JP2979318B2 - 17−1a抗原に対するモノクローナル抗体による腫瘍の免疫療法 - Google Patents
17−1a抗原に対するモノクローナル抗体による腫瘍の免疫療法Info
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Description
【発明の詳細な説明】
技術背景
ねずみのモノクローナル抗体17−1Aの殺腫瘍活性はヌ
ードマウスおよびヒトにおいて認められている。例え
ば、デイ.ヘルリン(D.Herlyn)およびエッチ.コプロ
ウスキイ(H.Moprowski)の“IgG2aモノクローナル抗体
のエフェクター細胞との相互作用によるヒト腫瘍増殖の
抑制",プロシーディング オブ ナショナル アカデミ
ー サイエンス.USA(Proc.Natl.Acad.Sci.USA)79巻47
61−4765頁参照。MAb17−1Aの投与が、結腸直腸または
膵臓がんの部分的または完全な後退を生じた多数の事例
が、報告されている。エッチ.エフ.シアース(H.F.Se
ars)等の“胃腸腺がんをもつ患者に関するモノクロー
ナル抗体免疫療法の効果",ジャーナル オブ バイオロ
ジカル レスポンデント モデル(J.Biol.Resp.Mod.3
巻138−150頁;エッチ.エフ.シアース等の“胃腸腺が
んに対するねずみモノクローナル抗体チトチキシック
(cytotixic)のフェースII臨床試験”(1985年),キ
ャンサー リサーチ(Cancer Res.)45巻5910−5913頁
参照。一般に、抗体は500μg以下の単一投与として投
与されている。 発明の要約 本発明は胃腸腫瘍に関連した抗原17−1Aに対するねず
みモノクローナル抗体の複数回、高投与量を使用する胃
腸腫瘍の免疫療法の方法に関するものである。この方法
は胃腸腫瘍の患者に抗体17−1Aに対してねずみモノクロ
ーナル抗体を約0.1〜約5gの総全投与量を約100m以上多
数回、連続投与量で投与することからなる。ねずみ抗体
の各投与量は循環する抗体の“連続的”高水準を達成、
かつ維持するため1〜3日間隔ないし1週間までの間隔
で投与できる。2以上のねずみ抗−17−1A抗体の混合物
が投与できる。多数回、高投与量療法は化学療法、放射
線療法または手術に対してアジュバント療法として実施
できる。 高投与量のねずみ抗体療法は患者に十分に耐えられ
る。更に、処置したヒトに一般に発現する抗−ねずみ抗
体反応は驚くべきことに反覆投与中にねずみ抗体のプラ
ズマ半減期を著しく変えることはない。従って、抗体の
高血液水準が、高投与量の連続注射により達成でき血管
内空間から腫瘍床に抗体の移行を増進し、従って高濃度
の治療抗体を作用位置に供給する。 即ち、本発明の要旨は、 (1) 17−1A抗原のエピトープに特異的に結合するモ
ノクローナル抗体を投与剤形単位あたり少なくとも100m
g含有してなり、初回投与剤形を少なくとも400mgとする
非経口的な複数回投与または継続投与用の胃腸部位の腫
瘍の治療用薬剤、 (2) 患者の胃腸部位の腫瘍の治療にアジュバント療
法として使用される前記(1)記載の薬剤、 (3) 手術を受け又は外科的に腫瘍を切除した患者に
おける胃腸部位の腫瘍の治療に使用される前記(1)ま
たは(2)記載の薬剤、 (4) 該モノクローナル抗体が、17−1A抗原のエピト
ープに特異的に結合するネズミモノクローナル抗体であ
る前記(1)、(2)または(3)記載の薬剤、 (5) 該ネズミモノクローナル抗体が、17−1A抗原の
エピトープに特異的に結合する少なくとも2種の抗体の
混合物である前記(4)記載の薬剤、 (6) 患者の胃腸部位の腫瘍の治療にアジュバント療
法として使用される前記(4)または(5)記載の薬
剤、および (7) 手術を受け又は外科的に腫瘍を切除した患者に
おける胃腸部位の腫瘍の治療に使用される前記(4)、
(5)または(6)記載の薬剤、 に関する。 発明の詳細な説明 本発明は多くの胃腸腫瘍は関連した17−1A抗体に対し
反覆、高投与量のねずみ抗体による胃腸腫瘍の療法に関
するものである。本治療研究法は多数の知見に基づいて
いる。複数回、高投与量で投与したねずみ抗−17−1A抗
体は一般に患者に十分耐えられる、多くの共通副作用は
緩和な胃腸症状である。然しながら、アレルギー反応が
若干の患者には反覆療法を制限する。更に、ヒトの抗−
ねずみ抗体反応が、ねずみ抗体により一般に引き起こさ
れるが、この反応は投与したねずみ抗体の薬理動力学に
著しくは影響しない。これは連続的、高投与量の抗体
が、提供されて抗体の連続的高プラズマ水準を達成かつ
維持できることを示す。抗体の高循環水準の維持は静脈
内区域から腫瘍への抗体の移行を最適にし、従って、一
層効果的な抗−腫瘍作用のため抗体の腫瘍への接近を増
進する。更に、維持された高血液水準により腫瘍細胞の
細胞溶解を伝えた更に有効な抗体従属細胞に対し作用位
置で抗体の延長された高濃度に導かれる。 本発明の方法に依れば、17−1A抗原に対するねずみ抗
体が胃腸腫瘍を有する患者に約0.1〜5g、好ましくは1
〜5gの全投与量、及び約100mg以上、好ましくは400mg〜
1gの反覆投与量で投与される。抗体は非経口的に、好ま
しくは静脈点滴により投与される。抗体は一般に生理学
的に容認された賦形薬例えば生理食塩水中に懸濁して投
与される。抗体の投与量は1〜3日の間隔ないし約1週
間の間隔に亘って与えられる。個々の患者に対する投薬
量の処方は特に患者の臨床状態および有害なアレルギー
症またはアナフラキシー如何による。本目的は療法過程
に亘り抗体の維持された高プラズマ水準を与え腫瘍部位
に抗体の増進された接近を与える断片的投与量で抗体を
提供することである。 17−1Aに対するねずみの抗体は個々にまたは2つ以上
のねずみ抗−17−1A抗体の混合物(カクテル)で投与で
きる。好ましくは、17−1Aに対する異なるエピトープ特
性を持つ抗−17−1A抗体は添加剤または相乗効果的に抗
腫瘍活性を増加するため組合せで使用される。ねずみ抗
体は原型の17−1A抗体または以下に記載されるM72,M74,
M77およびM79抗体の如き17−1A抗原の類似または異なる
エピトープと認められる他のねずみ抗体から選択でき
る。 17−1A抗原に対するねずみ抗体は17−1A抗原が関連す
る胃腸系の腫瘍の受動的免疫療法に使用できる。実例は
胃腸の腺がん、結腸直腸がんおよび膵臓がんである。ぬ
ずみ抗体の処置は化学療法、放射線療法および/または
外科的処置を含め他の形態の療法にアジュバントとな
る。特に、ねずみ抗体療法は外科的排除のできないミク
ロまたは小型転位に向けられるアジュバント療法として
有用である。 本発明を更に次の例証により説明する。 試 験 例 試験を20人の患者に実施して17−1Aの反覆、高投与量
に対する患者の耐性を調査し、反覆投与に関するその薬
理動力学を調査し、このねずみの免疫グロブリンに対す
るヒトの免疫反応(抗体)の特徴を与えた。 患者集団 胃腸の悪性腫瘍をもつ20人の患者(結腸17、胃部2、
膵臓部1)を、患者が小中腫瘍の重荷即ち70%(カルノ
フスキー比率)以上の性能状態および客観的に測定し得
る病状の転位症を持つことをベースにして選択した。研
究な個々の患者の腫瘍標本により17−1A反応性を証明す
るために実施した。20人の患者のうち7人は従前に化学
療法を受けたが、13/20は転位症に対する従前の治療を
受けなかった。 処置プロトコール 研究はバーミンガムのアラバマ大学、総合がんセンタ
ーの臨床研究単位を実施した。生理食塩水250mlに希釈
した17−1Aの全投与量400mgを利用した全抗体点滴を生
命徴候を注意深くモニターしつゝ30分に亘り注入した。
全ての点滴液は全投与量の点滴液の投与に先立って、0.
7mgの静脈内試験投与量で先行し次いで30分のモニター
を行った。プロトコールには累進的に増加する数の週間
点滴を受ける5患者個々の4群の増加が包含される。即
ち1群−5患者−単一点滴(1回のみ投与);2群−2点
滴による5患者−1日および8日(週1回で2回の投与
で完了);3群−3点滴による5患者−1日、8日および
15日(週1回で3回の投与で完了);4群−4点滴による
5患者−1日、8日、15日及び22日。3群の患者に毒性
が示されたため、4点滴を受けた患者はないが、これら
の5患者は2群に加えられ2点滴の治療を与えた(1日
および8日)。抗体の最終点滴後、全患者は6週間臨床
観察が続けられ、それらの最終点滴に続いて1週間尿検
査、肝臓および腎臓機能、血液数および臨床評価のモニ
ターを行った。 薬理動力学 薬理動力的分析を第1の5人の患者についてその単一
点滴の時期に実施し(17−1Aの先行接触はない)、2点
滴を受けた10人の患者はその第2点滴の時期の研究し
(1人は17−1Aの先行接触)および3群の患者はその第
3点滴の時期に研究した(2人が、17−1Aの先行接
触)。薬理動力学のため、血液試料を点滴以前、点滴完
了に際して直ちにおよび1/2,1,2,4,12,24,48,72時間お
よび86時間に採取した。ねずみ免疫グロブリン消失の一
般的模型を確認するために、全薬理動力学研究を受けぬ
点滴に関してスポット試料を治療前、治療後1,24および
48時間に採取した。17−1Aのプラズマ水準をうさぎの抗
−マウスガンマグロブリンおよび放射線標識した
(125I)親和力精製やぎ抗−マウスIgG,F(ab′)2で
被覆したラテックスビーズを利用する固相ラジオメータ
ーサンドイッチ検定を使用して定量した。プラズマ中の
17−1Aの濃度は通常のプラズマに希釈した17−1Aの既知
濃度の標準曲線と比較した放射線標識した抗−マウスIg
G,F(ab′)2のラテックス粒子結合量により定量し
た。この検出の感度は1.0ng/mlであった。 ヒト抗−マウス抗体(HAMA)反応 各血清試料は各患者について各点滴以前および、次い
で週×6採取した。ヒトの抗17−1Aの存在を定量するた
めに使した検定はラテックスビーズ被覆17−1A、放射線
標識した(125I)17−1A 1μg試験プラズマ100μl
(300〜400cpm/ngの比活性)の同時培養を使用する“二
重抗原”系〔ジ.アジソン(G.Addison)およびシー.
ヘール.(C.Hale),Horm,metab.Res.3巻,59−60頁(19
71年)〕であった。試料は室温で90分培養し、ビーズで
会合した放射能を前記のパーコール(Percoll)による
ビーズの遠心分離により定量した〔エー.ロブグリオ
(A.Lobuglio)等,New Engl.J.Med.,309巻459−463頁
(1983年)〕。プラズマによりビーズに結合した125I−
17−1Aのcpmは既知の125I−17−1Aの比活性を使用して
プラズマの17−1A/mlのngに変換された。この検定は明
らかに17−1A(IgGおよびIgM)に対する1以上の結合位
置をもついずれの分子をも検出する。正常な個人および
がん患者の検定結果は17−1A接触以前は5±4ng/mlのプ
ラズマ(n=54)であってこの数値は0〜16ng/mlの範
囲にあった。20ng/ml以上の値が抗体反応として分類さ
れた。 17−1Aモノクローナル抗体 モノクローナル抗体はセントコー社(Centocor,In
c.)により生理食塩水中10mg/mlの精製懸濁液として提
供された。それは使用前は4℃で保存された。プロトコ
ールはセントコールスポサーIND(第2168番)で実施さ
れた。 毒性 17−1A投与の逆効果を第1表に要約した。 第1表 17−1A点滴に関連した毒性 I. 1回投薬量(400mg)−5患者(1群) 3/5 − なし 2/5 − G.I.徴候 II. 毎週2投薬量(400mg)−10患者(2群) 4/10 − なし 5/10 − G.I.徴候 1/10 − 紅潮/頻拍 III. 毎週3投薬量(400mg)−5患者(3群) 3/5 − なし 2/5 − G.I.徴候およびアナフラキシー(第3服
用) 2点滴液を受けた4患者および3点滴液を受けた3患
者を包含する20患者中10患者が逆効果がなかった。最も
屡々観察された副作用は胃腸(9/20)で吐き気および嘔
吐(4患者)または腹痛があったり無かった下痢(7患
者)を伴った。徴候は通常点滴の1時間以内に始まり、
24時間以内続いた。それらは適度−中位の厳しさで容易
に抗−下痢薬の抗−吐剤により調整された。胃腸の徴候
の頻度は17−1A点滴の数には関係なかった。1患者が、
第2点滴の最中に紅潮および頻拍の1回があったが、こ
れは点滴速度を単に遅くすることにより消失した。この
患者は点滴中にも先行点滴にも他の副作用は無かった。 2患者が著しい副作用があった。両患者ともその第1
および第2点滴(1日および8日)に関連した吐き気お
よび嘔吐があった。彼等は15日に17−1Aの試験投薬量に
耐え30分に亘る観察に副作用が無かった。治療点滴を次
に開始したが両者はアナフラキシーと判断される呼吸困
難、頻拍および低血圧を現わした。両点滴を直ちに停止
(与えられた投薬量の10%以下)し、患者はコルチコス
テロイド、エピネフリンおよび抗ヒスタミンによる治療
に十分反応した。研究中の患者は検尿、完全な血液数、
腎臓または肝臓機能の異常性を示さなかった。 薬理動力学 各患者について連続プラズマ17−1A水準を分析しプラ
ズマ消失の1区分のモデルに適合することを見出した。
曲線によるピークのプラズマ濃度、プラズマ半減期およ
び面積を第2表に要約した。 アナフラキシー(過敏症反応)を持つ2患者は17−1A
の全第3投薬量を受け入れず、従って、薬理動力学の研
究が無かった。従って、3患者のみが、17−1Aに2先行
抗体の接触を持つ群を形成した。結果は全3群の患者に
類似した。第3点滴に関する3患者の研究は単一または
第2点滴による患者の群より17−1Aのやゝ低い血清濃度
およびやゝ長い平均プラズマ半減期があった。差異が余
り大きくなく、かつ、群が少数の患者で形成されたた
め、解釈は限定される。 ヒトの抗−マウス抗体(HAMA)反応 治療に先行した患者の血清は125I−17−1Aの被覆した
ビーズを結合する能力は殆んどまたは検出できなかった
第3表に要約した如く、殆んど全ての患者は第1の17−
1A接触の25日以内にHAMAを示した(17/20)。多数(11/
20)が8日までにHANAを持ち8/11が100ng/ml以上の値を
持ち、2/11が1000ng/ml以上の値を持った。ピークの値
は一般に15日または22日に示され、値は29日までおよび
越えて降下した。17−1Aに1,2または3回の接触を受け
た患者は第4表に示す如くHAMA反応により同程度であっ
た。 過敏症の2患者に興味があった。彼等は8日に1055お
よび264ng/ml、15日に1716および3745ng/mlのHAMA水準
を有した。彼等は吐き気および嘔吐(1日の点滴に有し
たものに類似)を除いて逆作用なしに8日の点滴に耐性
を持ったが、15日にその第3点滴の時期に過敏症反応を
呈した。副作用のない5人、胃腸徴候の3人、紅潮/頻
拍の1人、および過敏症の2人によってHAMA水準が20ng
/ml以上であった(高めた)時11の点滴全てを患者に投
与した。患者で熱、たんぱく尿または腎臓障害を示した
ものはない。 また、これらの11の点滴中9個に適当なプラズマ試料
が、17−1A抗体のピークのプラズマ濃度およびプラズマ
半減期の定量に利用できたことは興味深い。これらの値
は検出できるHAMAのない点滴以上に実質的に差異は無か
った。 検討 17−1Aモノクローナル抗体400mgの反覆投与のこのI/I
I相の研究は多数の観察を提供している。一般に、抗体
の投与は第1または第2の点滴を受けた患者の場合十分
に許容された。軽い胃腸の症状は明らかに抗体の点滴に
関係があり、著しい臨床上の問題ではなかった。これら
の症状の病因は不明であるが、これらは第3の点滴に比
較して患者の第1の点滴中全く屡々生じたためアレルギ
ー反応に関連するとは考えられない。これらは正常な胃
腸の粘膜に対するこの抗体の結合の能力に関係する〔エ
ッチ.シアース(H.Sears)等,Surg.Res.31巻145−150
頁(1981年)〕。毎週3点滴を受けた患者5名中2名は
過敏症反応があった。潜在的に生命に恐威となるアレル
ギー反応の頻度により我々の試験の4−投与予定は阻止
され15日に抗体投与を必要とする処置予定を中止され
た。 薬理動力学研究は抗体のこの投薬量がかなり低い投薬
量で投与された他のマウスモノクローナル抗体(放射線
標識した)による観察〔エム.プリム(M.Primm)等,J.
Nucl.Med.26巻,1011−1025(1985年)およびエム.ロー
ゼンブルム(M.Rosenblum)等,Cancer Res.45巻,2982−
2386頁(1985年)〕に近似したプラズマ消失曲線により
100〜200μg/mlのプラズマ濃度を達成できることを示し
ている。このプラズマ半減期は8日までに1μg/ml以下
のプラズマ濃度を与えた。従って、17−1Aの実質的なプ
ラズマ濃度の維持は週1回より屡々多い投与を必要とす
る。先行研究〔エム.プリム等,J.Nucl.Med.26巻1011−
1023頁(1985年)およびエス.ラーソン(S.Larson)
等,J.Nucl.Med.24巻,123−129頁(1983年)〕はHAMA反
応の出現はマウスIgの循環水準の烈しい変化に関連する
ことを示唆している。この現象の観察の発明者の不足は
若干意外である。然しながら、本発明者等の測定はプラ
ズマml当り結合17−1Aμgに関して循環中に100〜200μ
g/mlの濃度を容易に達成する17−1Aの点滴により表わさ
れることに注目すべきである。本発明者らは最近発明者
らのHAMA検定を改良し全循環HAMAの定量を可能にしてい
る。これにより患者の全循環HAMAが、17−1Aのこの大循
環投薬量のわずかな少留分に結合することができるか否
かが明白にされるであろう。 発明者らは他者により報告された〔アール.シュロッ
フ(R.Schroff)等,Catcer Res.45巻,879−885頁(198
5)〕ような抗体点滴に先行して以前に存在するヒトの
抗−マウス抗体の証拠を見出せなかった。発明者らは放
射線を標識したモノクローナルマウス抗−ヒトFc抗体を
使用した17−1A被覆のビーズに結合したヒト免疫グロブ
リンを検出した検定を使用しヒト抗−マウス抗体の検定
を当初試みた。発明者らはモノクローナル抗体点滴に先
行して正常な人およびがん患者が、17−1A被覆ビーズに
非特定的に結合した異なる量のヒト免疫グロブリンを有
することを見出した。この結合は可溶性抗原により代表
的な競争的な抑制を有せず非−特定的現象でかつ抗体で
はないと判断された。対照として、17−1A被覆ビーズに
結合した後期−予防注射のプラズマ免疫グロブリンは容
易に可溶性抗原により抑制された。従って、本研究に使
用した二重抗原検定方式は17−1Aに対し一層明白に免疫
反応を反映すると考えられる。17−1Aの1以上の大投薬
量の投与にも拘わらず、このタンパク質に対するヒトの
抗体反応は8日までに屡々検知できる抗体と15日および
22日までに得られたかなりの水準の抗体により刺激され
た。更に、研究は免疫グロブリンの亜鋼および抗−特異
型に関してこの抗体反応を特徴づける途中にある。 17−1A抗原の生化学的およびエピトープ分析/17−1Aに
対するモノクローナル抗体の生産 材料および方法 細胞および組織 ヒトの結腸がん細胞系DLD−1およびWiDrはロックフ
ィル,MDのアメリカンタイプ カルチャー コレクショ
ンから得られた。結腸がん系HT−29はジエ.フォフ博士
(J.Fogh),スローン ケッタリング インスチチュー
ト フォア キャンサー リーサ,NY.から提供を受け
た。ヒトの組織は手術除去直後に液体窒素−冷却イソペ
ンタン中で瞬間冷却した。 放射線標識および免疫沈殿 細胞(5×107)は前述の125Iを使用したラクトパー
オキシダーゼ−介在の沃素化により表面−標識した。ジ
エ.アール.エル.ピンク(J.R.L.Pink)およびエー.
チーグラー(A.Tiegler)(1979年),Research Methods
in immunology,アカデミック出版社,NY。MAbsをタンパ
ク質A−セファロース(シグマ社,セントルイス,mo)
に混合した免疫ソルベント(Immunosorbents)は標識し
た細胞リセート(lysates)に4℃で2時間添加した。
混合した材料は試料緩衝液中で沸騰して溶出し、レムリ
ー(Laemmli)によるSDS−ポリアクリラミドゲル電気泳
動(SDS−PAGE)により分析した。U.K.Laemmli,Nature,
22巻,680−685頁(1970年)。 MAbの選択 結腸がん組織は単一転位のため肝臓のロボトミーを受
けた51才の老女性患者より得た。17−1Aの陽性の腫瘍組
織を注意深く分離し、ミンチし、均質化し、プラズマ膜
をトウスター(Touster)らにより記載された(I.Cell.
Biol.47巻,604−618頁(1970年)如く精製した。(C57B
L/6×Balb/c)Fl牝マウスからの脊髄細胞p3×63Ag8.653
融解は標準方法〔ガルフル(Galfre),Natur,266巻,550
−552頁〕を使用してボルデテーラ(Bordetella)百日
咳アジュバントと共にタンパク質3mgに相等する結腸が
んプラズマ膜製剤の単一i.p.注射後3日に実施した。融
解後細胞はマウス腹膜マクロファージを含む96個のミク
ロタイターのプレート中のHAT選択媒体(ヒポキサンチ
ン,アミノプテリン,チミジン)中に加えた。ハイブリ
ドの上澄液は予防注射のため採取した肝臓転位を起した
冷凍組織部分のイムノパーオキシダーゼ染色により選別
した。転位の結腸がん細胞および隣接する肝臓中の胆汁
管と反応し肝臓細胞と反応しない抗体は更に第5表に列
記した非−悪性上皮組織のパネルについて試験した。こ
の関係中17−1A−類似の着色形態を示す抗体は限定した
希釈により少なくとも2倍のクローンを生じた。 試験した正常組織の全てに一致した染色の型を示し
たMAbs17−1A,M72,M74,M77およびM79による免疫組織化
学的染色により確認した。 免疫吸取 免疫沈降物はSDS−PAGEにより分離し、トウビン(Tow
bin)ら(Proc.Natl.Acad.Sci.USA,76巻,4350−4354頁
(1979年)により、ニトロセルロース膜〔シュライヒエ
ル(schleicher)およびシェル(Schull),ダッセル,F
RD〕に電気泳動的に移動され、かつ移動した抗原は間接
的イムノパーオキシダーゼ技術〔ビ.ホルツマン(B.Ho
lzmann)ら,J.Exp.Med,161巻,366−377頁(1985年)〕
により視覚化した。 流動サイトメーター分析 HT−29細胞は氷上で未濃縮、10×または50×濃縮上澄
液のMAbs,M72,M74,M77またはM79により予備培養し、次
いでビオチン化した17−1A抗体(10μg/ml)およびアビ
ディン−フィコエリスリン〔ベクトン−ディキンソン
(Becton−Dickinson,マウンテンビウ,CA)〕により培
養した。蛍光像をEPICS−V〔クールター エレクトロ
ニクス(Coulter Electronics,ハイアリーン,FL.)〕に
より分析した。 免疫組織化学 凍結した組織細片を調製し、本質的には他に記載され
た間接的免疫パーオキシダーゼ技術により着色した。ゲ
ットリンガー(Gottlinger)ら,Inst.J.Cancer35巻,199
−205頁(1985年)。簡単に述べると、風乾した細片
(7μm)をアセトン中に10分間固定し、MAb(10μg/m
lまたは未希釈上澄液)で30分間培養し、PSB中で洗淨
し、ヒト血清20%を含有するPBS中に希釈したパーオキ
シダーゼ−共軛うさぎ抗−マウスIg抗血清〔ジアノバ
(Dianova),ハンブルグ,FRG〕に30分間接触した。細
片はPSB中で洗淨した後、0.001%H2O2を含有するpH7.4
の0.02Mの緩衝液中の0.004%3−アミノ−9−エチルカ
ルバゾール中で20分培養し、続いてマイヤーのヘマリウ
ム(Hemalum)により逆着色した。 結果 17−1A Agの生化学分析 17−1A Agの当初の生化学分析は一つのヒト腫瘍細胞
系(HT−29)に対してのみ行われるので、発明者らは表
面ヨウ素化により二つの付加的ヒト結腸がん系に関して
示された17−1A Agの性質を調査した。MAb17−1Aによ
る沈殿は3者の細胞系,DLO−1,WiDrおよびHT−29におい
て同一の単一タンパク質バンドを示し、これは37KDの見
掛の分子量をもってSDS−PAGE系に移動した。蛍光圏強
度から判断されるように、3細胞系から沈殿可能の抗原
量は全く可変的で、結腸系DLD−1は最高量の放射線標
識抗原を与えた。電気泳動に先行して2−メルカプトエ
タノールが沈殿に添加された還元条件下では33KDの明白
なバンドが、3細胞系の全てから得られた。更に、約40
KD成分の主要成分もまたHT−29リセート中に時々見出さ
れた。このバンドは明らかに不在かまたはWiDr細胞から
沈殿されなかった。 チュニカマイシン(2μg/ml)によるHT−29細胞の24
時間培養は非還元条件で30KD、還元条件で26KDの新バン
ドの出現を与え、17−1A Agが2個の結合したグリコシ
ル化の位置を示した。17−1Aの糖タンパク質の性質は更
にニユラミニダーゼによる17−1Aの沈殿の処理により実
証され、これは見掛け分子量の軽微な然も明白な還元を
与えた。 新MAbによる17−1Aのエピトープ分析 17−aA Ag(M72,M74,M77,M79)に対し向けられた新
規の4MAbsが凍結した組織細片について17−1A−類似の
反応性に対し結腸がん転位からの膜製剤により免疫した
ねずみから発生したハイブリドーマの上澄液を選別する
ことにより得られた。2抗体の全ては当初の17−1A抗体
に見られる同一分子量のタンパク質を沈殿する。新規の
MAbsにより確認された抗原の同一性を確認するため、広
範な免疫吸取分析を実施し、それにより17−1A免疫沈殿
がSDS−PAGEによる分離後にニトロセルロースに移行し
新規の4試薬により試験した。前文に示した如く、37KD
タンパク質に結合した新規の4抗体はアイソタイプの配
合した対照MAbsでは得られなかった。新規のMAbsのエピ
トープ特異性を分析するためクロス−阻害試験を実施し
た。流動血球計算分析においてビオチニル化した17−1A
抗体のHT−29細胞への結合は完全にMAbsM72およびM74
(第6表)による腫瘍細胞の予備培養により阻害され
た。対象としてMAbsM77およびM79は試験した全ての濃度
においてビオチニル化した17−1A抗体の著しい阻害活性
を示さなかった。発明者らは更にエピトープ特異性が抗
体のイディオタイプに関係があるかどうかを分析した。
全MAbsはやぎの17−1A抗体に対し発生した抗−アイディ
オタイプの抗血清〔ウィスター研究所,フィラデルフィ
アのドロシイ ハーリン(Dorothy Herlyn)博士により
提供された〕との反応性を分析した。抗−アイディオタ
イプの抗血清は交叉−阻害する2MAbs(M72およびM74)
と強く反応したが、MAbs M77およびM79とは完全に反応
しなかった。これらのデータはMAbs 17−1A,M72および
M74は37KD糖タンパク質に関して同一または密接に関係
したエピトープを認めているが、MAbs M77およびM79は
この抗原に対し付加的エピトープを限定することを示し
ている。17−1A Agの組織分布 直接免疫パーオキシダーゼ技術を用いることによっ
て、種々の正常ヒト器官及び種々のヒトがん中に17−1A
Agが同定された。同時に、新しい4つのMAbを並行し
て組織切片を分析した。結腸組織における17−1A Agを
発現については、正常な粘膜が試験された14名の患者に
おいて結腸がん組織と同程度に染色されることが見出さ
れた。また17−1A Agは小腸の上皮内面、胆嚢、気管支
及び甲状腺、乳腺、汗腺、及び外分泌及び外分泌膵臓を
含む種々の腺構造で明らかに検出された。更に、17−1A
Agは腎臓の遠位尿細管およびヘンレ(Henle)のルー
プに、及び肝臓の胆管(肝細胞でなく)に発現すること
が見出された。 胃においては、正常粘膜は普通、限定された区域に弱
い染色が見出された。しかしながら、種々の程度の小腸
化生(胃粘膜中に小島状に存在する)5人の患者につい
て、これらの領域はMAb17−1A及び4つの新しいMAbによ
って強力に染色された。17−1A Agもまた、試験された
9個の胃がんの全てに明らかに発現された。 検討 我々は17−1A Agが非還元条件下でのSDS−PAGEにお
いて37KDの見掛分子量であるように移動する糖タンパク
であることを示した。3種の異なる結腸がん細胞ライン
との比較分析では、非還元条件が用いられる場合、17−
1A Agの異種性を示さなかった。17−1A沈殿を2−メル
カプトエタノールで還元し、SDS−PAGEによる分離で
は、33KDのバンドが表われた。これは試験した全ての細
胞ラインについて見出された。更に、40KDバンドは、DL
D−1細胞溶解物中には主成分の1つとして、またHT−2
9細胞溶解物中により低い水準で表われた。この40KDバ
ンドはしたがってWiDr細胞からの溶解物には存在しなか
った。DLD−1またはHT−29細胞からの沈殿物を1回の
実験で処理し、還元下または非還元下で並行した条件で
分析した場合、2−メルカプトエタノールの存在下では
33及び40KDの2つのバンドがその不存在下では37KDの1
本のバンドが生じた。したがって、17−1A Agの還元で
は異なる電気泳動の移動度を有する2種の新しい分子が
生じている。分子内ジスルフィド結合の存在によって、
この特異な泳動の状態を説明できるであろう。 別法として、17−1A Agは、非還元条件下では同一の
泳動挙動を示すタンパクの二量体として実際には存在し
ているものと考えられる。WiDr溶解物中に40KDの分子が
存在しないということは、異なる細胞ライン中のラクト
パーオキシダーゼ介在ヨウ素化に関するこのタンパク質
の異なる親和性によって説明できるであろう。代謝標識
および架橋化学を用いる更に別の分析が、上記の問題を
解決するのに必要であろう。ロス(Ross)等は、30KD及
び40KDサブユニットから成るMAb GA733によって定義さ
れるがん関連表面糖タンパクについて最近記述してい
る。彼等は、17−1A抗体は同じ抗原を認識するが、MAb
GA733と異なる抗原決定基に結合することを示唆して
いる。ここで記述した抗体との直接の比較により、これ
らの複数の抗原の関連性が明らかになるであろう。 我々が得た4種の新規な抗17−1A Ag MAbは正常器官
および腫瘍において、元の17−1A抗体に匹敵する組織反
応性を示した。これまでのところ、試験された種々の組
織において異なる抗原決定基発現は見られていない。こ
れらMAbのうちの2つ(M72及びM74)は、交差ブロッキ
ング実験によって判断されるように、MAb17−1A検出さ
れるものと緊密に関連した決定基を認識する。一方、MA
b−M77及び−M79は少なくとも1つの他の抗原決定基を
明らかに定義する。何故ならば、これらはビオチニル化
17−1A抗体の結合を阻害しないからである。興味あるこ
とに、これらMAbの抗原決定基特異性はヤギ抗イディオ
タイプ抗血清の反応性と相関される。これらMAbは元の1
7−1A抗体と関連する生物学的活性を分析するのに有用
であろう。 17−1A Agは非悪性上皮器官内で広く発現し、かつ17
−1A陽性組織由来の大部分のがん中にも存在する。正常
組織及び悪性組織間の発現の量的差異は、同一患者由来
の直結腸がんと正常粘膜の比較免疫組織化学分析におい
ては証明されなかった。しかしながら、この正常細胞及
び悪性細胞上のこの上皮性抗原の構造上の異質性は、こ
の分析では決定できなかった。 当業者であれば通常の実験以外を用いることなく、本
明細書に記述した具体的態様に対する多くの均等技術を
認識し、または確立できるであろう。そのような均質物
は本発明に含まれるものとする。
ードマウスおよびヒトにおいて認められている。例え
ば、デイ.ヘルリン(D.Herlyn)およびエッチ.コプロ
ウスキイ(H.Moprowski)の“IgG2aモノクローナル抗体
のエフェクター細胞との相互作用によるヒト腫瘍増殖の
抑制",プロシーディング オブ ナショナル アカデミ
ー サイエンス.USA(Proc.Natl.Acad.Sci.USA)79巻47
61−4765頁参照。MAb17−1Aの投与が、結腸直腸または
膵臓がんの部分的または完全な後退を生じた多数の事例
が、報告されている。エッチ.エフ.シアース(H.F.Se
ars)等の“胃腸腺がんをもつ患者に関するモノクロー
ナル抗体免疫療法の効果",ジャーナル オブ バイオロ
ジカル レスポンデント モデル(J.Biol.Resp.Mod.3
巻138−150頁;エッチ.エフ.シアース等の“胃腸腺が
んに対するねずみモノクローナル抗体チトチキシック
(cytotixic)のフェースII臨床試験”(1985年),キ
ャンサー リサーチ(Cancer Res.)45巻5910−5913頁
参照。一般に、抗体は500μg以下の単一投与として投
与されている。 発明の要約 本発明は胃腸腫瘍に関連した抗原17−1Aに対するねず
みモノクローナル抗体の複数回、高投与量を使用する胃
腸腫瘍の免疫療法の方法に関するものである。この方法
は胃腸腫瘍の患者に抗体17−1Aに対してねずみモノクロ
ーナル抗体を約0.1〜約5gの総全投与量を約100m以上多
数回、連続投与量で投与することからなる。ねずみ抗体
の各投与量は循環する抗体の“連続的”高水準を達成、
かつ維持するため1〜3日間隔ないし1週間までの間隔
で投与できる。2以上のねずみ抗−17−1A抗体の混合物
が投与できる。多数回、高投与量療法は化学療法、放射
線療法または手術に対してアジュバント療法として実施
できる。 高投与量のねずみ抗体療法は患者に十分に耐えられ
る。更に、処置したヒトに一般に発現する抗−ねずみ抗
体反応は驚くべきことに反覆投与中にねずみ抗体のプラ
ズマ半減期を著しく変えることはない。従って、抗体の
高血液水準が、高投与量の連続注射により達成でき血管
内空間から腫瘍床に抗体の移行を増進し、従って高濃度
の治療抗体を作用位置に供給する。 即ち、本発明の要旨は、 (1) 17−1A抗原のエピトープに特異的に結合するモ
ノクローナル抗体を投与剤形単位あたり少なくとも100m
g含有してなり、初回投与剤形を少なくとも400mgとする
非経口的な複数回投与または継続投与用の胃腸部位の腫
瘍の治療用薬剤、 (2) 患者の胃腸部位の腫瘍の治療にアジュバント療
法として使用される前記(1)記載の薬剤、 (3) 手術を受け又は外科的に腫瘍を切除した患者に
おける胃腸部位の腫瘍の治療に使用される前記(1)ま
たは(2)記載の薬剤、 (4) 該モノクローナル抗体が、17−1A抗原のエピト
ープに特異的に結合するネズミモノクローナル抗体であ
る前記(1)、(2)または(3)記載の薬剤、 (5) 該ネズミモノクローナル抗体が、17−1A抗原の
エピトープに特異的に結合する少なくとも2種の抗体の
混合物である前記(4)記載の薬剤、 (6) 患者の胃腸部位の腫瘍の治療にアジュバント療
法として使用される前記(4)または(5)記載の薬
剤、および (7) 手術を受け又は外科的に腫瘍を切除した患者に
おける胃腸部位の腫瘍の治療に使用される前記(4)、
(5)または(6)記載の薬剤、 に関する。 発明の詳細な説明 本発明は多くの胃腸腫瘍は関連した17−1A抗体に対し
反覆、高投与量のねずみ抗体による胃腸腫瘍の療法に関
するものである。本治療研究法は多数の知見に基づいて
いる。複数回、高投与量で投与したねずみ抗−17−1A抗
体は一般に患者に十分耐えられる、多くの共通副作用は
緩和な胃腸症状である。然しながら、アレルギー反応が
若干の患者には反覆療法を制限する。更に、ヒトの抗−
ねずみ抗体反応が、ねずみ抗体により一般に引き起こさ
れるが、この反応は投与したねずみ抗体の薬理動力学に
著しくは影響しない。これは連続的、高投与量の抗体
が、提供されて抗体の連続的高プラズマ水準を達成かつ
維持できることを示す。抗体の高循環水準の維持は静脈
内区域から腫瘍への抗体の移行を最適にし、従って、一
層効果的な抗−腫瘍作用のため抗体の腫瘍への接近を増
進する。更に、維持された高血液水準により腫瘍細胞の
細胞溶解を伝えた更に有効な抗体従属細胞に対し作用位
置で抗体の延長された高濃度に導かれる。 本発明の方法に依れば、17−1A抗原に対するねずみ抗
体が胃腸腫瘍を有する患者に約0.1〜5g、好ましくは1
〜5gの全投与量、及び約100mg以上、好ましくは400mg〜
1gの反覆投与量で投与される。抗体は非経口的に、好ま
しくは静脈点滴により投与される。抗体は一般に生理学
的に容認された賦形薬例えば生理食塩水中に懸濁して投
与される。抗体の投与量は1〜3日の間隔ないし約1週
間の間隔に亘って与えられる。個々の患者に対する投薬
量の処方は特に患者の臨床状態および有害なアレルギー
症またはアナフラキシー如何による。本目的は療法過程
に亘り抗体の維持された高プラズマ水準を与え腫瘍部位
に抗体の増進された接近を与える断片的投与量で抗体を
提供することである。 17−1Aに対するねずみの抗体は個々にまたは2つ以上
のねずみ抗−17−1A抗体の混合物(カクテル)で投与で
きる。好ましくは、17−1Aに対する異なるエピトープ特
性を持つ抗−17−1A抗体は添加剤または相乗効果的に抗
腫瘍活性を増加するため組合せで使用される。ねずみ抗
体は原型の17−1A抗体または以下に記載されるM72,M74,
M77およびM79抗体の如き17−1A抗原の類似または異なる
エピトープと認められる他のねずみ抗体から選択でき
る。 17−1A抗原に対するねずみ抗体は17−1A抗原が関連す
る胃腸系の腫瘍の受動的免疫療法に使用できる。実例は
胃腸の腺がん、結腸直腸がんおよび膵臓がんである。ぬ
ずみ抗体の処置は化学療法、放射線療法および/または
外科的処置を含め他の形態の療法にアジュバントとな
る。特に、ねずみ抗体療法は外科的排除のできないミク
ロまたは小型転位に向けられるアジュバント療法として
有用である。 本発明を更に次の例証により説明する。 試 験 例 試験を20人の患者に実施して17−1Aの反覆、高投与量
に対する患者の耐性を調査し、反覆投与に関するその薬
理動力学を調査し、このねずみの免疫グロブリンに対す
るヒトの免疫反応(抗体)の特徴を与えた。 患者集団 胃腸の悪性腫瘍をもつ20人の患者(結腸17、胃部2、
膵臓部1)を、患者が小中腫瘍の重荷即ち70%(カルノ
フスキー比率)以上の性能状態および客観的に測定し得
る病状の転位症を持つことをベースにして選択した。研
究な個々の患者の腫瘍標本により17−1A反応性を証明す
るために実施した。20人の患者のうち7人は従前に化学
療法を受けたが、13/20は転位症に対する従前の治療を
受けなかった。 処置プロトコール 研究はバーミンガムのアラバマ大学、総合がんセンタ
ーの臨床研究単位を実施した。生理食塩水250mlに希釈
した17−1Aの全投与量400mgを利用した全抗体点滴を生
命徴候を注意深くモニターしつゝ30分に亘り注入した。
全ての点滴液は全投与量の点滴液の投与に先立って、0.
7mgの静脈内試験投与量で先行し次いで30分のモニター
を行った。プロトコールには累進的に増加する数の週間
点滴を受ける5患者個々の4群の増加が包含される。即
ち1群−5患者−単一点滴(1回のみ投与);2群−2点
滴による5患者−1日および8日(週1回で2回の投与
で完了);3群−3点滴による5患者−1日、8日および
15日(週1回で3回の投与で完了);4群−4点滴による
5患者−1日、8日、15日及び22日。3群の患者に毒性
が示されたため、4点滴を受けた患者はないが、これら
の5患者は2群に加えられ2点滴の治療を与えた(1日
および8日)。抗体の最終点滴後、全患者は6週間臨床
観察が続けられ、それらの最終点滴に続いて1週間尿検
査、肝臓および腎臓機能、血液数および臨床評価のモニ
ターを行った。 薬理動力学 薬理動力的分析を第1の5人の患者についてその単一
点滴の時期に実施し(17−1Aの先行接触はない)、2点
滴を受けた10人の患者はその第2点滴の時期の研究し
(1人は17−1Aの先行接触)および3群の患者はその第
3点滴の時期に研究した(2人が、17−1Aの先行接
触)。薬理動力学のため、血液試料を点滴以前、点滴完
了に際して直ちにおよび1/2,1,2,4,12,24,48,72時間お
よび86時間に採取した。ねずみ免疫グロブリン消失の一
般的模型を確認するために、全薬理動力学研究を受けぬ
点滴に関してスポット試料を治療前、治療後1,24および
48時間に採取した。17−1Aのプラズマ水準をうさぎの抗
−マウスガンマグロブリンおよび放射線標識した
(125I)親和力精製やぎ抗−マウスIgG,F(ab′)2で
被覆したラテックスビーズを利用する固相ラジオメータ
ーサンドイッチ検定を使用して定量した。プラズマ中の
17−1Aの濃度は通常のプラズマに希釈した17−1Aの既知
濃度の標準曲線と比較した放射線標識した抗−マウスIg
G,F(ab′)2のラテックス粒子結合量により定量し
た。この検出の感度は1.0ng/mlであった。 ヒト抗−マウス抗体(HAMA)反応 各血清試料は各患者について各点滴以前および、次い
で週×6採取した。ヒトの抗17−1Aの存在を定量するた
めに使した検定はラテックスビーズ被覆17−1A、放射線
標識した(125I)17−1A 1μg試験プラズマ100μl
(300〜400cpm/ngの比活性)の同時培養を使用する“二
重抗原”系〔ジ.アジソン(G.Addison)およびシー.
ヘール.(C.Hale),Horm,metab.Res.3巻,59−60頁(19
71年)〕であった。試料は室温で90分培養し、ビーズで
会合した放射能を前記のパーコール(Percoll)による
ビーズの遠心分離により定量した〔エー.ロブグリオ
(A.Lobuglio)等,New Engl.J.Med.,309巻459−463頁
(1983年)〕。プラズマによりビーズに結合した125I−
17−1Aのcpmは既知の125I−17−1Aの比活性を使用して
プラズマの17−1A/mlのngに変換された。この検定は明
らかに17−1A(IgGおよびIgM)に対する1以上の結合位
置をもついずれの分子をも検出する。正常な個人および
がん患者の検定結果は17−1A接触以前は5±4ng/mlのプ
ラズマ(n=54)であってこの数値は0〜16ng/mlの範
囲にあった。20ng/ml以上の値が抗体反応として分類さ
れた。 17−1Aモノクローナル抗体 モノクローナル抗体はセントコー社(Centocor,In
c.)により生理食塩水中10mg/mlの精製懸濁液として提
供された。それは使用前は4℃で保存された。プロトコ
ールはセントコールスポサーIND(第2168番)で実施さ
れた。 毒性 17−1A投与の逆効果を第1表に要約した。 第1表 17−1A点滴に関連した毒性 I. 1回投薬量(400mg)−5患者(1群) 3/5 − なし 2/5 − G.I.徴候 II. 毎週2投薬量(400mg)−10患者(2群) 4/10 − なし 5/10 − G.I.徴候 1/10 − 紅潮/頻拍 III. 毎週3投薬量(400mg)−5患者(3群) 3/5 − なし 2/5 − G.I.徴候およびアナフラキシー(第3服
用) 2点滴液を受けた4患者および3点滴液を受けた3患
者を包含する20患者中10患者が逆効果がなかった。最も
屡々観察された副作用は胃腸(9/20)で吐き気および嘔
吐(4患者)または腹痛があったり無かった下痢(7患
者)を伴った。徴候は通常点滴の1時間以内に始まり、
24時間以内続いた。それらは適度−中位の厳しさで容易
に抗−下痢薬の抗−吐剤により調整された。胃腸の徴候
の頻度は17−1A点滴の数には関係なかった。1患者が、
第2点滴の最中に紅潮および頻拍の1回があったが、こ
れは点滴速度を単に遅くすることにより消失した。この
患者は点滴中にも先行点滴にも他の副作用は無かった。 2患者が著しい副作用があった。両患者ともその第1
および第2点滴(1日および8日)に関連した吐き気お
よび嘔吐があった。彼等は15日に17−1Aの試験投薬量に
耐え30分に亘る観察に副作用が無かった。治療点滴を次
に開始したが両者はアナフラキシーと判断される呼吸困
難、頻拍および低血圧を現わした。両点滴を直ちに停止
(与えられた投薬量の10%以下)し、患者はコルチコス
テロイド、エピネフリンおよび抗ヒスタミンによる治療
に十分反応した。研究中の患者は検尿、完全な血液数、
腎臓または肝臓機能の異常性を示さなかった。 薬理動力学 各患者について連続プラズマ17−1A水準を分析しプラ
ズマ消失の1区分のモデルに適合することを見出した。
曲線によるピークのプラズマ濃度、プラズマ半減期およ
び面積を第2表に要約した。 アナフラキシー(過敏症反応)を持つ2患者は17−1A
の全第3投薬量を受け入れず、従って、薬理動力学の研
究が無かった。従って、3患者のみが、17−1Aに2先行
抗体の接触を持つ群を形成した。結果は全3群の患者に
類似した。第3点滴に関する3患者の研究は単一または
第2点滴による患者の群より17−1Aのやゝ低い血清濃度
およびやゝ長い平均プラズマ半減期があった。差異が余
り大きくなく、かつ、群が少数の患者で形成されたた
め、解釈は限定される。 ヒトの抗−マウス抗体(HAMA)反応 治療に先行した患者の血清は125I−17−1Aの被覆した
ビーズを結合する能力は殆んどまたは検出できなかった
第3表に要約した如く、殆んど全ての患者は第1の17−
1A接触の25日以内にHAMAを示した(17/20)。多数(11/
20)が8日までにHANAを持ち8/11が100ng/ml以上の値を
持ち、2/11が1000ng/ml以上の値を持った。ピークの値
は一般に15日または22日に示され、値は29日までおよび
越えて降下した。17−1Aに1,2または3回の接触を受け
た患者は第4表に示す如くHAMA反応により同程度であっ
た。 過敏症の2患者に興味があった。彼等は8日に1055お
よび264ng/ml、15日に1716および3745ng/mlのHAMA水準
を有した。彼等は吐き気および嘔吐(1日の点滴に有し
たものに類似)を除いて逆作用なしに8日の点滴に耐性
を持ったが、15日にその第3点滴の時期に過敏症反応を
呈した。副作用のない5人、胃腸徴候の3人、紅潮/頻
拍の1人、および過敏症の2人によってHAMA水準が20ng
/ml以上であった(高めた)時11の点滴全てを患者に投
与した。患者で熱、たんぱく尿または腎臓障害を示した
ものはない。 また、これらの11の点滴中9個に適当なプラズマ試料
が、17−1A抗体のピークのプラズマ濃度およびプラズマ
半減期の定量に利用できたことは興味深い。これらの値
は検出できるHAMAのない点滴以上に実質的に差異は無か
った。 検討 17−1Aモノクローナル抗体400mgの反覆投与のこのI/I
I相の研究は多数の観察を提供している。一般に、抗体
の投与は第1または第2の点滴を受けた患者の場合十分
に許容された。軽い胃腸の症状は明らかに抗体の点滴に
関係があり、著しい臨床上の問題ではなかった。これら
の症状の病因は不明であるが、これらは第3の点滴に比
較して患者の第1の点滴中全く屡々生じたためアレルギ
ー反応に関連するとは考えられない。これらは正常な胃
腸の粘膜に対するこの抗体の結合の能力に関係する〔エ
ッチ.シアース(H.Sears)等,Surg.Res.31巻145−150
頁(1981年)〕。毎週3点滴を受けた患者5名中2名は
過敏症反応があった。潜在的に生命に恐威となるアレル
ギー反応の頻度により我々の試験の4−投与予定は阻止
され15日に抗体投与を必要とする処置予定を中止され
た。 薬理動力学研究は抗体のこの投薬量がかなり低い投薬
量で投与された他のマウスモノクローナル抗体(放射線
標識した)による観察〔エム.プリム(M.Primm)等,J.
Nucl.Med.26巻,1011−1025(1985年)およびエム.ロー
ゼンブルム(M.Rosenblum)等,Cancer Res.45巻,2982−
2386頁(1985年)〕に近似したプラズマ消失曲線により
100〜200μg/mlのプラズマ濃度を達成できることを示し
ている。このプラズマ半減期は8日までに1μg/ml以下
のプラズマ濃度を与えた。従って、17−1Aの実質的なプ
ラズマ濃度の維持は週1回より屡々多い投与を必要とす
る。先行研究〔エム.プリム等,J.Nucl.Med.26巻1011−
1023頁(1985年)およびエス.ラーソン(S.Larson)
等,J.Nucl.Med.24巻,123−129頁(1983年)〕はHAMA反
応の出現はマウスIgの循環水準の烈しい変化に関連する
ことを示唆している。この現象の観察の発明者の不足は
若干意外である。然しながら、本発明者等の測定はプラ
ズマml当り結合17−1Aμgに関して循環中に100〜200μ
g/mlの濃度を容易に達成する17−1Aの点滴により表わさ
れることに注目すべきである。本発明者らは最近発明者
らのHAMA検定を改良し全循環HAMAの定量を可能にしてい
る。これにより患者の全循環HAMAが、17−1Aのこの大循
環投薬量のわずかな少留分に結合することができるか否
かが明白にされるであろう。 発明者らは他者により報告された〔アール.シュロッ
フ(R.Schroff)等,Catcer Res.45巻,879−885頁(198
5)〕ような抗体点滴に先行して以前に存在するヒトの
抗−マウス抗体の証拠を見出せなかった。発明者らは放
射線を標識したモノクローナルマウス抗−ヒトFc抗体を
使用した17−1A被覆のビーズに結合したヒト免疫グロブ
リンを検出した検定を使用しヒト抗−マウス抗体の検定
を当初試みた。発明者らはモノクローナル抗体点滴に先
行して正常な人およびがん患者が、17−1A被覆ビーズに
非特定的に結合した異なる量のヒト免疫グロブリンを有
することを見出した。この結合は可溶性抗原により代表
的な競争的な抑制を有せず非−特定的現象でかつ抗体で
はないと判断された。対照として、17−1A被覆ビーズに
結合した後期−予防注射のプラズマ免疫グロブリンは容
易に可溶性抗原により抑制された。従って、本研究に使
用した二重抗原検定方式は17−1Aに対し一層明白に免疫
反応を反映すると考えられる。17−1Aの1以上の大投薬
量の投与にも拘わらず、このタンパク質に対するヒトの
抗体反応は8日までに屡々検知できる抗体と15日および
22日までに得られたかなりの水準の抗体により刺激され
た。更に、研究は免疫グロブリンの亜鋼および抗−特異
型に関してこの抗体反応を特徴づける途中にある。 17−1A抗原の生化学的およびエピトープ分析/17−1Aに
対するモノクローナル抗体の生産 材料および方法 細胞および組織 ヒトの結腸がん細胞系DLD−1およびWiDrはロックフ
ィル,MDのアメリカンタイプ カルチャー コレクショ
ンから得られた。結腸がん系HT−29はジエ.フォフ博士
(J.Fogh),スローン ケッタリング インスチチュー
ト フォア キャンサー リーサ,NY.から提供を受け
た。ヒトの組織は手術除去直後に液体窒素−冷却イソペ
ンタン中で瞬間冷却した。 放射線標識および免疫沈殿 細胞(5×107)は前述の125Iを使用したラクトパー
オキシダーゼ−介在の沃素化により表面−標識した。ジ
エ.アール.エル.ピンク(J.R.L.Pink)およびエー.
チーグラー(A.Tiegler)(1979年),Research Methods
in immunology,アカデミック出版社,NY。MAbsをタンパ
ク質A−セファロース(シグマ社,セントルイス,mo)
に混合した免疫ソルベント(Immunosorbents)は標識し
た細胞リセート(lysates)に4℃で2時間添加した。
混合した材料は試料緩衝液中で沸騰して溶出し、レムリ
ー(Laemmli)によるSDS−ポリアクリラミドゲル電気泳
動(SDS−PAGE)により分析した。U.K.Laemmli,Nature,
22巻,680−685頁(1970年)。 MAbの選択 結腸がん組織は単一転位のため肝臓のロボトミーを受
けた51才の老女性患者より得た。17−1Aの陽性の腫瘍組
織を注意深く分離し、ミンチし、均質化し、プラズマ膜
をトウスター(Touster)らにより記載された(I.Cell.
Biol.47巻,604−618頁(1970年)如く精製した。(C57B
L/6×Balb/c)Fl牝マウスからの脊髄細胞p3×63Ag8.653
融解は標準方法〔ガルフル(Galfre),Natur,266巻,550
−552頁〕を使用してボルデテーラ(Bordetella)百日
咳アジュバントと共にタンパク質3mgに相等する結腸が
んプラズマ膜製剤の単一i.p.注射後3日に実施した。融
解後細胞はマウス腹膜マクロファージを含む96個のミク
ロタイターのプレート中のHAT選択媒体(ヒポキサンチ
ン,アミノプテリン,チミジン)中に加えた。ハイブリ
ドの上澄液は予防注射のため採取した肝臓転位を起した
冷凍組織部分のイムノパーオキシダーゼ染色により選別
した。転位の結腸がん細胞および隣接する肝臓中の胆汁
管と反応し肝臓細胞と反応しない抗体は更に第5表に列
記した非−悪性上皮組織のパネルについて試験した。こ
の関係中17−1A−類似の着色形態を示す抗体は限定した
希釈により少なくとも2倍のクローンを生じた。 試験した正常組織の全てに一致した染色の型を示し
たMAbs17−1A,M72,M74,M77およびM79による免疫組織化
学的染色により確認した。 免疫吸取 免疫沈降物はSDS−PAGEにより分離し、トウビン(Tow
bin)ら(Proc.Natl.Acad.Sci.USA,76巻,4350−4354頁
(1979年)により、ニトロセルロース膜〔シュライヒエ
ル(schleicher)およびシェル(Schull),ダッセル,F
RD〕に電気泳動的に移動され、かつ移動した抗原は間接
的イムノパーオキシダーゼ技術〔ビ.ホルツマン(B.Ho
lzmann)ら,J.Exp.Med,161巻,366−377頁(1985年)〕
により視覚化した。 流動サイトメーター分析 HT−29細胞は氷上で未濃縮、10×または50×濃縮上澄
液のMAbs,M72,M74,M77またはM79により予備培養し、次
いでビオチン化した17−1A抗体(10μg/ml)およびアビ
ディン−フィコエリスリン〔ベクトン−ディキンソン
(Becton−Dickinson,マウンテンビウ,CA)〕により培
養した。蛍光像をEPICS−V〔クールター エレクトロ
ニクス(Coulter Electronics,ハイアリーン,FL.)〕に
より分析した。 免疫組織化学 凍結した組織細片を調製し、本質的には他に記載され
た間接的免疫パーオキシダーゼ技術により着色した。ゲ
ットリンガー(Gottlinger)ら,Inst.J.Cancer35巻,199
−205頁(1985年)。簡単に述べると、風乾した細片
(7μm)をアセトン中に10分間固定し、MAb(10μg/m
lまたは未希釈上澄液)で30分間培養し、PSB中で洗淨
し、ヒト血清20%を含有するPBS中に希釈したパーオキ
シダーゼ−共軛うさぎ抗−マウスIg抗血清〔ジアノバ
(Dianova),ハンブルグ,FRG〕に30分間接触した。細
片はPSB中で洗淨した後、0.001%H2O2を含有するpH7.4
の0.02Mの緩衝液中の0.004%3−アミノ−9−エチルカ
ルバゾール中で20分培養し、続いてマイヤーのヘマリウ
ム(Hemalum)により逆着色した。 結果 17−1A Agの生化学分析 17−1A Agの当初の生化学分析は一つのヒト腫瘍細胞
系(HT−29)に対してのみ行われるので、発明者らは表
面ヨウ素化により二つの付加的ヒト結腸がん系に関して
示された17−1A Agの性質を調査した。MAb17−1Aによ
る沈殿は3者の細胞系,DLO−1,WiDrおよびHT−29におい
て同一の単一タンパク質バンドを示し、これは37KDの見
掛の分子量をもってSDS−PAGE系に移動した。蛍光圏強
度から判断されるように、3細胞系から沈殿可能の抗原
量は全く可変的で、結腸系DLD−1は最高量の放射線標
識抗原を与えた。電気泳動に先行して2−メルカプトエ
タノールが沈殿に添加された還元条件下では33KDの明白
なバンドが、3細胞系の全てから得られた。更に、約40
KD成分の主要成分もまたHT−29リセート中に時々見出さ
れた。このバンドは明らかに不在かまたはWiDr細胞から
沈殿されなかった。 チュニカマイシン(2μg/ml)によるHT−29細胞の24
時間培養は非還元条件で30KD、還元条件で26KDの新バン
ドの出現を与え、17−1A Agが2個の結合したグリコシ
ル化の位置を示した。17−1Aの糖タンパク質の性質は更
にニユラミニダーゼによる17−1Aの沈殿の処理により実
証され、これは見掛け分子量の軽微な然も明白な還元を
与えた。 新MAbによる17−1Aのエピトープ分析 17−aA Ag(M72,M74,M77,M79)に対し向けられた新
規の4MAbsが凍結した組織細片について17−1A−類似の
反応性に対し結腸がん転位からの膜製剤により免疫した
ねずみから発生したハイブリドーマの上澄液を選別する
ことにより得られた。2抗体の全ては当初の17−1A抗体
に見られる同一分子量のタンパク質を沈殿する。新規の
MAbsにより確認された抗原の同一性を確認するため、広
範な免疫吸取分析を実施し、それにより17−1A免疫沈殿
がSDS−PAGEによる分離後にニトロセルロースに移行し
新規の4試薬により試験した。前文に示した如く、37KD
タンパク質に結合した新規の4抗体はアイソタイプの配
合した対照MAbsでは得られなかった。新規のMAbsのエピ
トープ特異性を分析するためクロス−阻害試験を実施し
た。流動血球計算分析においてビオチニル化した17−1A
抗体のHT−29細胞への結合は完全にMAbsM72およびM74
(第6表)による腫瘍細胞の予備培養により阻害され
た。対象としてMAbsM77およびM79は試験した全ての濃度
においてビオチニル化した17−1A抗体の著しい阻害活性
を示さなかった。発明者らは更にエピトープ特異性が抗
体のイディオタイプに関係があるかどうかを分析した。
全MAbsはやぎの17−1A抗体に対し発生した抗−アイディ
オタイプの抗血清〔ウィスター研究所,フィラデルフィ
アのドロシイ ハーリン(Dorothy Herlyn)博士により
提供された〕との反応性を分析した。抗−アイディオタ
イプの抗血清は交叉−阻害する2MAbs(M72およびM74)
と強く反応したが、MAbs M77およびM79とは完全に反応
しなかった。これらのデータはMAbs 17−1A,M72および
M74は37KD糖タンパク質に関して同一または密接に関係
したエピトープを認めているが、MAbs M77およびM79は
この抗原に対し付加的エピトープを限定することを示し
ている。17−1A Agの組織分布 直接免疫パーオキシダーゼ技術を用いることによっ
て、種々の正常ヒト器官及び種々のヒトがん中に17−1A
Agが同定された。同時に、新しい4つのMAbを並行し
て組織切片を分析した。結腸組織における17−1A Agを
発現については、正常な粘膜が試験された14名の患者に
おいて結腸がん組織と同程度に染色されることが見出さ
れた。また17−1A Agは小腸の上皮内面、胆嚢、気管支
及び甲状腺、乳腺、汗腺、及び外分泌及び外分泌膵臓を
含む種々の腺構造で明らかに検出された。更に、17−1A
Agは腎臓の遠位尿細管およびヘンレ(Henle)のルー
プに、及び肝臓の胆管(肝細胞でなく)に発現すること
が見出された。 胃においては、正常粘膜は普通、限定された区域に弱
い染色が見出された。しかしながら、種々の程度の小腸
化生(胃粘膜中に小島状に存在する)5人の患者につい
て、これらの領域はMAb17−1A及び4つの新しいMAbによ
って強力に染色された。17−1A Agもまた、試験された
9個の胃がんの全てに明らかに発現された。 検討 我々は17−1A Agが非還元条件下でのSDS−PAGEにお
いて37KDの見掛分子量であるように移動する糖タンパク
であることを示した。3種の異なる結腸がん細胞ライン
との比較分析では、非還元条件が用いられる場合、17−
1A Agの異種性を示さなかった。17−1A沈殿を2−メル
カプトエタノールで還元し、SDS−PAGEによる分離で
は、33KDのバンドが表われた。これは試験した全ての細
胞ラインについて見出された。更に、40KDバンドは、DL
D−1細胞溶解物中には主成分の1つとして、またHT−2
9細胞溶解物中により低い水準で表われた。この40KDバ
ンドはしたがってWiDr細胞からの溶解物には存在しなか
った。DLD−1またはHT−29細胞からの沈殿物を1回の
実験で処理し、還元下または非還元下で並行した条件で
分析した場合、2−メルカプトエタノールの存在下では
33及び40KDの2つのバンドがその不存在下では37KDの1
本のバンドが生じた。したがって、17−1A Agの還元で
は異なる電気泳動の移動度を有する2種の新しい分子が
生じている。分子内ジスルフィド結合の存在によって、
この特異な泳動の状態を説明できるであろう。 別法として、17−1A Agは、非還元条件下では同一の
泳動挙動を示すタンパクの二量体として実際には存在し
ているものと考えられる。WiDr溶解物中に40KDの分子が
存在しないということは、異なる細胞ライン中のラクト
パーオキシダーゼ介在ヨウ素化に関するこのタンパク質
の異なる親和性によって説明できるであろう。代謝標識
および架橋化学を用いる更に別の分析が、上記の問題を
解決するのに必要であろう。ロス(Ross)等は、30KD及
び40KDサブユニットから成るMAb GA733によって定義さ
れるがん関連表面糖タンパクについて最近記述してい
る。彼等は、17−1A抗体は同じ抗原を認識するが、MAb
GA733と異なる抗原決定基に結合することを示唆して
いる。ここで記述した抗体との直接の比較により、これ
らの複数の抗原の関連性が明らかになるであろう。 我々が得た4種の新規な抗17−1A Ag MAbは正常器官
および腫瘍において、元の17−1A抗体に匹敵する組織反
応性を示した。これまでのところ、試験された種々の組
織において異なる抗原決定基発現は見られていない。こ
れらMAbのうちの2つ(M72及びM74)は、交差ブロッキ
ング実験によって判断されるように、MAb17−1A検出さ
れるものと緊密に関連した決定基を認識する。一方、MA
b−M77及び−M79は少なくとも1つの他の抗原決定基を
明らかに定義する。何故ならば、これらはビオチニル化
17−1A抗体の結合を阻害しないからである。興味あるこ
とに、これらMAbの抗原決定基特異性はヤギ抗イディオ
タイプ抗血清の反応性と相関される。これらMAbは元の1
7−1A抗体と関連する生物学的活性を分析するのに有用
であろう。 17−1A Agは非悪性上皮器官内で広く発現し、かつ17
−1A陽性組織由来の大部分のがん中にも存在する。正常
組織及び悪性組織間の発現の量的差異は、同一患者由来
の直結腸がんと正常粘膜の比較免疫組織化学分析におい
ては証明されなかった。しかしながら、この正常細胞及
び悪性細胞上のこの上皮性抗原の構造上の異質性は、こ
の分析では決定できなかった。 当業者であれば通常の実験以外を用いることなく、本
明細書に記述した具体的態様に対する多くの均等技術を
認識し、または確立できるであろう。そのような均質物
は本発明に含まれるものとする。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(72)発明者 リチャード・エイ・カーラノ
アメリカ合衆国ペンシルバニア州19460,
フェニックスビル,キムバートン・ロー
ド,アールエフディー ナンバー3,ボ
ックス 174
(56)参考文献 「Proc.Natl.Acad S
ci USA」Vol.79,No.15
(1982)pp.4761−4765
「J.Boil.Resp.Modi
f」Vol.3,No.2(1984)p
p.138−150,
「Cancer Res」Vol.45
(1985)pp.5910−5913
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 1.17−1A抗原のエピトープに特異的に結合するモノク
ローナル抗体を投与剤形単位あたり少なくとも100mg含
有してなり、初回投与剤形を少なくとも400mgとする非
経口的な複数回投与または継続投与用の胃腸部位の腫瘍
の治療用薬剤。 2.患者の胃腸部位の腫瘍の治療にアジュバント療法と
して使用される特許請求の範囲第1項記載の薬剤。 3.手術を受け又は外科的に腫瘍を切除した患者におけ
る胃腸部位の腫瘍の治療に使用される特許請求の範囲第
1項または第2項記載の薬剤。 4.該モノクローナル抗体が、17−1A抗原のエピトープ
に特異的に結合するネズミモノクローナル抗体である特
許請求の範囲第1項、第2項または第3項記載の薬剤。 5.該ネズミモノクローナル抗体が、17−1A抗原のエピ
トープに特異的に結合する少なくとも2種の抗体の混合
物である特許請求の範囲第4項記載の薬剤。 6.患者の胃腸部位の腫瘍の治療にアジュバント療法と
して使用される特許請求の範囲第4項または第5項記載
の薬剤。 7.手術を受け又は外科的に腫瘍を切除した患者におけ
る胃腸部位の腫瘍の治療に使用される特許請求の範囲第
4項、第5項または第6項記載の薬剤。
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