JP2971105B2 - 積層フィルムおよびその製造方法 - Google Patents

積層フィルムおよびその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、優れたガスバリアー性、耐熱性、および電
気絶縁性を有する積層フィルムに関する。
(従来の技術) 熱可塑性樹脂フィルム、特にポリエステル系フィルム
は、機械的強度、耐薬品性および透明性に優れ、さら
に、価格が安価なことなどから広く用いられている。例
えば、写真用ベースフィルム、磁気テープ用ベースフィ
ルム、製図用フィルム、コンデンサーなどの電気機器用
フィルム、メンブレンスイッチ、タッチパネル、キーボ
ード、ラベルなどの工業用材料に用いられている。さら
に、食品包装用包装材としても用いられている。
しかし、ポリエステル系フィルムを食品包装などの包
装材料に用いる場合には、一般にガスバリアー性が不十
分である。例えば、表1に、ポリエステル系フィルムと
して最も汎用されているポリエチレンテレフタレート
(PET)フィルムと、ガスバリアー性に優れたフィルム
であるポリ塩化ビニリデン(PVDC)フィルムとの酸素お
よび水蒸気の透過性を示した。
表1から明らかなように、PETフィルムは酸素ガスお
よび水蒸気をよく透過し、ガスバリアー性が低い。
一般に極性基を有する樹脂は、酸素ガスバリアー性が
良好である。しかし、水酸基やアミド基などの極性基は
水分子と結合しやすく、その酸素ガスバリアー性は湿度
が高くなるにつれて低下する。したがって、このような
極性基を有する樹脂でなるフィルムは、ガスバリアー性
が湿度に影響されないPVCDフィルムと積層されて、湿度
に依存しない優れたガスバリアー性を有する積層体フィ
ルムとして使用されている。この他のタイプとしては、
ビニルアルコールとエチレンとの共重合体(商品名エバ
ール)、PVDCとアクリロニトリルとの共重合体などがあ
り、これらは、湿度に影響されない優れた酸素ガスバリ
アー性を有するため、食品包装用フィルムとして幅広く
用いられている。
しかし、これらのガスバリアー性フィルムのほとんど
は塩素系高分子を用いているため、その製造工程や廃棄
経路で生じる有機性塩素による発ガン性、塩素ガスによ
るオゾン層の破壊などの種々の問題がある。
一般に、ポリエステル系フィルムを、回路基板などの
電子部品に使用した場合には、耐熱性が低く、実用温度
あるいは評価温度において熱による伸びや収縮、熱変
形、着色、強度の劣化など種々の問題が生じる。例え
ば、PETは、ガラス転移温度(Tg)が69℃であり、低温
で分子運動性に変化が生じ、伸びや収縮を生じやすい。
さらに、主鎖を構成する結合(エステル結合)の解離エ
ネルギーが比較的低いため、高温で長時間使用すると解
離などの不可逆的な化学変化が生じ、フィルムが劣化す
る。
耐熱性に優れた樹脂として、分子構造に芳香環や複素
環を有する、エンジニアリングプラスチックと呼ばれる
高分子が種々開発されている。このような耐熱性樹脂と
しては、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリエーテル
スルホン、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポ
リイミド、ポリアラミド、ポリフェニレンスルフィド、
ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトンケト
ン、ポリオキシベンゾイル共重合体、ポリベンズイミダ
ゾールなどがある。これらの樹脂は、従来の脂肪族を中
心とした汎用プラスチックに比較して充分に高い耐熱性
を有する。しかし、高温で、形状および物性を保持する
性質(耐熱性)と、加熱成形時に容易に溶融可塑化し得
る性質(加工性)とは、本質的に相反するものである。
したがって、これらの耐熱性樹脂は、いずれも加工性が
低いという問題点を有し、特にフィルムに成形すること
が困難である。溶融成形を行うためには、非常に高い温
度を付与する必要がある。そのため、コストが非常に高
くなり、工業的に実用化することが難しい。
ポリエステル系フィルムを各種の絶縁材料として使用
する場合には、その絶縁性が温度に依存し、Tgより高い
温度で絶縁破壊電圧が急激に低下する傾向にある。さら
に、長時間使用すると絶縁破壊電圧よりも低い電圧で絶
縁破壊を起こすことがある。このような問題点を解決す
る手段として、ポリエステル系フィルムの表面にフェノ
ール系樹脂などの熱硬化型耐熱性ポリマーあるいはポリ
イミド系ポリマーを被覆する方法が提案されているが、
未だ実用には至っていない。
(発明が解決しようとする課題) 本発明は、上記従来の欠点を解決するものであり、そ
の目的とするところは、ガスバリアー性、耐熱性、およ
び電気絶縁性に優れた積層フィルム、を提供することに
ある。さらに、本発明の目的は、そのような優れた特性
を有する積層フィルムの製造方法を提供することにあ
る。
(課題を解決するための手段) 本発明の積層フィルムは、熱可塑性樹脂でなる基材フ
ィルムと;アルコキシシラン、シランカップリング剤お
よびホウ酸を含有する組成物を、ゾル−ゲル法によって
重縮合して得られる、主成分が直鎖状ポリマーよりなる
複合ポリマーでなり、該基材フィルムの少なくとも片面
に積層された、少なくとも1層の複合ポリマー層と;を
含有し、そのことにより上記目的が達成される。
好ましい実施態様によれば、本発明の積層フィルムで
は、前記組成物は、さらに、1種以上の金属アルコキシ
ドを含有する。
本発明の積層フィルムの製造方法は、アルコキシシラ
ン、シランカップリング剤、およびホウ酸を含有する組
成物を、ゾル−ゲル法触媒、水、および有機溶剤の存在
下に重縮合し、主成分が直鎖状ポリマーよりなる該組成
物の複合ポリマーを含有する塗工液を調製する工程;熱
可塑性樹脂でなる基材フィルムの少なくとも片面に、該
塗工液を塗布する工程;および、該基材フィルムを、13
0℃以上で、かつ、該熱可塑性樹脂の融点以下の温度で
熱処理して、該基材フィルム表面に複合ポリマー層を形
成する工程;を包含し、そのことにより上記目的が達成
される。
好ましい実施態様によれば、本発明の方法は、さら
に、前記熱処理工程の後に、前記積層体を、170〜300℃
の温度で再度熱処理する工程を包含する。
本発明の基材フィルムとしては、透明な熱可塑性樹脂
フィルムが用いられる。熱可塑性樹脂としては、ポリエ
チレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂;
ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレ
ート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリブチレ
ンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂;ポリオキ
シメチレンなどのポリエーテル系樹脂;ナイロン−6、
ナイロン−6,6、ポリメタキシレンアジパミドなどのポ
リアミド系樹脂;ポリスチレン、ポリ(メタ)アクリル
酸エステル、ポリアクリロニトリル、ポリ酢酸ビニルな
どのビニル系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;セロファ
ン、アセテートなどのセルロース系樹脂;ポリイミド;
ポリエーテルイミド;ポリフェニレンスルフィド;ポリ
エーテルスルフォン;ポリスルフォン;ポリエーテルエ
ーテルケトン;ポリエーテルケトンケトンなどがある。
これらの樹脂は単独重合体であっても共重合体であって
もよい。特に、機械的強度、成形性および経済性を考慮
すると、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテ
レフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエ
ステル系樹脂が好適である。さらに、好ましくは、ジカ
ルボン酸成分としてテレフタル酸を80モル%以上、グリ
コール成分としてエチレングリコールを80モル%以上含
有する共重合体ポリエステル、あるいは、ポリエチレン
テレフタレートを80重量%以上の割合で含有するポリエ
ステルの混合物が用いられる。
この共重合ポリエステルおよびポリエチレンテレフタ
レート以外のポリエステルに用いられる、他のジカルボ
ン酸成分としては、芳香族、脂肪族および脂環族ジカル
ボン酸のいずれもが使用され得る。芳香族ジカルボン酸
としては、イソフタル酸、オルトフタル酸、2,6−ナフ
タレンジカルボン酸などが用いられる。脂肪族ジカルボ
ン酸としては、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、シ
ュウ酸などが用いられる。脂環族ジカルボン酸として
は、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘ
キサンジカルボン酸などが用いられる。グリコール成分
としては、炭素数が2〜8の脂肪族グリコール、あるい
は、炭素数が6〜12の脂環族グリコールが好適である。
このようなグリコールとしては、1,2−プロパンジオー
ル、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネ
オペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−
シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジ
メタノール、1,4−シクロヘキサンジメタクリレート、
p−キシレングリコール、ジエチレングリコール、トリ
エチレングリコールなどがある。ポリエーテルグリコー
ルもグリコール成分として用いられ得、例えば、ポリエ
チレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテ
トラメチレングリコールなどが用いられ得る。共重合成
分の1部として、p−ヒドロキシ安息香酸などのオキシ
酸も用いられ得る。
これらのジカルボン酸成分とグリコール成分とは通常
の方法により重合(あるいは共重合)されて所望のポリ
エステルが調製される。
基材フィルムは、このような熱可塑性樹脂を単体で、
あるいは、1種以上の樹脂を溶融混合してフィルム状に
成形した物が用いられる。このような基材フィルムは未
延伸フィルムであっても、1軸または2軸配向フィルム
であってもよい。さらに、このようなフィルムを2枚以
上積層した積層体も用いられ得る。
本発明に用いられるアルコキシシランは、Si(OR1
で表され、R1は、低級アルキル基である。具体的に
は、Si(O−CH3、Si(O−C2H5などが用いら
れる。これらのアルコキシシランを混合して使用しても
よい。
本発明には、必要に応じて、上記アルコキシシランと
ともに、ジルコニウムアルコキシド、チタニウムアルコ
キシドなどの金属アルコキシドが用いられ得る。ジルコ
ニウムアルコキシドは、Zr(OR2で示され、R2は低
級アルキル基である。具体的には、Zr(O−CH3、Z
r(O−C2H5、Zr(O−iso−C3H7、Zr(O−C4
H9などが用いられ得る。2種以上のこれらのアルコ
キシドを混合して用いてもよい。ジルコニウムアルコキ
シドを用いることによって、得られる積層フィルムの耐
熱性が向上する。その使用量は、上記アルコキシシラン
100重量部に対して10重量部以下の範囲であり、好まし
くは約5重量部である。10重量部を上回ると、形成され
る複合ポリマーがゲル化しやすくなり、複合ポリマーの
脆性が大きくなり、基材フィルムを被覆した際に複合ポ
リマー層が剥離しやすくなる。チタニウムアルコキシド
は、Ti(OR3で示され、R3は低級アルキル基であ
る。具体的には、Ti(O−CH3、Ti(O−C
2H5、Ti(O−C3H7、Ti(O−C4H9などが
用いられ得る。2種以上のこれらのアルコキシドを混合
して用いてもよい。チタニウムアルコキシドを用いるこ
とによって、得られる被膜の熱伝導率が低くなり、基材
の耐熱性が著しく向上する。その使用量は、上記アルコ
キシシラン100重量部に対して5重量部以下の範囲であ
り、好ましくは約3重量部である。5重量部を上回る
と、形成される複合ポリマーの脆性が大きくなり、基材
フィルムを被覆した際に複合ポリマーが剥離しやすくな
る。
上記アルコキシドとともに用いられるシランカップリ
ング剤としては、既知の有機反応性基含有オルガノアル
コキシシランが用いられ得る。特に、エポキシ基を有す
るオルガノアルコキシシランが好適である。それには、
例えばγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、
γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、お
よびβ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリ
メトキシシランがある。このようなシランカップリング
剤は2種以上を混合して用いてもよい。このようなシラ
ンカップリング剤の使用量は、上記アルコキシシラン10
0重量部に対して、1〜20重量部の範囲内である。20重
量部以上を使用すると形成される複合ポリマーの剛性と
脆性とが大きくなり、複合ポリマー層の絶縁性および加
工性が低下する。
本発明では、複合ポリマーを構成する組成物にホウ酸
が含有される。ホウ酸を添加することによって、得られ
る複合ポリマーのガスバリアー性、および耐熱性が著し
く向上する。ホウ酸の含有量は、上記アルコキシシラン
および金属アルコキシドの合計量100重量部に対して1
〜10重量部の範囲であり、好ましくは、4重量部であ
る。10重量部を上回ると複合ポリマーの剛性と脆性とが
大きくなり、得られる積層フィルムの柔軟性が低下す
る。1重量%を下回ると、ガスバリアー性および耐熱性
が得られない。
本発明の方法に用いられるゾル−ゲル法触媒として
は、水に実質的に不溶であり、かつ有機溶媒に可溶な第
三アミンが用いられる。それには例えば、N,N−ジメチ
ルベンジルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルア
ミン、トリペンチルアミンなどがあり、特にN,N−ジメ
チルベンジルアミンが好適である。その使用量は、アル
コキシシラン、金属アルコキシド、およびシランカップ
リング剤の合計量の100重量部当り、0.01〜10重量部、
好ましくは約0.03重量部である。
本発明の方法には、上記アルコキシシランおよび金属
アルコキシドの合計モル量1モルに対して、0.8〜2モ
ルの水が用いられる。好ましくは、1.5モルの水が用い
られる。水の量が2モルを上回ると、上記アルコキシシ
ランと金属アルコキシドとから得られるポリマーが球状
粒子となり、さらに、この球状粒子同士が3次元的に架
橋し、密度の低い、多孔性のポリマーとなる。多孔性の
ポリマーは、基材フィルムのガスバリアー性および耐熱
性を改善することができない。水の量が、0.8モルを下
回ると、加水分解反応が進行しにくくなる。
本発明の方法に用いられる有機溶媒としては、エチル
アルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコー
ルなどが用いられる。溶媒の使用量は、通常上記アルコ
キシシラン、金属アルコキシド、シランカップリング
剤、ホウ酸およびゾル−ゲル法触媒の合計量100重量部
当り、30〜100重量部である。
本発明の方法によれば、本発明の積層フィルムは、例
えば以下のようにして形成される。まず、上記アルコキ
シシラン、シランカップリング剤、ホウ酸、ゾル−ゲル
法触媒、水、有機溶媒、および必要に応じて金属アルコ
キシドを混合して塗工液を調製する。この塗工液は次第
に重縮合反応が進行して粘度が増加する。次いで、上記
基材フィルムに、常法により、この塗工液を塗布し、乾
燥する。乾燥により、上記、アルコキシシラン、金属ア
ルコキシドおよびシランカップリング剤の重縮合がさら
に進行し、複合ポリマーの層が形成される。好ましくは
上記の操作を繰り返して、複数の複合ポリマー層を積層
する。最後に、上記塗工液を塗布したフィルムを130℃
以上で、かつ基材フィルムの融点以下の温度、好ましく
は、150℃〜200℃の範囲の温度で、30秒〜10分間加熱す
ると、本発明の積層フィルムが得られる。このようにし
て得られた本発明の積層フィルムは、ガスバリアー性、
耐熱性および電気絶縁性に優れる。さらに、この積層フ
ィルムを、いったん、常温以下の温度に冷却した後、再
度170〜300℃の温度で熱処理することによって、フィル
ムのガスバリアー性が向上する。
(作用) 本発明の方法において、アルコキシシランおよび金属
アルコキシドは、添加された水によって、加水分解され
る。次いでゾル−ゲル法触媒の働きによって、生じた水
酸基からプロトンが奪取され、加水分解生成物同士が脱
水重縮合する。このとき、同時にシランカップリング剤
も加水分解されて、アルコキシ基が水酸基となる。触媒
の働きによりエポキシ樹脂の開環も起こり、水酸基が生
じる。加水分解されたシランカップリング剤と加水分解
されたアルコキシドとの重縮合反応も進行する。このよ
うにして生成する重縮合物は、Si−O−Si、Si−O−Z
r、Si−O−Tiなどの結合からなる無機質部分と、シラ
ンカップリング剤に起因する有機部分とを含有する複合
ポリマーである。
上記の反応は、常温で進行し、塗工液は調製中に粘度
が増加する。この塗工液を基材フィルムに塗布し、加熱
して溶媒および重縮合反応により生成したアルコールを
除去すると、縮重合反応が完結し、基材フィルム上に透
明な複合ポリマーの層が形成される。複合ポリマー層を
複数層積層した場合には、層間の複合ポリマー同士も縮
合し、層と層との間が強固に結合する。さらに、シラン
カップリング剤の有機反応性基や加水分解によって生じ
た水酸基が、基材フィルム表面の水酸基と結合するた
め、基材フィルム表面と複合ポリマー層との接着性も良
好である。
本発明の方法においては、添加される水の量が、アル
コキシド類1モルに対して0.8モル〜2モル、好ましく
は、1.5モルに調節されているため、直鎖状の複合ポリ
マーが形成される。このような直鎖状ポリマーは結晶性
を有し、非晶質部分の中に多数の微小の結晶が埋包され
た構造をとる。このような結晶構造は、結晶性有機ポリ
マー(例えば、塩化ビニリデン)と同様であり、良好な
ガスバリアー性を示す。そして、このガスバリアー性
は、極性基に起因するものでないので、湿度などに影響
されず、長時間持続する。
さらに、本発明では、複合ポリマーを形成する組成物
中にホウ酸が含有される。ホウ酸のB3+イオンは、複合
ポリマーの結晶部分の表面に存在する架橋していない酸
素原子を引き付けて、[BO4]の四面体状の構造単位を
構成し、Si−O−Bの結合を形成する。その結果、非晶
質部分のガラス構造の切り目を四面体状の[BO4]で封
止することになるため、非晶質部分が緻密な構造とな
り、得られる複合ポリマーのガスバリアー姓がさらに改
善される。Si−O−Bの結合は、空気中の水分などによ
って加水分解されやすいので、乾燥工程で2段階の加熱
処理を実施することが好ましい。すなわち、最初の加熱
で複合ポリマーを安定な構造に固定し、複合ポリマーの
構造の中にSi−O−B結合形成させる。その後積層フィ
ルムを冷却した際に上記の結合は空気中の水分によって
加水分解され、、かつ、高温再加熱によって再結合す
る。このようにして高温下で再結合されたSi−O−B結
合は、非常に安定であり、容易に加水分解されない。
このようにして得られた積層フィルムは、SiO2を主成
分とする複合ポリマーの層が積層されているため、電気
絶縁性が良好である。さらに、上記のように、複合ポリ
マーが緻密な構造を有するため、ガスバリアー性、耐湿
性、耐溶剤性および耐薬品性に優れる。そして、複合ポ
リマーが、基材フィルムを酸素や化学物質から効果的に
隔離するため、高温下でも、酸化や他の化学反応による
不可逆的な熱劣化が生じることがなく、耐熱性にも優れ
ている。さらに、ジルコニウムアルコキシドやチタニウ
ムアルコキシドなどの金属アルコキシドを用いて形成さ
れた複合ポリマーは、熱伝導率が低く、高温にさらされ
た際に基材フィルムに熱が伝わるのを防ぎ、熱による基
材フィルムの伸びや収縮を防ぎ、耐熱性に優れる。そし
て、複合ポリマーがホウ酸を用いて調製されているた
め、ホウケイ酸ガラスと類似した特性を示し、熱膨張率
が小さく、寸法安定性に優れた積層フィルムが得られ
る。
本発明の積層フィルムは、上記のような優れた特性を
有するので、電子機器などに用いる工業用材料として好
適に使用される。さらに、本発明の積層フィルムは、無
機質部分とともに有機部分を有する複合ポリマーで被覆
されているため、基材フィルムの柔軟性が保持されてい
る。したがって、包装材料としても使用可能である。特
に、ガスバリアー性に優れるため、食品包装用フィルム
として好適に使用され得る。
(実施例) 以下に本発明を実施例につき説明する。
実施例1 Si(OC2H5)25g、C2H5OH 25g、2N Hcl 1.86g、および
水1.51gを混合し、80℃で1〜2時間撹拌した。このと
き、Si(OC2H5)と水とのモル比は、1:1.51である。次
いで、エポキシシランSH6040(東レシリコーン社製)2.
5g、無水ホウ酸B2O3 1.0gを加えて、さらに、1〜2時
間撹拌する。次いで、N,N−ジメチルベンジルアミンの3
2重量%エタノール溶液0.5gを加えて撹拌すると、粘性
のある塗工液が得られる。上記塗工液を、厚さ12μmの
ポリエチレンテレフタレートに塗布し、170℃で5分間
乾燥し、いったん25℃以下に冷却した後、さらに、170
〜300℃で5分間再加熱する。このようにして厚さ20μ
mの積層フィルムを得た。
得られた積層フィルムのガスバリアー性を評価した結
果を表2に示す。
表2の結果を表1と比較すると明らかなように、本発
明の積層フィルムは、酸素および水蒸気の透過が非常に
低く、ポリ塩化ビニリデンフィルムよりもさらに良好な
ガスバリアー性を有する。
実施例2 実施例1と同様にして調製した塗工液を、75μmのポ
リエチレンテレフタレートフィルムの両面に塗工し、実
施例1と同様の方法で乾燥して、本発明の積層フィルム
を得た。
得られた積層フィルムを260℃のシリコンオイルバス
に20秒間浸漬したが、フィルムに伸びや収縮などの変形
は見られなかった。230〜250℃のシリコンオイルバスに
5分間浸漬したところフィルムの収縮率は0.5%であ
り、260℃では、0.7%であった。さらに、150℃30分間
での収縮率は0.05%以下と考えられる。
実施例3 複合ポリマーに靱性を加えるために、実施例1の塗工
液にZr(O−iso−C3H74 1gを添加して、実施例2と
同様にして本発明の積層フィルムを得た。
得られたフィルムは、実施例2のフィルムに比較して
柔軟性が向上し、90゜および180゜の角度に折り曲げを
行っても、亀裂や複合ポリマー層の剥離などは起こらな
かった。
さらに、実施例2および3で得られた積層フィルムの
電気絶縁性を評価したところ、両方のフィルムで同様の
結果が得られた。結果を表3に示す。
(発明の効果) このように本発明の積層フィルムは、ガスバリアー
性、耐熱性、および電気絶縁性に優れる。従って、本発
明の積層フィルムは、一般工業用のフィルム材料として
幅広く用いられ得る。さらに、ガスバリアー性が著しく
良好であり、透明性および柔軟性があることから、包装
用材料としても好適である。特に、塩素を含有しないこ
とから環境汚染の問題がないので、食品包装用のフィル
ムとしての用途が期待される。地球環境の汚染問題が国
際的に取り上げられている今日、フィルム製造メーカー
は塩化ビニリデンフィルムなどの塩素を含有するフィル
ムの製造を中止する方針を決定している。したがって、
本発明の積層フィルムは、次世代の食品包装用フィルム
としての用途がおおいに期待される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B32B 1/00 - 35/00 C08J 7/04

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】熱可塑性樹脂でなる基材フィルムと; アルコキシシラン、シランカップリング剤およびホウ酸
    を含有する組成物を、ゾル−ゲル法によって重縮合して
    得られる、主成分が直鎖状ポリマーよりなる複合ポリマ
    ーでなり、該基材フィルムの少なくとも片面に積層され
    た、少なくとも1層の複合ポリマー層と;を含有する、 積層フィルム。
  2. 【請求項2】前記組成物が、さらに1種以上の金属アル
    コキシドを含有する、請求項1に記載の積層フィルム。
  3. 【請求項3】アルコキシシラン、シランカップリング
    剤、およびホウ酸を含有する組成物を、ゾル−ゲル法触
    媒、水、および有機溶剤の存在下に重縮合し、主成分が
    直鎖状ポリマーよりなる該組成物の複合ポリマーを含有
    する塗工液を調製する工程; 熱可塑性樹脂でなる基材フィルムの少なくとも片面に、
    該塗工液を塗布する工程;および 該積層体を、130℃以上で、かつ、該熱可塑性樹脂の融
    点以下の温度で熱処理して、該基材フィルム表面に複合
    ポリマー層を形成する工程;を包含する、 積層フィルムの製造方法。
  4. 【請求項4】さらに、前記熱処理工程の後に、前記積層
    体を、170〜300℃の温度で再度熱処理する工程を包含す
    る、請求項3に記載の方法。
  5. 【請求項5】前記組成物が、さらに1種以上の金属アル
    コキシドを含有する、請求項3に記載の方法。
  6. 【請求項6】前記ゾル−ゲル法触媒が、水に実質的に不
    溶であり、かつ、有機溶媒に可溶な第3アミンである、
    請求項3に記載の方法。
  7. 【請求項7】前記水が、前記アルコキシシラン1モルに
    対して0.8〜2モルの割合で用いられる、請求項3に記
    載の方法。
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