JP2969881B2 - 車両用空気調和制御装置 - Google Patents

車両用空気調和制御装置

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JP2969881B2 JP25317690A JP25317690A JP2969881B2 JP 2969881 B2 JP2969881 B2 JP 2969881B2 JP 25317690 A JP25317690 A JP 25317690A JP 25317690 A JP25317690 A JP 25317690A JP 2969881 B2 JP2969881 B2 JP 2969881B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は空気調和制御装置に係り、特に車両に採用す
るに適した空気調和制御装置に関する。
(従来技術) 従来、車両用空気調和制御装置においては、例えば、
実開昭58−8612号公報に示されているように、日射量が
急変した場合にも乗員の温感を適正に維持することを目
的として、日射の有無を所定時間でもって判定し、この
判定結果に応じて車室内への吹出空気流を制御するよう
にしたものがある。
(発明が解決しようとする課題) しかし、このような構成においては、日射の有無の前
記予定時間の前後における変化に応じて空調制御がなさ
れるものの、この空調制御においては、日射量の時々刻
々の変化までは考慮されておらず、その結果、上述の空
調制御が乗員の温感には適正には合致しにくい場合が生
じる。
これに対しては、例えば、特開昭59−34915号公報に
示されているように、日射量の変化量が所定の設定値を
超えた場合には日射センサの出力を漸次変化させて車室
内の目標温度を得るように空調制御を行なうようにする
ことも考えられる。しかし、このような場合には、日射
量が大幅に変化した場合に生じると予測される車室内へ
の吹出空気流の急激な変化は抑制し得るものの、車室内
の温度調整が、吹出空気流の温度と量の双方の同時制御
でもってなされる場合には、吹出空気流の量の過不足の
ため、乗員の温感に精度よく合致した空調制御がなされ
ない場合が生じる。
また、特開昭62−258808号公報に示されているよう
に、車室内の目標温度への調整にあたり、日射があった
ときにはこの日射に相当する補正値を所定勾配で増大さ
せるようにして空調制御を行ない、一方、日射がなくな
ったときにはこれに対する遅れをもって前記補正値を所
定勾配で減少させるようにして空調制御を行なうように
することも考えられる。しかし、この場合にも、上述と
同様に、車室内への吹出空気流の温度及び量の双方が同
時に制御される場合には、上述と同様に乗員の温感に精
度よく合致した空調制御がなされないという不具合が生
じる。このようなことは、特開昭63−170115号公報或い
は特開平1−145219号公報に示されているように、空調
制御を、日射量の変動量に応じて変化する遅延時間だけ
遅延させて行なうようにしても同様である。
これに対し、本願発明車等が、車両の乗員の温感に精
度よく合致する空調制御の実現にあたり、日射環境下に
おける車室内への吹出空気流の温度或いは単位時間当り
の流量に相当する風速と日射量との関係を実験により確
認したところ、第2図に示すような結果が得られた。但
し、この実験においては、外気温が−10℃のときを基準
とし、また、車両に配置した日射センサの太陽に対する
抑角が30゜のときを基準とした。
しかして、この実験の結果、乗員の温感に精度よく合
致した車室内の温度を実現するにあたっては、車室内へ
の吹出空気流の温度を一定にしても、同吹出空気流の風
速を日射量の増大に応じて第2図の曲線Pに従い増大さ
せればよいことが確認できた。しかし、車室内への吹出
空気量の風速を一定にした場合には、日射量の一定量以
下の範囲での増大時には、吹出空気流の温度を第2図の
曲線qに従い低下させればよいが、日射量の一定量を超
える増大時には、曲線qで示すごとく、吹出空気流の温
度を低下させることができず、車室内の温度を乗員の温
感に合致させて低下させることは困難であることが確認
できた。
また、以上のような事実を前提として、次のような現
象も確認できた。即ち、日射環境下において乗員の温感
に合致するように車室内の温度を調整すべく空調制御を
行うにあたり、日射量が一定量以下の範囲では、吹出空
気流の温度を優先的に制御すれば十分であり、同吹出空
気流の流量まで増大制御することは、却って乗員に冷風
による不快感を与えることが確認できた。また、日射量
が一定量以下の範囲を超えて増大した場合には、吹出空
気流の流量を優先的に増大制御する必要があることが確
認できた。
そこで、本発明は、上述のような実験結果による確認
事項に基き、車両用空気調和制御装置において、車室内
の温度を乗員の温感に合わせて精度よく調整するにあた
り、吹出空気流の温度が支配的に影響する日射量の範囲
では吹出空気流の温度を優先的に制御し、また、吹出空
気流の流量が支配的に影響する日射量の範囲では吹出空
気流の流量を優先的に制御するようにしようとするもの
である。
(課題を解決するための手段) 上記課題の解決にあたり、本発明によれば、図1にて
示すごとく、 車両の車室内の所望の温度を設定する温度設定手段
(1、100)と、 車室内の現実の温度を内気温として検出する内気温検
出手段(2、110)と、 車室内への吹出空気流の温度及び流量を、前記温度設
定手段にて設定された設定温度と前記内気温検出手段に
て検出された内気温との差を減ずるように制御する制御
手段(3、30、40、50、60、230、270、280)とを備え
た空気調和制御装置において、 日射量を検出する日射量検出手段(4、130)と、 この日射量検出手段による検出日射量に基づいて、日
射の変化量が所定変化量よりも大きいか否かを判定する
日射変化量判定手段(5、262、263)と、 この日射変化量判定手段にて前記日射変化量が前記所
定変化量よりも大きいと判定されたときの前記検出日射
量が、乗員の温感に影響を与える最低の日射量よりも大
きいか否かを判定する日射量判定手段(6、264)とを
備え、 前記制御手段は、 前記日射量判定手段にて前記検出日射量が前記最低日
射量よりも小さいと判定されたときは、前記検出日射量
の変化度合に応じて、前記吹出空気流の温度制御をその
流量制御に対し先行して優先的に行う温度制御優先手段
(7、266)と、 前記日射量判定手段にて前記検出日射量が前記最低日
射量よりも大きいと判定されたときは、前記検出日射量
の変化度合に応じて、前記吹出空気流の流量制御をその
温度制御に対し先行して優先的に行う流量制御手段
(8、267)とを有することを特徴とする車両用空気調
和制御装置が提供される。
(作用効果) このように本発明を構成したことにより、日射量検出
手段(4、130)の検出日射量の急激な変化が乗員の温
感に与える影響度合が少ないとき、即ち、日射変化量判
定手段(5、262、263)にて日射変化量が所定変化量よ
りも大きいと判定されたときの前記検出日射量が、乗員
の温感に与える最低の日射量よりも小さいと日射量判定
手段(6、264、265)にて判定されたときには、温度制
御優先手段(7、266)が、前記検出日射量の変化度合
に応じて、前記設定温度と前記検出内気温との差を減ず
るように、車室内への吹出空気流の温度を先行して優先
的に制御した後に前記吹出空気流の流量を制御する。
一方、前記検出日射量の急激な変化が乗員の温感に与
える影響度合が多いとき、即ち、日射変化量判定手段
(5、262、263)にて日射変化量が所定変化量よりも大
きいと判定されたときの前記検出日射量が、乗員の温感
に影響を与える最低の日射量よりも大きいと日射量判定
手段(6、264、265)にて判定されたときには、流量制
御優先手段(8、267)が、前記検出日射量の変化度合
に応じて、前記設定温度と前記検出内気温との差を減ず
るように、車室内への吹出空気流の流量を先行して制御
した後前記吹出空気流の温度を制御する。このため、前
記検出日射量の急激な変化度合の多少にかかわらず、車
室内の空調制御が乗員の温感に常に精度よく合致して実
現され得る。
(実施例) 以下、本発明の第1実施例を図面により説明すると、
第3図は、本発明に係る車両用空気調和制御装置の一例
を示している。この空気調和制御装置は、当該車両に装
備したエヤダクト10を有しており、このエヤダクト10内
には、その上流から下流にかけて、内外気切換ダンパ2
0、ブロワ30、エバポレータ40、エヤミックスダンパ5
0、ヒータコア60及び各吹出口切換ダンパ70〜90が配設
されている。内外気切換ダンパ20は、サーボモータ20a
による駆動のもとに第1切換位置(第3図にて図示実線
により示す位置)に切換えられてエヤダクト10内にその
導入口11から外気を流入させ、一方、第2切換位置(第
3図にて図示二点鎖線により示す位置)に切換えられて
エヤダクト10内にその導入口11を介して当該車両の車室
内の内気を流入させる。
ブロワ30は、駆動回路30aにより駆動されるブロワモ
ータMの回転速度に応じ、導入口11からの外気又は内気
を空気流としてエバポレータ40に送風する。エバポレー
タ40は、空気調和制御装置の冷凍サイクルの作動に応じ
循環する冷媒によりブロワ30からの空気流を冷却する。
エヤミックスダンパ50は、サーボモータ50aにより駆動
されて、その開度に応じ、エバポレータ40からの冷却空
気流をヒータコア60に流入させるとともに、残余の冷却
空気流を各吹出口切換ダンパ90に向け直接流動させる。
ヒータコア60は、当該車両のエンジン冷却系統からの冷
却水に応じ、その流入冷却空気流を加熱して各吹出口切
換ダンパ70〜90に向けて流動させる。吹出口切換ダンパ
70は、サーボモータ70aにより駆動されて、空気調和制
御装置のベンティレーション時に開成されてエアダクト
10の吹出口12から当該車両の車室内中央に向け空気流を
吹出させる。吹出口切換ダンパ80は、サーボモータ80a
による駆動のもとに、空気調和制御装置のヒートモード
時に開成されてエアダクト10の吹出口13から車室内下部
に向け空気流を吹出させる。また、吹出口切換ダンパ90
は、サーボモータ90aによる駆動のもとに、空気調和制
御装置のデフロスタモード時に開成されてエアダクト10
の吹出口14から当該車両のフロントウィンドシールドに
向け空気流を吹出させる。
操作スイッチSWは、空気調和制御装置を作動させると
き操作されて操作信号を生じる。温度設定器100は、車
室内の温度を所望の温度に設定するとき操作されて同所
望の温度を設定温信号として発生する。内気温センサ11
0は、車室内の現実の温度を検出し内気温検出信号とし
て発生する。外気温センサ120は、当該車両の外気の現
実の温度を検出し外気温検出信号として発生する。日射
センサ130は、前記フロントウィンドシールドの下縁左
右中央部の車室内近傍にて、ダッシュボードの上面左右
中央に配設されているもので、この日射センサ130は、
前記フロントウィンドシールド通り入射する日射の量を
検出し日射量検出信号として発生する。なお、温度設定
器100、内気温センサ110及び日射センサ130は、特許請
求の範囲及び第1図に記載の温度設定手段、内気温検出
手段及び日射量検出手段にそれぞれ対応する。A−D変
換器140は、温度設定器100からの設定温信号、内気温セ
ンサ110からの内気温検出信号、外気温センサ120からの
外気温検出信号及び日射センサ130からの日射量検出信
号を第1〜第4のディジタル信号にそれぞれディジタル
変換する。
マイクロコンピュータ150は、コンピュータプログラ
ムを、第4図〜第6図に示すフローチャートに従い、A
−D変換器140との協働により実行し、この実行中にお
いて、駆動回路30a及び各サーボモータ20a,50a,70a,80
a,90aの駆動制御に必要な演算処理をする。但し、上述
のコンピュータプログラムは、マイクロコンピュータ15
0のROMに予め記憶されている。また、マイクロコンピュ
ータ150は、当該車両のイグニッションスイッチIGの閉
成に応答してバッテリBから給電されて作動状態にな
り、操作スイッチSWからの操作信号に応答してコンピュ
ータプログラムの実行を開始する。
このように構成した本第1実施例において、当該車両
のエンジンをイグニッションスイッチIGの閉成に基き始
動させるものとする。また、操作スイッチSWから操作信
号を発生させれば、マイクロコンピュータ150が第4図
のフローチャートに従いステップ200にてコンピュータ
プログラムの実行を開始し、かつ、ステップ210にて、
その各内部素子の初期化を行う。ついで、マイクロコン
ピュータ150が、ステップ220にて、A−D変換器140か
ら第1〜第4のディジタル信号を受け、ステップ230に
て、エアダクト10から車室内への空気流の基準必要吹出
温度Tbを次の関係式(1)に基き、前記第1〜第3のデ
ィジタル信号の各値(以下、設定温Tset、内気温Tr及び
外気温Tamという)に応じて演算する。
Tb=Kset・Tset−Kr・Tr−Kam・Tam+C …(1) 但し、関係式(1)において、各符号Kset,Kr及びKam
は、それぞれ、正の係数を表わす。また、符号Cは定数
を表わす。なお、関係式(1)はマイクロコンピュータ
150のROMに予め記憶されている。
ついで、マイクロコンピュータ150が、ステップ240に
て、同ステップにて示す特性曲線Vb−Tbに基きステップ
230における基準必要吹出温度Tbに応じエアダクト10か
ら車室内の空気流の基準吹出空気流量Vbを決定する。但
し、特性曲線Vb−Tbは、基準吹出空気流量Vbと基準必要
吹出温度Tbとの関係を表わすデータとしてマイクロコン
ピュータ150のROMに予め記憶されている。
然る後、コンピュータプログラムが日射量補正ルーテ
ィン250(第5図参照)に進むと、マイクロコンピュー
タ150が、ステップ251にて、次の関係式(2)に基き、
ステップ220における第4ディジタル信号の値(以下、
日射量STという)、ステップ230における基準必要吹出
温度Tb及びステップ240における基準吹出空気流量Vbに
応じて補正必要吹出温度Taを演算する。
この関係式(2)は、日射量STによる当該車両の熱負
荷の上昇分を考慮して、基準必要吹出温度Tbを日射量ST
に応じて補正するものである。但し、関係式(2)にお
いて、符号Ksは正の係数を表わし、符号Cpは空気の比熱
を表わし、また、γは空気の比重を表わす。なお、関係
式(2)はマイクロコンピュータ150のROMに予め記憶さ
れている。
しかして、マイクロコンピュータ150のROMに予め記憶
した所定の下限吹出温度Tas(例えば、5℃)よりもス
テップ251における補正必要吹出温度Taの方が低けれ
ば、マイクロコンピュータ150がステップ252にて「NO」
と判別し、次のステップ253において、エアダクト10か
らの車室内への目標必要吹出温度Taoを下限吹出温度Tas
に等しくセットするとともに、次の関係式(3)に基
き、ステップ220における設定温Ts、下限吹出温度Tas、
及び日射量STに応じ、エアダクト10から車室内への目標
吹出空気流量Vaoを演算する。
この関係式(3)は、Tao=Tasにおける(Tas−Ta)
に相当する空気調和制御装置の能力不足分を空気流量で
補正するものである。但し、この関係式(3)はマイク
ロコンピュータ150のROMに予め記憶されている。一方、
Ta≧Tasが成立するときには、マイクロコンピュータ150
がステップ252にて「YES」と判別し、次のステップ254
において、必要吹出温度Taoをステップ251における補正
必要吹出温度Taに等しくセットするとともに、目標吹出
空気流量Vaoをステップ240における基準吹出空気流量Vb
に等しくセットする。
このようにして日射量補正ルーティン250の演算処理
が終了すると、マイクロコンピュータ150が遅延時間演
算ルーティン260(第6図参照)の実行に移行する。し
かして、この遅延時間演算ルーティン260において、マ
イクロコンピュータ150が、ステップ261にて、日射変化
量ΔSTを演算する。但し、この日射変化量ΔSTの演算に
あたり、マイクロコンピュータ150は、図示しないタイ
マ割込制御プログラムの一定時間毎の実行により、A−
D変換器140からの第4ディジタル信号を繰返しサンプ
リングして、時刻t=ti(i=1,2,・・・)におけるサ
ンプリング日射量STiを順次一時的に記憶している。そ
して、マイクロコンピュータ150は、サンプリング日射
量STiとこれに先行するサンプリング日射量STi−1との
差を、日射変化量ΔST=STi−STi−1として演算する。
しかして、マイクロコンピュータ150のROMに予め記憶
した基準日射量変化幅ΔSTbに比べ日射変化量の絶対値
|ΔST|の方が小さければ、マイクロコンピュータ150が
ステップ262にて「NO」と判別する。一方、|ΔST|≧Δ
STbが成立する場合には、マイクロコンピュータ150がス
テップ262にて「YES」と判別する。ついで、日射変化量
ΔST=STi−STi−1>0が成立する場合には、日射量ST
が増大したとの判断のもとに、マイクロコンピュータ15
0がステップ263にて「YES」と判別する。一方、ΔST≦
0が成立する場合には、日射量STが減少したとの判断の
もとにマイクロコンピュータ150がステップ263にて「N
O」と判別する。なお、両ステップ262、263は、特許請
求の範囲及び第1図に記載の日射変化量判定手段に対応
する。
上述のようにステップ263にて「YES」と判別した後、
マイクロコンピュータ150のROMに予め記憶した所定の基
準日射量STb(乗員の温感に影響を与える日射量の下限
値に相当)に比べサンプリング日射量のSTiの方が少な
ければ、マイクロコンピュータ150が、ステップ264にて
「NO」と判別する。一方、STi≧STbが成立すれば、マイ
クロコンピュータ150がステップ264にて「YES」と判別
する。また、上述のようにステップ263にて「NO」と判
別した後、STi−1<STbが成立すれば、マイクロコンピ
ュータ150がステップ265にて「NO」と判別する。一方、
STi−1≧STbが成立すれば、マイクロコンピュータ150
がステップ265にて「YES」と判別する。なお、ステップ
264は、特許請求の範囲及び第1図に記載の日射量判定
手段に対応する。
しかして、上述のようにステップ264或いは265におい
て「NO」と判別すると、マイクロコンピュータ150が遅
延時間演算ルーティン260をステップ266に進める。一
方、上述のようにステップ264或いは265において「YE
S」との判別がなされると、マイクロコンピュータ150が
遅延時間演算ルーティン260をステップ267に進める。か
かる場合、ステップ266において、マイクロコンピュー
タ150が、温度制御遅演時間τd(T)を所定遅延時間
τ1とセットするとともに、流量制御遅延時間τd
(V)を所定遅延時間τ2とセットする。一方、ステッ
プ267においてはマイクロコンピュータ150が、エバポレ
ータ50による吹出空気流の温度制御開始を遅延させるた
めの温度制御遅延時間τd(T)を所定遅延時間τ3と
セットするとともに、ブロワ30による吹出空気流の流量
制御開始を遅延させるための流量制御遅延時間τd
(V)を所定遅延時間τ4とセットする。なお、ステッ
プ266は、特許請求の範囲及び第1図に記載の温度制御
優先手段に対応し、ステップ267は、特許請求の範囲及
び第1図に記載の流量制御優先手段に対応する。
但し、サンプリング日射量STi−1或いはSTiが、基準
日射量STbよりも少ない場合には、吹出空気流の温度を
優先的に制御することが、乗員の温間に合う空調制御と
して望ましい。このため、所定遅延時間τ1を所定遅延
時間τ2よりも短く定めてある。一方、サンプリング日
射量STi−1或いはSTiが、基準日射量STbよりも多い場
合には、吹出空気流の流量を優先的に制御することが、
乗員の温感に合う空調制御として望ましい。このため、
所定遅延時間τ4を所定遅延時間τ3よりも短く定めて
ある。なお、各所定遅延時間τ1〜τ4はマイクロコン
ピュータ150のROMに予め記憶されている。
上述のような遅延時間演算ルーティン260の実行後、
マイクロコンピュータ150が、コンピュータプログラム
を開度制御ルーティン270、空気流量制御ルーティン28
0、吹出モード制御ルーティン290a及び内外気モード制
御ルーティン290bに順次進める。しかして、上述のよう
にステップ266における演算処理がなされた場合には、
同演算処理後τd(T)=τ1の経過時に、開度制御ル
ーティン270でのエヤミックスダンパ50の開度の増減制
御に対する演算処理が開始され、かつτd(V)=τ2
の経過時に、空気流量制御ルーティン280でのブロワ30
の送風空気流の増減制御に対する演算処理が開始され
る。
即ち、上述のようにτd(T)=τ1が経過すると、
マイクロコンピュータ150が、空気流量制御ルーティン2
80での演算処理に基づく現段階におけるブロワ30からの
空気流量を維持した状態にて、開度制御ルーティン270
において車室内の現実の温度を設定温Tsetに維持するよ
うに吹出空気流の温度をステップ253又は254での目標必
要吹出温度Taoに徐々に近づけるべく演算処理し、かつ
サーボモータ50aが、エヤミックスダンパ50の開度を、
目標必要吹出温度Taoに対応する開度に一致させるよう
に同エヤミックスダンパ50を駆動する。なお、空気流量
制御ルーティン280は、ブロワ30、エバポレータ40、エ
ヤミックスダンパ50、ヒータコア60、ステップ230、ス
テップ240及び開度制御ルーテイン270と共に特許請求の
範囲及び第1図に記載の制御手段に対応する。
また、上述のようにτd(V)=τ2が経過すると、
マイクロコンピュータ150が、空気流量制御ルーティン2
80において車室内の現実の温度を設定温Tsetに維持する
ように吹出空気流の流量をステップ253又は254での目標
吹出空気流量Vaoに徐々に近づけるべく演算処理し、か
つブロワモータMが駆動回路30aとの協働のもとブロワ3
0からの空気流量を目標吹出空気流量Vaoに一致させるよ
うにブロワ30を駆動する。
また、上述のようにステップ267における演算処理が
なされた場合には、同演算処理後τd(V)=τ4の経
過時に、空気流量制御ルーテイン280でのブロワ30から
の空気流量の増減制御に対する演算処理が開始され、か
つτd(T)=τ3の経過時に、開度制御ルーティン27
0でのエヤミックスダンパ50の開度の増減制御に対する
演算処理が開始される。
即ち、上述のようにτd(V)=τ4が経過すると、
マイクロコンピュータ150が、開度制御ルーティン270で
の演算処理に基づく現段階におけるエヤミックスダンパ
50の開度を維持した状態にて、空気流量制御ルーティン
280において車室内の現実の温度を設定温Tsetに維持す
るように吹出空気流の流量をステップ253又は254での目
標吹出空気流量Vaoに徐々に近づけるべく演算処理し、
かつブロワモータMが、駆動回路30aとの協働により、
ブロワ30からの空気流の量を、目標吹出空気流量Vaoに
一致させるように同ブロワ30を駆動する。
また、上述のようにτd(T)=τ3が経過すると、
マイクロコンピュータ150が、開度制御ルーティン270に
おいて車室内の現実の温度を設定温Tsに維持するように
吹出空気流の温度をステップ253又は254での目標必要吹
出温度Taoに徐々に近づけるべく演算処理し、かつサー
ボモ50aがエヤミックスダンパ50の開度を目標必要吹出
温度Taoに対応する開度に一致させるように同エヤミッ
クスダンパ50を駆動する。
換言すれば、ΔST=STi−STi−1>0が成立する場合
において、STi<STbのときには、第7図にて示すごと
く、車室内への吹出空気流の温度の目標必要吹出温度Ta
oへの低下制御が、STi−1からSTiへの急変後τd
(T)=τ1の経過まで遅延されるとともに、車室内へ
の吹出空気流の量の目標吹出流量Vaoへの増大制御が、S
Ti−1からSTiへの急変後、τd(T)=τ1よりも長
いτd(V)=τ2の経過まで遅延される。一方、ΔST
=STi−STi−1<0が成立する場合において、STi−1
<STbのときには、第8図にて示すごとく、車室内への
吹出空気流の温度の目標必要吹出温度Taoへの上昇制御
が、STi−1からSTiへの急変後τd(T)=τ1の経過
まで遅延されるとともに、車室内への吹出空気流の量の
目標吹出重量Vaoヘの減少制御が、STi−1からSTiへの
急変後、τd(T)=τ1よりも長いτd(V)=τ2
の経過まで遅延される。
また、ΔST=STi−STi−1>0が成立する場合におい
て、STi>STbのときには、第9図に示すごとく、車室内
への吹出空気流の量の目標吹出流量Vaoへの増大制御
が、STi−1からSTiへの急変後τd(V)=τ4の経過
まで遅延されるとともに、車室内への吹出空気流の温度
の目標必要吹出温度Taoヘの低下制御が、STi−1からST
iへの急変後、τd(V)=τ4よりも長いτd(T)
=τ3の経過まで遅延される。一方、ΔST=STi−STi−
1<0が成立する場合において、STi−1>STbのときに
は、第10図に示すごとく、車室内への吹出空気流の量の
目標吹出流量Vaoへの減少制御が、STi−1からSTiへの
急変後τd(V)=τ4の経過まで遅延されるととも
に、車室内への吹出空気流の温度の目標必要吹出温度Ta
oへの上昇制御が、STi−1からSTiへの急変後τd
(T)=τ3の経過まで遅延される。
以上説明したように、日射量STが基準日射量STbより
も少ない範囲にて急変しても、この範囲では車室内への
吹出空気流の温度が乗員の温感に対し支配的に影響を与
えるという事実を前提に、空調制御が、吹出空気流の温
度をその流量よりも先行して優先的に制御するように行
われる。従って、吹出モード制御ルーティン290a及び内
外気モード制御ルーティン290bの実行に伴う各吹出口切
換ダンパ12〜14の各サーボモータ70a〜90aとの協働によ
り選択的開成及び内外気切換ダンパ20のサーボモータ20
aとの協働による選択的切換位置のもとに車室内へ吹出
す空気流がその温度及び流量の順に制御されて基準日射
量STb以下で日射量変化のもとにおける乗員の温感に精
度よく合致した車室内の空調を実現できる。また、日射
量STが基準日射量STbを超えるように急変しても、この
範囲では、車室内への吹出空気流の量が乗員の温感に対
し支配的に影響を与えるという事実を前提に、空調制御
が、吹出空気流の量をその温度よりも先行して優先的に
制御するように行われる。従って、上述と同様に各吹出
口切換ダンパ12〜14の選択的開成及び内外気切換ダンパ
20の選択的切換位置のもとに車室内に吹出する空気流が
その流量及び温度の順に制御されて、基準日射量STbを
超えるような日射量変化のもとにおける乗員の温感に精
度よく合致した空調を実現できる。
次に、本発明の第2実施例について第11図を参照して
説明すると、この第2実施例においては、前記第1実施
例にて述べた空気調和制御装置に代えて、第11図に示す
空気調和制御装置を採用するようにしたことにその構成
上の特徴がある。しかして、この第2実施例において
は、前記第1実施例にて述べたエヤダクト10に代えて、
エヤダクト10Aが採用されており、このエヤダクト10Aの
下流部内には、隔壁15がエヤダクト10Aの内部を軸方向
に二等分するように配設されてベンティレーションダク
ト10aとヒートダクト10bを区画形成する。
エヤダクト10Aの上流部内には、その上流から下流に
かけて、前記第1実施例に述べた内外気切換ダンパ20、
ブロワ30及びエバポレータ40が順次配設されている。内
外気切換ダンパ20がその第1(又は第2)の切換位置に
てエヤダクト10A内にその導入口16から外気(又は内
気)を流入させる。流量分配ダンパ40Aは、その基端部
にて、隔壁15の内端部に回動可能に軸支されており、こ
の流量分配ダンパ40Aは、サーボモータ40aによる駆動の
もとに、その分配開度に応じて、エバポレータ40からベ
ンティレーションダクト10a及びヒートダクト10b内への
冷却空気流の各流入量を分配調整する。
前記第1実施例にて述べたヒータコア60は、第11図に
示すごとく、隔壁15の中間部位に嵌着されており、この
ヒータコア60は、二等分に区画されて、各ヒータコア部
60a,60bとしてベンティレーションダクト10a及びヒート
ダクト10b内にそれぞれ突設されている。しかして、ヒ
ータコア部60aは、エヤミックスダンパ50Aを介し流量分
配ダンパ40Aから流入する冷却空気流を加熱しベンティ
レーションダクト10Aの吹出口17に向けて流動させる。
一方、ヒータコア部60bは、エヤミックスダンパ50Bを介
し流量分配ダンパ40Aから流入する冷却空気流を加熱し
ヒートダクト10bの吹出口18に向けて流動させる。
エヤミックスダンパ50Aは、前記第1実施例にて述べ
たサーボモータ50aによる駆動のもとに、その開度に応
じ、流量分配ダンパ40Aからの冷却空気流の一部をヒー
タコア部60a内に流入させ、残余の冷却空気流を吹出口1
7に向け直接流動させる。一方、エヤミックスダンパ50B
は、サーボモータ50bによる駆動のもとに、その開度に
応じ、流量分配ダンパ40Aからの冷却空気流の一部をヒ
ータコア部60b内に流入させ、残余の冷却空気流を吹出
口18に向け直接流動させる。
吹出温度センサ130aはベンティレーションダクト10a
からの吹出空気流の温度を検出し吹出温度検出信号とし
て発生する。また、吹出温度センサ130bはヒートダクト
10bからの吹出空気流の温度を検出し吹出温度検出信号
として発生する。水温センサ130cは当該車両のエンジン
冷却系統の冷却水の温度を検出し冷却水温検出信号とし
て発生する。また、出口温センサ130dはエバポレータ40
の出口における冷却空気流の温度を検出し出口温度信号
として発生する。A−D変換器140Aは、温度設定器100
からの設定温信号、内外温センサ110からの内気温検出
信号、外気温センサ120からの外気温検出信号、日射セ
ンサ130からの日射量検出信号、各吹出温度センサ130a,
130bからの吹出温度検出信号、水温センサ130cからの冷
却水温検出信号及びに出口温センサ130dからの出口温検
出信号を第1〜第8のディジタル信号にディジタル変換
する。
マイクロコンピュータ150Aは、コンピュータプログラ
ム(以下、第2のコンピュータプログラムという)を、
第12図〜第14図に示すフローチャートに従い、A−D変
換器140Aとの協働により実行し、この実行中において、
駆動回路30a及び各サーボモータ20a,40a,50a,50bの駆動
制御に必要な演算処理をする。但し、上述の第2コンピ
ュータプログラムは、マイクロコンピュータ150AのROM
に予め記憶されている。その他の構成は前記第1実施例
を実質的に同様である。
以上のように構成した本第2実施例において、前記第
1実施例の実質的に同様にマイクロコンピュータ150Aが
第12図のフローチャートに従い第2コンピュータプログ
ラムの実行をステップ300にて開始すると、同マイクロ
コンピュータ150Aが、ステップ310にて、初期化の処理
をし、ステップ320にて、A−D変換器140Aから第1〜
第8のディジタル信号を受け、各ステップ330,340にて
前記第1実施例の各ステップ230,240にて述べたと同様
にエヤダクト10Aから車室内への吹出空気流の基準必要
吹出温度Tb及び基準吹出空気流量Vbを演算する。但し、
前記第1実施例にいう関係式(1)及び特性曲線Vb−Tb
はマイクロコンピュータ150AのROMに予め記憶されてい
る。
ついで、マイクロコンピュータ150Aが、ステップ350
にて、同ステップに示す特性曲線Tv−Tbに基づき基準必
要吹出温度Tbに応じベンティレーションダクト10aから
車室内への吹出空気流の基準必要吹出温度Tvを決定する
とともに、ステップ350に示す特性曲線TH−Tbに基づき
基準必要吹出温度Tbに応じヒートダクト10bから車室内
への吹出空気流の基準必要吹出温度THを決定する。但
し、ベンティレーションダクト10aから吹出して乗員の
上半身に当たる空気量の温度が高過ぎると乗員が不快に
感じることから、特性曲線Tv−TbにおけるTvの上限値は
設定温Tsetに等しくしてある。一方、ヒートダクト10b
から吹出し乗員の下半身に当たる空気流の温度が低過ぎ
ると乗員が不快に感じることから、特性曲線TH−Tbにお
けるTHの下限値は35(℃)に等しくしてある。なお、各
特性曲線Tv−Tb及びTH−Tbはマイクロコンピュータ150A
のROMに予め記憶されている。
ステップ350における演算処理後、マイクロコンピュ
ータ150Aが、ステップ360にて、次の関係式(4)に基
づきステップ350における基準必要吹出温度Tvに応じ補
正必要吹出温度Tv1を演算する。
Tv1=Tv+ΔT(ST) ・・・(4) 但し、関係式(4)において、ΔT(ST)は、日射量
STを変数とする関数を表す。この関係ΔT(ST)は、日
射による車室内の温度の上昇及び乗員の温熱感の上昇を
ベンティレーションダクト10aからの吹出空気流の温度
により解消してTvを補正しTv1とする役割を果たす。ま
た、関数ΔT(ST)は、空気調和制御装置の空調安定状
態におけるブロワ30の低速モード下で乗員に快適感を与
えるベンティレーションダクト10aからの吹出空気流の
温度を、日射量STを変化させて実験的に求めて得たもの
である。そして、この実験結果において、Tvに対する補
正量がΔT(ST)よりも少ないと、吹出温度の低下量が
少ないために、乗員に日射による温熱感を与え、一方Tv
に対する補正量がΔT(ST)よりも多いと、吹出温度の
低下量が多いために、乗員に対し冷感を与えるというこ
とが確認された。なお、関係式(4)及び関数ΔT(S
T)はマイクロコンピュータ150AのROMに予め記憶されて
いる。
然る後、マイクロコンピュータ150Aが、ステップ370
にて、次の関係式(5)に基づき設定温Ts及び各基準必
要吹出温度Tb,THに応じてST=0の状態でのベンティレ
ーションダクト10a内への冷却空気流の量とヒートダク
ト10b内への冷却空気流の量との比に相当する配風比Pr
を演算するとともに、次の関係式(6)に基づき配風比
Pr及び基準吹出空気流量Vbに応じヒートダクト10bから
の吹出空気流の量VHを演算する。
但し、0≦Tset−TH<2のときには、Tset−TH=2
とし、0>Tset−TH>−2のときには、Tset−TH=−
2とし、また、Pr≦0のときにはPr=0とし、P>1の
ときにはPr=1とする。また、K1,K2は共に定数を表
す。なお、Pr=0はベンティレーションモードに相当
し、Pr=1はヒートモードに相当し、かつ0<Pr<1は
バイレベルモードに相当する。また、両関係式(5),
(6)はマイクロコンピュータ150AのROMに予め記憶さ
れている。
しかして、マイクロコンピュータ150Aが、ステップ38
0にて、次の関係式(7)に基づき日射量ST、配風比P
r、基準吹出空気流量Vb及び基準必要吹出温度Tvに応じ
ベンティレーションダクト10aから車室内への吹出空気
流の必要吹出温度Tv2を演算する。
但し、Kpは空気の比熱Cpと比重γとの積を表す。又、
αは当該車両の空調対象空間の容積、窓ガラスの面積及
び乗員の好み等に応じて定まる定数を示す。
ここにおいて、関係式(7)は以下のような意義をも
つ。ステップ360にて決定した必要吹出温度Tv1をベンテ
ィレーションダクト10aからの吹出空気流の温度の下限
とすることを前提に、必要吹出温度Tv2必要吹出温度Tv1
よりも高い場合、当該車両の日射による受熱量を必要吹
出温度Tv1以上の必要吹出温度Tv2により解消する。一
方、Tv2がTv1よりも低い場合、Tv1がベンティレーショ
ンダクト10aからの吹出空気流の温度の下限であるた
め、同吹出空気流の温度をTv1とし、残りの日射による
当該車両の受熱量ベンティレーションダクト10aからの
吹出空気流量の増大によって解消する。以上のことか
ら、関係式(7)においては、Tv2が、(1−Pr)・Vb
の吹出空気流量で日射量STによる受熱量を打消すための
吹出温度の低下量を示していることが分かる。なお、関
係式(7)はマイクロコンピュータ150AのROMに予め記
憶されている。
第2コンピュータプログラムが、第13図及び第14図に
示すごとく、必要吹出空気流の温度及び流量並びに配風
比の各目標値演算ルーティン390に進むと、マイクロコ
ンピュータ150Aが、ステップ391にて、各ステップ380,3
60における必要吹出温度Tv2,Tv1を比較判別する。しか
して、Tv2≧Tv1であれば、Tv1以下のベンティレーショ
ンダクト10aからの空気流の吹出温度でもって日射量ST
による当該車両の受熱量を打消し得るとの判断のもと
に、マイクロコンピュータ150Aがステップ391にて「YE
S」と判別してステップ392における演算処理に移行す
る。しかして、このステップ392においては、ベンティ
レーションダクト10aからの吹出空気流の目標必要吹出
温度Taovが必要吹出温度Tv2とセットされるとともに、
ベンティレーションダクト10aからの目標吹出空気流量V
aovが(1−Pr)・Vbとセットされる。さらに、ヒート
ダクト10bからの吹出空気流の目標必要吹出温度TaoHが
必要吹出温度TH(ステップ350参照)とセットされると
ともに、ヒートダクト10bからの目標吹出空気流量VaoH
がステップ370における吹出空気流量VHとセットされ
る。
一方、Tv2<Tv1であれば、ステップ360における補正
必要吹出温度Tv1でもってしては日射量STによる当該車
両の受熱量を打消すことができないとの判断のもとに、
マイクロコンピュータ150Aがステップ391にて「NO」と
判別してステップ393における実行に移行する。しかし
て、このステップ393においては、TaovがTv1とセットさ
れ、Vaovが次の関係式(8)に基づきST,Tset及びTv1に
応じて演算され、TaoHがTHとセットされ、かつVaoHが
VHとセットされる。
但し、0≦Tset−Tv1<2のときには、Tset−Tv1=2
とし、0>Tset−Tv1>−2のときには、Tset−Tv1=−
2とする。また、関係式(8)において、Vaovは、Tv1
の吹出温度の状態で日射量STによる当該車両の受熱量を
打消し得る吹出空気流量としての意義をもつ。なお、関
係式(8)はマイクロコンピュータ150AのROMに予め記
憶されている。
然る後、マイクロコンピュータ150Aが、ステップ394
にて、ステップ392又は393におけるVaovとVaoHの和を車
室内への総目標吹出空気流量VAとして演算し、かつステ
ップ395にて、流量分配ダンパ140Aの目標開度(以下、
目標開度Sという)を次の関係式(9)に基づいてステ
ップ392又は393におけるVaov及びVaoHに応じて演算す
る。
但し、関係式(9)において、S=0のときは、完全
なベンティレーションモードとなり、S=1のときは完
全なヒートモードとなり、また、0<S<1のときはバ
イレベルモードとなる。なお、関係式(9)はマイクロ
コンピュータ150AのROMに予め記憶されている。
このようにしてルーティン390における演算処理が終
了すると、マイクロコンピュータ150Aが第2コンピュー
タプログラムを前記第1実施例にて述べた遅延時間演算
ルーティン260に進め第6図のフローチャートに従い上
述と同様にして温度遅延時間τd(T)及び流量遅延時
間τd(V)を演算する。然る後、マイクロコンピュー
タ150Aが、ステップ400にて、ステップ394における総目
標吹出流量VAを吹出流量出力信号として発生し、ステッ
プ410にて、ステップ395における目標開度Sを配風比出
力信号として発生する。
ついで、マイクロコンピュータ150Aが、目標開度処理
ルーティン420にて、エヤミックスダンパ50Aの目標開度
(以下、目標開度SW1という)を次の関係式(10)に基
づきステップ392又は393における目標必要吹出温度Tao
v、ステップ320における第7ディジタル信号の値(以
下、冷却水温Twという)及び第8ディジタル信号の値
(以下、出口温TEという)に応じて初期的に演算し、か
つこの演算結果を、ステップ320における第5ディジタ
ル信号の値(以下、ベンティレーションダクト吹出温度
という)のフィードバックによりPID制御演算する。
なお、上述うのようなPID制御演算は、ベンティレー
ションダクト10aからの吹出空気流の温度の応答性のよ
い高精度の制御に有効である。また、関係式(10)はマ
イクロコンピュータ150AのROMに予め記憶されている。
しかして、マイクロコンピュータ150Aが、ステップ43
0にて、ルーティン420における目標開度SW1を第1開度
出力信号として発生し、目標開度ルーティン440におい
て、バイレベルモード或いはヒートモード時にエヤミッ
クスダンパ50Bの目標開度(以下、目標開度SW2という)
を次の関係式(11)に基づきステップ392又は393におけ
る目標必要吹出温度TaoH、ステップ320における冷却水
温Tw及び出口温TEに応じて初期的に演算し、この演算
結果を、ステップ320における第6ディジタル信号の値
(以下、ヒートダクト吹出温度という)のフィードバク
によりPID制御演算する。
ついで、マイクロコンピュータ150Aが、ステップ450
にて、ルーティン440における目標開度SW2を第2開度出
力信号として発生する。なお、上述のようなPID制御演
算は、ヒートダクト10bからの吹出空気流の温度の応答
性のよい高精度の制御に有効である。また、関係式(1
1)はマイクロコンピュータ150AのROMに予め記憶されて
いる。
しかして、前記第1実施例と同様に遅延時間演算ルー
ティン260のステップ266における演算処理がなされた場
合には、同演算処理後τd(T)=τ1の経過時に、両
目標開度処理ルーティン420,440の双方又は一方での両
エヤミックスダンパ50A,50Bの各開度の双方又は一方の
増減制御に対する演算処理が開始され、かつτd(V)
=τ2の経過時に、ステップ400での吹出空気流量信号
の値を増減制御させる演算処理及びステップ410での配
風比出力信号の値を増減制御させる演算処理が開始され
る。
即ち、上述のようにτ(d)=τ1が経過すると、マ
イクロコンピュータ150Aが、ステップ400の現段階にお
ける吹出流量信号の値、即ち現段階のブロワ30からの空
気流量を維持した状態にて、両目標開度処理ルーティン
420,440の双方又は一方において車室内の現実の温度を
設定温Tsetに維持するようにベンティレーションダクト
10a及びヒートダクト10bからの各吹出空気流の温度の双
方又は一方をステップ392又は393での両目標必要吹出温
度Taov,TaoHの双方又は一方に徐々に近ずけるように演
算処理する。このため、両サーボモータ50a,50bの双方
又は一方が、両エヤミックスダンパ50A,50Bの双方又は
一方の開度を、両目標必要吹出温度Taov,TaoHの双方又
は一方に対応する開度に一致させるように両エヤミック
スダンパ50A,50Bの双方又は一方を駆動する。
また、上述のようにτd(V)=τ2が経過すると、
マイクロコンピュータ150Aが、車室内の現実の温度を設
定値Tsetに維持すべく、ステップ400における吹出流量
出力信号の値をステップ394での総吹出流量VAに徐々に
近ずけるように演算処理するとともに、ステップ410に
おける配風比出力信号の値をステップ395における目標
開度Sに徐々に近ずけるように演算処理する。このた
め、ブロワモータMが駆動回路30aとの協働のもとにブ
ロワ30からの空気流量を総吹出流量VAに一致させるよう
にブロワ30を駆動するとともに、サーボモータ40aが流
量分配ダンパ40Aの開度を、目標開度Sに一致させるよ
うに同流量分配ダンパ40Aを駆動する。
また、前記第1実施例と同様に遅延時間演算ルーティ
ン260のステップ267における演算処理がなされた場合に
は、同演算処理後τd(v)=τ4の経過時に、ステッ
プ400での吹出空気流量信号の値を増減制御させる演算
処理及びステップ410での配風比出力信号の値を増減制
御させる演算処理が開始され、かつτd(T)=τ3の
経過時に、両目標開度処理ルーティン420,440の双方又
は一方での両エヤミックスダンパ50A,50Bの双方又は一
方の開度の増減制御に対する演算処理が開始される。
即ち、上述のようにτd(v)=τ4が経過すると、
マイクロコンピュータ150Aが、両目標開度処理ルーティ
ン420,440の双方又は一方での演算処理に基く現段階に
おける両エヤミックスダンパ50A,50Bの双方又は一方の
開度を維持した状態にて、車室内の現実の温度を設定温
度Tsetに維持すべく、ステップ400における吹出流量出
力信号の値をステップ394での総吹出流量VAの徐々に近
ずけるように演算処理するとともに、ステップ410にお
ける配風比出力信号の値をステップ395における目標開
度Sに徐々に近ずけるように演算処理する。このため、
上述と同様に、ブロワ30がその空気流量を総吹出流量VA
に一致させるように駆動されるとともに、流量分配ダン
パ40Aがその開度を目標開度Sに一致させるように駆動
される。
また、上述のようにτd(T)=τ3が経過すると、
マイクロコンピュータ150Aが、両目標開度処理ルーティ
ン420,440の双方又は一方において車室内の現実の温度
を設定温Tsetに維持するようにベンティレーションダク
ト10a及びヒートダクト10bからの各吹出空気流の温度の
双方又は一方をステップ392又は393での両目標必要吹出
温度Taov,TaoHの双方又は一方に徐々に近ずけるように
演算する。このため、上述と同様に、両エヤミックスダ
ンパ50A,50Bの双方又は一方がその開度を両目標必要吹
出温度Taov,TaoHの双方又は一方に対応する開度に一致
させるように駆動される。
以上説明したように、前記第1実施例にて述べたよう
に日射量STが基準日射量STbよりも少ない範囲にて急変
しても、この範囲ではベンティレーションダクト10aお
よびヒートダクト10bからの各吹出空気流の双方又は一
方の温度が乗員の温感に対し支配的であるという事実を
前提に、空調制御が、前記各吹出空気流の双方又は一方
の温度をその流量よりも先行して優先的に制御するよう
に行なわれる。従って、ベンティレーションダクト10a
およびヒートダクト10bからの各吹出空気流の双方又は
一方がその温度及び流量の順に制御されて基準日射量ST
b以下での日射変化のもとにおける乗員の温感に精度よ
く合致した車室内の空調を実現できる。また、前記第1
実施例にて述べたように日射量STが基準日射量STbを超
えるように急変しても、この範囲では、ベンティレーシ
ョンダクト10a及びヒートダクト10bからの各吹出空気流
の双方又は一方の流量が乗員の温感に対し支配的である
という事実を前提に、空調制御が、前記各吹出空気流の
双方又は一方の流量をその温度よりも先行して優先的に
制御するように行なわれる。従って、ベンティレーショ
ンダクト10a及びヒートダクト10bから車室内に吹出す両
空気流の双方又は一方がその流量及び温度の順に制御さ
れて、基準日射量STbを超えるような日射量変化のもと
における乗員の温感に精度よく合致した空調を実現でき
る。かかる場合、コンピュータプログラムの各ステップ
350〜380及びルーティン390における上述のような演算
処理のもとに、乗員に対し不必要な冷感を感じさせたり
温熱感を感じさせたりすることなく、日射による当該車
両の受熱量を解消するようにしてあるので、上述のよう
な遅延時間演算ルーティン260の実行により得られる効
果が、日射による当該車両の受熱量を有効に解消させな
がら達成され得る。従って、日射環境下における乗員の
温感に対しより一層精度よく合致した空調が実現され得
る。
なお、本発明の実施にあたっては、前記各実施例にて
述べたように遅延時間演算ルーティン260における温度
遅延時間τd(T)及び流量遅延時間τd(V)を日射
量ST及び基準日射量STbとの比較判別により決定するの
に代えて、温度遅延時間τd(T)及び流量遅延時間τ
d(V)を目標吹出空気流量の多少により決定するよう
にしてもよい。例えば、ステップ264において日射量ST
の変化直後の目標吹出空気量Vao,Vaov,或いはVaoHが基
準空気流量Vaob以上(又は未満)のとき遅延時間演算ル
ーティン260をステップ267(又は266)に進め、一方、
ステップ265において日射量STの変化直前の目標吹出空
気流量Vao,Vaov或いはVaoHが基準空気流量Vaob以上(又
は未満)のとき遅延時間演算ルーティン260をステップ2
67(又は266)に進めるようにすればよい。かかる場
合、各所定遅延時間τ1〜τ4は日射量STの影響度合に
応じて変化させるようにして実施してもよい。
【図面の簡単な説明】
第1図は特許請求の範囲の記載に対する対応図、第2図
は風速及び温度と日射量との関係を示すグラフ、第3図
は本発明の第1実施例を示すブロック図、第4図〜第6
図は第3図のマイクロコンピュータの作用を示すフロー
チャート、第7図〜第10図は日射量STの変化に応じた吹
出空気流の温度及び流量の遅延制御を説明するタイムチ
ャート、第11図は本発明の第2実施例を示すブロック
図、及び第12図〜第14図は第11図のマイクロコンピュー
タの作用を示すフローチャートである。 符号の説明 30……ブロワ、40……エバポレータ、50,50A,50B……エ
ヤミックスダンパ、60……ヒータコア、100……温度設
定器、110……内気温センサ、130……日射センサ、150,
150A……マイクロコンピュータ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−136322(JP,A) 特開 昭59−34915(JP,A) 特開 昭62−258808(JP,A) 特開 昭63−170115(JP,A) 特開 平1−145219(JP,A) 実開 昭63−169308(JP,U) 実開 昭58−8612(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B60H 1/00

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】車両の車室内の所望の温度を設定する温度
    設定手段(100)と、 車室内の現実の温度を内気温として検出する内気温検出
    手段(110)と、 車室内への吹出空気流の温度及び流量を、前記温度設定
    手段にて設定された設定温度と前記内気温検出手段にて
    検出された内気温との差を減ずるように制御する制御手
    段(30、40、50、60、230、240、270、280)とを備えた
    空気調和制御装置において、 日射量を検出する日射量検出手段(130)と、 この日射量検出手段による検出日射量に基づいて、日射
    の変化量が所定変化量よりも大きいか否かを判定する日
    射変化量判定手段(262、263)と、 この日射変化量判定手段にて前記日射変化量が前記所定
    変化量よりも大きいと判定されたときの前記検出日射量
    が、乗員の温感に影響を与える最低の日射量よりも大き
    いか否かを判定する日射量判定手段(264)とを備え、 前記制御手段は、 前記日射量判定手段にて前記検出日射量が前記最低日射
    量よりも小さいと判定されたときは、前記検出日射量の
    変化度合に応じて、前記吹出空気流の温度制御をその流
    量制御に対し先行して優先的に行う温度制御優先手段
    (266)と、 前記日射量判定手段にて前記検出日射量が前記最低日射
    量よりも大きいと判定されたときは、前記検出日射量の
    変化度合に応じて、前記吹出空気流の流量制御をその温
    度制御に対し先行して優先的に行う流量制御優先手段
    (267)とを有することを特徴とする車両用空気調和制
    御装置。
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