JPS6027537B2 - 液体芳香剤の発散装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は液体芳香剤を入れた容器に挿着する発散装置に
関し、詳しくは、芳香剤を吸い上げる柱状繊維東とその
柱状繊維東の頂部に密着させた羊毛フェルトから成る発
散装置に関する。

従来、液体芳香剤を発散させ芳香を提供する手段として
は以下のような物が知られている。

ｍ 容器に芳香剤を収容し、この容器の口部に挿着した
吸上げ芯で芳香剤を吸い上げ、容器外部に芳香を発散さ
せる手段。■ 前記‘１１の吸上げ芯の頂部にパルプ繊
維質から成る猿紙を密着し芳香を発散させる手段。

‘３’フェルト、不織布、脱脂綿、スポンジ等のように
液体吸収性のよいものに芳香剤を充分吸収させた状態の
ものを放置することにより芳香を発散させる手段。

ここで液体芳香剤としては、香料成分、水、アルコール
、界面活性剤等を適当量混合したものが通常である。

しかしながら、前記‘１｝，（２），‘３’のような手
段では充分な発散効果が得られていないのが実情である
。

第‘１｝の手段で用いられる吸上げ芯は、前記液体芳香
剤に侵されない繊維を上下方向に整列させて束ねたもの
である。

この吸上げ芯の下部を液体芳香剤に浸すと、毛細管現象
により芳香剤が吸い上げられ上昇し、芯の頂部より発散
する。この際、芳香剤に含まれている水分や界面活性剤
は揮発しにくいため、芯頂部に残留し易い。このため液
体芳香剤中の香料成分の毛細管現象も阻害され、芯頂部
からの芳香の発散が低下し、最後まで均一に発散するこ
とができないという欠点を有している。第｛２１の手段
は、吸上げ芯を芳香剤の通路としてのみ利用し、前記吸
上げ芯の頂部にあらたに別素材の広い発散部を密着して
設けることにより、第｛１｝の手段が有する発散低下の
欠点を克服しようとしたものである。

しかしながら、この発散部はパルプ質の猿紙であるため
、芳香剤中の親水性成分だけを良く吸収して通し、疎水
性の香料成分を通いこくい。従って発散部において分離
現象が起こり、香料成分を均一に発散部の上面に通過さ
せることが困難で、香料成分の有する芳香性を充分に発
揮させることができない。第｛３丁の手段では、芳香剤
の発散速度が大きいため芳香の発散を長期間持続させる
にはフェルト特の容積をかなり大きくして芳香剤を大量
に吸収する必要がある。

また、液体芳香剤の特徴である透明性を商品の美的要素
として生かすこともできない。本発明者らは、このよう
な従来における発散装置の問題点を解決するために種々
研究の結果、柱状繊維東と羊毛フェルトを組合せること
により、液体芳香剤を最後まで継続して均一に発散する
ことができるという事実を見し、出した。

本発明はこれらの知見に基づいてなされたものであり、
実感的にも有利な発散装置を提供するものである。すな
わち、本発明に係る発散装置はその下部に柱状繊維東で
構成して筒状の吸上げ部を有し、前記吸上げ部の頂部上
に羊毛含有率５の重量％以上の羊毛フェルトで構成した
盤状の発散部を密着して設けて成る。使用に際しては、
液体芳香剤を入れた容器に前記発散機構を差し込み、前
記発散部が前記容器の口より少し出る状態で前記発散機
構を固定し、前記容器の口の内周と前記吸上げ部の外周
との間隙を中栓にて封ずる。

この際、容器の底に吸上げ部の下部が到達していれば芳
香剤を無駄なく利用でき好ましい。また、発散部全体が
容器の口より少し浮いた状態で固定されるように吸上げ
部の長さを調節すれば、発散部の下面からも芳香剤が発
散し、芳香剤の発散効果を促進する。本発明で用いる柱
状繊維東は、上下に延びた繊維が複数揃えられそれらが
柱状に束ねられたものであり、毛細管現象を起こして液
体芳香剤を円滑に吸い上げることができる。

前記繊維は液体芳香剤に侵されないものであればよく、
例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、
レーヨン等がある。柱状繊維東の密度は０．１〜０．７
夕／塊であればよい。また、外形はどんなものでもよく
例えば円柱や四角柱等がある。本願の特許請求の範囲に
記載したｒ羊毛フェルト」とは羊毛を主体とするフェル
トの意味であり、羊毛含有率が５の重量％以上であれば
よいが、好ましくは羊毛含有率が８０〜１０の重量％で
ある。

羊毛のほかに含まれる成分は天然繊維でも合成磯総でも
よい。羊毛フェルトの密度は０．１５〜０．６５であれ
ばよい。この羊毛フェルトは前記柱状繊維東の頂部に接
触するように用いるため、柱状繊維東の頂面と同等か又
はそれ以上の大きさの底面を有することが好ましい。こ
れらの柱状繊維東と羊毛フェルトとを粗合せることによ
り、従来の発散手段では得られなかった優れた発散効果
を得ることができる。

前記羊毛フェルトは非常に優れた水分吸収性と油成分吸
収性を有しているのみならず、猿紙に見られるような分
離作用を示さないため、液体芳香剤を全体的に均一に吸
収するとともにその表面からの芳香剤の発散を均一に進
行させることができる。

また、常に芳香剤の適当量を保持することができるため
、芳香剤の発散を長期間継続的に安定して進行させるこ
とが可能である。前記柱状繊維東は前記羊毛フェルトと
接触しており、吸上げた液体芳香剤が順次羊毛フェルト
に吸収されるため、柱状繊維東内では常に均一に芳香剤
が上昇していく。

従って、芳香剤中の成分が分離したり、留まったりして
芳香剤の上昇を妨げることが起こらない。このような利
点を有するため、前記柱状繊維束の横断面を小さくして
も機能が劣るということはない。このことはデザイン上
も有利である。このように、前記柱状繊維東と前記羊毛
フェルトとを組合せた発散装置は相乗効果により芳香剤
を継続的に安定して効率よく発散させることが可能であ
り、羊毛フェルトの表面積並びに体積を大きくする必要
もない。

従って、発散装置を４・さくすることを可能であり、発
散装置を芳香剤容器にセットして商品とする場合には美
感上も非常に有利なものとなる。本発明を利用するのに
用いる液体芳香剤は、家庭用・オフィス用・自動車用等
に通常使用されるものであればよい。

芳香成分である香料は、通常、人が芳香を感じるもので
あれば天然香料でも合成香料でも構わない。この香料は
液体芳香剤中に１〜２の重量％含有されていればよいが
、好ましくは３〜１５重量％である。液体芳香剤中の水
の含有率または水と水溶性有機溶剤との混合液の含有率
は４０〜９＄重量％であればよく、好ましくは５０〜９
５重量％である。前記混合液の成分は特に限定しないが
、エチルアルコール等の水より揮発性のよし・ものを用
いれば芳香剤の発散が早められ、逆にエチレングリコー
ル、ポリエチレングリコール等の揮発性の悪いものを用
いれば発散が制御される。液体芳香剤に添加される界面
活性剤は、無や香料の分散、乳化または可溶化等に用い
られるものであれば、アニオン性、ノニオン性、カチオ
ン性または両性のものであっても構わない。その含有量
は香料１の重量部に対して１〜５の重量部がよい。また
、液体芳香剤中には芳香剤の粘性を調整する粘着剤・着
色用染料・その他の芳香発散助剤を添加してもよいし、
芳香以外の目的のために消臭剤・殺菌剤・気化性防錆剤
・防虫剤等を添加することもできる。これらの物質の含
有量は液体芳香剤１００重量部以下が好ましい。本発明
を利用するのに用いる容器の材質は液体芳香剤によって
侵されないものであればどのようなものでもよく、例え
ばガラス、陶磁器、ポリプロピレン等がある。

本発明の発散装置の発散効果を更に説明するために以下
の手順から成る実験を行なった。

‘１｝ ２種類の組成の液体芳香剤を調製した。

ｔ２１ 発散装置として本願の実施例を１川固比較例を
９個作製した。‘３｝ 前記２種類の液体芳香剤で前記
１ｇ固の発散装置の発散の強さと発散の安定性を測定し
た。

前記手順ｔｌ｝で調整した２種類の液体芳香剤の組成は
、■ 香料（高砂香料工業株式会社製Ｆｒａｇｒａｎｃ
ｅＨＨ−２５４４）１の重量％、水６の重量％、界面活
性剤（第一工業製薬株式会社製 ノィゲンＥＡ−１４０
）３の重量％■ 香料（■と同じもの）１５重量％、水
３５重量％、界面活性剤（■と同じもの）２の重量％、
エチルアルコール３の重量％である。

前記手順【２｝で作成した発散装置のうち１の固の実施
例（ィ〜ヌ）は第１図に示すように発散部１１と吸上げ
部１３とから成っている。

この発散装置に中栓２１を装着（第３図参照）した後に
第４図に示すようにガラス容器３１に挿入して固定した
。ガラス容器３１にはあらかじめ液体芳香剤１５を入れ
ておいた。前記中栓２１は吸上げ部１３とガラス容器３
１の口の内面との間の空隙を封ずるよう設けたものであ
るが、容器内圧を外圧と調整するために直径約１肌の小
孔を有する。ここで、吸上げ部１ １はポリプロピレン
４の重量％およびポリエステル６の重量％から成る柱状
繊維束で、密度は０．２６夕／地、外径は８側、長さ‘
ま５６側である。

このような長さの吸上げ部１１をガラス容器３１の底部
に到達するまで挿入すると前記吸上げ部１１の頂面がガ
ラス容器３１の口部上面より約１肌突出した形となる。
また、発散部１１として用いた羊毛フェルトは外径１６
凧、厚さ６伽の円盤状体であるが材質、密度等はそれぞ
れ以下に示すものである。

実施例 ｛ィ｝ 羊毛６広重量％、密度０．２０夕／地（千代田フェルト
社製 プレスフェルトＣＫ）実施例‘ロ｝ 羊毛６の重量％、密度０．２５夕／地（日本毛織株式会
社製 プレスフェルトＮＫ５）実施例 Ｎ 羊毛７の重量％、密度０．２３夕／洲（日本フェルト工
業株式会社製 プレスフェルトＣＭ）実施例 ８ 羊毛８の重量％、密度０．２５夕／地（日本フェルト工
業株式会社製 プレスフェルトＲＷ）実施例 ｛ホ’ 羊毛９の重量％、密度０．２５夕／地（日本毛織株式会
社製 プレスフェルトＮＫ一７）実施例 Ｎ 羊毛１００重量％、密度０．２５多／の（日本フェルト
工業株式会社製 プレスフェルトＡＷ）実施例 川 羊毛１００重量％、密度０．３４夕／城（日本フェルト
工業株式会社製 プレスフェルトＨＷ）実施例‘チ’ 羊毛１００重量％、密度０．２４夕／敵（日本フェルト
工業株式会社製 プレスフェルトＡＳ）実施例 肌 羊毛ｌｏｏ重量％、密度０．５３多／洲（日本フェルト
工業株式会社製 プレスフェルトＡＭ）実施例 （ヌ） 羊毛１００重量％、密度０．６３夕／地（日本フェルト
工業株式会社製 プレスフェルトＡＨ）各実施例で使用
した羊毛フェルトの羊毛含有量と密度を表にすると以下
のようになる。

次に、前記手順【３ｌで作成した発散装置のうち９個の
比較例（（ル）〜（ッ））を示す。

ここで比較例（ル）〜（し）の発散装置に前記実施例…
〜（ヌ）で用いた中栓を装着した後に、ガラス容器に挿
入して固定した。ガラス容器にはあらかじめ液体芳香剤
を入れておいた。比較例 （ル） 前記実施例‘ィ’〜（ヌ）で用いたのと同じ吸上げ部（
柱状繊維東）のみ比較例 （ヲ） ポリプロピレン５の重量％およびポリエチレン５０重量
％から成る柱状繊維東で、密度０．２７夕／地、外径１
３脚、長さ５６側のもののみ比較例 （ワ） 比較例（ル）で用いた柱状繊維東上にアクリル１０の重
量％、密度０．１５夕／地・外径１６肋・厚さ６肋のフ
ェルト（日本フェルト工業株式会社製 ニードルフェル
トＧＡ）を密着させたもの比較例 （力） 比較例（ル）で用いた柱状繊維東上にポリプロピレン１
０の重量％、密度０．１５夕／地・外径１６柳・厚さ６
側のフェルト（日本フェルト工業株式会社製 ニードル
フェルトＧＰ）を密着させたもの比較例 （ョ）比較例
（ル）で用いた柱状繊維東上にポリエステル１００重量
％・密度０．１５夕／地・外径１６側・厚さ６肌のフェ
ルト（日本フェルト工業株式会社製エードルフェルトＧ
Ｔ）を密着させたもの比較例 （夕） 比較例（ル）で用いた柱状繊維束上にナイロン１０の重
量％・密度０．１５夕／塊・外径１６肌・厚さ６側のフ
ェルト（日本フェルト工業株式会社製 ニードルフェル
トＧＮ）を密着させたもの比較例 （し） 比較例（ル）で用いた柱状繊維東上に密度０．２９夕／
地・外径３８側・厚さ２．７５肋の櫨紙（安積猿紙株式
会社製 工業用櫨紙＃５３００）を密着させたもの比較
例 （ソ） 第５図に示すようにガラス容器７３に羊毛８０％・密度
０．２５夕／洲、・縦７５肋・横７５肌・高さ２０側の
羊毛フェルト（日本フェルト工業株式会社製プレスフェ
ルトＲＷ）を入れたもの。

あらかじめ液体芳香剤９５私を含浸させておく。比較例
（ッ） 前記実施例‘ィー〜（ヌ）で用いたガラス容器３１に液
体芳香剤を入れただけのもの前記手順‘３’で行なった
測定を以下に説明する。

凶 発散の強さ芳香発散体から５〜１０肌離れた所に鼻
を近づけ芳香発散の強さを調べる（１０人りよる官能検
査）佃 発散の安定性 作成後室温で１ケ月間放置した芳香発散体と、前記芳香
発散体と同種類で作成直後の芳香発散体（標準品）の各
々から５〜１０弧離れた所に負を近づけ芳香を比較して
芳香発散の安定性を調べる（１０人による官能検査）。

前記表の発散の強さの欄に記載した記号の意味は、◎・
・・・・・芳香が特に強く感じられて良いと評価する人
が８人以上の場合、○・・・・・・芳香が良く感じられ
ると評価する人が８人以上の場合、△・・・・・・芳香
が普通に感じられると評価する人が８人以上の場合、×
・・・・・・芳香がほとんど感じられなくて芳香発散体
としては失格であると評価する人が８人以上の場合、で
ある。

また、前記表の発散の安定性のに記載した記号の意味は
、◎・・・・・・標準品と全く変わらないと感じる人が
評価する人が８人以上の場合、○・・・・・・標準品と
ほとんど変わらないと感じる人が８人以上の場合、△・
・・・・・標準品と比べるとやや変化して芳香が弱くな
っているが支障はないと評価する人が８人以上の場合、
×・・・・・・標準品と比べるとかなり変化して芳香が
感じられないと評価する人が８人以上の場合である。

前記表からも明らかなように、本発明による発散装置は
小さな外形にもかかわらず、芳香を変化させることなく
、常に安定して芳香剤を発散させることができる。

次に本発明の発散装置を利用した芳香剤容器の一実施例
を図によって説明する。

第２図および第３図において３２は容器本体３１の上部
中央より上方へ突出した筒状の口部であり、前記容器口
部３２には吸上げ部１３が貴挿状態に装着されている。

１は前記容器口部３２に螺合手段により着脱可能に冠着
された蓋本体であり、前記蓋本体４１は容器口部３２に
対する螺合筒部４３の上端にフランジ部４５が設けられ
るとともにこのフランジ部４５の内周緑にキャップ状の
上部４７が蓮設されてなる。前記蓋本体４１の上部４７
にこれに相応する夫蓋５１が摺嬢回動可能に被恢されて
おり、図の場合、夫蓋６１の下面中央に先細でかつ基部
が若干くびれた形状の係合突部５３を設けて前記係合突
部５３を前記蓋体上部４７の中央に有する孔４９に押入
係合している。前記蓋本体４１の上部４７と夫蓋５１に
はそれぞれ互いに合致する同形の芳香剤発散用の窓４８
および５５が造数貝開設されている。前記窓４８および
５５は天蓋５１の回動操作によって呉該窓の位置をずら
せたり合致させることにより開閉できるようになってい
る。２１は前記容器口部３２の内側に鉄着して吸上げ部
１３を貴挿状態に保持する中栓である。

中栓２１の容器口部３２に対する鉄合部２２の下部には
節部を介して小内蓬部２３が蓮設されており、前記節部
２５には通気用の小孔２６が設けられている。さらに中
栓２１の小内蓬部２３の下端には吸上げ部１３を荻持す
る保持脚２７が周方向所要間隔に垂設されている。また
中栓２１の上端には容器口部３２の上端面に載接するフ
ランジ部２４が設けられており、その上面には吸上げ部
１３の上部に蓮設される発散部１１を保持する保持爪２
８が周万向所要間隔で立設されている。６１は中央に開
口６３を有しかつ前記閉口６３にすのこ状等をなすメタ
ルカバー６５が装着された飾り蓋であって、開□６３の
両側の垂設板６７，６７をもつて蓋本体４１のフランジ
部４５上に係合され天蓋５１を蔽うように被着されてい
る。

本発明の利用例は上記のように構成されており、蓋本体
４１の上部４７およびこれに蕨合した夫蓋５１に設けた
芳香剤発散用の窓４８および５５を、必要に応じて夫蓋
５１を回動操作して開閉することにより、芳香剤の発散
の程度を好みに合うように調整できるとともに不必要な
ときの芳香剤発散を防ぐことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の実施例を示す斜視図であり、第２図な
いし第４図は本発明の利用例であって、第２図は縦断正
面図、第３図は分解斜視図、第４図は斜視図であり、第
５図は比較例の斜視図である。 １１・・・・・・発散部、１３・・・・・・吸上げ部。 第１図第２図 第３図 第４図 第５図

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 上下に延びた繊維が複数揃えられそれらが柱状に束
   ねられた柱状繊維束より成る吸上げ部の上端に、羊毛フ
   エルトより成る発散部を配して成る液体芳香剤の発散装
   置。 ２ 前記羊毛フエルトが５０重量％以上の羊毛から成る
   ことを特徴とする特許請求の範囲第１項記載の液体芳香
   剤の発散装置。