JP2993827B2 - 作業ロールクロス式圧延機及び圧延設備並びに圧延方法 - Google Patents

作業ロールクロス式圧延機及び圧延設備並びに圧延方法

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JP2993827B2
JP2993827B2 JP5247160A JP24716093A JP2993827B2 JP 2993827 B2 JP2993827 B2 JP 2993827B2 JP 5247160 A JP5247160 A JP 5247160A JP 24716093 A JP24716093 A JP 24716093A JP 2993827 B2 JP2993827 B2 JP 2993827B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、圧延材の板クラウン制
御能力に優れた作業ロールを交差させる圧延機に係わ
り、特に補強ロールと作業ロールとの間の潤滑が可能な
作業ロールクロス式圧延機、及びこの圧延機を少なくと
も1台設置した圧延設備、並びに圧延方法に関する。
【0002】
【従来の技術】作業ロールがクロスする形式の圧延機と
しては特開昭47−27159号公報に記載の作業ロー
ルのみをクロスする方式のものがある。
【0003】また、三菱重工技法Vol.21,No.
6に記載のように上作業ロールと上補強ロールとのペア
のロール組みと下作業ロールと下補強ロールとのペアの
ロール組みを各々一体として各ペアロールの軸線を相互
に交差(クロス)させる圧延機が知られている。
【0004】また、特開平3−234305号公報に記
載のように、作業ロールを交差させる4段圧延機におい
て、圧延材の尻抜け後のキスロール状態での作業ロール
同士にかかるスラスト力を低減させる目的で潤滑剤を塗
布するもの、特開昭61−7009号公報に記載のよう
に、作業ロールを交差させない通常の4段圧延機におい
て、圧延機入側に設置されたケーシング内で作業ロール
及び補強ロールに冷却剤を塗布し、圧延油としての潤滑
剤を別途作業ロールと圧延材との間に供給するもの、さ
らに、特開昭47−27849号公報に記載のように圧
延材がロールに接触している時にのみ圧延油としての潤
滑剤を供給するものがある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】特開昭47−2715
9号公報に記載の作業ロールクロス式圧延機では、上下
作業ロールを種々の角度でクロスさせて、作業ロールの
ロールギャップ変えることにより、種々の板クラウン材
のニーズに対応できるものと期待された。しかしなが
ら、実際には、作業ロールと補強ロールの間の相対すべ
りにより生じるスラスト力が極めて大きくなり、実用化
が困難であった。
【0006】三菱重工技法Vol.21,No.6に記
載されている圧延機では、作業ロールと補強ロールとを
一体のペアとし、ペアのロール組みをクロスさせる。こ
のため、作業ロールと補強ロールの間の相対すべりが生
じず、大きなスラスト力は発生しない。しかしながら、
作業ロールと補強ロールとを一体としてクロスするた
め、圧延荷重を直接受ける補強ロールのメタルチョック
の中心が圧下スクリュウの中心からずれ、これによるモ
ーメントが発生し、圧下の円滑な操作が妨げられる。こ
のため、剛性の大きなビームを設けてバランスを取る構
造が用いられるが、必然的に圧延機が複雑化、大型化し
てしまうという問題点があった。
【0007】前述の特開平3−234305号公報に記
載された従来技術ではキスロール状態での作業ロールに
かかるスラスト力低減には効果があるが、作業ロールと
補強ロールの間のスラスト力に関する問題点を解決する
ものではない。また、特開昭61−7009号公報及び
特開昭47−27849号公報に記載された従来技術
も、作業ロールと補強ロールの間のスラスト力に関する
問題点を解決するものではない。
【0008】以上の従来技術に対し、より簡単にスラス
ト力を低減する方法として、本出願人は補強ロールを平
行に保ち、作業ロールのみをクロスさせ、作業ロールと
補強ロールの間に潤滑剤を供給する方式の圧延機(以
下、作業ロールクロス式圧延機という)を発明し、出願
している(特願平4−20956号)。この方式では、
作業ロールと補強ロールの間の相対すべりを無くすので
はなく、潤滑剤を供給することにより相対すべりにより
生じるスラスト力自体を低減するものである。この方法
を用いることにより、比較的簡単にスラスト力が低減で
きるため、比較的構造を単純にし、且つ圧延機を小型に
することが可能となった。
【0009】しかしながら、この先願発明には、潤滑剤
供給装置及び潤滑剤機能の点でさらに改善の余地がある
ことが分かった。
【0010】即ち、通常圧延機では、作業ロールの冷却
のため冷却剤(冷却水)が作業ロールにスプレーされ
る。このため、先願発明の作業ロールクロス式圧延機で
は、この冷却剤が水膜となって作業ロール表面に付着し
て作業ロールと補強ロールの間に持ち込まれたり、スプ
レーされた冷却剤が作業ロールと補強ロールの間に直接
侵入し、潤滑剤に冷却剤が混入して確実に潤滑機能を発
揮することが難しいという問題がある。
【0011】また、上記先願発明は、作業ロールと補強
ロールとの間(以下、適宜ロール間という)に高温にお
いて潤滑性を消失する鉱油をベースとした潤滑剤を供給
することにより、ロール間のスラスト力を低減しながら
熱間の圧延材の噛み込みの問題を解決している。しかし
ながら、このロール間のスラスト力低減と噛み込み能力
確保は作業ロールクロス式圧延機を実現するための満足
すべき最低条件であり、実際の機械に適用するには、過
酷な圧延荷重や速度等の使用条件に耐えて長時間の安定
運転が可能であること、及び潤滑剤が混入した冷却水の
処理が容易である等の条件を満足する必要がある。
【0012】即ち、潤滑剤として上記の噛み込みとスラ
スト力の条件を満足し、さらに、 ・ロールの加減速時にロール間のスリップが発生しない
程度の摩擦係数が確保できること、 ・ロール間クロスによるすべり速度に起因する振動が生
じないこと、 ・潤滑剤供給装置の配管、ノズル等に目詰まりがなく、
潤滑剤がロール表面の軸方向に均等に塗布される良好な
流動性を有すること、 ・大量の冷却剤(冷却水)に混入した潤滑油分を分離凝
集剤等により比較的容易に分離できること、 等の条件を満足することが必須である。
【0013】本発明の第1の目的は、潤滑剤の供給装置
を改良し、確実に作業ロールと補強ロールの間の潤滑を
行うことが可能な作業ロールクロス式圧延機、及び圧延
設備、並びに圧延方法を提供することである。
【0014】本発明の第2の目的は、潤滑剤の機能を改
良し、圧延機として安定した運転を可能としかつ潤滑剤
が混入した冷却剤の処理が容易である作業ロールクロス
式圧延機、及び圧延方法を提供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記第1の目的を達成す
るため、本発明によれば、一対の作業ロールと、これら
作業ロールをそれぞれ支持する一対の補強ロールと、圧
延機出側または入側より前記一対の作業ロールに冷却剤
を噴射してこれらを冷却する冷却手段とを備え、前記一
対の作業ロールは、それらの軸線が前記一対の補強ロー
ルの軸線に対してそれぞれ交差しかつそれら作業ロール
の軸線が互いに交差するように、水平面内で傾斜して配
置された作業ロールクロス式圧延機において、前記一対
の補強ロールのそれぞれに対面して配置され、前記一対
の作業ロールと前記一対の補強ロールとの間のそれぞれ
の接触位置から離れた補強ロール表面上の位置に潤滑剤
を噴射してそれぞれの作業ロールと補強ロールとの間を
潤滑する潤滑剤供給装置を備えることを特徴とする作業
ロールクロス式圧延機が提供される。
【0016】ここで好ましくは、前記潤滑剤供給装置
が、各々、前記補強ロール表面上の位置に潤滑剤を噴射
する潤滑用ノズルと、前記潤滑用ノズルより噴射される
潤滑剤を囲むように配置され内部に余分な潤滑剤を回収
するカバーと、このカバーの前記補強ロールに対面する
端部に設けられ前記カバー内部をシールするシール手段
と、前記カバーの内部に回収された余分な潤滑剤を排出
する潤滑剤排出通路とを有する。
【0017】上記において好ましくは、前記シール手段
が、前記補強ロールに接触する可撓性素材、または前記
補強ロールに高圧ガスを噴射するスリットを含む。
【0018】また、好ましくは、さらに、前記圧延機出
側において前記一対の作業ロールのそれぞれの回転方向
で見て前記作業ロールと前記補強ロールと間の接触位置
の直前で前記作業ロールの表面にそれぞれ接するように
配置され、前記作業ロールに噴射された冷却剤が前記接
触位置に侵入しないよう冷却剤を遮断する第1の水切り
手段を備える。
【0019】また、好ましくは、さらに、前記一対の補
強ロールの表面にそれぞれ接するように配置され、前記
一対の作業ロールに噴射されその表面に付着し前記作業
ロール及び前記補強ロールの回転に伴って運ばれた冷却
剤が、前記潤滑剤供給装置が配置されている位置に持ち
込まれないよう冷却剤を除去する第2の水切り手段を備
える。
【0020】また、好ましくは、前記潤滑剤供給装置よ
り供給される潤滑剤は、鉱油にエステルを加えたものを
ベースとし乳化性をよくする界面活性剤及び脂肪酸の添
加を可及的に控えた潤滑原油を含む。
【0021】また、好ましくは、前記潤滑剤供給装置よ
り供給される潤滑剤が、下記の条件、(a)前記作業ロ
ールと補強ロールとの間の摩擦係数が0.04から0.
1の範囲にあること、(b)粘度が40℃で80Cst.以
下であること、(c)ベース油として鉱油及び5%以上
の合成エステルを含むこと、(d)油性向上剤として脂
肪酸を0.03〜0.5%含むこと、(e)極圧添加剤
を0.1%以上含むこと、を満たす潤滑原油を含む。
【0022】上記において好ましくは、上記潤滑原油
は、(f)乳化剤として界面活性剤を0.5%以上は含
まない。
【0023】また、上記において好ましくは、前記潤滑
剤供給装置より供給される潤滑剤が、上記潤滑原油を水
で希釈した分離性の強いエマルジョン液である。
【0024】前記潤滑剤供給装置より供給される潤滑剤
は、鉱油をベースとし界面活性剤や脂肪酸を添加し乳化
性をよくした潤滑原油を含むものであってもよく、ま
た、そこの潤滑原油を水で希釈した乳化安定性のよいエ
マルジョン液であってもよい。
【0025】また、好ましくは、前記一対の補強ロール
が、各々、その両端部に、圧延荷重およびロールベンデ
ィング力によりロール表面がヘルツ変形し前記補強ロー
ルの軸線とこの補強ロールにより支持される作業ロール
の軸線が接近したときにおいても前記作業ロールに表面
接触しないテーパー部を有し、前記シール手段の前記テ
ーパー部に対面する部分は前記テーパー部に沿って接触
する形状である。
【0026】また、上記第1の目的を達成するため、本
発明によれば、上記のような作業ロールクロス式圧延機
と、前記潤滑剤供給装置で回収された余分の潤滑剤を貯
える潤滑剤タンク及び前記潤滑剤供給装置に潤滑剤を供
給するポンプを有する潤滑剤循環系統とを備えることを
特徴とする圧延設備が提供される。
【0027】また、上記第1の目的を達成するため、本
発明によれば、上記のような作業ロールクロス式圧延機
を少なくとも1台タンデム圧延可能に設置し、さらに前
記潤滑剤供給装置で回収された余分の潤滑剤を貯える潤
滑剤タンク及び前記潤滑剤供給装置に潤滑剤を供給する
ポンプを有する潤滑剤循環系統を備えることを特徴とす
る圧延設備が提供される。
【0028】また、上記第1の目的を達成するため、本
発明によれば、一対の作業ロールと、これら作業ロール
をそれぞれ支持する一対の補強ロールとを備えた圧延機
の圧延方法において、圧延機出側または入側より前記一
対の作業ロールに冷却剤を噴射してこれらを冷却するこ
と、前記一対の作業ロールと前記一対の補強ロールとの
間のそれぞれの接触位置から離れた補強ロール表面上の
位置に潤滑剤を噴射してそれぞれの作業ロールと補強ロ
ールとの間を潤滑すること、これと同時に、前記一対の
作業ロールの軸線が前記一対の補強ロールの軸線に対し
てそれぞれ交差しかつそれら作業ロールの軸線が互いに
交差するように、水平面内で前記一対の作業ロールの傾
斜を制御して圧延材の板クラウンを制御することを特徴
とする圧延方法が提供される。
【0029】また、上記第2の目的を達成するため、本
発明によれば、一対の作業ロールと、これら作業ロール
をそれぞれ支持する一対の補強ロールとを備え、前記一
対の作業ロールは、それらの軸線が前記一対の補強ロー
ルの軸線に対してそれぞれ交差しかつそれら作業ロール
の軸線が互いに交差するように、水平面内で傾斜して配
置された作業ロールクロス式圧延機において、前記一対
の作業ロールと一対の補強ロールとの間にそれぞれ潤滑
剤を供給する潤滑剤供給装置を備え、前記潤滑剤は、下
記の条件、(a)前記作業ロールと補強ロールとの間の
摩擦係数が0.04から0.1の範囲にあること、
(b)粘度が40℃で80Cst.以下であること、(c)
ベース油として鉱油及び5%以上の合成エステルを含む
こと、(d)油性向上剤として脂肪酸を0.03〜0.
5%含むこと、(e)極圧添加剤を0.1%以上含むこ
と、を満たす潤滑原油を含むことを特徴とする作業ロー
ルクロス式圧延機が提供される。
【0030】ここで好ましくは、上記のような作業ロー
ルクロス式圧延機において、前記一対の作業ロールが、
さらに前記一対の作業ロールそれぞれのロール軸方向に
移動可能に構成される。
【0031】上記において好ましくは、前記潤滑原油
は、(f)乳化剤として界面活性剤を0.5%以上は含
まない。
【0032】また、上記第2の目的を達成するため、本
発明によれば、一対の作業ロールと、これら作業ロール
をそれぞれ支持する一対の補強ロールとを備えた圧延機
の圧延方法において、圧延機出側または入側より前記一
対の作業ロールに冷却剤を噴射してこれらを冷却するこ
と、前記一対の作業ロールと前記一対の補強ロールとの
間に潤滑剤を供給しながら、前記一対の作業ロールの軸
線が前記一対の補強ロールの軸線に対してそれぞれ交差
しかつそれら作業ロールの軸線が互いに交差するよう
に、水平面内で前記一対の作業ロールの傾斜を制御して
圧延材の板クラウンを制御すること、前記潤滑剤として
上記の条件(a)〜(e)を満たす潤滑原油またはその
エマルジョン液を使用することを特徴とする圧延方法が
提供される。
【0033】ここで好ましくは、上記のような圧延方法
において、前記一対の作業ロールの傾斜を制御するとと
もにこれら作業ロールのロール軸方向の移動量を制御し
て圧延材の板クラウンを制御することを特徴とする圧延
方法が提供される。
【0034】上記において好ましくは、前記潤滑原油
は、(f)乳化剤として界面活性剤を0.5%以上は含
まない。
【0035】
【作用】第1の目的を達成する本発明の作用は次のよう
である。上記のように構成した本発明においては、作業
ロールクロス式圧延機の作業ロールと補強ロールの接触
位置から離れた補強ロール表面上の位置に、潤滑剤供給
装置から潤滑剤を噴射することにより、この補強ロール
の表面に噴射された潤滑剤は補強ロールの回転に伴って
作業ロールと補強ロールの接触位置に運ばれ、これらロ
ール間の潤滑が行われる。これによって、作業ロールと
補強ロールの接触位置に溜まった冷却剤に邪魔されるこ
となく、確実に潤滑剤がロール表面に塗布(以下、プレ
ートアウトという)され、作業ロールを交差することで
作業ロールと補強ロールの間に発生するスラスト力を効
果的に低減することが可能となる。
【0036】また、潤滑剤供給装置において、潤滑剤は
潤滑用ノズルによって補強ロール表面の上記位置に噴射
されてロール表面に供給されるが、これは潤滑用ノズル
より噴射される潤滑剤を囲むカバーとロール表面とで構
成される閉空間の中で行われることにより、噴射される
潤滑剤に作業ロールの冷却剤が混入せず、潤滑剤のロー
ル表面への付着が良好となる。また、ロール表面に噴射
される潤滑剤のうち余分な潤滑剤が外部に飛散すること
が防止され、冷却剤に混入する潤滑剤の量を減らすこと
ができ、冷却剤の処理が容易になる。また、補強ロール
に向かって噴射されたがロール表面に付着せずに流れ落
ち、カバー内部で回収された余分な潤滑剤は潤滑剤排出
通路より排出される。
【0037】また、カバーの補強ロールに対面する端部
に設けられたシール手段により、上記カバー内部がシー
ルされ、潤滑剤への冷却剤の混入や、潤滑剤の外部への
飛散が確実に防止される。さらに、このシール手段によ
って補強ロール表面に残った水膜も除去される。従っ
て、カバー内部での潤滑剤の噴射、プレートアウトが確
実に行われる。
【0038】上記シール手段は、補強ロールに接触する
可撓性素材を用いた接触式のもの、または、スリットよ
り高圧ガスを補強ロール表面に噴出する非接触式のもの
が好ましく、これによって上記シール手段の機能が満た
される。
【0039】また、圧延機出側における作業ロール表面
に設けられた第1の水切り手段によって、作業ロールに
噴射された冷却剤が作業ロールと補強ロールとの接触位
置直前で遮断され、冷却剤がこの部分に侵入して潤滑性
が悪化することがない。また、冷却剤が直接補強ロール
に直接付着することがなく、前述のようにしてプレート
アウトされたロール間潤滑剤を洗い落とすことがない。
【0040】また、圧延機入側において作業ロールに噴
射されその表面に付着した冷却剤は水膜となって作業ロ
ール及び補強ロールの回転に伴って運ばれるが、この冷
却剤は、補強ロール表面に接するように設けられた第2
の水切り手段によって除去され、潤滑剤供給装置が備え
られた位置に持ち込まれることが防止される。これによ
り、潤滑剤のプレートアウトが水膜に邪魔されることな
く確実に行われる。
【0041】また、上記のようなシール手段や、第1及
び第2の水切り手段によっても依然としてロール表面に
水膜が存在していても、潤滑用ノズルよりスプレー状に
潤滑剤が噴射されることにより、この水膜が突き破られ
ロール表面に潤滑剤が確実にプレートアウトされる。
【0042】また、圧延荷重およびロールベンディング
力によりロール表面がヘルツ変形し補強ロールと作業ロ
ールとの軸間が接近したときには、補強ロールの両端部
が大きく変形しこの部分のシール手段が機能を果たさな
くなることがある。本発明では、補強ロールの両端部に
テーパー部を設け、上記のような場合にもこのテーパー
部が作業ロールに表面接触しないようにすることによ
り、上記テーパー部は変形せず、これに沿って接触する
形状であるシール手段はその機能を果たす。
【0043】また、本発明においては、潤滑剤排出通路
で回収された余分の潤滑剤を潤滑剤タンクに回収し、こ
の潤滑剤タンクから潤滑剤供給装置に潤滑剤を供給する
ことによって、潤滑剤が循環使用される。従って、冷却
剤に混入する潤滑剤の量を減らすことができ、冷却水の
処理が容易になる。また、大量の潤滑剤を無駄にするこ
とがなく、必要最小限の潤滑剤によって潤滑が行われ
る。
【0044】第2の目的を達成する本発明の作用は次の
通りである。一般に、作業ロールクロス式圧延機では、
作業ロールに加わるスラスト力は補強ロールからのスラ
スト力と圧延材からのスラスト力との差となる。上記の
ように構成した本発明では、作業ロールと補強ロールと
の間の摩擦係数(上記補強ロールからのスラスト力に相
当する)を0.1以下とすることにより、作業ロールに
かかるスラスト荷重を最大で圧延荷重の5%以下とな
り、通常の作業ロールの負荷容量の範囲内に保つことが
できる。また、この条件によれば作業ロールと補強ロー
ルとの間の摩擦力を低下することができ、ロール表面の
軸方向の弾性変形をバネとするスティックスリップに起
因した振動が生じなくなる。
【0045】また、慣性の大きい補強ロールは作業ロー
ルにより駆動されているため、ロール間の摩擦係数が小
さいとスリップが発生し、補強ロール表面が局部摩耗す
る。通常、補強ロールには作業ロールのバランス力に相
当する比較的大きな力がかかっているが、その場合でも
補強ロールの軸受のシール等の抵抗(摩擦係数0.01
に相当)、加速に要する慣性トルク(摩擦係数0.02
〜0.03に相当)等に打ち勝って補強ロールを駆動す
る必要がある。本発明においては、作業ロールと補強ロ
ールとの間の摩擦係数を0.04以上とすることによ
り、上記補強ロールの軸受のシール等の抵抗や慣性トル
ク等に打ち勝って補強ロールを駆動することができ、圧
延材の噛み込み後の加速、及び尻抜け後の減速時に補強
ロールがスリップしない。
【0046】また、潤滑原油のベース油として鉱油及び
合成エステルを含むこと、及び潤滑原油の粘度を40℃
(常温)で80Cst.以下とすることにより、潤滑剤の流
動性が増し、潤滑剤供給装置の配管やノズル等に目詰ま
りが生じなくなる。また、潤滑剤がロール表面に均一に
プレートアウトされロール軸方向に均一な潤滑状態が得
られる。
【0047】また、上記潤滑原油のベース油として鉱油
及び合成エステルを含むことにより、鉱油及び合成エス
テルは700℃以上の高温の圧延材に接するとその潤滑
性が著しく低下するので、作業ロール表面に付着して圧
延材噛み込み部に運ばれた潤滑剤が圧延材の噛み込みを
阻害することがない。また、ロールクロス部は摩擦によ
り昇温し、鉱油のみでは油性が不足すが、5%以上の合
成エステルを含むことにより、このロールクロス部での
油性の不足分が補われ、上記の摩擦係数が確保される。
【0048】また、油性向上剤として脂肪酸を含むこと
により、この脂肪酸がロール表面で鉄と反応して強固な
金属石鹸膜を形成し、油膜切れが防止される。このよう
に油膜切れが生じないため、スティックスリップに起因
したロール振動の発生が防止される。また、脂肪酸は乳
化作用があり、この乳化作用により潤滑剤が均一化する
ので、潤滑剤がロール表面の軸方向に均一に塗布され、
均一な潤滑状態が得られる。但し、脂肪酸の量が0.5
%を越えると脂肪酸の乳化作用によりロール間の摩擦係
数は増加する。また、脂肪酸の量が少なすぎて0.03
%以下でも摩擦係数は増大する。したがって、上記の摩
擦係数の範囲を確保するためには、脂肪酸の量としては
0.03%〜0.5%の範囲が最も適正である。
【0049】また、作業ロールと補強ロールとの間は全
体的に常温に近い低温であるが、ロールのクロスで生じ
る摩擦により局部的にこの部分が200℃以上となるこ
とがあり、上記脂肪酸の油膜形成作用が損なわれる場合
がある。本発明では、潤滑原油に極圧添加剤を0.1%
以上含むことにより、脂肪酸の作用が損なわれた部分を
補い、摩擦係数を下げ、振動を抑制する効果がある。
【0050】また、脂肪酸は上記のように乳化作用があ
り、これが多すぎると冷却剤との分離性が悪化する。脂
肪酸を0.5%以下とすることにより、冷却剤中に混入
した潤滑剤の乳化が抑えられて分離性が良くなり、冷却
剤中の油分を通常に行われている凝集分離剤処理により
容易に除去することが可能となる。この冷却剤は、常
時、循環使用されており、かつ常に一部が排水され新水
と置換されているが、排水される冷却剤は浄化されてい
ることが必須であり、上記のように冷却剤中の油分を容
易に分離除去にできることは大変重要である。
【0051】上記のように脂肪酸は油分を乳化し、潤滑
の均一性を達成する作用があるが、その作用を更に高め
るために乳化剤として界面活性剤を混入しても良く、こ
れによりロール表面を軸方向により均一に潤滑すること
ができる。一方、界面活性剤も脂肪酸と同様、これが多
すぎるとロール間の摩擦係数が増大したり冷却剤との分
離性が悪化するので、この量も脂肪酸と同じく0.5%
以下に押さえるのが望ましい。
【0052】作業ロールがそのロール軸方向に移動可能
であることにより、作業ロールのクロス角制御と軸方向
移動量の制御の両方で板クラウン制御が可能となる。ま
た、作業ロールの軸方向移動によりスケジュールフリー
圧延が可能となる。
【0053】
【実施例】本発明の一実施例について図1から図5によ
り説明する。図1に示すように、4段圧延機10におい
て、上下1対の作業ロール2,2は、そのロール軸線が
補強ロール3,3の軸線に対して交差するとともに、上
下作業ロール2,2のロール軸線が相互に交差してお
り、この上下作業ロール2,2の交差角を制御すること
により圧延材1の板クラウンが制御され、圧延が行われ
る。作業ロール2,2は、図示しない構成によってその
ロール軸線が相互に交差するように水平面内で補強ロー
ル3,3に対し傾斜し得るようになっている。
【0054】尚、この作業ロール2,2のロール軸線を
相互に交差させる構成については前述の特願平4−20
956号において詳細に説明されている。また、上記補
強ロール3,3は、そのロール軸線を水平面内で傾斜し
ないように構成するのが通常であるが、そのロール軸線
が3〜4種の特定角度に水平面内で傾斜しそれ以外の角
度には傾斜しないように構成してもよい。さらに、上記
補強ロール3,3は、そのロール軸線が圧延中に水平面
内で自在に傾斜しないように固定されるのが通常である
が、条件に応じ圧延中に傾斜させてもよい。
【0055】また、圧延機10の入側及び出側の作業ロ
ール2に対向する位置には冷却用ヘッダ4が、補強ロー
ル3表面上の作業ロール2と補強ロール3との接触位置
から離れた位置には潤滑剤供給装置5が設置されてお
り、さらに、圧延機出側における作業ロール2と補強ロ
ール3との接触位置直前の作業ロール2表面に接するよ
うにして第1の水切り手段である水切り板6が、圧延機
入側における補強ロール3表面に接するようにして第2
の水切り手段である水切り板7が設置されている。尚、
図中矢印Aは圧延材の進行方向を、矢印Bは冷却剤(以
下、冷却水という)の流れ方向を、矢印C及び矢印Dは
それぞれ補強ロール3及び作業ロール4の回転方向を示
す。また、図1では潤滑剤供給装置5は模式的に表して
ある。
【0056】冷却用ヘッダ4には、冷却水タンク11よ
りポンプ12を介して管路13に送られてくる冷却水が
供給され、この冷却用ヘッダ4より冷却水が噴射されて
作業ロール2,2が冷却される。作業ロール2を冷却後
昇温し、かつスケールや鉄分を多量に含んだ冷却水は、
熱間圧延油やロール間潤滑剤または設備から残された油
と一緒に圧延機下のパン14に集水され、水処理装置1
5に送られる。処理された水はポンプ16で送られて再
び冷却水タンク11に貯められ、循環使用される。ま
た、冷却水タンク11内の水はある一定量ずつ(例えば
50m3/hr)排水され、これに相当する量の新水が一定
量ずつ(例えば50m3/hr)補給される。
【0057】潤滑剤供給装置5には、潤滑剤タンク21
よりポンプ22、フィルター23及び管路24を介して
送られてくる潤滑剤が供給され、この潤滑剤が潤滑剤供
給装置5より補強ロール3表面に噴射される。この潤滑
剤が噴射される位置は、前述のように補強ロール3表面
上の作業ロール2と補強ロール3との接触位置から離れ
た位置であり、この位置は、もし作業ロール2と補強ロ
ール3との間に冷却水が溜まったとしても、潤滑剤のプ
レートアウトが冷却水に邪魔されずにしっかりと行われ
るような距離に設置される。そして、ここにプレートア
ウトされた潤滑剤が補強ロール3の回転に伴って作業ロ
ール2と補強ロール3の接触位置に運ばれ、これらロー
ル間の潤滑が行われる。
【0058】潤滑剤としては水と油の混合液、即ちエマ
ルジョン液が使用されることが多いが、この潤滑剤に使
用される潤滑原油は大きく2種類に分けられる。1つは
安定してエマルジョンとなるものでステーブル油と呼ば
れ、主として鉱油をベースとし界面活性剤や脂肪酸など
の乳化剤を添加した油を水で希釈したもので、乳化剤の
助けによって水溶性となり、長時間放置しても水と油は
分離しない。他の1つは、エマルジョンとなった時に不
安定でアンステーブル油と呼ばれ、牛脂または鉱油にエ
ステルを加えたものをベースとし界面活性剤や脂肪酸な
どの乳化剤の添加を可及的に控えた油を水で希釈したも
ので、分離性が強く撹拌など機械的混合作用を与えない
と分離してしまうが、潤滑性能は前者よりはるかに大き
い。
【0059】前者のステーブル油は、安定したエマルジ
ョン液となり粘度も通常50Cst.以下と低く、ロール表
面に比較的容易に均一にプレートアウトでき、ロール間
潤滑も良好である。また、作業ロールに付着したステー
ブル油の油膜は、圧延時の400℃以上の高温で圧延材
により焼き切られ、潤滑性能が落ちるので、摩擦係数が
0.2以上と大きくなり噛み込み性も良い。しかしなが
ら、水溶性であるためこの水を排水する場合には、化学
処理などにより油を水から強制的に分離させることが必
要になる。一般にはH2SO4など酸を用いて油分を分離
させ、NaOH等を用いて中和し、その後凝集沈澱させ
る。このため高価な排水処理設備を必要とする。しかも
この油分濃度は104〜105ppmと高いため、上記化
学処理による分離及び凝集の前に透過膜を用いて機械的
に油分を分離するウルトラフィルターや水を蒸発分離す
るエバポレーターを設置し、一旦103ppm以下の油分
濃度に落とし、その後さらに化学処理をするという2段
階の処理が必要がある。
【0060】一方、後者のアンステーブル油は、エマル
ジョン液となりにくく、不安定であるため、ロール表面
に均一にかつしっかりとプレートアウトするためには、
粘度の低いベース油を用い、2kg/cm2以上の噴射圧力
でスプレーして十分にプレートアウトさせる必要があ
る。しかし、ロール表面に予め冷却水の水膜(水乗り)
が存在する場合、油分をロール表面に付着させるために
はこの水膜を破ってから潤滑剤をスプレーする必要があ
る。従って、この場合は、水切りシールなどにより予め
ロール表面の水膜を除去し、その面に潤滑剤をスプレー
することが必要である。
【0061】そして、一旦ロール表面に油が付着する
と、その潤滑性能は前者のステーブル油よりはるかに優
れている。また、噛み込み性については、熱間圧延油の
ような高温での潤滑性を損なわないための添加剤を用い
なければ良好である。さらに、このエマルジョン液は分
離しやすいため冷却水と混ざってもステーブル油のよう
に特別な処理を必要としない。特に従来からの4段圧延
機を、作業ロールクロス式圧延機に改造する場合には、
排水処理設備を追加設置することは困難であるため、後
者のアンステーブル油を使用できれば好都合である。
【0062】ところで、ロールの回転速度やヘッダから
の噴射圧力にもよるが、ロール表面に潤滑剤を確実に付
着させようとすると、付着させるべき量の何倍もの潤滑
剤を噴射することが必要になる。この潤滑剤のうち潤滑
に使われない余分の油をそのままロール冷却水と一緒に
冷却水の水処理設備に流し込んでも、循環する冷却水に
混入した油の処理量は多くなり、作業ロールと補強ロー
ルの接触部を潤滑するという本来の目的は達成するが、
多大のランニングコストを発生することになる。このた
め、潤滑に必要な量以上の余分な潤滑剤は回収して循環
使用するのが経済的であり、本実施例ではこの方式を採
用する。
【0063】即ち、補強ロール3に付着せず流れ落ちた
余分な潤滑剤は、潤滑剤供給装置5の一部を構成するヘ
ッダカバー42(後述する)で回収され、潤滑剤タンク
21に戻される。潤滑剤タンク21内の潤滑剤として
は、水との乳化安定性のよいステーブル油を水で希釈し
たステーブルエマルジョン液、または水との分離性の強
いアンステーブル油を水で希釈したアンステーブルエマ
ルジョン液が条件に応じて適宜使用される。つまり、本
実施例ではステーブルエマルジョン液及びアンステーブ
ルエマルジョン液のどちらを使用しても、確実に潤滑剤
がロール表面にプレートアウトされる。
【0064】この潤滑剤タンク21には減少した水や潤
滑原油が補給され、アジテーター25により常時撹拌さ
れてエマルジョン性が保たれる。この時の潤滑原油の濃
度は例えば3%に保たれる。潤滑剤タンク21に蓄えら
れた潤滑剤は再びポンプ22で汲み上げられ、フィルタ
ー23でごみ等の不純物を取り除かれ潤滑剤供給装置5
から噴射される。これにより、潤滑剤は、ロールに付着
し持ち去られるものを以外は循環する冷却水に混入する
ことがなく、分離性の良いアンステーブルエマルジョン
液は勿論のこと、乳化安定性が良く分離性の悪いステー
ブルエマルジョン液を使用した場合でも冷却水の処理の
点で問題ない。従って、冷却水の処理が容易になる。ま
た、ロール間潤滑に必要な最小量の潤滑剤で潤滑が行え
る。
【0065】また、ロールに付着し作業ロール2と補強
ロール3の間を潤滑した潤滑剤は、前述のように冷却水
と共に圧延機下のパン14に集水され、水処理装置15
に送られ、処理される。尚、上記潤滑剤タンク21、ポ
ンプ22、フィルター23、管路24及びアジテーター
25は潤滑剤循環系統を構成する。
【0066】また、圧延機出側において、冷却用ヘッダ
4から作業ロール2に噴射される冷却水が作業ロール2
と補強ロール3との接触位置に侵入したり、直接補強ロ
ール3に付着すると、潤滑剤の付着性が悪化したり潤滑
剤が洗い流されたりして、ロール間の潤滑性が悪化す
る。さらに、圧延機入側において、作業ロール2に噴射
されその表面に付着した冷却水は、水膜となって作業ロ
ール及び補強ロールの回転に伴って運ばれるが、これが
補強ロール3表面上の潤滑剤供給装置5から潤滑剤が噴
射される位置に持ち込まれると、潤滑剤のプレートアウ
トが邪魔され、やはりロール間の潤滑性が悪化する。こ
れは潤滑原油が前述のステーブル油である場合のみなら
ずアンステーブル油の場合でも同様である。
【0067】これに対し、水切り板6は作業ロール2と
補強ロール3との接触位置直前で冷却水を遮断し、上記
のように冷却水がこの部分に侵入することを防止し、ま
た、水切り板7は補強ロール3表面の水膜を除去し上記
のように潤滑剤供給装置5の位置に冷却水が持ちこまれ
ることを防止する。このように水切り板6及び7によっ
て、潤滑剤のプレートアウトが冷却水に邪魔されること
なく確実に行われる。
【0068】ここで、特願平4−20956号の作業ロ
ールクロス式圧延機におけるロール間潤滑について図2
により説明する。図2に示すように、作業ロールクロス
式圧延機101において、上下1対の作業ロール10
2,102はそのロール軸線が上下補強ロール103,
103の軸線に対して交差するとともに、上下作業ロー
ル102,102のロール軸線が相互に交差しており、
この上下作業ロール102,102の交差角を制御する
ことにより圧延材100の板クラウンが制御され、圧延
が行われる。圧延機101の出側には冷却用ヘッダ10
4が設置され、冷却水タンク105よりポンプ106を
介して管路107に送られてくる冷却水がこのヘッダ1
04より供給され、作業ロール102,102を冷却す
る。作業ロール102を冷却後昇温し、かつスケールや
鉄分を多量に含んだ冷却水は、熱間圧延油やロール間潤
滑剤または設備から残された油と一緒に圧延機下のパン
108に集水され、水処理設備109に送られる。処理
された水は再び冷却水タンク107に貯められ、循環使
用される。以上の構成は本実施例のそれと同様である。
【0069】また、ヘッダ110は作業ロール102と
補強ロール103の間に対向するように設置され、潤滑
剤タンク111よりポンプ112を介して管路113に
送られてくる潤滑剤がこのヘッダ110より供給され、
作業ロール102と補強ロール103の間に潤滑剤が供
給され、潤滑性が付与される。さらに、ヘッダ104と
ヘッダ110との間には、冷却水が作業ロール102と
補強ロール103の間に侵入し潤滑剤を洗い流さないよ
う、仕切板114が設けられることもある。
【0070】この作業ロールクロス式圧延機101にお
いては、作業ロール102と補強ロール103の間に対
向するように設置されたヘッダ110より、潤滑すべき
位置に直接ロール間潤滑剤を噴射することにより作業ロ
ール102と補強ロール103の間を潤滑している。と
ころが、この場合には、ヘッダ104からの作業ロール
102を冷却する冷却水が水膜となって作業ロール表面
に付着し、作業ロールの回転に伴って作業ロールと補強
ロールの間に持ち込まれ、この部分に冷却水が溜まった
り、ヘッダ104から噴射されるミスト状の冷却水が直
接この部分に溜まり、ヘッダ110より強力に潤滑剤を
噴射しても作業ロールと補強ロールの間に潤滑剤をうま
くプレートアウトすることが困難である。これは、図2
のように仕切板114によってある程度緩和されるもの
の、十分とは言えない。
【0071】特に、ロール間潤滑剤としてステーブルエ
マルジョン液を使用する場合には、作業ロール102と
補強ロール103の間に溜まった冷却水にロール間潤滑
剤が容易に溶解し洗い流されてしまうので、潤滑の効果
は殆どなくなってしまう。一方、ロール間潤滑剤として
アンステーブルエマルジョン液を使用する場合にはロー
ル間潤滑剤が容易に冷却水に溶解しないが、やはり溜ま
った冷却水に邪魔されて潤滑剤をうまくプレートアウト
することができない。
【0072】これに対し、本実施例においては、前述の
ように、潤滑剤の噴射位置をロール間の接触位置から離
したこと、後述するヘッダカバー42、水切り板6,7
を設けたことな構成によって、冷却水に邪魔されること
なく確実に作業ロール2と補強ロール3の間の潤滑を行
うことができる。
【0073】次に、潤滑剤供給装置の構成について図3
及び図4により説明する。尚、図3及び図4においては
冷却水ヘッダ4及び水切り板6,7が省略されている。
図3及び図4に示すように、潤滑剤供給装置5は圧延機
出側の作業ロール3に接するように設けられ、圧延スタ
ンド17に固定された摺動ガイド31及び油圧シリンダ
ー32、油圧シリンダー32に収容されたピストン33
に接続され摺動ガイド31上を摺動可能なフレーム3
4、フレーム34にピボット35で連結されフレーム3
4にとともに摺動可能なヘッダブロック36、ヘッダブ
ロック36を補強ロール側に加勢するバネ37、ヘッダ
ブロック36先端に取り付けられ、前述のように潤滑剤
を噴出するヘッダ38により構成される。
【0074】上記潤滑剤供給装置5は次のようにして圧
延機に設置される。即ち、油圧シリンダー32に図示し
ない油圧源からの圧油により、ヘッダブロック36、従
ってヘッダ38がミルウインドー外より補強ロール3表
面上に接するが、ヘッダブロック36はバネ37より摺
動ガイド31から上方に加勢されているので、ヘッダ3
8は補強ロール3に押し付けられて設置される。この設
置位置は可変であり、補強ロール3の径の変化に対して
は、ヘッダブロック36の位置がその変化に応じて出入
りすることにより調整される。
【0075】次に、上記潤滑剤供給装置5に備えられた
ヘッダ38の構成について図5により説明する。尚、矢
印Eおよび矢印Fはそれぞれ潤滑剤の供給方向および排
出方向を示す。図5に示すように、ヘッダ38は、補強
ロール3表面に潤滑剤を噴射する潤滑用ノズル41、潤
滑用ノズル41より噴射される潤滑剤を囲むヘッダカバ
ー42、ヘッダカバー42の補強ロール3に対面する端
部に埋め込まれたシール部材43、ヘッダカバー42内
部で回収された余分な潤滑剤を排出する潤滑剤排出通路
である排油管44により構成されている。潤滑用ノズル
41より噴射され、補強ロール表面にプレートアウトさ
れた潤滑剤は先に述べたように補強ロール3と作業ロー
ル2との間に運ばれ両ロール間が潤滑される。ロールに
付着せず飛散した余分な潤滑剤は、ヘッダカバー42に
よって回収され、排油管44より潤滑剤タンク21(図
1参照)に戻される。
【0076】ヘッダカバー42は、噴射された潤滑剤が
その外部へ飛散することを防止し、同時に外部から冷却
水が侵入することを防止する。また、シール部材43は
例えばゴム等の可撓性の素材よりなり、補強ロール3に
当接する接触式のシール手段であり、ヘッダカバー42
内部をシールして余分な潤滑剤が外部に洩れることを防
止し、同時に外部から冷却水が侵入することを防止す
る。
【0077】また、潤滑用ノズル41は、3kg/cm2
上の圧力で潤滑剤を噴射できるようになっている。従っ
て、上記シール部材43や、水切り板6および7によっ
ても依然としてロール表面に水膜が存在していたとして
も、潤滑用ノズル41よりスプレー状に潤滑剤が噴射さ
れることにより、この水膜が突き破られロール表面に潤
滑剤が確実にプレートアウトされる。尚、ヘッダ38内
においては、複数の潤滑用ノズル41を設け、隣あう潤
滑剤の広がりが重なるよう配置することが望ましい。こ
れにより、潤滑剤をロール表面に均一に付着させること
ができる。
【0078】以上のような本実施例によれば、作業ロー
ル2と補強ロール3の接触位置から離れた補強ロール3
表面上の位置に、潤滑剤供給装置5のヘッダ38から潤
滑剤を供給するので、冷却水に邪魔されることなくこの
潤滑剤によって確実に作業ロール2と補強ロール3の間
の潤滑を行うことができる。従って、作業ロール2と補
強ロール3の間に発生するスラスト力を効果的に低減す
ることができる。
【0079】また、ヘッダ38に、潤滑用ノズル41よ
り噴射される潤滑剤を囲むヘッダカバー42と、余分の
潤滑剤を排出する排油管44と、ゴム等の可撓性素材よ
りなるシール部材43とを備えるので、噴射される潤滑
剤に冷却水が混入することを防止でき、また余分な油が
外部に飛散することを防止できる。さらに、水切り板6
及び7を、圧延機出側及び入側のそれぞれにおける補強
ロール3表面に接するように設けるので、潤滑剤のプレ
ートアウトが冷却水に邪魔されることなく確実に行われ
る。
【0080】また、潤滑用ノズル41は3kg/cm2以上
の圧力で潤滑剤を噴射するので、上記シール部材43
や、水切り板6及び7によっても依然としてロール表面
に水膜が存在していても、これを突き破ってロール表面
に潤滑剤を確実にプレートアウトすることができる。
【0081】また、排油管44で回収された余分の潤滑
剤を潤滑剤タンク21に回収し、これを再び潤滑剤供給
装置5に供給して循環使用するので、冷却水に混入する
潤滑剤の量を減らすことができ、潤滑剤が混入した冷却
水の処理が容易になる。また、潤滑剤を無駄にすること
がなく、必要最小限の潤滑剤で潤滑を行うことができ
る。また、潤滑原油としてはステーブル油及びアンステ
ーブル油のどちらを使用してもよく、ステーブル油を使
用した場合でも潤滑剤が混入した冷却水の処理の点で問
題ない。
【0082】次に、本発明の他の実施例について、図6
により説明する。本実施例は、潤滑剤を噴出するヘッダ
に設けられたシール手段の構成が異なるのみで、それ以
外の構成は前述の実施例と同様である。即ち、図6に示
すように、本実施例のシール手段は、ヘッダ38aにお
けるヘッダカバー42aの補強ロール3に対面する端部
に設けられたスリット45から、図示しないガス供給手
段によって供給された高圧ガスを噴射させる非接触式の
シール手段である。つまり、スリット45から噴射され
た高圧ガスが、図中矢印Gの方向に流れることにより、
前述のシール部材43と同様にヘッダカバー42a内部
がシールされて余分な潤滑剤が外部に洩れることが防止
され、同時に外部から冷却水が侵入することが防止され
る。これ以外の効果は前述の実施例と同様である。
【0083】次に、本発明のさらに他の実施例について
図7及び図8により説明する。本実施例は、図1から図
5の実施例において、補強ロール3の両端部にテーパー
を設け、これに従ってヘッダのシール手段の形状を変更
した実施例である。尚、図7及び図8においては冷却水
ヘッダ及び水切り板が省略されている。
【0084】圧延中に、圧延荷重およびロールベンディ
ング力によりロール表面がヘルツ変形することがあり、
この時には補強ロールと作業ロールとの軸間が接近す
る。この場合、補強ロールの両端部が大きく変形するた
め、この部分に当接するヘッダのシール手段(図3にお
けるシール部材43)が機能を果たさなくなることがあ
る。本実施例はこれを回避するものである。
【0085】即ち、図7(a)及び(b)に示すよう
に、補強ロール3bの両端部にテーパー部3cを設け、
上記のようにロール表面がヘルツ変形し補強ロール3b
と作業ロール2との軸間が接近した場合にもこのテーパ
ー部3cが作業ロール2に表面接触しないようにする。
また、図8(a)及び(b)に示すように、テーパー部
3cに当接する潤滑剤供給装置5bにおけるヘッダ38
bのシール部材43bの形状を、このテーパー部3cに
沿って接触する形状とする。このように構成することに
より、上記の場合においてテーパー部3cは作業ロール
2に表面接触しないので変形せず、テーパー部3cに沿
って接触する形状であるシール部材43bはシール手段
としての機能を果たす。
【0086】以上のような本実施例によれば、図1から
図4で説明した実施例と同様の効果が得られるだけでな
く、上記のようにロール表面がヘルツ変形し補強ロール
3bと作業ロール2との軸間が接近した場合にもシール
部材43bがその機能を果たすことができる。
【0087】次に、本発明のさらに他の実施例について
図9により説明する。本実施例は、上述したいずれかの
実施例による圧延機を設置した圧延設備の実施例であ
る。尚、図9においては水切り板が省略されている。図
9に示すように、本実施例の圧延設備は、上記圧延機1
0をタンデム圧延可能に7台配置し圧延材1を圧延する
熱間仕上圧延機列であり、各圧延機の冷却水及びロール
間潤滑剤を供給する系統を共有させたものとして、ロー
ル間潤滑剤供給系統50及びロール冷却水供給系統60
がそれぞれ設置されている。即ち、各々の補強ロール3
には潤滑剤供給装置51が、各々の作業ロール2には冷
却水ヘッダ61が、また、各々の圧延機10の下部には
パン62が設置され、潤滑剤供給装置51には潤滑剤が
循環使用されるようポンプ52及びフィルター53を介
して潤滑剤タンク54が接続され、冷却水ヘッダ61及
びパン62には冷却水タンク、ポンプ、及び水処理装置
を含む水処理設備63が接続されている。この圧延設備
の機能は前述した圧延機と同様であり、同様の効果が得
られる。
【0088】尚、本実施例においては7台の圧延機全て
を前述の実施例による作業ロールクロス式圧延機によっ
て構成したが、少なくとも1台を前述の実施例による作
業ロールクロス式圧延機によって構成し、他を従来の圧
延機で構成してもよい。
【0089】次に、本発明のさらに他の実施例について
図10から図14により説明する。但し、以下の説明に
おいて、図1と同等の部材には同じ符号を付してある。
図10に示すように、4段圧延機10において、上下1
対の作業ロール2,2は、そのロール軸線が補強ロール
3,3の軸線に対して交差するとともに、上下作業ロー
ル2,2のロール軸線が相互に交差しており、この上下
作業ロール2,2の交差角を制御することにより圧延材
1の板クラウンが制御され、圧延が行われる。作業ロー
ル2,2は、図示しない構成によってそのロール軸線が
相互に交差するように水平面内で補強ロール3,3に対
し傾斜し得るようになっている。
【0090】また、圧延機10の入側及び出側の作業ロ
ール2に対向する位置には冷却用ヘッダ4が、補強ロー
ル3表面上の作業ロール2と補強ロール3との接触位置
から離れた位置には潤滑用ヘッダ5aが設置されてお
り、さらに、圧延機出側における作業ロール2と補強ロ
ール3との接触位置直前の作業ロール2表面に接するよ
うにして第1の水切り手段である水切り板6が、圧延機
入側における補強ロール3表面に接するようにして第2
の水切り手段である水切り板7が設置されている。尚、
図中矢印Aは圧延材の進行方向を、矢印Bは冷却水の流
れ方向を、矢印C及び矢印Dはそれぞれ補強ロール3及
び作業ロール4の回転方向を示す。
【0091】冷却用ヘッダ4には、冷却水タンク11よ
りポンプ12を介して管路13に送られてくる冷却水が
供給され、この冷却用ヘッダ4より冷却水が噴射されて
作業ロール2,2が冷却される。作業ロール2を冷却後
昇温し、かつスケールや鉄分を多量に含んだ冷却水は、
熱間圧延油やロール間潤滑剤または設備から残された油
と一緒に圧延機下のパン14に集水され、水処理装置1
5に送られる。処理された水はポンプ16で送られて再
び冷却水タンク11に貯められ、循環使用される。ま
た、冷却水タンク11内の水はある一定量ずつ(例えば
50m3/hr)排水され、これに相当する量の新水が一定
量ずつ(例えば50m3/hr)補給される。
【0092】潤滑用ヘッダ5aには、潤滑剤タンク21
よりポンプ22で汲み上げられ、フィルター23でごみ
等の不純物が取り除かれ、管路24を通って送られてく
る潤滑剤が供給される。そして、この潤滑剤が潤滑用ヘ
ッダ5aより補強ロール3表面に噴射される。上記潤滑
剤が噴射される位置は、補強ロール3表面上の作業ロー
ル2と補強ロール3との接触位置から離れた位置であ
り、図1の潤滑剤供給装置5が設置されるのとほぼ同じ
位置である。そして、ここにプレートアウトされた潤滑
剤が補強ロール3の回転に伴って作業ロール2と補強ロ
ール3の接触位置に運ばれ、これらロール間の潤滑が行
われる。
【0093】この潤滑剤が噴射される位置は、前述のよ
うに補強ロール3表面上の作業ロール2と補強ロール3
との接触位置から離れた位置であり、この位置は、もし
作業ロール2と補強ロール3との間に冷却水が溜まった
としても、潤滑剤のプレートアウトが冷却水に邪魔され
ずにしっかりと行われるような距離に設置される。そし
て、ここにプレートアウトされた潤滑剤が補強ロール3
の回転に伴って作業ロール2と補強ロール3の接触位置
に運ばれ、これらロール間の潤滑が行われる。
【0094】また、この場合、潤滑用ッダ5aは図1の
ようなヘッダカバー42を有していないので、ロール間
を潤滑した後の潤滑剤は、そのほとんどが前述のように
圧延機下のパン14に冷却水と共に集められ、水処理装
置15に送られて処理される。しかし、本実施例で使用
する潤滑原油は後述するように水との分離性がよいの
で、通常行われているような凝集分離剤により冷却水を
容易に処理することができる。
【0095】潤滑剤タンク21では以下で説明する潤滑
原油と水が適当な濃度、例えば3%の濃度で調合されて
おり、アジテーター25により常時撹拌されてエマルジ
ョン性が保たれる。また、潤滑剤タンク21にはロール
間潤滑により減少した水や潤滑原油が補給される。
【0096】次に、本実施例で用いられる潤滑剤につい
て詳述する。まず、本実施例が係わる作業ロールクロス
式圧延機を実用化するための条件について本願発明者等
が検討した結果を整理すると、次のようである。 (1)ロール間摩擦係数について (1)−(a)作業ロールのスラスト軸受の負荷容量の
制限より摩擦係数は0.1以下であること、 作業ロール軸受のスラスト負荷容量は通常、圧延荷重の
5%が最大である。作業ロールクロス式圧延機では、作
業ロールに加わるスラスト力は補強ロールからの力(上
記の摩擦係数0.1に相当する)と圧延材からの力(最
大で圧延荷重の5%)との差であり、従って、ロール間
摩擦係数が0.1以下であれば、作業ロールに加わるス
ラスト荷重は圧延荷重の5%以下になる。
【0097】(1)−(b)圧延材の噛み込み後の加
速、及び尻抜け後の減速時に補強ロールがスリップしな
いために摩擦係数が0.04以上であること、 慣性の大きい補強ロールは作業ロールにより駆動されて
いるため、ロール間の摩擦係数が小さいとスリップが発
生し、補強ロール表面が局部摩耗する。通常、補強ロー
ルには作業ロールのバランス力に相当する比較的大きな
力がかかっているが、その場合でも補強ロール軸受のシ
ール等の抵抗(摩擦係数で約0.01に相当)、加速に
要する慣性トルク(摩擦係数0.02〜0.03に相
当)等を伝達するには、ロール間摩擦係数は0.04以
上が必要である。
【0098】(2)圧延材の噛み込み性について 高温では潤滑剤の潤滑性能が著しく低下すること、 ロール間を潤滑した潤滑剤は作業ロール表面に付着し
て、圧延材の噛み込み部に到着し噛み込みを阻害するこ
とになる。しかし、ここでは潤滑剤は700℃以上の高
温の圧延材に接触するため、高温で潤滑性が消失する潤
滑性を使用することが、作業ロールクロス式圧延機の実
用化のためには必須の条件である。
【0099】(3)ロール間クロスによるすべり速度に
起因する振動について (3)−(a)ロールの振動の発生防止のためにはロー
ル間の摩擦係数は小さい方が望ましいこと、 このロールの振動はロール表面の軸方向の弾性変形をバ
ネとするスティックスリップであり、摩擦係数が小さい
(通常0.1以下)と発生しない。
【0100】(3)−(b)ロールの振動の発生防止の
ためには潤滑剤の油膜強度が大きい方が好ましいこと、 ロール間に働く荷重は非常に大きく、必然的にロール間
の潤滑は境界潤滑となり、上記スティックスリップは潤
滑油膜が切れることにより発生する。従って、この振動
防止のためには油膜強度を上げることが重要である。
【0101】 (4)ロール表面の軸方向均一潤滑について 潤滑剤の粘度は40℃(常温)で80Cst.以下であるこ
と、 粘度が小さい程流動性がよく、潤滑剤の供給装置での目
詰まりがなく、かつロール表面上に均一に塗布され、均
一な潤滑状態が得られる。
【0102】 (5)潤滑剤の混入した冷却水の処理について 冷却水に混入した潤滑剤の分離性がよいこと、 ロール間を潤滑した潤滑剤は必然的に作業ロールを冷却
している大量の冷却水に混入する。この冷却水は、常
時、循環使用されており、かつ常に新水と置換され、そ
の分は常に工場外へ排出されている。従って、この潤滑
剤の混入した冷却水の分離性が容易であるということは
大変重要なことである。逆に分離性が悪いと、この処理
のために莫大な費用がかかったり、或いはこの処理装置
が大規模になり、実際的に作業ロールクロス式圧延機の
実現が不可能となる。
【0103】上記の作業ロールクロス式圧延機の実用化
のための条件は、潤滑剤の潤滑原油として下記の条件、
(a)作業ロールと補強ロールとの間の摩擦係数が0.
04から0.1の範囲にあること、(b)粘度が40℃
で80Cst.以下であること、(c)ベース油として鉱油
及び5%以上の合成エステルを含むこと、(d)油性向
上剤として脂肪酸を0.03〜0.5%含むこと、
(e)極圧添加剤を0.1%以上含むこと、(f)含み
得る乳化剤としての界面活性剤は0.5%以下であるこ
と、を満たすものを用いることにより達成されることが
判明した。以下、このことを実用化のための条件と関連
させて説明する。
【0104】(1)ロール間摩擦係数について ロール間摩擦係数については、(1)−(a)の作業ロ
ールの負荷容量及び(1)−(b)の補強ロールのスリ
ップ防止の制限より(a)に記したごとく「0.04か
ら0.1」の範囲にあることが必要である。
【0105】このロール間摩擦係数の上限について図1
1により説明する。図11において、fBは作業ロール
が補強ロールから受けるスラスト力を表すスラスト係数
であり、ロール間摩擦係数に相当する。また、fWSは作
業ロールが圧延材から受けるスラスト力を表すスラスト
係数、fWは作業ロールが受けるトータルのスラスト力
を表すスラスト係数である。但し、図11では、一例と
して、ロール間摩擦係数が0.05の場合が示されてい
る。
【0106】前述のように負荷容量が小さい作業ロール
2には、補強ロール3から受けるスラスト力と圧延材1
から受けるスラスト力とが加わるが、好都合なことに、
これらの力の向きは逆であるため、作業ロール2が受け
るスラスト力は図11に示すように上記2つの力の差と
なる。即ち、fWがfBとfWSの差となる。ところが、作
業ロール2が圧延材1から受けるスラスト力は、圧延材
1が最大圧延荷重を受ける時でもその圧延荷重の高々5
%であるため、前述のように作業ロール2が受けるスラ
スト力を圧延荷重の5%以下にするためには、作業ロー
ル2が補強ロール3から受けるスラスト力を圧延荷重の
10%以下にすればよいことになる。即ち、ロール間摩
擦係数は0.1以下であればよい。
【0107】次に、ロール間摩擦係数の下限について説
明する。ロール間の摩擦が小さいと、圧延材の噛み込み
後の加速時、及び圧延材の尻抜け後の減速時に補強ロー
ルの回転が作業ロール2の回転に追随できずにスリップ
し、補強ロールの表面が局部摩耗してしまう。特にこの
スリップは圧延材の尻抜け後の減速時に起こり易い。ロ
ールの加減速時に必要なロール間の摩擦係数は次式で表
される。
【0108】
【数1】
【0109】ここに、μrは補強ロールの軸受のシール
等の抵抗、Iは補強ロールの慣性モーメント、ωは補強
ロールの回転角速度、Qは作業ロール2と補強ロール3
間の力(実機では50ton以上の確保が可能)、RB
は補強ロール3の半径である。式(1)において、左辺
の第1項であるμrが摩擦係数の0.01に相当し、第
2項が加速に要する慣性トルクであって、実機について
計算すると摩擦係数の0.02〜0.03に相当する。
従って、ロール間摩擦係数の下限は0.04であればよ
い。
【0110】(2)圧延材の噛み込み性について 圧延材の噛み込み性については、(c)のベース油とし
て鉱油及び5%以上の合成エステルを含むことにより達
成される。鉱油及び合成エステルは動植物油と異なり、
圧延材の高温により潤滑性が著しく低下するからであ
る。すなわち、作業ロール表面に付着した潤滑剤は圧延
材噛み込み部に運ばれ700℃以上の高温の圧延材に接
するが、このとき鉱油及び合成エステルはその高温で焼
き切られその潤滑性が著しく低下するので、圧延材の噛
み込みを阻害することがない。
【0111】なお、ロールクロス部は摩耗により昇温
し、鉱油のみでは油性が不足する。ベース油として5%
以上の合成エステルを含むことにより、このロールクロ
ス部での油性の不足分が補われ、上記摩擦係数が確保さ
れる。
【0112】(3)ロール間クロスによるすべり速度に
起因する振動について ロール振動の発生については、(a)のうちロール間摩
擦係数が低いこと、(c)の5%以上の合成エステルを
含むこと、(d)の油性向上剤として脂肪酸を0.03
〜0.5%含むこと、(e)極圧添加剤を0.1%以上
含むことにより、前記振動を防止できる。以下、このこ
とについて説明する。
【0113】図12に示すような振動発生限界を表す実
験結果において、ロール間摩擦係数が小さくなれば振動
なしの状態となり、作業ロール2をクロスさせたことに
起因する振動は発生しない。尚、図12は脂肪酸を0.
5%含んだ潤滑原油による潤滑剤を使用した場合であ
る。この振動発生限界は潤滑剤の油膜強度によって変化
し、脂肪酸を含まない潤滑原油による潤滑剤を使用すれ
ば、ロール間摩擦係数が更に小さい場合にも振動が発生
する。
【0114】また、油性向上剤として脂肪酸を含むこと
により、この脂肪酸がロール表面で鉄と反応して強固な
金属石鹸膜を形成し、油膜切れを防止することができ
る。このように油膜切れが生じないため、スティックス
リップに起因したロール振動の発生が防止される。
【0115】なお、脂肪酸の量が0.5%を越えると脂
肪酸の乳化作用によりロール間の摩擦係数は増加する。
また、脂肪酸の量が少なすぎて0.03%以下でも摩擦
係数は増大する。したがって、上記の適切な摩擦係数範
囲を確保するためには、脂肪酸の量としては0.03%
〜0.5%の範囲が最も適正である。
【0116】また、作業ロールと補強ロールとの間は全
体的に常温に近い低温であるが、ロールのクロスで生じ
る摩擦により局部的に200℃以上となることがあり、
上記の脂肪酸の作用、即ち油膜強度を増してロールの振
動をなくすという作用が損なわれる場合がある。これに
対し、極圧添加剤は200℃以上でも潤滑性があり、こ
の極圧添加剤を潤滑原油に0.1%以上、望ましくは1
%程度は含ませることにより、脂肪酸の作用の損なわれ
た部分を補って摩擦係数を下げ、ロール振動発生の防止
に寄与する。
【0117】 (4)ロール表面の軸方向均一潤滑について この均一潤滑については、(b)粘度が40℃で80Cs
t.以下であること、(c)ベース油として鉱油及び合成
エステルを含むこと、(d)の脂肪酸を含むこと及び
(f)の界面活性剤を含むことで達成できる。以下、こ
のことについて説明する。
【0118】現在、熱間圧延油として使用されている油
として、例えば高温でも潤滑性を有する動植物油(油
脂)があるが、この油は40℃(常温)での粘度が約1
00Cst.以上と高く、非常に流動性が悪い。従って、潤
滑剤タンク及び供給配管を蒸気で加熱して流動性をよく
して供給しているが、度々配管等で目詰まりを起こして
おり、また、ロール表面でも流動性が悪いため、幅方向
に均一に分布せず潤滑不良のトラブルが発生している。
この流動性を確保する条件について実験した結果、ベー
ス油として鉱油及び合成エステルを用い、かつ40℃
(常温)で粘度が80Cst.以下であれば、上記のような
トラブルが起こらないことが確認できた。
【0119】また、(d)の脂肪酸は乳化作用があり、
この乳化作用により潤滑剤が均一化するので、これによ
っても潤滑剤がロール表面の軸方向に均一に塗布され、
均一な潤滑状態が得られる。更に、乳化剤として界面活
性剤を混入することにより潤滑の均一性が更に高めら
れ、ロール表面を軸方向により均一に潤滑することがで
きる。
【0120】なお、(d)の脂肪酸については、前述し
たように上記の適切な摩擦係数範囲を確保するために
は、脂肪酸の量としては0.03%〜0.5%の範囲が
最も適正である。また、界面活性剤も脂肪酸と同様、こ
れが多すぎるとロール間の摩擦係数が増大するので、こ
の量も脂肪酸と同じく0.5%以下に押さえるのが望ま
しい。
【0121】 (5)潤滑剤の混入した冷却水の処理について 上記(5)については(d)の脂肪酸を0.5%以下に
すること、及び(f)の界面活性剤を0.5%以下にす
ることによって達成できる。
【0122】脂肪酸は上記のように乳化作用があり、こ
れが多すぎると冷却剤との分離性が悪化する。脂肪酸を
0.5%以下とすることにより、冷却剤中に混入した潤
滑剤の乳化が抑えられて分離性が良くなり、冷却剤中の
油分を通常に行われている凝集分離剤処理により容易に
除去することが可能となる。界面活性剤も同様であり、
この量も脂肪酸と同じく0.5%以下に押さえるのが望
ましい。つまり、脂肪酸及び界面活性剤は均一なエマル
ジョン液を作るために有利であるが、過剰に加えると冷
却水中に混入した潤滑剤の分離性を悪くするために、
0.5%以下に制限する。
【0123】次に、本実施例において、実験に使用した
潤滑剤の一例を説明する。本実施例では、上記の検討結
果を考慮して、下記に示す潤滑原油を使用した。 ベース油 :鉱油(パラフィン系)82%及び 合成エステル15% 脂肪酸(オレイン酸) :0.5% 極圧添加剤 :1.0% 界面活性剤(乳化剤) :なし その他(例えば酸化防止剤):1.5% 以上の潤滑原油を水と混合し、3%のエマルジョン液と
して供給し、温度900℃以上の熱間圧延材を作業ロー
ルのクロス角0.5°〜1.5°の範囲で圧延した。こ
れによって得られた結果は次の通りである。 ロール間摩擦係数:0.045〜0.07 噛み込み摩擦係数:0.2以上 ロールの振動 :圧延荷重(ロール間の線圧)2ton
/mmで振動の発生なし 上記において、噛み込み摩擦係数とは圧延材先端の噛み
込み時の摩擦係数であり、次式で計算した。
【0124】
【数2】
【0125】ここに、μbは噛み込み摩擦係数、Rは作
業ロール2の半径(mm)、ΔHは圧下量(mm)、Pは圧延荷
重(ton)、Kは圧延機のミル剛性(ton/mm)である。
【0126】したがって、本実施例によれば、ロール間
のスラスト力を低減しながら圧延材の噛み込み能力を確
保し、またロール振動の発生も防止でき、作業ロールク
ロス圧延機の安定した操業が可能となる。また、潤滑剤
が混入した冷却水の処理が容易となる。更に、冷却水の
処理が容易であるため、作業ロールクロス圧延機の新設
は勿論、既設の圧延機を作業ロールクロス式圧延機に改
造することも容易となる効果がある。
【0127】次に、本発明のさらに他の実施例について
図14により説明する。本実施例は潤滑原油を水と混合
してエマルジョン液とするのではなく、潤滑原油を直接
補強ロール3表面に供給するものである。図14におい
て、潤滑剤タンク90に蓄えられた潤滑原油は、ポンプ
91で汲み上げられ、フィルター92でごみ等の不純物
を取り除かれ管路93を通って潤滑用ヘッダ5aから噴
射される。また、潤滑剤タンク90にはロール間潤滑に
より減少した潤滑原油が補給される。但し、これ以外の
構成、及び潤滑原油が満たす条件については図10の実
施例と同様であり、図10と同等の部材には同じ符号を
付してある。
【0128】以上のような本実施例によれば、図10か
ら図13で説明した実施例と同様の効果が得られるだけ
でなく、潤滑剤として潤滑原油を直接使用するため、ポ
ンプ91から潤滑用ヘッダ5aに供給する潤滑剤の供給
量はエマルジョン液を供給する場合に比べ大幅に少なく
てよい。
【0129】次に、本発明のさらに他の実施例について
図15により説明する。本実施例は潤滑原油を圧縮空気
と混合して補強ロール3表面に噴射するものである。図
15において、潤滑剤タンク94に蓄えられた潤滑原油
はポンプ95で汲み上げられ、フィルター96でごみ等
の不純物を取り除かれミキサ97に送られる。また、ミ
キサ97には圧縮空気が送られ、ここで潤滑原油と圧縮
空気が混合される。そして、圧縮空気と混合された潤滑
原油が管路98を通って潤滑用ヘッダ5aに送られ、こ
の潤滑用ヘッダ5aから噴射される。また、潤滑剤タン
ク94にはロール間潤滑により減少した潤滑原油が補給
される。但し、これ以外の構成、及び潤滑原油が満たす
条件については図10の実施例と同様であり、図10と
同等の部材には同じ符号を付してある。
【0130】以上のような本実施例によれば、図14で
説明した実施例と同様の効果が得られるだけでなく、圧
縮空気を利用して潤滑原油を噴射するので、ロール表面
に存在する水膜を突き破って、確実に潤滑原油を補強ロ
ール3表面にプレートアウトすることができる。
【0131】次に、作業ロールの傾斜を制御するととも
にこれら作業ロールのロール軸方向の移動量を制御して
圧延材の板クラウンを制御する実施例について図16を
用いて説明する。
【0132】図16において、上下作業ロール2のロー
ル端にはそれぞれ作業ロールチョック70が設けられ上
下作業ロール2を回転可能に支持している。作業ロール
チョック70は圧延機のロール軸方向に離間して垂直方
向に設置されている一対のスタンド71のウィンドウ面
71aに面して配設されている。
【0133】上下作業ロール2のロール軸線を上下補強
ロール3のロール軸線に対してそれぞれ交差させ、かつ
上下作業ロール2のロール軸線を互いに交差させるよう
にするために、スタンド71のプロジェクトブロック7
2には油圧ジャッキ73,74がそれぞれ設けられてい
る。つまり、この油圧ジャッキ73,74の双方を駆動
操作することによって作業ロールチョック70が傾斜
し、上下作業ロール2をクロスさせることができる。
【0134】上記油圧ジャッキ73には切換弁75を介
して圧油が供給されるようになっており、この油圧ジャ
ッキ73の油圧ラムの移動量はこの油圧ラムに取り付け
たロッド76の変位量によってセンサ77で検知され
る。そして、圧延条件に応じた信号に基づいて作業ロー
ルクロス角度制御機78により前記切換弁75を調整し
て油圧ジャッキ73を駆動し、前記センサ77からの信
号でフィードバック制御して上下クロス角度を所望の値
に制御するようになっている。また、油圧ジャッキ74
には減圧弁79を介して圧油が供給されるようになって
おり、必要な押付け力で前記作業ロールチョック70を
押圧している。また、このクロス角変更は圧延中、即ち
巨大な圧延荷重が加わった状態でも行い得るようになっ
ている。
【0135】また、上下作業ロール2がそのロール軸方
向に移動できるように、作業ロール軸に沿って駆動する
2個の油圧シリンダ80がスタンド71に設けられてお
り、この油圧シリンダ80は作業ロールチョック70を
挟むように位置している。この油圧シリンダ80は、パ
イロットチェックバルブ81により常時油が封じ込まれ
ており、その位置が保持できるようになっている。そし
て、この両油圧シリンダ80のロッドは共通の移動ブロ
ック82に連結され、この移動ブロック82に設けられ
た着脱自在の係止部82aが作業ロールチョック70の
端部に形成した突出部70aと係合して、前記油圧シリ
ンダ80の駆動力をこの作業ロールチョック70に伝え
て上下作業ロール2をロール軸方向に移動操作できるよ
うになっている。但し、図示は省略したが、上下作業ロ
ール2の軸方向移動操作の制御も圧延条件に応じて移動
量制御装置によって制御されることは言うまでもない。
【0136】本実施例の機構は、前述した全ての実施例
に適用可能である。このように、上下作業ロール2は、
クロスするだけでなく、そのロール軸方向にも移動可能
であるので、作業ロールの傾斜角度と軸方向移動量の両
方を制御して板クラウンを制御することが可能となる。
また、作業ロールを軸方向に移動可能としたので、スケ
ジュールフリー圧延が可能となる。
【0137】
【発明の効果】本発明によれば、作業ロールと補強ロー
ルの接触位置から離れた補強ロール表面上の位置に潤滑
剤供給装置から潤滑剤を供給するので、冷却剤に邪魔さ
れることなく確実に作業ロールと補強ロールの間の潤滑
が行える。従って、ロール間に発生するスラスト力を効
果的に低減することができる。
【0138】また、カバーによって潤滑用ノズルより噴
射される潤滑剤を囲むので、噴射される潤滑剤に冷却剤
が混入することを防止でき、余分な潤滑剤が外部に飛散
することを防止できる。また、カバーの端部にシール手
段を設けるので、カバー内部がシールされ、潤滑剤への
冷却剤の混入や、潤滑剤の外部への飛散を防止すること
ができる。さらに、水切り手段を設けるので、潤滑剤の
プレートアウトが冷却剤に邪魔されることなく確実に行
われる。
【0139】また、潤滑用ノズルよりスプレー状に潤滑
剤が噴射されるので、ロール表面に水膜が存在していて
もこれを突き破って潤滑剤をプレートアウトすることが
できる。
【0140】また、補強ロールの両端部にテーパー部を
設け、シール手段をこれに沿って接触する形状とするの
で、ロール表面がヘルツ変形し補強ロールと作業ロール
との軸間が接近した場合にもシール手段はその機能を果
たす。
【0141】また、回収された余分の潤滑剤を循環使用
するので、冷却水に混入する潤滑剤の量を減らすことが
でき、冷却水の処理が容易になる。また、潤滑剤を無駄
にすることがなく、必要最小限の潤滑剤で潤滑を行うこ
とができる。また、潤滑剤の潤滑原油としてはステーブ
ル油、及びアンステーブル油のどちらを使用することも
できる。
【0142】また、ロール間摩擦係数が0.04から
0.1の範囲にあるので、作業ロールにかかるスラスト
力を通常の作業ロールの許容し得る力以下にすることが
でき、圧延材の噛み込み後の加速時や尻抜け後の減速時
に補強ロールがスリップすることを回避できる。また、
この条件によりロールに振動が生じなくなるという効果
もある。
【0143】また、潤滑原油の粘度を40℃で80Cst.
以下とするので、潤滑剤の流動性が増し、潤滑剤供給装
置の配管やノズル等に目詰まりが生じなくなり、潤滑剤
がロール表面に均等にプレートアウトされ均一な潤滑状
態が得られる。
【0144】また、上記潤滑原油のベース油として鉱油
を含むので、潤滑剤が圧延材の噛み込みを阻害すること
がない。また、5%以上の合成エステルを含むので、昇
温による鉱油の油性の不足分を補うことができる。
【0145】また、油性向上剤として脂肪酸を0.03
%以上含むので、油膜切れを防止することができ、ステ
ィックスリップに起因したロールの振動が生じなくな
る。さらに、脂肪酸を0.5%以下とするので、脂肪酸
の乳化作用によるロール間の摩擦係数の増加を抑えるこ
とができる。
【0146】また、潤滑原油に極圧添加剤を0.1%以
上含むので、上記脂肪酸の作用の損なわれた部分を補う
ことができる。
【0147】また、潤滑原油において含みうる界面活性
剤または乳化剤を0.5%以下にするので、冷却剤中に
混入した潤滑剤の乳化が抑えられて分離性が良くなり、
冷却剤中の油分を通常簡便に行われている凝集分離剤処
理により容易に除去することができる。
【0148】また、作業ロールがそのロール軸方向に移
動可能であることにより、作業ロールのクロス角制御と
軸方向移動量の制御の両方で板クラウン制御が可能とな
る。また、作業ロールの軸方向移動によりスケジュール
フリー圧延が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例による圧延機及び圧延方法を
示す図である。
【図2】特願平4−20956号の作業ロールクロス式
圧延機におけるロール間潤滑剤および冷却剤を供給する
系統を示す図である。
【図3】図1の圧延機に設置される潤滑剤供給装置の構
成を示す図である。
【図4】図3のIV−IV方向からの矢視図である。
【図5】図3の潤滑剤供給装置に備えられたヘッダの構
成を示す断面図である。
【図6】本発明の他の実施例を示す図であって、潤滑剤
供給装置に備えられたヘッダの構成を示す断面図であ
る。
【図7】本発明のさらに他の実施例を示す図であって、
(a)は圧延機及び圧延機に設置される潤滑剤供給装置
の構成を示す図、(b)は(a)のB方向からの矢視図
である。
【図8】(a)は図7(a)のVIII−VIII方向からの矢
視図、(b)は図7(a)のVIII−B方向からの部分矢
視図である。
【図9】本発明のさらに他の実施例を示す図であって、
本発明の圧延機を設置した圧延設備を示す図である。
【図10】本発明による圧延機及び圧延方法のさらに他
の実施例を示す図である。
【図11】作業ロールのクロス角を変化させた時に生じ
るスラスト力をスラスト係数で表したものである。
【図12】ロール間摩擦係数とロール間の線圧(即ち圧
延荷重)を変化させた時の振動発生限界を表す実験結果
である。
【図13】エマルジョン液の濃度が2%である潤滑剤に
おいて、脂肪酸の濃度とロール摩擦係数との関係を示す
図である。
【図14】本発明による圧延機及び圧延方法のさらに他
の実施例を示す図である。
【図15】本発明による圧延機及び圧延方法のさらに他
の実施例を示す図である。
【図16】作業ロールをクロスさせる機構及び作業ロー
ルをロール軸方向に移動させる機構を備えた本発明の更
に他の実施例を説明する図である。
【符号の説明】
1 圧延材 2 作業ロール 3 補強ロール 3b 補強ロール 3c テーパー部 4 冷却用ヘッダ 5 潤滑油供給装置 5a 潤滑用ヘッダ 5b 潤滑油供給装置 6,7 水切り板 10 圧延機 15 水処理装置 21 潤滑油タンク 22 ポンプ 23 フィルター 24 管路 25 アジテーター 31 摺動ガイド 32 油圧シリンダー 33 ピストン 34 フレーム 36 ヘッダブロック 37 バネ 38,38a,38b ヘッダ 41 潤滑用ノズル 42,42a ヘッダカバー 43,43b シール部材 44 排油管 45 スリット 50 ロール間潤滑油供給系統 51 潤滑油供給装置 52 ポンプ 53 フィルター 54 潤滑油タンク 60 ロール冷却水供給系統 61 冷却水ヘッダ 62 パン 63 水処理システム 73,74 油圧ジャッキ 75 切換弁 76 ロッド 77 センサ 78 作業ロールクロス角度制御機 79 減圧弁 80 油圧シリンダ 81 パイロットチェックバルブ 82 移動ブロック 90 潤滑剤タンク 91 ポンプ 92 フィルター 93 管路 94 潤滑剤タンク 95 ポンプ 96 フィルター 97 ミキサ 98 管路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI B21B 37/28 B21B 45/02 310 45/02 310 37/00 116J (72)発明者 坂中 孝雄 茨城県日立市幸町三丁目1番1号 株式 会社 日立製作所 日立工場内 (72)発明者 安成 晋一 茨城県日立市幸町三丁目1番1号 株式 会社 日立製作所 日立工場内 (72)発明者 高倉 芳生 茨城県日立市幸町三丁目1番1号 株式 会社 日立製作所 日立工場内 (72)発明者 加賀 慎一 茨城県日立市幸町三丁目1番1号 株式 会社 日立製作所 日立工場内 (56)参考文献 特開 平5−285504(JP,A) 特開 平6−31315(JP,A) 特開 平6−15314(JP,A) 特開 平5−277521(JP,A) 特開 平5−50110(JP,A) 特開 平5−200417(JP,A) 特開 昭59−39409(JP,A) 特開 昭57−4314(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B21B 27/10 B21B 1/22 B21B 13/14 B21B 37/28 B21B 45/02 310

Claims (22)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一対の作業ロールと、これら作業ロール
    をそれぞれ支持する一対の補強ロールと、圧延機出側ま
    たは入側より前記一対の作業ロールに冷却剤を噴射して
    これらを冷却する冷却手段とを備え、前記一対の作業ロ
    ールは、それらの軸線が前記一対の補強ロールの軸線に
    対してそれぞれ交差しかつそれら作業ロールの軸線が互
    いに交差するように、水平面内で傾斜して配置された作
    業ロールクロス式圧延機において、 前記一対の補強ロールのそれぞれに対面して配置され、
    前記一対の作業ロールと前記一対の補強ロールとの間の
    それぞれの接触位置から離れた補強ロール表面上の位置
    に潤滑剤を噴射してそれぞれの作業ロールと補強ロール
    との間を潤滑する潤滑剤供給装置を備えることを特徴と
    する作業ロールクロス式圧延機。
  2. 【請求項2】 前記潤滑剤供給装置は、各々、前記補強
    ロール表面上の位置に潤滑剤を噴射する潤滑用ノズル
    と、前記潤滑用ノズルより噴射される潤滑剤を囲むよう
    に配置され内部に余分な潤滑剤を回収するカバーと、こ
    のカバーの前記補強ロールに対面する端部に設けられ前
    記カバー内部をシールするシール手段と、前記カバーの
    内部に回収された余分な潤滑剤を排出する潤滑剤排出通
    路とを有することを特徴とする請求項1記載の作業ロー
    ルクロス式圧延機。
  3. 【請求項3】 前記シール手段は、前記補強ロールに接
    触する可撓性素材を含むことを特徴とする請求項2記載
    の作業ロールクロス式圧延機。
  4. 【請求項4】 前記シール手段は、前記補強ロールに高
    圧ガスを噴射するスリットを含むことを特徴とする請求
    項2記載の作業ロールクロス式圧延機。
  5. 【請求項5】 さらに、前記圧延機出側において前記一
    対の作業ロールのそれぞれの回転方向で見て前記作業ロ
    ールと前記補強ロールと間の接触位置の直前で前記作業
    ロールの表面にそれぞれ接するように配置され、前記作
    業ロールに噴射された冷却剤が前記接触位置に侵入しな
    いよう冷却剤を遮断する第1の水切り手段を備えること
    を特徴とする請求項1記載の作業ロールクロス式圧延
    機。
  6. 【請求項6】 さらに、前記一対の補強ロールの表面に
    それぞれ接するように配置され、前記一対の作業ロール
    に噴射されその表面に付着し前記作業ロール及び前記補
    強ロールの回転に伴って運ばれた冷却剤が、前記潤滑剤
    供給装置が配置されている位置に持ち込まれないよう冷
    却剤を除去する第2の水切り手段を備えることを特徴と
    する請求項1記載の作業ロールクロス式圧延機。
  7. 【請求項7】 前記潤滑剤供給装置より供給される潤滑
    剤は、鉱油にエステルを加えたものをベースとし乳化性
    をよくする界面活性剤及び脂肪酸の添加を可及的に控え
    た潤滑原油を含むことを特徴とする請求項1記載の作業
    ロールクロス式圧延機。
  8. 【請求項8】 前記潤滑剤供給装置より供給される潤滑
    剤は、下記の条件、 (a)前記作業ロールと補強ロールとの間の摩擦係数が
    0.04から0.1の範囲にあること、 (b)粘度が40℃で80Cst.以下であること、 (c)ベース油として鉱油及び5%以上の合成エステル
    を含むこと、 (d)油性向上剤として脂肪酸を0.03〜0.5%含
    むこと、 (e)極圧添加剤を0.1%以上含むこと、を満たす潤
    滑原油を含むことを特徴とする請求項1記載の作業ロー
    ルクロス式圧延機。
  9. 【請求項9】 前記潤滑原油は、さらに、(f)乳化剤
    として界面活性剤を0.5%以下含むことを特徴とする
    請求項8記載の作業ロールクロス式圧延機。
  10. 【請求項10】 前記潤滑剤供給装置より供給される潤
    滑剤は、前記潤滑原油を水で希釈した分離性の強いエマ
    ルジョン液であることを特徴とする請求項7または8記
    載の作業ロールクロス式圧延機。
  11. 【請求項11】 前記潤滑剤供給装置より供給される潤
    滑剤は、鉱油をベースとし界面活性剤や脂肪酸を添加し
    乳化性をよくした潤滑原油を含むことを特徴とする請求
    項1記載の作業ロールクロス式圧延機。
  12. 【請求項12】 前記潤滑剤供給装置より供給される潤
    滑剤は、前記潤滑原油を水で希釈した乳化安定性のよい
    エマルジョン液であることを特徴とする請求項1記載の
    作業ロールクロス式圧延機。
  13. 【請求項13】 前記一対の補強ロールは、各々、その
    両端部に、圧延荷重およびロールベンディング力により
    ロール表面がヘルツ変形し前記補強ロールの軸線とこの
    補強ロールにより支持される作業ロールの軸線が接近し
    たときにおいても前記作業ロールに表面接触しないテー
    パー部を有し、前記シール手段の前記テーパー部に対面
    する部分は前記テーパー部に沿って接触する形状である
    ことを特徴とする請求項3記載の作業ロールクロス式圧
    延機。
  14. 【請求項14】 請求項1から13のうちいずれか1項
    に記載の作業ロールクロス式圧延機と、前記潤滑剤供給
    装置で回収された余分の潤滑剤を貯える潤滑剤タンク及
    び前記潤滑剤供給装置に潤滑剤を供給するポンプを有す
    る潤滑剤循環系統とを備えることを特徴とする圧延設
    備。
  15. 【請求項15】 請求項1から13のうちいずれか1項
    に記載の作業ロールクロス式圧延機を少なくとも1台タ
    ンデム圧延可能に設置し、さらに前記潤滑剤供給装置で
    回収された余分の潤滑剤を貯える潤滑剤タンク及び前記
    潤滑剤供給装置に潤滑剤を供給するポンプを有する潤滑
    剤循環系統を備えることを特徴とする圧延設備。
  16. 【請求項16】 一対の作業ロールと、これら作業ロー
    ルをそれぞれ支持する一対の補強ロールとを備えた圧延
    機の圧延方法において、 圧延機出側または入側より前記一対の作業ロールに冷却
    剤を噴射してこれらを冷却すること、 前記一対の作業ロールと前記一対の補強ロールとの間の
    それぞれの接触位置から離れた補強ロール表面上の位置
    に潤滑剤を噴射してそれぞれの作業ロールと補強ロール
    との間を潤滑すること、 これと同時に、前記一対の作業ロールの軸線が前記一対
    の補強ロールの軸線に対してそれぞれ交差しかつそれら
    作業ロールの軸線が互いに交差するように、水平面内で
    前記一対の作業ロールの傾斜を制御して圧延材の板クラ
    ウンを制御することを特徴とする圧延方法。
  17. 【請求項17】 一対の作業ロールと、これら作業ロー
    ルをそれぞれ支持する一対の補強ロールとを備え、前記
    一対の作業ロールは、それらの軸線が前記一対の補強ロ
    ールの軸線に対してそれぞれ交差しかつそれら作業ロー
    ルの軸線が互いに交差するように、水平面内で傾斜して
    配置された作業ロールクロス式圧延機において、前記一
    対の作業ロールと一対の補強ロールとの間にそれぞれ潤
    滑剤を供給する潤滑剤供給装置を備え、前記潤滑剤は、
    下記の条件、 (a)前記作業ロールと補強ロールとの間の摩擦係数が
    0.04から0.1の範囲にあること、 (b)粘度が40℃で80Cst.以下であること、 (c)ベース油として鉱油及び5%以上の合成エステル
    を含むこと、 (d)油性向上剤として脂肪酸を0.03〜0.5%含
    むこと、 (e)極圧添加剤を0.1%以上含むこと、を満たす潤
    滑原油を含むことを特徴とする作業ロールクロス式圧延
    機。
  18. 【請求項18】 一対の作業ロールと、これら作業ロー
    ルをそれぞれ支持する一対の補強ロールとを備え、前記
    一対の作業ロールは、それらの軸線が前記一対の補強ロ
    ールの軸線に対してそれぞれ交差しかつそれら作業ロー
    ルの軸線が互いに交差するように、水平面内で傾斜して
    配置され、さらに前記一対の作業ロールそれぞれのロー
    ル軸方向に移動可能に構成された作業ロールクロス式圧
    延機において、 前記一対の作業ロールと一対の補強ロールとの間にそれ
    ぞれ潤滑剤を供給する潤滑剤供給装置を備え、前記潤滑
    剤は、下記の条件、 (a)前記作業ロールと補強ロールとの間の摩擦係数が
    0.04から0.1の範囲にあること、 (b)粘度が40℃で80Cst.以下であること、 (c)ベース油として鉱油及び5%以上の合成エステル
    を含むこと、 (d)油性向上剤として脂肪酸を0.03〜0.5%含
    むこと、 (e)極圧添加剤を0.1%以上含むこと、を満たす潤
    滑原油を含むことを特徴とする作業ロールクロス式圧延
    機。
  19. 【請求項19】 前記潤滑原油は、さらに、(f)乳化
    剤として界面活性剤を0.5%以下含むことを特徴とす
    る請求項17または18記載の作業ロールクロス式圧延
    機。
  20. 【請求項20】 一対の作業ロールと、これら作業ロー
    ルをそれぞれ支持する一対の補強ロールとを備えた圧延
    機の圧延方法において、 圧延機出側または入側より前記一対の作業ロールに冷却
    剤を噴射してこれらを冷却すること、 前記一対の作業ロールと前記一対の補強ロールとの間に
    潤滑剤を供給しながら、前記一対の作業ロールの軸線が
    前記一対の補強ロールの軸線に対してそれぞれ交差しか
    つそれら作業ロールの軸線が互いに交差するように、水
    平面内で前記一対の作業ロールの傾斜を制御して圧延材
    の板クラウンを制御すること、 前記潤滑剤として下記の条件、 (a)前記作業ロールと補強ロールとの間の摩擦係数が
    0.04から0.1の範囲にあること、 (b)粘度が40℃で80Cst.以下であること、 (c)ベース油として鉱油及び5%以上の合成エステル
    を含むこと、 (d)油性向上剤として脂肪酸を0.03〜0.5%含
    むこと、 (e)極圧添加剤を0.1%以上含むこと、を満たす潤
    滑原油またはそのエマルジョン液を使用することを特徴
    とする圧延方法。
  21. 【請求項21】 一対の作業ロールと、これら作業ロー
    ルをそれぞれ支持する一対の補強ロールとを備えた圧延
    機の圧延方法において、 圧延機出側または入側より前記一対の作業ロールに冷却
    剤を噴射してこれらを冷却すること、 前記一対の作業ロールと前記一対の補強ロールとの間に
    潤滑剤を供給しながら、前記一対の作業ロールの軸線が
    前記一対の補強ロールの軸線に対してそれぞれ交差しか
    つそれら作業ロールの軸線が互いに交差するように、水
    平面内で前記一対の作業ロールの傾斜を制御すること、 前記一対の作業ロールの傾斜を制御するとともにこれら
    作業ロールのロール軸方向の移動量を制御して圧延材の
    板クラウンを制御すること、 前記潤滑剤として下記の条件、 (a)前記作業ロールと補強ロールとの間の摩擦係数が
    0.04から0.1の範囲にあること、 (b)粘度が40℃で80Cst.以下であること、 (c)ベース油として鉱油及び5%以上の合成エステル
    を含むこと、 (d)油性向上剤として脂肪酸を0.03〜0.5%含
    むこと、 (e)極圧添加剤を0.1%以上含むこと、を満たす潤
    滑原液またはそのエマルジョン液を使用することを特徴
    とする圧延方法。
  22. 【請求項22】 前記潤滑原液は、さらに、(f)乳化
    剤として界面活性剤を0.5%以下含むことを特徴とす
    る請求項20または21記載の圧延方法。
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KR101299834B1 (ko) * 2010-12-27 2013-09-10 주식회사 포스코 가역식 압연기의 압연유 공급장치 및 방법
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BE1025125B1 (fr) * 2017-09-04 2018-10-31 Centre de Recherches Métallurgiques asbl-Centrum voor Research in de Metallurgie vzw Essuyeur sans contact et installation industrielle comportant un tel essuyeur
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