JP2992783B2 - 高強度ワイヤロープ - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はクレーンなどの荷役機械
用ロープとして好適な高強度ワイヤロープに関する。
用ロープとして好適な高強度ワイヤロープに関する。
【0002】
【従来の技術及びその技術的課題】クレーンで代表され
る荷役機械においては、荷物の吊り上げ吊り下し要素と
してワイヤロープが重要な地位を占め、かつ、そのワイ
ヤロープには高い強度(引張り強さ)が要求される。かか
る用途のワイヤロープとしては、旧来の6×37ロープ
や6×19に代わり、6×Fi(25)や図3に示すよう
なIWRC6×Fi(29)の構造が多く使用されている。
る荷役機械においては、荷物の吊り上げ吊り下し要素と
してワイヤロープが重要な地位を占め、かつ、そのワイ
ヤロープには高い強度(引張り強さ)が要求される。かか
る用途のワイヤロープとしては、旧来の6×37ロープ
や6×19に代わり、6×Fi(25)や図3に示すよう
なIWRC6×Fi(29)の構造が多く使用されている。
【0003】一般にワイヤロープの強度Tは、素線の引
張り強さσwと、ロープの断面積Sおよびより減り率ρ
によって次式のように表される。 T=ρ×σw×S 従来、ワイヤロープの強度Tを大きくする方法として、
素線の引張り強さσwを大きくする方法が採用されてお
り、その素線の引張り強さσwを大きくする方法とし
て、高強度の原料線材を使用し、伸線工程での加工度を
大きくする手法が採られている。しかし、このように伸
線加工度を大きくした場合、素線の靭性が低下しやす
く、また、ワイヤロープに撚りあわせた場合に、より減
り率が通常の素線の場合よりも大きくなる。このような
ことから、素線の引張り強さを高くしても、期待したほ
どのワイヤロープ強度が得られないことが多かった。こ
のため、クレーンなどにおいて小型・軽量化を図るべく
ワイヤロープとして径が細くそれでいて強度の高い特性
が要望されているが、従来ではこのような性能のワイヤ
ロープを提供できなかった。
張り強さσwと、ロープの断面積Sおよびより減り率ρ
によって次式のように表される。 T=ρ×σw×S 従来、ワイヤロープの強度Tを大きくする方法として、
素線の引張り強さσwを大きくする方法が採用されてお
り、その素線の引張り強さσwを大きくする方法とし
て、高強度の原料線材を使用し、伸線工程での加工度を
大きくする手法が採られている。しかし、このように伸
線加工度を大きくした場合、素線の靭性が低下しやす
く、また、ワイヤロープに撚りあわせた場合に、より減
り率が通常の素線の場合よりも大きくなる。このような
ことから、素線の引張り強さを高くしても、期待したほ
どのワイヤロープ強度が得られないことが多かった。こ
のため、クレーンなどにおいて小型・軽量化を図るべく
ワイヤロープとして径が細くそれでいて強度の高い特性
が要望されているが、従来ではこのような性能のワイヤ
ロープを提供できなかった。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は前記のような問
題点を解消するために創案されたもので、その目的とす
るところは、強度が高くしかも径が細く軽量な性能を持
ちクレーン用などとして好適なこの種のワイヤロープを
提供することにある。上記目的を達成するため本発明
は、ロープ心入りのフィラー型で代表されるワイヤロー
プにおいて、ロープ心と複数本の側ストランドの素線と
してC:0.85〜1.00wt%の過共析鋼にCrを0.
1〜0.5wt%添加した成分の線材から製造された引張
り強度が200Kgf/mm2以上のものを使用し、ロープ心
内部およびロープ心と側ストランドの間に、エラストマ
ーを、ロープ断面積比で8〜10%充填した構成とした
ものである。
題点を解消するために創案されたもので、その目的とす
るところは、強度が高くしかも径が細く軽量な性能を持
ちクレーン用などとして好適なこの種のワイヤロープを
提供することにある。上記目的を達成するため本発明
は、ロープ心入りのフィラー型で代表されるワイヤロー
プにおいて、ロープ心と複数本の側ストランドの素線と
してC:0.85〜1.00wt%の過共析鋼にCrを0.
1〜0.5wt%添加した成分の線材から製造された引張
り強度が200Kgf/mm2以上のものを使用し、ロープ心
内部およびロープ心と側ストランドの間に、エラストマ
ーを、ロープ断面積比で8〜10%充填した構成とした
ものである。
【0005】
【作用】本発明は、ロープ心と側ストランドを構成する
各素線に、C:0.85〜1.00wt%の過共析鋼にCr
を0.1〜0.5wt%添加した成分の線材から製造された
引張り強さを200Kgf/mm2以上のものを使用するた
め、高強度でしかも靭性の良好なロープとすることがで
きる。しかし、各素線の引張り強さを200Kgf/mm2以
上の高強度にしてワイヤロープに撚りあわせただけで
は、ストランド間に噛み合い作用による圧痕が発生し、
素線本数が多いこととあいまってより減り率が大きくな
るが、本発明は、ロープ心の外周をエラストマーで被覆
し、ロープ心と側ストランド間にエラストマーをロープ
断面積比で8〜10%と特定範囲で充填させているた
め、エラストマー層の一部がロープ心内部にまで浸透さ
せられかつ仕上がりロープ径が太くなりすぎたりエラス
トマーがストランドの間からはみ出すことなくる。この
ため、エラストマーの弾性による緩衝作用が効果的に働
き、ロープ心と側ストランドが直接接触せず、撚りあわ
せ時の噛み合いが防止され、また、ロープ心内部に浸透
したエラストマーによってロープ心を構成するストラン
ド同士の噛み合いも低減される。このため、より減り率
を軽減することができる。
各素線に、C:0.85〜1.00wt%の過共析鋼にCr
を0.1〜0.5wt%添加した成分の線材から製造された
引張り強さを200Kgf/mm2以上のものを使用するた
め、高強度でしかも靭性の良好なロープとすることがで
きる。しかし、各素線の引張り強さを200Kgf/mm2以
上の高強度にしてワイヤロープに撚りあわせただけで
は、ストランド間に噛み合い作用による圧痕が発生し、
素線本数が多いこととあいまってより減り率が大きくな
るが、本発明は、ロープ心の外周をエラストマーで被覆
し、ロープ心と側ストランド間にエラストマーをロープ
断面積比で8〜10%と特定範囲で充填させているた
め、エラストマー層の一部がロープ心内部にまで浸透さ
せられかつ仕上がりロープ径が太くなりすぎたりエラス
トマーがストランドの間からはみ出すことなくる。この
ため、エラストマーの弾性による緩衝作用が効果的に働
き、ロープ心と側ストランドが直接接触せず、撚りあわ
せ時の噛み合いが防止され、また、ロープ心内部に浸透
したエラストマーによってロープ心を構成するストラン
ド同士の噛み合いも低減される。このため、より減り率
を軽減することができる。
【0006】以下本発明を添付図面に基いて詳細に説明
する。図1は本発明による高強度ワイヤロープをIWR
C6×Fi(29)構造に適用した例を示している。もと
より本発明はこの構造に限定されるものではない。1は
ワイヤロープからなるロープ心であり、7本の素線10
0からなるストランド10を7本撚りあわせ、7×7構
造としたものである。2はフィラー型の6本の側ストラ
ンドであり、各側ストランド2は、径の太い心素線20
と、これを囲む7本の素線21と、それら素線間の谷間
に配された7本の細い素線22と、最外層の14本の素
線23からなっている。
する。図1は本発明による高強度ワイヤロープをIWR
C6×Fi(29)構造に適用した例を示している。もと
より本発明はこの構造に限定されるものではない。1は
ワイヤロープからなるロープ心であり、7本の素線10
0からなるストランド10を7本撚りあわせ、7×7構
造としたものである。2はフィラー型の6本の側ストラ
ンドであり、各側ストランド2は、径の太い心素線20
と、これを囲む7本の素線21と、それら素線間の谷間
に配された7本の細い素線22と、最外層の14本の素
線23からなっている。
【0007】3は前記ロープ心1と側ストランド2の間
に充填されたエラストマー層であり、該エラストマー層
3はロープ心1の全周を被覆するとともに、一部30が
ストランド10間の隙間からロープ心1の内部に浸透し
ている。エラストマー層3は、合成プラスチックでもよ
いが、一般的には、ゴムが用いられる。上記のような一
部がロープ心に浸透した構造を得るには、たとえば、ロ
ープ心1に生ゴムを覆い、加熱、加硫すればよい。使用
するゴムとしては、イソプレンゴム,スチレンブタジエ
ンゴム等をコンパウンドしたものなどが挙げられる。し
かし、それらゴムでさらに加硫後のロックウエル硬さが
HRM60〜80の特性のものが好ましい。その理由
は、軟らか過ぎると変形が大きいため緩衝効果が乏し
く、硬過ぎると変形せずに割れ等が発生するためであ
る。また、ゴムの充填量は、ロープ全体の断面積比で8
〜10%程度とすることが好ましい。これは、8%未満
ではゴム層が薄すぎるため、側ストランド2とロープ心
1間およびロープ心内部の緩衝材としての機能を十分に
発揮できず、より減り率を低減する効果が乏しくなるか
らである。一方、充填量が10%を超えると緩衝材の効
果は十分であるが、仕上りロープ径が太くなり過ぎ余っ
たゴムがストランドの間から出る状態となるため、上限
を規定したものである。
に充填されたエラストマー層であり、該エラストマー層
3はロープ心1の全周を被覆するとともに、一部30が
ストランド10間の隙間からロープ心1の内部に浸透し
ている。エラストマー層3は、合成プラスチックでもよ
いが、一般的には、ゴムが用いられる。上記のような一
部がロープ心に浸透した構造を得るには、たとえば、ロ
ープ心1に生ゴムを覆い、加熱、加硫すればよい。使用
するゴムとしては、イソプレンゴム,スチレンブタジエ
ンゴム等をコンパウンドしたものなどが挙げられる。し
かし、それらゴムでさらに加硫後のロックウエル硬さが
HRM60〜80の特性のものが好ましい。その理由
は、軟らか過ぎると変形が大きいため緩衝効果が乏し
く、硬過ぎると変形せずに割れ等が発生するためであ
る。また、ゴムの充填量は、ロープ全体の断面積比で8
〜10%程度とすることが好ましい。これは、8%未満
ではゴム層が薄すぎるため、側ストランド2とロープ心
1間およびロープ心内部の緩衝材としての機能を十分に
発揮できず、より減り率を低減する効果が乏しくなるか
らである。一方、充填量が10%を超えると緩衝材の効
果は十分であるが、仕上りロープ径が太くなり過ぎ余っ
たゴムがストランドの間から出る状態となるため、上限
を規定したものである。
【0008】前記ロープ心1と側ストランド7を構成す
る各素線の引張り強度の下限は、素線の強度が小さくな
りすぎると所定のロープ強度が得られないため、約20
0Kgf/mm2以上、好ましくは220Kgf/mm2以上である。
上限は、300Kgf/mm2以下で、かつ靭性低下の少ない
特性のものとすることが適当である。この理由を述べる
と、原料線材は炭素含有量を多くし、Crなどの強化元
素を添加することによって強度を高くすることができ
る。しかし、中心偏析、変態時間の遅延などの不具合が
発生するため、実際上の原料線材の強度は150Kgf/mm
2以下程度とする必要がある。このような原料線材を使
用して伸線加工する場合、減面率で約94%を超えると
素線の靭性劣化が非常に大きくなる。したがって、素線
の強度は300Kgf/mm2以下とする必要があるのであ
る。
る各素線の引張り強度の下限は、素線の強度が小さくな
りすぎると所定のロープ強度が得られないため、約20
0Kgf/mm2以上、好ましくは220Kgf/mm2以上である。
上限は、300Kgf/mm2以下で、かつ靭性低下の少ない
特性のものとすることが適当である。この理由を述べる
と、原料線材は炭素含有量を多くし、Crなどの強化元
素を添加することによって強度を高くすることができ
る。しかし、中心偏析、変態時間の遅延などの不具合が
発生するため、実際上の原料線材の強度は150Kgf/mm
2以下程度とする必要がある。このような原料線材を使
用して伸線加工する場合、減面率で約94%を超えると
素線の靭性劣化が非常に大きくなる。したがって、素線
の強度は300Kgf/mm2以下とする必要があるのであ
る。
【0009】このような高強度でかつ靭性低下の少ない
素線を得るには、炭素含有量の多い原料線材を使用す
る。すなわち、具体的には、成分組成として、C:0.
85〜1.00wt%の過共析鋼に、強化元素としてCr
を0.1〜0.5wt%添加したものを使用する。前記組成
にさらに、Siを0.1〜0.3wt%、Mnを0.25〜
0.35wt%添加してもよい。そして、この原料線材を
熱処理後、冷間で引き抜き加工を施して素線を得る。こ
の伸線加工において、好ましくは、ダイスとしてアプロ
ーチ角(2α)を通常の10〜12°よりも小さくしたも
のすなわち8°以下にしたものを用い、直接冷却伸線を
行う。直接冷却伸線とは、ダイスの下流側に水を循環さ
せた冷却ボックスを設け、ダイスを通過した伸線直後の
素線を水の中に通して冷却する方式である。このダイス
条件と伸線条件を採用すれば、伸線加工時の発熱が少な
くなるため、所期の高強度かつ靭性低下の少ない素線を
得ることができる。なお、ロープ心1と側ストランド2
のより長さは、ロープ心径の6.5倍程度、側ストラン
ド径の8倍程度とすることが望ましく、より角は65〜
70゜とすることが好ましい。
素線を得るには、炭素含有量の多い原料線材を使用す
る。すなわち、具体的には、成分組成として、C:0.
85〜1.00wt%の過共析鋼に、強化元素としてCr
を0.1〜0.5wt%添加したものを使用する。前記組成
にさらに、Siを0.1〜0.3wt%、Mnを0.25〜
0.35wt%添加してもよい。そして、この原料線材を
熱処理後、冷間で引き抜き加工を施して素線を得る。こ
の伸線加工において、好ましくは、ダイスとしてアプロ
ーチ角(2α)を通常の10〜12°よりも小さくしたも
のすなわち8°以下にしたものを用い、直接冷却伸線を
行う。直接冷却伸線とは、ダイスの下流側に水を循環さ
せた冷却ボックスを設け、ダイスを通過した伸線直後の
素線を水の中に通して冷却する方式である。このダイス
条件と伸線条件を採用すれば、伸線加工時の発熱が少な
くなるため、所期の高強度かつ靭性低下の少ない素線を
得ることができる。なお、ロープ心1と側ストランド2
のより長さは、ロープ心径の6.5倍程度、側ストラン
ド径の8倍程度とすることが望ましく、より角は65〜
70゜とすることが好ましい。
【0010】
ロープ心入りフィラー型ワイヤロープIWRC6×Fi
(29)に本発明を適用した。各素線は、化学成分組成が
C:0.92%、Cr:0.20%、Si:0.12
%,Mn:0.30%、強度が143Kgf/mm2の原料線
材を使用し、伸線加工でアプローチ角8°のダイスを使
用し、直接冷却伸線を行うことで、引張り強さ270Kg
f/mm2としたものを使用した。素線径は以下のとおりで
ある。 δ3:0.92mm、δ2:0.42mm、δ1:1.08mm、δ0:1.50mm、 δ11:0.62mm、δ10:0.67mm、δ01:0.67mm、δ00:0.76mm
(29)に本発明を適用した。各素線は、化学成分組成が
C:0.92%、Cr:0.20%、Si:0.12
%,Mn:0.30%、強度が143Kgf/mm2の原料線
材を使用し、伸線加工でアプローチ角8°のダイスを使
用し、直接冷却伸線を行うことで、引張り強さ270Kg
f/mm2としたものを使用した。素線径は以下のとおりで
ある。 δ3:0.92mm、δ2:0.42mm、δ1:1.08mm、δ0:1.50mm、 δ11:0.62mm、δ10:0.67mm、δ01:0.67mm、δ00:0.76mm
【0011】ゴムは加硫後の特性が硬さHRM70のゴ
ムコンパウンドを使用し、これをロープ心を囲むように
被せ、150℃×30分の条件で加熱、加硫し、心ロー
プを被覆すると同時にロープ心の内部に浸透させた。ゴ
ム充填量は断面積比で9.3%とした。ついで、ゴム被
覆の周りにフィラー型29本の側ストランドを配して撚
りあわせた。ロープ心のよりピッチは39mmであり、側
ストランドのよりピッチは42mm、より方向はZよりと
した。この結果、より減り率17.8%、直径16mm、
破断荷重が27.8tfの特性のワイヤロープが得られ
た。
ムコンパウンドを使用し、これをロープ心を囲むように
被せ、150℃×30分の条件で加熱、加硫し、心ロー
プを被覆すると同時にロープ心の内部に浸透させた。ゴ
ム充填量は断面積比で9.3%とした。ついで、ゴム被
覆の周りにフィラー型29本の側ストランドを配して撚
りあわせた。ロープ心のよりピッチは39mmであり、側
ストランドのよりピッチは42mm、より方向はZよりと
した。この結果、より減り率17.8%、直径16mm、
破断荷重が27.8tfの特性のワイヤロープが得られ
た。
【0012】比較のため、ゴムの充填量を7.8%、1
0.2%とするほか他の条件を同じにしてワイヤロープ
を得た。その結果、前者の場合、より減り率16.7
%、直径16mm、破断荷重が28.0tfであり、後者
の場合、より減り率17.2%、直径16mm、破断荷重
が28.1tfのワイヤロープ特性であった。さらに、
比較のため、従来のワイヤロープIWRC6×Fi(2
9)を示す。各素線は引張り強さ180Kgf/mm2のものを
使用し、素線径を以下のものとした。 δ3:1.14mm、δ2:0.53mm、δ1:1.33mm、δ0:1.86mm、 δ11:0.86mm、δ10:0.93mm、δ01:0.93mm、δ00:1.06mm この結果、より減り率22.6%、直径20mm、破断荷
重が27.9tfの特性のワイヤロープが得られた。
0.2%とするほか他の条件を同じにしてワイヤロープ
を得た。その結果、前者の場合、より減り率16.7
%、直径16mm、破断荷重が28.0tfであり、後者
の場合、より減り率17.2%、直径16mm、破断荷重
が28.1tfのワイヤロープ特性であった。さらに、
比較のため、従来のワイヤロープIWRC6×Fi(2
9)を示す。各素線は引張り強さ180Kgf/mm2のものを
使用し、素線径を以下のものとした。 δ3:1.14mm、δ2:0.53mm、δ1:1.33mm、δ0:1.86mm、 δ11:0.86mm、δ10:0.93mm、δ01:0.93mm、δ00:1.06mm この結果、より減り率22.6%、直径20mm、破断荷
重が27.9tfの特性のワイヤロープが得られた。
【0013】図2は素線の引張り強さを150〜285
Kgf/mm2の間で種々に取った場合のより減り率の実測値
を、本発明(ゴム充填量9.1%)と従来とで比較したもの
で、本発明は適正範囲のゴム充填による緩衝作用によっ
て素線の引張り強さが高くても減り率が大きく軽減され
ることがわかる。このため、従来のワイヤロープと本発
明のワイヤロープは、破断荷重においてともに直径20
mm、B種の規格値27.6tfをクリヤーしているもの
の、従来のワイヤロープはより減り率が高いため、直径
が太く、重い。これに対し、本発明は、強度は従来のも
のと同等でありながら、ロープ径を標準数列(JIS規格Z8
601)のR−20で2サイズダウンさせることができ、し
たがって、ロープ重量を従来の64%の軽量化を実現で
きるものである。
Kgf/mm2の間で種々に取った場合のより減り率の実測値
を、本発明(ゴム充填量9.1%)と従来とで比較したもの
で、本発明は適正範囲のゴム充填による緩衝作用によっ
て素線の引張り強さが高くても減り率が大きく軽減され
ることがわかる。このため、従来のワイヤロープと本発
明のワイヤロープは、破断荷重においてともに直径20
mm、B種の規格値27.6tfをクリヤーしているもの
の、従来のワイヤロープはより減り率が高いため、直径
が太く、重い。これに対し、本発明は、強度は従来のも
のと同等でありながら、ロープ径を標準数列(JIS規格Z8
601)のR−20で2サイズダウンさせることができ、し
たがって、ロープ重量を従来の64%の軽量化を実現で
きるものである。
【0014】
【発明の効果】以上説明した本発明によるときには、ロ
ープ心入りのフィラー型ワイヤロープにおいて、ロープ
心と複数本の側ストランドの素線として、C:0.85
〜1.00wt%の過共析鋼にCrを0.1〜0.5wt%添
加した成分の線材から製造された引張り強度が200Kg
f/mm2以上のものを使用したので、高強度で靭性のすぐ
れたロープとすることができ、しかも、そのようなロー
プ心内部およびロープ心と側ストランドの間に、エラス
トマーをロープ断面積比で8〜10%充填したので、ス
トランド間のかみ合いとそれによる撚り減りの低下が防
止され、したがって、クレーンなどの荷役機械用のワイ
ヤロープに適した超高強度でかつ細く軽量なワイヤロー
プを提供できるというすぐれた効果が得られる。請求項
2によれば、エラストマーとして加硫後の硬さがHRM
60〜80のゴムエラストマーを使用するため割れが入
らず良好な緩衝作用を得ることができるというすぐれた
効果が得られる。
ープ心入りのフィラー型ワイヤロープにおいて、ロープ
心と複数本の側ストランドの素線として、C:0.85
〜1.00wt%の過共析鋼にCrを0.1〜0.5wt%添
加した成分の線材から製造された引張り強度が200Kg
f/mm2以上のものを使用したので、高強度で靭性のすぐ
れたロープとすることができ、しかも、そのようなロー
プ心内部およびロープ心と側ストランドの間に、エラス
トマーをロープ断面積比で8〜10%充填したので、ス
トランド間のかみ合いとそれによる撚り減りの低下が防
止され、したがって、クレーンなどの荷役機械用のワイ
ヤロープに適した超高強度でかつ細く軽量なワイヤロー
プを提供できるというすぐれた効果が得られる。請求項
2によれば、エラストマーとして加硫後の硬さがHRM
60〜80のゴムエラストマーを使用するため割れが入
らず良好な緩衝作用を得ることができるというすぐれた
効果が得られる。
【図1】本発明による高強度ワイヤロープの一例を示す
断面図である。
断面図である。
【図2】本発明と従来のIWRC6×Fi(29)の素線引
張り強さとより減り率の関係を示すグラフである。
張り強さとより減り率の関係を示すグラフである。
【図3】従来のワイヤロープを示す断面図である。
1 ロープ心 2 側ストランド 3 エラストマー層
Claims (2)
- 【請求項1】複数本の多層撚りストランドを撚りあわせ
て構成した心入りのワイヤロープにおいて、ロープ心と
複数本の側ストランドの素線として、C:0.85〜1.
00wt%の過共析鋼にCrを0.1〜0.5wt%添加した
成分の線材から製造された引張り強度が200Kgf/mm2
以上のものを使用し、ロープ心内部およびロープ心と側
ストランドの間に、エラストマーをロープ断面積比で8
〜10%充填したことを特徴とする高強度ワイヤロー
プ。 - 【請求項2】エラストマーが加硫後の硬さがHRM60
〜80のゴムエラストマーである請求項1に記載の高強
度ワイヤロープ。
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