JP2984164B2 - 半導体製造用サセプター - Google Patents

半導体製造用サセプター

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JP2984164B2
JP2984164B2 JP5068104A JP6810493A JP2984164B2 JP 2984164 B2 JP2984164 B2 JP 2984164B2 JP 5068104 A JP5068104 A JP 5068104A JP 6810493 A JP6810493 A JP 6810493A JP 2984164 B2 JP2984164 B2 JP 2984164B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、半導体製造用サセプタ
ーに関するものである。
【0002】
【従来の技術】現在、半導体ウエハーの搬送,露光,成
膜,微細加工,洗浄,ダイシング等のために、静電チャ
ックが使用されている。かかる静電チャックとしては、
円盤状のセラミックスグリーンシート上に膜状電極をス
クリーン印刷し、この膜状電極を覆うように、他の円盤
状セラミックスグリーンシートを載せ、プレス成形し、
こうして得た円盤状成形体を焼結させたものが知られて
いる。しかし、成形体に圧力をかける際、不可避的に圧
力の不均一が生じ、静電チャックの誘電体層の厚みが不
均一になるため、製造が難しく、歩留りが悪い。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】この問題を解決するた
め、本発明者は、図4に概略的に示すような静電チャッ
クを開発した。即ち、緻密質の絶縁性セラミックスから
なる円盤状基材1と、絶縁性セラミックスからなる円盤
状支持体5とを準備する。円盤状支持体5には貫通孔4
が設けられている。そして、導電性接合剤からなる円形
シートと、円柱状端子3とを準備する。円盤状支持体5
と円盤状基材1の裏面1bとの間に円形シートを挟む。
円柱状端子3を貫通孔4に挿通させ、端面3aを円形シ
ートに当接させる。貫通孔4の壁面と、円柱状端子3の
側周面との間に、粉末状の接合剤を介在させておく。こ
の状態で、組立体に加熱処理を施し、図4に示すよう
に、導電性接合剤層2によって、円盤状基体1と円盤状
支持体5とを接合する。これと共に、円盤状支持体5の
貫通孔4に円柱状端子3を接合し、固定する。次いで、
円盤状基体1を研磨加工し、ウエハー吸着面1aを平坦
にする。
【0004】この半導体製造用サセプターによれば、基
材1を予め焼結によって形成しているので、焼結の段階
で焼成収縮が終っており、従って支持体5と接合する段
階ではもう変形しない。この点について補足すると、従
来のようにグリーンシート上に電極を形成した後、グリ
ーンシートを積層してプレス成形、焼成を行う方法は、
プレス成形段階や焼成段階で、誘電体層の厚さのバラツ
キや密着不良が不可避的に生じる。従って、一体焼結後
に誘電体層の表面をいくら平面加工しても、誘電体層の
厚さを均一にできず、静電チャックを加熱して使用する
場合に周囲と温度の異なる領域が生じて、均熱性が確保
できなかった。
【0005】このように、円盤状基材1が変形しないこ
とから、円盤状基材1の表面を平面加工すれば、円盤状
基材1の厚さを正確に均一化できる。従って、局所的な
吸着力の低下や、絶縁耐圧の低下は生じない。また、円
盤状基材1と円盤状支持体5の間にはスキマが生じない
為、均熱性、耐熱衝撃性に優れる。
【0006】しかし、この静電チャックにおいては、膜
状電極2の周縁部2aが、半導体製造装置内に露出す
る。そして、ウエハー吸着面1aに半導体ウエハー10を
設置し、膜状電極2に電力を供給すると、膜状電極2の
周縁部2aと半導体ウエハー10との間で放電が生じた。
更には、半導体製造用途に使用するハロゲン系腐食性ガ
スによって、膜状電極2が腐食することがあった。更に
膜状電極2を、重金属を含むろうで形成した場合には、
半導体に重金属汚染が生じた。
【0007】本発明の課題は、前記のように均熱性、耐
熱衝撃性に優れた半導体製造用サセプターであって、か
つ、基材と支持体との隙間における膜状電極の周縁の露
出部分からの放電,腐食,汚染を防止することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、緻密質の絶縁
性セラミックス基材、絶縁性セラミックス製の支持体、
および絶縁性セラミックス基材と支持体との間に設けら
れた膜状電極を備える、半導体製造用サセプターであっ
て、絶縁性セラミックス基材と支持体との隙間における
膜状電極の周縁の露出部分が絶縁性の溶射膜によって被
覆されていることを特徴とする、半導体製造用サセプタ
ーに係るものである。
【0009】
【作用】本発明によれば、緻密質の絶縁性セラミックス
基材と支持体との間に、膜状電極を配設しているので、
支持体5と接合する段階では絶縁性セラミックス基材が
変形しない。従って、基材1が変形しないことから、基
材1の表面を平面加工すれば、基材1の厚さを正確に均
一化できる。従って、局所的な吸着力の低下や、絶縁耐
圧の低下は生じない。また、基材1と支持体5の間には
スキマが生じない為、均熱性、耐熱衝撃性に優れる。
【0010】その上、絶縁性セラミックス基材と支持体
との隙間における膜状電極の周縁の露出部分が絶縁性の
溶射膜によって被覆されているので、膜状電極からの放
電,汚染,導電体の腐食を防止できる。しかも、溶射膜
の形成は、比較的低コストで大量に処理できるものであ
り、工業上の利用価値が高い。
【0011】本発明は、セラミックス静電チャック,ヒ
ーター付きの静電チャックなどに好適に利用できる。溶
射法としては、低圧プラズマ溶射,常圧プラズマ溶射,
爆裂溶射等を利用できる。
【0012】
【実施例】まず、本発明をヒーター付きの静電チャック
に対して適用した例について述べる。
【0013】図1(a) は、ヒーター付き静電チャックの
膜状電極2の周縁部を除去加工した状態を概略的に示す
断面図である。図4に示したものと同一の部材について
は同一の符号を付け、その説明は省略する。
【0014】図1(a) においては、円盤状支持体5の内
部に抵抗発熱体6が埋設されており、抵抗発熱体6の両
端に端子7A,7Bが接続されている。本例では、膜状
電極2の周縁部を除去加工し、膜状電極2の周縁に、円
盤状基材1から後退した凹部8を形成する。
【0015】次いで、図1(b) に示すように、膜状電極
2の周縁部を溶射膜9で被覆する。この溶射膜9は、凹
部8内に入り込み、充填すると共に、円盤状基材1の側
周面及び円盤状支持体5の側周面の一部を被覆する。
【0016】円柱状端子3の端面3bに給電ケーブルを
接続し、この給電ケーブルを静電チャック用電源の例え
ば正極に接続する。この電源の負極をアース線に接続す
る。
【0017】半導体ウエハーを吸着する際には、ウエハ
ー吸着面1aにウエハー10を設置し、ウエハー10に対し
てアース線を接触させる。そして、膜状電極2に正電荷
を蓄積して円盤状基材1を分極させ、円盤状基材1のウ
エハー吸着面1a側に正電荷を蓄積させる。それと共
に、ウエハー10に負電荷を蓄積させ、円盤状基材1とウ
エハー10との間のクーロン引力により、ウエハー10をウ
エハ吸着面1aへと吸着させる。
【0018】また、本実施例では、抵抗発熱体6に通電
することにより、半導体ウエハー10を吸着しつつ、同時
に加熱することができる。
【0019】本発明に従い、膜状電極2の周縁部を絶縁
性の溶射膜9で被覆している。更に、膜状電極2の周縁
部をエッチング等で除去加工し、凹部8を設けることに
より、半導体ウエハー10に達する沿面距離を長くし、か
つ溶射膜9を厚くすることができる。従って、特に高真
空下における放電防止の点で更に有利である。
【0020】円盤状基材1をセラミックスにて形成する
が、セラミックスは温度が高くなるにつれて体積抵抗率
が低くなるという特性があるので、温度が高くなるにつ
れ吸着したウエハーに流れる電流が増加し、半導体ウエ
ハーが破損する可能性が出てくる。ウエハーの破損を防
止する為に、円盤状基材1の体積抵抗率は、1011Ω・cm
以上が好ましい。この点で、例えば熱CVD装置等に用
いるには、例えば 500〜600 ℃の高温域においても1011
Ω・cm以上の体積抵抗率を有するものが好ましい。この
点では、アルミナ,ベリリア,マグネシアや、窒化珪
素,窒化ホウ素,窒化アルミニウム等が好ましい。
【0021】また、円盤状基材1は、例えば熱CVD装
置においては、最大 600℃から1100℃程度まで加熱され
るので、耐熱性の点で、アルミナ,窒化珪素焼結体,サ
イアロン,炭化珪素,窒化アルミニウム,アルミナ−炭
化珪素複合材料等とするのが好ましい。さらに 300℃以
上で使用される静電チャックでは、常温のウエハーが搬
送ロボットにより送られてきてチャックされる場合があ
る。この時、円盤状基材1には熱衝撃が加わる。従って
300℃以上で使用する静電チャックには、耐熱衝撃性が
必要であり、窒化珪素が特に好ましい。
【0022】円柱状端子3の材質としては、コバール,
タングステン,モリブデン,白金,チタン,ニッケル等
を例示できる。膜状電極2の材質としては、例えば、い
わゆるチタン成分を含む金ろう,チタン成分を含む銀ろ
う等が好ましい。これは、これらのろう中に含まれるチ
タンが、加熱処理によってセラミックス中に拡散してい
くことから、各部材の接合力が大きくなるからである。
これらは、特に窒化珪素、窒化アルミニウムに対する接
合性が良い。
【0023】図1は、ヒーター機能の他に、静電チャッ
ク用と高周波印加用の両方の用途に対応しており、膜状
電極2はシート抵抗1Ω以下の低抵抗であることが必要
である。
【0024】また 300℃以上で使用される静電チャック
では、常温のウエハーが搬送ロボットによって送られて
きてチャックされる場合がある。この時円盤状基材1に
は、熱衝撃が加わる。接着剤に軟質金属からなるろう
材、たとえばチタン成分を含む金ロウを用いると、ロウ
材部分の塑性変形により応力緩和が生じるので、静電チ
ャックの耐熱衝撃性は向上する。
【0025】溶射膜9の厚さは、 200〜500 μmとする
のが好ましい。また、溶射膜9は、微小な欠陥が多いた
め、単位体積当りの絶縁耐圧は小さい。そこで、溶射膜
9を加熱し、緻密化させることで、絶縁耐圧を向上させ
ることができる。
【0026】図1(a),(b) に示す例では、基材1と支持
体5とを接合し、次いで溶射膜9を形成している。しか
し、基材1と支持体5との間に、導電性接合剤からなる
円形シートを挟み、次いで溶射膜9を形成することがで
きる。この場合には、加熱処理によって基材1と支持体
5とを接合させるのと同時に、溶射膜9を緻密化させる
ことができる。
【0027】絶縁性の溶射膜9の材料としては、ジルコ
ン,コージェライト,アルミナ,チタン酸アルミニウム
等が好ましい。ただし、溶射膜9と基材1,支持体5と
の間の熱膨張差はできるだけ小さくすることが好まし
い。このため、熱膨張差の少ない材料と絶縁性の高い材
料とを組み合わせた傾斜組成を採用することができる。
【0028】例えば、基材1,支持体5の材質として窒
化珪素を採用した場合には、まずジルコンを溶射して第
一の溶射膜を形成し、次いでジルコンよりも絶縁性の高
いアルミナを溶射して第二の溶射膜を形成することがで
きる。
【0029】表1に示すように溶射ジルコンと焼結Al
N,Si34 を比較すると、ジルコンはAlNやSi
34 との熱膨張のマッチングが良いため、被覆に向い
ている。しかし、ジルコンの問題点は、強度が低く、絶
縁耐圧が低いことである。このためジルコン単体ですべ
ての誘電体を構成すると、冷たいウエハーの吸着による
熱応力発生や、絶縁破壊を生じてしまう。これに対し、
上記のようにエッヂ部のみの絶縁被覆としてジルコン溶
射膜を用いると、高強度な基材と一体となっており、ウ
エハーの吸着による温度差を直接受けないため、破壊が
防止できる。又、誘電体膜の 100〜400 μmといった薄
い膜厚に対して、絶縁溶射膜の厚さを 500μm程度とす
る事で、誘電体以上の十分な絶縁性を確保することがで
きる。
【0030】ジルコンの絶縁耐圧が低い原因は、溶射に
よる欠陥,気孔が膜中に発生するためであり、熱処理に
よってある程度絶縁耐圧を改善することが可能である。
尚、基材1として好ましい材料のAlN,Si34
は、溶射する事ができない。
【0031】
【表1】
【0032】このように、半導体ウエハーに対する絶縁
性を確保する事は、最優先に考える必要があり、ウエハ
ーに直接に接する誘電体は、焼結AlN,焼結Si3
4 とすることが好ましい。さらに焼結法に関しては、常
圧焼結、HP,HIPが上げられるが、最も欠陥を無く
す手段としてHP,HIPが好ましい。
【0033】また実際、ジルコンの溶射後の熱処理温度
は、1000℃〜1500℃が考えられる。ジルコンは1540℃以
上で解離し、冷却中で再結合(1450℃以上)する点か
ら、解離せずに欠陥が減少する範囲の熱処理温度が最も
良い。
【0034】溶射するに当って基材表面を粗す事によっ
て、膜の密着性は向上するため、ブラスト又は酸による
エッチングによって表面粗さRaを10μmより大きくす
ることが望ましい。
【0035】次いで、セラミックス基材を複数備えてお
り、各セラミックス基材と絶縁性セラミックス製の支持
体との間にそれぞれ別体の膜状電極が挟まれている態様
について、例示する。
【0036】本例では、円盤状支持体5と円盤状基材1
とを接合した後、図2(a) に示すように、円盤状基材1
及び膜状電極2を、エッチングによってパターニングす
る。この状態では、図2(c) に示すような平面形状とな
る。
【0037】即ち、略半円形状をした一対のセラミック
ス基材1A,1Bと、円環形状のセラミックス基材1C
とがエッチング後に残る。各セラミックス基材1A,1
B,1Cと円盤状支持体5とは、それぞれ膜状電極2
A,2B,2Cによって接合されている。セラミックス
基材1Aと1Bとの間には溝13が設けられ、セラミック
ス基材1A,1Bと外側のセラミックス基材1Cとの間
には、円環状の溝12が設けられている。
【0038】本例の静電チャックは、ウエハーに対し膜
状電極2A,2Bの双極型のものである。更に、ウエハ
ーホルダー用の静電チャックとして膜状電極2Cが設置
されている。このため、円盤状支持体5には、2つの貫
通孔4A,4Bが設けられ、各貫通孔4A,4Bにそれ
ぞれ円柱状端子3A,3Bが挿入、固定されている。円
柱状端子3Aが膜状電極2Aに接合され、円柱状端子3
Bが膜状電極2Bに接合されている。円盤状支持体5の
周縁部の上方にも凹部11が形成されている。
【0039】本例では、各膜状電極2A,2B,2Cの
周縁部も、エッチング等によって除去処理が施されてお
り、凹部8が形成されている。そして、図2(b) に示す
ように、各膜状電極2A,2B,2Cの周縁部を溶射膜
9で被覆する。
【0040】図3に概略的に示す静電チャックは、図1
(b) に示した静電チャックとほぼ同じ構成であり、抵抗
発熱体6,端子7A,7Bが存在しない点が異なる。
【0041】
【発明の効果】本発明によれば、均熱性、耐熱衝撃性に
優れ、かつ、基材と支持体との隙間における膜状電極の
周縁の露出部分からの放電,腐食,汚染を防止できる半
導体製造用サセプターを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (a) は、静電チャックの膜状電極2の周縁部
を除去処理して凹部8を形成した状態を概略的に示す断
面図、(b) は、これに溶射膜9を設けた状態を示す断面
図である。
【図2】 (a) は、静電チャックの表面部分をパターニ
ング処理した後の状態を概略的に示す断面図、(b) は、
次いで溶射膜9を設けた状態を示す断面図、(c)は、パ
ターニング処理後の平面的形状を示す平面図である。
【図3】 更に他の静電チャックを概略的に示す断面図
である。
【図4】 膜状電極2を用いた静電チャックを概略的に
示す断面図である。
【符号の説明】
1,1A,1B,1C 緻密質の絶縁性セラミックス基
材 2,2A,2B,2C 膜状電極 2a 膜状電極の露出部分 5 絶縁性セラミックス製の支持体 6 抵抗発熱体 7A,7B ヒーター用の端子 8 膜状電極2の除去処理部分 9 溶射膜 10 半導体ウエハー
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C23C 4/10

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 緻密質の絶縁性セラミックス基材、絶縁
    性セラミックス製の支持体、および前記絶縁性セラミッ
    クス基材と前記支持体との間に設けられた膜状電極を備
    えている、半導体製造用サセプターであって、 前記絶縁性セラミックス基材と前記支持体との隙間にお
    ける前記膜状電極の周縁の露出部分が絶縁性の溶射膜に
    よって被覆されていることを特徴とする、半導体製造用
    サセプター。
  2. 【請求項2】 前記溶射膜が熱処理によって緻密化され
    ている、請求項1記載の半導体製造用サセプター。
  3. 【請求項3】 前記半導体製造用サセプターが前記セラ
    ミックス基材を複数備えており、各セラミックス基材と
    前記支持体との間にそれぞれ別体の膜状電極が挟まれて
    おり、各膜状電極の前記露出部分がそれぞれ前記溶射膜
    によって被覆されていることを特徴とする、請求項1ま
    たは2記載の半導体製造用サセプター。
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