JP2974725B2 - 徐放具 - Google Patents

徐放具

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JP2974725B2
JP2974725B2 JP2144558A JP14455890A JP2974725B2 JP 2974725 B2 JP2974725 B2 JP 2974725B2 JP 2144558 A JP2144558 A JP 2144558A JP 14455890 A JP14455890 A JP 14455890A JP 2974725 B2 JP2974725 B2 JP 2974725B2
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OOBEKUSU KK
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Description

【発明の詳細な説明】 <産業上の利用分野> 本発明は、芳香、消臭あるいは殺菌等を目的とする溶
剤中の芳香、消臭あるいは殺菌成分を自然対流又は強制
循環の気流中に徐々に揮発させて放散させる徐放具に関
する。
<従来の技術> 従来より、芳香成分としての香料、消臭成分としての
消臭剤等を含む液剤を容器本体内に直接収容し、この液
剤を合成繊維束等の芯部材を介して外部へ導き、該合成
繊維束から直接又はろ紙などを介して液剤の揮発拡散力
等によって所望の芳香成分、消臭成分を揮散させるよう
に構成した液体芳香剤が広く知られている。
<発明が解決しようとする課題> ところで、従来の液体芳香剤は全て、自然対流のほと
んどない半ば密閉された空間内へ液剤を揮発させてそれ
を拡散するものなので、液剤の揮発力を高めるために揮
発性の高いアルコール及び水を多量に使用している。ま
た、液剤に水を添加する場合には、香料等の溶解性を補
うために界面活性剤などの不揮発性成分も使用してい
る。
したがって、従来の液体芳香剤を自然対流または強制
循環の気流中に置いた場合、使用初期において液剤の揮
発性が高い成分が香料等と共に激しく揮発して液剤の成
分バランスが損われてしまい、使用途中において芳香成
分等の揮発量が著しく少なくなるという問題がある。ま
た、使用を続けていくと、液剤中の不揮発成分等により
合成繊維束等の芯部材に目詰まりが生じてくるので、芳
香成分等の揮発量が徐々に減少していく傾向はさらに助
長される。
本発明はこのような事情に鑑み、芳香成分等の揮発・
放散が使用初期から終了時までほとんど一定である徐放
具を提供することを目的とする。
<課題を解決するための手段> 前記目的を達成する本発明に係る徐放具は、毛細管力
を有すると共に長手方向を亘る液剤誘導部を具えた芯部
材により液剤を誘導し該液剤を上記液剤誘導部から蒸散
する徐放具であって、上記液剤の少なくとも50重量%以
上が低揮発成分であり、該低揮発成分の20℃における蒸
気圧pmmHgとその分子量Mとの積を11で除した揮発比p.M
/11が0.1以上5以下である、ことを特徴とする。
本発明で用いることができる芯部材としては、合成樹
脂製の異形モノフィラメント、合成繊維を樹脂等で結着
した繊維束芯、天然繊維等をよった糸などを挙げること
ができる。
ここで、本発明で用いる異形モノフィラメントの一例
を第1図に示す。同図に示すように、芯部材1は耐薬品
性があり液剤に侵されない樹脂からなるものであり、直
径が例えば0.6mm程度の芯部材本体2の外周面にその長
手方向に亘って例えば幅0.04mm,深さ0.17mmの幅を有す
る液剤誘導部3を例えば7本形成したものである。かか
る芯部材1は液剤誘導部3が毛細管状で毛細管力を有す
るので、該芯部材1の一端に液剤が接触すると、毛細管
現象により液剤の一定量が液剤誘導部3中へ確実に誘導
される。そして、液剤誘導部3中へ誘導された液剤が自
然対流又は強制循環の気流中へ放散されると、放散した
量の分だけ液剤がさらに液剤誘導部3中へ誘導され、液
剤誘導部3中には常に一定量の液剤が存在することにな
る。したがって、このような芯部材1によれば、常に一
定量の液剤が放散されることになる。
また、本発明に用いる芯部材は、単位長さ当りの液剤
誘導部の容積が50μ/cm以下、好ましくは5μ/cm以
下のものが望ましい。
なお、先に例示した芯部材1の液剤誘導部3の容積は
約0.5μ/cmである。
一般に多成分系の液剤を使用する場合、各成分の揮発
速度が異なるために低揮発成分が濃縮されてしまう。か
かる現象は揮発面積が広いほど長期間発生し、使用開始
時と終了時とで液剤の成分組成が全く異ってしまうこと
が多い。このことは、複雑に調香された香料自体におい
ても極めて重大であり、揮発速度の異なるトップ、ミド
ル、ベースの各ノートのバランスをいかに保つかは長年
の課題になっている。
本発明では、上述したように液剤誘導部の容積が微小
な芯部材を用いて液剤を誘導して該液剤誘導部から液剤
を放散するようにしているので、多成分系の溶剤もかな
りバランスのとれた状態で放散することができる。
しかし、例えば前述した従来の液体芳香剤用の液剤を
用いると、アルコールや水などの高揮発成分のみが先に
放散されて低揮発成分が液剤誘導部内に蓄積されてしま
うことになる。また、界面活性剤が液剤誘導部の目詰り
の原因となり、新たな液剤の誘導を阻害するという問題
も生じる。
そこで本発明では、特定の低揮発成分を50重量%以
上、好ましくは60重量%以上含有する液剤を上記芯部材
の液剤誘導部から揮発させる構成とすることにより、ほ
ぼ一定の放散状態を長時間に亘って維持するという効果
を得ている。
本発明においては、芯部材の液剤誘導部内に誘導され
る液剤の量は微量であり、且つ液剤中には特定の揮発比
を有する低揮発成分が50重量%以上含有されているの
で、初期における濃縮時間が短く、その後は液剤誘導部
内の低揮発成分の揮発速度によって揮散量が抑制され
る。つまり、液剤誘導部内の各成分が揮発した総量に応
じて新しい液剤が誘導供給されるので、揮発性の高い成
分のみが過度に揮散するのが防止され、徐放効果も得ら
れる。
したがって、本発明によると、液剤が異なる揮発性を
有する成分を混合した多成分からなる場合でも、その成
分比率とほぼ等しい成分比率で揮発・徐放されることに
なり、例えば調香された香料のバランスを損うことな
く、理想的な徐放が可能となる。
本発明における液剤中に含有される低揮発性成分は、
揮発比が0.1以上5以下、好ましくは0.18以上1以下で
ある必要がある。揮発比が0.1未満では該低揮発成分に
よって上記液剤誘導部に目詰まりが発生して揮散が不足
したり停止したりするおそれがあり、一方、揮発比が5
を越える場合には、上述したような作用・効果が顕著で
はなくなる傾向にあり、共に好ましくない。
また、低揮発性分の含有量が50%未満となると、上述
した濃縮時間が長くなり、つまり一定の揮発状態になる
までの時間が長くなって本発明の作用・効果が顕著では
なくなるので好ましくない。
なお、低揮発成分を揮散比で限定しているのは、一般
に液体の揮発速度はその蒸気圧と分子量との積に近似的
に比例することが知られており、通常は酢酸正ブチルを
100としたときの揮発比として表されるからである。し
たがって、p.M/11のうち除数11は酢酸正ブチルの揮発比
を100とするための係数である。
ここで、本発明で用いることができる低揮発成分の例
を分子量、蒸気圧及び揮発比と共に次表に示す。
これらの低揮発成分から最適なものを選ぶには、芯部
材の構造や液剤中の他の成分との関係を考慮する必要が
あるが、例えば芳香剤としての使用を考慮すると、低揮
発性、低臭性、香料の溶解性及び低毒性等を総合的に考
慮すると、ヘキシレングリコールが優れた性質を有して
いる。
本発明における液剤はこのような低揮発成分を含有す
るものであるが、それ以外の成分、例えば香料等は、な
るべく低揮発成分と同等以上の揮発比を有するものを用
いるのが望ましい。また、芯部材の揮散部となる液剤誘
導部は微小であり、実質的な不揮発性成分により目詰り
し易いので、液剤中の実質的な不揮発成分の容量を液剤
誘導部の容積以下、好ましくはなるべく実質的に零に近
くなるようにするのがよい。
一方、液剤中に液剤誘導部の容積以下の有色の不揮発
成分を添加しておくことにより液剤の消費量及び終了時
を液剤誘導部の着色度合で知ることができる。すなわ
ち、液剤中の有色不揮発成分は、他の成分と共に液剤誘
導中へ誘導されて濃縮されるので、この濃縮された量と
共に変化する着色度により誘導された量を知ることがで
きる。
本発明に係る徐放具では、液剤が密閉可能な容器内に
収容されており、芯部材の一部が液剤と接触するように
なっていればよいが、取扱い性等を考慮すると、液剤は
液剤保持部材に含浸保持しておくのがよい。
ここで、液剤保持部材は、液剤を含浸保持するもので
あれば特に限定されないが、例えば、フェルト、綿など
の繊維状物の集合体や、ウレタンフォームなどの連続気
孔を有する多孔質部材を挙げることができる。なお、液
剤保持部材は芯部材の毛細管力より小さいが、含浸した
液剤が流出しない程度の毛細管力を有している必要があ
る。
<実 施 例> 芳香剤として構成した徐放具の一例を第1図に示す。
同図に示すように、二重筒構造の容器本体11は密閉可
能に形成されており、この容器本体11内には液剤を含浸
するための液剤保持部材としてフェルト12が充填されて
いる。一方、容器本体11の内周面には6箇所に孔11aが
等間隔で形成されており、これら孔11aを1つおきに連
結するように、6本の芯部材1が配設されている。これ
ら芯部材1は第2図に示すものと同様であり、0.6mmφ
の芯部材本体2の外周には幅0.04mm、深さ0.17mmの液剤
誘導部3が7本形成されている。また、各芯部材1は中
央部分の約43mmが空間へ露出しており、両端部は上記フ
ェルト12と接触するように設けられている。
(実施例1) ヘキシレングリコール80%,香料20%からなる液剤12
gを上記フェルト12へ含浸させた後、気流風速1.1m/秒の
環境下へ放置し、揮散量を測定したところ、次の結果が
得られた。
揮 散 量 開始〜1時間後揮散量 0.032g/h 1〜2時間後揮散量 0.026g/h 2〜3時間後揮散量 0.023g/h 3〜4時間後揮散量 0.022g/h 4〜5時間後揮散量 0.022g/h 5〜6時間後揮散量 0.021g/h 6〜7時間後揮散量 0.022g/h 7〜8時間後揮散量 0.021g/h この結果より、開始から3時間後までは低揮発成分の
初期濃縮の段階で、3時間後から8時間後までは安定揮
発放散の段階であることが認められ、全体を通してみて
もかなりコンスタントな揮散状態であることが判った。
また、初期の香気と8時間後の香気とを比較したとこ
ろ、香調及び香りの強さにおいて変化が認められなかっ
た。
(実施例2) 実施例1の液剤にさらに有色不揮発成分(ニューコク
シン:ダイワ化成(株))を20ppm添加し、一ケ月室温
下に放置したところ、芯部材1が赤色に着色し、使用終
末点であることが認められた。
(比較例) 比較のため、実施例の液剤の代りに、市販の液体芳香
剤の液剤(香料8重量%,アルコール50重量%,水40重
量%,界面活性剤2重量%)を用いて同様に揮散量を測
定したところ、次の結果が得られた。
揮 散 量 開始〜1時間後揮散量……0.145g/h 1〜2時間後揮散量……0.048g/h 2〜3時間後揮散量……0.026g/h 3〜4時間後揮散量……0.010g/h 4〜5時間後揮散量……0.006g/h 5〜6時間後揮散量……0.004g/h 6〜7時間後揮散量……0.002g/h 7〜8時間後揮散量……0.001g/h このように従来の液剤を用いると高揮発成分のみが先
に放散され、また、不揮発性成分により目詰りが生じて
しまい、上述したような安定揮発放散の段階は認められ
ない。なお、初期の香気と8時間後の香気とを比較した
ところ、香調及び香りの強さが共に全く異っていた。
<発明の効果> 以上説明したように、本発明に係る徐放具は、特定構
造の芯部材を用い且つ特定の低揮発成分を特定量含有す
る液剤を用いたものであるので、液剤の揮発・放散が使
用初期から終了時までほとんど一定であるという効果を
奏する。
【図面の簡単な説明】
第1図は一実施例に係る徐放具を概念的に示す説明図、
第2図はその芯部材の拡大図である。 図面中、 1は芯部材、 2は芯部材本体、 3はスリット部、 11は容器本体、 11aは孔、 12はフェルトである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI B65D 85/00 B65D 83/00 F (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) A61L 9/01,9/12 A45D 34/02 B65D 83/00,85/00

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】毛細管力を有すると共に長手方向に亘る液
    剤誘導部を具えた芯部材により液剤を誘導し該液剤を上
    記液剤誘導部から蒸散する徐放具であって、 上記液剤の少なくとも50重量%以上が低揮発成分であ
    り、該低揮発成分の20℃における蒸気圧pmmHgとその分
    子量Mとの積を11で除した揮発比p.M/11が0.1以上5以
    下である、ことを特徴とする徐放具。
  2. 【請求項2】請求項1において、液剤が密閉可能な容器
    本体内に収納してある液剤保持部材に含浸されているこ
    とを特徴とする徐放具。
  3. 【請求項3】請求項1又は2において、低揮発成分がヘ
    キシレングリコールであることを特徴とする徐放具。
  4. 【請求項4】請求項1,2又は3において、液剤に含まれ
    る実質な不揮発性成分の容量が、上気芯部材の液剤誘導
    部の容積より小さいことを特徴とする徐放具。
  5. 【請求項5】請求項1〜4の何れか1において、液剤
    が、上記芯部材の液剤誘導部の容積以下の有色の不揮発
    成分を含むことを特徴とする徐放具。
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