JP2869234B2 - プラスチックの表面保護積層ハードコート膜およびその製造方法 - Google Patents

プラスチックの表面保護積層ハードコート膜およびその製造方法

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JP2869234B2 JP3346440A JP34644091A JP2869234B2 JP 2869234 B2 JP2869234 B2 JP 2869234B2 JP 3346440 A JP3346440 A JP 3346440A JP 34644091 A JP34644091 A JP 34644091A JP 2869234 B2 JP2869234 B2 JP 2869234B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はプラスチック基材の表面
硬度を高め、より高度の耐水性を付与するハードコート
膜およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】プラスチックは軽く、機械的に比較的強
靱であり、加工性が良好であるため(特に熱可塑性樹
脂)広汎な範囲で利用されているが、その反面表面が軟
らかく傷がつきやすいという欠点を持ち、その用途が制
限される。従って、表面硬度を向上させ、基材を保護す
るコーティングの開発が進められている。
【0003】プラスチック表面のコーティングは、主と
して液相法および気相法によりなされている。液相法の
例としては、メトキシ基およびフェノキシ基を含有する
シリコーン系樹脂のアルコール溶液を基材表面に塗布
し、加熱硬化して保護膜を形成し表面硬度を高める方法
がある。ここでは、主成分である該シリコーン系樹脂が
メトキシ基およびフェノキシ基の加水分解で生じるシラ
ノール基同士の脱水縮合反応により硬化し、有機基の少
ない緻密なガラス状架橋構造となる。この液相法の例と
しては、米国GE社で、シリコーン系樹脂をポリカーボ
ネートの表面に塗布して成形を行い、自動車用ヘッドラ
イトの表面のハードコート膜を得ている。しかし、この
際の硬度は鉛筆硬度H(JIS K5400により測定
する)がせいぜいであり、また一般に乾燥工程で亀裂が
入りやすいという問題がある。
【0004】気相法の例としては、アリルジグリコール
カーボネート樹脂(CR−39、米国PPG社製)の表
面にシリカ膜を真空蒸着させて保護膜を形成し硬度を高
める方法が採用されている。
【0005】上記液相法および気相法のいずれにおいて
も、基材のプラスチックとシリカ膜とで熱膨張率および
ヤング率が著しく異なるため、保護膜の形成条件を設定
するのが難しく、かつ形成された保護膜も亀裂などを生
じやすく耐久性に劣る。
【0006】理論的には保護膜の硬度は膜の組成(例え
ば保護膜が金属酸化物でなる場合にはその組成および酸
化状態)と空孔率に依存すると考えられている。すなわ
ち、組成が一定であれば膜密度が増加すると膜の空孔率
は減少し、膜硬度が上昇する。しかし、保護膜を形成す
る場合には基材の熱変形点、保護膜の膜厚、保護膜形成
時の乾燥温度、蒸着により膜を形成する場合には蒸着温
度および真空度などの種々のファクターを考慮する必要
があり、硬度、耐久性(特に耐紫外線性および耐水性)
および保護膜と基材との接着性の点で満足し得る保護膜
(ハードコート膜)を製造することは容易ではない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記従来の欠
点を解決するものであり、その目的とするところは、基
材、特に熱可塑性樹脂基材の表面硬度および耐久性を向
上させる積層複合ハードコート膜を提供することにあ
る。本発明の目的は、このような優れた特性を有する該
積層複合ハードコート膜の製造方法を提供することにあ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の積層複合ハード
コート膜は、基材の少なくとも片面に積層された、少な
くとも2層からなる、積層ハードコート膜であって;ア
ルコキシシラン、金属アルコキシドおよびシランカップ
リング剤を含有する組成物をゾル−ゲル法によって加水
分解および重縮合して得られる、主成分が無機物である
複合ポリマーでなり、該基板上に形成された第1の層、
および金属アルコキシドおよびシランカップリング剤を
含有する組成物をゾル−ゲル法によって加水分解および
重縮合して得られる、主成分が有機物である複合ポリマ
ーでなり、該第1の層の表面に形成された第2の層;を
有する積層ハードコート膜であり、そのことにより上記
目的が達成される。
【0009】本発明のハードコート膜の製造方法は、ア
ルコキシシラン、金属アルコキシド、シランカップリン
グ剤、鉱酸、塩基触媒、水および有機溶媒を含有する第
1の塗工液を基材の少なくとも片面に塗布する工程;金
属アルコキシド、シランカップリング剤、水および有機
溶媒を含有する第2の塗工液を、該第1の塗工液の塗布
表面に付与する工程;および該第1の塗工液および第2
の塗工液により形成される第1および第2の層でなる積
層膜を120℃以上の温度で熱処理する工程を包含し、
そのことにより上記目的が達成される。
【0010】本発明の基材の素材は特に限定されない
が、各種樹脂、特に熱可塑性樹脂製の、もしくはそれを
成分とする基材が好適に用いられる。基材の形態はフイ
ルム、シートをはじめとする各種成形体であり得る。熱
可塑性樹脂としては、ポリカーボネート系樹脂、ポリオ
レフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテル系
樹脂、ポリアミド系樹脂、ビニル系樹脂、セルロース系
樹脂等がある。これらの樹脂は単独重合体であっても共
重合体であってもよい。
【0011】上記の樹脂のうち特にポリカーボネート系
樹脂は靭性が高く、軽量であり加工性にも優れるなどの
利点があるため広汎な用途に利用され得る。例えば自動
車用フロントガラス、ヘッドライト用カバーグラス等の
各種車輌用ガラス部分に有利に使用され得る。
【0012】本発明に用いられるアルコキシシランは、
Si(OR14で表され、R1は、低級アルキル基(炭
素数1〜4)である。具体的にはSi(O−CH34
Si(O−C254等が用いられる。これらのアルコ
キシシランを混合して使用してもよい。
【0013】本発明に用いられる金属アルコキシドとし
ては、ジルコニウムアルコキシド、チタニウムアルコキ
シド、アルミニウムアルコキシドなどが用いられる。後
述の第1の層を形成するための金属アルコキシドには、
アルミニウムアルコキシドおよびチタニウムアルコキシ
ドが必須の成分として含有され、第2の層を形成するた
めの金属アルコキシドとしてはアルミニウムアルコキシ
ドが必須の成分として含有される。
【0014】これらの金属アルコキシドは低級アルコキ
シ基を有する。例えば、ジルコニウムアルコキシドは、
Zr(OR24で表され、R2は低級アルキル基であ
る。具体的には、Zr(O−CH34、Zr(O−C2
54、Zr(O−C374、Zr(O−C494
が用いられ得る。2種以上のこれらのジルコニウムアル
コキシドを混合して用いても良い。ジルコニウムアルコ
キシドは、主として第1の層を形成するための塗工液に
添加される。ジルコニウムアルコキシドを用いることに
よって、得られるハードコート膜の靭性や耐熱性が向上
する。その使用量は、上記アルコキシシラン100重量
部に対して10重量部以下の範囲であり、好ましくは約
5重量部である。10重量部を上回ると、形成される複
合ポリマーはゲル化しやすく、脆性が大きくなり、その
結果該ハードコート膜が剥離しやすくなる。
【0015】チタニウムアルコキシドは、Ti(O
34で表され、R3は低級アルキル基である。具体的
には、Ti(O−CH34、Ti(O−C254、T
i(O−C374、Ti(O−C494等が用いられ
得る。2種以上のこれらのチタニウムアルコキシドを混
合して用いてもよい。チタニウムアルコキシドは、主と
して第1の層を形成するための塗工液に添加される。チ
タニウムアルコキシドを用いることによって、得られる
該ハードコート膜の硬度が上がり、基材の表面硬度が著
しく向上する。その使用量は、上記アルコキシシラン1
00重量部に対して30重量部以下の範囲であり、好ま
しくは約20重量部である。30重量部を上回ると、形
成される該複合ポリマーの剛性および脆性が大きくな
り、その結果該コーティング膜が剥離しやすくなる。
【0016】アルミニウムアルコキシドは、Al(OR
43で表されR4は低級アルキル基である。具体的に
は、Al(OCH33、Al(OC253、Al(O
373、Al(OC493等が用いられ得る。2種
以上のこれらのアルコキシドを混合して用いてもよい。
アルミニウムアルコキシドを用いることによって、得ら
れる該ハードコート膜の硬度が上がり、基材の表面硬度
が向上する。その使用量は、第1の層を形成するための
塗工液中においては、上記アルコキシシラン100重量
部に対して50重量部以下の範囲であり、好ましくは約
30重量部である。50重量部を上回ると、形成される
複合ポリマーの剛性および脆性が大きくなり、その結果
該コーティング膜が亀裂し、あるいは剥離しやすくな
る。
【0017】上記アルコキシドと共に用いられるシラン
カップリング剤は、既知の反応性有機基を含有するオル
ガノアルコキシシランを包含する。特に、エポキシ基を
含有するオルガノアルコキシシランが好適である。その
例としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシ
ラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラ
ン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルト
リメトキシシランなどがある。このようなシランカップ
リング剤の2種以上を混合して用いてもよい。その使用
量は、第1の層を形成するための塗工液中においては、
アルコキシシラン100重量部に対して10〜50重量
部の範囲内である。50重量部以上を使用すると形成さ
れる該複合ポリマーの硬度が低下する。第2の層を形成
するための塗工液中においては、アルミニウムアルコキ
シド100重量部に対して400〜700重量部の割合
で用いられる。
【0018】本発明の方法に用いられ、主として重縮合
触媒として作用する塩基触媒は、水に実質的に不溶であ
り、かつ有機溶媒に可溶である第三アミンを包含する。
その例としては、N,N−ジメチルベンジルアミン、ト
リプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルア
ミンがあり、特にN,N−ジメチルベンジルアミンが好
適である。その使用量は、該アルコキシシラン、該金属
アルコキシド、および該シランカップリング剤の合計量
100重量部あたり0.1〜1重量部であり、好ましく
は約0.3重量部である。
【0019】本発明の方法に用いられる鉱酸は、ゾル−
ゲル法の酸触媒として作用するとともに、アルミニウム
アルコキシドを溶解させる働きを有する。その例として
は硫酸、塩酸、硝酸などがある。該鉱酸の使用量は、ア
ルコキシシラン、金属アルコキシド、およびシランカッ
プリング剤のアルコキシド部分(OR1、OR2、OR3
またはOR4に相当する部分)100重量部に対し1〜
10重量部であり、好ましくは約5.0重量部である。
【0020】本発明の方法で用いられる第1および第2
の塗工液においては、それぞれ、アルコキシシランおよ
び金属アルコキシドの合計100重量部に対して、1〜
30重量部の水が用いられる。水の量が30重量部を上
回ると、アルコキシシランや金属アルコキシドの加水分
解が過剰に進むため、該加水分解物が重縮合して得られ
る複合ポリマーは、高度に架橋し、多孔性で密度の低い
ポリマーとなる。その結果、基材の表面硬度を向上させ
ることが出来ない。水の量が1重量部を下回ると、加水
分解反応が進行しにくくなる。
【0021】本発明の方法に用いられる有機溶媒として
は、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチ
ルアルコールなどが用いられる。その使用量は、通常
は、上記アルコキシシラン、金属アルコキシド、シラン
カップリング剤、水、鉱酸および塩基触媒の合計100
重量部あたり50〜150重量部である。
【0022】本発明の方法によれば、本発明の積層ハー
ドコート膜は、例えば以下のようにして形成される。ま
ず、上記アルコキシシラン、金属アルコキシド(アルミ
ニウムアルコキシド、チタニウムアルコキシドおよび必
要に応じて他の金属アルコキシドを含む)、シランカッ
プリング剤、鉱酸ゾル−ゲル法(塩基)触媒および有機
溶媒を混合して塗工液を調製する(これを塗工液Aとす
る)。同様に、金属アルコキシド(アルミニウムアルコ
キシドおよび必要に応じて他の金属アルコキシドを含
む)、シランカップリング剤、水、有機溶媒、および必
要に応じて酸触媒および/または塩基触媒を混合して第
2の塗工液を調製する(これを塗工液Bとする)。塗工
液Aは塗工液Bに比べて無機成分の含有量が多い。塗工
液AおよびBを用いて後述のように積層ハードコート膜
を調製したときに、塗工液Aから調製される第1の層に
おいては、無機質と有機質との構成成分比(重量比)が
95:5〜60:40の範囲であり、好ましくは80:
20である。塗工液Bから調製される第2の層において
は無機質と有機質との構成成分比(重量比)が30:7
0〜50:50の範囲であり、好ましくは40:60で
ある。上記塗工液Aを基材の表面に塗工し常温にて風乾
し、指触乾燥状態とした時点で、その表面に塗工液Bを
塗布する。これを乾燥させた後、120℃〜150℃の
範囲の温度で、1分〜10分間加熱すると、本発明の積
層ハードコート膜が得られる。必要に応じて、塗工液A
およびBをこの順序で順次塗工して積層を繰り返し、上
記加熱処理を行い、所望の表面硬度を有するハードコー
ト膜を得る。
【0023】以上のようにして得られる本発明の積層ハ
ードコート膜は、基材の表面に所望の硬度を付与し、ま
た該ハードコート膜の基材に対する接着性に優れる。基
材表面の耐水性、特に耐温水性も飛躍的に上昇する。
【0024】
【作用】本発明の方法においては、塗工液A中のアルコ
キシシランおよび金属アルコキシドが加水分解され(主
として酸触媒が働く)水酸基を生じる。次いでゾル−ゲ
ル法触媒(塩基触媒)の働きによって、該水酸基の脱プ
ロトン化がおこり、加水分解生成物同士が脱水重縮合す
る。このとき、同時に前記シランカップリング剤のアル
コキシ基も加水分解されて水酸基を生じ、また塩基触媒
の働きによりエポキシ基の開環も起こり、やはり水酸基
を生じる。加水分解された該シランカップリング剤と加
水分解された該アルコキシシランおよび該金属アルコキ
シドとの重縮合反応も進行する。生成する重縮合物は、
Si−O−Si、Si−O−Al、Si−O−Tiなど
の結合からなる無機質部分と、シランカップリング剤の
エポキシ基に起因する有機質部分とを含有する複合ポリ
マーである。
【0025】上記反応においては、例えば、(I)式に
示される部分構造式に加えて、さらにシランカップリン
グ剤に起因する部分を有する網目状3次元のポリマーが
まず生成する。該ポリマーは網目状の構造の中にアルコ
キシ基を有する。該アルコキシ基は、存在する鉱酸の触
媒作用によって加水分解されて水酸基を生じ、該水酸基
がさらに結合を形成して、(II)式に示される複合ポリ
マーが生じると考えられる。上記重縮合反応において
は、ゾル−ゲル法触媒(塩基触媒)の働きにより先ず水
酸基が脱プロトン化し、次いで重縮合が進行する。
【0026】
【化1】
【0027】
【化2】
【0028】本発明の方法においては、上記塗工液調製
の過程で加水分解および重縮合反応が進行する。例え
ば、上記塗工液Aは、主成分としてSiO2、Al23
およびTiO2等を含有し得る無機質成分とエポキシ基
に起因する有機質成分からなる複合ポリマーを生成し、
該複合ポリマーは常温風乾で簡単に指触乾燥状態となっ
て軟らかい膜を形成する。その上層に塗布される上記塗
工液Bも、シランカップリング剤と金属アルコキシドと
の間で加水分解および重縮合反応によって複合ポリマー
を生成する。塗工液AおよびBにより形成される該膜に
おいては、120℃〜150℃の温度で加熱乾燥するこ
とにより重縮合が完全に進行して硬化する。
【0029】その際、該塗工液Bより形成される第2の
層(上層)の複合ポリマーは、シランカップリング剤に
起因するエポキシ基成分が多い。シランカップリング剤
のエポキシ基は、上記のように、開環し、加熱により重
合し、硬化して高密度のポリマーとなる。その結果、塗
膜が熱収縮を起こし、エポキシ基を硬化されたときに特
有の圧縮応力を生じる。一方、該塗工液Aにより形成さ
れる第1の層(下層)の複合ポリマーは内部において比
較的ゆっくりと乾燥収縮するために、第2の層からの圧
縮応力が加わりやすく、これにより第1の層の無機質部
分の密度が上昇する。冷却固化の過程で第1の層の内部
の密度が高くなることによる圧縮応力が硬化した第2の
層に働き、その硬度を更に向上させる。このように、強
い圧縮応力層(第2の層)を作ることにより張力破壊に
対して圧縮応力分だけ強くすることが出来る。
【0030】上記表面強度向上のメカニズムはガラスの
表面高度を高くするための物理強化法および化学強化法
の原理とも通じるところがある。物理強化法(風冷強化
法)は、ガラスをその軟化温度近くまで加熱後、急冷す
ると、その表面は直ちに固化するため強い圧縮応力層を
形成し、内部は比較的ゆっくり冷却収縮するために、表
面層に圧縮応力がかかる。このことにより、張力破壊に
対して圧縮応力分だけ強化される。化学強化法(イオン
強化法)においては、ガラス中のアルカリイオン(ナト
リウムイオン)をより大きい一価イオンで置換し、その
容積増加によって圧縮応力を発生させる方法である。
【0031】上記塗工液Aのみを基材に塗布し120〜
150℃で乾燥固化した場合、生成する被膜は全面に細
かい亀裂を有し該基材への接着性も悪い。これは、該基
材の有機ポリマーと、該塗工液Aより生成する複合ポリ
マーとの熱膨張率および収縮度の差による。これに対し
て、該塗工液Aを常温風乾することにより軟らかい第1
の層を形成し、該第1の層を、有機質をより多く含有す
る塗工液Bによる第2の層で被覆して、同じ条件で乾燥
固化した場合は、先ず固化熱収縮される該第2の層の複
合ポリマーの有機質成分による靭性により保護されつ
つ、発生した内部応力により該第1の層の無機質成分の
密度が増加するため亀裂は発生しない。
【0032】本発明の方法によって、例えば表面硬度が
鉛筆硬度3Bであるポリカーボネートに塗布加工した場
合、容易に3Hの硬度を有するハードコート膜を形成し
表面硬化を行うことが出来る。このようにして得られた
複合ハードコート膜は、耐熱性、耐沸騰水性、耐紫外線
性にも優れ、車輌および自動車のフロントガラス、ヘッ
ドライトガラスなどに最適である。この他、ポリエステ
ル系、ポリビニール系のフイルム、シートおよび各種成
形体の表面保護を必要とする各種の分野に広く応用され
得る。
【0033】
【実施例】以下に本発明の実施例について説明する。
【0034】実施例1 表1に示す成分(各々重量部)に従ってチタニウムテト
ライソプロポキシド、アルミニウムイソプロポキシド、
エチルシリケート、エタノール、塩酸(表1および表2
のHClはdry HCl換算の塩酸の量である)、お
よび水を混合し常温25℃で攪拌した。約30分から2
時間の攪拌の後、予め調製したシランカップリング剤S
H6040(東レダウコーニング社製)およびN,N−
ジメチルベンジルアミンのエタノール溶液を加えて更に
攪拌して、塗工液Aを得た。
【0035】次に表2に示す成分(各々重量部)に従っ
て、アルミニウムイソプロポキシド、塩酸、エタノー
ル、および水を混合し常温25℃で攪拌した。約30分
の攪拌の後、予め調製したSH6040(東レダウコー
ニング社製)のエタノール溶液を加えて更に攪拌し、塗
工液Bを得た。
【0036】基材としては、ポリカーボネートシート板
(厚さ2mm、表面処理済)を用いた。該塗工液Aを該
基材の表面に均等の厚さに塗布し、風乾で2〜3分間乾
燥し、指触乾燥状態となった時点で、その表面に該塗工
液Bを均等の厚さに塗布し、150℃の乾燥炉中で、3
〜10分間熱処理した。この段階でのハードコート膜の
硬度は鉛筆硬度H〜2Hであった。ハードコート膜の厚
みは約5μmであった。
【0037】更に上記のコーティング処理済ポリカーボ
ネートシート板に該塗工液AおよびBを同様に塗布し、
直ちに150℃の乾燥炉中で5〜10分間熱処理した。
この段階でのハードコート膜の硬度は鉛筆硬度3Hであ
った。
【0038】更に該塗工液AおよびBによる同様の複合
積層を1回、2回および3回繰り返すことにより、ハー
ドコート膜の硬度はそれぞれ4H、5Hおよび6Hまで
高くなった。
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】実施例2 基材としてPMMAシート(厚さ2mm)を用いて、実
施例1と同様の手順により前記塗工液AおよびBを塗布
し、150℃で約10分間の熱処理を施した。複合積層
1回でハードコート膜の硬度は7Hを示し、複合積層2
回で硬度8Hを示した。
【0042】実施例3 基材としてPETフイルム(厚さ100μm)を用い
て、実施例1と同様の手順により前記塗工液AおよびB
を塗布し、150℃で約10分間の熱処理を施した。複
合積層1回でハードコート膜の硬度は6〜7Hを示し、
複合積層2回で硬度7〜8Hを示した。
【0043】
【発明の効果】本発明によれば、このように、アルコキ
シシラン、金属アルコキシドおよびシランカップリング
剤を含有する第1の塗工液、および金属アルコキシドお
よびシランカップリング剤を含有する第2の塗工液を基
材上に塗布して硬化させることにより、ハードコート膜
が形成され、該基材の表面硬度が極めて高くなる。この
ハードコート膜は、熱可塑性樹脂基材(フィルム、シー
トおよび他の成型体)の表面保護のために設けられる
と、該基材の表面硬度および耐久性を大きく向上させる
ことができる。
【0044】本発明により得られる表面保護基材は、自
動車用フロントグラス、ヘッドライト用カバーグラス等
として産業上有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭57−177052(JP,A) 特開 昭63−190175(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C08J 7/04 B32B 7/02 B32B 9/00

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基材の少なくとも片面に積層された、少な
    くとも2層からなる、積層ハードコート膜であって、 アルコキシシラン、金属アルコキシドおよびシランカッ
    プリング剤を含有する組成物をゾル−ゲル法によって加
    水分解および重縮合して得られる、主成分が無機物であ
    る複合ポリマーでなり、該基板上に形成された第1の
    層、および金属アルコキシドおよびシランカップリング
    剤を含有する組成物をゾル−ゲル法によって加水分解お
    よび重縮合して得られる、主成分が有機物である複合ポ
    リマーでなり、該第1の層の表面に形成された第2の
    層、 を有する積層ハードコート膜。
  2. 【請求項2】前記第1の層を形成するための金属アルコ
    キシドがアルミニウムアルコキシドおよびチタニウムア
    ルコキシドを含み、かつ前記第2の層を形成するための
    金属アルコキシドがアルミニウムアルコキシドを含む、
    請求項1に記載の積層ハードコート膜。
  3. 【請求項3】アルコキシシラン、金属アルコキシド、シ
    ランカップリング剤、鉱酸、塩基触媒、水および有機溶
    媒を含有する第1の塗工液を基材の少なくとも片面に塗
    布する工程;金属アルコキシド、シランカップリング
    剤、水および有機溶媒を含有する第2の塗工液を、該第
    1の塗工液の塗布表面に付与する工程;および該第1の
    塗工液および第2の塗工液により形成される第1および
    第2の層でなる積層膜を120℃以上の温度で熱処理す
    る工程;を包含する積層ハードコート膜の製造方法。
  4. 【請求項4】前記第1の塗工液に含有される金属アルコ
    キシドがアルミニウムアルコキシドおよびチタニウムア
    ルコキシドを含み、かつ前記第2の塗工液に含有される
    金属アルコキシドがアルミニウムアルコキシドを含む、
    請求項3に記載の製造方法。
  5. 【請求項5】前記塩基触媒が水に実質的に不溶で、かつ
    有機溶媒に可溶な第三アミンである請求項3に記載の方
    法。
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