JP2006212697A - ダイカスト用金型 - Google Patents

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Abstract

【課題】金型を大型化させず、且つコストの嵩まないベント部を備えるダイカスト用金型の提供。
【解決手段】 ガス排出通路16に、溶湯の流速を低減するために抵抗部17を介在させ、この抵抗部17は、ガス排出通路16を横断するように固定型から入子27を介して突出させた。抵抗部17は、平板状のベース部23に複数個の凸部24を設けたものであり、これらの凸部24を可動型12の合わせ面26に合わせた。また、この抵抗部17を構成するベース部23を、固定型に取外し可能に取付けた。
【選択図】図2

Description

本発明は、注湯の際、キャビティのガスを抜くため、キャビティに通ずるガス排出通路を設け、このガス排出通路にベント部を介在させたダイカスト用金型の改良に関する。
ダイカスト用金型において、溶湯をキャビティ内に圧入する際、溶湯の吹出しを回避しつつ、キャビティ内のガスやエアをキャビティ外へ効率良く排出するため、ガス排出通路にベント部を介在させたダイカスト用金型が実用に供されている。
従来、ダイカスト用金型のベント部が各種提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
特開平11−151564号公報(図3)
特許文献1を次図に基づいて説明する。
図8は従来の技術の基本構成を説明する図である。ダイカスト用金型のベント部100は、一方の型101に固定したベント部材102と、他方の型103に固定したベント部材104とからなり、一方の型101、他方の型102を合わせたとき、ベント部材102とベント部材104の間に角度θ、隙間tの断面鋸刃状のガス排出通路105を形成する。そして、このガス排出通路105により、キャビティからの溶湯の吹出しを回避しつつ、キャビティ内からガスやエアを効率良く排出するというものである。
しかし、ベント部100は、鋸刃状のベント部材102、104を合わせたものであり、可動型と固定型の両方に鋸刃形状をもつベント部材102、104が必要となり、金型が大型化してしまう。加えて、このような鋸刃形状のベント部100を一度製作すると、溶湯の流速調整及び流速変更をする際、新たにベント部材を製作しなければならないため、コストが嵩むという問題がある。
そこで、本発明は、金型を大型化させず、且つコストの嵩まないベント部を備えるダイカスト用金型を提供することを課題とする。
請求項1に係る発明は、キャビティ内に溶湯を注湯する際、溶湯内のガスを抜くために、ガス排出通路を備え、このガス排出通路の出口を開閉する排気バルブを設け、この排気バルブの下流に排気装置を接続可能にしたダイカスト用金型において、ガス排出通路に、溶湯の流速を低減する抵抗部を介在させ、この抵抗部は、ガス排出通路を横断するように固定型又は可動型から突出させると共に千鳥に配置した複数個の凸部で構成したことを特徴とする。
ガス排出通路に、溶湯の流速を低減する抵抗部を介在させ、ガス排出通路の出口を開閉する排気バルブを設け、この排気バルブの下流に排気装置を接続可能にした。
排気バルブの下流に排気装置を接続し、キャビティ内に溶湯を注湯する際、排気装置を作動させ、排気バルブの開閉のタイミングを適切に設定し、このタイミングで排気及び排気を止めることにより、溶湯が金型内に十分に行き渡ると共に、溶湯内におけるガスやエアを除去する。
請求項2に係る発明では、複数個の凸部は、平板状のベース部に設け、このベース部は、固定型又は可動型に取外し可能に取付けたことを特徴とする。
請求項3に係る発明では、ベース部を取付けた固定型又は可動型を一方の型とし、この一方の型の反対側の型を他方の型とするとき、この他方の型に備え複数個の凸部が当たる合わせ面は、平面であることを特徴とする。
請求項1に係る発明では、ガス排出通路に、溶湯の流速を低減するために介在させた抵抗部は、ガス排出通路を横断するように固定型又は可動型から突出させ、千鳥に配置した複数個の凸部で構成したので、この抵抗部を金型の内側に配置することができる。
抵抗部を金型の内側に配置することができるため、金型の大型化を回避することができるという利点がある。
加えて、抵抗部は固定型又は可動型から突出させたので、固定型又は可動型のうちの一方を加工するだけで抵抗部を形成することができる。
抵抗部は固定型又は可動型の一方を加工するだけであり、且つ複数個の凸部を他方の型に当てる構造のため、抵抗部の機械加工及び仕上加工は容易となり、例えば、鋸刃形状の抵抗部に比べて、製作コストを大幅に低減することができる。
請求項2に係る発明では、複数個の凸部は、平板状のベース部に設け、このベース部は、固定型又は可動型に取外し可能に取付けたので、凸部の個数及びそのサイズを変化させ、抵抗の大きさを変化させた複数の抵抗部を準備し、これらの複数の抵抗部をダイカストの品質に応じて適宜交換することにより、排出ガス抵抗部の断面積を容易に変更することができる。
抵抗部の断面積が容易に変更可能になれば、溶湯の流速を容易に変化・調整することができる。溶湯の流速の調整が容易になれば、抵抗部を交換することにより、ワークへのガスの巻込み低減など、所定のダイカスト品質を得るまでの期間を短縮することが可能となる。
加えて、抵抗部が有するベース部の外形・サイズを共通化すると共に、ベース部を取付ける金型側の受面の仕様を合わせることにより、ベース部を汎用化して、1つの抵抗部を複数の金型に使えるようになる。異なる金型に対してベース部を汎用化することで金型メンテナンスコストを低減することができるという利点がある。
請求項3に係る発明では、複数個の凸部が当たる合わせ面は、平面であるため、固定型から可動型を外してワークを取出す際、ワークが合わせ面に付着し難くなり、ワークを金型から容易に取外すことができるという利点がある。
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
図1は本発明に係るダイカスト用金型の断面図であり、ダイカスト用金型10は、固定側に設ける固定型11と、この固定型11に対して開閉可能に設ける可動型12と、可動型12と固定型11に囲まれて形成するキャビティ13と、このキャビティ13に溶湯を圧送するプランジャ14及びシリンダ15と、キャビティ13に接続してキャビティ13内のガスを抜くガス排出通路16と、このガス排出通路16の間に介在させるベント部17(以下、抵抗部17とも云う。)と、ガス排出通路16の下流側に開閉可能に設ける排気バルブ18と、この排気バルブ18のロッド19を通すと共に排出ガスを通すバルブ穴21と、このバルブ穴21の側方に設けて固定型11の外部に通ずるように開けた排気穴22とからなる。なお、20は可動型ホルダ部材である。
ここで、排気穴22は、外部に設ける図示せぬ排気装置に接続される穴である。この排気穴22により、キャビティ13内のガスは、ガス排出通路16、抵抗部17、バルブ穴をこの順に通ってキャビティ13の外に排出される。
すなわち、このダイカスト用金型10は、ガス排出通路16に、溶湯の流速を低減する抵抗部17を介在させ、ガス排出通路16の出口を開閉する排気バルブ18を設け、この排気バルブ18の下流に排気装置(不図示)を接続可能にしたものである。
排気バルブ18の下流に前述の排気装置を接続し、キャビテイ13内に溶湯を注湯する際、この排気装置を作動させ、排気バルブ18開閉のタイミングを適切に設定し、このタイミングで排気バルブ18を開いて排気し、次に、排気バルブ18を閉じて排気を止めることにより、溶湯が金型内に十分に行き渡るようにすると共に、溶湯内におけるガスや空気を除去する。
図2は図1の2部拡大図であり、キャビティ13(図1参照)とバルブ穴21の間に配置するガス排出通路16に、抵抗部17を取付けることを示す。
抵抗部17は、平板状のベース部23と、このベース部23上に複数設けられた凸部24・・・(・・・は複数を示す。以下同じ。)とからなる。そして、この凸部24の上面を形成する凸面25・・・に可動型12側のガス排出通路面である合わせ面26を当てることで、キャビティ内から排出される溶湯の流速を低減させるというものである。
28、28はベース部23を有する抵抗部17を固定型11に固定した入子27に取付けるための取付けボルトであり、入子27に対して抵抗部17を着脱可能に構成する。
また、凸部24・・・の上面である凸面25・・・を平面に形成し、これらの凸面25・・・が当たる可動型側に備える合わせ面26を平面に構成する。
すなわち、ガス排出通路16に、溶湯の流速を低減するために抵抗部17を介在させ、この抵抗部17は、ガス排出通路16を横断するように固定型11(一方の型51)(図1参照)から入子27を介して突出させたものである。そして、この抵抗部17を構成するベース部23を、固定型11側の入子27に取外し可能に取付ける。そして、複数個の凸部24・・・が当たる可動型12(他方の型52)に備える合わせ面26は、平面30であることを特徴とする。
複数個の凸部24・・・が当たる合わせ面26は、平面30であるため、固定型11から可動型12を外してワークを取出す際、ワークが合わせ面26に付着し難くなり、ワークを金型から容易に取外すことができる。
なお、本実施例において、抵抗部17は固定型11に取付け、固定型11から突出させたが、可動型12に取付け可動型12から固定型11に向け突出させても差し支えないものとする。
図3は図2の3矢視図であり、固定型11(図1参照)に取付け抵抗部17を備える入子27を示す。
入子27は、下部排出通路31と、この下部排出通路31の上方に配置した左右の抵抗部17L、17Rと、これらの抵抗部17L、17Rの上方に配置した左右の上部排出通路32L、32Rと、これらの左右の上部排出通路32L、32Rをバルブ穴21に接続するため左右に配置した横排出通路33L、33Rを備える部材である。
すなわち、入子27は、下部排出通路31と、上部排出通路32L、32Rと、横排出通路33L、33Rとからなるガス排出通路16を備え、このガス排出通路16に溶湯の流速を低減する抵抗部17L、17Rを介在させ、これらの抵抗部17L、17Rは、ガス排出通路16を横断するように千鳥に配置した複数個の凸部24・・・で構成する。
なお、図において、排気バルブ18(図1参照)及びロッド19は省略した。
図4は本発明に係る抵抗部の斜視図であり、入子27から排出ガスの流れを妨げる抵抗部17を取出した図である。
前述のように、抵抗部17は、平板状のベース部23と、このベース部23の上面に設けた凸部24・・・と、からなる部材であり、複数個の凸部24・・・は、平板状のベース部23に設ける。そして、このベース部23及び凸部24・・・は、固定型11(図1参照)に対して取外し可能に取付けたので、凸部24・・・の個数及びそのサイズを変化させ抵抗部17の抵抗の大きさが変わるように複数の種類の抵抗部17を準備し、これらの複数の抵抗部17をダイカストの品質に応じて適宜交換することにより、排出ガス抵抗部17の断面積を容易に変更させることができる。
抵抗部17の断面積が容易に変更可能になれば、溶湯の流速を容易に変化・調整することができる。溶湯の流速の調整が容易になれば、複数の種類の抵抗部を準備し、これらの抵抗部17を交換することにより、ワークへのガスの巻込み低減など、所定のダイカスト品質を得るまでの金型調整・準備期間を短縮することが可能となる。
加えて、抵抗部17が有するベース部23の外形・サイズを共通化すると共に、ベース部23を取付ける金型側の受面35(図2参照)の仕様を合わせることにより、ベース部23を汎用化して、1つの抵抗部17を複数の金型に使えるようになる。異なる金型に対してベース部23を汎用化することで金型メンテナンスコストを低減することができる。
図5はダイカスト用金型の抵抗部の作用図であり、千鳥状に凸部24・・・が配置された抵抗部17を介してキャビティ13(図1参照)内のガスを排出する際、矢印X方向に流れ溶湯の流れを妨げる。このような構造とすることで、溶湯の流速を低減させ、溶湯が抵抗部を満たすまでの時間をかせぐ。
図6はダイカスト用金型の作用図(その1)である。
(a)において、可動型12を移動させ、可動型12を固定型11に合わせ、所定の型締力にて加圧する。なお、シリンダ15内には溶湯39を満たし、排気穴22の外部には排気装置(不図示)を接続してはたらかせておく。
(b)において、シリンダ15内の溶湯39をプランジャ14を低速モードで図矢印c方向に緩やかに押すことにより、シリンダ15内に満たした溶湯39をキャビティ13内に注湯する。そして、キャビティ13内並びにキャビティ13内に注湯した溶湯39中のガスやエアを、キャビティ13の外に排出するため、排気バルブ18(図1参照)を開け、外部に設けた排気装置により排気する。
このとき、ガスやエアの流れは、図矢印aに示すが如く、順に、抵抗部17、バルブ穴21、排気穴22の経路で流れるものである。
抵抗部17を設け、この抵抗部17に溶湯39が達するまでの時間をかせぐことにより、キャビティ13内並びにキャビティ13内に注湯した溶湯39中のガスやエアを十分に除去することができる。
すなわち、先ず、低速モードで溶湯39を注湯しつつ、排気バルブ18を開いてキャビティ13内のガス及びエアを排気することにより、キャビティ13内に注湯した溶湯39内のガス及びエアを除去する。
なお、排気バルブ18を開けるタイミングはトライアル及び過去のデータ・経験に基づき、サイクルタイム及び所定の金型品質を満足するように設定するものである。
図7はダイカスト用金型の作用図(その2)である。
(a)において、プランジャ14を低速モードから高速モードに切替え、シリンダ15内の溶湯39をプランジャ14を高速で押すことによりキャビティ13内に溶湯39を注入し、キャビティ13内を溶湯39で充填する。
なお、プランジャ14の速度である高速モードは、低速モードに比較して速い速度で押すことであり、各速度はトライアルにより決定するものである。
なお、排気バルブ18(図1参照)は、プランジャ14の高速モード切替のタイミングで閉じるものである。
すなわち、プランジャ14の速度を低速モードから高速モードに切替え、溶湯39の注湯速度を上げるが、排気バルブ18は閉じて排気穴22からの排気を止める。
(b)において、可動型12を移動させ、可動型12を固定型11から離して、製品となる鋳物41を取出して、本発明に係るダイカスト鋳造の1サイクルが完了する。
図2に戻って、本発明に係るダイカスト用金型の作用説明を行う。
ガス排出通路16に、溶湯の流速を低減するために介在させた抵抗部17は、ガス排出通路16を横断するように固定型11から突出させたので、この抵抗部17は、金型10の内側に配置することができる。
抵抗部17を金型10の内側に配置することができるため、金型10の大型化を回避すると共に、溶湯の流れを妨げつつ、効率的にガスを排出することができる。
加えて、抵抗部17は固定型11から突出させたので、固定型11を加工するだけで抵抗部17を形成することができる。
抵抗部17は固定型11を加工するだけであり、且つ複数個の凸部を他方の型に当てる構造のため、抵抗部17の機械加工及び仕上加工は容易となり、例えば、鋸刃形状の抵抗部に比べて、製作コストを大幅に低減することができる。
なお、本実施例において、抵抗部17を可動型12から突出させても良い。
さらに、一方の型に複数個の凸部24・・・を有する抵抗部17を取付け、この凸部24・・・を他方の型に当てるようにし、この複数個の凸部24・・・の他方の型への当たりが面接触となるように構成すれば、他方の型への接触面積が増加し、抵抗部17の支持剛性は高くなる。抵抗部17の支持剛性が高くなれば、型締力の差によって抵抗部17の隙間の大きさは変化し難い。型締力の差により抵抗部17の隙間の大きさは変化し難くなるため、ガス及び溶湯の流速は型締力により変わり難く、ダイカスト品質への影響度を減らすことができる。
尚、本発明は、実施例において、ダイカスト用金型に適用したが、樹脂用金型に適用することは差し支えない。
本発明は、ダイカスト用金型好適である。
本発明に係るダイカスト用金型の断面図である。 図1の2部拡大図である。 図2の3矢視図である。 本発明に係る抵抗部の斜視図である。 ダイカスト用金型の抵抗部の作用図である。 ダイカスト用金型の作用図(その1)である。 ダイカスト用金型の作用図(その2)である。 従来の技術の基本構造を説明する図である。
符号の説明
10…ダイカスト用金型、11…固定型、12…可動型、13…キャビティ、16…ガス排出通路、17、17L、17R…抵抗部、23…ベース部、24…凸部、26…合わせ面(可動型側のガス排出通路面)、30…平面、51…一方の型、52…他方の型。

Claims (3)

  1. キャビテイ内に溶湯を注湯する際、溶湯内のガスを抜くために、ガス排出通路を備え、このガス排出通路の出口を開閉する排気バルブを設け、この排気バルブの下流に排気装置を接続可能にしたダイカスト用金型において、
    前記ガス排出通路に、溶湯の流速を低減する抵抗部を介在させ、この抵抗部は、ガス排出通路を横断するように固定型又は可動型から突出させると共に千鳥に配置した複数個の凸部で構成したことを特徴とするダイカスト用金型。
  2. 前記複数個の凸部は、平板状のベース部に設け、このベース部は、前記固定型又は可動型に取外し可能に取付けたことを特徴とする請求項1記載のダイカスト用金型。
  3. 前記ベース部を取付けた前記固定型又は可動型を一方の型とし、この一方の型の反対側の型を他方の型とするとき、この他方の型に備え前記複数個の凸部が当たる合わせ面は、平面であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のダイカスト用金型。
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