JP2992131B2 - ポリアニリンの製造方法 - Google Patents

ポリアニリンの製造方法

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  • Polymers With Sulfur, Phosphorus Or Metals In The Main Chain (AREA)
  • Macromolecular Compounds Obtained By Forming Nitrogen-Containing Linkages In General (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、発ガン性物質の発生が
全く無い、新規なポリアニリンの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、アニリンの酸化重合体であるポリ
アニリンは、新しい電子材料、導電材料として、電池の
電極材料、帯電防止材料、電磁波遮蔽材料、光電子変換
素子、光メモリー、各種センサー等の機能素子、表示素
子、各種ハイブリッド材料、透明導電体、各種端末機器
などの広い分野への応用が検討されている。
【0003】ところで、一般にアニリンの酸化重合体で
あるポリアニリンは、π共役系が高度に発達しているた
め、高分子主鎖が剛直で、分子鎖間の相互作用が強く、
また分子鎖間に強固な水素結合が数多く存在するため、
ほとんどの有機溶剤に不溶であり、また加熱によっても
溶融しないので成形性に乏しく、キャスト成形や塗工等
の加工ができないという大きな欠点を有している。その
ために、例えば、高分子材料の繊維、多孔質体などの所
望の形状の基材にアニリンからなるモノマーを含浸さ
せ、該モノマーを適当な重合触媒と接触させることによ
り、或いは、電解酸化により重合させて導電性複合材料
としたり、或いはまた熱可塑性重合体粉末の存在下で、
該モノマーを重合させ同様の複合材料を得ている。
【0004】一方、導電性の基材の表面に限定すれば、
アニリンの酸性溶液から電解重合によってポリアニリン
の薄膜を得ることが可能である。また、重合触媒と反応
温度の工夫によりN−メチル−2−ピロリドンのみに可
溶なポリアニリンが合成されている(M.Abe et al.;J.C
hem.Soc.,Chem.Commun.,1989,1736 )。
【0005】しかしながら、上記の従来技術によるポリ
アニリンの合成方法は、いずれにおいても、ベンジジン
ならびにその誘導体が多量に生じる。ベンジジンの毒性
については、Fourth Annual Report on Cancinogens (N
TP 85-002,1985)p37に詳しいが、発ガン性物質として非
常に危険性が高いといわれている。この様な物質が系中
に共存するため、ポリアニリンの精製は注意深くかつ完
全に行わなければならず、また、それらの排水処理も厳
密な管理のもとに行わなければならないという問題があ
る。そのためにその優れた特性にも関わらず、その使用
の範囲や製造が限られるという問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする問題点】本発明は、従来の技
術における上記のような問題を解決することを目的とす
るものである。即ち、本発明の目的は、発ガン性物質の
発生が全く無いので、製造が容易で、使用範囲の広い新
規なポリアニリンの製造方法を提供することにある。
【0007】
【問題を解決するための手段】本発明者は、上記問題を
解決すべく鋭意検討した結果、モノマーとしてp−アミ
ノフェノールを用い、重合触媒として一般式、MHSO
3 (M=Li、Na、K、Rb、Cs、NH4 )で示さ
れる亜硫酸水素塩の少なくとも一種類を用いることによ
り、重合過程においてベンジジンやその誘導体がいっさ
い発生せずに下記一般式(I)で示されるポリアニリン
を製造できることを見いだし、本発明を完成するに至っ
た。
【化2】 (式中n,mは、n+m=10〜500、n≧2,m≧
1を満たす整数)
【0008】更に詳しくは、モノマーであるp−アミノ
フェノールを水に溶解し、しかるのち、該水溶液に当量
以上、より好ましくは、2〜5倍当量の前記亜硫酸水素
塩を加え、80℃以上で、2時間以上反応させることに
よってポリアニリンを得る。得られた緑色のポリアニリ
ンを濾別、水洗し、さらにアンモニア水で反応系に共存
した亜硫酸水素塩に対して脱ドープ処理し、一般式
(I)のポリアニリンを得ることができる。
【0009】本発明によって得られたポリアニリンは、
ガラス基板やテフロン板上にキャストしたり、塗布し
て、フィルムや皮膜を形成することが可能である。さら
に、このフィルムや皮膜等の成形物は、アクセプター性
のドーパントでドープすることにより10-3〜10S/
cmの高い導電率を示すものである。
【0010】ここで使用されるドーパントは特に制限さ
れるものではなく、例えば、ヨウ素、臭素、塩素、三塩
化ヨウ素等のハロゲン化合物、硫酸、塩酸、硝酸、過塩
素酸、ホウフッ化水素酸等のプロトン酸、前記プロトン
酸の各種塩、三塩化アルミニウム、三塩化鉄、塩化モリ
ブデン、塩化アンチモン、五フッ化ヒ素等のルイス酸、
酢酸、トリフルオロ酢酸、ベンゼンスルホン酸、p−ト
ルエンスルホン酸等の有機酸等各種の化合物を使用する
ことができる。
【0011】これらの化合物をドープする方法について
は、特に制限はなく、公知のあらゆる方法が可能であ
る。一般には、ポリアニリンの成形加工物とドーパント
化合物とを接触させればよく、気相あるいは液相中で行
うことができる。あるいは、上記プロトン酸やその塩の
溶液中で電気化学的にドープする方法を用いることもで
きる。
【0012】
【実施例】以下、本発明を実施例によって説明する。 実施例1 p−アミノフェノール5.46gを200mlの水に完全
に溶解し、しかるのち該水溶液に10.41gの亜硫酸
水素ナトリウムを加え、100℃で5時間反応させてポ
リアニリンを合成した。得られた緑色のポリアニリンを
濾別し、500mlの水を用いて充分に洗浄した。このポ
リアニリンを更に、10%のアンモニア水200ml中で
4時間撹拌し、青色に変色したポリアニリンを濾別し、
濾液が中性になるまで水で洗浄したのち減圧乾燥し、ポ
リアニリン3.41gを得た。該ポリアニリンをN−メ
チル−2−ピロリドンを溶媒としてGPC測定したとこ
ろ、数平均分子量は10000(ポリスチレン換算)で
あった。また、FTIR測定を行ったところ、160
0、1500、1300、1170、820cm-1にポリ
アニリン特有の吸収パターンがみられ、一般式(I)で
示されるポリアニリンであることを確認した。このポリ
アニリン1gを9gのN−メチル−2−ピロリドンに溶
解し、キャスト成形したのち、加熱することによって自
立性のポリアニリンのフィルムを得た。このポリアニリ
ンのフィルムを20%硫酸水溶液に24時間つけてドー
プし乾燥した後、導電率を測定したところ0.5S/cm
であった。
【0013】実施例2 実施例1で亜硫酸水素ナトリウムの代わりに、亜硫酸水
素カリウム12.02gを用い、以下同様の操作を行っ
てポリアニリン3.34gを得た。得られたポリアニリ
ンをN−メチル−2−ピロリドンを溶媒としてGPC測
定したところ、数平均分子量は9100(ポリスチレン
換算)であった。また、FTIR測定を行ったところ、
1600、1500、1300、1170、820cm-1
にポリアニリン特有の吸収パターンがみられ、一般式
(I)で示されるポリアニリンであることを確認した。
このポリアニリン1gを9gのN−メチル−2−ピロリ
ドンに溶解し、キャスト成形したのち、加熱することに
よって自立性のポリアニリンのフィルムを得た。このポ
リアニリンのフィルムを20%硫酸水溶液に24時間つ
けてドープし乾燥した後、導電率を測定したところ0.
3S/cmであった。
【0014】実施例3 実施例1で亜硫酸水素ナトリウム10.41gを、2
0.82gに変えた以外は、実施例1と同様の操作を行
って、ポリアニリン5.14gを得た。該ポリアニリン
をN−メチル−2−ピロリドンを溶媒としてGPC測定
したところ、数平均分子量は11000(ポリスチレン
換算)であった。また、FTIR測定を行ったところ、
1600、1500、1300、1170、820cm-1
にポリアニリン特有の吸収パターンがみられ、一般式
(I)で示されるポリアニリンであることを確認した。
このポリアニリン1gを9gのN−メチル−2−ピロリ
ドンに溶解し、キャスト成形してから、加熱することに
よって自立性のポリアニリンのフィルムを得た。このポ
リアニリンのフィルムを20%硫酸水溶液に24時間つ
けてドープし乾燥した後、導電率を測定したところ0.
7S/cmであった。
【0015】実施例4 実施例1で反応時間5時間を10時間にして、以下同様
の操作を行って、ポリアニリン4.41gを得た。得ら
れたポリアニリンをN−メチル−2−ピロリドンを溶媒
としてGPC測定したところ、数平均分子量は1200
0(ポリスチレン換算)であった。また、FTIR測定
を行ったところ、1600、1500、1300、11
70、820cm-1にポリアニリン特有の吸収パターンが
みられ、一般式(I)で示されるポリアニリンであるこ
とを確認した。このポリアニリン1gを9gのN−メチ
ル−2−ピロリドンに溶解し、キャスト成形したのち、
加熱することによって自立性のポリアニリンのフィルム
を得た。このポリアニリンのフィルムを20%硫酸水溶
液に24時間つけてドープし乾燥した後、導電率を測定
したところ0.5S/cmであった。
【0016】実施例5 実施例1で亜硫酸水素ナトリウム10.41gの代わり
に、亜硫酸水素ナトリウム5.21gと亜硫酸水素カリ
ウム6.01gを用い、以下同様の操作を行ってポリア
ニリン3.53gを得た。得られたポリアニリンをN−
メチル−2−ピロリドンを溶媒としてGPC測定したと
ころ、数平均分子量は11000(ポリスチレン換算)
であった。また、FTIR測定を行ったところ、160
0、1500、1300、1170、820cm-1にポリ
アニリン特有の吸収パターンがみられ、一般式(I)で
示されるポリアニリンであることを確認した。このポリ
アニリン1gを9gのN−メチル−2−ピロリドンに溶
解し、キャスト成形したのち、加熱することによって自
立性のポリアニリンのフィルムを得た。このポリアニリ
ンのフィルムを20%硫酸水溶液に24時間つけてドー
プし乾燥した後、導電率を測定したところ0.1S/cm
であった。
【0017】
【発明の効果】本発明の新規なポリアニリンの製造方法
は、合成が容易で、かつベンジジン等の発ガン性物質の
発生が全く無いので、導電材料や種々のデバイス等広範
囲の用途に有用なポリアニリンを得ることができ、非常
に有用である。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 モノマーとしてp−アミノフェノール
    と、重合触媒として一般式MHSO3 (Mはリチウム、
    ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、アンモ
    ニウムを表わす)で示される亜硫酸水素塩の少なくとも
    一種とを用いて反応させることを特徴とする下記一般式
    (I)で示されるポリアニリンの製造方法。 【化1】 (式中、n,mは、n+m=10〜500、n≧2,m
    ≧1を満たす整数)
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