JP3001198B1 - 燃焼装置 - Google Patents

Abstract

【要約】 【課題】鶏糞等の畜糞や焼酎滓等の有機質産業廃棄物の
燃焼焼却処理を簡単な装置で、臭いや粉塵を発生させる
こと無く確実に行なう。 【解決手段】燃焼室頂部に設けた投入口の直下に傘状の
回転受け羽を設ける。回転受け羽には多数の窓穴を開
け、その内の幾つかには、孔周縁を立ち上げて孔を囲む
起立縁を設ける。また回転受け羽の周縁には、掻き棒を
垂設してその下端には、回転受け羽の軸心と掻き棒の軸
心を結んで延びる線に対して、回転受け羽の回転方向に
４５度乃至６０度の傾きを有するヘッドを設ける。燃焼
室には、一次、二次、三次空気の供給部とは別に、投入
口に沿って空気を下向きに吹出す空気吹出し部と、燃焼
室側面に設けたバーナー口の対向位置からバーナー口に
向かって空気を吹出す空気吹出し部を設ける。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は燃焼装置、特に鶏
糞、豚糞等の畜糞や焼酎滓等の有機質産業廃棄物を焼却
処理するのに好適な燃焼装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、この種の燃焼装置としては、特公
平４−１２５３号公報の鶏糞ガス化バーナー装置があ
る。上記公報の装置は、鶏糞を燃焼室内で一次燃焼させ
てガス化し、この可燃ガスを更にバーナー出口部分にお
いて高温で二次燃焼させることにより、煙や、臭いの発
生を防止するようにしたものであり、鶏糞を燃焼室内に
万遍なく送り入れるようにするために、燃焼室の天井部
に設けた筒状の鶏糞投入口の直下に傘状の回転受け羽を
設けて、鶏糞を鶏糞投入口からこの回転する回転受け羽
上に落とし込むようにしている。そして、燃焼室で、よ
り多くの可燃ガスを発生させるために、上記回転受け羽
の周縁に掻き棒を垂設して、当該掻き棒で燃焼室底部に
溜まった鶏糞を掻き混ぜ、鶏糞の中に空気層を作ると同
時に燃焼鶏糞と非燃焼鶏糞を掻き混ぜるようにしてい
る。

【０００３】しかしながら、上記従来の装置では、燃焼
室天井部の筒状鶏糞投入口から回転受け羽上に落とし込
まれる鶏糞は、回転受け羽の周縁に沿って燃焼室に落下
し、しかも回転受け羽の回転により、鶏糞には遠心力が
働くため、鶏糞は回転受け羽の投影面より外側に落下す
る傾向があり、回転受け羽の投影面より内側には鶏糞が
供給され難い。そのため、回転受け羽の周縁に掻き棒を
垂設して燃焼室底部に溜まった鶏糞を掻き混ぜようとし
ても、回転受け羽の投影面より外側に溜まった鶏糞の内
側を僅かに崩す程度にしか掻き混ぜることが出来ず、燃
焼室底部に溜まった鶏糞を掻き混ぜて鶏糞の中に空気層
を作ると同時に燃焼鶏糞と非燃焼鶏糞を掻き混ぜてより
多くの燃焼ガスを発生させる点については充分な効果を
得ることが出来ないのが実状である。また、悪臭を発生
させないためには、少なくとも800℃以上の高温で燃焼
させなければならず、そのためには燃焼室で発生した燃
焼ガスや未燃焼の可燃ガスをスムーズにバーナー口に向
けて流動させ、バーナー口部分において大量の空気を供
給して二次燃焼させる必要があるが、燃焼室中に傘状の
回転受け羽が存在するため、発生した燃焼ガス及び未燃
焼の可燃ガスが回転受け羽の裏側の凹部に滞留し易く、
可燃ガスが燃焼室で低温燃焼してしまう傾向があり、な
かなか燃焼温度が上昇しないという問題がある。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】本発明は従来技術が有
する上記問題点に鑑みてなされたもので、その目的とす
る処は、上記問題点を解消して、鶏糞等の畜糞や焼酎滓
等の有機質産業廃棄物の燃焼焼却処理を臭いや粉塵を発
生させること無く確実に行なうことが出来る燃焼装置を
提供することにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の燃焼装置は、請求項１記載のように、一次
空気及び二次空気供給部を備える燃焼室と、三次空気供
給部を備えて燃焼室の側周部に設けられたバーナー口
と、燃焼室頂部に筒状に設けた有機質産業廃棄物の投入
口と、投入口直下に設けた傘状の回転受け羽と、回転受
け羽の周縁に垂設した掻き棒を備える燃焼装置におい
て、前記回転受け羽が多数の窓孔を有し、当該窓孔の幾
つかは孔周縁に起設されて窓孔を囲む起立縁を備えるこ
とを特徴とする燃焼装置。

【０００６】また本発明は、請求項２記載のように、一
次空気及び二次空気供給部を備える燃焼室と、三次空気
供給部を備えて燃焼室の側周部に設けられたバーナー口
と、燃焼室頂部に筒状に設けた有機質産業廃棄物の投入
口と、投入口直下に設けた傘状の回転受け羽と、回転受
け羽の周縁に垂設した掻き棒を備える燃焼装置におい
て、上記掻き棒が下端部に水平方向に延びるヘッドを備
え、当該ヘッドは回転受け羽の軸心と掻き棒の軸心を結
んで延びる線に対して回転受け羽の回転方向に４５度乃
至６０度の角度を持って設けられ、且つ先端部が回転受
け羽の投影面の外側に延在していることを特徴とする。

【０００７】また本発明は、請求項３記載のように、一
次空気及び二次空気供給部を備える燃焼室と、三次空気
供給部を備えて燃焼室の側周部に設けられたバーナー口
と、燃焼室頂部に筒状に設けた有機質産業廃棄物の投入
口と、投入口直下に設けた傘状の回転受け羽と、回転受
け羽の周縁に垂設した掻き棒を備える燃焼装置におい
て、燃焼室がその頂部とバーナー口の対向位置との２個
所に空気の吹出し部を有し、前者は投入口の外周面に沿
って下向きに、後者はバーナー口に向けて夫々他の空気
供給部に比べて大量の空気を吹出すようにしたことを特
徴とする。

【０００８】また、本発明は、請求項４乃至請求項７に
記載するように、一次空気及び二次空気供給部を備える
燃焼室と、三次空気供給部を備えて燃焼室の側周部に設
けられたバーナー口と、燃焼室頂部に筒状に設けた有機
質産業廃棄物の投入口と、投入口直下に設けた傘状の回
転受け羽と、回転受け羽の周縁に垂設した掻き棒を備え
る燃焼装置において、上記掻き棒が下端部に水平方向に
延びるヘッドを備え、当該ヘッドは回転受け羽の軸心と
掻き棒の軸心を結ぶ線に対して回転受け羽の回転方向に
４５度乃至６０度の角度を持って設けられ、且つ先端部
が回転受け羽の投影面の外側に延在している構成、回転
受け羽が多数の窓孔を有し、当該窓孔の幾つかは孔周縁
に起設されて窓孔を囲む起立縁を備える構成、燃焼室が
その頂部とバーナー口の対向位置との２個所に空気の吹
出し部を有し、前者は投入口の外周面に沿って下向き
に、後者はバーナー口に向けて夫々他の空気供給部に比
べて大量の空気を吹出すようにした構成を適宜組み合わ
せることを特徴とする。

【０００９】

【発明の作用及び効果】上記のように構成した請求項１
の燃焼装置にあっては、投入口から燃焼室に投入される
有機質産業廃棄物、例えば鶏糞は、投入口直下の回転受
け羽上に落下し、一部は回転受け羽の傾斜面を滑り落ち
て、回転受け羽の投影面より外側の燃焼室床に落ち、一
部は回転受け羽の窓孔から回転受け羽の投影面内側の燃
焼室床に落ちるようになるが、回転受け羽を回転させる
ことにより、鶏糞は燃焼室内に万遍なくほぼ均等に送り
入れるようになる。このとき、周縁に設けた起立縁で囲
まれた窓孔には鶏糞が入り込むのが防止される。燃焼室
で鶏糞を燃焼させることにより発生した可燃ガスは、上
昇するが回転受け羽には多数の窓穴が開いているため、
可燃ガスは回転受け羽の裏側に滞留すること無く、窓穴
を通って回転受け羽の上方に流れる。万一、窓孔が鶏糞
で塞がるようなことがあっても、前記したように幾つか
の窓孔は周縁に設けた起立縁により鶏糞が入り込まない
ようになっているので、少なくともこれらの窓穴が鶏糞
で塞がれることは無く、ガスの上方への流動は保証され
る。従って、この発明では、発生した可燃性ガスが、回
転受け羽の裏側に滞留して、バーナー口側に流れ難くな
るというような不都合は生じ無い。そのため、回転受け
羽の裏側に滞留したガスが着火源となって、燃焼室内で
可燃性ガスが低温で燃焼してしまうようなことが無く、
可燃性ガスは回転受け羽をスムーズに通り抜けてバーナ
ー口側へ流動するようになる。そして、バーナー口にお
いて、該部に供給される三次空気と混合して高温で燃焼
するようになる。これにより、臭いや煙を発生させるこ
と無く、完全に焼却処理することができ、燃焼熱をボイ
ラーなどに利用する場合にも非常に効率が良い。

【００１０】また、請求項２の燃焼器にあっては、掻き
棒のヘッドが回転受け羽の中心軸と掻き棒のシャフトの
中心軸を結ぶ線に対して回転受け羽の回転方向に約４５
度乃至３５度の傾きを持って設けられているため、回転
受け羽の回転に伴い、外側の鶏糞を内側に寄せ集めるよ
うに作用する。そのため、回転受け羽の投影面の外側に
溜まった鶏糞を投影面内に掻き寄せて送り込むことが出
来る。更に、回転受け羽の回転により、回転方向前位の
掻き棒が、そのヘッドで燃焼鶏糞上に非燃焼鶏糞を掻き
寄せて被せて行き、それに続く後位の掻き棒のヘッド
が、表面部分の鶏糞を掻き除き鶏糞内部に空気を供給す
るようになり、そのため、掻き棒で表面部分が掻き除か
れた時には、鶏糞は空気と良く接触して燃焼が促進され
るが、表面に鶏糞が掻き寄せられて被せられた時には、
一時的に空気非接触の無酸素状態で加熱炭化させる現象
が発生し、この繰り返しにより、多くの可燃ガスが発生
する。

【００１１】また、請求項３の燃焼器にあっては、燃焼
室の頂部及びバーナー口の対向位置に空気の吹出し部を
設けて、前者からは投入口の外周面に沿って下向きに、
後者からはバーナー口に向けて、いずれも一次、二次、
三次空気の供給部に比べて大量の空気を吹出すようにし
たので、鶏糞の燃焼により発生して燃焼室上方へ上昇す
る可燃性ガスや燃焼ガスは、投入口周りから吹き降ろす
空気によりそれ以上の上昇を押さえられ、バーナー口の
対向位置から吹き込まれる空気により、火炎と共にバー
ナー口に向けて速やかに送り込まれる。従って、可燃ガ
スが燃焼室の天井部分に溜まって燃焼室内で燃焼してし
まうことがなく、バーナー口に送られ、そこで三次空気
を混合されて高温で燃焼するようになる。臭いや煙を発
生させること無く、完全に焼却処理することが可能にな
る。

【００１２】更に、請求項４以下の各燃焼装置は、上記
請求項１乃至３の燃焼装置の作用効果を組み合わせた作
用効果を奏するようになる。

【００１３】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、図
に基づいて説明する。図１においてAは燃焼装置、１は
その燃焼室、２は燃焼室の外部に設けられた送風機であ
る。燃焼室１は、水ジャケット３に囲まれた円筒状に形
成されて、その床下に送風機２に連絡する一次空気供給
部21を一体に備えており、この一次空気供給部21と燃焼
室１とは床板11に放射状に開設した多数の空気孔211に
より連絡している。そして、燃焼室１の天井部分には鶏
糞ａの投入口12が設けられ、側周面にはバーナー口13が
設けられている。

【００１４】また、上記燃焼室１には、上記投入口12の
直下に位置して回転受け羽４が設けられ、この回転受け
羽４の下方、具体的には前記バーナー口13より下部位置
で、且つ投入された鶏糞ａに埋没しない程度の高さ位置
に送風機２と連絡する二次空気供給部22が設けられてい
る。

【００１５】尚、本発明において鶏糞ａは、豚糞等の畜
糞、焼酎滓、おからなど適宜変更し得る有機質産業廃棄
物である。従って、本明細書においては、説明の都合上
鶏糞について説明するが、これを畜糞、焼酎滓、おから
等と読み替えることは任意であり、また、それらを総称
して有機質産業廃棄物と読み替えることも可能である。
そして、本件発明は鶏糞以外の他の有機質産業廃棄物に
対して等しく有用であることは理解されるべきである。

【００１６】前記鶏糞の投入口12は、燃焼室１の天井部
分中央部を貫通する円筒状に形成されて、下端がバーナ
ー口13の軸心の高さとほぼ同じ高さ位置に達する程度ま
で燃焼室１内にまで延びており、燃焼室１天井部から上
方に突出する上端にはホッパー121が一体に設けられて
いる。上記投入口12の外周面とこれが貫通する燃焼室１
の天井部分との間には、送風機２と連絡する環状の間隙
10が投入口12の外周面に沿って形成されており、この隙
間10は上面が閉鎖され、下面が燃焼室１内に臨んで環状
に開放されている。従って、上記隙間10は送風機２から
供給される空気を投入口12の外周面に沿って燃焼室１へ
吹出す吹出し部を構成することになる。

【００１７】前記バーナー口13は、燃焼室１の高さ方向
のほぼ中間位置に設けられて、燃焼室１から円筒状に突
出して温水ボイラーなどの熱利用機器Ｂに接続できるよ
うに構成されると共にキャスタブル131で厚み付けされ
ており、該バーナー口13の入口近傍には、送風機２に連
絡される三次空気供給部23が、バーナー口13外周に沿っ
て環状に形成されている。尚、バーナー口が連絡する熱
利用機器には灰の排出手段を設けることが望ましい。上
記三次空気供給部23は、バーナー口13の出口側に向かっ
て、バーナー口13内へ三次空気を送気する複数の送気通
路231を備えている。

【００１８】一方、前記投入口12直下に位置せしめて燃
焼室１内に設けられる回転受け羽４は、投入口12の下側
開口より大径の傘形の形状に形成され、図面では明確に
表されていないが、下方に向かってねじれ角度を有して
おり、その頂部裏面から下方に向かって垂直に延びる軸
41を備えている。この回転受け羽４は、頂部が投入口12
内に僅かに挿入される状態に配置されており、頂部裏面
に垂設した軸41が、一次空気供給部21底部から燃焼室１
の床板11を貫通して上記投入口12と同軸に燃焼室１に立
ち上げられたガイド筒14を挿通して一次空気供給部１の
底部外側まで延び、当該部分に配設した駆動装置５に連
絡して、この駆動装置５により回転駆動されるようにな
っている。

【００１９】上記回転受け羽４は、窓孔42と掻き棒43を
備えている。窓孔42は、回転受け羽４の径方向に長い長
孔状を呈し、回転受け羽４の頂部を中心として放射状に
多数開穿されており、そのうちの幾つかの窓孔42’は周
縁を立ち上げて形成した窓孔42’を囲む起立縁421を備
えている。上記起立縁421で囲まれた窓孔42’は、回転
受け羽４の周方向に等間隔毎に数個程度設けることが好
ましい。尚、起立縁421は、窓孔42’の全周を完全に囲
む必要はなく、図に示すようにその一部、好ましくは回
転受け羽４の周縁に近い側の一部を切り欠いた形状とす
ることも任意である。

【００２０】また、上記掻き棒43は、回転受け羽４の周
縁に沿って複数個、好ましくは９０度間隔毎に４個設け
られており、その夫々は回転受け羽４の周縁部やや内側
から下向き垂直に延びるシャフト431と、該シャフト431
の下端に設けられて回転受け羽４の外方に向けてほぼ水
平に延びるプレート状のヘッド432とからなり、ヘッド4
32の先端は回転受け羽４の投影面の外側に延在してい
る。上記ヘッド432は、回転受け羽４の中心軸と掻き棒4
3のシャフト431の中心軸を結んで延びる線ｂに対して回
転受け羽４の回転方向に所定の角度をもって設けられて
おり、上記線bとヘッド432とが形成する角度ｃは約４５
度乃至６０度が好適である。

【００２１】二次空気の供給部22は、リング状に形成し
たパイプの周面、好ましくは内周面に沿って多数の散気
孔221を開穿して形成されており、適当なブラケット222
を介して燃焼室１の内周面に沿って着脱可能に取り付け
られ、前記送風機２がこれに連絡している。この二次空
気の供給部22は、前記掻き棒43のヘッド432の位置より
若干上方に配置される。この二次空気供給部22は、燃焼
室１の内壁部分に一体に形成することも可能であるが、
上記のように着脱可能なパイプ式にすれば、取り替えも
簡単で、メンテナンスを容易にすることが出来る。

【００２２】前記送風機２は、第１乃至第５の５本の送
風管24,25,26,27,28を備えており、その第１の送風管24
が一次空気供給部21に、第２の送風管25が二次空気供給
部22に、第３の送風管26が三次空気供給部23に夫々接続
されている。また、第４の送気管27は、その管末がバー
ナー口13と同軸に対向して燃焼室１内に直接臨むように
設けられ、第５の送風管28は、前記投入口12周りの隙間
10に接続されている。従って、送風機２から送られるエ
アーは、燃焼室１に投入された鶏糞ａの燃焼に必要な一
次空気、二次空気、三次空気として夫々一次空気供給部
21、二次空気供給部22、三次空気供給部23から燃焼室１
及びバーナー口13内に供給されるが、一部はバーナー口
13と同軸に対向する部分において第４の送気管27からバ
ーナー口13に向かって噴出され、更に投入口12周りの隙
間10からも投入口12の外周面に沿って下向きに吹き出さ
れ、後述するように燃焼室１に発生する可燃ガスを火炎
と共にバーナー口13に向けて送り込むために利用され
る。

【００２３】各送風管24,25,26,27,28にはバルブ241,25
1,261,271,281が設けられ、このバルブ241,251,261,27
1,281の操作により各空気供給個所からの供給エアー量
を調整できるようになっている。各各空気供給個所から
吹出すエアー量は、第５の送風管28で上記投入口12周り
の隙間10に供給するエアー量を１０とすると、第４の風
管27から吹出されるエアー量は９乃至１０、一次空気供
給部、二次空気室、三次空気供給部からのエアー量は５
乃至６程度とするのが適当である。尚、図中44は、回転
受け羽の上面に設けた上向きの掻き棒であり、上部を投
入口内偏心位置に挿入している。この上向き掻き棒44
は、回転受け羽の回転に伴って投入口内を回動し、湿っ
た鶏糞が投入された場合に、回転受け羽から落ち難くな
って投入口の中に鶏糞が溜まり、固まってしまうのを防
止する。

【００２４】以上のように構成した本発明の燃焼装置Ａ
は、投入口12から燃焼室１内に鶏糞ａを投入する。この
鶏糞ａの投入にはスクリュウコンベアーＣなどの搬送機
械を利用すると便利である。投入された鶏糞ａは投入口
12直下の回転受け羽４上に落下し、一部は回転受け羽４
の傾斜面を滑り落ちて、回転受け羽４の投影面より外側
の床11に落ち、一部は回転受け羽４の窓孔42から回転受
け羽４の投影面内側の床11に落ちるようになるが、回転
受け羽４を回転させることにより、鶏糞ａは燃焼室１内
に万遍なくほぼ均等に送り入れるようになる。

【００２５】燃焼室１の床11にある程度鶏糞ａが溜まっ
た状態で、溜まった鶏糞ａの表面に着火し、同時に送風
機２を作動して、燃焼室１に空気を供給する。燃焼室１
に溜める鶏糞ａの量は上面が掻き棒43のヘッド432の位
置と同程度若しくはそれより若干高くなる程度とするの
が好ましい。尚、図示例において、燃焼装置Ａは特別な
着火装置を備えていないため、例えば石油を染み込ませ
た布などを投げ入れ、これに適当な手段で着火すること
により、鶏糞ａに着火させるなどの方法を採るのが適当
であるが、着火用のバーナーなどを装備することも勿論
任意である。

【００２６】着火後は、送気管24,25,26,27,28のバルブ
241,251,261,271,281で一次空気供給部21及び二次空気
供給部22からの一次空気、二次空気の供給量を制御して
火炎を保持させると共に、前記回転受け羽４の回転を継
続させ、コンベアＣの速度及び回転受け羽４の回転速度
を制御して鶏糞ａの供給速度を調整する。上記回転受け
羽４の回転により、掻き棒43が燃焼鶏糞と非燃焼鶏糞を
掻き混ぜると同時に鶏糞ａ内に空気を混ぜ込む。即ち、
回転受け羽４は、その回転に伴い、回転方向前位の掻き
棒43が、そのヘッド432で燃焼鶏糞上に非燃焼鶏糞を掻
き寄せて被せて行き、それに続く後位の掻き棒43のヘッ
ド432が、表面部分の鶏糞ａを掻き除き鶏糞ａ内部に空
気を供給するように作用する。そのため鶏糞ａは連続し
て一律に燃焼するのではなく、掻き棒43で表面部分の鶏
糞ａが掻き除かれた時には、空気と良く接触して燃焼が
促進されるが、表面に非燃焼鶏糞が掻き寄せられて被せ
られた時には、鶏糞ａを一時的に空気非接触の無酸素状
態で加熱炭化させる現象が発生し、可燃ガスを発生す
る。この繰り返しにより、多くの可燃ガスが発生する。

【００２７】この際、掻き棒43のヘッド432が回転受け
羽４の中心軸と掻き棒43のシャフト431の中心軸を結ぶ
線に対して回転受け羽の回転方向に約４５度乃至６０度
の傾きを持って設けられていることが、有効に作用す
る。即ち、掻き棒43のヘッド432が上記角度を持ってい
るため、それが移動する軌跡上だけでなく、軌跡より内
方へも鶏糞ａを掻き集めることが出来、それにより、鶏
糞堆積面の全面至る所で上記現象が発生することにな
り、これにより多量の可燃ガスが発生する。

【００２８】而して、発生した可燃ガスは上昇するが、
回転受け羽４には多数の窓穴42，42’が開いているた
め、可燃ガスは回転受け羽４の裏側に滞留すること無
く、窓穴42，42’を通って回転受け羽４の上方に流れ
る。図４に示すように、鶏糞が、窓孔42を塞ぐことがあ
るが、上記幾つかの窓孔42’はその周縁に設けた起立縁
421で囲まれて孔内に鶏糞ａが入り込まないようになっ
ているので、少なくともこれらの窓穴42’が鶏糞ａで塞
がれることが無く、ガスの上方への流動は保証される。

【００２９】燃焼室１には、上記一次空気供給部21及び
二次空気供給部22からだけではなく、バーナー口13と同
軸に対向する部分、投入口12周りの隙間10からも空気が
吹き込まれ、しかもこれらから吹き込まれる空気量は一
次及び二次空気に比べてかなり多く圧力も高いため、上
昇する可燃ガスは、投入口12周りの隙間10から吹き降ろ
す空気によりそれ以上の上昇を押さえられ、第４の送気
管27から吹き込まれる空気により、火炎と共にバーナー
口13に向けて速やかに送り込まれる。そのため可燃ガス
が燃焼室１で燃焼してしまうことなく、バーナー口13に
送られる。

【００３０】そして、バーナー口13に送られた可燃性ガ
スには、バーナー口13に入るとすぐに三次空気供給部23
からの三次空気が供給される。この三次空気の供給によ
り可燃性ガスは高温で二次燃焼し大きな火炎となってバ
ーナー口13から排出される。因みに、燃焼室１内の燃焼
温度は450℃〜500℃であるのに対して、バーナー口13で
の燃焼温度は1180℃に達する。このように本発明の燃焼
装置Ａでは、鶏糞ａ及びそれから発生する可燃性ガス
は、燃焼室１内で低温燃焼してしまうことがなく、バー
ナー口13における二次燃焼により高温で完全燃焼するの
で、臭気は高熱によって酸化分解（燃焼）されて完全に
消臭（脱臭）される。これにより脱臭のための特別な装
置を必要とせず、悪臭による公害を防止できる。また煙
の発生もない。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施形態を示す燃焼装置の断面図。

【図２】要部の拡大図。

【図３】回転受け羽の拡大斜視図。

【図４】掻き棒の作用を説明する説明図。

【図５】二次空気供給部を拡大して示す平面図。

【符号の説明】

Ａ：燃焼装置 １：燃焼室 ２：送風機 ４：回転受け羽 10：空気吹出し部（投入口周りの隙間） 12：有機質産業廃棄物の投入口 13：バーナー口 22：二次空気供給部 23：三次空気供給部 27：空気吹出し部（第４の送気管） 42：窓孔 42'：窓孔 43：掻き棒 421：窓孔の起立縁 432：掻き棒のヘッド

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) F23G 5/00 F23G 5/26 F23G 5/44 F23G 7/00 F23H 13/00 F23L 1/00

Claims (7)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 一次空気及び二次空気供給部を備える燃
   焼室と、三次空気供給部を備えて燃焼室の側周部に設け
   られたバーナー口と、燃焼室頂部に筒状に設けた有機質
   産業廃棄物の投入口と、投入口直下に設けた傘状の回転
   受け羽と、回転受け羽の周縁に垂設した掻き棒を備える
   燃焼装置において、回転受け羽が多数の窓孔を有し、当
   該窓孔の幾つかは孔周縁に起設されて窓孔を囲む起立縁
   を備えることを特徴とする燃焼装置。
2. 【請求項２】 一次空気及び二次空気供給部を備える燃
   焼室と、三次空気供給部を備えて燃焼室の側周部に設け
   られたバーナー口と、燃焼室頂部に筒状に設けた有機質
   産業廃棄物の投入口と、投入口直下に設けた傘状の回転
   受け羽と、回転受け羽の周縁に垂設した掻き棒を備える
   燃焼装置において、上記掻き棒が下端部に水平方向に延
   びるヘッドを備え、当該ヘッドは回転受け羽の軸心と掻
   き棒の軸心を結んで延びる線に対して回転受け羽の回転
   方向に４５度乃至６０度の角度を持って設けられ、且つ
   先端部が回転受け羽の投影面の外側に延在していること
   を特徴とする燃焼装置。
3. 【請求項３】 一次空気及び二次空気供給部を備える燃
   焼室と、三次空気供給部を備えて燃焼室の側周部に設け
   られたバーナー口と、燃焼室頂部に筒状に設けた有機質
   産業廃棄物の投入口と、投入口直下に設けた傘状の回転
   受け羽と、回転受け羽の周縁に垂設した掻き棒を備える
   燃焼装置において、燃焼室がその頂部とバーナー口の対
   向位置との２個所に空気の吹出し部を有し、前者は投入
   口の外周面に沿って下向きに、後者はバーナー口に向け
   て夫々他の空気供給部に比べて大量の空気を吹出すよう
   にしたことを特徴とする燃焼装置。
4. 【請求項４】請求項１の燃焼装置において、上記掻き棒
   の下端に設けるヘッドが、回転受け羽の軸心と掻き棒の
   軸心を結ぶ線に対して、回転受け羽の回転方向に４５度
   乃至６０度傾斜して設けられていることを特徴とする燃
   焼装置。
5. 【請求項５】請求項１の燃焼装置において、燃焼室がそ
   の頂部とバーナー口の対向位置との２個所に空気の吹出
   し部を有し、前者は投入口の外周面に沿って下向きに、
   後者はバーナー口に向けて夫々他の空気供給部に比べて
   大量の空気を吹出すようにしたことを特徴とする燃焼装
   置。
6. 【請求項６】請求項２の燃焼装置において、燃焼室がそ
   の頂部とバーナー口の対向位置との２個所に空気の吹出
   し部を有し、前者は投入口の外周面に沿って下向きに、
   後者はバーナー口に向けて夫々他の空気供給部に比べて
   大量の空気を吹出すようにしたことを特徴とする燃焼装
   置。
7. 【請求項７】請求項４の燃焼装置において、燃焼室がそ
   の頂部とバーナー口の対向位置との２個所に空気の吹出
   し部を有し、前者は投入口の外周面に沿って下向きに、
   後者はバーナー口に向けて夫々他の空気供給部に比べて
   大量の空気を吹出すようにしたことを特徴とする燃焼装
   置。