JP2988498B2 - 写真処理廃液の再利用方法 - Google Patents

写真処理廃液の再利用方法

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JP2988498B2 JP4180304A JP18030492A JP2988498B2 JP 2988498 B2 JP2988498 B2 JP 2988498B2 JP 4180304 A JP4180304 A JP 4180304A JP 18030492 A JP18030492 A JP 18030492A JP 2988498 B2 JP2988498 B2 JP 2988498B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、写真用自動現像機等に
よる写真感光材料の現像処理に伴い発生する廃液(以
下、写真処理廃液あるいは廃液と略称する。)を有効に
利用する方法に関する。
【0002】
【発明の背景】一般に、ハロゲン化銀写真感光材料の写
真処理は、黒白感光材料の場合には現像、定着、水洗等
の処理工程、カラー感光材料の場合には発色現像、漂白
定着(または漂白、定着)、水洗、安定化等の処理工程
によって行われる。そして、多量の感光材料を処理する
写真処理においては、通常、処理によって消費された成
分を補充するとともに、感光材料から処理液中に溶出し
てくる成分を除去し、処理液成分を一定に保つことによ
って処理液の性能を一定に維持する手段がとられてい
る。具体的には、上記補充のために補充液が処理液に補
充され、溶出成分の除去のために処理液の一部が系外に
廃液として廃棄される。
【0003】ところが、このような写真処理廃液は極め
て公害負荷が高く、近年の環境公害規制の強化とあわせ
て、下水道や河川ヘの廃棄は実質的に不可能な状態にあ
る。このため、現在は回収処理形態をとっており、専門
の業者がこれにあたっている。しかしながら、廃液処理
業者に廃液処理を委託する方法は、廃液を貯めておくの
にかなりのスペースを必要とし、回収費用も高価である
という欠点を有する。また、回収した廃液を無害化処理
するためには極めて大がかりな設備が必要であり、この
ような処理設備の設置には膨大な費用がかかり、処理費
用も高価になる。このため、回収した廃液は海洋投棄さ
れているものもあり、世界的な環境保護の動きから海洋
投棄全面禁止が迫ってきている現状では、廃液の処理は
切実な問題となってきている。
【0004】上記問題を解決するために、廃液量をなる
べく減らす努力がなされてきており、例えば、低補充処
理、再生処理などが盛んに研究開発されている。しかし
ながら、いまだ廃液量の減少には不十分であり、革新的
な別の方法が望まれていた。
【0005】さらに、別の問題として、処理剤を溶解す
るために、あるいは、蒸発分を補うために必要な水の問
題がある。すなわち、写真処理用の処理剤は運搬および
取扱い性を考慮して濃厚溶液の状態で供給されており、
使用時には水で薄める必要がある。処理剤がいわゆる濃
厚キットの状熊ではなく、粉剤、顆粒剤、錠剤等の固形
処理剤として供給される場合にはより多くの水が必要と
なる。また、処理液は室温より高い温度に維持され処理
が行われているため、必然的に蒸発が起こり処理液の濃
縮、処理液面の低下を引き起こす。こうなると、処理性
能を一定に維持することができなくなるため、一般的に
蒸発分に相当する水を蒸発補正と称して補給している。
このように、写真処理を行う上では必ず水が必要となる
が、近年のミニラボ、マイクロラボの普及にともない、
水道が近くにない場所で写真処理を行わざるを得ない場
合が増えており、水の確保が極めて切実な問題になって
きている。この問題は固形処理剤を用いる場合には、特
に切実な問題である。
【0006】廃液の処理及び水の確保という問題を解決
するための方法として、特開昭62-201442号公報には、
廃液を常圧で加熱蒸発させ、得られた蒸留液を再利用す
る方法が開示され、また、この蒸留液を漂白定着液にそ
のまま使える旨の記載があるが、この方法で得られた蒸
留液を発色現像液、安定液等の溶解水に利用するには何
らかの二次処理をすることが必要であった。また、蒸発
濃縮時に悪臭が発生し、作業環境衛生上好ましくないこ
とも判明した。
【0007】上記問題点について本発明者が検討したと
ころ、蒸発濃縮を常圧で行っているために、廃液が100
℃以上の温度に加熱され、廃液中の物質の分解、揮発と
いった現象が起こり、悪臭が発生し、また、蒸留液へ写
真処理に使用するには好ましくない物質が混入してしま
うためであることがわかった。
【0008】
【発明の目的】従って、本発明の目的は、写真処理に問
題を起こすことなく処理剤の溶解水や蒸発補正水として
使用することができる水を確保し、しかも、悪臭を発生
することなく処理廃液の量を減少させる方法を提供する
ことにある。
【0009】
【発明の構成】上記目的は、下記により達成できた。 (1) 写真処理廃液を消泡剤の不存在下700mmHg以下
の減圧下で、かつ90℃以下で蒸発濃縮処理し、発生した
蒸留液を写真処理剤の溶解水及び/または自動現像機処
理槽の蒸発補正水として用いることを特徴とする写真処
理廃液の再利用方法。 (2) 写真処理廃液が200mmHg以下の減圧下で、蒸発
濃縮処理されることを特徴とする上記(1)記載の写真
処理廃液の再利用方法。 (3) 写真処理廃液が60℃以下で、蒸発濃縮処理され
ることを特徴とする上記(1)又は(2)記載の写真処
理廃液の再利用方法。 (4) 写真処理廃液中のアンモニウムイオン含有量が
2000ppm以下であることを特徴とする上記(1)〜
(3)記載の写真処理廃液の再利用方法。
【0010】廃液の蒸発濃縮を減圧化で行い、加熱温度
を90℃以下の比較的低温とすることにより、蒸発濃縮時
の悪臭の発生がなく廃液を処理することができ、しか
も、写真処理に問題を起こすことなく処理剤の溶解水や
蒸発補正水として使用できる水を確保することができ
る。
【0011】以下、本発明を更に詳細に説明する。
【0012】本発明において用いられる写真処理廃液
は、特に制限はなく、写真処理工程の如何なる工程で生
じたものであってもよい。また、写真処理工程の一つの
工程から生じた廃液であっても、複数の工程から生じた
廃液を集めたものであってもよい。
【0013】廃液を蒸発濃縮する際の減圧条件は、蒸発
効率を考えると200mmHg以下が好ましく、より好ましく
は5〜100mmHgの範囲であり、更に好ましくは10〜55mmHg
の範囲であり、とりわけ好ましいのは15〜45mmHgの範囲
である。蒸発温度は、廃液成分の分解、揮発を起こさな
い90℃以下であることが必要であり、好ましくは70℃以
下であり、更に好ましくは、10〜60℃の範囲で、とりわ
け特に好ましいのは15〜50℃の範囲である。蒸発濃縮装
置は、上記条件を満たすものであればいかなる構成のも
のでもかまわないが、蒸発した水分を再利用するため
に、蒸発処理で生じた蒸気を冷却することによって蒸留
液を回収する構成が必要である。本発明に使用できる蒸
発濃縮装置の一例は、特願平3-2813号の図1に記載され
ている。
【0014】回収した蒸留液は、カラー写真処理の場
合、発色現像液、漂白液、定着液、漂白定着液、安定液
それぞれの溶解水として、また、それぞれの蒸発補正水
として使用する。
【0015】回収した蒸留液を発色現像液の溶解水及び
蒸発補正水として用いる場合には、発色現像処理は他の
処理と比ベ極めて微妙な処理液組成のコントロールを必
要とするため、蒸発濃縮する廃液中のアンモニウムイオ
ン含有量を2000ppm以下としておくことが好ましく、100
0ppm以下としておくことがより好ましい。
【0016】次に、本発明において、写真処理廃液を蒸
発濃縮処理するのに好ましく用いることができる減圧蒸
発濃縮装置の一例を図1に従って説明する。
【0017】この装置は、ヒートポンプを熱源として用
い、減圧下で蒸発濃縮を行っているために、熱利用効率
が高く、低電力使用量で蒸発濃縮を行うことができ、ま
た、高温による写真処理廃液内容物の熱分解や熱変性を
防止することができる。また、メンテナンスフリーで、
専門技術者や運転管理者が必要でなく、小型にでき、ラ
ンニングコストも安い。
【0018】図1において、1は減圧に耐える蒸発釜
で、この蒸発釜1内に写真処理廃液が注入貯留される。
蒸発釜1の液面上にはデミスター23が設けられてい
る。2は蒸発釜1の外側に同心状に設けた冷却釜であ
り、冷却釜2の上部は、蒸発釜1に設けられたデミスタ
ー23の上部で蒸発釜1の上部と連通しており、また、
下部は、減圧装置に接続され、減圧されるようになっ
ている。デミスター23により蒸発釜1内に在る濃縮成
分がはね上って冷却釜2の中の凝縮水の中へ混入するの
を防ぐことができ、その結果蒸発濃縮が安定に行なえ
る。減圧装置はエジェクター3a、3aで構成されて
おり、該エジェクター3a、3aはポンプ3bにより凝
縮水タンク10内の水を通すことにより作動する。
【0019】4は蒸発釜1内にらせん状に配置した加熱
手段、9は冷却釜2内にらせん状に配置した冷却手段で
あり、加熱手段4及び冷却手段9はヒートポンプの一
部をなしている。ヒートポンプにおいて、熱媒体は、
コンプレッサー11で加圧圧縮されて高温にされる。高
温にされた熱媒体は空冷手段12を通り、加熱手段4に
おいて必要とされる温度まで冷却された後、加熱手段4
に供給され、蒸発釜1内の写真処理廃液Wを加熱して蒸
発させる。空冷手段12には空冷フアンl3が設けられ
ており、空冷手段12は空冷フアンl3により冷却され
る。加熱手段4は下部が写真処理廃液W中にあり、上部
が写真処理廃液Wからでている。加熱手段4を通過した
熱媒体は、膨張弁の役目をなすキャピラリーチューブ1
4を通り膨張減圧され、その温度が低下する。温度が低
下した熱媒体は冷却手段9aを通り凝縮水タンク10内
の水を冷却し、次いで冷却手段9に供給され、蒸発釜1
で発生し冷却釜2内に入り込んできた水蒸気を冷却凝縮
させ凝縮水とする。こうして作られた凝縮水は冷却釜2
の底部2aに溜められ、エジェクター3a、3aで吸引
され凝縮水タンク10に回収される。冷却手段9を通過
した熱媒体はコンプレッサー11に還流する。
【0020】6は写真処理廃液を溜めるタンクであり、
7はタンク6から写真処理廃液を汲み上げ、蒸発釜l内
に給送する電磁弁を備えた供給手段である。8は蒸気釜
1の液面を検出する電極式液面検出手段であり、該液面
検出手段8は、濃縮スラッジが付着したりして誤動作す
ることがないように、筒25で覆われ、タンク6から供
給される写真処理廃液で洗浄されるようになっている。
供給手段7は液面検出手段8の検出結果により制御され
る。
【0021】蒸発釜1の底部には、蒸発濃縮の結果生じ
たスラリーを溜めるスラリー溜部l5、スラリー取出口
l6が設けられ、スラリー取出口16は栓手段17によ
り密栓されている。この栓手段17には蒸発釜1内の減
圧状態を維持させるためにバツキング栓26が設けられ
ており、バッキング栓26に連結した把手18を引いた
り押したりすることによりスラリー取出口16を開閉で
きるようになっている。また、栓手段17にはスラリー
排出口19が設けられており、スラリー回収容器(一点
鎖線で示す)30が係合できるようになっている。
【0022】20はスラリー溜部15に設けられた撹拌
羽根で、蒸発釜1の頂面に設置した駆動源21から垂下
した出力軸22の下端に固着されている。この撹拌羽根
20はスラリー溜部15の内底面を全面にわたって撹拌
でき、かつ、スラリーをその取出口16へ向けて移動さ
せ易い形態に構成されている。
【0023】41は電磁弁であり、運転時に気泡が発生
した場合、これを液面検出手段40で検知し、電磁弁4
1を開き写真処理廃液が凝縮水への混入するのを防止す
る。42は減圧状態を監視する圧力センサー、10aは
凝縮水タンク10をオーバーフローした水の貯留容器、
27は凝縮水タンク10の水位を監視する液面センサー
である。
【0024】上記蒸発濃縮装置は次のようにして操作さ
れる。
【0025】ポンプ3bを作動させ、凝縮水タンク10
の凝縮水をエジェクター3a,3aに供給し、蒸発釜1
及び冷却釜2内を減圧にし、供給手段7を操作し、タン
ク6から写真処理廃液を蒸発釜1に供給する。蒸発釜1
及び冷却釜2内の減圧状態は圧力センサー42によって
検知することができる。一定の減圧状態となった後、コ
ンプレッサー11を起動させ、ヒートポンプの運転を
開始する。減圧状態は圧力センサー42を用いて検知し
てもよいが、一定時間経過後に次のステップに移っても
よい。
【0026】コンプレッサー11を起動させると熱媒体
は加圧圧縮され高温になる。空冷手段12はコンプレッ
サ11で加圧庄縮されて高温にされた熱媒体を加熱手段
4に供給するのに適切な温度にまで下げるためのもので
あって、コンプレッサ11で加圧庄縮されて高温にされ
た熱媒体は空冷手段12を通って加熱手段4に供給され
る。加熱手段4は空冷フアン13により冷却される。キ
ャピラリーチューブ14は減圧弁の役目を果たし、加熱
手段4をでた熱媒体はキャピラリーチューブ14を通り
膨張して温度が低下する。この低温の熱媒体は冷却手段
9aを通り、凝縮水タンク10中の凝縮水を冷却し、次
いで冷却手段9を通り、蒸発釜1から蒸発してきた水蒸
気を冷却し凝縮水とし、コンプレッサー11に還流す
る。キャピラリーチューブ14を挟んで上流側が加熱
域、下流側が冷却域となっている。
【0027】蒸発釜1内の写真処理廃液Wは加熱手段4
により加熱され、発生した水蒸気は、写真処理廃液Wか
ら上にでている加熱手段4により加熱され、デミスター
23を通過し、蒸発釜1の上部から冷却釜2に侵入し、
ここで冷却手段9により冷却凝縮される。こうして作ら
れた凝縮水は冷却釜2の底部2aに溜まり、エジェクタ
ー3a、3aにより作られた真空により釜外に設置した
回収容器である凝縮水タンク10に回収される。エジェ
クター3a、3aは冷却釜2の底部2aに溜まった凝縮
水を回収する働きをすると共に、蒸発釜1内の圧力上昇
を抑制する働きをし、発生した水蒸気が冷却凝縮される
ことと協同して蒸発釜1内は減圧状態に保たれる。凝縮
水タンク10をオーバーフローした水は貯留容器10a
に蓄えられる。
【0028】蒸発により蒸発釜1内の液面が低下する
と、その低下は液面検出手段8により検知され、供給手
段7が作動し、写真処理廃液が供給され、液面は一定に
保たれる。この写真処理廃液の供給は筒25を通して行
われ、濃縮スラッジが付着したりして液面検出手段8が
誤動作することがないように液面検出手段8を洗浄す
る。供給手段7は液面検出手段8の検出結果により制御
される。
【0029】蒸発時に写真処理廃液が発泡し、発生した
泡が冷却釜2に移行し、凝縮水中に写真処理廃液が混入
することはデミスター23により防止することができる
が、泡がデミスター23を越えた場合、蒸発釜1の上部
に設けられた液面検出手段40がこれを検知して、電磁
弁41を開き、蒸発釜1内を解放し、泡の発生を止め、
写真処理廃液が凝縮水への混入するのを防止する。
【0030】蒸発濃縮を繰返して得られた高濃度に濃縮
されたスラリーは、蒸発釜1の底部に設けられスラリー
溜部15に溜められる。スラリー溜部15に溜められた
スラリーは、スラリー排出口19の先端にスラリー回収
容器30を係合し、把手18を操作することによってバ
ッキング栓26を取りはずし、駆動源21を作動させる
ことによって撹拌羽根20を回転し、スラリー回収容器
30に移行させ、次いで、把手18を操作してバッキン
グ栓26を閉め、スラリー回収容器30をスラリー排出
口19から取りはずすことによって回収される。
【0031】本装置は、タンク6に液面検出装置を設
け、写真処理廃液がタンク6に溜った時に運転を開始
し、液面が底面近くまで下がったとき運転が停止するよ
う制御される。
【0032】
【実施例】以下、本発明を実施例にて具体的に説明す
る。 実施例1 コニカ(株)製の自動現像機CL-KP50QA、CL-PPl501QAを
用い、現像処理にはコニカ(株)製プロセスCNK-4-40、
プロセスCPK-2-20用の処理剤を用い、実際に撮影した撮
影済コニカ(株)製カラーネガフィルムSuperDD-100及
びカラーペーパーQAペーパーTypeA5を使用して現像処理
した。排出された廃液をすべて混合し、図1に記載した
減圧蒸発濃縮装置を用い、表1の条件で濃縮処理を行っ
た。得られた蒸留液をN−1(CNK-4-52フィルム用現像
補充液)の作成に用いランニング処理をした。ランニン
グ処理は、蒸留液で作成した補充液100リットルを消費
するまで続けた。
【0033】実験終了直前に常法に従ってウェッジ露光
を与えたカラーフイルムを処理し、得られたフイルムに
ついて未露光部の透過ブルー濃度(Dmin(B))及び最大
露光部の透過ブルー濃度(Dmax(B))を測定した。
【0034】その結果を表1にまとめた。
【0035】
【表1】 実験No.1−1は特開昭62−201442公報の実施例1に記載
の蒸留方法と同条件である。
【0036】実験No.1−8の蒸留温度、蒸留圧力の条件
下では留分はほとんどでず、蒸留は困難であった。実験
No.1−9〜実験No.1−13に示されるように、蒸留圧力を
低下させていくにしたがい留分の出は良くなり、実験N
o.1−13の蒸留条件下では非常に効率よく蒸留液が得ら
れた。
【0037】表1の結果より、本発明はステインの上昇
及びDmaxの低下がなく良好であることが判る。
【0038】また、表1は、温度90℃、蒸留圧力500mmH
gが好ましく、温度70℃、蒸留圧力240mmHgがより好まし
く、温度40℃、蒸留圧力55mmHgがさらに好ましく、最も
好ましくは温度35℃、蒸留圧力45mmHgであることを示し
ている。
【0039】実験No.1−8〜実験1−13より蒸留効率を観
察すると700mmHgが好ましく、200mmHgがより好ましく、
100mmHgがさらに好ましく、55mmHgがもっと好ましく、4
5mmHgが最も好ましいことが判った。
【0040】又本発明は蒸留濃度処理での臭気の発生も
なく環境上非常に好ましいことが判った。
【0041】以上のことから、本発明の方法によれば、
効果的に廃液量を減少でき、同時に廃液中の水の再利用
ができることがわかる。 実施例2 実施例1の実験No.1−1と実験No.1-13において、得られ
た蒸留液をカラーネガフイルム用漂白補充液(CNK-4-40
の処理液)の作成に用いるように変えた以外は、実施例
1と同様に現像ランニング実験を実施した。
【0042】終了直前に処理したフィルムについて、復
色不良、汚れの発生の有無を調ベた。また、濃縮処理で
の臭気発生の有無についても調ベた。
【0043】本発明の蒸留方法(実験No.1-13)で得た
蒸留液を用いた本発明の方法では、復色不良、汚れとも
に発生せず写真処性能に全く問題はなく、蒸発濃縮処理
での臭気発生も認められなかった。これに対して、比較
の蒸留方法(実験No.1−1)を用いて得た蒸留液を用い
た比較の方法では、復色不良、汚れが発生し、写真処性
能に問題があった。また、蒸発濃縮処理での臭気発生も
認められた。
【0044】以上のことから、本発明の方法によれば、
効果的に廃液量を減少でき、同時に廃液中の水の再利用
ができることが判る。 実施例3 実施例1の実験No.1−1と実験No.1−13において、得ら
れた蒸留液をフィルム用定着補充液(CNK-4-40の処理
液)の作成の際の溶解水として用いるように変えた以外
は全く同様にして現像ランニング実験を行った。
【0045】実験終了直前に処理したフィルムについ
て、定着不良の発生の有無を調ベた。本発明の蒸留方法
(実験No.1-13)で得た蒸留液を用いた本発明の方法で
は、フイルムに定着不良は認められず、写真性能に全く
問題がなかった。これに対して、比較の蒸留方法(実験
No.1−1)を用いて得た蒸留液を用いた比較の方法では
処理後の、フイルムに銀が残留し(定着不良が発生)問
題があった。
【0046】以上のことから、本発明の方法によれば、
効果的に廃液量を減少でき、同時に廃液中の水の再利用
ができることが判る。 実施例4 実施例1の実験No.1−1と実験No.1-13において、得られ
た蒸留液をフィルム用安定補充液(CNK-4-40の処理液)
の作成に用いるように変えた以外は全く同様にして現像
ランニング実験を行った。
【0047】実験終了直前に処理したフィルムについ
て、汚れの発生の有無を調ベた。本発明の蒸留方法(実
験No.1-13)で得た蒸留液を用いた本発明の方法では、
汚れは発生せず、写真性能に全く問題がなかった。これ
に対して、比較の蒸留方法(実験No.1−1)を用いて得
た蒸留液を用いた比較の方法ではフィルム裏面に汚れが
発生し、問題があった。
【0048】以上のことから、本発明の方法によれば、
効果的に廃液量を減少でき、同時に廃液中の水の再利用
ができることが判る。 実施例5 実施例1において、蒸留温度及び蒸留圧力を表2に示す
ように変えるとともに、得られた蒸留液をペーパー用発
色現像補充液(CPK-2-20の処理液)の作成に用いるよう
に変えた以外は全く同様にして現像ランニング実験を実
施した。
【0049】実験終了直前に常法に従ってウェッジ露光
を与えたカラーペーパーを処理し、得られたペーパーに
ついて未露光部の反射ブルー濃度(Dmin(B))及び最大
露光部の反射ブルー濃度(Dmax(B))を測定した。
【0050】その結果を表2にまとめた。
【0051】
【表2】 実験No.2−1は特開昭62−20144公報の実施例1に記載の
蒸留方法と同条件である。
【0052】表2の結果より本発明はステインの上昇及
びDmaxの低下がなく良好であることが判る。
【0053】また、表2は、温度90℃、蒸留圧力500mmH
gが好ましく、温度70℃、蒸留圧力240mmHgがより好まし
く、温度40℃、蒸留圧力55mmHgがさらに好ましく、最も
好ましくは温度35℃、蒸留圧力45mmHgであることを示し
ている。
【0054】又本発明は蒸留濃度処理での臭気の発生も
なく環境上非常に好ましいことが判った。
【0055】以上のことから、本発明の方法によれば、
効果的に廃液量を減少でき、同時に廃液中の水の再利用
ができることが判る。 実施例6 実施例1の実験No.1−1と実験No.1-13において、得られ
た蒸留液をぺ一パー用漂白定着補充液(CPK2-20の処理
液)の作成に用いるように変えた以外は全く同様にして
現像ランニング実験を行った。
【0056】実験終了直前に処理したぺ一パーについ
て、脱銀不良の発生の有無を調ベた。本発明の蒸留方法
(実験No.1-13)で得た蒸留液を用いた本発明の方法で
は、ぺ−パーに脱銀不良は認められず、写真性能に全く
問題がなかった。これに対して、比較の蒸留方法(実験
No.1−1)を用いて得た蒸留液を用いた比較の方法で
は、ぺ−パーに脱銀不良が発生し、問題があった。
【0057】以上のことから、本発明の方法によれば、
効果的に廃液量を減少でき、同時に廃液中の水の再利用
ができることが判る。 実施例7 実施例1の実験No.1−1と実験No.1-13において、得られ
た蒸留液をぺ一パー用安定補充液(CPK2-20の処理液)
の作成に用いるように変えた以外は全く同様にして現像
ランニング実験を行った。
【0058】実験終了直前に、常法に従って段階露光を
与えたぺ一パーを処理し、得られたペーパーを60℃、80
%の条件下で1週問保存し、最大緑濃度部の濃度退行度
を調ベた。本発明の蒸留方法(実験No.1-13)で得た蒸
留液を用いた本発明の方法では、退行度が5%末満であ
り問題がなかったのに対し、比較の蒸留方法(実験No.1
−1)を用いて得た蒸留液を用いた比較の方法では、退
行度が20%と大きな値を示し問題があった。
【0059】以上のことから、本発明の方法によれば、
効果的に廃液量を減少でき、同時に廃液中の水の再利用
ができることが判る。 実施例8 実施例1の実験No.1-13において、得られた蒸留液を使
用する対象をフィルム用現像液及び補充液(CNK-4-40の
処理液)の作成に用いるように変えた以外は全く同様に
して現像ランニング処理を行った。ただし、タンク液及
び補充液中のアンモニアおよびアンモニウム塩の一部ま
たは全てをそれぞれ水酸化カリウム、カリウム塩に変更
し、蒸留処理する集められた廃液中のアンモニムイオン
濃度がほぼ3000ppm、2000ppm、1000ppm、500ppm、Oppm
になるように調整した。
【0060】実験終了直前に、常法に従ってウェッジ露
光を与えたフィルムを処理し、得られたフィルムについ
て未露光部の透過ブルー濃度(Dmin(B))及び最大露光
部の透過ブルー濃度(Dmax(B))を測定した。
【0061】その結果を表3にまとめた。
【0062】
【表3】 表3よりアンモニウムイオン濃度が2000ppm以下、特に1
000ppm以下の時本発明の効果を良好に奏することが判
る。 実施例9 実施例1の実験No.1-13において、得られた蒸留液をぺ
一パー用発色現像用補充液(CPK-2-20の処理液)の作成
に用いるように変えた以外は全く同様にして現像ランニ
ング実験を行った。ただし、タンク液及び補充液中のア
ンモニアおよびアンモニウム塩の一部または全てをそれ
ぞれ水酸化カリウム、カリウム塩に変更し、蒸留処理す
る集められた廃液中のアンモニムイオン濃度がほぼ3000
ppm、2000ppm、1000ppm、500ppm、Oppmになるように調
整した。
【0063】実験終了直前に常法に従ってウェッジ露光
を与えたペーパーを処理し、得られたペーパーについて
未露光部の反射ブルー濃度(Dmin(B))及び最大露光部
の反射ブルー濃度(Dmax(B))を測定した。
【0064】その結果を表4にまとめた。
【0065】
【表4】 表4よりアンモニウムイオン濃度が2000ppm以下、特に1
000ppm以下の時本発明の効果を良好に奏することが判
る。 実施例10 実施例1において、本発明の蒸留方法(実験No.1-13)
で得られた蒸留液を自動現像機で処理する際にフィルム
用現像液、フィルム用漂白液、フィルム用定着液、フィ
ルム用安定液、ペーパー用現像液、ペーパー用漂白定着
液、ペーパー用安定液の蒸発補正水として使用したとこ
ろ写真処理性能には全く影響を与えなかった。
【0066】
【発明の効果】本発明によれば、写真処理に問題を起こ
すことなく処理剤の溶解水や蒸発補正水として使用する
ことができる水を確保することができ、しかも、悪臭を
発生することなく処理廃液の量を減少させることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に使用することができる減圧蒸発濃縮
装置の一例を説明する説明図である。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G03C 5/31 G03C 5/395 G03C 7/44

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 写真処理廃液を消泡剤の不存在下700mmH
    g以下の減圧下で、かつ90℃以下で蒸発濃縮処理し、発
    生した蒸留液を写真処理剤の溶解水及び/または自動現
    像機処理槽の蒸発補正水として用いることを特徴とする
    写真処理廃液の再利用方法。
  2. 【請求項2】 写真処理廃液が200mmHg以下の減圧下
    で、蒸発濃縮処理されることを特徴とする請求項1記載
    の写真処理廃液の再利用方法。
  3. 【請求項3】 写真処理廃液が60℃以下で、蒸発濃縮処
    理されることを特徴とする請求項1又は2記載の写真処
    理廃液の再利用方法。
  4. 【請求項4】 写真処理廃液中のアンモニウムイオン含
    有量が2000ppm以下であることを特徴とする請求項1〜
    3記載の写真処理廃液の再利用方法。
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