JPH05171580A - 高強度ワイヤロープ - Google Patents

高強度ワイヤロープ

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JPH05171580A JP35393391A JP35393391A JPH05171580A JP H05171580 A JPH05171580 A JP H05171580A JP 35393391 A JP35393391 A JP 35393391A JP 35393391 A JP35393391 A JP 35393391A JP H05171580 A JPH05171580 A JP H05171580A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】強度が高くしかも径が細く軽量な性能を持ちク
レーン用などとして好適なこの種のワイヤロープを提供
することにある。 【構成】複数本の多層よりストランドを撚りあわせて構
成した心入りのワイヤロープにおいて、ロープ心と複数
本の側ストランドの素線として引張り強度が200Kgf/
mm2以上のものを使用し、ロープ心内部およびロープ心
と側ストランドの間に、エラストマーをロープ断面積比
で8〜10%充填した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はクレーンなどの荷役機械
用ロープとして好適な高強度ワイヤロープに関する。
【0002】
【従来の技術及びその技術的課題】クレーンで代表され
る荷役機械においては、荷物の吊り上げ吊り下し要素と
してワイヤロープが重要な地位を占め、かつ、そのワイ
ヤロープには高い強度(引張り強さ)が要求される。かか
る用途のワイヤロープとしては、旧来の6×37ロープ
や6×19に代わり、6×Fi(25)や図3に示すよう
なIWRC6×Fi(29)の構造が多く使用されている。
【0003】一般にワイヤロープの強度Tは、素線の引
張り強さσwと、ロープの断面積Sおよびより減り率ρ
によって次式のように表される。 T=ρ×σw×S 従来、ワイヤロープの強度Tを大きくする方法として、
素線の引張り強さσwを大きくする方法が採用されてお
り、その素線の引張り強さσwを大きくする方法とし
て、高強度の原料線材を使用し、伸線工程での加工度を
大きくする手法が採られている。しかし、このように伸
線加工度を大きくした場合、素線の靭性が低下しやす
く、また、ワイヤロープに撚りあわせた場合に、より減
り率が通常の素線の場合よりも大きくなる。このような
ことから、素線の引張り強さを高くしても、期待したほ
どのワイヤロープ強度が得られないことが多かった。こ
のため、クレーンなどにおいて小型・軽量化を図るべく
ワイヤロープとして径が細くそれでいて強度の高い特性
が要望されているが、従来ではこのような性能のワイヤ
ロープを提供できなかった。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は前記のような問
題点を解消するために創案されたもので、その目的とす
るところは、強度が高くしかも径が細く軽量な性能を持
ちクレーン用などとして好適なこの種のワイヤロープを
提供することにある。上記目的を達成するため本発明
は、ロープ心入りのフィラー型で代表されるワイヤロー
プにおいて、ロープ心と複数本の側ストランドの素線と
して引張り強度が200Kgf/mm2以上のものを使用し、
ロープ心内部およびロープ心と側ストランドの間に、エ
ラストマーを、ロープ断面積比で8〜10%充填した構
成としたものである。
【0005】以下本発明を添付図面に基いて詳細に説明
する。図1は本発明による高強度ワイヤロープをIWR
C6×Fi(29)構造に適用した例を示している。もと
より本発明はこの構造に限定されるものではない。1は
ワイヤロープからなるロープ心であり、7本の素線10
0からなるストランド10を7本撚りあわせ、7×7構
造としたものである。2はフィラー型の6本の側ストラ
ンドであり、各側ストランド2は、径の太い心素線20
と、これを囲む7本の素線21と、それら素線間の谷間
に配された7本の細い素線22と、最外層の14本の素
線23からなっている。
【0006】3は前記ロープ心1と側ストランド2の間
に充填されたエラストマー層であり、該エラストマー層
3はロープ心1の全周を被覆するとともに、一部30が
ストランド10間の隙間からロープ心1の内部に浸透し
ている。エラストマー層3は、合成プラスチックでもよ
いが、一般的には、ゴムが用いられる。上記のような一
部がロープ心に浸透した構造を得るには、たとえば、ロ
ープ心1に生ゴムを覆い、加熱、加硫すればよい。使用
するゴムとしては、イソプレンゴム,スチレンブタジエ
ンゴム等をコンパウンドしたものなどが挙げられる。し
かし、それらゴムでさらに加硫後の硬さが60〜80の
特性のものが好ましい。その理由は、軟らか過ぎると変
形が大きいため緩衝効果が乏しく、硬過ぎると変形せず
に割れ等が発生するためである。また、ゴムの充填量
は、ロープ全体の断面積比で8〜10%程度とすること
が好ましい。これは、8%未満ではゴム層が薄すぎるた
め、側ストランド2とロープ心1間およびロープ心内部
の緩衝材としての機能を十分に発揮できず、より減り率
を低減する効果が乏しくなるからである。一方、充填量
が10%を超えると緩衝材の効果は十分であるが、仕上
りロープ径が太くなり過ぎ余ったゴムがストランドの間
から出る状態となるため、上限を規定したものである。
【0007】なお、前記ロープ心1と側ストランド7を
構成する各素線の引張り強度の下限は、素線の強度が小
さくなりすぎると所定のロープ強度が得られないため、
約200Kgf/mm2以上、好ましくは220Kgf/mm2以上で
ある。上限は、300Kgf/mm2以下で、かつ靭性低下の
少ない特性のものとすることが適当である。この理由を
述べると、原料線材は炭素含有量を多くし、Crなどの
強化元素を添加することによって強度を高くすることが
できる。しかし、中心偏析、変態時間の遅延などの不具
合が発生するため、実際上の原料線材の強度は150Kg
f/mm2以下程度とする必要がある。このような原料線材
を使用して伸線加工する場合、減面率で約94%を超え
ると素線の靭性劣化が非常に大きくなる。したがって、
素線の強度は300Kgf/mm2以下とする必要があるので
ある。
【0008】このような高強度でかつ靭性低下の少ない
素線を得るには、炭素含有量の多い原料線材を使用す
る。すなわち、具体的には、成分組成として、C:0.
85〜1.00wt%の過共析鋼に、強化元素としてCr
を0.1〜0.5wt%添加したものが好適である。前記組
成にさらに、Siを0.1〜0.3wt%、Mnを0.25
〜0.35wt%添加してもよい。そして、この原料線材
を熱処理後、冷間で引き抜き加工を施して素線を得る。
この伸線加工において、好ましくは、ダイスとしてアプ
ローチ角(2α)を通常の10〜12°よりも小さくした
ものすなわち8°以下にしたものを用い、直接冷却伸線
を行う。直接冷却伸線とは、ダイスの下流側に水を循環
させた冷却ボックスを設け、ダイスを通過した伸線直後
の素線を水の中に通して冷却する方式である。このダイ
ス条件と伸線条件を採用すれば、伸線加工時の発熱が少
なくなるため、所期の高強度かつ靭性低下の少ない素線
を得ることができる。なお、ロープ心1と側ストランド
2のより長さは、ロープ心径の6.5倍程度、側ストラ
ンド径の8倍程度とすることが望ましく、より角は65
〜70゜とすることが好ましい。
【0009】本発明は、ロープ心1と側ストランド2を
構成する各素線の引張り強さを300Kgf/mm2以下の高
強度に統一するため、強度を高くすることができる。し
かし、各素線の引張り強さを300Kgf/mm2以下の高強
度にしてワイヤロープに撚りあわせただけでは、ストラ
ンド間に噛み合い作用による圧痕が発生し、素線本数が
多いこととあいまってより減り率が大きくなる。しか
し、本発明は、ロープ心1の外周をゴムで代表されるエ
ラストマーで被覆し、側ストランド2間にエラストマー
層3を介在させ、そのエラストマー層の一部をロープ心
1にまで浸透させている。このため、エラストマーの弾
性による緩衝作用によりロープ心1と側ストランド2が
直接接触せず、撚りあわせ時の噛み合いが防止される。
また、ロープ心1内部に浸透したエラストマーによって
ロープ心1を構成するストランド同士の噛み合いも低減
される。このため、より減り率を軽減することができ
る。
【0010】
【実施例】次に本発明の実施例を示す。 〔実施例1〕ロープ心入りフィラー型ワイヤロープIW
RC6×Fi(29)に本発明を適用した。各素線は、化
学成分組成がC:0.92%、Cr:0.20%、S
i:0.12%,Mn:0.30%、強度が143Kgf/
mm2の原料線材を使用し、伸線加工でアプローチ角8°
のダイスを使用し、直接冷却伸線を行うことで、引張り
強さ270Kgf/mm2としたものを使用した。素線径は以
下のとおりである。 δ3:0.92mm、δ2:0.42mm、δ1:1.08mm、δ
0:1.50mm、δ11:0.62mm、δ10:0.67mm、δ
01:0.67mm、δ00:0.76mm ゴムは加硫後の特性が硬さ70のゴムコンパウンドを使
用し、これをロープ心を囲むように被せ、150℃×3
0分の条件で加熱、加硫し、心ロープを被覆すると同時
にロープ心の内部に浸透させた。ゴム充填量は断面積比
で9.3%とした。ついで、ゴム被覆の周りにフィラー
型29本の側ストランドを配して撚りあわせた。ロープ
心のよりピッチは39mmであり、側ストランドのよりピ
ッチは42mm、より方向はZよりとした。この結果、よ
り減り率17.8%、直径16mm、破断荷重が27.8t
fの特性のワイヤロープが得られた。
【0011】比較のため、ゴムの充填量を7.8%、1
0.2%とするほか他の条件を同じにしてワイヤロープ
を得た。その結果、前者の場合、より減り率16.7
%、直径16mm、破断荷重が28.0tfであり、後者
の場合、より減り率17.2%、直径16mm、破断荷重
が28.1tfのワイヤロープ特性であった。さらに、
比較のため、従来のワイヤロープIWRC6×Fi(2
9)を示す。各素線は引張り強さ180Kgf/mm2のものを
使用し、素線径を以下のものとした。 δ3:1.14mm、δ2:0.53mm、δ1:1.33mm、δ
0:1.86mm、δ11:0.86mm、δ10:0.93mm、δ
01:0.93mm、δ00:1.06mm この結果、より減り率22.6%、直径20mm、破断荷
重が27.9tfの特性のワイヤロープが得られた。
【0012】図2は素線の引張り強さを150〜285
Kgf/mm2の間で種々に取った場合のより減り率の実測値
を、本発明(ゴム充填量9.1%)と従来とで比較したもの
で、本発明は適正範囲のゴム充填による緩衝作用によっ
て素線の引張り強さが高くても減り率が大きく軽減され
ることがわかる。このため、従来のワイヤロープと本発
明のワイヤロープは、破断荷重においてともに直径20
mm、B種の規格値27.6tfをクリヤーしているもの
の、従来のワイヤロープはより減り率が高いため、直径
が太く、重い。これに対し、本発明は、強度は従来のも
のと同等でありながら、ロープ径を標準数列(JIS規格Z8
601)のR−20で2サイズダウンさせることができ、し
たがって、ロープ重量を従来の64%の軽量化を実現で
きるものである。
【0013】
【発明の効果】以上説明した本発明によるときには、ロ
ープ心入りのフィラー型ワイヤロープにおいて、ロープ
心と複数本の側ストランドの素線として引張り強度が2
00Kgf/mm2以上のものを使用し、ロープ心内部および
ロープ心と側ストランドの間に、エラストマーをロープ
断面積比で8〜10%充填したので、クレーンなどの荷
役機械用のワイヤロープに適した超高強度でかつ細く軽
量なワイヤロープを提供できるというすぐれた効果が得
られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による高強度ワイヤロープの一例を示す
断面図である。
【図2】本発明と従来のIWRC6×Fi(29)の素線引
張り強さとより減り率の関係を示すグラフである。
【図3】従来のワイヤロープを示す断面図である。
【符号の説明】
1 ロープ心 2 側ストランド 3 エラストマー層

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】複数本の多層撚りストランドを撚りあわせ
    て構成した心入りのワイヤロープにおいて、ロープ心と
    複数本の側ストランドの素線として引張り強度が200
    Kgf/mm2以上のものを使用し、ロープ心内部およびロー
    プ心と側ストランドの間に、エラストマーをロープ断面
    積比で8〜10%充填したことを特徴とする高強度ワイ
    ヤロープ。
  2. 【請求項2】素線として、C:0.85〜1.00wt%の
    過共析鋼にCrを0.1〜0.5wt%添加した線材から製
    造されたものを使用する請求項1に記載の高強度ワイヤ
    ロープ。
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