JP2998974B2 - 顔料分散樹脂組成物の製法 - Google Patents

顔料分散樹脂組成物の製法

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JP2998974B2 JP2171761A JP17176190A JP2998974B2 JP 2998974 B2 JP2998974 B2 JP 2998974B2 JP 2171761 A JP2171761 A JP 2171761A JP 17176190 A JP17176190 A JP 17176190A JP 2998974 B2 JP2998974 B2 JP 2998974B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、たとえば建築物の外装、自動車、産業機
械、スチール製家具、家電用品、プラスチックスなどの
各種塗装、とくに耐久性の要求される塗装に使用される
塗料用の組成物であって、鮮かな色調を有し、ツヤびけ
のない顔料分散樹脂組成物の製法に関する。
[従来の技術・発明が解決しようとする課題] 水酸基を有するアクリル樹脂およびアルコキシシリル
基含有アクリル共重合体からなる組成物を加熱硬化させ
ることによって形成された塗膜が優れた耐久性を示すこ
とが見出され、すでに特許出願されている(特開平1−
141952号明細書)。しかしながら、前記組成物にカーボ
ン、フタロシアニンブルー、キナクリドン系などの有機
顔料を加えてエナメルを作製したばあい、分散性がわる
く、その結果鮮やかな色調がえられない、塗装面のツヤ
が出ないなどの問題がある。
[課題を解決するための手段] 本発明者らは前記問題を解決するため鋭意検討を重ね
た結果、ε−カプロラクトン変性ヒドロキシアルキルビ
ニル系モノマーを共重合成分の1つとし、アクリル酸お
よび(または)メタクリル酸を共重合成分としたポリエ
ステル変性水酸基含有アクリル樹脂(A)で顔料を分散
させ、そののち一般式: (式中、R1は炭素数1〜10のアルキル基、R2は水素原子
または炭素数1〜10のアルキル基、アリール基およびア
ラルキル基よりなる群から選ばれた1価の炭化水素基、
aは0、1または2を示す)で示される基を有するアル
コキシシリル基含有アクリル共重合体(B)を混合する
ことにより、顔料分散性の優れた樹脂組成物をうること
ができることを見出し、本発明を完成するに至った。
[実施例] 本発明においては、まずε−カプロラクトン変性ヒド
ロキシアルキルビニル系モノマーを共重合体成分の1つ
とし、アクリル酸および(または)メタクリル酸を共重
合成分としたポリエステル変性水酸基含有アクリル樹脂
(A)(以下、ポリエステル変性樹脂(A)ともいう)
で顔料が分散せしめられる。
ポリエステル変性樹脂(A)で顔料を分散させると
は、えられるものが顔料を分散させたポリエステル変性
樹脂(A)であるかぎり、その方法にはとくに限定がな
いことを意味する。
前記ポリエステル変性樹脂(A)と顔料とからなる分
散物の調製方法の例としては、たとえばポリエステル変
性樹脂(A)に顔料を加えて分散させる方法、顔料にポ
リエステル変性樹脂(A)を加えて分散させる方法、こ
れらを同時に加えながら分散させる方法、顔料とポリエ
ステル変性樹脂(A)の一部とをまず混合したものとの
こりのポリエステル変性樹脂(A)とを混合して分散さ
せる方法などの方法があげられるが、これらの方法に限
定されるものではない。
また、分散させる際の具体的な方法にもとくに限定は
なく、一般の塗料、コーティング剤、接着剤、シーラン
ト、プライマーなどの分散に用いられている方法が採用
可能であり、ロールミル法、ボールミル法、サンドミル
法、高速インペラーミル法、ディスパーザー法、ニーダ
ー法などの方法が適用可能である。
前記ポリエステル変性樹脂(A)で顔料を分散させる
際に、適宜粘度を調節するための溶剤、希釈剤、分散
剤、その他の添加剤などを使用してもよいことは当然の
ことである。
前記ポリエステル変性樹脂(A)で顔料を分散させる
際のポリエステル変性樹脂(A)と顔料との割合として
は、使用する顔料の種類、えられる顔料分散樹脂組成物
に要求される色調、該組成物の組成などによっても異な
るため一概には規定できないが、通常、ポリエステル変
性樹脂(A)100部(重量部、以下同様)に対して顔料
1〜500部程度であり、5〜400部程度が好ましい。
このようにまずポリエステル変性樹脂(A)で顔料を
分散させるため、顔料表面への樹脂の濡れ、吸着性が向
上し、分散状態が安定化するという効果がえられる。と
くに、ポリエステル変性樹脂(A)が、ポリエステル樹
脂に由来する部分を含むため、これを含まないアクリル
樹脂などよりも顔料の分散性を向上させうる。
ポリエステル変性樹脂(A)は種々の方法で製造しう
るが、重合性不飽和基を有するポリエステル樹脂と、こ
れと共重合可能なε−カプロラクトン変性ヒドロキシア
ルキルビニル系モノマーと、アクリル酸、メタクリル
酸、それらの誘導体などとの共重合による方法が工業的
に有効である。
前記重合性不飽和基を有するポリエステル樹脂には、
樹脂中にビニル系モノマーと共重合可能な不飽和基を少
なくとも1個有する以外、とくに限定はない。
このような重合性不飽和基を有するポリエステル樹脂
は従来から知られている方法で製造することができ、そ
の際に使用される成分としては、サフラハ油、大豆油、
アマニ油、ヒマシ油、ヤシ油、パーム核油、キリ油、脱
水ヒマシ油などの油、またはこれらの脂肪酸;マレイン
酸、無水マレイン酸、フマル酸、メサコン酸、シトラコ
ン酸、イタコン酸、塩素化マレイン酸などの不飽和2塩
基酸;フタル酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタ
ル酸、無水コハク酸、テトラヒドロフタル酸、アジピン
酸、セバシン酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラク
ロロ無水フタル酸、テトラブロモ無水フタル酸、マロン
酸、ピロメリット酸、無水ピロメリット酸、無水ハイミ
ック酸、トリメリット酸、無水トリメリット酸、メチル
シクロヘキセントリカルボン酸無水物などの飽和または
芳香族の多塩基酸;エチレングリコール、ジエチレング
リコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコ
ール、1,3−ブチレングリコール、2,3−ブタンジオー
ル、2,3−ブチレングリコール、ビスフェノールジオキ
シプロピルエーテル、ビスフェノールジオキシエチルエ
ーテル、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオー
ル、1,6−ヘキサンジオール、グリセリン、トリエチレ
ングリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリス
リトール、ジペンタエリスリトール、トリエチレングリ
コール、水素化ビスフェノールA、ビスフェノール、ジ
ヒドロキシプロピルエーテル、トリメチロールエタン、
トリスヒドロキシメチルアミノメタンなどの多価アルコ
ールがあげられる。
また、アリルアルコール、アリルグリシジルエーテ
ル、トリメチロールプロパンのジまたはモノアリルアル
コール、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリ
レートなどを多価アルコールの一部のかわりに用いる方
法、クロトン酸、ソルビン酸、アクリル酸、メタクリル
酸などを多塩基酸の一部のかわりに用いる方法、また一
般のカルボキシル基含有ポリエステル樹脂とアリルグリ
シジルエーテル、グリシジルアクリレート、グリシジル
メタクリレートなどとの反応によっても製造しうる。さ
らに、エポキシ化合物とカルボン酸無水物とを3級アミ
ンの存在下で反応させ、ポリエステル樹脂を合成するば
あいに、エポキシ化合物の一部にアリルグリシジルエー
テル、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレ
ートなどを用いることによっても、ビニル系モノマーと
共重合可能なポリエステル樹脂を製造することができ
る。
ポリエステル変性樹脂(A)におけるポリエステル部
分の含有量としては1%以上が好ましく、2〜30%がさ
らに好ましい。該含有量が1%未満のばあいには分散性
の改善があまりみられない。
前記ε−カプロラクトン変性ヒドロキシアルキルビニ
ル系モノマーは、水酸基含有ビニル系化合物とε−カプ
ロラクトンとの反応によりえられるε−カプロラクトン
変性ヒドロキシアルキルビニル系モノマーである。
前記水酸基含有ビニル系化合物としては、たとえば2
−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロ
キシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエ
チルビニルエーテル、N−メチロール(メタ)アクリル
アミド、東亜合成化学工業(株)製のアロニクス5700、
4−ヒドロキシスチレン、日本触媒化学工業(株)製の
HE−10、HE−20、HP−10およびHP−20(いずれも末端に
水酸基を有するアクリル酸エステルオリゴマー)、日本
油脂(株)製のブレンマーPPシリーズ(ポリプロピレン
グリコールメタクリレート)、ブレンマーPEシリーズ
(ポリエチレングリコールモノメタクリレート)、ブレ
ンマーPEPシリーズ(ポリエチレングリコールポリプロ
ピレングリコールメタクリレート)、ブレンマーAP−40
0(ポリプロピレングリコールモノアクリレート)、ブ
レンマーAE−350(ポリエチレングリコールモノアクリ
レート)、ブレンマーNKH−5050(ポリプロピレングリ
コールポリトリメチレンモノアクリレート)およびブレ
ンマーGLM(グリセロールモノメタクリレート)などの
水酸基含有ビニル系モノマーがあげられる。
前記ε−カプロラクトン変性ヒドロキシアルキルビニ
ル系モノマーの代表的なものとしては、たとえば式: (式中、RはHまたはCH3、nは1以上の整数を示す)
で表わされる構造を有するダイセル化学工業(株)製の
Placcel FA−1(R=H、n=1)、Placcel FA−4
(R=H、n=4)、Placcel FM−1(R=CH3、n=
1)、Placcel FM−4(R=CH3、n=4)など、UCC
(株)製のTONE M−100(R=H、n=2)、TONE M201
(R=CH3、n=1)などがあげられる。ε−カプロラ
クトン変性ヒドロキシアルキルビニル系モノマーを用い
ることにより、本発明によってえられる組成物から形成
される塗膜の耐衝撃性および可撓性の改善をはかること
ができる。
これらε−カプロラクトン変性ヒドロキシアルキルビ
ニル系モノマーは、1種を用いてもよく、2種以上を併
用してもよい。また、前記水酸基含有ビニル系モノマー
と併用してもよい。
前記アクリル酸やメタクリル酸の誘導体にとくに限定
はなく、その具体例としては、たとえばメチル(メタ)
アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル
(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)ア
クリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベンジ
ル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アク
リレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、
ペンタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、パーフ
ルオロシクロヘキシル(メタ)アクリレート、(メタ)
アクリロニトリル、グリシジル(メタ)アクリレート、
ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチル
アミノエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル
アミド、α−エチル(メタ)アクリルアミド、N−ブト
キシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルア
クリルアミド、N−メチルアクリルアミド、アクリロイ
ルモルホリン、N−メチロール(メタ)アクリルアミ
ド、東亜合成化学工業(株)製のマクロマーであるAS−
6、AN−6、AA−6、AB−6、AK−5など、(メタ)ア
クリル酸のヒドロキシアルキルエステル類などのα,β
−エチレン性不飽和カルボン酸のヒドロキシアルキルエ
ステル類とリン酸もしくはリン酸エステル類との縮合生
成物たるリン酸エステル基含有ビニル系化合物、ウレタ
ン結合やシロキサン結合を含む(メタ)アクリレートな
どがあげられる。
ポリエステル変性樹脂(A)中には、50%(重量%、
以下同様)をこえない範囲で、主鎖にウレタン結合やシ
ロキサン結合などにより形成される単位が含まれていて
もよく、(メタ)アクリル酸誘導体以外のモノマーに由
来する単位が含まれていてもよい。該モノマーには限定
はなく、その具体例としては、たとえばスチレン、α−
メチルスチレン、クロロスチレン、スチレンスルホン
酸、ビニルトルエンなどの芳香族炭化水素系ビニル系化
合物;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などの不飽和
カルボン酸、それらの塩(アルカリ金属塩、アンモニウ
ム塩、アミン塩など)、それらの酸無水物(無水マレイ
ン酸など)、それらと炭素数1〜20の直鎖または分岐の
アルコールとのジエステルまたはハーフエステルなどの
不飽和カルボン酸のエステル;酢酸ビニル、プロピオン
酸ビニル、ジアリルフタレートなどのビニルエステルや
アリル化合物;ビニルピリジン、アミノエチルビニルエ
ーテルなどのアミノ基含有ビニル系化合物;イタコン酸
ジアミド、クロトンアミド、マレイン酸ジアミド、フマ
ル酸ジアミド、N−ビニルピロリドンなどのアミド基含
有ビニル化合物;メチルビニルエーテル、シクロヘキシ
ルビニルエーテル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、クロ
ロプレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン、フル
オロオレフィン、マレイミド、N−ビニルイミダゾー
ル、ビニルスルホン酸などのその他のビニル系化合物な
どがあげられる。
ポリエステル変性樹脂(A)の共重合成分に、カルボ
ン酸基、酸無水物基、エポキシ基、アミノ基、アミド基
などの極性基を含むビニル系モノマー、とくに(メタ)
アクリル酸を使用することにより、顔料の分散性をさら
に向上させることができる。極性基を含むビニル系モノ
マーに由来する単位の含有量は、保存安定性の面からポ
リエステル変性樹脂(A)中に20%以下であるのが好ま
しい。
ポリエステル変性樹脂(A)を製造する際の重合方法
は、合成の容易さからアゾビスイソブチロニトリルなど
のアゾ系ラジカル開始剤を用いた溶液重合法が好まし
い。溶液重合においては、必要に応じてn−ドデシルメ
ルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−ブチルメ
ルカプタンなどの連鎖移動剤を用いることにより、分子
量を調整することができる。重合溶剤は、非反応性の溶
剤であればとくに限定はない。
ポリエステル変性樹脂(A)は、ペンタン、ヘキサン
などの非極性有機溶剤に不溶性の重合体粒子を分散させ
た非水ディスパージョンタイプでもよい。
ポリエステル変性樹脂(A)の分子量、水酸基価など
にはとくに限定はなく、通常使用されているものであれ
ば使用しうるが、数平均分子量が1,500〜40,000である
のがえられる組成物から形成される塗膜の外観性(光
沢)、耐候性、耐薬品性などの物性の点から好ましく、
また、水酸基価が10〜300mgKOH/gであるのが前記塗膜物
性の点から好ましく、30〜150mgKOH/gであるのがさらに
好ましい。
本発明に用いる顔料にはとくに限定はなく、一般の塗
料、コーティング剤、接着剤、シーラント、プライマー
などに用いられる顔料であればとくに限定なく使用しう
る。このような顔料の具体例としては、たとえば群青、
紺青、亜鉛黄、ベンガラ、黄鉛、鉛白、チタン白、カー
ボンブラック、透明酸化鉄、アルミ粉などの無機顔料;
アゾ系、トリフェニルメタン系、キノリン系、アントラ
キノン系、フタロシアニン系などの有機顔料などがあげ
られるが、これらに限定されるものではない。これらの
うちではとくにカーボンブラック、有機顔料が一般に分
散させるのが難しく、分散性向上の点から本発明の方法
がとくに有利である。
本発明においては、ポリエステル変性樹脂(A)で顔
料を分散させたのち、調製された分散物とアルコキシシ
リル基含有アクリル共重合体(B)とを混合することに
より、顔料分散樹脂組成物が製造される。
前記分散物とアルコキシシリル基含有アクリル共重合
体(B)とを混合する際の方法にはとくに限定はなく、
これらが均質に混合する方法であるかぎり採用しうる。
たとえばボールミル法で数十分攪拌する程度で充分であ
る。
前記混合の際に、適宜溶剤、希釈剤、分散剤、レベリ
ング剤、紫外線吸収剤などの添加剤などを使用してもよ
いことは当然のことである。
前記分散物とアルコキシシリル基含有アクリル共重合
体(B)とを混合させる際の割合としては、製造される
顔料分散樹脂組成物の用途によっても異なるため一概に
は規定できないが、通常、分散物中のポリエステル変性
樹脂(A)/アルコキシシリル基含有アクリル共重合体
(B)が重量比で9/1〜1/9が好ましく、8/2〜2/8がさら
に好ましい。前記割合が9/1をこえるとえられる組成物
から形成される塗膜の耐水性が低下する傾向が生じ、1/
9未満になると顔料分散性が低下する傾向が生じる。
前記アルコキシシリル基含有アクリル共重合体(B)
は、末端および(または)側鎖に、一般式: で示されるアルコキシシリル基を1分子中に少なくとも
1個、好ましくは2個以上有するシリル基含有アクリル
共重合体であり、その主鎖が実質的にアクリル共重合鎖
からなるために、えられる硬化物の耐候性、耐薬品性、
耐水性などが向上する。さらにアルコキシシリル基は炭
素に結合しているために、えられる硬化物の耐水性、耐
アルカリ性、耐酸性などがより向上する。前記アルコキ
シシリル基の個数が1分子中に1個未満では製造される
顔料分散樹脂組成物から形成される塗膜の耐溶剤性が低
下しやすくなる。
前記式中、R1は炭素数1〜10、好ましくは1〜4のア
ルキル基である。該炭素数が10をこえるとアルコキシシ
リル基の反応性が低下し、R1がアルキル基以外のたとえ
ばフェニル基やベンジル基のばあいにも反応性は低下す
る。R1の具体例としては、たとえばメチル基、エチル
基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル
基、iso−ブチル基などがあげられる。
前記式中、R2は水素原子、または炭素数1〜10、好ま
しくは1〜4のアルキル基、アリール基およびアラルキ
ル基よりなる群から選ばれた1価の炭化水素基である。
R2の1種である炭素数1〜10のアルキル基の具体例と
しては、R1と同様の基があげられ、アリール基の具体例
としては、たとえばフェニル基などがあげられ、アラル
キル基の具体例としては、たとえばベンジル基などがあ
げられる。
前記式中、aは0、1または2を示す。
アルコキシシリル基含有アクリル共重合体(B)の数
平均分子量は、えられる組成物から形成される塗膜物性
(外観性(光沢)、耐候性、耐薬品性など)の点から1,
000〜30,000であるのが好ましい。
アルコキシシリル基含有アクリル共重合体(B)は、
たとえばアルコキシシリル基含有モノマーとアクリル
酸、メタクリル酸、それらの誘導体などとの共重合によ
りうることができる。
前記アルコキシシリル基含有モノマーとしてはアルコ
キシシリル基を有するということ以外とくに限定はな
く、その具体例としては、たとえば CH2=CHSi(OCH3CH2=CHCOO(CH23Si(OCH3CH2=C(CH3)COO(CH23Si(OCH3CH2=C(CH3)COO(CH23Si(OC2H5 末端にアルコキシシリル基をウレタン結合またはシロキ
サン結合を介して有する(メタ)アクリレートなどがあ
げられる。これらアルコキシシリル基含有モノマーに由
来する単位の割合は、アルコキシシリル基含有アクリル
共重合体(B)中5〜90%が好ましく、11〜70%がさら
に好ましい。該割合が少なすぎるとえられる顔料分散樹
脂組成物から形成される塗膜の物性(耐水性など)が低
下し、多すぎるともろくなる。
アルコキシシリル基含有モノマーと共重合させうるア
クリル酸やメタクリル酸の誘導体にとくに限定はなく、
その具体例としては、たとえばメチル(メタ)アクリレ
ート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)ア
クリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレー
ト、ステアリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メ
タ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレー
ト、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、ペンタ
フルオロプロピル(メタ)アクリレート、パーフルオロ
シクロヘキシル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリ
ロニトリル、グリシジル(メタ)アクリレート、ジメチ
ルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノ
エチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミ
ド、α−エチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシ
メチル(ルタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリ
ルアミド、N−メチルアクリルアミド、アクリロイルモ
ルホリン、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレー
ト、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、N
−メチロール(メタ)アクリルアミド、東亜合成化学工
業(株)製のアロニクスM−5700、東亜合成化学工業
(株)製のマクロマーであるAS−6、AN−6、AA−6、
AB−6、AK−5など、ダイセル化学工業(株)製のPlac
cel FA−1、Placcel FA−4、Placcel FM−1、Placce
l FM−4など、(メタ)アクリル酸のヒドロキシアルキ
ルエステル類などのα,β−エチレン性不飽和カルボン
酸のヒドロキシアルキルエステル類とリン酸もしくはリ
ン酸エステル類との縮合生成物たるリン酸エステル基含
有ビニル系化合物、ウレタン結合やシロキサン結合を含
む(メタ)アクリレートなどがあげられる。
該共重合体中には、50%をこえない範囲で、主鎖にウ
レタン結合やシロキサン結合などにより形成される単位
が含まれていてもよく、(メタ)アクリル酸誘導体以外
のモノマーに由来する単位が含まれていてもよい。該モ
ノマーに限定はなく、その具体例としては、たとえばス
チレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン、スチレ
ンスルホン酸、4−ヒドロキシスチレン、ビニルトルエ
ンなどの芳香族炭化水素系ビニル化合物;マレイン酸、
フマル酸、イタコン酸などの不飽和カルボン酸、それら
の塩(アルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン塩な
ど)、それらの酸無水物(無水マレイン酸など)、それ
らと炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルコールとのジ
エステルまたはハーフエステルなどの不飽和カルボン酸
のエステル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ジアリ
ルフタレートなどのビニルエステルやアリル化合物;ビ
ニルピリジン、アミノエチルビニルエーテルなどのアミ
ノ基含有ビニル化合物;イタコン酸ジアミド、クロトン
アミド、マレイン酸ジアミド、フマル酸ジアミド、N−
ビニルピロリドンなどのアミド基含有ビニル化合物;2−
ヒドロキシエチルビニルエーテル、メチルビニルエーテ
ル、シクロヘキシルビニルエーテル、塩化ビニル、塩化
ビニリデン、クロロプレン、プロピレン、ブタジエン、
イソプレン、フルオロオレフィン、マレイミド、N−ビ
ニルイミダゾール、ビニルスルホン酸などのその他のビ
ニル化合物などがあげられる。
アルコキシシリル基含有アクリル共重合体(B)は、
たとえば特開昭54−36395号公報、同57−36109号公報、
同58−157810号公報などに示される方法により製造する
ことができるが、合成の容易さの点からアゾビスイソブ
チロニトリルなどのアゾ系ラジカル開始剤を用いた溶液
重合法により製造するのが最も好ましい。
前記溶液重合においては、必要に応じてn−ドデシル
メルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−ブチル
メルカプタン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシ
ラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ
−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メ
ルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、 (CH3O)3Si−S−S−Si−(OCH3、 (CH3O)3Si−S8−Si(OCH3などの連鎖移動剤を用
い、分子量を調節することができる。とくにアルコキシ
シリル基を分子中に有する連鎖移動剤、たとえばγ−メ
ルカプトプロピルトリメトキシシランを用いれば、アル
コキシシリル基含有アクリル共重合体の末端にアルコキ
シシリル基を導入することができる。
前記溶液重合に用いられる重合溶剤は、炭化水素類
(トルエン、キシレン、n−ヘキサン、シクロヘキサン
など)、酢酸エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチルな
ど)、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプ
ロパノール、n−ブタノールなど)、エーテル類(エチ
ルセロソルブ、ブチルセロソルブ、セロソルブアセテー
トなど)、ケトン類(メチルエチルケトン、アセト酢酸
エチル、アセチルアセトン、ジアセトンアルコール、メ
チルイソブチルケトン、アセトンなど)のごとき非反応
性の溶剤であればとくに限定はない。
このようなアルコキシシリル基含有アクリル共重合体
(B)は、1種を用いてもよく、2種以上を併用しても
よい。
前述のような方法により顔料分散樹脂組成物を製造す
るため、えられる組成物は原色で着色しても調色した色
で着色しても光沢のある塗膜を与える。
本発明においてポリエステル変性樹脂(A)で顔料を
分散させる際に、顔料とともに充填剤をも分散させても
よい。
前記のごとくポリエステル変性樹脂(A)で顔料とと
もに充填剤をも分散させるばあいには、ポリエステル変
性樹脂(A)100部に対して顔料と充填剤との合計量が
1〜600部程度、さらには5〜500部程度になるのが好ま
しい。また、顔料および充填剤中における顔料の割合と
しては20〜100%程度であるのが耐候性の点から好まし
い。
前記充填剤としては、一般の塗料、コーティング剤、
接着剤、シーラント、プライマーなどに用いられる充填
剤がとくに限定なく使用しうる。このような充填剤の具
体例としては、たとえばシリカ、炭酸カルシウム、炭酸
マグネシウム、粘土、アスベスト、雲母、タルク、グラ
ファイト、亜鉛、酸化亜鉛、酸化カルシウム、硫化モリ
ブデン、ガラス繊維などがあげられる。
本発明の製法においては、ポリエステル変性樹脂
(A)と顔料とを分散させる際、アルコキシシリル基含
有アクリル共重合体(B)の混合時または混合したのち
に、脱水剤、脱水促進剤、溶剤、加水分解性シラン化合
物、硬化触媒などを混合してもよい。
前記脱水剤を用いることにより組成物の長期にわたる
安定性、繰返し使用しても問題のない安定性を確保する
ことができる。
脱水剤の具体例として、たとえばオルトギ酸メチル、
オルトギ酸エチル、オルト酢酸メチル、オルト酢酸エチ
ル、メチルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプ
ロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラ
ン、メチルシリケート、エチルシリケートなどの加水分
解性エステル化合物などがあげられる。これらの加水分
解性エステル化合物は、アルコキシシリル基含有アクリ
ル共重合体(B)の重合前に加えてもよく、重合後に加
えてもよく、重合中に加えてもよい。また、顔料や充填
剤の分散時にポリエステル変性樹脂(A)あらかじめ加
えてもよく、アルコキシシリル基含有アクリル共重合体
(B)の混合時、さらには最終的にエナメルなどを調製
したのち加えてもよい。
脱水剤の使用量にとくに限定はないが、ポリエステル
変性樹脂(A)およびアルコキシシリル基含有アクリル
共重合体(B)の固形分量100部に対し、通常100部以
下、好ましくは50部以下である。
さらに、脱水促進剤を併用することにより、脱水剤の
効果をさらに高めることが可能である。
脱水促進剤としては、塩酸、硫酸、リン酸、硝酸など
の無機酸;ギ酸、酢酸、シュウ酸、安息香酸、フタル
酸、p−トルエンスルホン酸、アクリル酸、メタクリル
酸などの有機酸;アルキルチタン酸塩、オクチル酸鉛な
どのカルボン酸の金属塩;オクチル酸錫、ジブチル錫ジ
ラウレート、ジオクチル錫マレートなどのカルボン酸型
有機錫化合物;モノブチル錫サルファイド、ジオクチル
錫メルカプタイドなどのスルフィド型、メルカプチド型
有機錫化合物;ジオクチル錫オキサイドなどの有機錫オ
キサイド;有機錫オキサイドとエチルシリケート、エチ
ルシリケート40、マレイン酸ジメチル、フタル酸ジオク
チルなどのエステル化合物との反応による有機錫化合
物;テトラエチレンペンタミン、トリエチレンジアミ
ン、N−β−アミノエチル−γ−アミノプロピルトリメ
トキシシランなどのアミン;水酸化カリウム、水酸化ナ
トリウムなどのアルカリ触媒などが有効であるが、とく
に有機酸、無機酸および有機錫化合物が有効である。
これら脱水促進剤は脱水剤100部に対し、通常0.0001
〜20部、好ましくは0.001〜10部用いられる。
前記溶剤としては、非反応性の溶剤であればよい。こ
のような溶剤の具体例としては、たとえば一般の塗料、
コーティング剤などに用いられている脂肪族炭化水素
類、芳香族炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類、アルコ
ール類、ケトン類、エステル類、エーテル類、アルコー
ルエステル類、ケトンアルコール類、エーテルアルコー
ル類、ケトンエーテル類、ケトンエステル類、エステル
エーテル類などがあげられる。これらのなかでも、アル
キルアルコールを含む溶剤を用いたばあい、えられる組
成物の安定性を向上させるという点からとくに好まし
い。
前記アルキルアルコールとしては、アルキル基の炭素
数が1〜10のアルコールが好ましく、たとえばメチルア
ルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコー
ル、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、
イソブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert
−ブチルアルコール、n−アミルアルコール、イソアミ
ルアルコール、ヘキシルアルコール、オクチルアルコー
ル、セロソルブなどが用いられる。アルコールの使用量
にとくに限定はないが、ポリエステル変性樹脂(A)お
よびアルコキシシリル基含有アクリル共重合体(B)の
固形分量100部に対し、通常100部以下、好ましくは50部
以下である。
アルコールと前記脱水剤の併用は、えられる顔料分散
樹脂組成物の(A)成分、(B)成分を混合保存したば
あいの保存安定性に顕著な効果を呈する。
溶剤の使用量は、本発明に用いる(A)成分および
(B)成分の分子量または組成により異なり、実用上必
要な固形分濃度、粘度に合わせて調整される。
前記加水分解性シラン化合物は末端または側鎖に加水
分解性シリル基を有する化合物であり、組成物から形成
される塗膜の密着性、硬度、耐溶剤性などを改善する効
果がある。
前記加水分解性シラン化合物の好ましい例としては、
たとえば加水分解性シラン化合物、その部分加水分解縮
合物、その反応物、これらの混合物などがあげられる。
前記加水分解性シラン化合物の具体例としては、たと
えばメチルシリケート、メチルトリメトキシシラン、エ
チルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、
オクチルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシ
ラン、フェニルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキ
シシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシ
ラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、
γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メ
ルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロ
ピルトリメトキシシラン、N−β−アミノエチル−γ−
アミノプロピルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキ
シシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジブチルジメト
キシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ビニルメチ
ルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチ
ルジメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、トリ
エチルメトキシシラン、トリフェニルメトキシシラン、
エチルシリケート、メチルトリエトキシシラン、エチル
トリエトキシシラン、ブチルトリエトキシシンラン、オ
クチルトリエトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラ
ン、フェニルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシ
シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラ
ン、γ−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ
−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メル
カプトプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピ
ルトリエトキシシラン、N−β−アミノエチル−γ−ア
ミノプロピルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシ
シラン、ジエチルジエトキシシラン、ジブチルジエトキ
シシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ビニルメチル
ジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチル
ジエトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリエ
チルエトキシシラン、トリフェニルメトキシシランなど
があげられる。
また、前記加水分解性シラン化合物の部分加水分解縮
合物は、前記シラン化合物を単独または複数混合し、必
要量のH2Oを加え、また必要に応じて塩酸、硫酸などの
縮合触媒を少量加え、常温〜100℃にし、生成するアル
コールを除去しながら縮合を進めることにより容易にえ
られる。
たとえばメチルシリケートの部分加水分解縮合物でメ
トキシシリル基を含有する化合物としては日本コルコー
ト化学(株)製のメチルシリケート47、メチルシリケー
ト51、メチルシリケート55、メチルシリケート58、メチ
ルシリケート60などがあげられ、またメチルトリメトキ
シシラン、ジメチルジメトキシシランなどの部分加水分
解縮合物でメトキシシリル基を有する化合物としては信
越化学工業(株)製のAFP−1、AFR−2、AFP−6、KR2
13、KR217、KR9218;東芝シリコーン(株)製のTSR165、
TR3357;日本ユニカー(株)製のY−1587、FZ−3701、F
Z−3704などがあげられる。また、エチルシリケートの
部分加水分解縮合物でエトキシシリル基を含有する化合
物としては日本コルコート化学(株)製のエチルシリケ
ート40、HAS−1、HAS−6、HAS−10などがあげられ
る。
前記加水分解性シラン化合物の反応物としては、たと
えばアミノ基を含むシランカップリング剤とエポキシ基
を含むシランカップリング剤との反応物;アミノ基を含
むシランカップリング剤とエチレンオキシド、ブチレン
オキシド、エピクロルヒドリン、エポキシ化大豆油、そ
の他油化シエルエポキシ(株)製のエピコート828、エ
ピコート1001などのエポキシ基を含む化合物との反応
物;エポキシ基を含むシランカップリング剤とエチルア
ミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エチレンジ
アミン、ヘキサンジアミン、ジエチレントリアミン、ト
リエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミンなど
の脂肪族アミン類、アニリン、ジフェニルアミンなどの
芳香族アミン類、シクロペンチルアミン、シクロヘキシ
ルアミンなどの脂環式アミン類、エタノールアミン類な
どのアミンとの反応物などがあげられる。
このような加水分解性シラン化合物は1種を用いても
よく、2種以上を併用してもよい。
加水分解性シラン化合物の使用量にとくに限定はない
が、ポリエステル変性樹脂(A)およびアルコキシシリ
ル基含有アクリル共重合体(B)の固形分100部に対し
て通常0.01〜100部、好ましくは0.1〜30部である。該使
用量が0.01部未満になると添加効果が充分えられなくな
り、100部をこえると組成物から形成される塗膜の物性
が低下する傾向がある。
本発明によってえられる組成物は加熱により優れた塗
膜を形成するが、このばあい、硬化触媒を使用すること
ができる。硬化触媒の具体例としては、たとえばジブチ
ルスズジラウレート、ジブチルスズジマレート、ジオク
チルスズジラウレート、ジオクチルスズジマレート、オ
クチル酸スズなどの有機スズ化合物;リン酸、モノメチ
ルホスフェート、モノエチルホスフェート、モノブチル
ホスフェート、モノオクチルホスフェート、モノデシル
ホスフェート、ジメチルホスフェート、ジエチルホスフ
ェート、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェー
ト、ジデシルホスフェートなどのリン酸またはリン酸エ
ステル;プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、
シクロヘキセンオキサイド、グリシジルメタクリレー
ト、グリシドール、アクリルグリシジルエーテル、γ−
グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシ
ドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシ
プロピルメチルジメトキシシラン、 油化シェルエポキシ(株)製のカーデュラE、油化シェ
ルエポキシ(株)製のエピコート828、エピコート1001
などのエポキシ化合物とリン酸および(または)モノ酸
性リン酸エステルとの付加反応物;有機チタネート化合
物;有機アルミニウム化合物;マレイン酸、パラトルエ
ンスルホン酸などの酸性化合物;ヘキシルアミン、ジ−
2−エチルヘキシルアミン、N,N−ジメチルドデシルア
ミン、ドデシルアミンなどのアミン類;これらアミンと
酸性リン酸エステルとの混合物または反応物;水酸化ナ
トリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ性化合物など
があげられる。
これら硬化触媒のうち、有機スズ化合物、酸性リン酸
エステル、酸性リン酸エステルとアミンとの反応物、飽
和もしくは不飽和多価カルボン酸またはその酸無水物、
反応性シリコン化合物、有機チタネート化合物、有機ア
ルミニウム化合物またはこれらの混合物が活性も高く好
ましい。
このような硬化触媒は一種を用いてもよく、2種以上
を併用してもよい。
硬化触媒の使用量にとくに限定はないが、ポリエステ
ル変性水酸基含有アクリル樹脂(A)およびアルコキシ
シリル基含有アクリル共重合体(B)の固形分量100部
に対して通常0.1〜20部、好ましくは0.1〜10部である。
硬化触媒の使用量が0.1部未満になると硬化性が低下す
る傾向があり、20部をこえると組成物から形成される塗
膜の物性が低下する傾向がある。
本発明の製法においては、さらに用途に応じて希釈
剤、紫外線吸収剤、光安定剤、沈降防止剤、レベリング
剤などの添加剤;ニトロセルロース、セルロースアセテ
ートブチレートなどの繊維素;エポキシ樹脂、メラミン
樹脂、塩化ビニル樹脂、塩素化ポリプロピレン、塩化ゴ
ム、ポリビニルブチラール、ポリシロキサンなどの樹脂
などを添加してもよい。
本発明によりえられる組成物は、浸漬、吹付け、刷毛
塗りなど、常法により被塗物に塗布したのち、通常30℃
以上、好ましくは55〜350℃で硬化させることができ
る。
つぎに本発明を実施例に基づき、さらに具体的に説明
する。
合成例1 [アルコキシシリル基含有アクリル共重合体(B)の合
成] 撹拌機、温度計、還流冷却器、チッ素ガス導入管およ
び滴下ロートを備えた反応容器にキシレン45.9部を仕込
み、チッ素ガスを導入しつつ110℃に昇温したのち、下
記組成の混合物(b)を滴下ロートにより、5時間かけ
て等速滴下した。
(混合物(b)) スチレン 12.8部 メタクリル酸メチル 50.1部 メタクリル酸ステアリル 6.9部 γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン 30.2部 キシレン 13.5部 2,2′−アゾビスイソブチロニトリル 4.5部 混合物(b)の滴下終了後、2,2′−アゾビスイソブ
チロニトリル0.5部およびトルエン5部を1時間かけて
等速滴下した。滴下終了後、110℃で2時間熟成のの
ち、冷却し、樹脂溶液にキシレンを加えて固形分濃度を
60%に調整した。えられた樹脂溶液(B)の物性を第2
表に示す。
合成例2 [重合性不飽和基を有するポリエステル樹脂の合成] ヤシ油脂肪酸40g、ペンタエリスリトール13g、トリメ
チロールプロパン15g、無水フタル酸30gおよび適当量の
キシレンを、攪拌装置、チッ素ガス導入口、温度計およ
び還流型生成水取出装置をつけた四つ口フラスコに仕込
み、180℃で1時間、230℃で2時間反応させたのち、無
水マレイン酸2gを加え、さらに230℃で1時間反応さ
せ、酸価4のポリエステル樹脂をえた。ついでキシレン
で固形分濃度60%に希釈し、23℃でB型粘度計で測定し
たところ粘度1000cpsのポリエステル樹脂溶液をえた。
合成例3 [ポリエステル変性水酸基含有アクリル樹脂(A)の合
成] 合成例1におけるキシレン45.9部のかわりに酢酸ブチ
ル31.3部およびキシレン9.5部を仕込み、合成例1と同
様にして第1表に示す組成(単位は重量部)の混合物
(a−1)〜(a−3)を滴下した。混合物滴下終了
後、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル0.2部およびト
ルエン3.8部を1時間かけて滴下した。
滴下終了後、110℃で2時間反応させ、冷却し、樹脂
溶液にキシレンを加えて固形分濃度を60%に調整した。
えられた樹脂溶液(A−1)〜(A−3)の物性を第2
表に示す。
合成例4 [水酸基含有アクリル樹脂(A′)の合成] 混合物(a−1)〜(a−3)のかわりに混合物(a
−4)〜(a−6)を用いたほかは、合成剤3と同様に
して樹脂溶液をえた。えられた樹脂溶液(A−4)〜
(A−6)の物性を第2表に示す。
参考例1〜2、実施例1〜4および比較例1〜4 第3表に示すミルベース樹脂(ポリエステル変性水酸
基含有アクリル樹脂(A)、水酸基含有アクリル樹脂
(A′))と顔料とを、スチールビーズを用いるペイン
トシェーカーにより4時間で分散させた。ついでカット
バック樹脂(アルコキシシリル基含有アクリル共重合体
(B))を加え、30分間で分散させた。
この際、ミルベース樹脂/カットバック樹脂の使用割
合は重量比で3/7、顔料はPWC: が第3表に示す値になるように使用した。
えられたエナメル10gにキシレンのみを3g添加して希
釈したものと、エナメル10gにキシレン3g、ジオクチル
スズマレエート0.1gおよびN−β−アミノエチル−γ−
アミノプロピルトリメトキシシラン0.1gを添加し、よく
混合したものとをそれぞれ乾燥後の厚さが約10μmにな
るようにガラス板上に流し塗りして乾燥させたのちの外
観を目視で観察し、さらに60゜光沢値を測定した。結果
を第3表に示す。
第3表をみると、ポリエステル変性水酸基含有アクリ
ル樹脂(A)と顔料とを分散させたのち、アルコキシシ
リル基含有アクリル共重合体(B)を分散させて調整し
たエナメルは、ポリエステル変性しないものに比べ、分
散がよくツヤびけを生じないことがわかる。
[発明の効果] 以上詳述したごとく、本発明によってえられる組成物
は、塗装をしたばあい他の組成物を用いたばあいに比
べ、ツヤびけが小さいか全くない、優れた塗料を与え
る。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 33/14,43/04 C08K 5/00 - 5/59

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ε−カプロラクトン変性ヒドロキシアルキ
    ルビニル系モノマーを共重合成分の1つとし、アクリル
    酸および(または)メタクリル酸を共重合成分としたポ
    リエステル変性水酸基含有アクリル樹脂(A)で顔料を
    分散させ、そののち一般式: (式中、R1は炭素数1〜10のアルキル基、R2は水素原子
    または炭素数1〜10のアルキル基、アリール基およびア
    ラルキル基よりなる群から選ばれた1価の炭化水素基、
    aは0、1または2を示す)で示される基を有するアル
    コキシシリル基含有アクリル共重合体(B)を混合する
    ことを特徴とする顔料分散樹脂組成物の製法。
  2. 【請求項2】(A)成分であるポリエステル変性水酸基
    含有アクリル樹脂が、水酸基価が10〜300mgKOH/gであ
    り、数平均分子量が1,500〜40,000である請求項1記載
    の顔料分散樹脂組成物の製法。
  3. 【請求項3】顔料が有機顔料である請求項1記載の顔料
    分散樹脂組成物の製法。
  4. 【請求項4】(B)成分であるアルコキシシリル基含有
    アクリル共重合体が、分子内に重合性不飽和2重結合と
    アルコキシシリル基とを有するアルコキシシリル基含有
    モノマーからの単位を5〜90重量%含む重合体である請
    求項1記載の顔料分散樹脂組成物の製法。
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