JP3007441B2 - ケイ素液晶化合物 - Google Patents

ケイ素液晶化合物

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JP3007441B2 JP3160896A JP16089691A JP3007441B2 JP 3007441 B2 JP3007441 B2 JP 3007441B2 JP 3160896 A JP3160896 A JP 3160896A JP 16089691 A JP16089691 A JP 16089691A JP 3007441 B2 JP3007441 B2 JP 3007441B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はケイ素液晶化合物および
該化合物を含有する液晶組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】液晶化合物は表示素子材料として用いら
れ、時計、電卓などに広く使用されている。液晶表示素
子は、液晶物質の光学異方性および誘電率異方性を利用
したものである。液晶相にはネマチック液晶相、スメク
チック液晶相、コレステリック液晶相があり、そのうち
ネマチック液晶相を利用したものが最も広く実用化され
ている。
【0003】液晶表示素子には、液晶表示に応用されて
いる電気光学効果に対応して、TN(ねじれネマチッ
ク)型、DS(動的散乱)型、ゲスト・ホスト型、DA
P型などがある。これらのうちでTN型が広く用いら
れ、その液晶材料としてはネマチック相に属するものを
用いられている。それぞれに使用される液晶物質は自然
界のなるべく広い温度範囲で液晶相を示すものが望まし
い。現在のところ、単一の液晶物質で、そのような条件
をみたす物質はなく、数種の液晶物質、またはさらに非
液晶物質を混合して実用に供している。これらの物質す
なわち、液晶混合物、液晶組成物の特性は、水分、光、
熱、空気などに対応して安定であること、粘度上昇によ
り応答速度が低下するので混合による粘度上昇がないこ
と、また、低温から高温までネマチック液晶温度範囲を
有することなどが望まれる。
【0004】本発明者は、既に特開平2−180890
号において、式
【化2】 で示されるケイ素液晶化合物を開示しているが、さらに
高い温度まで液晶相を示す化合物が望まれる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、広い
温度範囲で液晶相を示し、また他の液晶混合物あるいは
液晶混合物と非液晶物質との混合物に少量混合して、も
との液晶混合物の粘度をそれ程高めることなく、液晶温
度範囲を拡大する新規の液晶化合物および該化合物を含
有する液晶組成物を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は前記課題を解
決するため鋭意研究を重ねた結果、約240℃から30
0℃以上まで液晶相を示し、また他の液晶組成物に少量
加えることにより、液晶組成物のN−I点を上昇させる
ことができる新規なケイ素液晶化合物を見出し、本発明
を完成するに至った。すなわち、
【0007】本発明のケイ素液晶化合物は、式
【化3】 で表わされることを特徴とする。また、
【0008】本発明の液晶組成物は、前記式(1)で表
わされるケイ素液晶化合物を少なくとも一種類含有する
ことを特徴とする。
【0009】本発明のケイ素液晶化合物の製造方法は、
例えば、下記の化4〜7の反応式によって示される。
【化4】
【化5】
【化6】
【化7】
【0010】すなわち、2倍モルの4,4′‐(ω‐ア
ルケニオキシ)ビフェニルカルボン酸メチルエステル
(I)に、1,1,3,3‐テトラメチルシロキサン
(II)を白金触媒で反応させて、1,3‐ビス(4,
4′‐メトキシカルボニルビフェニルオキシアルキル)
‐1,1,3,3‐テトラメチルシロキサン(III) と
し、これに硫酸を作用させて、加水分解反応させてカル
ボン酸として1,3‐ビス(4,4′‐ヒドロキシカル
ボニルビフェニルオキシアルキル)‐1,1,3,3‐
テトラメチルシロキサン(IV)を得る。この化合物(I
V)に塩化チオニルを作用させ、酸クロリドすなわち
1,3‐ビス(4,4′‐クロロカルボニルビフェニル
オキシアルキル)‐1,1,3,3‐テトラメチルシロ
キサンとし、これと反応するフェノール類たとえば4‐
ハロゲノフェノール、4‐ヒドロキ‐4′‐ハロゲノビ
フェニルなどを反応させて目的とする式(1)で示され
る本発明の液晶ケイ素化合物を得る。
【0011】本発明のケイ素液晶化合物の製造方法の他
の例は次式で示される。
【化8】
【0012】すなわち、4‐ω‐アルケニルオキシ‐
4′‐ビフェニルカルボン酸‐4‐置換フェニルエステ
ル(VI)と1,1,3,3‐テトラメチルシロキサン
(II)と白金触媒の作用によって式(1)で示される本
発明のケイ素液晶化合物を得る。
【0013】本発明のケイ素液晶化合物は、広い温度範
囲で液晶相を示し、かつ液晶から液体になる温度が高
い。また液晶組成物に少量添加することにより粘度をそ
れ程高くせず、液晶組成物の液晶‐液体点(N‐I点)
を上昇させることができる。また、本発明の化合物は、
多くの液晶化合物、すなわち、エステル系、シッフ塩基
系、ビフェニル系、フェニルシクロヘキサン系、複素環
系などの化合物との相溶性がよい。
【0014】本発明の液晶組成物は、式(1)に示す本
発明のケイ素液晶化合物を少なくとも一成分含有するこ
とを特徴とする。本発明の液晶組成物の成分にできる本
発明の化合物以外の他の成分としては、例えばエステル
系、シッフ塩基系、ビフェニル系、フェニルシクロヘキ
サン系、複素環系などの化合物をあげることができる。
【0015】これらの化合物の具体例としては、つぎの
化合物を示すことができる。エステル系の液晶化合物と
しては、トランス‐4‐アルキルシクロヘキサンカルボ
ン酸‐4‐アルキルフェニルエステル、トランス‐4‐
アルキルシクロヘキサンカルボン酸‐4‐アルコキシフ
ェニルエステル、4‐アルコキシ安息香酸‐4‐アルキ
ルフェニルエステル、4‐アルキル安息香酸‐4‐シア
ノフェニルエステル、4‐(トランス‐4‐アルキルシ
クロヘキシル)安息香酸‐4‐シアノフェニルエステル
など、
【0016】シッフ塩基系液晶化合物としては、4‐ア
ルコキシベンジリデン‐4‐アルカノイルオキシアニリ
ン、4‐アルコキシベンジリデン‐4‐アルアルキルア
ニリン、4‐アルコキシベンジリデン‐4‐シアノアニ
リンなど、ビフェニル系液晶化合物としては、4′‐ア
ルキル‐4‐シアノビフェニル、4′‐アルコキシ‐4
‐シアノビフェニル、4′‐アルコキシ‐4‐アルキル
ビフェニルなど、フェニルシクロヘキサン系化合物とし
ては、トランス‐4‐アルキル‐(4‐シアノフェニ
ル)シクロヘキサン、トランス‐4‐アルキル‐(4‐
アルコキシフェニル)シクロヘキサンなど、
【0017】複素環系液晶化合物としては、5‐アルキ
ル‐2‐(4‐シアノフェニル)‐1,3‐ジオキサ
ン、5‐アルキル‐2‐(4‐シアノフェニル)ピリジ
ン、5‐シアノ‐2‐(4‐アルキルフェニル)ピリジ
ンなどをあげることができる。
【0018】
【実施例】以下実施例によって、本発明を更に具体的に
説明するが、本発明はこの実施例によって何等限定され
るものではない。
【0019】(実施例1) 1,3−ビス[4,4’−(4−フルオロフェニルオキ
シカルボニル)ビフェニルオキシプロピル]−1,1,
3,3−テトラメチルシロキサン([I]式においてX
=F、N=1、m=3)の製造: 窒素雰囲気下に、1,1,3,3−テトラメチルシロキ
サン7.5gをトルエン50mlに溶解し、よくかくは
んする。これに4,4’−アリルオキシビフェニルカル
ボン酸メチルエステル32gをトルエン500ml、ス
パイヤー触媒を5μl加えたものを40℃にて2時間で
滴下した。更にこの温度で50時間反応を続けた。反応
終了後、トルエンを留去後、残った固形物をすぐつぎの
反応に用いた。この固形物に酢酸500mlと6N硫酸
100mlを加えマントルヒーター上で5時間還流した
後放冷した。これに水2リットルを加え、析出した沈殿
をろ過し、よく水洗した後、よく乾燥した。酢酸で再結
晶精製を行ないカルボン酸として1,3−ビス(4−ヒ
ドロキシカルボニルビフェニル−4’−オキシプロピ
ル)−1,1,3,3−テトラメチルシロキサンを得
た。
【0020】このカルボン酸6.5gに過剰の塩化チオ
ニルを加え、5時間還流した。減圧にて、塩化チオニル
を留去すると固形物が残る。これをトルエン150ml
に溶解し、別に4−フルオロフェノール1.5gをピリ
ジン50mlとトルエン300mlに溶かしたものに加
え、よくかくはんした。一晩放置してから、水500m
l中にあけ、トルエン100mlを加えて抽出した。ト
ルエン層を2N苛性ソーダ水溶液で洗浄した後、中性に
なるまで水洗した。ついで無水硫酸ナトリウムで乾燥
後、トルエンを減圧で留去し、残った固形物を活性アル
ミナのカラムを用いて、トルエンを溶出溶媒としてカラ
ムクロマトグラフィーで精製した。溶出したトルエン溶
液を減圧にしてトルエンを留去し、残った固形物をアセ
トンで再結晶で精製を行って、目的とする1,3−ビス
[4,4’−(4−フルオロフェニルオキシカルボニ
ル)ビフェニルオキシプロピル]−1,1,3,3−テ
トラメチルジシロキサンを製造した。収量は2,5g
(収率36%)であった。結晶−スメクチック液晶転移
点(C−S点) 106.5℃、スメクチック液晶−透
明点(S−I点)245.7℃、であった。
【0021】(実施例2,3) 4,4’−アリルオキシビフェニルカルボン酸メチルエ
ステルの代りに4,4’−ω−アルケニルオキシビフェ
ニルカルボン酸メチルエステルを用い、また4−フルオ
ロフェノールの代りに他のフェノール誘導体を用いる以
外は実施例1と同様にして、種々のエステル化合物を製
造した。これらの結果を実施例1の結果と共に表1に示
した。
【0022】
【表1】
【0023】(参考例) (a).つぎの組成の液晶混合物(A)を調製した。 トランス−4−プロピルー(4−シアノフェニル)シクロヘキサン 30重量% トランス−4−ペンチルー(4−シアノフェニル)シクロヘキサン 40重量% トランス−4−ヘプチルー(4−シアノフェニル)シクロヘキサン 30重量% この液晶混合物(A)のN−I点は52.3℃における
屈折異方性Δn(=n−nであり、配向ベクトルに
平行な方向の屈折率の差と垂直な方向の屈折率の差)は
0.119、粘度は21.7mPa・sであった。
【0024】(b).液晶セルとして、酸化ケイ素をコ
ーティングして、ラビング処理した酸化スズ透明電極を
有する基板を電極間距離9μmに対向させて組み立て
た。この液晶セルに前記の液晶混合物(A)を封入し
て、20℃で、その特性を測定したところ、誘電率異方
性値Δε(=ε−εであり、液晶軸方向に平行な誘
電率と直角な誘電率との差)は+10.7、しきい値電
圧Vthは1.60Vであった。
【0025】(実施例4)応用例1 (a).参考例(a)の液晶混合物(A)95重量%
に、実施例1で製造した1,3−ビス[4,4’−(4
−フルオロフェニルオキシカルボニル)ビフェニルオキ
シプロピル]−1,1,3,3−テトラメチルシロキサ
ン5重量%溶解し本発明の液晶ソセイブツを製造した。
この組成物のN−I点は59.1℃、屈折率異方性Δn
は0.115、粘度は21.9mPa・sであった。
【0026】(b).上記(a)で得られた本発明の液
晶組成物を参考例(b)と同様の液晶セルに封入して2
0℃でその特性を測定したところ、誘電率異方性値Δε
は+9.5、しきい値電圧Vthは1.65Vであっ
た。参考例と実施例4を比較すると、実施例4の組成物
は、N−I点は上昇したにもかかわらず、粘度もあまり
変化せず、Δnも少し小さくなった。また、本発明者が
特開平2−180890号において示したケイ素液晶化
合物よりも液晶温度範囲は拡大し、高い温度まで液晶相
を示す。
【0027】
【発明の効果】本発明の化合物は、広い温度範囲で液晶
相を示し、かつ高い温度まで液晶相を示し、液晶組成物
に少量添加することにより、粘度を高めることなく、液
晶組成物のN‐I点を上昇させΔnも小さくすることが
できる。多くの液晶化合物、すなわちエステル系、シッ
フ塩基系、ビフェニル系、フェニルシクロヘキサン系、
複素環系などの化合物との相溶性が良好であり、本発明
の化合物を液晶組成物に少量添加することによって、粘
度をそれ程上昇させずに、Δnを小さくすることができ
る。これらの化合物はSTN(スーパートウィステッド
ネマチック)型標示素子に有利に応用できる。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式 【化1】 で表わされるケイ素液晶化合物。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の式(1)で表わされるケ
    イ素液晶化合物を少なくとも一種類含有する液晶組成
    物。
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