル取付具C、(d)図は固定片35の下端
を屈曲し、パネル支持具Bの凸部31を形成したパネル
取付具Cである。
【0032】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る建築
用パネルの取付構造によれば、建築物の表側からのパ
ネルの取り付けができない条件下であっても、パネル取
付具を壁下地の側面に固定する構造のためパネルをその
裏面側(室内側)から通常の取付強度と施工性を失うこ
となく取り付けることができる構造となる。建築用パ
ネル本体が直接固定具により固定されていないために、
地震等の壁下地の変形に対しても建築用パネルが追従
し、剥落することがない。パネル支持具の突起によ
り、パネル取付具が左右に移動することがない。等の効
果、特徴がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る建築用パネルの取付構造の代表例
を示す斜視図である。
【図2】本発明に係る建築用パネルの取付構造の代表例
を示す断面図である。
【図3】本発明に係る建築用パネルの取付構造の代表例
を示す断面図である。
【図4】上記構造に用いられる壁下地の一例を示す斜視
図である。
【図5】同様に建築用パネルの一例を示す説明図であ
る。
【図6】同様にパネル支持具を示す斜視図である。
【図7】同様にパネル取付具を示す斜視図である。
【図8】建築用パネルのその他の例を示す説明図であ
る。
【図9】芯材のその他の例を示す説明図である。
【図10】パネル支持具のその他の例を示す説明図であ
る。
【図11】パネル支持具のその他の例を示す説明図であ
る。
【図12】パネル支持具のその他の例を示す説明図であ
る。
【図13】パネル取付具のその他の例を示す説明図であ
る。
【図14】従来例を示す説明図である。
【符号の説明】
A 建築用パネル B パネル支持具 C パネル取付具 α 壁下地 1 表面材 6 雄型連結部 12 雌型連結部 17 裏面材 20 芯材 24 固定面 26 固定溝 31 凸部 35 固定片 36 固定部 37 突起
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) E04F 13/08 - 13/18 E04B 2/88 - 2/96

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 長尺状板材の表面材、裏面材間に芯材を
    充填し、左右端に雄雌連結構造の雌実部、雄実部を形成
    した建築用パネルと、垂直平面状の固定面と、該固定面
    の下端、あるいは上端を水平に突出し、下方に前記建築
    用パネルの雌、雄実部と略同一形状で、雌実部に挿入可
    能な凸状に突出した凸部を有する短尺状のパネル支持具
    と、少なくとも固定片と固定部とから断面略L字状に形
    成すると共に、該固定片は前記パネル支持具の固定面の
    幅と同じ長さで先端にパネル支持具の固定面の厚さと同
    じ長さだけ内方に突出した突起を形成したパネル取付具
    と、柱状の壁下地とを備え、前記建築用パネルの雌、雄
    実部間にパネル支持具の凸部が嵌合され、該パネル支持
    具の固定面をパネル取付具の固定片により被覆すると共
    に固定部と突起によりパネル支持具の固定面を嵌合して
    一体化し、パネル取付具の固定部が柱状の壁下地の側面
    に固定されていることを特徴とする建築用パネルの取付
    構造。
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