JP2971593B2 - 弁開閉時期制御装置 - Google Patents

弁開閉時期制御装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、弁開閉時期制御装置に
関するものであり、エンジンの弁開閉時期をエンジンの
各種条件に対してリニアに制御するものである。
【0002】
【従来の技術】本発明に係わる従来技術としては、例え
ば特開昭62−3111号公報に開示されたものがあ
る。
【0003】この従来の弁開閉時期制御装置80を第2
図に基づいて説明すると、内周部にヘリカルスプライン
を形成したタイミングプーリ81と外周部にヘリカルス
プラインを形成した伝達部材82との間に、内外周部に
夫々ヘリカルスプラインを形成したリング状のピストン
手段83が係合している。また、タイミングプーリ81
の外周面上にはタイミングベルト86が係合し、図示し
ないエンジンの図示しないクランクシヤフトにより駆動
される。
【0004】ここで、伝達部材82はボルト84により
カムシヤフト85に固設され、互いに相対回転しないよ
うになつている。
【0005】また、ピストン手段83はその軸方向に2
分割され、その間にスプリング86を入れることによ
り、所謂シザーズギヤ化が図られている。これにより、
タイミングプーリ81→ピストン手段83→伝達部材8
2と回転トルクが伝達する際に、各ヘリカルスプライン
間で生じるバツクラシユ等による噛み合い音を減少でき
る。
【0006】また、ピストン手段83の図示右側に配設
された受圧プレート87はピストン手段83と共に動
き、油圧ライン88の油圧に応じてピストン手段83を
図示左右動させる。
【0007】ここで、ピストン手段83の図示右側空間
89にはスプリング90が配設され、ピストン手段83
を初期位置(図示最左方位置)へと付勢している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上述の従来の
弁開閉時期制御装置80では、油圧ライン88に供給さ
れる油圧は図示しない油圧制御弁によりON/OFF制
御されるのみであり、従つて、弁開閉時期は2つの時期
しかとることができない。
【0009】しかし、近年エンジンの高性能化が要求さ
れており、弁開閉時期は常時最適な任意の時期に保たれ
ているのがよく、また高い弁開閉時期制御の応答性が望
まれる。上述の従来の弁開閉時期制御装置80では、エ
ンジン各所を潤滑するための油圧ポンプから圧送される
オイルの一部を油圧ライン88に油圧制御弁を介して供
給するようになっており、弁開閉時期の変化量が大きく
必要油量が多い場合にも応答性を確保するためには、油
圧ポンプの容量を大型化する必要がある。
【0010】そこで、本発明では弁開閉時期制御装置に
おいて、弁開閉時期を任意の時期にできるようにする
共に、油圧ポンプの大容量化を招くことなく応答性を確
保することを、その技術的課題とする。
【0011】
【発明の構成】
【0012】
【課題を解決するための手段】前述した本発明の技術的
課題を解決するために講じた本発明の技術的手段は、弁
開閉時期制御装置を、カムシャフト及びクランクシャフ
トとを有するエンジンと、該カムシャフトの回転位置を
検出する第1センサと、前記クランクシャフトの回転位
置を検出する第2センサと、前記クランクシャフトによ
り駆動され前記エンジンの各所へ潤滑のためのオイルを
圧送する第1油圧ポンプと、前記クランクシャフトによ
り駆動される第2油圧ポンプと、前記カムシャフトに配
設され前記カムシャフトの回転位相を変化させる回転位
相変化手段と、前記第2油圧ポンプと前記回転位相変化
手段とを接続する油圧ラインと、該油圧ライン上に配設
されるリニア制御弁と、該リニア制御弁と前記第2油圧
ポンプの間の前記油圧ライン上に配設される蓄圧器と、
少なくとも前記第1及び第2センサの出力信号が入力さ
れる電子制御装置とを有し、該電子制御装置は前記リニ
ア制御弁を介して第2油圧ポンプから前記回転位相変化
手段へ供給される油圧を制御して前記回転位相変化手段
をリニア制御するようにしたことである。
【0013】上述した本発明の技術的手段によれば、回
転位相変化手段は、従来のようにON/OFF制御では
なくリニア制御されることになり、弁開閉時期は常時最
適な任意の時期に設定される。また、リニア制御弁と第
2油圧ポンプとの間の蓄圧器の油圧供給作用により、第
2油圧ポンプを大容量化することなく、回転位相変化手
段が多くの油量を必要とする最遅角状態から最進角状態
への回転位相変化時の応答性が確保される。
【0014】
【実施例】以下、本発明の技術的手段を具体化した実施
例について添付図面に基づいて説明する。
【0015】弁開閉時期制御装置10はエンジン11に
配設されており、電子制御装置12によりそのほとんど
全ての作動をコントロールされている。エンジン11は
クランクシヤフト13及びこのクランクシヤフト13に
より図示しない伝達手段(例えばVベルトやコグドベル
ト等のベルト部材や歯車部材等)を介して駆動されるカ
ムシヤフト14を有しており、各シヤフト13・14の
回転位置は夫々クランク位置センサ(第2センサ)15
及びカム位置センサ(第1センサ)16により検出され
ている。
【0016】ここで、電子制御装置12にはクランク位
置センサ15及びカム位置センサ16の出力信号の他
に、例えば、エンジン油温信号・エンジン負荷信号・エ
ンジン回転数信号等が入力されている。
【0017】エンジン11本体下部に配設されたオイル
パン17には常時エンジン11潤滑用のオイルが貯蔵さ
れており、エンジン11作動中には、クランクシヤフト
13により駆動される第1油圧ポンプ(油圧ポンプ)1
8により、オイルがエンジン11の各所へと油圧回路1
9を介して圧送されている。尚、この油圧回路19には
オイルフイルタ20・リリーフ弁21等が配設されてい
る。
【0018】同じくクランクシャフト13により駆動さ
れる第2油圧ポンプ(油圧ポンプ)22は油圧回路19
よりオイルを吸引して油圧制御手段23へとオイルを吐
出している。油圧制御手段23は、第1油圧制御弁(リ
ニア制御弁)24及び第2油圧制御弁(リニア制御弁)
25より構成され、電子制御装置によりデユーテイ制御
される。第1油圧制御弁24の第1ポート24aは第2
油圧ポンプ22の吐出ライン(油圧ライン)26と、第
2ポート24bは回転位相変化手段27へつながる作動
ライン(油圧ライン)28と、第3ポート24cは第2
油圧制御弁25の第1ポート25aと夫々連通し、第2
油圧制御弁25の第2ポート25bはオイルパン17と
連通する。また、吐出ライン26にはリリーフ弁29及
び蓄圧器50が配設されている。
【0019】回転位相変化手段27はカムシヤフト14
の一端に配設され、クランクシヤフト13の回転トルク
をカムシヤフト14へと伝達すると共に、カムシヤフト
14の回転位相を変化させる。このカムシヤフト14に
は図示しない吸排気弁が係合しており、カムシヤフト1
4の回転に伴つて、吸排気弁が吸排気通路の開閉動作を
行う。
【0020】タイミングプーリ30はカムシヤフト14
に相対回転可能に挿入され、その最外周面30a上には
前述の伝達手段が係合している。また、タイミングプー
リ30の内側外周面30bにはヘリカルスプライン30
cが形成され、このヘリカルスプライン30cと噛合す
るように、リング状ピストン(ピストン手段)31の内
周面にはヘリカルスプライン31aが形成されている。
【0021】更に、リング状ピストン31の外周面には
ヘリカルスプライン31bが形成され、このヘリカルス
プライン31bと噛合するように、伝達部材32の内周
面にはヘリカルスプライン32aが形成されている。
【0022】また、伝達部材32は一体に固設されるカ
バー34を介してカムシヤフト14に、ボルト35及び
ピン44により相対回転不能に固定される。
【0023】従つて、リング状ピストン31は離間して
位置するタイミングプーリ30と伝達部材32との間に
形成された空間33内を図示左右方向に、各ヘリカルス
プライン30c・31a・31b・32aに沿つて摺動
することができる。
【0024】ここで、空間33内のリング状ピストン3
1図示右側にはスプリング(スプリング手段)36が配
設され、リング状ピストン31を初期位置(リング状ピ
ストン31の図示左端がカバー34に当接する位置)へ
と付勢している。
【0025】また、リング状ピストン31の図示左端と
カバー34の図示右端とは対向する位置には油圧室37
が形成され、カムシヤフト14内の通路14aを介して
前述の作動ライン28と連通している。ここで、油圧室
37に作用するオイルは作動ライン28を往復動するも
のであるが、各ヘリカルスプライン30c・31a・3
1b・32aを介して空間33へと洩れたオイルは、空
間33内の圧が高圧にならないように、また、カムシヤ
フト14の外周面上を潤滑できるように、タイミングプ
ーリ30には通路30dが形成されている。
【0026】更に、タイミングプーリ30のフランジ部
30eにはダンパーケース38が圧入され、一方、ダン
パーケース38の内周部はシールリング39を介して伝
達部材32の外周面と摺接する。ここで、ダンパーケー
ス38の図示右側面と伝達部材32のフランジ部32b
には互いに離間して噛合する環状溝が形成されてラビリ
ンス部40を形成し、その内部に粘性流体(例えばシリ
コンオイル)が封入されて粘性ダンパー手段41を形成
する。
【0027】また、42・43は粘性流体封入用のシー
ルリング(シールリング39と協動)である。
【0028】以上の構成を有する弁開閉時期制御装置1
0の作動について以下に説明する。
【0029】まず、電子制御装置12がエンジン11の
運転状態をエンジン回転数信号等により検出すると、最
適な弁開閉時期となるようにカムシヤフト14の制御目
標値を演算(PID演算等)する。
【0030】次に、電子制御装置12は、クランク位置
センサ15とカム位置センサ16の出力信号により現状
の弁開閉時期を検出し、制御目標値と比較してカムシヤ
フト14の回転位相変化量を決める。
【0031】そこで、電子制御装置12は第1油圧制御
弁24及び第2油圧制御弁25を公知のデユーテイ制御
方法により制御する。
【0032】例えば、弁開閉時期を現状よりも進角させ
る場合には、第2油圧制御弁25を全閉(デユーテイ
比、開:閉=0:100/第1ポート25aと第2ポー
ト25bとは非連通)とした上で、演算されたデユーテ
イ比で第1油圧制御弁24を制御する。従つて、作動ラ
イン28に第2油圧ポンプ22の吐出する高圧オイルが
供給され、その圧力が油圧室37に作用することで、リ
ング状ピストン31はスプリング36の付勢力に抗して
図示右方へと移動し、タイミングプーリ30とカムシヤ
フト14との回転位相を変化させる。従つて、弁開閉時
期は進角する。
【0033】そして、回転位相の変化量が目標値となる
と、第2油圧制御弁25と共に第1油圧制御弁24も全
閉とすることで、作動ライン28を密閉状態に保ち、回
転位相の変化量を保持する。
【0034】ここで、作動ライン28のオイルは各部よ
り洩れが生じるため、徐々に位相が変化しようとする。
そこで、電子制御装置12は常時弁開閉時期を検出する
ことで、油圧制御手段23を用いてフイードバツク制御
を行う。
【0035】また、カムシヤフト14は吸排気弁に配設
された図示しないバルブスプリングにより、正負両方向
の変動トルクを受けてリング状ピストン31を軸方向
(図示左右方向)に移動させて回転位相を変えようとす
るが、粘性ダンパー手段41が変動トルクを吸収するた
めに、回転位相に変化は生じない。
【0036】一方、弁開閉時期を現状よりも遅角させる
場合には、第1油圧制御弁24を全閉(第1ポート24
aと第2ポート24b・第3ポート24cとは非連通)
とした上で、演算されたデユーテイ比で第2油圧制御弁
25を制御する。従つて、油圧室37に作用する油圧が
減圧されることで、リング状ピストン31はスプリング
36の付勢力により図示左方へと移動し、タイミングプ
ーリ30とカムシヤフト14との回転位相を変化させ
る。従つて、弁開閉時期は遅角する。
【0037】そして、回転位相の変化量が目標値となる
と、第1油圧制御弁24と共に第2油圧制御弁25も全
閉とすることで、作動ライン28を密閉状態に保ち、回
転位相の変化量を保持する。尚、その後のフイードバツ
ク制御については、前述のとおりである。
【0038】但し、弁開閉時期を最遅角状態から最進角
状態に移行させる場合には油圧室37に供給されるべき
油圧量は多い必要があり、第2油圧ポンプ22の吐出油
圧量では不足するおそれがある。そこで、本実施例では
蓄圧器50に蓄えられた油圧を、このような場合に油圧
室37へと供給する。この後、進角が完了すると第2油
圧ポンプ22から油圧室37への油圧供給がほとんど必
要なくなるので、第2油圧ポンプ22の吐出油圧は蓄圧
器50に蓄えられる。
【0039】以上のように電子制御装置12は、常時カ
ムシヤフト14とクランクシヤフト13の位置を検知し
て、エンジン回転数・エンジン負荷・エンジン油温等の
エンジン状態に応じて最適な弁開閉時期となるように、
回転位相変化手段27をリニア制御する。従つて、弁開
閉時期は従来のように2値的なものではなく、任意の時
期をとることが可能である。
【0040】尚、本実施例では粘性ダンパー手段とし
て、ラビリンス溝によるものを示したが、プレートタイ
プのものでもよく、特にランビリンス溝のものに限定さ
れない。
【0041】
【発明の効果】以上に示した様に本発明では、回転位相
変化手段をリニア制御弁によりリニア制御することで、
弁開閉時期を常時最適な任意の時期に設定することが可
能となる。
【0042】また、蓄圧器の油圧供給作用により、弁開
閉時期の変化量が多く必要油量が多い場合にも第2油圧
ポンプの大容量化をすることなく、応答性を確保するこ
とが可能となる。即ち、回転位相変化手段をリニアに制
御する場合には、任意な位置で保持する場合と位相変化
させる場合とで必要油量が異なり、保持時が最も少なく
位相変化量又は位相変化速度により+αの油量が必要と
なることから、第2油圧ポンプの容量を必要最大油量よ
りも少なく設定し、蓄圧器で補うことで応答性を確保す
ることができると共に第2油圧ポンプの必要駆動力の低
減を図ることができる。
【0043】更に、回転位相変化手段には粘性流体ダン
パー手段が配設されることで、カムシヤフトがバルブス
プリングより受ける変動トルクを効果的に吸収できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明実施例の弁開閉時期制御装置10の構成
図を示す。
【図2】従来技術の弁開閉時期制御装置80の断面図を
示す。
【符号の説明】
10 弁開閉時期制御装置、 11 エンジン、 12 電子制御装置、 13 クランクシャフト、 14 カムシャフト、 15 クランク位置センサ(第2センサ)、 16 カム位置センサ(第1センサ)、 18 第1油圧ポンプ、 22 第2油圧ポンプ、 26 吐出ライン(油圧ライン)、 27 回転位相変化手段、 28 作動ライン(油圧ライン)、 30 タイミングプーリ、 31 リング状ピストン(ピストン手段)、 32 伝達部材、 36 スプリング(スプリング手段)、 41 粘性ダンパー手段、 50 蓄圧器。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−65004(JP,A) 特開 昭61−1833(JP,A) 特開 平2−241914(JP,A) 実開 平2−61106(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) F01L 1/34 F01M 1/16 F01M 11/02 F02D 13/02

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】カムシャフト及びクランクシャフトとを有
    するエンジンと、 該カムシャフトの回転位置を検出する第1センサと、 前記クランクシャフトの回転位置を検出する第2センサ
    と、 前記クランクシャフトにより駆動され前記エンジンの各
    所へ潤滑のためのオイルを圧送する第1油圧ポンプと、前記クランクシャフトにより駆動される第2油圧ポンプ
    と、 前記カムシャフトに配設され前記カムシャフトの回転位
    相を変化させる回転位相変化手段と、 前記第2油圧ポンプと前記回転位相変化手段とを接続す
    る油圧ラインと、 該油圧ライン上に配設されるリニア制御弁と、 該リニア制御弁と前記第2油圧ポンプの間の前記油圧ラ
    イン上に配設される蓄圧器と、 少なくとも前記第1及び第2センサの出力信号が入力さ
    れる電子制御装置とを有し、 該電子制御装置は前記リニア制御弁を介して第2油圧ポ
    ンプから前記回転位相変化手段へ供給される油圧を制御
    して前記回転位相変化手段をリニア制御することを特徴
    とする弁開閉時期制御装置。
  2. 【請求項2】前記回転位相変化手段は、タイミングプー
    リと、該タイミングプーリとピストン手段を介して係合
    し、前記カムシヤフトに固設される伝達部材と、前記ピ
    ストン手段を初期位置へと付勢するスプリング手段と、
    前記タイミングプーリと前記伝達部材との間に配設され
    る粘性ダンパー手段からなることを特徴とする請求項1
    記載の弁開閉時期制御装置。
JP3040301A 1991-03-06 1991-03-06 弁開閉時期制御装置 Expired - Lifetime JP2971593B2 (ja)

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JP3040301A JP2971593B2 (ja) 1991-03-06 1991-03-06 弁開閉時期制御装置
US07/846,929 US5243935A (en) 1991-03-06 1992-03-06 Valve opening and closing timing control apparatus

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JP3040301A JP2971593B2 (ja) 1991-03-06 1991-03-06 弁開閉時期制御装置

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JPH04279706A JPH04279706A (ja) 1992-10-05
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