JP3007049B2 - 溝付きコアへの光ファイバ心線落とし込み方法 - Google Patents

溝付きコアへの光ファイバ心線落とし込み方法

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JP3007049B2
JP3007049B2 JP8241057A JP24105796A JP3007049B2 JP 3007049 B2 JP3007049 B2 JP 3007049B2 JP 8241057 A JP8241057 A JP 8241057A JP 24105796 A JP24105796 A JP 24105796A JP 3007049 B2 JP3007049 B2 JP 3007049B2
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勝紀 吉田
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は溝付きコアへの光
ファイバ心線落とし込み方法、さらに詳しく言えばSZ
溝付きコア、または一方向巻き溝付きコアへの光ファイ
バ心線落とし込み方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】溝付きコアへの光ファイバ心線落とし込
み方法は、一方向巻き溝であれ、SZ溝であれ、その溝
内に光ファイバ心線を落とし込み挿入するための方法が
種々開発され、このための効率的な装置も研究開発され
ている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながらこれまで
の落とし込み方法においては、光ファイバ心線がタブー
とする過大な引張応力が生じるかも知れない事態の防止
対策がなおざりにされており、このため従来の溝付きコ
ア付き光ファイバケーブルの取扱いの過程において光フ
ァイバ心線に過大な応力がかかって同心線を損傷する危
険が多かった。
【0004】
【課題を解決するための手段】この発明は上述の課題を
解決するためになされたものであって、請求項1の発明
によるその解決手段は、溝付きコアを一定速度をもって
強制的に送り出す工程と、送出しの後にこの溝付きコア
の心線収納溝内に所望の光ファイバ心線を落とし込む工
程と、この心線落とし込み工程をおこなう位置の下流に
おいて前記溝付きコアを前記一定速度よりわずかに大き
い速度をもって強制的に引っ張る工程と、この引張工程
をおこなう位置の下流において前記一定速度をもって引
き取る工程とを含み、速度増加分の値を前記一定速度に
対して約1%以下にすることを特徴とする溝付きコアへ
の光ファイバ心線落とし込み方法である。
【0005】また請求項2の発明によるその解決手段
は、前記の強制的な送出工程、強制的な引張工程および
引取工程を前記溝付きコアの中心軸線のまわりに所定の
回転速度をもって回転させながら実行し、さらに送出ボ
ビンおよび巻取ボビンも同一の回転速度をもって回転さ
せることを特徴とする一方向巻き心線収納溝付きコア向
きの、請求項1記載の溝付きコアへの光ファイバ心線落
とし込み方法である。
【0006】
【発明の実施の形態】図1は本発明方法の原理を説明す
るための基本的な図である。まず図1の各要素装置を説
明する。符号4は溝付きコア1を貯留してある送出ボビ
ンを示し、その直ぐ下流には強制送出キャプスタン5が
配置される。またその下流には引張キャプスタン7が設
けられ、この強制送出キャプスタン5と引張キャプスタ
ン7の間には光ファイバ心線3を落とし込むための落と
し込み装置が配設される。なお符号6は集合ダイスを示
す。
【0007】引張キャプスタン7の下流には引取キャプ
スタン8が設けられ、最後に巻取装置9が配置される。
おさえ巻きなどは引張キャプスタン7と引取キャプスタ
ン8との中間において実施される。
【0008】図1は原理説明用であるから、各キャプス
タンはもっとも単純な巻き付けロール式のものを示した
が、もちろんこれに限るものではなく、特に心線収納溝
が一方向巻きの溝付きコアに対して使用するときは、各
キャプスタンは溝付きコア1の中心軸線の周りに回転で
きる形式のものでなければならない。
【0009】なお本出願人が別途特許出願している技術
であるが、心線収納溝2がSZ交互巻きの場合でも、光
ファイバ心線の落し込みが進行するにつれてそのSZ反
転中立点の変動が起こり得るので、これに対する補正用
として、強制送出キャプスタン5,または引張キャプス
タン7、あるいはこれらの両方を溝付きコア1の中心軸
線のまわりに回転可能な形式のキャプスタンにするのが
よい。
【0010】この発明方法においては強制送出キャプス
タン5による強制送出しの線速をVと設定するのに対し
て、引張キャプスタン7の引張りの線速をこれよりわず
かに大きい(V+α)とし、さらに後尾の引取キャプス
タン8の引取速度は線速をはじめのVに戻す点に特徴が
ある。
【0011】このように設定すると強制送出キャプスタ
ン5と引張キャプスタン7の間では溝付きコア1には長
手方向に引張力が作用してコア1は引っ張られて伸び、
この伸ばされた状態において光ファイバ心線3が落とし
込まれるのである。
【0012】また引張キャプスタン7を過ぎた下流で
は、引取キャプスタン8の引取速度がもとのVの値に設
定してあるため、溝付きコア1の伸びは元に戻り、この
結果光ファイバ心線3には溝付きコア1に対して相対的
にたるみが生じることになるのである。
【0013】ではこの生じるたるみの量を定量的に研究
してみよう。いま強制送出キャプスタン5と引張キャプ
スタン7との間の距離をLとすれば、一定速度Vで強制
的に送り出される溝付きコア1がこの間を通過するに要
する時間はt=L/Vであり、一方この時間tの間に引
張キャプスタン7は(V+α)L/Vだけ引き出すよう
に作用しているわけだから、結局(V+α)L/V−L
=αL/Vだけ伸びるわけである。つまり伸び率はα/
Vである。
【0014】こんどは図2を参照してSZ巻きの心線収
納溝2(ピッチ=pとする)の1ピッチ分がどのように
伸びるかを考察すると、上の伸び率α/Vを掛けてpα
/Vと計算されるがこれは溝付きコア1の長手方向の伸
び量である。これは図示のようにQ点がQ点に移る伸び
分である。したがってSZ巻き心線収納溝2の1ピッチ
が角度的に360度とすれば、心線収納溝2のつるまき
線形状に即しての実際の伸び量は√〔(p+pα/V)
2 +(πd)2 〕−√〔p2 +(πd)2 〕となるわけ
であり、結局この分だけ光ファイバ心線3のたるみ量が
得られることになる。ここでdは溝付きコア1の外径で
ある。
【0015】上の計算では厳密には溝付きコア1の外径
dはポアッソン係数を乗じた分だけ収縮するからそれを
組み入れなければならないが、この量は極めて微小であ
るから省略できる。なおこの計算はSZ心線収納溝2の
図2についてなしたが、一方向巻きのつるまき線状心線
収納溝についてもまったく同様にかなりの効果をもたら
すものである。
【0016】この発明においてもっとも重要な速度差α
の実際的数値はあえて掲げないが、溝付きコア1の材質
によってかなりの範囲で変動することが予測される。し
かし一定速度Vに対して少なくとも1パーセントは可能
であろう。
【0017】
【発明の効果】請求項1および請求項2の発明によれ
ば、溝付きコアを伸ばした状態で光ファイバ心線を心線
収納溝内に落とし込むわけであるから、その伸びが戻る
ときには光ファイバ心線はコアに対して相対的にたるみ
を持つことになり、光ファイバケーブルの運搬を含めて
各種の作業中に光ファイバ心線に過大な引張応力がかか
る危険を回避できるだけでなく、光ファイバ心線の分岐
取り出し作業なども格段にし易くなる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の工程を実施するための基本的要素を
示す簡略側面図である。
【図2】この発明により光ファイバ心線の得るたるみ量
を計算するための略図である。
【符号の説明】
1 溝付きコア 2 心線収納溝 3 光ファイバ心線 4 コア送出ボビン 5 強制送出キャプスタン 6 集合ダイス 7 引張キャプスタン 8 引取キャプスタン 9 巻取装置

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溝付きコア(1)を一定速度(V)をも
    って強制的に送り出す工程と、送出しの後にこの溝付き
    コア(1)の心線収納溝(2)内に所望の光ファイバ心
    線(3)を落とし込む工程と、この心線落とし込み工程
    をおこなう位置の下流において前記溝付きコア(1)を
    前記一定速度(V)よりわずかに大きい速度(V+α)
    をもって強制的に引っ張る工程と、この引張工程をおこ
    なう位置の下流において前記一定速度(V)をもって引
    き取る工程とを含み、速度増加分(α)の値を前記一定
    速度(V)に対して約1%以下にすることを特徴とする
    溝付きコアへの光ファイバ心線落とし込み方法。
  2. 【請求項2】前記の強制的な送出工程、強制的な引張工
    程および引取工程を前記溝付きコア(1)の中心軸線の
    まわりに所定の回転速度をもって回転させながら実行
    し、さらに送出ボビン(4)および巻取ボビン(9)も
    同一の回転速度をもって回転させることを特徴とする一
    方向巻き心線収納溝付きコア向きの、請求項1記載の溝
    付きコアへの光ファイバ心線落とし込み方法。
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