JP2003526476A - 芳香性ハイドロゲル空気清浄剤キット - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 消費者により活性化されるハイドロゲル空気清浄剤用キットが、アクリル酸樹脂、芳香性物質及び着色剤を含む。キットは、適正量の樹脂、芳香剤及び着色剤が包装されると共に所定容量の水を添加可能な容器などの多様な形態を取ってよい。また、キットが上記の物質の入った香料袋やパッドを含み、これらに水を加えてゲル型の空気清浄剤装置を形成する形態としてもよい。また、ハイドロゲル樹脂と（所望であれば）着色剤を含有するパッドまたは香料袋に芳香剤の水溶液を制御しながら連続して供給し、長期間にわたって終始安定した芳香効果を得るようにしてもよい。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】 （発明の分野） 本発明は消費者が調製及び活性化するのに適切な芳香剤、及びハイドロゲル組
成物を含有する空気清浄剤に関するものである。このように調製された空気清浄
剤は、蒸発して香りを放出するゲル組成物から、水分を吸収しその内容物を気体
形態でのみ放出できる樹脂及び芳香剤を染み込ませた香り袋、貯蔵容器からの液
体放出量を調節することによって新しい芳香剤が継続して供給されるハイドロゲ
ルコーティングセルロースもしくは不織布型ポリオレフィン材料、または水を添
加して活性化する噴霧式ハイドロゲル及び芳香剤コーティングパッドを含み、提
供される材料の種類によって決定される様々な形態を有することができる。

【０００２】 （発明の背景） ゲル材料は、多様なポリマー樹脂から製造できることが知られている。また、
このようなゲルに芳香剤または脱臭材料を含浸させ得ることも知られている。こ
のような様々な種類のゲルは、消費者が選択した場所に置くために通常ガラスま
たはプラスチック容器に入れ、空気清浄剤の形態で市販されてきた。

【０００３】 例えば、クライメント（Ｋｌｉｍｅｎｔ）の米国特許第４,５８７,１２９号は
、低級アルキルアルケノエート系ハイドロゲルを香り及び芳香剤を捕捉するのに
用いることができ、固形の空気清浄剤や香り袋として使えることを教示している
。

【０００４】 グールド（Ｇｏｕｌｄ）等は米国特許第３,５７６,７６０号で、芳香剤の担体
として有用な水溶性アクリル酸ヒドロキシアルキルまたはメタアクリルレートポ
リマーの乾燥粉末の製造方法を開示する。オレンジオイルのようなこうした物質
はポリマー内に捕捉され、水に接触すると放出される。

【０００５】 シェパード（Ｓｈｅｐａｒｄ）等は米国特許第３,５６７,１１８号で、湿潤状
態になると、芳香を放出する芳香放出剤を捕捉した親水性ゲル型(メタ)アクリレ
ートポリマーに含浸した繊維基質を含む乾燥製品について記載してする。

【０００６】 マーティン（Ｍａｒｔｉｎ）等の米国特許第５,９７６,５０３号、ブース・ジ
ュニア（Ｂｏｏｔｈ， Ｊｒ．，）等の米国特許第４,８６９,４０７号は、芳香
剤の放出活性化手段を含む空気清浄機を教示する。マーティン等の放出手段は熱
を利用し、一方、ブース・ジュニアらは浸潤した紙材質のウエハー円板から芳香
剤を放出させるためにベローを使用する。

【０００７】 セモフ（Ｓｅｍｏｆｆ）等の米国特許第５,６７９,３３４号は、観賞植物を含
む透明なゲル型空気清浄剤を開示する。

【０００８】 フジウラ（Ｆｕｊｉｕｒａ）等の米国特許第５,９０４,０２８号は、芳香剤を
担持する、水で膨潤するゲルを含有する拡散装置を開示する。この装置は水透過
性部を備えたパケットを含む。この特許は、芳香剤が入った水中にパケットを浸
漬することによって樹脂が芳香剤を吸収し、続いて芳香剤を放出することを教示
する。

【０００９】 さらに、ペラ（Ｐｅｒａ）は米国特許第４,９０６,４８８号で、統合的に「マ
ー(ｍｅｒ)」と称される、周囲にゆっくりと放出するための浸透体を有するモノ
マー、プレポリマー、またはポリマーの液体ないし軟性ゲルを含む組成物を開示
する。この特許は、浸透体中で「マー」の溶液を形成し、カプセル化することな
く「マー」を反応させて、低速度放出製品に有用な液状の生成物を回収する方法
に関するものである。

【００１０】 このような空気清浄剤に関連した一つの問題は、芳香剤物質またはこれに含有
される空気清浄成分が、不良な包装のため、または出荷時に水分や極端な温度変
化に曝された結果、消費者が開封する前にある程度消散または蒸発する場合が少
なくないことである。したがって、本発明の一つの目的は、使用時に消費者によ
り活性化され、よってその使用時点まで新鮮かつ完全な品質を維持する空気清浄
剤を提供することにある。本発明のもう一つの目的は、活性化が非常に容易で、
かつどのような経済状況の消費者でも使えるほど低価格な消費者活性型空気清浄
剤を提供することにある。

【００１１】 （発明の要約） 本発明は低コストの便利な消費者活性タイプの芳香剤放出装置に関する。この
芳香剤放出装置は、水を添加してその成分を反応させ、一定期間にわたり芳香剤
を放出する膨張型ゲルを形成する時点までその芳香性能を完全に維持する。した
がって、本発明は、空気清浄装置を製造するためのキットにも関する。

【００１２】 最も広い意味で本発明は、適切な容器内で水と混合して組み合わせるための乾
燥ゲル先駆物質（プレカーサー）、芳香性物質、及び（もし所望であれば）色素
のパッケージを消費者に提供することを含む。本発明のこの実施の形態において
、色素が含浸された乾燥した樹脂性物質を固形または液状芳香剤と混合し、ここ
に比較的多量の水を添加する。着色剤はもちろん、必要に応じて樹脂ではなくて
芳香剤または水中に存在してよい。撹拌または振盪する際、着色ゲルが形成され
、このゲルに吸収された芳香剤は所定期間の間、蒸発によって放出される。

【００１３】 本発明のもう一つの実施の形態においては、液体をパッケージ内部に通過させ
ることができる反面、液体が外に流出することを阻止する材料の水透過性パッケ
ージを含む香料袋が用意される。このような材料は身体ケア製品たとえば、生理
帯及びおむつのような製品に使われるものとして知られ、また液体を一方向のみ
に通過させる。この種の材料は、液体の一方向への流動を許容するが液体の逆流
は遮断及び阻止するように構成された小径の開口部を有する円錐状の有孔性ポリ
エチレン膜を含む。以下、この材料は前述した一方向の水透過性を持つと称する
こととする。気体（ベーパ）はこの材料の表面にある微小な開口部から排出され
得るが、芳香剤がこの材料内に含まれる場合は、その芳香剤を必要に応じて蒸発
させることができる。香料袋全体を同一の材料で作ることが望ましいが、香料袋
表面積の一部だけが同一材料で作られていても、残りの表面積が水に対して非浸
透性の材料で作られていれば構わない。乾燥樹脂、所望であれば色素、及び粒状
の芳香剤を香料袋内で混合してよい。香料袋の活性化のために、消費者はこれを
水に浸し、あるいはその表面に十分な量の水を噴霧して樹脂のゲル形成作用を活
性化させ、（もし水溶性なら）芳香剤を溶解するだけでよい。十分な量の水に接
触させた後、消費者は活性化された香料袋を取り出し、その芳香成分が大気中へ
放出される際の快適な香りを楽しむべく、家や車の中の適当な場所に懸けておく
。香料袋が一方向の水透過性を有する材料で製造されるため、活性化の際に吸収
された余分な水が放出されることはなく、いかなる可溶性芳香剤の損失も防止さ
れると共に、また、目障りな汚れ、液溜り、リング等の形成が防止される。

【００１４】 本発明のもう一つの関連した実施の形態において、上述した香料袋、あるいは
樹脂及び芳香剤が含浸もしくはまたはコーティングされた材料のパッドを皿やボ
ウル等の適当な位置に置き、制御された量の水がその表面に放出される。パッド
という用語で、本出願人は均一な性質の基質または布状の構造体を指す。これに
対し、香料袋は、内部の別の異なった内容物を覆う外側カバーを含む。このよう
なパッドは、布などの織物類、またはフェルトのような不織布、または紙類で構
成される。好ましい繊維性材料はセルロース性の材料、例えば綿や紙であるが、
ナイロン、アクリロニトリル繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ウール、及びポリエチ
レンテレフタルレート繊維類のような他の繊維類も使うことができる。好ましい
複合繊維には紙やボール紙状の構造体を持つものがある。

【００１５】 この方法において、乾燥樹脂は水を吸収してゲルを形成し、続いてさらに水と
接触させられる。ゲルから出てくる芳香剤混合物の蒸発速度に基づいてパッドへ
の液体の添加の速度を調節することにより、芳香剤の放出速度が終始一定になる
と共に、放出ムラのない放出装置が得られる。この実施の形態においては、固形
状の芳香剤をパッド内の樹脂と混合しても、あるいは液状の芳香剤を長期間パッ
ドと接触可能な水に添加してもよい。本実施の形態のもう一つの変形例において
、ゲルでコーティングもしくは含浸された基質でなく、ゲル自体を消費者に提供
してもよい。この変形例では、本出願人は、水もしくは水に溶解した芳香剤の供
給源を提供し、この供給源はゲルに吸収された水の蒸発速度に近似した速度に放
出速度を制御することにより、芳香剤の放出速度を一定に維持する。この制御さ
れた放出速度は、たとえば、重力手段、適切な直径の穴を有するチャネルを通過
する水を計ることにより、または芯手段によって達成することができる。 （発明の詳細な説明） 本発明の最も単純な実施の形態では、空気清浄装置を準備するためのキットが
消費者に提供される。このキットの基本的な構成要素は、水との混合時にこの水
を吸収してゲルを形成する、一測定量の乾燥樹脂性材料である。様々なゲル形成
樹脂が公知であるが、本発明に好ましい材料は、安定性、低コスト、高液体吸収
性、及び使い易さなどの面で、ポリアクリル酸ナトリウムのようなアクリル樹脂
である。他の適切な材料は、膨潤性ペクチン、澱粉、またはセルロースなどを含
む。樹脂は、プラスチックバッグ、たとえば前述したような一方向の水透過性を
有する香料袋、または小さいガラス瓶に包装された固形微粒子、または粉末とし
て提供されることが望ましい。この包装は、水、湿気、または湿気を含有した空
気の望ましくないアクセスを阻止するように気密であることが好ましい。また、
この包装は容易に開封することができ、経済的に製造され、廃棄の際に生態系に
対して安全なものでなければならない。

【００１６】 従来の空気清浄芳香剤のような芳香性材料（液状の場合は水溶性の溶液もしく
は溶媒ベースの溶液、固形の場合は凍結乾燥もしくはカプセル化された粉末など
）を、樹脂と共にキット内に包装してよい。芳香材料は、ハイドロゲル樹脂の表
面に噴霧されてもよい。そのような芳香性材料の例は、満足のいく芳香を生成す
るために使われる芳香性成分であり、特別に限定されないが、ミルラ（没薬）、
シーダー材、セドレノール、セドロール、カバノキ、サリチル酸メチル、バルサ
ムモミ、白檀材、サンタロール、杜松、ベンゾイン、安息香酸コニフェリル、タ
イム、チモール、ベイ、ユージノール、ミルセン、バジル、樟脳、桂皮酸メチル
、桂皮、桂皮アルデヒド、ローズマリー、クローブ、及び竜脳などを含む。

【００１７】 芳香剤又は空気清浄剤は、少なくとも一種類の揮発性有機化合物を含む芳香剤
で、フィルメニッヒ社（Ｆｉｒｍｅｎｉｃｈ Ｉｎｃ．，）、高砂社（Ｔａｋａ
ｓａｇｏ Ｉｎｃ．，）、ノビーユ社（Ｎｏｖｉｌｌｅ Ｉｎｃ．，）、クエス
ト社（Ｑｕｅｓｔ Ｃｏ．，）、インターナショナル・フレイバーズ・アンド・
フレグランセズ社（Ｉｎｔｅｎａｔｉｏｎａｌ Ｆｌａｖｏｒｓ ＆ Ｆｒａｇ
ｒａｎｃｅｓ） 、及びギボダン・ルール社（Ｇｉｖａｕｄａｎ−Ｒｏｕｒｅ
Ｃｏｒｐ）などの香料製造会社から入手できる。従来から最も多用される芳香性
材料は、揮発性のエッセンスオイル類である。芳香剤は合成物でも、天然物質に
由来するオイル、たとえばベルガモット、ビターオレンジ、レモン、マンダリン
、キャラウェー、ゼラニウム、ラベンダー、オレンジ、オリガナム、プチグレイ
ン、ホワイトシーダー、パチョリ、ラバンジン、ネロリ、ローズアブソリュート
などのオイルでもよい。

【００１８】 また、アルデヒド類、ケトン類、エステル類、アルコール類、テルペン類など
、広範囲かつ様々な化学物質が香料として公知である。芳香剤は、組成が比較的
単純であっても、または天然及び合成化学成分の複雑な混合物であってもよい。
合成物タイプの芳香剤組成物は、米国特許第４,３２４,９１５号；第４,４１１,
８２９号、及び４,４３４,３０６号等に開示されているように、単独で用いられ
ても天然オイルと組み合わせて用いられてもよい。その他の人工的な液状芳香剤
の例には、ゲラニオール、酢酸ゲラニル、イソオイゲノール、リナロール、酢酸
リナリル、フェネチルアルコール、メチルエチルケトン、メチルイオノン、酢酸
イソボルニルなどが含まれる。

【００１９】 さらに、液状芳香剤は増粘剤、例えばセルロース性物質、ポリマー性増粘剤、
またはカボシル(Ｃａｂｏｓｉｌ、商標)でカボット社（Ｃａｂｏｔ Ｃｏｒｐｏ
ｒａｔｉｏｎ）から市販されているタイプのヒュームドシリカなどを添加し、チ
キソトロピー形態にすることもできる。また、芳香剤の成分は、周囲温度で気相
に昇華する能力を有する結晶性固体の形態であってもよい。結晶性芳香材料は、
バニリン、エチルバニリン、クマリン、トナリッド、キャロン、ヘリオトロペン
、ムスクキシロール、セドロール、ムスク・ケトン・ベンゾフェノン、ラズベリー
ケトン、メチルナフチルケトンβ、サリチル酸フェニルエチル、ベルトール、マ
ルトール、メイプルラクトン、酢酸プロオイゲノール、エベルニル等を含む有機
化合物から選択されてよい。このような種類の芳香剤は、本発明で使用する空気
清浄剤の長期間にわたる空気処理能力に寄与することができる。好ましい芳香剤
は、ライラック、ジャスミン、及びローズなどの芳香性材料、レモン、オレンジ
もしくはライムなどのシトラス香、およびグリーン、レッド、及びゴールデンデ
リシャスのようなリンゴ香の芳香剤などである。

【００２０】 所望であれば、空気清浄剤キットに色素を含ませ、ハイドロゲルを鮮明に着色
してもよい。この色素は、ハイドロゲル樹脂ならびに芳香剤と混ぜるべき別の成
分として存在しても、あるいはハイドロゲル樹脂、芳香剤のいずれかに予め混合
された成分として存在してもよい。この色素は、成分材料が水と混ざり合ってキ
ットを活性化しゲルを形成する際に均一に分布するように、水溶性形態で存在す
ることが望ましい。

【００２１】 上記キットは、また、ハイドロゲル空気清浄剤用の適切な容器を含んでよく、
あるいは、空気清浄器の準備に用いる上で最も好適なタイプの容器に関する説明
を含んでよい。この容器は、皿、ボウル、瓶、すなわち適切な容量と好ましい外
観を有するものであり、キットのいかなる成分とも反応せず、芳香剤もしくはハ
イドロゲル樹脂に存在するいかなる溶媒材料とも反応しないガラスやプラスチッ
クなどの不活性な材料で作る必要がある。ガラスまたは透明な硬化プラスチック
材料が好ましい。

【００２２】 好ましい実施の形態において、このキットは、予め着色されたハイドロゲル樹
脂の小さなプラスチックバッグの入ったガラス瓶（ジャーキャンドル用に一般的
に使われるガラス瓶などを用いてよい）、及び芳香剤の入った小型のガラス瓶も
しくはプラスチック瓶を含む。また、キットは、小さな開口部を備えたプラスチ
ック蓋を含んでよい。この蓋により、消費者が水を添加してハイドロゲル空気清
浄剤キットが活性化されると芳香剤が大気中に放出され、再び蓋を閉じれば、子
供が触ったりゲルで遊んだりして内容物が偶然に露出することが防止される。ま
た蓋は、空気の流れを良くして芳香剤が周辺によりよく広がるように構成されて
もよい。

【００２３】 消費者自身が空気清浄剤装置を使用したいときは、成分包装物を開封すると共
に、備えられた容器中でその内容物を混合しても、あるいは消費者が選んだ適当
な容器中で内容物を混合してもよい。よって、消費者は、樹脂、（別個に存在す
る場合は）色素、および芳香材料を予め混合してよい。この混合物に、所定容量
の水をキットに含まれている使用説明書に従って添加する。この水の量は、キッ
トに含まれている樹脂、色素、及び芳香剤の容量に比べて比較的その量が多い。
水を添加した後、消費者は液状の混合物を攪拌したり、混ぜたり振ったりして、
キットに含まれる他の成分全てと水が充分に接触するようにする。完全に混合さ
れた容器を数分間そのまま置けば、反応が起こり、つまり水が反応し、ゲルが形
成される。ゲルが形成されると、芳香剤及び（もし存在する場合は）色素がゲル
中に均等に分布する。使用した樹脂の種類、その微粒子の大きさ、添加した水の
量、及び混合方法とその期間等によって、消費者は、液体に似た外観の透明なゲ
ルから、どろどろした混合物あるいはゲルの小さな「立方体」のようなクリスタ
ル（ガラス）容器状のものまで、様々なゲル形態を得ることができる。本発明の
ゲル樹脂系に界面活性剤を入れる必要はなく、界面活性剤が存在する場合、結果
として得られるゲルは透明でなく濁る傾向がある。

【００２４】 前述したように、本発明の好適なハイドロゲル樹脂は、ポリアクリレートポリ
マー（高吸収剤用に用いられる種類が好ましい）を含む。このような樹脂の典型
的な例は、バージニア州サフォーク（Ｓｕｆｆｏｌｋ）のチバ・スペシャルティ
・ケミカル社（Ｃｉｂａ Ｓｐｅｃｉａｌｔｙ Ｃｈｅｍｉｃａｌｓ）から入手
可能なアルコソルブ（Ａｌｃｏｓｏｒｂ）Ｇ１アクリル樹脂や、内部架橋のみを
有し高い膨潤性及び迅速な水放出性をもたらす架橋ポリアクリル酸ナトリウムポ
リマーである。本発明で使用できるチバ社の製品には、また、内部及び外部架橋
を有する二重架橋ポリアクリレートポリマーであるアルコソルブ(Ａｌｃｏｓｏ
ｒｂ)Ｇ３、および凝集剤として一般的に用いられ、粒子サイズが大きく（８０
０〜１２００ミクロン）、水を吸収した後大型の結晶のような外観を呈するアク
リル酸ナトリウムアクリルアミド共重合体であるアルコソルブＡＢ３Ｃがある。
別の適切な樹脂は、ゲリングエージェント(Ｇｅｌｌｉｎｇ Ａｇｅｎｔ)＃１４
という商品名でチバ・スペシャルティ・ケミカル社が販売しており、架橋ポリア
クリル酸ナトリウムを含む白色の自由流動する粉末である。そのような樹脂の粒
子サイズは、完成したゲル空気清浄剤の外観に影響することに注意されたい。小
さい粉末サイズの樹脂は、Ｊｅｌｌｏ（商標）状のゲルを形成し、一方、より大
きい粒子状樹脂はクリスタル（ガラス）状のゲルを形成する。類似のハイドロゲ
ル形成樹脂には、Ｈｏｒｔａ―Ｓｏｒｂ（商標）（ホルティカルチュラル・アラ
イアンス社（Ｈｏｒｔｉｃｕｌｔｕｒａｌ Ａｌｌｉａｎｃｅ Ｉｎｃ．， フ
ロリダ州サラソタ(Ｓａｒａｓｏｔａ)），ＣａｂｌｏｃＣＴ^TM (シュトックハウ
ゼン（Ｓｔｏｃｈａｕｓｅｎ）、ドイツ)、およびＨｙｄｒｏｓｏｒｂ^TM(イリノ
イ州販売部（Ｔｈｅ Ｉｌｌｉｎｏｉｓ Ｍａｒｋｅｔｉｎｇ Ｂｏａｒｄ)）
などの商品名で販売される製品がある。また樹脂の吸収率は、高吸収剤の架橋度
及び粒子サイズによって変わり、架橋度が小さいと吸収速度は速くなり、水の放
出速度も大きくなる。

【００２５】 本発明の上記の実施の形態の一実施例として、０.５〜約２ｇのアルコソルブ
Ｇ３ポリアクリル酸ナトリウムポリマー樹脂が含まれている小型のプラスチック
容器、及び約２ｇ〜約８ｇの液状ジャスミン芳香剤が含まれている小型のガラス
瓶を備えたハイドロゲル空気清浄剤キットが製造された。ポリアクリレート樹脂
は、クレリアント（Ｃｌａｉｒｉａｎｔ）社製の着色剤であるレッドＦ−５Ｂ約
０.０４重量％と予め混合した。樹脂と芳香剤は、プラスチック製の蓋が付いて
いる小さなキャンドルジャー(ｃａｎｄｌｅ ｊａｒ)に入れられた。蓋を開けて
内容物を取り出し、樹脂と芳香剤をキャンドルジャー内で予め混合した後、約１
５０ｃｃの水道水を加えた。約１.５分後、芳香剤を含んだ明るい赤色のゲルが
形成された。水の硬度は混合物のゲル化時間に影響を及ぼすので、水の硬度の変
動を補償するために、所望の空気清浄剤の重量の０.５〜２重量％を使用する必
要がある。芳香性ゲルは蓋なしで大気中に放置され、その長時間にわたる空気清
浄効果が顕著に認められた。完成したゲルは、多様な容器に入れてよい。ゲルが
空気に露出される面積が大きいほど大気中に放出される芳香剤分子の数が多くな
り、芳香の強さが強くなる。一方、容器の口が小さいほど蒸発速度が小さいので
、芳香の強さは弱くなるが、製品の寿命はより長くなる。

【００２６】 本発明のもう一つの実施の形態において、キットは上述のように消費者に供給
されるが、ハイドロゲル樹脂は特徴的に一方向の水透過性を有する香料袋の形態
で提供され、色素と芳香性材料はこの香料袋内に含まれる。芳香剤を固体の粒子
状材料（結晶体もしくは粉体）として提供しても、あるいは噴霧乾燥芳香剤（樹
脂と混合しても、樹脂表面に付着させてもよい）として提供してもよい。適切な
形態の固形芳香性材料は、噴霧乾燥された粉体、及びカプセル化された芳香剤を
含む。あるいは、芳香剤を香料袋の中の破断可能な容器に入れられた液体とし、
消費者がこの容器を絞ったり曲げたりして破壊して開け、芳香剤を放出してもよ
い。水を香料袋に添加すれば、ハイドロゲルが、パケット内に閉じ込められた状
態で速やかに形成される。また、パケットを水に溶解する形態で作ることも可能
であり、あるいは、樹脂と水が反応して急速に形成されたゲルが膨脹することに
よってパケットが容易に裂けるようにすることも可能である。このような香料袋
には、必要量の水を消費者が注入する適切な容器が備わっていてもよく、または
消費者が選択した容器に香料袋を入れて使用することもできる。上述のように、
容器は、水、樹脂、結果としてできたゲル、その他キット内のいかなる色素や芳
香性材料とも反応したり、これらに影響を受けたりしないガラスもしくは不活性
なプラスチック材料で作られることが好ましい。

【００２７】 本発明のこの実施の形態の一実施例として、非水溶性セルロース繊維のパケッ
トに０.５ｇないし２ｇの樹脂を含有するポリアクリル酸ナトリウム樹脂の香料
袋には、上述の実施例のようにキャンドルジャーに入れられ、かつ包装された澱
粉に吸収されたレモンオイルを含む噴霧乾燥した芳香剤が含まれている。香料袋
は、水対樹脂の比率約１５０：１をもたらすべくキャンドルジャー内で十分な量
の水に５分間浸され、５分後には水と芳香剤は基本的に樹脂に吸収されて 芳香
性ゲル空気清浄剤ができた。ゲルは大気中にさらされ、ゲルが乾燥及び収縮まで
のかなりの日数にわたり、芳香が顕著であった。その後、ゲルを再び水に浸して
空気清浄剤の再生が図られた。結果的にゲルは再生されたが、水から取り出した
後のゲルの芳香は微弱であった。

【００２８】 本実施の形態の変形例において、水で活性化される染料または着色剤を香料袋
の表面に印刷し、使用状態を示すインジケーターとして機能させた。この例で、
香料袋は濡れると色が鮮明になり、乾燥時にはほとんど無色に変わった。

【００２９】 本発明のもう一つの形態において、吸水性の綿材料、あるいは他のセルロース
性もしくは不織布ポリオレフィン材料などの材料から成るパッドを、樹脂と芳香
剤との混合物でコーティングもしくは含浸し、乾燥して、耐湿性包装物の形態で
消費者に提供してもよい。このようなパッドをセルロース性材料に限定する必要
はなく、その材料にポリエチレンのようなポリオレフィン類やポリエステル類を
含めてよい。このパッドを耐湿性の包装から取り出して水を噴霧し、または水に
浸けることにより活性化させれば、長期間にわたり芳香を放出するハイドロゲル
空気清浄剤がもたらされる。粉末化されたゲルの活性化後、パッドを消費者が望
む場所に置いて広範囲の空気清浄効果を得ることができる。

【００３０】 本発明のこの実施の形態の一実施例として、紙で作られたセルロース性パッド
に非水溶性担体内のポリアクリレートポリマー粉末(ゲル化剤１４)および噴霧乾
燥レモンオイル芳香剤を含浸させた後、乾燥して別にしておいた。乾燥後、含浸
したパッドを約１/２カップの水が入ったビーカーに入れ、水を吸収させて濃厚
な空気清浄剤パッドを形成した。その後、適切な位置に懸けられたパッドは、１
０ないし３０日程度、空気清浄作用を示した。

【００３１】 本発明のさらにもう一つの形態として、パッドに芳香剤なしで樹脂をコーティ
ングし、乾燥させた。その後、パッドを小さなボウルに入れ、水溶性の芳香剤を
含有した制御された水流にさらした。別の例として、パッドやハイドロゲルに吸
収された液体の蒸発速度に匹敵するように溶液放出速度を制御した芳香剤溶液貯
蔵器に上記のボウルを取付けた。このような形態の空気清浄剤は、利用できる水
と芳香剤の容積により決定される使用寿命を有することが確認された。ハイドロ
ゲルが最初に水と接触するまでゲル形成のためのハイドロゲル活性化が起こらな
いので、このパッドは長期間保管できる終始安定した芳香剤の供給源となり、ま
た液体が存在しないので出荷が経済的だった。さらに、大気中に放出される芳香
が、新鮮な芳香剤を含んだ水を芳香剤の蒸発速度で添加することにより補充され
たので、この空気清浄剤は液体の供給源がある期間、継続的に新鮮な芳香剤を提
供した。したがって、消費者は水と芳香剤の容器を別途に（かつ所望であれば異
なるものを）購入でき、また容器が空になったら、芳香剤の容器を取り換えるだ
けで無期限に空気清浄効果を引き続き得ることができる。

【００３２】 これらの樹脂が含浸またはコーティングされたパッドは、芳香剤がパッド内に
存在するか、あるいは後に消費者がパッドを接触させる液体内に存在しているか
どうかに関係なく、非常に経済的な形態の空気清浄剤を構成することが明らかに
なった。パッド内に液体が存在しないので、出荷費用が最小限にカットされた。
また、このような包装形態により、消費者に提供される製品に関して非常に融通
が効くようになる。パッドを、水との接触を制御可能な容器、即ち水の量を計量
でき、またパッドを設置することのできる計量ビン及びトレーで包装すれば、消
費者は全体的に乾燥したシステムを手にすることができ、これを開放し、簡便に
組み立て、計量ビンに水（または別途に包装された芳香剤溶液)を添加してこの
システムを活性化すればよい。この場合、様々な芳香剤を中に含んだパッドを別
途に販売すれば、消費者は、再使用可能な計量ビン及びトレーと共に使用する芳
香剤の種類を変えながらパッドを取り換えることができる。または、異なる香り
を有する様々な溶液を、(無香状態の)ゲル浸漬パッドと共に利用できるように提
供し、消費者に好きなように芳香の種類を変える機会を与えてもよい。

【００３３】 本発明を現時点において好適な実施の形態と考えられる実施の形態に関して説
明したが、本発明は上記好適な実施の形態に限定されない。むしろ、本発明は、
添付の請求範囲の思想と範囲内であれば様々な修正ならびに本発明と同等な構成
を含むものとする。以下の請求の範囲の範囲は、そうした修正ならびに本発明と
同等な処方と作用機能をすべて含むように最大限に広く解釈されるべきである。

【手続補正書】特許協力条約第３４条補正の翻訳文提出書

【提出日】平成１４年５月２４日（２００２．５．２４）

【手続補正１】

【補正対象書類名】明細書

【補正対象項目名】特許請求の範囲

【補正方法】変更

【補正の内容】

【特許請求の範囲】

Claims (20)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 水の添加により芳香性ハイドロゲル空気清浄剤を調製するた
   めのキットであって、計量された量のハイドロゲル樹脂及び計量された量の芳香
   剤物質を含むことを特徴とするキット。
2. 【請求項２】 前記計量された量の樹脂及び芳香剤物質を水と混合すること
   ができる容器をさらに含むことを特徴とする請求項１に記載のキット。
3. 【請求項３】 前記ハイドロゲル樹脂が、ポリアクリル酸ナトリウムポリマ
   ーを含むことを特徴とする請求項２に記載のキット。
4. 【請求項４】 前記樹脂及び芳香剤が、水の添加に先立って混合するために
   別途に包装されることを特徴とする請求項２に記載のキット。
5. 【請求項５】 着色剤をさらに含むことを特徴とする請求項４に記載のキッ
   ト。
6. 【請求項６】 前記芳香剤が、液状の芳香剤であることを特徴とする請求項
   ４に記載のキット。
7. 【請求項７】 前記芳香剤が、破断可能な容器内に封入された液体であるこ
   とを特徴とする請求項６に記載のキット。
8. 【請求項８】 前記樹脂及び前記芳香剤が共に固体であることを特徴とする
   請求項２に記載のキット。
9. 【請求項９】 前記芳香剤が、前記樹脂の表面に結合されることを特徴とす
   る請求項８に記載のキット。
10. 【請求項１０】 前記樹脂及び前記芳香剤が、一つの香料袋として提供され
    ることを特徴とする請求項１に記載のキット。
11. 【請求項１１】 前記香料袋が、粒子状のアクリル酸ポリマー及び芳香剤物
    質を含み、かつ前記袋が一方向水透過性を有することを特徴とする請求項１０に
    記載のキット。
12. 【請求項１２】 前記アクリル酸ポリマーが、アクリル酸ナトリウムポリマ
    ーであることを特徴とする請求項１１に記載のキット。
13. 【請求項１３】 着色剤をさらに含むことを特徴とする請求項１１に記載の
    キット。
14. 【請求項１４】 前記芳香剤物質が、粒子状であることを特徴とする請求項
    １０に記載のキット。
15. 【請求項１５】 芳香性ハイドロゲル空気清浄剤を調製するためのキットで
    あって、ポリアクリル酸ナトリウムポリマーに浸漬されたパッドを含むと共に、
    芳香剤の水溶液の制御された添加により活性化されることを特徴とするキット。
16. 【請求項１６】 前記パッドに前記水溶液の制御された流れを当て、これに
    より芳香剤を終始安定して放出させるための容器をさらに含むことを特徴とする
    請求項１５に記載のキット。
17. 【請求項１７】 前記パッドが前記キットの取り換え可能な要素であること
    を特徴とする請求項１６に記載のキット。
18. 【請求項１８】 芳香性ハイドロゲル空気清浄剤を調製するためのキットで
    あって、ポリアクリル酸ナトリウムポリマー及び芳香剤に浸漬されたパッドを含
    み、かつ前記キットが水の制御された添加により活性化されることを特徴とする
    キット。
19. 【請求項１９】 前記パッドに前記水溶液の制御された流れを当て、これに
    より芳香剤を終始安定して放出させるための容器をさらに含むことを特徴とする
    請求項１８に記載のキット。
20. 【請求項２０】 前記パッドが前記キットの取り換え可能な要素であること
    を特徴とする請求項１９に記載のキット。