JP2987879B2 - トラクタの伝動装置 - Google Patents

トラクタの伝動装置

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、トラクタの伝動装置に関する。
〔従来技術及び発明が解決しようとする課題〕
トラクタの走行装置や動力取出軸等を変速伝動する変
速伝動装置を有したミッションケースは、主変速の他に
副変速が設けられるために、各変速ギヤを前後方向の変
速軸方向に沿わせて変速移動させなければならず、前後
軸方向の長さが自ずから長くなり易い。これが伝動ケー
スの大型化を招き、ひいては重量大となって、トラクタ
車体の小形、軽量化を制限している。
この発明は、変速ギアを密に配置した変速軸の中心部
に沿って、変速キーを移動操作しながら、この変速キー
の係合される変速ギアによる変速伝動を行う形態の変速
装置を用いて、ミッションケースの前後長の短縮化を図
るものである。
〔課題を解決するための手段〕
この発明は、ミッションケース1に、前方のクラッチ
ハウジング2側の駆動軸3から後方の走行駆動軸4側へ
軸心を向けて、入力軸5、変速軸6、動力取出駆動軸7
を相互平行にして軸装し、該変速軸6を中空状にして内
部にキー連動軸26を嵌合して軸方向移動によって変速キ
ー9を移動操作可能となすと共に、この変速キー9の選
択咬合によって該入力軸5上の入力ギヤ10と常時噛合し
て該変速軸6へ主変速する主変速ギヤ11を設け、この主
変速ギヤ11の前側には、該入力軸5から動力取出駆動軸
7へ伝動する動力取出駆動ギヤ12を設け、後側には、変
速軸6の後端部に回転自在に軸受された出力軸部22に支
持され該入力軸5との間において副変速する副変速ギヤ
13を設けてなるトラクタの伝動装置の構成とする。
〔発明の作用及び効果〕
クラッチハウジング2のクラッチ入りによって、駆動
軸3が駆動されて、入力軸5の入力ギヤ10へ伝動する。
この入力ギヤ10の回転によって常時噛合状態にある各主
変速ギヤ11が変速軸6の回りに回転される。主変速を行
うときは、この変速軸6の前端部における変速シフター
8を操作することによって、変速キー9が軸方向へ移動
されて、主変速ギヤ11に対するキー咬合を変速して、主
変速ギヤ11と変速軸6との変速伝動を行う。
この主変速ギヤ11を経る伝動は、更に副変速ギヤ13の
変速伝動を経て、後部走行駆動軸4へ伝達される。又、
動力取出駆動軸7は、前記入力軸5上から変速軸6前部
の動力取出駆動ギヤ12を経て伝動される。
このように入力軸5上の入力ギヤ10と常時噛合状態に
ある主変速ギヤ11が、これら入力軸5や動力取出駆動軸
7と共に平行状にして、ミッションケース1の前後方向
に向けて軸装される変速軸に沿って移動操作されるもの
であり、この変速ギヤ11の前側には、入力軸5から動力
取出駆動軸7へ伝動する動力取出駆動ギヤ12を設け、更
に、該変速キー9を、ミッションケース1の前側の変速
シフター8によって行うために、ミッションケース1の
前後方向長を短く簡単に構成することができ、変速シフ
ター8をこのミッションケース1の前側で前方のクラッ
チハウジング2との間の大きく保持された位置に設置す
るため、他の構成部材の邪魔になり難く、操縦位置に近
くして、変速レバー等との連動構成を簡単化できる。
また、上記副変速用の副変速ギヤ13を支持すべき出力
軸部22の前端は、変速軸6の後端部に回転自在に軸受す
るが、それに必要な軸受支持孔は、当該変速軸6にキー
連動軸26を摺動自在に嵌合するために中空加工を施す際
に同時加工でき、製作上も容易である。
〔実施例〕
なお、図例において、トラクタ車体の前部のエンジン
に連結して、このエンジンのクランク軸から駆動軸3へ
の動力を入り切りできる主クラッチを内装するクラッチ
ハウジング2を設け、このクラッチハウジング2と、後
方のミッションケース1との間を駆動軸ケース14で連結
している。ミッションケース1の後側には、後輪走行駆
動軸4の差動装置15、及び動力取出軸16等を設ける後輪
軸ケース19、油圧によるリフトシリンダ17、及びこのリ
フトシリンダ17によって回動されるリフトアーム18等を
油圧ケース20等を設けている。
ミッションケース1には、駆動軸3と連結する入力軸
5、変速軸6、動力取出軸7、前輪駆動軸21等を、軸心
を前後方向に向けて平行状に軸架し、変速軸6後端部の
出力軸部22は、ピニオンギヤ23から差動装置15のベベル
ホイルギヤへ噛合連動して、走行駆動軸4を差動装置15
を介して伝動する。又動力取出駆動軸7の後端は、変速
ギヤ24を経て動力取出軸16を伝動する構成としている。
入力軸5上には、前部に数段の入力ギヤ10を一体回転
するように設け、後部には副変速ギヤ13の移動操作によ
って変速噛合されるギヤ25を回転自在に設ける。
変速軸6は、中空状にして内部にキー連動軸26を嵌合
して、このキー連動軸26の軸方向への移動によって先端
部に設けた変速キー9を移動操作できる。変速キー9は
変速軸6のスリット27に沿って移動案内されながら、こ
の変速軸6外周のいずれかの主変速ギヤ11の係合部28に
係合することによって、この係合された主変速ギヤ11と
変速軸6との一体的回転を行わせる。この主変速ギヤ11
の一部には、ニュートラルリング29、及びバックギヤ30
等を同様にして設け、ニュートラルリング29には変速キ
ー9の係合されない構成となっていて、変速キー9がこ
のニュートラルリング29の位置に操作されると、主変速
ギヤ11やバックギヤ30等による伝動は行われない。この
バッグギヤ30の前側に動力取出駆動ギヤ12が回転自在に
設けられて、入力ギヤ10の一部と噛合し、動力取出駆動
軸7前端部のギヤ31と噛合して、入力軸5から動力取出
駆動軸7へ伝動する構成としている。
変速軸6の後端部には、出力軸部22が回転自在に軸受
されて、この出力軸部22に対してスプライン嵌合して前
後移動操作自在の副変速ギヤ13を、該変速軸6後端のギ
ヤ部32に噛合させて、変速軸6から出力軸部22へ直接伝
動させたり、又、入力軸5上のギヤ25の一部を該ギヤ部
32に常時噛合させた状態とし、副変速ギヤ13をこのギヤ
25へ噛合させることによって、変速軸6からこのギヤ25
を介して変速伝動できる構成としている。
又、この副変速ギヤ13の後側にはギヤ33を設け、動力
取出駆動軸7に回転自在のギヤ34を介して、前輪駆動軸
21上のクラッチギヤ35と噛合連動させ、このクラッチギ
ヤ35を、該ギヤ34に噛合操作することによって、前車輪
を駆動することができる。
前記キー連動軸26の先端部は、ミッションケース1の
前壁部から前側へ突出させて、シフタ軸36回りに回動操
作される変速シフター8で軸心方向に沿って移動操作す
る構成とし、これらの部分は、開閉自在のシフタケース
37で覆っている。この変速シフター8によって、キー連
動軸26を移動すると、ニュートラルリング29位置にある
変速キー9が、前側の変速ギヤ11のいずれかのキー溝27
に係合すると前進主変速として伝動され、バックギヤ30
のキー溝27に係合すると、入力ギヤ10から中間ギヤ38、
バックギヤ30等を経て変速軸6が伝動される。
このように、副変速ギヤ13は、前後方向へ変速操作さ
れるために、この移動間隔を要するが、主変速ギヤ11
や、動力取出駆動ギヤ12等は、前後の軸方向におけるギ
ヤ間隔の変動を要しないために、できるだけ小間隔に維
持して、ミッションケース1の前後方向長を短かく構成
することができる。
【図面の簡単な説明】
図はこの発明の一実施例を示すもので、第1図は側断面
図である。 (符号の説明) 1……ミッションケース、2……クラッチハウジング 3……駆動軸、4……走行駆動軸 5……入力軸、6……変速軸 7……動力取出駆動軸、8……変速シフター 9……変速キー、10……入力ギヤ 11……主変速ギヤ、12……動力取出駆動ギヤ 13……副変速ギヤ

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ミッションケース1に、前方のクラッチハ
    ウジング2側の駆動軸3から後方の走行駆動軸4側へ軸
    心を向けて、入力軸5、変速軸6、動力取出駆動軸7を
    相互平行にして軸装し、該変速軸6を中空状にして内部
    にキー連動軸26を嵌合して軸方向移動によって変速キー
    9を移動操作可能となすと共に、この変速キー9の選択
    咬合によって該入力軸5上の入力ギヤ10と常時噛合して
    該変速軸6へ主変速する主変速ギヤ11を設け、この主変
    速ギヤ11の前側には、該入力軸5から動力取出駆動軸7
    へ伝動する動力取出駆動ギヤ12を設け、後側には、変速
    軸6の後端部に回転自在に軸受された出力軸部22に支持
    され該入力軸5との間において副変速する副変速ギヤ13
    を設けてなるトラクタの伝動装置。
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