JP3002004B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents

空気入りタイヤ

Info

Publication number
JP3002004B2
JP3002004B2 JP3084574A JP8457491A JP3002004B2 JP 3002004 B2 JP3002004 B2 JP 3002004B2 JP 3084574 A JP3084574 A JP 3084574A JP 8457491 A JP8457491 A JP 8457491A JP 3002004 B2 JP3002004 B2 JP 3002004B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
rubber
domain
resin
tread
matrix
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP3084574A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH04218406A (ja
Inventor
勉 小野里
芳之 森本
盛一郎 岩船
眞一 岩崎
浤四郎 門司
孝 勝田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Bridgestone Corp
Original Assignee
Bridgestone Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Bridgestone Corp filed Critical Bridgestone Corp
Priority to JP3084574A priority Critical patent/JP3002004B2/ja
Publication of JPH04218406A publication Critical patent/JPH04218406A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3002004B2 publication Critical patent/JP3002004B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Tires In General (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、夏期における操縦性
能、耐久性能を損なうことなく、氷雪路における駆動
性、制動性及び操縦性を改良した車両用空気入りタイヤ
(オールシーズン用スタッドレスタイヤ)に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】従来、冬期に使用されるタイヤは、夏期
と同様のドライグリップ性、ウェットグリップ性、操縦
安定性、耐久性、低燃費性を有し、氷雪上において駆動
性、制動性を有する必要がある。このため、かかるタイ
ヤのトレッドに用いられるゴム組成物は、硬度を低くし
て接地面積を増すために一般に天然ゴム(NR)、スチレン
ブタジエンゴム(SBR) 、ブタジエンゴム(BR)などのガラ
ス転移点の低いポリマーや、それらをブレンドしたもの
がベースポリマーとして選ばれ、あるいはこれに粒度の
細かい補強性の高いカーボンブラック、硫黄等の加硫
剤、加硫促進剤、老化防止剤の他に、軟化剤や可塑剤な
どのゴム薬品が加えられ、硬度が低く抑えられた複合材
料である。しかし、これは同時に均質材料であるという
こともできる。
【0003】従来、上記空気入りタイヤに要求される性
能の向上に対しては、トレッドのゴム組成物を構成する
ポリマー、カーボンブラック、その他のゴム薬品等の構
成因子について単独で、あるいは複数について相互に関
連させて改良することで対処する方法が主に採られてお
り、結果として均質複合材の枠内における改良検討が主
体であった。
【0004】一方、タイヤトレッドのゴム組成物を不均
一にし、すなわち 0.1〜1000μm 程度の平均粒径範囲内
のドメインをゴム組成物内に形成させて、いわゆる海島
構造を持つ不均質構造ゴム組成物とし、このドメインを
形成する材料の性状、充填部数を変化させることによっ
て従来の均質系ゴムの枠内でのゴム物性の制御とは異な
ったアプローチで空気入りタイヤの性能を改良させ得る
ことが知られている。
【0005】すなわち、均質系ゴムでの物性改良におい
ては、例えばグリップ性能と耐摩耗性能との間で二律背
反的関係を生じるケースが多く、両方の性能を同時に向
上させるには限界があった。これに対し、海島構造を有
する不均質ゴム組成物のトレッドでは、ドメイン部(島
部)とマトリックス部(海部)とで性能向上因子を振り
分けて持たせること等により、こうした問題の解決が図
れ得ることが期待される。
【0006】例えば、トレッドゴム表面にミクロディン
プルを生ぜしめるためにトレッドのゴム組成物にモミガ
ラや、セラミックなどを単体で添加して、使用中にそれ
らが脱離するようにしたり、発泡剤等を添加して発泡さ
せることにより水の排水、吸水効果を高めた。この場
合、解氷により生じる水の少ないとき(ドライオンアイ
ス)は十分な摩擦が得られるが、水の多いとき(ウェッ
トオンアイス)では不十分である。一方、ウェットオン
アイスで十分な摩擦特性を得る方法としては、ミクロス
パイクとしてセラミックの外周に接着剤などのコーティ
ングを施したものなどを添加した、スパイク効果を有す
るタイヤトレッドゴムが知られている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ガラス
転移点の低いポリマーの使用は、そのポリマーのヒステ
リシス特性のために湿潤路面、高温乾燥路面においてグ
リップ特性の低下を来たして制動性、操縦性が悪くな
り、また軟化剤や可塑性の多量の添加は−5℃以下のド
ライオンアイスでは十分な摩擦係数が得られるが、−5
℃以上のウェットオンアイスでは不十分である。
【0008】また、モミガラやプラスチックやセラミッ
クなどの単体を添加すると、ゴム組成物との補強性がな
いために耐摩耗性、耐久性が悪く、また発泡剤の使用は
適正な発泡倍率を得るのが困難であるという問題があっ
た。更に、セラミックの外周に接着剤などのコーティン
グを施したものは、素材の表面処理、接着剤の塗布など
複雑な作業が必要となり、また走行時にセラミックが砕
けてしまい、そのミクロスパイク効果が十分に発揮され
なくなるなどの問題がある。
【0009】要するに、かかる不均質構造ゴム組成物を
タイヤトレッド導入する場合、ドメイン部とマトリック
ス部との間に、化学的または物理的な相互作用が存在
し、ドメイン部が補強性を有しなければ十分に不均質構
造のメリットが発現されず、却ってドメイン部はマトリ
ックス部に対して破壊核として作用してしまう結果とな
る。従って、不均質系ゴムに対する物性制御にはドメイ
ン部の補強性が不可欠である。しかし、0.1 〜1000μm
程度のドメイン径を形成し、なおかつマトリックス部に
対して十分な補強性を有する材料についての検討はこれ
まで殆どなされていないのが現状である。
【0010】そこで本発明の目的は、上述の問題点を解
決し、不均質構造のタイヤトレッドにおいてドメインが
マトリックスに対し十分な補強性を有し、この結果、ウ
ェットオンアイスでの十分な摩擦特性、耐摩耗性、グリ
ップ性能および排水性能に優れた空気入りタイヤを提供
することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明は以下の構成とする。樹脂ドメイン部とゴム
マトリックス部とから成る海島構造を有する不均質構造
ゴム組成物をトレッドゴムに用いた空気入りタイヤにお
いて、 (ア)ゴムと超高分子量ポリエチレンとをラジカル開始
剤及び架橋剤の存在下、超高分子量ポリエチレンの軟化
点以上で混練することにより得られるポリマーアロイ配
合物を前記樹脂ドメイン部とし、これよりも柔いゴムを
前記ゴムマトリックス部とし、 (イ)前記樹脂ドメイン部の硬さが前記ゴムマトリック
ス部の硬さの1.5 倍以上であり、 (ウ)前記樹脂ドメイン部が前記ゴムマトリックス部に
対して化学的または物理的な相互作用により補強性を有
する樹脂である、ことを特徴とする。また、本発明にお
いて、樹脂ドメイン部およびゴムマトリックス部の硬さ
は、JIS K6301に準拠して測定した。
【0012】本発明において、樹脂ドメイン部のゴムマ
トリックス部に対する化学的または物理的な相互作用に
よる補強には、 (イ) 硫黄等の架橋剤によるドメイン部とマトリックス
部の共架橋、 (ロ) カルボキシル変性をした樹脂またはゴムを用いた
イオン架橋、 (ハ) 分子鎖のからみ合いによる物理的相互作用、 (ニ) 無水マレイン酸変性をした樹脂またはゴムを用い
た化学的架橋 などが挙げられる。
【0013】本発明においてドメイン部の樹脂として、
ゴムの加工温度(140〜160 ℃) より高い軟化点や融点を
持った樹脂、例えばポリアミド(PA)、ポリフェニレンオ
キサイド(PPO) 、ポリエチレンテレフタレート(PET) 等
を単に添加しただけでは、ゴムマトリックス部との間で
物理的または化学的相互作用が起こらないために、使用
時にドメイン部が欠落してしまうことになる。一方、ゴ
ムの加工温度よりも低い軟化点、融点の樹脂、例えばポ
リエチレン、スチレン−ブタジエン共重合体等を加える
と、加工時に樹脂がゴムマトリックス中に溶融してしま
いドメイン部を形成しなくなってしまう。従って、ドメ
イン部として好適に使用することのできる樹脂は以下の
ようなものである。
【0014】先ずは、ゴムマトリックス部と共架橋する
樹脂である。例えばPA、PPO 、PET および超高分子量ポ
リエチレン(UHMPE) 等の熱可塑性樹脂と、無水マレイン
酸やエポキシ等の官能基を有しかつ二重結合を持った化
合物、例えば変性スチレン−ブタジエン共重合体、変性
ポリブタジエン等とにより形成されるアロイ化物であ
る。あるいは、上記樹脂と相溶しかつ二重結合を持った
化合物、例えばPP0 とスチレン−ブタジエンブロックポ
リマー等とのアロイ化材料である。
【0015】尚、スチレン−ブタジエン共重合体等の二
重結合含有ポリマーには予め硫黄等の架橋剤を添加し、
プレ架橋しておかないと、ゴムとの混練時に溶融し易く
なり、ドメインを形成しにくくなる。
【0016】次には、ゴムマトリックス部と分子鎖のか
らみ合いを生ずる樹脂である。ゴムマトリックス部に樹
脂ドメインを添加する温度(約140〜160 ℃) でドメイ
ン樹脂の分子鎖が適度にほぐれるポリマーが好ましい。
この条件として、軟化点がその温度近傍で、分子鎖が適
度に長いポリマー、例えばUHMPE 等が適している。通常
のポリエチレン(PE)では分子鎖が短いために、マトリッ
クス中にドメインを造ることはできない。
【0017】本発明においては、ドメイン部の硬さがゴ
ムマトリックス部の1.5 倍以上、好ましくは3倍以上と
する。1.5 倍未満であるとミクロスパイク効果が得られ
ない。しかし、あまり硬過ぎると使用時の衝撃でドメイ
ン部が破壊してしまい、好ましくない。
【0018】また、摩耗後のトレッドの表面において、
ドメイン部の面積は1%以上、好ましくは2%以上、更
に好ましくは3〜20%とする。この面積が1%未満であ
るとミクロスパイク効果が得られず、一方20%を超える
と見かけの接地面積が減少すると共に、トレッド自体が
硬くなり過ぎてしまう。
【0019】更に、ドメイン部の径は30〜800 μm 、好
ましくは30〜400 μm とする。30μm 未満だとドメイン
部がミクロスパイクとして働かず、一方800 μm を超え
るとドメイン部自体が破壊核となり、機械的強度の低下
を来たすことになる。
【0020】次に、本発明におけるゴムマトリックス部
としては、スチレン系、ブタジエン系などの合成ゴム及
び天然ゴムの使用が可能であり、これらを単体で、もし
くは混合物として用いることができる。具体的には、天
然ゴム、イソプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、
ブタジエンゴム、イソプレン−ブタジエン共重合体ゴ
ム、スチレン−イソプレン共重合体ゴム、スチレン−イ
ソプレン−ブタジエン三元共重合体ゴム等のジエン系ゴ
ムを挙げることができる。
【0021】耐摩耗性の面から、かかるゴムマトリック
ス部として天然ゴムを、また接着性の面からはスチレン
−ブタジエン共重合体ゴムを用いることが適している。
これらマトリックス部の特性を十分に発揮させるため
に、通常のゴムに用いられる硫黄、パーオキサイドなど
の架橋剤、カーボンブラック、軟化剤、架橋促進剤、助
剤等の添加薬を必要量適宜加えることができることは勿
論のことである。
【0022】特に、ドメインとの共架橋 (化学的結合)
を行わしめる場合は、硫黄、パーオキサイドなどの架橋
剤は、不可欠である。
【0023】ドメインとしてのポリマーアロイ配合物と
マトリックスとしてのゴムとの混練方法は通常のゴム練
の作業で十分であり、例えばゴムのノンプロ練時または
プロ練時にポリマーアロイ配合物を添加し、その後通常
のロール、押出し、架橋処理を施し、不均質構造ゴム組
成物とすることができる。
【0024】次に、本発明の一好適例について具体的に
説明する。この一例空気入りタイヤのトレッドゴムは、
ドメイン部としてゴムの長所とUHMPE の長所とを兼ね備
えた優れたポリマーアロイ配合物 (特開平1−234444号
公報参照) を用い、マトリックス部として上述の一般的
なゴムを用いるものである。
【0025】すなわち、ゴムとUHMPE をラジカル開始剤
及び架橋剤の存在下、UHMPE の軟化点以上で混練するこ
とにより得られるポリマーアロイ配合物をドメインと
し、これよりも柔いゴムをマトリックスとして含むもの
である。
【0026】かかるドメイン形成のために用いるポリマ
ーアロイ配合物は、ゴムと UHMPEとをラジカル開始剤及
び架橋剤の存在下、UHMPE の軟化点以上で混練すること
により得られ、かかるゴムとして、ブタジエンゴム、イ
ソプレンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、ク
ロロプレンゴム、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム
(EPM, EPDM) 、スチレンブタジエンゴム、スチレンブタ
ジエンブロックポリマー、スチレンイソプレンブロック
ポリマー、スチレンエチレンブチレンスチレンブロック
ポリマー等のラジカル反応性エラストマーの使用が可能
である。特に、スチレンブタジエンゴムが好適であり、
スチレン系ゴムの結合スチレン量は10〜70%のもので、
好ましくは15〜50%のものが良い。
【0027】またUHMPE としては、分子量が50万以上、
好ましくは約80万〜1000万程度のものが好適である。UH
MPE の分子量が小さ過ぎるとポリエチレンの粘度が小さ
くなり過ぎるために良好な分散が得られず、また分子量
が1000万を超えるものではUHMPE が溶融しにくく、粘度
が高過ぎるために十分に混練することができないという
不都合が生じる。
【0028】かかるポリマーアロイ配合物中のUHMPE の
含有率は、ゴムマトリックス部との硬度の差 (スパイク
力に関係) 及びゴム組成物の硬度 (ゴム製品のブロック
強度に関係) のバランスにより、任意に選択することが
可能であるが、ゴム1〜99重量%に対し、UHMPE 99〜1
重量%の範囲が好ましく、特にはゴム20〜80重量%に対
し、UHMPE 80〜20重量%が好ましい。
【0029】また、ゴムとUHMPE とのポリマーアロイ配
合物には、加工性向上、増量、補強、耐候性向上、耐酸
化劣化防止性向上等の目的により、各種配合剤を添加す
ることが可能である。例えば、カーボンブラック、タル
ク、シリカ、プロセスオイル、ステアリン酸、マグネシ
ア、ガラス繊維、SiC 、アルミナ、炭化珪素等のセラミ
ック、アラミド繊維、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウ
ム、クレー、発泡剤、酸化アンチモン系等の難燃剤、酸
化チタン等の着色剤及び顔料等が挙げられる。これらの
配合剤はゴムとUHMPE との合計量 100重量部に対して、
任意の量の添加が可能であるが、1〜100 重量部が好ま
しい。これらの配合剤は最初にゴムに配合しておくこと
もできるし、或いはゴムとUHMPE との混合過程で添加す
ることもできる。
【0030】ポリマーアロイ配合物は、前述したゴムと
UHMPE 、更には配合剤とをラジカル開始剤及び架橋剤の
存在下で混練することにより得られる。ラジカル開始剤
は、UHMPE のラジカル発生、ゴムの架橋反応の促進剤と
して作用する。
【0031】ここで使用するラジカル開始剤としては、
ジベンゾチアジルサルファイド(DM)等のチアゾール系、
テトラメチルチウラムジサルファイド等のチウラム系、
ジフェニルグアニジン等のグアニジン系開始剤、過酸化
物、亜鉛華等があり、これらを混合して用いても構わな
い。ラジカル開始剤の使用量は、ゴムと UHMPEとの合計
量 100重量部に対し0.5 重量部以上であり、通常1〜20
重量部程度用いることができる。
【0032】また、架橋剤は、ゴム分子間に橋かけを形
成することが主な役目であるが、同時にゴムと UHMPEと
を化学的に結合させる可能性もあると考えられる。ここ
で使用する架橋剤としては、硫黄、 4 , 4 ′−ジチオ
−ビス−ジモルフォリン等のイオウ系架橋剤、ジクミル
パーオキサイド等の過酸化物系架橋剤等がある。架橋剤
の使用量は、ゴムの架橋に必要な量以上あれば良い。通
常ゴム 100重量部に対し 0.5重量部以上であり、好まし
くは1〜5重量部の範囲内で使用する。
【0033】ゴムと UHMPE、ラジカル開始剤、架橋剤、
更には配合剤を混練するには、バンバリー、ブラベンダ
ー、ニーダールーダー、二軸押出機等のスクリュータイ
プの混練機を使用して混練することができる。ブラベン
ダーを用いて混練する例としては、最初に UHMPEを軟化
点以上 (135℃) に予熱撹拌し、次いでプロゴム (架橋
剤入り練ゴム) を加える。プロゴムの発熱とシェアーで
UHMPEが溶融し、良好な分散が行われ、ポリマーアロイ
配合物を得ることができる。なおゴムとしては、ノンプ
ロゴム (架橋剤の入っていないゴム) を用い、混練後架
橋剤を加え架橋しても構わない。このときの練温度は、
140 〜180 ℃であり、好ましくは150 〜170 ℃程度であ
る。このような練温度の設定により、ゴムの架橋速度と
分散効率のバランスがとれる。練時間は、通常 1.5分〜
30分程度である。
【0034】次に、このようにして得られたポリマーア
ロイ配合物を上述のゴムマトリックスに添加する。尚、
ポリマーアロイ配合物とゴムマトリックスとの混練割合
は、得られるゴム配合物中に UHMPEが1〜50重量%、好
ましくは2〜40重量含まれるようにすることが好まし
い。
【0035】かかる不均質構造ゴム組成物のトレッドゴ
ムは、ゴムマトリックス中にゴムとUHMPEとのポリマー
アロイ配合物が該ゴムマトッリックスより硬いドメイン
を形成している。ドメイン中のゴムとUHMPE とは、混練
中のUHMPE 及びゴムからのラジカル発生により化学的に
結合し、またこのポリマーアロイ配合物とゴムマトリッ
クスとは、両者中に存在する硫黄、過酸化物等の架橋剤
により共架橋されると考えられる。
【0036】
【作用】本発明の空気入りタイヤの不均質構造のトレッ
ドゴムは、ドメイン部がマトリックス部に対して補強性
を有し、十分に両者が接着した状態を保ち、なおかつド
メイン部がマトリックス部に対してより高い硬度と弾性
率を持つ場合、かかるトレッドゴム表面は、以下の4つ
の性能向上が可能である。
【0037】第1に、かかるドメインの存在によって、
トレッド踏面部の外力に対しての動的挙動に変化を生
じ、ドメイン部の硬度・弾性率および充填量を適当に制
御することによってタイヤトレッドの踏面部の耐摩耗性
を向上させることができる。
【0038】第2に、かかるトレッドにおいては、ドメ
イン部の硬度および弾性率を上げることによって不均質
構造ゴム組成物全体の硬度と弾性率とを上げることがで
きることが知られているが、これによってタイヤトレッ
ドの踏面部のパターンにおけるブロック剛性が高まり、
この結果、例えばドライ状態でのグリップ性能の向上が
図れる。
【0039】第3に、かかるドメイン部の存在によっ
て、タイヤトレッドの踏面部の表面にドメイン径オーダ
ーの表面凹凸が形成され、この凹凸には上記パターンに
よって形成される表面溝と同様に排水効果があるため、
空気入りタイヤの耐ウエットスキッド性が向上する。ま
た、こうした排水性とブロック剛性の向上効果は同時
に、氷雪上でのこれら性能の向上も可能とする。
【0040】第4に、かかるドメイン部の存在により氷
上走行時にミクロスパイク効果が発揮され、優れた氷上
制動特性を示す。
【0041】マトリックスゴム部に対して、物理的・化
学的な相互作用による補強性を有し、平均粒径が 30 〜
800μm 程度の範囲にあるドメインを形成し、該マトリ
ックス部のゴム以上の硬度を持つという条件を満足する
材料であれば何であってもかかる性能向上効果が期待さ
れ、本発明に係るゴム組成物においてそれを初めて実現
可能としたのである。
【0042】以上要するに、本発明の空気入りタイヤの
トレッドでは樹脂ドメインによるミクロスパイク効果に
よりウェットオンアイスでの摩擦特性が向上する。ま
た、樹脂ドメインにより踏面部の外力に対しての動的挙
動を制御することにより耐磨耗性が向上する。更に、樹
脂ドメインの硬度制御によりブロック剛性の制御が可能
となり、ドメイン硬度の向上によりブロック剛性が向上
し、操縦安定性が向上する。更にまた、ドメイン径程度
のトレッド表面の凹凸の形成による排水効果により、ウ
エットスキッド性が向上する。
【0043】
【実施例】次に本発明を実施例、参考例および比較例に
より具体的に説明する。参考例1〜8,比較例1〜2 次のようにして各種ドメインを作成した。ドメイン材と
してのポリフェニレンオキサイドアロイ材料は次のよう
にして調製した。先ず、変性ポリフェニレンオキサイド
(GEプラスチック製ノリル731J)にスチレン−ブタジ
エンブロックポリマー(旭化成 (株) 製アサフレックス
810 、タフプレンA)を硫黄15phr 、ステアリン酸1.5
phr 、亜鉛華5phr で所望の硬度が得られる配合比にて
配合した。
【0044】配合に当たっては同方向回転式の2軸押出
機(池貝鉄工 (株) 製PCM型押出機)を使用し、ホッ
パ部160 ℃、先端部240 ℃にて押出機の中において混練
と架橋を行なう動的架橋の手法にてアロイ材を作製し
た。その後、冷凍粉砕機( スイングハンマー型粉砕機)
にて、液体窒素などの冷媒で−60〜−170 ℃に冷却しな
がら粉砕した。しかる後、佐藤式振動ふるい機にて所望
の粒径に分級した。このようにして得られたドメイン粒
子のマトリックスゴムへの添加は、ノンプロゴム練時
に、表1に示すカーボンブラック、配合薬と同時に添加
した。
【0045】表1 *1 2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノ
リン *2 N−オキシジエチレン−2−ベンゾチアジルスル
フェンアミド 上述のようにして得られた不均質構造ゴム組成物を試験
タイヤ(165 SR13)のトレッドに適用した。かかる試験
タイヤにつき、以下の性能試験を行なった。
【0046】(1) グリップ性能( 操縦安定性) 各試験タイヤについて、MST 社製フラットベルトを使用
し、速度50km/時、荷重550kg の条件でスリップアング
ルを徐々に上げていったときのcpを比較検討し、比較
例1のコントロールタイヤを100 として指数表示した。
値が大きいほど結果は良好である。
【0047】(2) 耐ウェットスキッド性 湿潤路面の耐スキッド性 (ウェッストスキッド性) は、
水深3mmの湿潤コンクリート路面において80km/時の速
度から急制動し、車輪がロックされてから停止するまで
の距離を測定し、下式によって試験タイヤの耐ウェット
スキッド性を評価した。値が大きいほど結果は良好であ
る。
【0048】(3) 耐摩耗性 耐摩耗性指数は、タイヤを2万km実車走行させ、残った
溝の深さを10箇所測定し、その平均値から下式によって
評価した。値が大きいほど耐摩耗性が大きい。
【0049】(4) 氷上制動性能 ならし走行として50km通常走行を行なった後、氷上制動
試験に供した。各試験タイヤ4本を排気量1.5 リットル
の乗用車に装着し、外気温度−5℃の氷上で制動距離を
測定した。比較例1のタイヤを100 として指数表示し
た。値が大きいほど結果は良好である。得られた結果を
下記の表2に示す。
【0050】
【表2】
【0051】実施例1〜9,比較例3〜6 次に、ドメインとしてのポリマーアロイゴム配合物のゴ
ムとして、下記の表3に示す配合処方(重量部)の下、
スチレン−ブタジエンゴム(SBR) を使用した。ここで、
ラジカル開始剤としては、ジベンゾチアジルサファイド
(DM)、ジフェニルグアニジン(DPG) および亜鉛華の混合
物を用いた。
【0052】
【表3】
【0053】これらの配合物と下記の表4に示す平均分
子量のUHMPEとを混練機にて、約160 ℃で5分間混練す
ることにより、ポリマーアロイ配合物を得た。次に、得
られたポリマーアロイ配合物を下記の表4に示す配合比
で、同表に示す配合処方(重量部)にてトレッド配合物
に添加し、得られた不均一構造ゴム組成物を試験タイヤ
(165 SR 13) のトレッドに適用した。かかる試験タイヤ
につき、上記と同様の各種性能評価試験を行なった。
尚、この際コントロールタイヤは比較例3のタイヤと
し、また耐摩耗性試験では実車走行距離を4万Kmとし、
更に氷上制動性能試験では排気量2リットルの乗用車を
用いた。
【0054】
【表4】
【0055】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明の空気
入りタイヤにおいては、トレッド部を樹脂ドメイン部と
ゴムマトリックス部とから成る海島構造を有する不均一
構造ゴム組成物より構成し、上記樹脂ドメイン部が上記
ゴムマトリックス部に対して化学的または物理的な相互
作用により補強性を有する樹脂としたこと等により、夏
期における操縦性能、耐久性能を損なうことなく、氷雪
路における駆動性、制動性および操縦性を改善すること
ができる。
フロントページの続き (72)発明者 勝田 孝 東京都小平市小川東町3−3−7−404 (56)参考文献 特開 昭63−61036(JP,A) 特開 平1−195101(JP,A) 特開 昭57−102934(JP,A) 特開 昭48−72241(JP,A) 特開 平2−222432(JP,A) 特開 平4−132751(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B60C 11/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 樹脂ドメイン部とゴムマトリックス部と
    から成る海島構造を有する不均質構造ゴム組成物をトレ
    ッドゴムに用いた空気入りタイヤにおいて、 (ア)ゴムと超高分子量ポリエチレンとをラジカル開始
    剤及び架橋剤の存在下、超高分子量ポリエチレンの軟化
    点以上で混練することにより得られるポリマーアロイ配
    合物を前記樹脂ドメイン部とし、これよりも柔いゴムを
    前記ゴムマトリックス部とし、 (イ)前記樹脂ドメイン部の硬さが前記ゴムマトリック
    ス部の硬さの1.5 倍以上であり、 (ウ)前記樹脂ドメイン部が前記ゴムマトリックス部に
    対して化学的または物理的な相互作用により補強性を有
    する樹脂である、ことを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 【請求項2】 ポリマーアロイ配合物とゴムとが化学的
    に結合している請求項1記載の空気入りタイヤ。
JP3084574A 1990-08-31 1991-03-26 空気入りタイヤ Expired - Fee Related JP3002004B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3084574A JP3002004B2 (ja) 1990-08-31 1991-03-26 空気入りタイヤ

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP22846590 1990-08-31
JP2-228465 1990-08-31
JP3084574A JP3002004B2 (ja) 1990-08-31 1991-03-26 空気入りタイヤ

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH04218406A JPH04218406A (ja) 1992-08-10
JP3002004B2 true JP3002004B2 (ja) 2000-01-24

Family

ID=26425590

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP3084574A Expired - Fee Related JP3002004B2 (ja) 1990-08-31 1991-03-26 空気入りタイヤ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3002004B2 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3782875B2 (ja) * 1997-09-30 2006-06-07 横浜ゴム株式会社 空気入りラジアルタイヤ
US6202726B1 (en) * 1999-03-23 2001-03-20 The Goodyear Tire & Rubber Company Tire with sidewall rubber insert
FR2961818B1 (fr) * 2010-06-23 2012-07-20 Michelin Soc Tech Composition de caoutchouc comprenant une charge thermoplastique et un agent compatibilisant
JP5529052B2 (ja) * 2011-01-11 2014-06-25 東洋ゴム工業株式会社 ゴム組成物及び空気入りタイヤ
JP6032636B2 (ja) * 2012-05-14 2016-11-30 国立大学法人東京農工大学 ゴム−ポリオレフィン複合体の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JPH04218406A (ja) 1992-08-10

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6177254B2 (ja) ジエンエラストマーと熱可塑性エラストマーとの混合物を含む外部側壁を備えたタイヤ
JP6175731B2 (ja) ジエンエラストマーと熱可塑性エラストマーとの混合物を含む内部層を備えたタイヤ
EP0527396A1 (en) Tire tread rubber composition
US20140343190A1 (en) Tire provided with a tread made from a mixture of a diene elastomer and a thermoplastic elastomer
JP5443539B2 (ja) 濡れすべり抵抗が改良されたエラストマーコンパウンド及び濡れすべり抵抗を改良する方法
JP5820474B2 (ja) ブチルゴムと熱可塑性エラストマーのブレンドをベースとする気体不透過層を備えたインフレータブル物品
JP7054613B2 (ja) スチレン/ブタジエンエラストマーの組合せ及びトラクション樹脂及び予備疎水化された沈降シリカ補強剤を含有するゴムトレッドを有するタイヤ
JP2014534995A (ja) エラストマーマトリックス中で充填剤の極めて良好な分散を有するエラストマー組成物
CN106232703A (zh) 包含芳族二环戊二烯树脂的橡胶组合物
JP6508254B2 (ja) スタッドタイヤ
JP2007056137A (ja) トレッド用ゴム組成物
JP2002211203A (ja) スタッドレスタイヤ
CN100577717C (zh) 有一个包含丁基橡胶和预硫化双烯系橡胶分散体的内衬层的充气轮胎
JP2016037532A (ja) 空気入りタイヤ
JP2001348461A (ja) ゴム組成物及びそれを用いた空気入りタイヤ
AU3683199A (en) Rubber composition for tire tread and pneumatic tire
JP2018188503A (ja) タイヤ用ゴム組成物
JP3002004B2 (ja) 空気入りタイヤ
WO2018198759A1 (ja) スタッドタイヤおよびタイヤ用ゴム組成物
JP3021801B2 (ja) 空気入りタイヤ
JP2018188588A (ja) タイヤ用ゴム組成物
JP2002155165A (ja) ゴム組成物及びタイヤ
JPH04132751A (ja) 空気入りタイヤ
JP6075987B2 (ja) 高性能ドライタイヤのトレッド用ゴム組成物及び高性能ドライタイヤ
JPS60258235A (ja) ゴム組成物

Legal Events

Date Code Title Description
R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20071112

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081112

Year of fee payment: 9

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees