JPH08174035A - 作業ロールクロス圧延機のロール間潤滑油供給システム - Google Patents

作業ロールクロス圧延機のロール間潤滑油供給システム

Info

Publication number
JPH08174035A
JPH08174035A JP6327341A JP32734194A JPH08174035A JP H08174035 A JPH08174035 A JP H08174035A JP 6327341 A JP6327341 A JP 6327341A JP 32734194 A JP32734194 A JP 32734194A JP H08174035 A JPH08174035 A JP H08174035A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
lubricating oil
roll
oil
concentration
thrust
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP6327341A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3615813B2 (ja
Inventor
Yasutsugu Yoshimura
泰嗣 芳村
Kenichi Yoshimoto
健一 吉本
Shinichi Kaga
慎一 加賀
Takao Sakanaka
孝雄 坂中
Hiroshi Ono
博 尾野
Hiroshi Nakagami
拡 中上
Yukinari Shiga
幸成 志賀
Tsutomu Watanabe
勉 渡辺
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Ltd
Nippon Steel Nisshin Co Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
Nisshin Steel Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Ltd, Nisshin Steel Co Ltd filed Critical Hitachi Ltd
Priority to JP32734194A priority Critical patent/JP3615813B2/ja
Publication of JPH08174035A publication Critical patent/JPH08174035A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3615813B2 publication Critical patent/JP3615813B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Metal Rolling (AREA)
  • Control Of Metal Rolling (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】作業ロールクロス圧延機の補強ロールと作業ロ
ール間の潤滑に際しスラスト係数(摩擦係数)を制御
し、潤滑に係わる圧延条件をトータルに制御できるよう
にする。 【構成】スラスト力計4,4′,5,5′にて得られた
スラスト力Fと圧延荷重計60にて得られた荷重Pより
スラスト係数演算装置64にて計算され得られたスラス
ト係数μが、目標スラスト係数μ* と偏差Δμを持つ場
合、スプレーコントローラ15、濃度コントローラ1
7、油種切替コントローラ65の順でその偏差信号が送
られ、スラスト係数(摩擦係数)が制御される。 【効果】スラスト力が過大となり、ロール軸受の破損な
どトラブルを発生する事態を防止でき、かつ振動やスリ
ップを起こすことのない適切な潤滑性能を得ることがで
きる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は圧延材の板クラウン制御
能力に優れた作業ロールクロス圧延機に係わり、特に作
業ロールクロス圧延機の補強ロールと作業ロール間を潤
滑する作業ロールクロス圧延機のロール間潤滑油供給シ
ステムに関する。
【0002】
【従来の技術】板材の圧延における最も重要な品質の一
つに板幅方向の板厚分布いわゆる板クラウンがある。こ
の板クラウンは、圧延荷重によるロールの撓み、ロール
のサーマルクラウン、あるいはロールの摩耗によって変
わる。従来、板クラウンに及ぼす上記影響を補正し、所
要のものを得るため種々の方策が考えられているが、そ
の一つにロールをクロスさせることにより作業ロール間
あるいは作業ロールと補強ロールの間の垂直方向ギャッ
ププロフィールを変える方法がある。
【0003】ロールクロスの方法として理論的には下記
3方法が存在する。
【0004】(1)作業ロールのみをクロスさせる。
(文献:M.D.Stone :Iron & SteelEngineering, Aug.
1965) (2)補強ロール(作業ロールを支持しているロールで
6段圧延機の場合中間ロールでも可)をクロスさせる。
(文献:M.D.Stone :Iron & SteelEngineering, Aug.
1965) (3)作業ロールと補強ロールをペアーにてクロスさせ
る。(特許公報:特公昭58−23161号公報) このうち(1)については河野他(昭和56年度 塑性
加工春季講演会1981年5月)、(2)についてはA.
R.E.Singer他(Journal of the Iron & SteelInstitute
Dec. 1962 )が実験、検討を試みたが、作業ロールと
補強ロール間のクロスにより発生するスラスト力が圧延
荷重に対し前者では8−13%、後者では6.5%と高
く実用化できずに終わっている。
【0005】このような結果を踏まえ、作業ロールと補
強ロールの間にスラスト力を発生させず、作業ロール間
プロフィールを変えうるロールクロス方法として考案さ
れたのが(3)項に示す作業ロールと補強ロールをペア
ーにてクロスさせる方法である。この場合、作業ロール
に加わるスラスト力は板材との間に発生するもの故、圧
下率が40%以上と高いところでも高々6%程度である
ことより、上下相手の作業ロールと補強ロールにより制
約されるスペースの中での軸受構造でも支持可能な力と
なり実用化が可能となった。
【0006】しかしながら、この作業ロールと補強ロー
ルをペアーで動かす、通称ペアークロスミルでは、重量
の大きい補強ロールを動かさねばならないこと、また、
圧延荷重を支える圧下スクリュウーとの水平面内相対位
置が変わるため、補強ロールチョックにモーメントが加
わり、チョックが傾いたり、またチョックとハウジング
が片当りする。これを緩和するため補強ロールチヨック
と圧下スクリュウーあるいはハウジングの間にクロスビ
ームが設けられているが、構造が大変複雑になる。さら
に作業ロール及び補強ロールを圧延中動かすにはクロス
ビームと圧下スクリューあるいは相当するハウジングの
部分との間に摺動抵抗を減らすための装置、たとえば平
面軸受等を設けねばならず、益々複雑となる。
【0007】上記問題点を解決し、シンプルで大きなク
ラウン制御能力を得ることのできる圧延機が特開平5−
50110号公報に示されるものである。これは上記
(1)項に示す作業ロールクロスミルであるが、作業ロ
ールと補強ロールがクロスして接触することにより発生
するスラスト力を鉱油あるいは牛脂をベースにし油分を
0−10%含んだ水との混合液(エマルジョン)の潤滑
効果により、スラスト力を圧延荷重の4−10%に低減
したミルである。
【0008】なお、注意すべきはこのスラスト力は補強
ロールにかかるスラスト力であることである。即ち、作
業ロールに加わるスラスト力は作業ロールと板との間で
発生し作業ロールにかかるスラスト力が上記補強ロール
から作業ロールに加わるスラスト力の方向と全く逆向き
であることである。従って、これらは互いに相殺するた
め作業ロールには0−4%、高々5%のスラスト力しか
負荷されない。よって先に述べた相手の作業ロールと補
強ロールに挟まれた狭いスペースでも、作業ロールに負
荷されるスラスト力を充分支持できる軸受等の構造が可
能となるものである。
【0009】潤滑油の供給方法については、特開平6−
190409号公報にて潤滑油循環使用が提案されてい
る。また特開平5−169108にてクロス角あるいは
ロールに負荷されるスラスト荷重に応じて潤滑剤供給量
を増減する供給方法が提案されている。更に、特開平6
−31315号公報にて圧延荷重の検出結果に基づき潤
滑液の供給量を増減し停止する供給方法が提案されてい
る。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、特開
平5−50110号公報に記載の従来技術により作業ロ
ールと補強ロールの間が適正に潤滑される条件を作るこ
とにより、不可能とされていた作業ロールクロス圧延機
が可能となった。しかしながら、本クロスミルがその性
能を十分発揮し安定操業を得るためには作業ロールと補
強ロールの間の潤滑を確実なものにする必要がある。
【0011】特開平6−190409号公報では、ロー
ルにシール付の潤滑ヘッダーを設け必要な量だけの潤滑
油がロール表面に付着するようにすると共に、余分な潤
滑油は再びタンクに戻るような潤滑油循環供給方式とな
っている。これにより一定の濃度と潤滑油性能を維持し
ながら長期間安定して潤滑油を供給できるとしている。
【0012】ところが、実操業では例えば当初0.8μ
Ra以下であったロール表面は、圧延の進行にともない
摩耗し、例えば0.2〜0.3μRaとスムーズな面に
なる場合と、逆に荒らされ焼き付きを発生し5μRa以
上となる場合もある。このため同じ潤滑油を用いて補強
ロールと作業ロール間を潤滑していても、ロール間の摩
耗係数、従ってこれに等価なスラスト係数が変化し、ス
ラスト力も増減する。従って、スラスト力を適切な範囲
に保つためにはロール間の潤滑状態を考え、所定のスラ
スト係数が得られるようにすることが望まれる。
【0013】特開平5−169108では作業ロールと
補強ロールのクロス角あるいはロールに負荷されるスラ
スト力に応じて潤滑油の供給量を調整することを提案し
ている。しかし、本願発明者等の検討によれば、まず、
ロールクロスにより発生するスラスト力を圧延荷重にて
除したスラスト係数(摩擦係数)はほぼ0°から0.5
°の範囲のみで変わり、しかもこの変化はロール間のす
べり摩擦係数が変わることによるのではなく、ロール間
での接触変位が弾性的かあるいはスベリによっているの
かと言うことに影響されているものであり、その間でい
わゆるすべり摩擦係数が変化しているものではない。加
えて0°から0.5°の範囲のスラスト係数は0.5°
以上のクロス角でのスラスト係数より小さい。従ってク
ロス角によって潤滑条件を変えることは大きな意味を持
たない。
【0014】一方、ロールに負荷されるスラスト力を測
定し、これに応じて潤滑油量を変えることはスラスト力
を制御するための1つの方法である。しかし、潤滑油の
性能はスラスト力そのものを変えるのではなく、スラス
ト力を接触荷重にて除した値、いわゆる摩擦係数と密接
に繋がっているものであり、スラスト力に応じて潤滑油
量を変えても摩擦係数(スラスト係数)を制御すること
はできない。
【0015】特開平6−31315号公報では、圧延荷
重の検出結果に基づき潤滑液の供給量を増減し停止する
供給方法を提案しているが、この方法でも上記従来技術
と同様に、圧延荷重に応じて潤滑油量を変えても摩擦係
数(スラスト係数)を制御することはできない。
【0016】しかも、上記従来技術ではいずれもスラス
ト力を制御するのに潤滑油の供給量を増減している。し
かし、本願発明者等の検討によれば、ニートオイルを用
いずエマルジョンタイプの潤滑油を使用する場合、潤滑
状態は基本的にエマルジョンのプレートアウト性によっ
て決まり、同じスプレー圧力のもとで潤滑性を変えるた
めに供給流量を増やす方法を採ると、流量が増すとき互
いにプレートアウトを邪魔するため流量を増した割に効
果が少ない。
【0017】ここで、ロール間の潤滑はスラスト力だけ
でなく他の圧延条件、例えば振動、スリップの発生等に
ついての物理現象も合わせて考慮する必要がある。すな
わち、潤滑状態は単にスラスト力を決めるだけでなく、
例えば2面間のすべりの状態を決定するのであるから、
スティックスリップの発生、更に振動、そしてミルとの
共振等を左右する。また、ロール間の潤滑が良すぎる
と、ロールの円周方向の摩擦係数の低下になり、加減速
時にロール間スリップを発生する。この場合必要なもの
は摩擦係数(スラスト係数)である。
【0018】上記従来技術ではスラスト力などを検出し
て潤滑油量を増減しているが、いずれも摩擦係数(スラ
スト係数)を制御していない。従って、スラスト力以外
の圧延条件をも考慮した適切な潤滑性能を得ることはで
きず、振動、スリップの発生等を生じる恐れがある。
【0019】以上、同じ潤滑油にて圧延条件の変化に対
応する上での問題点について述べたが、スプレー圧力や
濃度の調整にて変え得る摩擦係数の大きさは高々0.0
4%程度である。しかしロール材質をたとえばハイクロ
ムからハイスに変えた場合、スラスト係数は0.04%
以上の差が発生する。この変化に対応するためには潤滑
油種あるいは組成を変えた潤滑油を用いなければなら
ず、上記スプレー圧力や濃度のコントロールだけでは対
応不可となる。
【0020】また、実際の圧延では冷却水のロールへの
噴射状況などが上下ロールにて異なるため上作業ロール
と補強ロールの間および下作業ロールと補強ロールの間
の潤滑条件が必ずしも同一ではない。このためには上下
ロールにて別々の独立した潤滑系統が必要になる場合が
ある。
【0021】さらに、例えば当初0.8μRa以下であ
ったロール表面は、圧延の進行にともない摩耗し荒らさ
れ、5μRa以上となる場合もあると述べたが、特開平
6−190409号公報に記載の潤滑油循環供給方式で
このようにロール表面が荒れると、潤滑ヘッダーのシー
ル面がぴったりとロール表面に接触せず、隙間ができ潤
滑油の流出量が増えたり、ロールの冷却水がシールより
侵入するため、潤滑油の濃度が変化する。
【0022】また、シール部分からのロール冷却水の侵
入量は上下ロールを合わせると1800mm面長のミル
では300cc/minから800cc/minとな
る。従って、1000リットル程度のタンクであれば、
約4−5hr位でタンク上面位置に潤滑油レベルが到達
し、タンクがオーバーフローして潤滑油の供給を停止せ
ざるを得ない状況を招き、クロス圧延を不可とする。同
時に潤滑油濃度は3%から2%程度に低下する。
【0023】さらに近年の熱間圧延では、熱間圧延油を
使用し、ロールの寿命延長あるいは動力削減を図ってい
る。このため上記潤滑油が熱間圧延油の塗布と2重にな
り、必要以上の油を塗布する可能性を有する。これは油
の原単位を大きくし無駄を重ねることになるため、熱間
圧延油と本潤滑油の相互利用が望まれる。
【0024】本発明の第1の目的は、作業ロールクロス
圧延機の補強ロールと作業ロール間の潤滑に際しスラス
ト係数(摩擦係数)を制御し、振動やスリップの発生を
考慮して適切な潤滑性能を得ることのできる作業ロール
クロス圧延機のロール間潤滑油供給システムを提供する
ことである。
【0025】本発明の第2の目的は、作業ロールクロス
圧延機の補強ロールと作業ロール間の潤滑に際しロール
材質が変わってもスラスト係数を適正な範囲に制御でき
る作業ロールクロス圧延機のロール間潤滑油供給システ
ムを提供することである。
【0026】本発明の第3の目的は、作業ロールクロス
圧延機の補強ロールと作業ロール間の潤滑に際し上作業
ロールと補強ロールの間および下作業ロールと補強ロー
ルの間をそれぞれの潤滑条件に応じて別々に独立して潤
滑することのできる作業ロールクロス圧延機のロール間
潤滑油供給システムを提供することである。
【0027】本発明の第4の目的は、作業ロールクロス
圧延機の補強ロールと作業ロール間の潤滑に際し、ロー
ル間を潤滑した余分な潤滑油をタンクに戻し循環供給す
る方式を採用しかつ潤滑油濃度を目標値に保てる作業ロ
ールクロス圧延機のロール間潤滑油供給システムを提供
することである。
【0028】本発明の第5の目的は、作業ロールクロス
圧延機の補強ロールと作業ロール間の潤滑に際し、ロー
ル間を潤滑した余分な潤滑油をタンクに戻し循環供給す
る方式を採用しかつ冷却水の侵入があってもタンクがオ
ーバーフローせず潤滑油の供給を連続的に行うことので
きる作業ロールクロス圧延機のロール間潤滑油供給シス
テムを提供することである。
【0029】本発明の第6の目的は、作業ロールクロス
圧延機の補強ロールと作業ロール間の潤滑に際し熱間圧
延油と潤滑油の相互利用により油の原単位を下げること
ができる作業ロールクロス圧延機のロール間潤滑油供給
システムを提供することである。
【0030】
【課題を解決するための手段】上記第1の目的を達成す
るために、本発明によれば、一対の作業ロールと、これ
ら作業ロールをそれぞれ支持する一対の補強ロールとを
備え、前記補強ロールは、そのロール軸線が特定角度以
外の角度に水平面内で自在に傾斜しないように構成さ
れ、前記作業ロールは水平面内でそのロールの軸線が補
強ロール軸線に対して交差しかつ相互に交差するように
自在に傾斜し得るように構成され、前記作業ロールと補
強ロール間を潤滑油により潤滑しロールクロスにより発
生するスラスト力を低減する作業ロールクロス圧延機の
ロール間潤滑油供給システムにおいて、(a)前記補強
ロール及び作業ロールの少なくとも一方のロール面に潤
滑油をスプレーし作業ロールと補強ロール間を潤滑する
潤滑油塗布手段と;(b)前記補強ロール及び作業ロー
ルのうち少なくとも補強ロールに負荷されるスラスト力
を圧延荷重で除したスラスト係数を求めるスラスト係数
演算手段と;(c)前記スラスト係数が所定の値となる
ように前記潤滑油塗布手段によりロール面に塗布される
潤滑油のスプレー圧力及び潤滑油濃度の少なくとも一方
を制御し、スラスト係数を制御する潤滑制御手段と;を
備える構成にする。
【0031】この場合、好ましくは、前記潤滑制御手段
は、潤滑油のスプレー圧力が所定の範囲内にあるときに
はまずスプレー圧力を制御することによりスラスト係数
を制御し、潤滑油のスプレー圧力が前記所定の範囲の限
界値にあるときには潤滑油濃度を制御する。
【0032】また、好ましくは、前記潤滑制御手段は、
前記スプレー圧力及び潤滑油濃度に加えてスプレータイ
ミングを制御することでスラスト係数を制御し、この場
合、好ましくは、前記潤滑制御手段は、潤滑油のスプレ
ー圧力が所定の範囲内にあるときにはまずスプレー圧力
を制御することによりスラスト係数を制御し、潤滑油の
スプレー圧力が前記所定の範囲の限界値にあるときには
潤滑油濃度を制御することによりスラスト係数を制御
し、潤滑油の濃度が所定の範囲の下限の限界値にあると
きには前記スプレータイミングを制御することによりス
ラスト係数を制御する。
【0033】また、上記第2の目的を達成するために、
本発明は、上記ロール間潤滑油供給システムにおいて、
前記潤滑制御手段は、前記スプレー圧力及び潤滑油濃度
に加えて潤滑油種の切換えを制御することでスラスト係
数を制御する構成とする。
【0034】この場合、好ましくは、前記潤滑制御手段
は、潤滑油のスプレー圧力が所定の範囲内にあるときに
はまずスプレー圧力を制御することによりスラスト係数
を制御し、潤滑油のスプレー圧力が前記所定の範囲の限
界値にあるときには潤滑油濃度を制御することによりス
ラスト係数を制御し、潤滑油の濃度が所定の範囲の上限
の限界値にあるときには前記潤滑油種の切換えを制御す
ることによりスラスト係数を制御する。
【0035】また、上記第2の目的を達成するために、
本発明は、上記ロール間潤滑油供給システムにおいて、
前記潤滑制御手段は、前記スプレー圧力及び潤滑油濃度
に加えてスプレータイミング及び潤滑油種の切換えを制
御する構成とする。
【0036】この場合、好ましくは、前記潤滑制御手段
は、潤滑油のスプレー圧力が所定の範囲内にあるときに
はまずスプレー圧力を制御することによりスラスト係数
を制御し、潤滑油のスプレー圧力が前記所定の範囲の限
界値にあるときには潤滑油濃度を制御することによりス
ラスト係数を制御し、潤滑油の濃度が所定の範囲の下限
の限界値にあるときには前記スプレータイミングを制御
することによりスラスト係数を制御し、潤滑油の濃度が
所定の範囲の上限の限界値にあるときには前記潤滑油種
の切換えを制御することによりスラスト係数を制御す
る。
【0037】更に、上記第3の目的を達成するために、
本発明は、上記ロール間潤滑油供給システムにおいて、
前記潤滑制御手段は、上補強ロール及び作業ロールと下
補強ロール及び作業ロールのそれぞれで独立してスラス
ト係数を制御できるように2系統設けられている構成と
する。
【0038】以上のロール間潤滑油供給システムにおい
て、好ましくは、前記スラスト係数演算手段は、前記補
強ロール及び作業ロールのうち少なくとも補強ロールに
負荷されるスラスト力を検出する第1の検出手段と、圧
延荷重を検出する第2の検出手段と、前記第1及び第2
の検出手段で検出されたスラスト力と圧延荷重とからス
ラスト係数を計算する手段とを有する。
【0039】また、上記第4の目的を達成するために、
本発明は、上記ロール間潤滑油供給システムにおいて、
潤滑油供給タンクと、前記潤滑油供給タンクから潤滑油
を前記潤滑油塗布手段に供給する潤滑油供給回路と、前
記潤滑油塗布手段からの潤滑油を前記潤滑油供給タンク
に戻す潤滑油戻り回路とを更に備え、前記潤滑制御手段
は、前記潤滑油供給タンク内の潤滑油の濃度を検出する
濃度計と、前記濃度計の検出信号に基づき潤滑油ニート
オイル及び希釈用水の追加量を制御し、潤滑油の濃度を
目標値に保つ濃度制御手段とを有する構成とする。
【0040】更に、上記第5の目的を達成するために、
本発明は、上記ロール間潤滑油供給システムにおいて、
前記潤滑油供給タンク内の潤滑油の油面レベルを検出す
るレベル計と、前記レベル計の検出信号に基づき前記潤
滑油供給タンク内の潤滑油の油面レベルが目標値より高
いときには潤滑油を排出し油面レベルを目標値に保つ油
面レベル制御手段を更に備える構成とする。
【0041】またこの場合、好ましくは、上記ロール間
潤滑油供給システムは前記油面レベル制御手段により排
出された潤滑油を油分濃度の高い潤滑油と油分濃度の低
い潤滑油とに分離し、油分濃度の高い潤滑油は前記潤滑
油供給タンクに戻し、油分濃度の低い潤滑油のみを外部
に排出する余剰潤滑油処理手段を更に備える構成とす
る。
【0042】この場合、好ましくは、前記余剰潤滑油処
理手段は、仕切板により分けられた少なくとも2つのチ
ャンバを有しその一方のチャンバに前記油面レベル制御
手段により排出された潤滑油を一時的に貯蔵し、前記仕
切板をオーバーフローした油分濃度の高い潤滑油を他方
のチャンバに移す潤滑油一時貯蔵タンクと、前記他方の
チャンバ内の油分濃度の高い潤滑油を前記潤滑油供給タ
ンクに戻す潤滑油移送手段と、前記一方のチャンバ内に
オーバーフローせずに残った油分の低い潤滑油をタンク
底部に近い位置より外部に排出する手段とを有する構成
とする。
【0043】前記余剰潤滑油処理手段は、前記油面レベ
ル制御手段により排出された潤滑油の油分と水分とを分
離するフィルター手段と、前記フィルター手段で分離さ
れた油分を一時的に貯蔵する潤滑油一時貯蔵タンクと、
前記潤滑油一時貯蔵タンク内の潤滑油を前記潤滑油供給
タンクに戻す潤滑油移送手段と、前記フィルター手段で
分離された水分を外部に排出する手段とを有する構成で
あっても良い。
【0044】また、上記第6の目的を達成するために、
本発明は、一対の作業ロールと、これら作業ロールをそ
れぞれ支持する一対の補強ロールとを備え、前記補強ロ
ールは、そのロール軸線が特定角度以外の角度に水平面
内で自在に傾斜しないように構成され、前記作業ロール
は水平面内でそのロールの軸線が補強ロール軸線に対し
て交差しかつ相互に交差するように自在に傾斜し得るよ
うに構成され、前記作業ロールと補強ロール間を潤滑油
により潤滑しロールクロスにより発生するスラスト力を
低減するとともに、熱間圧延油を使用して圧延を行う作
業ロールクロス圧延機のロール間潤滑油供給システムに
おいて、(a)前記補強ロール及び作業ロールの少なく
とも一方のロール面に潤滑油をスプレーし作業ロールと
補強ロール間を潤滑する潤滑油塗布手段と;(b)前記
補強ロール及び作業ロールの少なくとも一方のロール面
に熱間圧延油を塗布する熱間圧延油塗布手段と;(c)
圧延材の圧延中は前記熱間圧延油塗布手段に熱間圧延油
を供給し、圧延材が通過していない非圧延時は前記熱間
圧延油塗布手段への熱間圧延油の供給を停止すると共
に、少なくとも前記熱間圧延油の供給が停止されている
間、前記潤滑油塗布手段に潤滑油を供給する潤滑制御手
段と;を備える構成とする。
【0045】
【作用】本願発明者等は、作業ロールクロス圧延機の補
強ロールと作業ロール間の潤滑に関して種々検討した結
果、以下の知見を得た。
【0046】1.作業ロールクロス圧延機の補強ロール
と作業ロール間の潤滑に際し振動やスリップの発生を考
慮して潤滑性能を得るには、補強ロールかつ/または作
業ロールのスラスト係数(摩擦係数)を制御することが
必要である。
【0047】2.同じ潤滑油を用いてスラスト係数(摩
擦係数)を制御するには、潤滑油のロール表面へのスプ
レー圧力及び潤滑濃度を制御することが必要である。
【0048】3.2種以上の潤滑油を用意し、潤滑油種
を切り替えることによってもスラスト係数を制御するこ
とができ、この場合は同じ潤滑油による場合以上に大き
くスラスト係数を制御することができる。
【0049】なお、上記知見についての詳細は後述す
る。本発明は以上の3点の知見に基づくものであり、第
1の目的に係わる本発明において、スラスト係数演算手
段でスラスト計数を求め、潤滑制御手段でスラスト係数
が所定の値となるようにロール面に塗布される潤滑油の
スプレー圧力及び潤滑油濃度の少なくとも一方を制御す
ることによりスラスト係数を制御することができ(上記
知見2)、これにより圧延条件あるいは圧延に伴う摩耗
や焼き付きによりロール表面粗度が変化しても摩擦係数
が大きくなることを防止し、ロールに負荷されるスラス
ト力が過大となりロール軸受の破損などトラブルを発生
する事態を防止することができる。また、スラスト係数
を制御するので、振動やスリップを起こすことなく適切
な潤滑性能を得ることができ(上記知見1)、これによ
り安定した操業が可能となる。
【0050】潤滑油のスプレー圧力及び潤滑油濃度でス
ラスト係数を制御する場合は、これ等を同時に制御して
もよい。しかし、本願発明者等の検討によれば、同じ潤
滑油を用いる場合は、スプレー圧力及び濃度がそれぞれ
ある値になると効果が飽和してしまうこと、また飽和し
たときの摩擦係数はスプレー圧力で制御する時よりも潤
滑油濃度で制御する時の方が低いことが分かった。従っ
て、潤滑油のスプレー圧力が所定の範囲内にあるときに
はまずスプレー圧力を制御し、潤滑油のスプレー圧力が
所定の範囲の限界値にあるときには潤滑油濃度を制御す
ることにより、円滑かつ連続的にスラスト係数を制御す
ることができる。
【0051】スプレー圧力及び潤滑油濃度に加えてスプ
レータイミングを制御することでスラスト係数を制御す
ることにより、スラスト係数が小さくなり過ぎたときに
は潤滑油の供給を停止し、過度のスラスト係数の低下を
防止することができる。
【0052】この場合、上記のようにスプレー圧力及び
潤滑油濃度でスラスト係数を制御した後、潤滑油の濃度
が所定の範囲の下限の限界値にあるときにはスプレータ
イミングを制御すること、すなわち潤滑油の供給を停止
することにより円滑かつ連続的にスラスト係数を制御し
かつ過度のスラスト係数の低下を防止することができ
る。
【0053】第2の目的に係わる本発明において、スプ
レー圧力及び潤滑油濃度に加えて潤滑油種の切換えを制
御することにより、同じ潤滑油による場合よりも大きく
スラスト係数を制御することができ、広い範囲にわたっ
てスラスト係数を制御することができる(上記知見
3)。
【0054】また、上記のように油種を切り替えること
によりハイスロール、ハイクロムロール、ニッケルグレ
インロールなどロールの材質によって大きくかわるロー
ル間のスラスト係数をほぼ0.07以下の値で一定に
し、ロール軸受などのハード機構に影響を与えない範囲
のスラスト力に設定可能とする。これにより、圧延上必
要なロールを自由に選択しても作業ロールクロス圧延が
可能となる。
【0055】この場合も、上記のようにスプレー圧力及
び潤滑油濃度を制御した後、潤滑油の濃度が所定の範囲
の上限の限界値にあるときに潤滑油種の切換えを制御す
ることにより、広い範囲にわたって円滑かつ連続的にス
ラスト係数を制御することができる。
【0056】更に、スプレー圧力及び潤滑油濃度に加え
てスプレータイミング及び潤滑油種の切換えを制御する
ことにより、広い範囲にわたってスラスト係数を制御し
かつ過度のスラスト係数の低下を防止することができ
る。
【0057】この場合、上記のようにスプレー圧力及び
潤滑油濃度を制御した後、潤滑油の濃度が所定の範囲の
下限の限界値にあるときにはスプレータイミングを制御
し、潤滑油の濃度が所定の範囲の上限の限界値にあると
きには潤滑油種の切換えを制御することにより、広い範
囲にわたって円滑かつ連続的にスラスト係数を制御しか
つ過度のスラスト係数の低下を防止することができる。
【0058】なお、上記第2の目的に係わる油種の切替
え制御に関し、これはスプレー圧力及び濃度制御と切り
離して単独で実施してもよく、これによっても上記ロー
ル材質の違いによるスラスト係数の変化を少なくし、ス
ラスト力を制御できる。
【0059】第3の目的に係わる本発明において、上補
強ロール及び作業ロールと下補強ロール及び作業ロール
のそれぞれで独立してスラスト係数を制御できるように
2系統の潤滑制御手段を設けることにより、上下作業ロ
ールの摩耗状況に応じて上下のスラスト係数を各々の目
標値に向かって個別に制御することができ、これにより
安定した操業が可能となる。
【0060】第4の目的に係わる本発明において、潤滑
油塗布手段からの戻り油を再使用する循環供給する潤滑
油循環供給手段を採用するに際して、濃度制御手段で濃
度計の検出信号に基づき潤滑油ニートオイル及び希釈用
水の追加量を制御し、潤滑油の濃度を目標値に保つこと
により、上記のように潤滑油濃度を制御してスラスト係
数を制御することができる。また、結果として、潤滑ヘ
ッダー部へロール冷却水の混入により潤滑油濃度が低下
することを防止し、潤滑油濃度の低下でロール間摩擦係
数が大きくなり、ロールに働くスラスト力が大きくなっ
てロール軸受の破損などトラブルを発生する事態を防止
できる。
【0061】第5の目的に係わる本発明において、油面
レベル制御手段でレベル計の検出信号に基づき潤滑油供
給タンク内の潤滑油の油面レベルが目標値より高いとき
には潤滑油を排出し油面レベルを目標値に保つことによ
り、冷却水の侵入により潤滑油供給タンクがオーバーフ
ローすることを防止し、タンクのオーバーフローにより
潤滑油の供給を停止せざるを得なくなり、クロス圧延を
不可とする事態を防止できる。
【0062】また、油面レベル制御手段で潤滑油を排出
する場合、潤滑油を単に捨てるだけであれば簡単である
が、そのまま捨てると油分を多く含み過ぎ環境問題につ
ながる。また、油の原単位が増える。このため余剰潤滑
油処理手段で、油面レベル制御手段により排出された潤
滑油を油分濃度の高い潤滑油と油分濃度の低い潤滑油と
に分離し、油分濃度の高い潤滑油は潤滑油供給タンクに
戻し、油分濃度の低い潤滑油のみを外部に排出すること
により、環境汚染を無くしかつ油の消費量を削減でき
る。
【0063】なお、上記第5の目的に係わる油面レベル
制御及び余剰潤滑処理手段に関し、これはスラスト係数
の制御とは切り離して単独で実施しても良く、これによ
っても上記タンクのオーバーフローの防止、環境汚染の
低下等の効果を得ることができる。
【0064】第6の目的に係わる本発明において、ホッ
トミルでは通常圧延時は熱間圧延油が使用されている。
本発明に係わる潤滑油は基本的にはこの熱間圧延油と同
じ系統の油をベースにするもので粘度あるいは鹸化価が
異なるものである。従ってこの熱間圧延油が使用されて
いる間はこれを利用し、熱間圧延油の供給が停止されて
いる間、潤滑油塗布手段に潤滑油を供給することによ
り、トータルとして油の消費量を押さえ油の原単位を下
げることができるとともに、排出する油分を少なくし油
処理作業を軽減することができる。
【0065】
【実施例】本発明に基づく第1の実施例を図1〜図13
により説明する。図1において、100は作業ロール
1,1′,補強ロール2,2′から成る4段圧延機であ
り、上補強ロールチョック61と図示されていないハウ
ジングとの間に圧下スクリュー62及び油圧シリンダー
63からなる圧下装置を備え、所定の板厚を得ることが
できる。また、圧延機100は作業ロールクロス圧延機
であり、補強ロール2,2′は3及至4種以下の特定の
角度を除きそのロール軸線が水平面内にて自在に傾斜し
ないように、また作業ロール1,1′はそのロール軸線
が補強ロール2,2′の軸線に対して夫々交差すると共
に、上下作業ロール1,1′がそのロール軸線を相互に
交差するように、水平面内で補強ロール2,2′に対し
てそのロール軸線が傾斜し得るように構成されている。
【0066】このような作業ロールクロス圧延機に作業
ロールと補強ロール間を潤滑油により潤滑しロールクロ
スにより発生するスラスト力を低減する本実施例のロー
ル間潤滑油供給システムが設けられている。このロール
間潤滑油供給システムは次のように構成されている。す
なわち、ロールクロスに伴い補強ロール2,2′及び作
業ロール1,1′に発生するロール軸方向の力即ちスラ
スト力を検出するスラスト計として、補強ロール2,
2′のロールチョックまたはキーパープレート部に設け
られ補強ロールに負荷されるスラスト力を測定するロー
ドセル4,4′及び作業ロール1,1′に負荷されるス
ラスト力をロールシフト用のシリンダーの油圧にて測定
するプレッシャーセル5,5′が設けられ、下補強ロー
ルチョック61′と図示されていないハウジングとの間
に圧延荷重を検出する手段として圧延荷重計60が設け
られている。また、補強ロールのロール面に潤滑油をス
プレーし作業ロールと補強ロール間を潤滑する潤滑ヘッ
ダー3,3′を含む潤滑油を循環供給する潤滑油循環供
給設備101と、ロードセルあるいはプレッシャーセル
4,4′,5,5′で検出されたスラスト力を圧延荷重
計60で検出された圧延荷重で除したスラスト係数を計
算するスラスト係数演算装置64と、スラスト係数が所
定の値となるように潤滑油のロール表面へのスプレー圧
力及びスプレータイミング、潤滑油濃度、及び潤滑油種
の切換えを所定の態様で制御しスラスト係数を制御する
潤滑制御装置102とが設けられている。ここで、スラ
スト係数演算装置64で計算されるスラスト係数は、補
強ロール2,2′については補強ロールと作業ロールと
の間の摩擦係数に等しく、作業ロール1,1′について
は補強ロールと作業ロール間の摩擦係数と作業ロールと
板材との間の摩擦係数の代数和に相当する。
【0067】潤滑油循環供給設備101は潤滑油供給タ
ンク7を有し、潤滑油供給タンク7に蓄えられたエマル
ジョンタイプの潤滑油はスプレーポンプ8により潤滑油
供給回路103を介して潤滑ヘッダー3,3’に送ら
れ、補強ロール2,2′のロール表面に噴射される。潤
滑ヘッダー3,3′からの潤滑油は潤滑油戻り回路10
4により潤滑油供給タンク7に戻される。潤滑油タンク
7内において、潤滑油はアジテータ14により撹拌さ
れ、エマルジョン状態が得られる。
【0068】潤滑制御装置102はスプレーコントロー
ラ15、濃度コントローラ17及び油種切替コントロー
ラ65を有し、スプレーコントローラ16により潤滑油
のロール表面へのスプレー圧力及びスプレータイミング
が制御され、濃度コントローラ17により潤滑油濃度が
制御され、油種切換えコントローラ65により潤滑油種
の切換えが制御される。
【0069】スプレーコントローラ15によるスプレー
圧力及びスプレータイミングの制御に関して、スプレー
圧力は潤滑油供給回路103に設けられた圧力計10,
10’によりチェックしながら比例減圧弁9,9’によ
り調整される。噴射のオン,オフは電磁ストップバルブ
12,12’にて切り替えることができる。同時に流量
計11,11′により流量も計測されるが、この値は潤
滑がなされているか否かの検出、インターロックに用い
られる。
【0070】濃度コントローラ17による濃度制御に関
して、スプレーポンプ8の出口にて余分の潤滑油が分岐
されタンクに戻されるバイパス回路に濃度計16を設
け、潤滑油の濃度をチェックしながら潤滑油の濃度を目
標値に保つためのニートオイルと水の追加量を算定し、
バルブ21,23に開閉の信号を送り操作する。ニート
オイルと水の実際の追加量はそれぞれ流量計20,22
にて測定され、濃度コントローラ17へフィードバック
され、その量が必要十分か否かを判断、処理される。ニ
ートオイルはニートオイルタンク18内に蓄えられてお
り、ポンプ19により供給される。水は図示しない水源
から供給される。
【0071】油種切替コントローラ65による油種の切
換え制御に関して、潤滑油循環供給設備101に潤滑油
供給タンク7とは別の油種の異なる潤滑油を蓄えた潤滑
油供給タンク43を設け、潤滑油供給回路102の3方
弁45から潤滑油戻り回路103の3方弁49までを共
通として潤滑ヘッダー3,3′への潤滑油の循環供給を
行うようにし、3方弁45,49の切換えにより油種の
切換えを行う。この潤滑油供給タンク43にも濃度制御
のためのニートオイルタンク44、バルブ40,41
等、潤滑油供給タンク7と同様の設備が付属している。
【0072】また、図2に示すように、本実施例のロー
ル間潤滑油システムは、潤滑油供給タンク7,43内の
潤滑油の油面レベルを検出するレベル計24,50と、
レベル計24,50の検出信号に基づき潤滑油供給タン
ク7,43内の潤滑油の油面レベルが目標値より高いと
きには潤滑油を排出し油面レベルを目標値に保つ油面レ
ベル制御装置105と、油面レベル制御装置105によ
り排出された潤滑油を油分濃度の高い潤滑油と油分濃度
の低い潤滑油とに分離し、油分濃度の高い潤滑油は潤滑
油供給タンク7,43に戻し、油分濃度の低い潤滑油の
みを外部に排出する余剰潤滑油処理設備106とを備
え、油面レベル制御装置105及び余剰潤滑油処理設備
106はレベルコントローラ25を含む構成となってい
る。
【0073】レベルコントローラ25による制御に関
し、潤滑油供給タンク7の油面レベルが所定以上の高さ
になると、潤滑油戻し回路104に設けた3方弁29を
切り替え、戻し油を余剰潤滑油処理設備106の潤滑油
一時貯蔵タンク26へ一旦戻す。この潤滑油一時貯蔵タ
ンク26は排出油を一時貯蔵するだけでなく油分と水分
を分離することに用いる。すなわち、潤滑油一時貯蔵タ
ンク26は仕切板26aにより2つのチャンバ26b,
26cに分けられており、一方のチャンバ26bに潤滑
油供給タンク7から排出された潤滑油を一時的に貯蔵
し、その時浮上した油分を仕切板26aをオーバーフロ
ーさせ別のチャンバ26cに移すことにより油分を多く
含んだ潤滑水を集め、レベル計27の信号をもとにポン
プ28により再度潤滑油供給タンク7に戻して再利用す
る。一方、油分を取られた水はタンク下方の排出口より
バルブ30を通して外部に排出される。潤滑油供給タン
ク43に対しても3方弁54、潤滑油一時貯蔵タンク5
1、レベル計52、ポンプ53、バルブ55により同様
の油面レベル制御及び余剰潤滑油処理を行う。
【0074】次に、本発明のロール間潤滑油供給システ
ムにおける潤滑制御の考え方を説明する。
【0075】本発明は以下の3点の知見に基づいてい
る。 1.作業ロールクロス圧延機の補強ロールと作業ロール
間の潤滑に際し振動やスリップの発生を考慮して適切な
潤滑性能を得るには、補強ロールかつ/または作業ロー
ルのスラスト係数(摩擦係数)を制御することが必要で
ある。
【0076】2.同じ潤滑油を用いてスラスト係数(摩
擦係数)を制御するには、潤滑油のロール表面へのスプ
レー圧力及び潤滑濃度を制御することが必要である。
【0077】3.2種以上の潤滑油を用意し、潤滑油種
を切り替えることによってもスラスト係数を制御するこ
とができ、この場合は同じ潤滑油による場合以上に大き
くスラスト係数を制御することができる。
【0078】まず、上記1の点について説明する。スラ
スト力をF、圧延荷重をP、スラスト係数をμとする
と、これらの関係は、
【0079】
【数1】 F=μP …(1) で表わされる。ここで、μはロール間の潤滑状態、すな
わち、潤滑油の特性(粘度η、組成s他)、相対2面の
粗さRa、相対滑り速度Vsやロール径R等によって変
わる。すなわち、
【0080】
【数2】 μ=μ(η,s,Ra,Vs,R,etc) …(2) である。スラスト力Fの値をほぼ一定にすることは圧延
荷重Pの変化に対してμを変え調整することになるが、
Pの変化は熱間圧延機の場合、600tonから400
0ton程度変わる。このため、μの値は例えば0.1
から0.017へと1/6に小さくする必要がある。こ
の変化の幅は大変大きく、かつ潤滑状態を境界潤滑、混
合潤滑、弾性流体潤滑、流体潤滑(図5参照;後述)と
性格の異なる状態にする必要がある。
【0081】勿論Fに変動幅を持たせることにより、μ
の調整幅を小さくすることができる。例えばスラスト軸
受を壊さないためスラスト軸受容量よりスラスト力を大
きくしないという制御である。
【0082】ここで、ロール間の潤滑は他の圧延条件、
例えば振動、スリップの発生等についての物理現象も合
わせて考慮する必要がある。すなわち、潤滑状態は単に
スラスト力を決めるだけでなく、例えば2面間のすべり
の状態を決定するのであるから、スティックスリップの
発生、更に振動、そしてミルとの共振等を左右する。ま
た、ロール間の潤滑が良すぎると、ロールの円周方向の
摩擦係数の低下になり、加減速時にロール間スリップを
発生する。この場合必要なものは摩擦係数(スラスト係
数)である。
【0083】例えば、振動について考えると、ロール間
の振動発生は、潤滑油の金属面への吸着力Qと潤滑油自
身の剪断力τ、そしてロール表面の弾性率kによって決
まる。
【0084】今相対する2面が互いにすべりを発生し、
相対変位xが生じたとき、互いの表面には、
【0085】
【数3】 τm =k・x …(3) の力が逆向きに発生する。
【0086】同時に2面間を潤滑する潤滑油内部にも相
対変位に対応する剪断力が発生する。この剪断力τは潤
滑油の粘度をη、2面間の距離をh、そして相対すべり
速度をuとすると、
【0087】
【数4】 τ=η・u/h …(4) であり、これに2面の接触長bを乗ずるとスラスト力
F′が求まる。従って潤滑面の摩擦係数をμ、平均垂直
圧力をpm とすると、
【0088】
【数5】 F′=τ・b=η・u/h・b=μ・pm …(5) となる。
【0089】従って、この力以上の力は2面間には働か
ないので、相対2面の変位xも、
【0090】
【数6】 xo =τ/k=μ・pm /k …(6) に止まる。
【0091】一方、金属面と潤滑油の接触点では潤滑油
の金属への吸着力Qが働き、潤滑面での相対2面の金属
接触を防止している。すなわち、
【0092】
【数7】 Q>F′ …(7) の状態を維持している。
【0093】ところが、F′がQより大きくなると潤滑
油の金属面への吸着が維持できず潤滑切れ、油膜破断を
起こす。このため2面は金属接触を発生し、2面の表面
は上記(2) 式に基づき大きな変形をする。2面が離
れるのは金属接触が断ち切られる時である。この時の剪
断力τmmは潤滑膜の剪断力に比べ格段に大きく、このた
め変位xmmも格段に大きい。すなわち、
【0094】
【数8】 xmm=τmm/k …(8) となる。従ってこの金属接触が断ち切られると(8) 式に
基づき大きな変位を戻す力が働き、変位を零に戻すだけ
でなく逆方向に変位させ、振動を発生する。
【0095】以上のことよりロール間のスティックスリ
ップの発生限界は、
【0096】
【数9】
【0097】ここに、xc :スティックスリップ発生限
界表面変位 p:線荷重(Kg/mm) a:定数 CL:定数 と表わされる。図3に上記発生限界のテスト結果を示
す。例えば潤滑油AではCL=3であるものが潤滑油Bで
はエステルを増し、脂肪酸を加えることによりCL=4.
5と大きくなり振動限界が増す。
【0098】このような場合に、CLは潤滑油種により決
まり、pm は圧延の条件により決まるから、振動を発生
させないためにコントロールできるのはロール間μであ
ることが分かる。
【0099】さらに、このロール間のスラスト係数μは
ロール円周方向のロール間摩擦係数μr と密接な関係を
持つ。ロール間の摩擦係数μt は、図4に示すようにμ
r とスラスト係数μの合成であるが、方向は各々の方向
のスリップ率で決まる。加減速時、円周方向の摩擦係数
が必要なときは、円周方向のスリップ率が増し合成摩擦
係数の方向は円周方向を向くが、その最大値は円周方向
にスリップがない場合のスラスト係数を越えない。従っ
てロール間の潤滑が良すぎてスラスト係数が低くなり過
ぎると、そのままロールの円周方向の摩擦係数の低下に
なり加減速時にロール間スリップを発生する。このため
スラスト係数をある一定値以上に保つ必要がある。
【0100】上記の如き問題を解決するために、本発明
ではスラスト係数を制御する。
【0101】次に上記2及び3の点について説明する。
ロール間の潤滑状態は一般には図5に示すようなストラ
イベック曲線によって表わされる。横軸に潤滑油の粘度
ηとロールの周速差U=U1 −U2 の積を荷重Pによっ
て除したηU/Pをとり、ηU/Pと縦軸に示す摩擦係
数μの関係を示したものである。この中で領域Iは流体
潤滑領域(おおよその油膜厚みh>0.25μm)、領
域IIは弾性流体潤滑領域(おおよその油膜厚みh=0.
025〜2.5μm)、さらに領域III は混合潤滑、領
域IVは境界潤滑領域に分けることができる。
【0102】本発明に係るロール間の潤滑は弾性流体潤
滑領域及び混合潤滑領域であり、この中で前者は基本的
に油膜が形成されている状態である。この領域での摩擦
係数μはロール接触によるヘルツ偏平領域幅をbとする
と、
【0103】
【数10】
【0104】ここに、η:潤滑油粘度 b:ヘルツ接触幅 U1 −U2 :ロールの相対滑り速度 p:線圧 h:最小間隙 にて表わされ、しかもこの間隙hは弾性流体潤滑理論に
よれば例えば下式にて表わされる。
【0105】
【数11】
【0106】ここに、R:等価ロール半径 従って、摩擦係数は(10)式と(12)式より下式のごとくな
る。
【0107】
【数12】
【0108】ここに、σmax :ヘルツ面圧 一方、潤滑油の必要量はこの間隙hとロール幅L、及び
ロール周速の積に比例し、例えば間隙を1μ、ロール幅
を1800mm、ロール周速を250m/minとする
と、(0.0001×180×250×102 )/10
3 =0.45(l/min)もあれば十分であり、潤滑
油量を必要以上に増しても効果は変わらない。従ってロ
ールの相対すべり速度U1 −U2 及び等価ロール半径が
等しい条件下では、ロールの表面粗さや、接触荷重に対
して摩擦係数をコントロールしようとすると、潤滑油の
見掛けの粘度あるいは粘性係数ηを変えるしかない。
【0109】従って弾性流体潤滑領域では基本的に(3)
式に示される如くロール間の摩擦係数は潤滑油種の特性
により決まり、潤滑油の供給量やスプレー圧力にて摩擦
係数が決まるものではない。
【0110】一方、領域III の混合潤滑領域にては、ロ
ール幅Lとヘルツ接触幅bの積である接触領域Sの中で
大部分は油膜が形成されているが、一部分で単分子層に
近い油膜が形成されるかあるいは場合によって金属接触
が発生している領域と言える。従って充分な油膜が形成
されている部分So での摩擦係数をμo 、単分子層に近
い油膜あるいは金属接触の存在する部分SM の摩擦係数
をμM とすると、見掛けのμは、
【0111】
【数13】
【0112】となる。
【0113】従って、この領域で見掛けのμを変えるに
は、油分の付着領域(油膜形成領域)を増すこと、言い
換えると油分の付着効率をアップすることにより達成で
きる。エマルジョンタイプの潤滑油を用いる場合にはス
プレー圧力を高くすることによりオイルのプレートアウ
トを促進して付着効率を向上させ、単分子層に近い油膜
部分を少くし、そして金属接触をなくすことにより見掛
けの摩擦係数を下げ得る。また、同じ条件にて潤滑油が
供給されるとき噴射される潤滑油の濃度が高くなるとプ
レートアウトされる油量が増大し、付着効率がアップす
る。
【0114】図6及び図7に潤滑油のスプレー圧力、濃
度及び潤滑油種と摩擦係数と関係について行った実験結
果を示す。図6及び図7から、スプレー圧力及び濃度が
増加するに従い摩擦係数が下がること、しかし、同じ潤
滑油を用いる場合は、スプレー圧力及び濃度がそれぞれ
5Kg/cm2 あるいは6%を越えると効果が飽和して
しまうこと、また飽和したときの摩擦係数はスプレー圧
力で制御する時よりも潤滑油濃度で制御する時の方が低
いこと、更に潤滑油Aを潤滑性能のより良い潤滑油Bに
切り替えれば、更に低い摩擦係数が得られることが分か
る。
【0115】以上のように、同じ潤滑油を用いる場合は
スプレー圧力及び濃度の少なくとも一方を変えることに
より摩擦係数を変えることができ、この場合、スプレー
圧力で制御するよりも潤滑油濃度で制御する方が摩擦係
数を低くすることができ、また油種を切り替えることに
より更に大きく摩擦係数を変えることができる。
【0116】以上では圧延荷重の変化に対応して可能な
限り大きく摩擦係数を変化させる観点から油種の切替え
の必要性を説明した。しかし、油種の切替えはロール材
質の面からも必要であり、以下このことを説明する。
【0117】ロールの軸を互いにθだけ傾け接触させな
がら、これらを転動させたとき発生する軸方向の力を接
触荷重で除したロール間のスラスト係数(摩擦係数)
は、まずロールの表面粗度により変化する。例えば図8
に示すように相手ロールを補強ロールに見立て鍛鋼ロー
ル、表面粗度0.8μRaを、また潤滑油として潤滑油
Aを用い、このロールをハイクロムロールと組合せた場
合、ロール表面粗度が0.5μRa以下の時スラスト係
数は0.04〜0.06であるが、表面粗度が2μRa
程度となると0.06〜0.08と上昇する。この摩擦
係数程度であれば問題ないが、もしこのロールがハイス
ロールの場合にはスラスト係数は更に0.1〜0.12
と大きくなる。圧延荷重が仮に4000tonとすると
スラスト力は400〜480tonとなる。これではス
ラスト力が過大となりスラスト軸受の容量も大変大きな
ものとならざるを得ず、ミル構造上大変不利となる。従
ってこの摩擦係数μ=0.1〜0.12を0.04〜
0.08のレベルに下げたい。このためには更に潤滑性
の良い油が必要である。これは潤滑性能の良い潤滑油B
を使用することにより達成できる。
【0118】ここで、図9に示す如く、例えば潤滑油の
摩擦係数は含まれるエステルの性質と含有比率によって
左右される。潤滑油供給タンク7に係わるニートオイル
タンク18には低エステル含有比率のニートオイルが蓄
えられており、潤滑油供給タンク43に係わるニートオ
イルタンク44には高エステル配合比率ののニートオイ
ルが蓄えられており、ロールの種類、ロールの表面粗度
の差による摩擦係数の差を補うため上記のように油種を
切り替え使用する。
【0119】本実施例の潤滑制御装置102は以上の考
えに基づきスラスト係数を制御するものである。
【0120】まず、スラスト係数演算装置64にてロー
ドセル4,4′及びプレッシャーセル5,5′で検出さ
れたスラスト力を圧延荷重計60で検出された圧延荷重
で除したスラスト係数を計算する。スラスト係数演算装
置64にはこのスラスト係数の目標値または目標範囲と
して例えば4%±1%が与えられ、運転当初は初期値と
してこれに応じた潤滑油、潤滑油濃度あるいはスプレー
圧力が選ばれている。しかし、圧延の進行にともないロ
ール表面粗度が変わり摩擦係数が変化し、スラスト係数
が目標範囲から逸脱する場合がある。スラスト係数が目
標範囲より逸脱した場合、スラスト係数演算装置64は
スプレーコントローラ15、濃度コントローラ17及び
油種切替コントローラ65を順次作動させ、スラスト係
数が目標範囲に収まるよう潤滑油のスプレー圧力、潤滑
油濃度、潤滑油種の選定、さらにはスプレータイミング
を調整する。
【0121】図10に本実施例に係る潤滑制御のシステ
ムダイヤグラムを示す。まず最初に、目標スラスト係数
(相当摩擦係数)μ* をインプットする。このスラスト
係数μ* のインプットに応じスイッチング回路が働き、
初期値設定演算回路にてスプレー圧力Po 、濃度do
び潤滑油種So が逆算される。これらは図6、図7及び
図8に示したスラスト係数とスプレー圧力、濃度及び潤
滑油種との関係により求められた関数μ=fs (s)・
d (d)・fp (p)・ft (t)から逆算して求め
られる。この初期設定条件にて決まる潤滑油供給状態に
対し、ロール材質、ロール表面粗さ、そして圧延荷重に
対応したスラスト力が発生する。このスラスト力Fをス
ラスト計(ロードセル4,4′及びプレッシャーセル
5,5′)にて測定し、圧延荷重計60にて測定された
圧延荷重Pにて除し、実スラスト係数(相当実摩擦係
数)μを算出する。
【0122】この実スラスト係数はフィードバックさ
れ、目標スラスト係数μ* と比較され、その偏差Δμを
修正する。そして、スプレー圧力による修正、濃度によ
る修正、油種による修正、スプレータイミングによる修
正を行う。これは、勿論一度にこれら全てのファクター
より最適解を求めても良いが、ここでは先ず、スプレー
圧力による修正、濃度による修正、油種による修正、そ
してスプレータイミングによる修正を順次行う方法を取
る。ただし図6及び図7に示す如く、スプレー圧力及び
濃度は各々5Kg/cm2 あるいは6%を越えると効果
が飽和してしまう。従ってスプレー圧力に関しては、圧
力が1<P<5(Kg/cm2 )の範囲であることを確
認する。この範囲の中にあればスプレー圧力にて調整す
る。もしスプレー圧力がP=1Kg/cm2 あるいはP
=5Kg/cm2 という下限あるいは上限にある場合に
は、濃度を調整する。濃度も同様に1<d<6%であれ
ば濃度にて調整し、d=1%あるいはd=6%の下限あ
るいは上限である場合には油種を変更する。さらに、ス
ラスト係数が小さくなり過ぎ、スプレー圧力がP<1で
濃度がd<1になると、潤滑油の供給を停止し過度のス
ラスト係数の低下を防止する。
【0123】図1に戻り、潤滑制御装置102では図1
0に示すシステムダイヤグラムに基づく制御を行う。す
なわち、スラスト力計4,4′,5,5′にて得られた
スラスト力Fと圧延荷重計60にて得られた荷重Pより
スラスト係数演算装置64にて計算され得られたスラス
ト係数μが、目標スラスト係数μ* と偏差Δμを持つ場
合、まずスプレーコントローラ15にこの偏差が送られ
る。スプレーコントローラ15では、現在のスプレー圧
力が1<P<5Kg/cm2 であるか否かを判定し、も
しその範囲内であれば必要調整量を割り出し比例減圧弁
9,9′を調整する。もし圧力が上限5Kg/cm2
るいは下限1Kg/cm2 にある場合にはさらに濃度コ
ントローラ17に上記信号が送られる。濃度コントロー
ラ17では先ず現状の濃度が1<d<6%の中にあるか
否かを濃度計16の検出値をもとに判定し、もしその範
囲内であるなら、ニートオイル供給バルブ21あるいは
水供給バルブ23を開き濃度を調整する。実際にロール
に噴射される潤滑油の濃度はスプレーポンプ8の出口に
て余分の潤滑油が分岐されタンクに戻されるバイパス回
路に設けた濃度計16により測定され、濃度コントロー
ラ17にフィードバックされる。濃度コントローラ17
は目標濃度に対しての偏差を計算し、ニートオイル、水
の量を算定しバルブ21,22に開閉の信号を送り操作
する。さらに濃度が上限6%あるいは下限1%にある場
合には油種切替コントローラ65に信号が送られる。こ
こでスラスト係数の偏差に対応し、タンク7の潤滑油か
あるいはタンク43に蓄えられている潤滑油かを選択す
る。この判断結果は切替バルブ45,49に送られ流路
を切替えられる。油種を切り替えた後の制御は再びスプ
レー圧力、濃度の調整制御に戻る。また、スラスト係数
が小さくなり過ぎてスプレー圧力がP<1で濃度がd<
1になるとスプレーコントローラ15に信号が送られ、
電磁ストップバルブ12,12′をOFFするように指
示、実行する。
【0124】次に、図2に示した油面レベル制御装置1
05及び余剰潤滑油処理設備106の動作について説明
する。
【0125】潤滑ヘッダー3,3′は図10及び図11
に示すように多数のノズル70を有し、潤滑油のスプレ
ーはこれらノズル70を用いて行われ、ロールに付着さ
せるべき油以外は再び回収する。この回収のためノズル
70はケーシング71内に位置し、ケーシング71のロ
ール側開口部の周りにロール面に接触するシール72を
備え、ロール冷却水の侵入を、またスプレー潤滑油のリ
ークをできるだけ少なくしている。また、ケーシング7
1の上下にはローラ73が設けられ、このローラ73を
ロール面に接触させてロール面との位置関係を一定に保
っている。従って通常は潤滑ヘッダー3,3′内でのロ
ール冷却水の侵入量とスプレー潤滑油のリーク量はほぼ
バランスするか、あるいは出て行く方が1〜2(l/m
in)多くなっている。このため、タンク内潤滑油面の
レベルをレベル計24または50の信号をレベルコント
ローラ25に送り、バルブ21,23または40,41
を開き水あるいはニートオイルを不足分だけ補うことで
潤滑システムのトータル油量を制御する。また、この時
の濃度変化は濃度計16で検出され、上記の濃度コント
ローラ17により制御される。
【0126】上記の如くタンク内レベル計24,50と
レベルコントローラ25及び濃度計16と濃度コントロ
ーラ17を用い潤滑油供給タンク7,43内レベルと濃
度はコントロールできるが、時として潤滑ヘッダー入側
のシール72が摩耗し過ぎたり、あるいは、亀裂が入り
冷却水が予想以上侵入してくる場合が考えられる。この
場合は潤滑油供給タンク7または43の油面はどんどん
上昇しオーバーフローする可能性がある。オーバーフロ
ーしても単なる水であれば問題ないが、潤滑油の場合に
は2〜6%の油分を含んでいるため、そのまま排水でき
ない。もう少し厳密に考えれば潤滑油ヘッダー3、3’
からの潤滑油の漏れ量及びロール冷却水の侵入量はロー
ルの表面状態あるいは圧延材によって異なり、必ずしも
一定ではない。このため潤滑油供給タンク7,43の油
面レベルは一定に保たれず変動を余儀なくされる。レベ
ルが下がった時はニートオイルあるいは水を追加すれば
良いが、レベルが高くなった時はオーバーフローするこ
とも考えられる。このため油面レベルが所定以上の高さ
になった時は、潤滑油戻し回路104に設けた3方弁2
9または54を切り替え、戻し油を潤滑油一時貯蔵タン
ク26または51へ一旦戻す。この潤滑油一時貯蔵タン
ク26または51は排出油を一時貯蔵するだけでなく油
分と水分を分離するのにも用いる。すなわち、チャンバ
26bまたは51bに潤滑油供給タンク7または43か
ら排出された潤滑油を一時的に貯蔵し、その時浮上した
油分を仕切板26aまたは51aをオーバーフローさせ
別のチャンバ26cまたは51cに移すことにより油分
を多く含んだ潤滑水を集め、レベル計27または52の
信号をもとにポンプ28または53により再度潤滑油供
給タンク7または43に戻して再利用する。一方油分を
取られた水はタンク下方の排出口よりバルブ30または
55を通して外部に排出される。
【0127】以上のように構成した本実施例によれば、
次の効果が得られる。
【0128】(1)まず、本実施例では、作業ロールク
ロス圧延機の補強ロールと作業ロール間の潤滑に際し潤
滑油のスプレー圧力、潤滑油濃度及び潤滑油種の切り替
えを制御しスラスト係数を制御するので、圧延条件ある
いは圧延に伴う摩耗や焼き付きによりロール表面粗度が
変化しても摩擦係数が大きくなることが防止できる。こ
のため、摩擦係数が大きくなることによりロールに負荷
されるスラスト力が過大となり、ロール軸受の破損など
トラブルを発生する事態を防止できる。
【0129】(2)また、本実施例では、作業ロールク
ロス圧延機の補強ロールと作業ロール間の潤滑に際しス
ラスト係数を制御するので、振動やスリップを起こすこ
となく適切な潤滑性能を得ることができ、安定した操業
を維持することができる。このことは、スラスト係数を
制御せずにスラスト力を制御する従来の潤滑方法と本質
的な違いである。
【0130】すなわち、例えば特開平5−169108
号公報では、クロス角あるいはロールに負荷されるスラ
スト荷重に応じて潤滑油の供給量を増減しスラスト力を
制御している。しかし、まず、ロールクロスにより発生
するスラスト力を圧延荷重にて除したスラスト係数(摩
擦係数)は図13に示すごとく0°から0.5°の範囲
のみで変わり、しかもこの変化はロール間の摩擦係数が
変わることによるのではなく、ロール間での接触変位が
弾性的かあるいはスベリによっているのかと言うことに
影響されているものであり、その間でいわゆるすべり摩
擦係数が変化しているものではない。加えて0°から
0.5°の範囲のスラスト係数は0.5°以上のクロス
角でのスラスト係数より小さい。従ってクロス角によっ
て潤滑条件を変えることは大きな意味を持たない。
【0131】一方、ロールに負荷されるスラスト力を測
定し、これに応じて潤滑油量を変えることはスラスト力
を制御するための1つの方法である。しかし、潤滑油の
性能はスラスト力そのものを変えるのではなく、スラス
ト力を接触荷重にて除した値、いわゆる摩擦係数と密接
に繋がっているものであり、スラスト力に応じて潤滑油
量を変えても摩擦係数(スラスト係数)を制御すること
はできず、適切な潤滑性能を得ることはできない。
【0132】しかも、上記従来技術ではいずれもスラス
ト力を制御するのに潤滑油の供給量を増減している。し
かし、上述したように、ニートオイルを用いずエマルジ
ョンタイプの潤滑油を使用する場合、潤滑性能は基本的
にエマルジョンのプレートアウト性によって決まり、プ
レートアウトしてロール表面に付着する油分の量、すな
わちスラスト係数はスプレー圧力によって変化する。従
って潤滑性を調整するためにはスプレー圧力を変えるこ
とが重要である。また、同じスプレー圧力の下で潤滑性
を変える場合、すなわち潤滑膜の厚みを変える場合、潤
滑油の濃度を変えることが効果的である。同じスプレー
圧力のもとで潤滑性を変えるために供給流量を増やす方
法を採ると、流量が増すとき互いにプレートアウトを邪
魔するため流量を増した割に効果が少ない。
【0133】(3)また、潤滑油のスプレー圧力が所定
の範囲内にあるときにはまずスプレー圧力を制御し、潤
滑油のスプレー圧力が所定の範囲の限界値にあるときに
は潤滑油濃度を制御し、潤滑油の濃度が所定の範囲の下
限の限界値にあるときにはスプレータイミングを制御
し、潤滑油の濃度が所定の範囲の上限の限界値にあると
きには潤滑油種の切換えを制御することにより、広い範
囲にわたって円滑かつ連続的にスラスト係数を制御しか
つ過度のスラスト係数の低下を防止することができる。
【0134】(4)また、油種を切り替えることにより
ハイスロール、ハイクロムロール、ニッケルグレインロ
ールなどロールの材質によって大きくかわるロール間の
スラスト係数をほぼ0.07以下の値で一定にし、ロー
ル軸受などのハード機構に影響を与えない範囲のスラス
ト力に設定可能とする。これにより、圧延上必要なロー
ルを自由に選択しても作業ロールクロス圧延が可能とな
る。
【0135】(5)更に、潤滑ヘッダー部へのロール冷
却水の混入により潤滑油濃度が低下することも防止さ
れ、潤滑油濃度の低下によりロール間摩擦係数が大きく
なり、ロールに働くスラスト力が大きくなってロール軸
受の破損などトラブルを発生する事態を防止できる。
【0136】(6)また、冷却水の侵入により潤滑油供
給タンクがオーバーフローすることも防止され、タンク
のオーバーフローにより潤滑油の供給を停止せざるを得
なくなり、クロス圧延を不可とする事態を防止できる。
【0137】(7)更に、油面レベル制御のため潤滑油
を排出する場合、排出された潤滑油を油分濃度の高い潤
滑油と油分濃度の低い潤滑油とに分離し、油分濃度の高
い潤滑油は潤滑油供給タンクに戻し、油分濃度の低い潤
滑油のみを外部に排出するので、環境汚染を無くしかつ
油の消費量を削減できる。
【0138】なお、上記(4)の効果に関し、潤滑油種
の切換えよるスラスト係数の制御は単独で実施しても良
く、この場合でもロール材質の変化に対しスラスト係数
を適正な範囲に制御できる。
【0139】また、上記(5)〜(7)の効果に関し、
上記潤滑油濃度の制御、油面レベルの制御及び余剰潤滑
油処理はスラスト係数の制御とは切り離し独立して実施
しても良く、この場合でも上記(5)〜(7)の効果は
得られる。
【0140】本発明の他の実施例を図14により説明す
る。本実施例は簡易的なスラスト制御を行うため油種の
切換えは行わず、かつ上作業ロールと上補強ロール間の
摩擦係数と下作業ロールと下補強ロールの間の摩擦係数
を独立して制御できるようにしたものである。
【0141】すなわち、図14において、潤滑油供給タ
ンク7、ニートオイルタンク18及び潤滑油一時貯蔵タ
ンク26はそれぞれ1つづつ設置されており、潤滑油循
環供給設備101Aの潤滑油供給回路103A及び潤滑
油戻り回路104A、潤滑制御装置102A、油面レベ
ル制御装置105A及び余剰潤滑油処理設備106Aは
それぞれ1種類の潤滑油を取り扱う1系統の構成となっ
ている。
【0142】一方、潤滑油供給回路103Aは上潤滑ヘ
ッダー3用と下潤滑ヘッダー3′用の2系統の独立した
回路103Aa,103Aa′からなり、スプレーポン
プ8,8、スプレー圧力制御のための比例減圧弁12,
12’、圧力計9,9’、流量計11,11’と濃度計
16,16’も2系統設けられ、さらに濃度制御のため
のニートオイルタンク18よりのニートオイル供給バル
ブ21,21’、流量計20,20’、供給ポンプ1
9,19’、さらに希釈のための水供給用バルブ23,
23’、流量計22,22’を各々2系統設けている。
【0143】圧延に伴いロールの肌荒れが激しくなり、
しかも冷却条件が必ずしも同じでない上下作業ロールで
は表面粗度が大きく異なる場合が出てくる。この場合、
上下各々のロール群を同一の潤滑油でかつ同じ条件で潤
滑すると、一方のロール群には適当であっても他方のロ
ール群には不適当な場合がでてくる。このような場合、
本実施例によれば、上下作業ロールの摩耗状況に応じて
上下のスラスト係数を各々の目標値に向かって個別に制
御することができ、これにより安定した操業が可能とな
る。
【0144】本発明のさらに他の実施例を図15により
説明する。本実施例は余剰潤滑油処理手段としてウルト
ラフィルタを用いたものである。
【0145】すなわち、図15において、潤滑油供給タ
ンク7、ニートオイルタンク18及び潤滑油一時貯蔵タ
ンク26はそれぞれ1つづつ設置されており、潤滑油循
環供給設備101Bの潤滑油供給回路103B及び潤滑
油戻り回路104b、潤滑制御装置102B、油面レベ
ル制御装置105B及び余剰潤滑油処理設備106Bは
それぞれ1種類の潤滑油を取り扱う1系統の構成となっ
ている。
【0146】また、余剰潤滑油処理設備106Bでは、
潤滑油ヘッダー3,3’より戻される潤滑油を3方弁2
9にて切り替え、潤滑油一時貯蔵タンク26Bへ戻す回
路の途中に例えば精密濾過フィルターあるいは限外濾過
フィルター30を設け、油分と水を分離する。フィルタ
ー30で分離された油分は潤滑油一時貯蔵タンク26b
に蓄えられ、適当なタイミングでポンプ28を用い潤滑
油供給タンク7へ戻し、濾過された水分は常時システム
の外へ排出する。
【0147】潤滑油には2〜6%の油分がエマルジョン
状態として含まれており、エマルジョンの大きさは概ね
1〜40μ程度であるため、フィルターのメッシュを適
切に選ぶことによりエマルジョンを水から分離できる。
なお、エマルジョンの大きさは概ね1μから40μの大
きさであるから、これを通さないフィルターであれば形
式は問わない。
【0148】本実施例によっても第1の実施例と同様に
余剰潤滑油の処理に際して、排出する油分を少なくし、
油の原単位を少なくすることができる。
【0149】本発明のさらに他の実施例を図16及び図
17により説明する。本実施例は熱間圧延油を潤滑油潤
滑油として利用するものである。
【0150】すなわち、図15において、補強ロール
2,2′及び作業ロール1,1′のロール面に熱間圧延
油をスプレーする熱間圧延油ヘッダー31,31′及び
32,32′が設けられ、熱間油ヘッダー31,31′
及び32,32′への熱間圧延油の供給、停止はバルブ
33,33’のオン・オフによって制御される。
【0151】バルブ33,33′のオン・オフは潤滑制
御装置102Cのスプレーコントローラ15Cにより制
御され、スプレーコントローラ15Cは圧延材の圧延中
はバルブ33,33′にオン信号を送り、補強ロール
2,2′及び作業ロール1,1′に熱間圧延油をスプレ
ーし、圧延材が作業ロール1,1′間を通過していない
非圧延時はバルブ33,33′にオフ信号を送り、熱間
圧延油の供給を停止する。また、スプレーコントローラ
15Cは、熱間圧延油を塗布するバルブ33,33’の
オン信号により潤滑油スプレーを停止すべくバルブ1
2,12’にオフ信号を送り、逆に潤滑油の供給を停止
するバルブ33,33’のオフ信号によりバルブ12,
12’にオン信号を送る。場合によっては、オン、オフ
信号の変わりに比例減圧弁9,9’の圧力を絞る制御を
行っても良い。またそのタイミングは、タイマーを介在
させることにより適当にずらすこともスプレーコントロ
ーラ15Cにて行われるものである。
【0152】濃度コントローラ17Cはスラスト係数の
入力はないが、目標値に一致するよう濃度を制御する点
は先の実施例と同じである。また、それ以外の構成歯先
の実施例と同じである。
【0153】熱間圧延油の潤滑性能は作業ロールクロス
ミルのロール間潤滑油としては充分な性能を有する。し
かしながら熱間圧延油は粘度を高くしているため高温の
バーによっても瞬時には焼き切れずバー先端の噛み込み
時スリップすることが懸念され、一般には圧延材が尻抜
けする直前に供給をストップし作業ロール何回転かの間
にロール表面に付着した油分を焼き切っている。しかし
ながら補強ロール表面に塗布された油は冷却水により瞬
時に落されるのではなく、図17に示すシミュレーショ
ンテストのように数分掛かって冷却水に流し落され、ま
た一部は作業ロールに転写後圧延材との間で焼き切られ
る。従ってロール間潤滑油の供給が止まっても途端にロ
ール間スラスト力が増大することは無い。よってロール
に負荷される荷重の低いバー間では潤滑油が塗布されな
くともスラスト力が大巾に増大しトラブルを起こす可能
性は少ない。しかし、本実施例では安全を見て熱間圧延
油の供給がストップされている間のみ潤滑油をスプレー
し、ロールクロスによる作業ロールと補強ロールに働く
スラスト力を低減し、ロールクロスによるトラブルを皆
無にするとともに、熱間圧延油をロール間潤滑油と併用
することにより油の消耗量を削減する。
【0154】本実施例によれば、熱間圧延油との相互利
用により油の原単位を下げることができるとともに、排
出する油分を少なくし油処理作業を軽減することができ
る。
【0155】
【発明の効果】
(1)本発明によれば、スラスト力が過大となり、ロー
ル軸受の破損などトラブルを発生する事態を防止でき
る。
【0156】(2)また、スラスト係数を制御すること
でスラスト力を制御するので、振動やスリップを起こす
ことなく適切な潤滑性能を得ることができ、これにより
板クラウン及び形状の制御に優れた能力を持つ、作業ロ
ールクロス圧延機を潤滑上のトラブルなく安定して操業
でき、圧延機の能力を最大に引出し、高品質の製品を得
られるとともに、イージーオペレーションと稼働率の向
上が達成できる。
【0157】(3)潤滑油のスプレー圧力及び潤滑油濃
度、また必要に応じて潤滑油種、スプレータイミングを
所定の相関関係をもって制御するので、広い範囲にわた
って円滑かつ連続的にスラスト係数を制御しかつ過度の
スラスト係数の低下を防止することができる。
【0158】(4)油種を切り替えることによりハイス
ロール、ハイクロムロール、ニッケルグレインロールな
どロールの材質によって大きくかわるロール間のスラス
ト係数をほぼ0.07以下の値で一定にし、ロール軸受
などのハード機構に影響を与えない範囲のスラスト力に
設定可能とする。これにより、圧延上必要なロールを自
由に選択しても作業ロールクロス圧延が可能となる。
【0159】(5)上下作業ロール表面性状の差により
発生する上下ロール群でのスラスト係数を個別に制御で
き、安定した操業を提供することができる。
【0160】(6)潤滑ヘッダー部へのロール冷却水の
混入により潤滑油濃度が低下することが防止され、潤滑
油濃度の低下でロール間摩擦係数が大きくなり、ロール
に働くスラスト力が大きくなりロール軸受の破損などト
ラブルを発生する事態を防止できる。
【0161】(7)冷却水の侵入により潤滑油供給タン
クがオーバーフローすることが防止され、タンクのオー
バーフローにより潤滑油の供給を停止せざるを得なくな
り、クロス圧延を不可とする事態を防止できる。
【0162】(8)油面レベル制御のため潤滑油の排出
に際して油分濃度の低い潤滑油のみを外部に排出するの
で、環境汚染を無くしかつ油の消費量を削減できる。
【0163】(9)潤滑油と熱間圧延油との相互利用に
よりトータルとしての油の原単位を下げることができる
とともに、排出する油分を少なくし油処理作業を軽減す
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例による作業ロールクロス圧延
機のロール間潤滑油供給システムの概略図である。
【図2】上記実施例のロール間潤滑油供給システムの油
面レベル制御装置及び余剰潤滑油処理設備のみを示す概
略図である。
【図3】ロール間潤滑に際しての振動発生限界テストの
結果を示す図である。
【図4】ロール間の摩擦係数とスラスト係数とロール円
周方向の摩擦係数との関係を示す図である。
【図5】ロール間の潤滑状態を示すストライベック曲線
を示す図である。
【図6】潤滑油供給圧力と摩擦係数の関係を示す図であ
る。
【図7】潤滑油濃度と摩擦係数の関係を示す図である。
【図8】ロール材質、粗度とスラスト係数の関係を示す
図である。
【図9】エステル配合比率と摩擦係数との関係を示す図
である。
【図10】潤滑制御の一実施例を示すシステムダイヤグ
ラムである。
【図11】潤滑ヘッダーの側面図である。
【図12】潤滑ヘッダーの正面図である。
【図13】クロス角度とスラスト係数の関係を示す図で
ある。
【図14】本発明の他の実施例による作業ロールクロス
圧延機のロール間潤滑油供給システムの概略図である。
【図15】本発明の更に他の実施例による作業ロールク
ロス圧延機のロール間潤滑油供給システムの概略図であ
る。
【図16】本発明のまた他の実施例による作業ロールク
ロス圧延機のロール間潤滑油供給システムの概略図であ
る。
【図17】ロール表面付着油分の除去シミュレーション
テスト結果を示す図である。
【符号の説明】
1,1’…作業ロール 2,2’…補強ロール 3,3’…潤滑ヘッダー 4,4’…スラスト計(ロードセル) 5,5’…スラスト計(プレッシャーセル) 6…圧延材 7…潤滑油供給タンク 8…潤滑油スプレーポンプ 9,9’潤滑油スプレー圧力調整比例減圧弁 10,10’…圧力計 11,11’…流量計 12,12’…スプレー開閉バルブ 13…潤滑油戻り回路3方弁 14…アジテーター 15…スプレーコントローラ 16…濃度計 17…濃度コントローラ 18,44…ニートオイルタンク 19…ニートオイル供給ポンプ 20ニートオイル供給流量計 21,40…ニートオイル供給バルブ 22…水供給流量計 23,41…水供給バルブ 24,50…潤滑油供給タンク油面レベル計 25…レベルコントローラ 26,51…潤滑油一時貯蔵タンク 27,52…レベル計 28,53…戻しポンプ 29,54…3方弁 30…油水分離フィルター 31,31’,32,32’…熱間圧延油供給ヘッダー 33,33’…熱間圧延油供給バルブ 7,43…潤滑油供給タンク 41,44…ニートオイル供給タンク 45,46,48,49…3方弁 64…スラスト係数計算装置 65…油種切替コントローラ 70…ノズル 72…シール 101…潤滑油循環供給設備 102…潤滑制御装置 103…潤滑油供給回路 104…潤滑油戻り回路 105…油面レベル制御装置 106…余剰潤滑油処理設備
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 加賀 慎一 茨城県日立市幸町三丁目1番1号 株式会 社日立製作所日立工場内 (72)発明者 坂中 孝雄 茨城県日立市幸町三丁目1番1号 株式会 社日立製作所日立工場内 (72)発明者 尾野 博 広島県呉市昭和町11番1号 日新製鋼株式 会社呉製鉄所内 (72)発明者 中上 拡 広島県呉市昭和町11番1号 日新製鋼株式 会社呉製鉄所内 (72)発明者 志賀 幸成 広島県呉市昭和町11番1号 日新製鋼株式 会社呉製鉄所内 (72)発明者 渡辺 勉 広島県呉市昭和町11番1号 日新製鋼株式 会社呉製鉄所内

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一対の作業ロールと、これら作業ロール
    をそれぞれ支持する一対の補強ロールとを備え、前記補
    強ロールは、そのロール軸線が特定角度以外の角度に水
    平面内で自在に傾斜しないように構成され、前記作業ロ
    ールは水平面内でそのロールの軸線が補強ロール軸線に
    対して交差しかつ相互に交差するように自在に傾斜し得
    るように構成され、前記作業ロールと補強ロール間を潤
    滑油により潤滑しロールクロスにより発生するスラスト
    力を低減する作業ロールクロス圧延機のロール間潤滑油
    供給システムにおいて、 (a)前記補強ロール及び作業ロールの少なくとも一方
    のロール面に潤滑油をスプレーし作業ロールと補強ロー
    ル間を潤滑する潤滑油塗布手段と; (b)前記補強ロール及び作業ロールのうち少なくとも
    補強ロールに負荷されるスラスト力を圧延荷重で除した
    スラスト係数を求めるスラスト係数演算手段と; (c)前記スラスト係数が所定の値となるように前記潤
    滑油塗布手段によりロール面に塗布される潤滑油のスプ
    レー圧力及び潤滑油濃度の少なくとも一方を制御し、ス
    ラスト係数を制御する潤滑制御手段と; を備えることを特徴とするロール間潤滑油供給システ
    ム。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の作業ロールクロス圧延機
    のロール間潤滑油供給システムにおいて、前記潤滑制御
    手段は、潤滑油のスプレー圧力が所定の範囲内にあると
    きにはまずスプレー圧力を制御することによりスラスト
    係数を制御し、潤滑油のスプレー圧力が前記所定の範囲
    の限界値にあるときには潤滑油濃度を制御することによ
    りスラスト係数を制御することを特徴とするロール間潤
    滑油供給システム。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の作業ロールクロス圧延機
    のロール間潤滑油供給システムにおいて、前記潤滑制御
    手段は、前記スプレー圧力及び潤滑油濃度に加えてスプ
    レータイミングを制御することでスラスト係数を制御す
    ることを特徴とするロール間潤滑油供給システム。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の作業ロールクロス圧延機
    のロール間潤滑油供給システムにおいて、前記潤滑制御
    手段は、潤滑油のスプレー圧力が所定の範囲内にあると
    きにはまずスプレー圧力を制御することによりスラスト
    係数を制御し、潤滑油のスプレー圧力が前記所定の範囲
    の限界値にあるときには潤滑油濃度を制御することによ
    りスラスト係数を制御し、潤滑油の濃度が所定の範囲の
    下限の限界値にあるときには前記スプレータイミングを
    制御することによりスラスト係数を制御することを特徴
    とするロール間潤滑油供給システム。
  5. 【請求項5】 請求項1記載の作業ロールクロス圧延機
    のロール間潤滑油供給システムにおいて、前記潤滑制御
    手段は、前記スプレー圧力及び潤滑油濃度に加えて潤滑
    油種の切換えを制御することでスラスト係数を制御する
    ことを特徴とするロール間潤滑油供給システム。
  6. 【請求項6】 請求項5記載の作業ロールクロス圧延機
    のロール間潤滑油供給システムにおいて、前記潤滑制御
    手段は、潤滑油のスプレー圧力が所定の範囲内にあると
    きにはまずスプレー圧力を制御することによりスラスト
    係数を制御し、潤滑油のスプレー圧力が前記所定の範囲
    の限界値にあるときには潤滑油濃度を制御することによ
    りスラスト係数を制御し、潤滑油の濃度が所定の範囲の
    上限の限界値にあるときには前記潤滑油種の切換えを制
    御することによりスラスト係数を制御することを特徴と
    するロール間潤滑油供給システム。
  7. 【請求項7】 請求項1記載の作業ロールクロス圧延機
    のロール間潤滑油供給システムにおいて、前記潤滑制御
    手段は、前記スプレー圧力及び潤滑油濃度に加えてスプ
    レータイミング及び潤滑油種の切換えを制御することで
    スラスト係数を制御することを特徴とするロール間潤滑
    油供給システム。
  8. 【請求項8】 請求項7記載の作業ロールクロス圧延機
    のロール間潤滑油供給システムにおいて、前記潤滑制御
    手段は、潤滑油のスプレー圧力が所定の範囲内にあると
    きにはまずスプレー圧力を制御することによりスラスト
    係数を制御し、潤滑油のスプレー圧力が前記所定の範囲
    の限界値にあるときには潤滑油濃度を制御することによ
    りスラスト係数を制御し、潤滑油の濃度が所定の範囲の
    下限の限界値にあるときには前記スプレータイミングを
    制御することによりスラスト係数を制御し、潤滑油の濃
    度が所定の範囲の上限の限界値にあるときには前記潤滑
    油種の切換えを制御することによりスラスト係数を制御
    することを特徴とするロール間潤滑油供給システム。
  9. 【請求項9】 請求項1記載の作業ロールクロス圧延機
    のロール間潤滑油供給システムにおいて、前記潤滑制御
    手段は、上補強ロール及び作業ロールと下補強ロール及
    び作業ロールのそれぞれで独立してスラスト係数を制御
    できるように2系統設けられていることを特徴とするロ
    ール間潤滑油供給システム。
  10. 【請求項10】 請求項1記載の作業ロールクロス圧延
    機のロール間潤滑油供給システムにおいて、前記スラス
    ト係数演算手段は、前記補強ロール及び作業ロールのう
    ち少なくとも補強ロールに負荷されるスラスト力を検出
    する第1の検出手段と、圧延荷重を検出する第2の検出
    手段と、前記第1及び第2の検出手段で検出されたスラ
    スト力と圧延荷重とからスラスト係数を計算する手段と
    を有することを特徴とするロール間潤滑油供給システ
    ム。
  11. 【請求項11】 請求項1記載の作業ロールクロス圧延
    機のロール間潤滑油供給システムにおいて、潤滑油供給
    タンクと、前記潤滑油供給タンクから潤滑油を前記潤滑
    油塗布手段に供給する潤滑油供給回路と、前記潤滑油塗
    布手段からの潤滑油を前記潤滑油供給タンクに戻す潤滑
    油戻り回路とを更に備え、前記潤滑制御手段は、前記潤
    滑油供給タンク内の潤滑油の濃度を検出する濃度計と、
    前記濃度計の検出信号に基づき潤滑油ニートオイル及び
    希釈用水の追加量を制御し、潤滑油の濃度を目標値に保
    つ濃度制御手段とを有することを特徴とするロール間潤
    滑油供給システム。
  12. 【請求項12】 請求項11記載の作業ロールクロス圧
    延機のロール間潤滑油供給システムにおいて、前記潤滑
    油供給タンク内の潤滑油の油面レベルを検出するレベル
    計と、前記レベル計の検出信号に基づき前記潤滑油供給
    タンク内の潤滑油の油面レベルが目標値より高いときに
    は潤滑油を排出し油面レベルを目標値に保つ油面レベル
    制御手段を更に備えることを特徴とするロール間潤滑油
    供給システム。
  13. 【請求項13】 請求項12記載の作業ロールクロス圧
    延機のロール間潤滑油供給システムにおいて、前記油面
    レベル制御手段により排出された潤滑油を油分濃度の高
    い潤滑油と油分濃度の低い潤滑油とに分離し、油分濃度
    の高い潤滑油は前記潤滑油供給タンクに戻し、油分濃度
    の低い潤滑油のみを外部に排出する余剰潤滑油処理手段
    を更に備えることを特徴とするロール間潤滑油供給シス
    テム。
  14. 【請求項14】 請求項13記載の作業ロールクロス圧
    延機のロール間潤滑油供給システムにおいて、前記余剰
    潤滑油処理手段は、仕切板により分けられた少なくとも
    2つのチャンバを有しその一方のチャンバに前記油面レ
    ベル制御手段により排出された潤滑油を一時的に貯蔵
    し、前記仕切板をオーバーフローした油分濃度の高い潤
    滑油を他方のチャンバに移す潤滑油一時貯蔵タンクと、
    前記他方のチャンバ内の油分濃度の高い潤滑油を前記潤
    滑油供給タンクに戻す潤滑油移送手段と、前記一方のチ
    ャンバ内にオーバーフローせずに残った油分の低い潤滑
    油をタンク底部に近い位置より外部に排出する手段とを
    有することを特徴とするロール間潤滑油供給システム。
  15. 【請求項15】 請求項13記載の作業ロールクロス圧
    延機のロール間潤滑油供給システムにおいて、前記余剰
    潤滑油処理手段は、前記油面レベル制御手段により排出
    された潤滑油の油分と水分とを分離するフィルター手段
    と、前記フィルター手段で分離された油分を一時的に貯
    蔵する潤滑油一時貯蔵タンクと、前記潤滑油一時貯蔵タ
    ンク内の潤滑油を前記潤滑油供給タンクに戻す潤滑油移
    送手段と、前記フィルター手段で分離された水分を外部
    に排出する手段とを有することを特徴とするロール間潤
    滑油供給システム。
  16. 【請求項16】 一対の作業ロールと、これら作業ロー
    ルをそれぞれ支持する一対の補強ロールとを備え、前記
    補強ロールは、そのロール軸線が特定角度以外の角度に
    水平面内で自在に傾斜しないように構成され、前記作業
    ロールは水平面内でそのロールの軸線が補強ロール軸線
    に対して交差しかつ相互に交差するように自在に傾斜し
    得るように構成され、前記作業ロールと補強ロール間を
    潤滑油により潤滑しロールクロスにより発生するスラス
    ト力を低減する作業ロールクロス圧延機のロール間潤滑
    油供給システムにおいて、 (a)前記補強ロール及び作業ロールの少なくとも一方
    のロール面に潤滑油をスプレーし作業ロールと補強ロー
    ル間を潤滑する潤滑油塗布手段と; (b)前記補強ロール及び作業ロールのうち少なくとも
    補強ロールに負荷されるスラスト力を圧延荷重で除した
    スラスト係数を求めるスラスト係数演算手段と; (c)前記スラスト係数が所定の値となるように前記潤
    滑油塗布手段によりロール面に塗布される潤滑油の油種
    の切換え、スラスト係数を制御する潤滑制御手段と; を備えることを特徴とするロール間潤滑油供給システ
    ム。
  17. 【請求項17】 一対の作業ロールと、これら作業ロー
    ルをそれぞれ支持する一対の補強ロールとを備え、前記
    補強ロールは、そのロール軸線が特定角度以外の角度に
    水平面内で自在に傾斜しないように構成され、前記作業
    ロールは水平面内でそのロールの軸線が補強ロール軸線
    に対して交差しかつ相互に交差するように自在に傾斜し
    得るように構成され、前記作業ロールと補強ロール間を
    潤滑油により潤滑しロールクロスにより発生するスラス
    ト力を低減する作業ロールクロス圧延機のロール間潤滑
    油供給システムにおいて、 (a)前記補強ロール及び作業ロールの少なくとも一方
    のロール面に潤滑油をスプレーし作業ロールと補強ロー
    ル間を潤滑する潤滑油塗布手段と; (b)潤滑油供給タンク、前記潤滑油供給タンクから潤
    滑油を前記潤滑油塗布手段に供給する潤滑油供給回路、
    前記潤滑油塗布手段からの潤滑油を前記潤滑油供給タン
    クに戻す潤滑油戻り回路を含む潤滑油循環供給手段と; (c)前記潤滑油供給タンク内の潤滑油の濃度を検出す
    る濃度計と; (d)前記濃度計の検出信号に基づき潤滑油ニートオイ
    ル及び希釈用水の追加量を制御し、潤滑油の濃度を目標
    値に保つ濃度制御手段; を備えることを特徴とするロール間潤滑油供給システ
    ム。
  18. 【請求項18】 請求項17記載の作業ロールクロス圧
    延機のロール間潤滑油供給システムにおいて、前記潤滑
    油供給タンク内の潤滑油の油面レベルを検出するレベル
    計と、前記レベル計の検出信号に基づき前記潤滑油供給
    タンク内の潤滑油の油面レベルが目標値より高いときに
    は潤滑油を排出し油面レベルを目標値に保つ油面レベル
    制御手段を更に備えることを特徴とするロール間潤滑油
    供給システム。
  19. 【請求項19】 請求項18記載の作業ロールクロス圧
    延機のロール間潤滑油供給システムにおいて、前記油面
    レベル制御手段により排出された潤滑油を油分濃度の高
    い潤滑油と油分濃度の低い潤滑油とに分離し、油分濃度
    の高い潤滑油は前記潤滑油供給タンクに戻し、油分濃度
    の低い潤滑油のみを外部に排出する余剰潤滑油処理手段
    を更に備えることを特徴とするロール間潤滑油供給シス
    テム。
  20. 【請求項20】 一対の作業ロールと、これら作業ロー
    ルをそれぞれ支持する一対の補強ロールとを備え、前記
    補強ロールは、そのロール軸線が特定角度以外の角度に
    水平面内で自在に傾斜しないように構成され、前記作業
    ロールは水平面内でそのロールの軸線が補強ロール軸線
    に対して交差しかつ相互に交差するように自在に傾斜し
    得るように構成され、前記作業ロールと補強ロール間を
    潤滑油により潤滑しロールクロスにより発生するスラス
    ト力を低減するとともに、熱間圧延油を使用して圧延を
    行う作業ロールクロス圧延機のロール間潤滑油供給シス
    テムにおいて、 (a)前記補強ロール及び作業ロールの少なくとも一方
    のロール面に潤滑油をスプレーし作業ロールと補強ロー
    ル間を潤滑する潤滑油塗布手段と; (b)前記補強ロール及び作業ロールの少なくとも一方
    のロール面に熱間圧延油を塗布する熱間圧延油塗布手段
    と; (c)圧延材の圧延中は前記熱間圧延油塗布手段に熱間
    圧延油を供給し、圧延材が通過していない非圧延時は前
    記熱間圧延油塗布手段への熱間圧延油の供給を停止する
    と共に、少なくとも前記熱間圧延油の供給が停止されて
    いる間、前記潤滑油塗布手段に潤滑油を供給する潤滑制
    御手段と; を備えることを特徴とするロール間潤滑油供給システ
    ム。
JP32734194A 1994-12-28 1994-12-28 作業ロールクロス圧延機のロール間潤滑油供給システム Expired - Fee Related JP3615813B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP32734194A JP3615813B2 (ja) 1994-12-28 1994-12-28 作業ロールクロス圧延機のロール間潤滑油供給システム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP32734194A JP3615813B2 (ja) 1994-12-28 1994-12-28 作業ロールクロス圧延機のロール間潤滑油供給システム

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH08174035A true JPH08174035A (ja) 1996-07-09
JP3615813B2 JP3615813B2 (ja) 2005-02-02

Family

ID=18198060

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP32734194A Expired - Fee Related JP3615813B2 (ja) 1994-12-28 1994-12-28 作業ロールクロス圧延機のロール間潤滑油供給システム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3615813B2 (ja)

Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2000015363A1 (en) * 1998-09-14 2000-03-23 Danieli & C. Officine Meccaniche Spa Method to reduce and eliminate vibrations in a rolling stand and relative device
KR100742898B1 (ko) * 2001-10-11 2007-07-25 주식회사 포스코 압연 작업롤 정밀제어장치
JP2013052396A (ja) * 2011-09-01 2013-03-21 Jfe Steel Corp 熱間圧延方法
JP2015502254A (ja) * 2011-09-22 2015-01-22 コンスタンティア・タイヒ・ゲーエムベーハーConstantia Teich GmbH 統合されたセキュリティ機能を有するアルミフォイルを製造するための方法
KR101490354B1 (ko) * 2007-10-08 2015-02-05 센트레 데 르체르체스 메탈루르지퀘스, 에이에스비엘-센트륨 부어 리서치 인 데 메탈루르지 브이제트더블유 압연 실린더용 스프레이 윤활 유닛과 방법
JP2015095008A (ja) * 2013-11-11 2015-05-18 住友重機械工業株式会社 解析装置および解析方法
CN107116471A (zh) * 2017-07-01 2017-09-01 贵州大学 一种高速轧辊磨头的润滑供油电液控制方法及系统
CN108160713A (zh) * 2018-01-18 2018-06-15 上海利正卫星应用技术有限公司 镁合金轧制时轧辊脂润滑系统及方法
JP2019514693A (ja) * 2016-04-29 2019-06-06 プライメタルズ・テクノロジーズ・オーストリア・ゲーエムベーハー 圧延すべき製品を圧延するための方法
CN110883097A (zh) * 2019-12-11 2020-03-17 广东冠邦科技有限公司 工艺润滑装置及行星轧机

Cited By (14)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2000015363A1 (en) * 1998-09-14 2000-03-23 Danieli & C. Officine Meccaniche Spa Method to reduce and eliminate vibrations in a rolling stand and relative device
EP1005925A1 (en) * 1998-09-14 2000-06-07 Danieli & C. Officine Meccaniche SpA Method to reduce and eliminate vibrations in a rolling stand and relative device
US6276183B1 (en) 1998-09-14 2001-08-21 Danieli & C. Officine Meccaniche Spa Method to reduce and eliminate vibrations in a rolling stand and relative device
KR100742898B1 (ko) * 2001-10-11 2007-07-25 주식회사 포스코 압연 작업롤 정밀제어장치
KR101490354B1 (ko) * 2007-10-08 2015-02-05 센트레 데 르체르체스 메탈루르지퀘스, 에이에스비엘-센트륨 부어 리서치 인 데 메탈루르지 브이제트더블유 압연 실린더용 스프레이 윤활 유닛과 방법
JP2013052396A (ja) * 2011-09-01 2013-03-21 Jfe Steel Corp 熱間圧延方法
JP2015502254A (ja) * 2011-09-22 2015-01-22 コンスタンティア・タイヒ・ゲーエムベーハーConstantia Teich GmbH 統合されたセキュリティ機能を有するアルミフォイルを製造するための方法
JP2015095008A (ja) * 2013-11-11 2015-05-18 住友重機械工業株式会社 解析装置および解析方法
JP2019514693A (ja) * 2016-04-29 2019-06-06 プライメタルズ・テクノロジーズ・オーストリア・ゲーエムベーハー 圧延すべき製品を圧延するための方法
US11161161B2 (en) 2016-04-29 2021-11-02 Primetals Technologies Austria GmbH Method for rolling a product to be rolled
CN107116471A (zh) * 2017-07-01 2017-09-01 贵州大学 一种高速轧辊磨头的润滑供油电液控制方法及系统
CN107116471B (zh) * 2017-07-01 2023-08-08 贵州大学 一种高速轧辊磨头的润滑供油电液控制方法及系统
CN108160713A (zh) * 2018-01-18 2018-06-15 上海利正卫星应用技术有限公司 镁合金轧制时轧辊脂润滑系统及方法
CN110883097A (zh) * 2019-12-11 2020-03-17 广东冠邦科技有限公司 工艺润滑装置及行星轧机

Also Published As

Publication number Publication date
JP3615813B2 (ja) 2005-02-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP1829623B1 (en) Method for supplying lubricant in cold rolling
EP1193004B1 (en) Rolling oil supplying method for cold rolling
EP1829625B2 (en) Method for supplying lubricating oil in cold rolling
JPH08174035A (ja) 作業ロールクロス圧延機のロール間潤滑油供給システム
US6076388A (en) Rolling mill, hot rolling system, rolling method and rolling mill revamping method
JPH0550110A (ja) 圧延機及び熱間圧延設備及び圧延方法及び圧延機の改造方法
EP0590682B1 (en) Work rolls crossing type mill and rolling system
JP3402217B2 (ja) 冷間圧延方法
JPS63264212A (ja) 冷間圧延機の圧延潤滑液循環装置
JP2001321809A (ja) 鋼帯の冷間圧延方法
JP3315906B2 (ja) 熱間圧延設備及び熱間圧延機の潤滑方法
JP3249313B2 (ja) 圧延機及び圧延機の圧延方法並びに圧延機の使用方法
JPH06190409A (ja) 作業ロールクロス式圧延機及び圧延設備並びに圧延方法
JP3097685B2 (ja) 圧延機及び熱間圧延設備及び圧延方法及び圧延機の改造方法
KR19980064692A (ko) 압연기 및 압연 방법
CN116528994A (zh) 冷轧设备、冷轧方法及金属板的制造方法
CN117642236A (zh) 用于轧制钢带的设备及方法
JPS58192605A (ja) 異径ロ−ル圧延における先端反り防止方法
JP2000218305A (ja) 冷間タンデム圧延方法
JP3157276B2 (ja) 熱間圧延方法及び設備
JPS58192609A (ja) 異径ロ−ル圧延機
JP2871392B2 (ja) 鋼帯冷間圧延機のクーラント供給装置および供給方法
JPH0615314A (ja) 圧延機及び熱間圧延設備並びに潤滑剤供給装置
JP2009208087A (ja) 鋼の熱間圧延方法
JPH105806A (ja) 圧延中にワークロールシフトを行う板材の冷間圧延方法

Legal Events

Date Code Title Description
TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20041026

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20041102

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20071112

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081112

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081112

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091112

Year of fee payment: 5

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees