JP2971585B2 - 中子造型方法およびその装置 - Google Patents

中子造型方法およびその装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、鋳造用の中子を造型す
る方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】鋳造技術においては鋳造すべき製品形状
により中子が必要とされることがあり、そのため種々の
中子製造方法が案出されている。たとえば特開昭64−
66043号公報には、硬化性樹脂を含有する鋳物砂を
加熱された金型のキャビティ内に充填し、該キャビティ
形状に合わせて鋳物砂を焼結させる技術が開示されてい
る。また、このような中子造型装置では、キャビティ内
に鋳物砂を充填させる際に、内部のエアが鋳物砂にすみ
やかに置換されるように金型にエアベントを設けると共
に、中子造型後の型開き時には金型からエジェクタピン
を突出させて中子と金型との離型が良好に行われるよう
にすることも行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記の中子
造型方法では造型すべき中子の形状が複雑であったり、
極めて薄い形状部分があると、上記のエアベントが備え
られていても鋳物砂充填時におけるキャビティ内のエア
の抜けが悪く、隅まで確実に鋳物砂が進入しない事態が
生じて中子の形状不良が発生する虞れがある。このよう
な形状不良に対する対策として多量のエアベントを設け
たり、吸引パイプによりエアを吸引して金型内に負圧を
かけるなどの方法により鋳物砂の金型内充填性を改善す
ることがなされているが、このような手段によって当初
は金型内充填性が向上しても、金型における中子の造型
数が増大するにつれて、エアベント内や吸引パイプ内に
鋳物砂や微粉が徐々に詰まり、これが再び鋳物砂の金型
内充填性を悪化させるので根本的な解決手段とならなか
った。
【0004】また、他の問題として、中子造型後に型開
きするときの金型と中子との離型性が悪い場合、中子折
れが生じることがある。これに対してはエジェクタピン
を多数設けて型開き時に中子にかかる荷重を低減させる
ことが有効であるが、金型内には鋳物砂を焼結させるた
めの加熱用ヒータが配設されているので、多数のエジェ
クタピンをヒータとの干渉を避けて配置させることに困
難が伴い、したがって、この方法の採用がむつかしい欠
点があった。
【0005】そこで本発明は、鋳物砂の金型内充填性を
改善できると共に、中子造型数の増大による金型内充填
性の悪化がなく、しかも型開き時の離型性にすぐれた中
子造型方法およびその装置の提供を課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明の請求
項1にかかる発明(以下、第1発明という)は、金型の
キャビティ内に鋳物砂を充填して、該鋳物砂を焼結する
と共に、鋳物砂の焼結後に上記金型を型開きした後、中
子を離型することにより中子を造型する方法において、
エア吸引手段とエア供給手段とを金型外部に配置して、
これら両手段を上記金型に設けられたエアベントに所定
通路を介して接続すると共に、上記鋳物砂の充填時に上
記エア吸引手段により上記エアベントからキャビティ内
のエアを吸引する一方、中子造型後の型開き時に上記エ
ア供給手段により該エアベントからエアを吐出すること
を特徴とする。
【0007】さらに請求項2にかかる発明(以下、第2
発明)は、型締め時に所定のキャビティが内部に形成さ
れると共に、加熱用ヒータが内蔵されている金型を有
し、該金型のキャビティ内に鋳物砂を充填して、該鋳物
砂を焼結すると共に、鋳物砂の焼結後に上記金型を型開
きした後、中子を離型することにより中子を造型する中
子造型装置において、上記金型外部に配置されたエア吸
引手段と、同じく金型外部に配置されたエア供給手段
と、これら両手段を上記金型に設けられたエアベントに
所定通路を介して接続する切り替え手段とを備え、該切
り替え手段を、上記鋳物砂の充填時には、上記エアベン
トからキャビティ内のエアを吸引するように、上記エア
吸引手段を上記エアベントに連通させ、中子造型後の型
開き時には、上記エアベントからエアを吐出するよう
に、上記エア供給手段を上記エアベントに連通させるよ
うに構成したことを特徴とする。
【0008】
【作用】上記の第1発明によれば、鋳物砂の充填時にエ
アベントからエアを吸引するので、キャビティ内のエア
の抜きが確実に行えて、該エアと鋳物砂との置換が良好
になされ、そのため鋳物砂はキャビティの隅々まで充填
されることになって金型内充填性が向上し、中子の形状
不良の発生が避けられる。しかも、型開き時にはエアベ
ントからキャビティに対してエアが吐出されるので、金
型が該エアによって冷却される結果、金型と中子との離
型効果が生じ、型離れがよくなって中子折れの防止がで
きる。
【0009】さらに第2発明によれば、鋳物砂の充填時
にはエアベントからエアを吸引するので、キャビティ内
のエアの抜きが確実に行えて、この場合においても上記
第1発明の造型方法と同様にエアと鋳物砂との置換が良
好になされ、そのため鋳物砂はキャビティの隅々まで充
填されることになって金型内充填性が向上し、中子の形
状不良の発生が避けられる。しかも、型開き時にはエア
ベントからキャビティに対してエアが吐出されるので、
この場合においても上記第1発明の造型方法と同様に金
型が該エアによって冷却される結果、金型と中子との離
型効果が生じ、型離れがよくなって中子折れの防止がで
きる。特に第2発明によれば、上記エアベントに接続し
たエア吸引手段とエア供給手段とが切り替え手段によっ
て切り替えられるようになっているから、上記の中子造
型後もしくは造型に先立ってエアベントを通しキャビテ
ィ内にエア吸引力とエア吐出力とを交互に働かせること
ができ、このエア力の交互切り替えによってエアベント
に鋳物砂や微粉が詰まるのが防止できる。
【0010】
【実施例】次に、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。
【0011】図1は中子造型用の金型装置を示し、金型
は架台1の上に装備された下型2と、該下型2の上方に
図示しない昇降手段に保持されて昇降可能に位置された
上型3とから構成され、両金型2,3を接合させて型締
めした際に金型2,3間に所定形状のキャビティ4が形
成されるように構成されると共に、上型3の上方に鋳物
砂充填装置5が設けられ、上記の型締め状態から上型3
に鋳物砂充填装置5が接して、上型3に設けられている
鋳物砂ブローノズル6,6を通してキャビティ4内に鋳
物砂が充填されるようになされている。
【0012】また、上型3と下型2のそれぞれに金型加
熱用のヒータ7〜7が埋入して配設されると共に、上型
3に所定数のエアベント8〜8が設けられる。これらの
エアベント8〜8は上述のキャビティ4に下部が連通さ
れる一方、上型3のヒータ下部位置に設けたエア通路
9,9に連通される。その場合、エア通路9,9はエア
ベント8〜8の数に対して1本ないし複数本の少ない数
とされ、該エア通路9,9にエアベント8〜8が複数本
ずつ(エア通路が1本の場合はすべてのエアベントが)
束ねて連通されることにより、上型内部に設けられてい
る前述のヒータ7〜7と干渉しない状態で、これらエア
ベント8〜8がエア通路9,9と接続される。なお、エ
アベント8〜8は周知のように、エア通路9,9に連通
する上端ほど径がちいさいテーパ形状とされている。ま
た、図示していないが、上型3には適数のエジェクタピ
ンが備えられている。
【0013】さらに、金型2,3の外部にエア吸引ポン
プ10とエア供給ポンプ11とが設けられると共に、こ
れらポンプ10,11が上述のエア通路9,9にエア配
管12を介して接続され、かつ該エア配管12とそれぞ
れのポンプ10,11とをつなぐ連通路13に電磁弁1
4,15(エア切り替え手段)が装備され、これら電磁
弁14,15の切り替え作動によってエア吸引ボンプ1
0およびエア供給ポンプ11がエア通路9,9に選択的
に連通されるようになされている。
【0014】このような金型装置においては、上型3が
下型2に接合されて型締めされたのち、鋳物砂充填装置
5から上型3の鋳物砂ブローノズル6,6を通しキャビ
ティ4に鋳物砂X(図2参照)が充填される。そのとき
にエア吸引ポンプ10が電磁弁14の開弁によってエア
通路9,9に連通され、図2に示すように鋳物砂Xの充
填とエアベント8〜8を介するキャビティ内エアの吸引
とが同時に行われる。したがってキャビティ4内のエア
はすみやかにエアベント8〜8、エア通路9,9を経て
金型外部に排出され、鋳造砂Xがキャビティ4の隅々ま
で確実に充填される。そして、電磁弁14が開弁される
と共に、充填された鋳物砂Xは焼結されることによって
中子Y(図3参照)が造型され、該造型後に上型3と下
型2とが型開きされると共に、図示しないエジェクタピ
ンが突出されることにより上型3から中子Yが離型され
る。その場合、型開きと同時に電磁弁15が開弁され、
エア通路9,9にエア供給ポンプ10が連通され、図3
に示すようにエアベント8〜8にエアが供給される。こ
のため上型3がエアで冷却され、エアベント8〜8が上
すぼまりのテーパ形状とされているから上型3の冷却に
伴う収縮で中子Yに下方向の力(つまり上型3から中子
Yを切り離す方向の力)が働いて、中子Yと上型3との
密着が解かれ、型開き時の離型が促されることになる。
【0015】このように鋳物砂Xの充填時にキャビティ
4内のエアをエアベント8〜8から強制的に金型外部に
抜くから、上記のように鋳物砂Xの充填が確実に行わ
れ、造型される中子Yの形状不良が発生しなくなる。ま
た、型開き時に逆にエアベント8〜8からキャビティ4
にエアを吐出させることによって金型3と中子Yの離型
が良好になされ、中子折れが発生しなくなる。
【0016】また、エア吸引ポンプ10とエア供給ポン
プ11と設けて、電磁弁14,15の切り替えによって
エア通路9,9ならびにエアベント8〜8にこれらポン
プ10,11が選択的に接続される構成としているか
ら、上記の方法で中子Yを造型し、かつ取り出した後
に、エアベント8〜8にエアを所定時間供給し、次にエ
アベント8〜8からエアを所定時間吸引すれば、エアベ
ント8〜8内にエアの出入りが生じて、その気流で上記
中子造型時の該エアベント8〜8内に付着した鋳物砂X
その他の微粉が除去される。このため、このようなエア
を利用した清掃作業を加えることによって、中子Yの造
型数増大にもかかわらずエアベント8〜8の詰まりがな
くなって、常に鋳物砂Xの金型内充填性が高く保たれ、
形状不良の発生を防止できる。
【0017】ところで、キャビティ形状によっては、鋳
物砂Xの充填性が悪化しやすい部分がある場合、その部
分に対応する部位にエアベント8を設けることが該悪化
に対する有効手段となる。しかし上型3内には内部にヒ
ータ7〜7が配設されているので、このエアベント8を
エア通路によって前述のポンプ10,11につなごうと
すると、ヒータ7〜7とエア通路が干渉することが考え
られる。これに対しては本発明の場合、前述のようにエ
アベント数に対してエア通路9,9を限られた数のみ設
け、エアベント8〜8をまとめてエア通路9,9に接続
しているので、上記の干渉の虞れなくエアベント8を目
的とする部位に配置できることになって、エアベント8
〜8を通してのエアの吸・排気による金型内充填性能お
よび離型性能の向上が図れることになる。
【0018】
【発明の効果】以上の説明によって明らかなように、本
発明の第1発明によれば、鋳物砂の充填時にエアベント
からエアを吸引するので、キャビティ内のエアの抜きが
確実に行えて、該エアと鋳物砂との置換が良好になさ
れ、そのため鋳物砂はキャビティの隅々まで充填される
ことになって金型内充填性が向上し、中子の形状不良の
発生が避けられる。しかも、型開き時にはエアベントか
らキャビティに対してエアが吐出されるので、金型と中
子との離型が該エアによって促され、型離れがよくなっ
て中子折れの防止ができる。
【0019】さらに第2発明によれば、鋳物砂の充填時
にはエアベントからエアを吸引するので、キャビティ内
のエアの抜きが確実に行えて、この場合においても上記
第1発明の造型方法と同様にエアと鋳物砂との置換が良
好になされ、そのため鋳物砂はキャビティの隅々まで充
填されることになって金型内充填性が向上し、中子の形
状不良の発生が避けられる。しかも、型開き時にはエア
ベントからキャビティに対してエアが吐出されるので、
この場合においても上記第1発明の造型方法と同様に金
型が該エアによって冷却される結果、金型と中子との離
型効果が生じ、型離れがよくなって中子折れの防止がで
きる。特に第2発明によれば、上記エアベントに接続し
たエア吸引手段とエア供給手段とを切り替え手段によっ
て切り替えるようにしているから、中子の造型後もしく
は造型に先立ってエアベントを通しキャビティ内にエア
吸引力とエア吐出力とを交互に働かせるこことができ、
このエア力の交互切り替えによって、中子造型時にエア
ベント内に付着した鋳物砂や微粉を除去する清掃が行
え、上記第1発明のように鋳物砂充填時にエアベントか
らエアを吸引しても、中子造型数の増大とともにエアベ
ント内に鋳物砂が詰まることがなくなって、鋳物砂の金
型内充填性が低下していくことがなくなり、常に良好な
充填性を維持しつづけることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明にかかる中子造型用の金型装置の断
面図。
【図2】 鋳物砂充填時の拡大断面図。
【図3】 型開き時の拡大断面図。
【符号の説明】
2 下型 3 上型 4 キャビティ 5 鋳物砂充填装置 7 ヒータ 8 エアベント 9 エア通路 10 エア供給ポンプ 11 エア供給ポンプ 12 エア配管 13 連通路 14,15 電磁弁
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐々木 一男 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツ ダ株式会社内 (56)参考文献 特開 昭57−50245(JP,A) 特開 昭54−120231(JP,A) 実開 平3−85149(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B22C 9/10,13/16

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金型のキャビティ内の鋳物砂を充填し
    て、該鋳物砂を焼結すると共に、鋳物砂の焼結後に上記
    金型を型開きした後、中子を離型することにより中子を
    造型する方法であって、エア吸引手段とエア供給手段と
    を金型外部に配置して、これら両手段を上記金型に設け
    られたエアベントに所定通路を介して接続すると共に、
    上記鋳物砂の充填時に上記エア吸引手段により上記エア
    ベントからキャビティ内のエアを吸引する一方、中子造
    型後の型開き時に上記エア供給手段により該エアベント
    からエアを吐出することを特徴とする中子造型方法。
  2. 【請求項2】 型締め時に所定のキャビティが内部に形
    成されると共に、加熱用ヒータが内蔵されている金型を
    有し、該金型のキャビティ内に鋳物砂を充填して、該鋳
    物砂を焼結すると共に、鋳物砂の焼結後に上記金型を型
    開きした後、中子を離型することにより中子を造型する
    中子造型装置であって、上記金型外部に配置されたエア
    吸引手段と、同じく金型外部に配置されたエア供給手段
    と、これら両手段を上記金型に設けられたエアベントに
    所定通路を介して接続する切り替え手段とが備えられ、
    該切り替え手段は、上記鋳物砂の充填時には、上記エア
    ベントからキャビティ内のエアを吸引するように、上記
    エア吸引手段を上記エアベントに連通させ、中子造型後
    の型開き時には、上記エアベントからエアを吐出するよ
    うに、上記エア供給手段を上記エアベントに連通させる
    ように構成されていることを特徴とする中子造型装置。
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