以下に、図面を参照しながら本発明を実施するための複数の形態を説明する。各形態において先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を適用することができる。
各実施形態で具体的に組合せが可能であることを明示している部分同士の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、明示していなくても実施形態同士を部分的に組合せることも可能である。
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について図1ないし図11を用いて詳細に説明する。図1は、本発明の第1実施形態を示す車両用空調装置の概略構成図である。図2は、図1中の電気ヒータの電気接続図、図3は、上記実施形態に用いるエアコンECUへの接続を示すブロック図である。
図示しないハイブリッドECU(ハイブリッド電子ユニット)は、図1の電動発電機51およびエンジン50のうち、いずれの駆動力を駆動輪に伝達するかの駆動切替制御を行う機能、および車載用蓄電装置である図示しない電池の充放電を制御する機能を備えている。
また、電池は、車室内空調および走行等によって消費される電力を充電するための図示しない充電装置を備えている。また、充電装置は、電力供給源としての電気スタンドや商業用電源(家庭用電源)に接続されるコンセントを備えており、このコンセントに電源供給源を接続することにより、電池の充電を行うことができる。
図3のエンジンECU61および上記ハイブリッドECUは、具体的には、以下のような制御を行う。
(1)車両が停止しているときは、基本的にエンジン50を停止させる。
(2)走行中は、減速時を除き、エンジン50で発生した駆動力を駆動輪に伝達する。なお、減速時は、エンジン50を停止させて電動発電機51にて発電して電池に充電する。
(3)発進、加速、登坂および高速走行時等の走行負荷が大きいときには、電動発電機51を電動モータとして機能させて、エンジン50で発生した駆動力に加えて、電動発電機51に発生した駆動力を駆動輪に伝達する。
(4)電池の充電残量が充電開始目標値以下になったときには、エンジン50の動力を電動発電機51に伝達して電動発電機51を発電機として作動させて電池の充電を行う。
(5)車両が停止しているときに、電池の充電残量が充電開始目標値以下になったときには、エンジンECU61に対してエンジン50を始動する指令が発せられるとともに、エンジン50の動力が電動発電機51に伝達される。
次に、図1の車両用空調装置100に関して説明する。車両用空調装置100は、走行用に水冷のエンジン50を搭載する車両において、車室内を空調する空調ユニットをエアコンECU60(図3)によって制御するように構成されている。この車両用空調装置100は、いわゆるオートエアコンシステムとして構成されている。車両用空調装置100は、冷凍サイクル1の冷媒流れ、およびエンジン50の起動を制御して、車室内を空調する。
空調ユニットは、車両の車室内前方に配置され、内部を送風空気が通過する空調ケース10を備えている。空調ケース10は、一方側に空気取入口が形成され、他方側に車室内に向かう空気が通過する複数の吹出口が形成される。
空調ケース10は、空気取入口と吹出口との間に送風空気が通過する通風路10aを有する。空調ケース10の上流側(一方側)には、送風機ユニット14が設けられている。送風機ユニット14(空調用送風機)は、内外気切替ドア13およびブロワ16を含む。内外気切替ドア13は、サーボモータ等のアクチュエータによって駆動され、空気取入口である内気吸込口11と外気吸込口12との開度を変更する吸込口切替手段を構成している。
空調ユニットは、具体的には図示しないが、完全センター置きといわれるタイプのものであり、車室内前方の計器盤下方部であって、車両左右方向の中央位置に搭載されている。送風機ユニット14は、空調ユニットの車両前方側に配設されている。送風機ユニット14の内気吸込口11は、車室内空気を吸い込む。
ブロワ16は、ブロワ駆動回路(図示せず)によって制御されるブロワモータ15により回転駆動されて、空調ケース10内において、車室内に向かう空気流を発生させる遠心式送風機である。ブロワ16は、後述する各吹出口から車室内に向けてそれぞれ吹き出される空調風の吹出風量を変更する機能を有する。
空調ケース10には、送風機ユニット14から送風された空気を加熱または冷却して空調風とし、複数の吹出口に送る空調部としてエバポレータ7およびヒータコア34が設けられている。エバポレータ7は、空調ケース10を通過する空気を冷却する冷却用熱交換器として機能する。
また、エバポレータ7の空気下流側には、通風路10aを通過する空気を、エンジン50のエンジン冷却水と熱交換して加熱する暖房用熱交換器としてのヒータコア34が設けられている。エンジン冷却水が循環する冷却水回路31は、電動ウォータポンプ32によって、エンジン50のウォータジャケットで暖められたエンジン冷却水を循環させる回路である。この回路には、ラジエータ(図示せず)、サーモスタット(図示せず)およびヒータコア34が設けられている。
ヒータコア34は、内部にエンジン50を冷却して高温となったエンジン冷却水が流れ、このエンジン冷却水を暖房用熱源として冷風を再加熱する。ヒータコア34は、通風路10aを部分的に塞ぐように、空調ケース10内においてエバポレータ7よりも下流側に配設されている。
ヒータコア34の空気上流側には、車室内の温度調節を行うためのエアミックスドア17が設けられている。エアミックスドア17は、サーボモータ等のアクチュエータにより駆動される。また、エアミックスドア17は、各吹出口から車室内に向けて、それぞれ吹き出される空調風の吹出温度を変更する。換言すると、エアミックスドア17は、エバポレータ7を通過する空気と、ヒータコア34を通過する空気との風量比率を調整するエアミックス手段として機能する。
エバポレータ7は、冷凍サイクル1の一構成部品を成すものである。また、電池の直流をインバータ42で三相交流に変換し、この三相交流が入力される電動機43により駆動されて、冷媒を吸入して、圧縮してから吐出する圧縮機41を上記冷凍サイクル1に含んでいる。
また冷凍サイクル1は、圧縮機41より吐出された冷媒を凝縮液化させるコンデンサ3と、このコンデンサ3より流入した液冷媒を気液分離するレシーバ5と、このレシーバ5より流入した液冷媒を断熱膨張させる膨張弁6と、この膨張弁6より流入した気液二相状態の冷媒を蒸発気化させるエバポレータ7とを含む。
電動機43の回転動力が圧縮機41に伝達されて、エバポレータ7による空気冷却作用が行われ、電動機43の回転が停止(OFF)した時に、圧縮機41による冷媒の吐出が無くなり、エバポレータ7による空気冷却作用が停止される。また、電池は電動発電機51の電力で充電される。従って、電動機43で駆動される圧縮機41は、電動発電機51の電力を動力源としている電動圧縮機41、42、43の圧縮部を構成する。
また、コンデンサ3は、ハイブリッド車両が走行する際に生じる走行風を受け易い場所に配設され、内部を流れる冷媒と、室外ファン4により送風される外気および走行風を熱交換する室外熱交換器を構成している。
空調ケース10の最も下流側には、吹出口切替部を構成する、それぞれ、デフロスタ開口部18、フェイス開口部19およびフット開口部20が形成されている。そして、デフロスタ開口部18には、デフロスタダクト23が接続されて、このデフロスタダクト23の最下流端には、車両のフロント窓ガラス49の内面に向かって主に温風を吹き出すデフロスタ吹出口が開口している。
フェイス開口部19には、フェイスダクト24が接続されて、このフェイスダクト24の最下流端には、乗員の頭胸部に向かって主に冷風を吹き出すフェイス吹出口が開口している。さらに、フット開口部20には、フットダクト25が接続されて、このフットダクト25の最下流端には、乗員の足元部に向かって主に温風を吹き出すフット吹出口が開口している。
各吹出口の内側には、2組の吹出口切替ドア21、22が回動自在に取り付けられている。吹出口切替ドア21、22は、サーボモータ等のアクチュエータによりそれぞれ駆動されて、吹出口モードを周知のフェイスモード、バイレベルモード、フットモード、フットデフロスタモードまたはデフロスタモードのいずれに切り替えることが可能である。
ヒータコア34の下流側には、エンジン50の廃熱以外の熱源を用いて車室内の空気を加熱する補助加熱装置となる電気ヒータ35が設けられている。電気ヒータ35は、ヒータコア51を通過した温風を加熱する。電気ヒータ35は、図2に示すように、PTCやニクロム線からなるヒータ線351、352、353からなり、ヒータ線351、352、353は、電源Baおよびグランドの間に並列に接続されている。
ヒータ線351、352、353のそれぞれに対して、スイッチ素子SW1、SW2、SW3が設けられ、スイッチ素子SW1、SW2、SW3は、そのオン、オフにより電源Baからヒータ線351、352、353への通電、および通電停止を行う。スイッチ素子SW1、SW2、SW3のオン、オフは、図3のエアコンECU60により制御される。
次に、車両用空調装置100の電気的構成に関して説明する。図3のエアコンECU60は、制御手段を構成し、図1のエンジン50の始動および停止を司るイグニッションスイッチが入れられた時に、車両に搭載された車載電源である電池(図示せず)から直流電源が供給され、演算処理や制御処理を開始するように構成されている。
エアコンECU60には、エンジンECU61から出力されるエンジン冷却水温Tw、車速Sp等の通信信号、車室内前面に設けられた操作パネル70上の各スイッチからのスイッチ信号、および各センサからのセンサ信号が入力される。エンジンECU61は、燃料噴射ECUと呼ばれることがある。
ここで、操作パネル70に関して説明する。エアコンECU60には、車両用空調装置100の運転操作、各種の設定操作を行なう操作パネル70が接続されている。操作パネル70は、自動車内のインストルメントパネルに設けられており、前席に着座した乗員が操作可能となっている。
この操作パネル70には、各種の表示がなされるディスプレイと共に、車両用空調装置100の運転/停止操作を行う運転スイッチ(A/Cスイッチ)、温度設定(設定温度のアップ/ダウン)を行う温度設定スイッチ、内気循環(内気導入ともいう)モードを選択(内気循環モードと外気導入モードの切り換え)する内気循環スイッチ、空調風の風量を設定(ブロワ風量のアップ/ダウン)するブロワスイッチおよび、空調風を吹き出す吹出口を選択するモード切換スイッチ、外気温表示スイッチが設けられている。
これにより、車両用空調装置100では、ディスプレイ等の表示を見ながら、空調運転の運転/停止、内気循環モードと外気導入モードの切換、温度設定、風量設定と共に、吹出モードの設定が可能となっており、エアコンECU60は、操作パネル70における設定に基づいた空調運転が可能となっている。
また、操作パネル70には、オート(AUTO)スイッチが設けられている。エアコンECU60は、オートスイッチがオン操作されることにより、設定温度、室内温度、外気温度、日射量等に基づいて、車室内が設定温度となるように吹出風の温度(目標吹出温度)、風量および吹出モード等の設定を行い、設定に基づいた自動空調制御を行う。
すなわち、エアコンECU60では、設定温度、環境条件等に基づいて目標吹出温度を設定し、設定した目標吹出温度が得られるように圧縮機41の回転数(電動機43の回転数)、エアミックスダンパ17の開度等を設定すると共に、吹出口の選択および吹出風量(ブロワ風量)の設定を行う。
そして、これらの設定に基づいて自動空調運転を行うことにより、車室内を設定温度とすると共に、車室内が設定温度に維持されるようにしている。また、エアコンECU60(図3)では、外気温表示スイッチが操作されると、外気温センサ72(図3)によって検出された外気温度Tamをディスプレイに表示する。
エアコンECU60は、エンジンECU61およびハイブリッドECUに接続されており、例えば、冷却水温センサで検出したエンジン冷却水温度Twが予め設定された温度に達していないときには、エンジン50の駆動要求(エンジンON要求)を行う。これによりエンジン50が駆動されてエンジン冷却水温度Twが上昇することにより、ヒータコア34を充分に加熱できるようにしている。また、エンジン50の停止制御を行うことにより省燃費効果が得られるようにしている。
エアコンECU60の内部には、図示は省略するが、演算処理や制御処理を行うCPU(中央演算装置)、ROMやRAM等のメモリ、およびI/Oポート(入力/出力回路)等の機能を含んで構成される周知のマイクロコンピュータが設けられている。
各種センサからのセンサ信号がI/OポートまたはA/D変換回路によってA/D変換された後に、マイクロコンピュータに入力される。エアコンECU60には、運転席の周囲の空気温度(内気温度)Trを検出する内気温検出手段としての内気温センサ71、車室外温度(外気温度)Tamを検出する外気温検出手段としての外気温センサ72、および日射量Tsを検出する日射量検出手段としての日射センサ73が接続されている。
また、エアコンECU60には、エバポレータ7を通過した直後の空気温度(エバポレータ後温度TE)を検出するエバポレータ後温度検出手段としてのエバポレータ後温度センサ、車室内の相対湿度を検出する湿度検出手段としての湿度センサ等が接続されているが、図3では図示を省略している。
エンジンECU61には、車両のエンジン冷却水温度Twを検出する水温検出手段としての図示しない冷却水温センサが接続されている。エアコンECU60は、エンジンECU61を介してエンジン冷却水温Twを取得する。また、内気温センサ71、外気温センサ72、エバポレータ後温度センサ、および冷却水温センサは、たとえばサーミスタ等の感温素子が使用されている。
更に、日射センサ73の内部には、空調空間内に照射される日射量(日射強度)を検出する日射強度検出手段を有しており、たとえばフォトダイオード等が使用されている。湿度センサは、たとえば内気温センサ71とともに、運転席近傍のインストルメントパネルの前面に形成された凹所内に収容されており、前面窓ガラス49(図1)の防曇のためにデフロスタ吹き出しの要否の判定に利用される。
次に、エアコンECU60による制御を、図4を用いて説明する。図4は、エアコンECU60の処理の一例を示したフローチャートである。まず、イグニッションスイッチがオンされて、エアコンECU60に直流電源が供給されると、予めメモリに記憶されている制御プログラムが実行される。イグニッションスイッチがオンされたときは、操作者の操作によって車両が駐車状態から走行可能な走行状態に起動したときである。
ステップS1では、エアコンECU60内部のマイクロコンピュータに内蔵されたデータ処理用メモリの記憶内容等を初期化(イニシャライズ)し、ステップS2に移る。ステップS2では、操作パネル70上の各種操作スイッチからのスイッチ信号を読込み、ステップS3に移る。ステップS3では、各種センサからのセンサ信号を読込み、ステップS4に移る。なお、ステップS2、S3では、各種データがデータ処理用メモリに読み込みこまれる。
センサ信号としては、例えば、内気温センサ71が検知する内気温度(車室内温度)Tr、外気温センサ72が検知する外気温度Tam、日射センサ73が検知する日射量Ts、エバポレータ後温度センサが検知するエバポレータ後温度Te、および冷却水温センサが検知するエンジン冷却水温Tw等がある。
ステップS4では、記憶している下記の数式1に入力データを代入して目標吹出温度TAOを演算し、ステップS5に移る。
(数式1)TAO=Kset×Tset−Kr×Tr−Kam×Tam−Ks×Ts+C
ここで、Tsetは、温度設定スイッチにて設定された設定温度、Trは内気温度、Tamは外気温度、Tsは日射量である。また、Kset、Kr、KamおよびKsは各ゲインであり、Cは全体にかかる補正用の定数である。そして、このTAOおよび上記各種センサからの信号により、エアミックスドア17のアクチュエータの制御値および電動ウォータポンプ32の回転数の制御値等を算出する。
ステップS5では、ブロワ電圧を決定する処理を実施する。ブロワ電圧は、ブロワモータ15に印可される電圧であり、ブロワ電圧に応じて吹出風量が変更される。ブロワ電圧決定処理の詳細については後述する。次に、ステップS6では、吸込口モード決定処理を実行し、目標吹出温度TAOに基づき、空調ケース10内に空気を取り込む吸込口を決定し、ステップS7に移る。吸込口モード決定処理の詳細については、後述する。
ステップS7では、後述する吹出口モード決定処理を実施し、目標吹出温度TAOに基づき、車室内に空調風を吹き出す吹出口を決定し、ステップS8に移る。吹出口モードは、たとえばROMに記憶されたマップから目標吹出温度TAOに対応する吹出口モードを決定する。ステップS8では、後述する圧縮機回転数決定処理を実施し、ステップS9に移る。ステップS9では、電気ヒータ35を構成するPTCヒータ(単にPTCともいう)の作動本数を決定する処理を行う。
ステップS10では、要求水温決定処理を実施し、ステップS11に移る。要求水温決定処理は、エンジン冷却水を暖房および防曇等の熱源にするため、目標吹出温度TAO等に基づき決定する。要求水温決定処理の詳細については後述する。
ステップS11では、電動ウォータポンプ作動決定処理を実施し、ステップS12に移る。電動ウォータポンプ作動決定処理は、エンジン冷却水温Tw等に基づいて、電動ウォータポンプ32(図1)のオンオフを決定する処理である。電動ウォータポンプ作動決定処理の詳細については後述する。
ステップS12では、上記各ステップS5〜S11で算出または決定された各制御状態が得られるように、各種アクチュエータ等に対して制御信号を出力し、ステップS13に移る。そしてステップS13において、所定時間Tの経過を待って、ステップS2に戻り、継続して各ステップが実行される。
次に、各ステップの詳細に関して説明する。まずブロワ電圧決定処理(ステップS5)に関して説明する。ステップS5は、具体的には、図5に従って実行される。図5は、図4のステップS5におけるブロワ電圧決定処理の詳細を示すフローチャートである。ブロワ電圧は、電池の電力により駆動されるブロワモータ15に印加される電圧である。
図5に示すように、本制御がスタートすると、ステップS51にて風量設定がオート(自動)であるか否かを判断し、オートの場合は、ステップS52に移し、オートでない場合には、ステップS53に移る。オートの場合、ステップS52にて、ベースとなる目標吹出温度からの仮のブロワレベル(f(TAO))をマップから演算する。次に、ステップS54において、日射量からの仮のブロワレベルf(日射量)がマップを用いて演算される。
次に、ステップS55において、目標吹出温度TAOからの仮のブロワレベルf(TAO)と、日射量からの仮のブロワレベルf(日射量)とのうち、大きい方からブロワレベルを演算する。そしてステップS56にて、ブロワレベルからマップを用いてブロワ電圧を演算する。
なお、ステップS51において、風量設定がオート(自動)でなくマニュアルの場合には、ステップS53において、それぞれマップにて指定された電圧(4ボルトから12ボルト)をブロワモータ15に印加する。
次に、吸込口モード決定処理(ステップS6)に関して説明する。ステップS6は、具体的には、図6にしたがって実行される。図6は、図4のステップS6における吸込口モード決定処理の詳細を示すフローチャートである。
図6に示すように、ステップS61にて吸込口制御がオートか否かを判定する。オートの場合、ステップS63にて、TAOに応じた内外気切替制御を行う。オートで無くマニュアルの場合、ステップS62において、マニュアル設定に応じた内外気切替制御を行う。つまり、内気モード(REC)のときは、外気導入率を0%とする。また、外気モード(FRS)のときは、外気導入率を100%に設定する。
次に、吹出口モード決定処理(ステップS7)に関して説明する。ステップS7は、具体的には、図7にしたがって実行する。図7は、図4のステップS7の吹出口モード決定処理を示すフローチャートである。この図7のように、目標吹出温度TAOに応じて吹出口モードをフェイス(FACE)、バイレベル(B/L)、フット(FOOT)のいずれかに決定する。
次に、圧縮機回転数決定処理(ステップS8)に関して説明する。ステップS8は、具体的には、図8にしたがって実行する。図8は、図4のステップS8における圧縮機回転数決定処理の詳細を示すフローチャートである。図8に示すように、本制御がスタートすると、ステップS81にて、各種センサの検出信号を用いて算出した目標エバポレータ後温度TEOから、実際のエバポレータ後温度TEを差し引いた値である温度偏差Enを下記数式2に基づいて演算する。
次に、数式3を用いて偏差変化率EDOTを求め、更に、図9に一例を示したマップから圧縮機の回転数変化量(Δf)を求める。なお、E(n−1)は、偏差Enの先回の値であり、nは自然数である。
(数式2)En=TEO−TE
(数式3)EDOT=En−En−1
ここで、Enは1秒に1回更新されるため、En−1は、Enに対して1秒前の値となる。
図8のステップS81には、上記偏差Enと、偏差変化率EDOTと、回転数変更分(Δf)との関係を示すマップの一例(冷房運転時の例)が示されている。上記のように、EnとEDOTとを用いて、図3のエアコンECU60内の図示しないROMに記憶されたマップを用いて1秒前の圧縮機回転数f(n−1)に対して、増減する回転数変更分(Δf)を求める。
なお、この圧力偏差Enおよび偏差変化率EDOTにおける回転数変更分(Δf)は、ROMに記憶された所定のメンバーシップ関数、およびルールに基づいて、ファジー制御にて求めることも出来る。このようにして、圧縮機の1秒毎の回転数変化量(Δf)を演算する。
そして、ステップS82では、前回の圧縮機回転数に回転数変化量(Δf)を加えた値と、あらかじめ設定された最大回転数である10000rpmとの内、小さい方の値を求め、この小さい方の値を、今回の圧縮機回転数とする。
次に、図4のステップS9のPTC作動本数決定ステップについて説明する。図9は、図4のステップS9のPTC作動本数決定処理を示すフローチャートである。この図9に示すように、ステップS91において、操作パネル70内の図示しないブロワスイッチがONになっているか否かを判定する。つまり、ブロワスイッチが投入され「OFF」以外の「風量AUTO」、「LO」、「ME」、「HI」に設定されているとき、ブロワスイッチがONになっているとして、YESと判定する。ステップS92では、電気ヒータ35の作動本数をエンジン冷却水温(Tw)に基づいて算出する。
具体的には、図9の特性マップに示すように、エンジン冷却水温(Tw)<71のとき、電気ヒータ35の作動本数を3本とし、71<冷却水温(Tw)<74のとき、電気ヒータ35の作動本数を2本とし、74<エンジン冷却水温(Tw)<77のとき、電気ヒータ35の作動本数を1本とし、77<エンジン冷却水温(Tw)のとき、電気ヒータ35の作動本数を0本とする。
なお、図9のS91において、ブロワスイッチが、OFFに設定されているとき、NOと判定して、ステップS93で電気ヒータ35をOFF、すなわち作動本数を0本とする。このようにして、電気ヒータ35の作動本数を決定すると、この決定本数に対応して、図2のスイッチ素子SW1、SW2、SW3のオン、オフを実行する。これにより、電気ヒータ35の作動本数に対応して、ヒータコア35の通過温風に付与する熱量が変わることになる。
次に、要求水温決定処理(ステップS10)に関して説明する。図4のステップS10は、具体的には、図10のフローチャートにしたがって実行される。図10は、図4のステップS10における要求水温決定処理の詳細を示すフローチャートである。
図10に示すように、本制御がスタートすると、ステップS101にて、外気温度に応じてエンジンON水温とエンジンOFF水温との間の幅であるヒステリシス幅αをマップを用いて演算する。次に、ステップS102にて、エンジン冷却水温度に基づくエンジンON要求の要否判定に用いる判定閾値であるエンジンOFF水温と、エンジンON水温を算出する。エンジンOFF水温は、エンジン50を停止させるときの判定基準となるエンジン冷却水温度であり、エンジンON水温は、エンジン50を作動させるときの判定基準となるエンジン冷却水温度である。
エンジンOFF水温は、数式5に示すように、数式4で算出された基準エンジン冷却水温度TwOと、70℃との小さい方に決定される。一方、エンジンON水温は、頻繁にエンジン50がON/OFFするのを防止するため、エンジンOFF水温よりも所定温度(本例ではα℃)低く設定され、ヒステリシスが形成される。
(数式4)TwO={(TAO−ΔTpct)−(TE×0.2)}/0.8
(数式5)エンジンOFF水温=MIN(TwO,70)
なお、基準エンジン冷却水温度TwOは、エアミックス前の温風温度が目標吹出温度TAOになるものと仮定したときに必要とされるエンジン冷却水温度である。TEは、エバポレータ後温度である。また、ΔTpctは電気ヒータ35(PTC)による吹出温度の上昇分の推定値であり、電気ヒータ35の作動本数に応じてマップにて演算される。
次に、ステップS103では、エンジン冷却水温度に基づくエンジンON要求の要否決定を行う。このステップS103では、仮のエンジンON要求要否を演算する。具体的には、実際のエンジン冷却水温度Twを、ステップS102で求めたエンジンOFF水温およびエンジンON水温と比較する。そして、エンジン冷却水温度がエンジンON水温より低ければ、f(Tw)=ONとしてエンジン50の稼動を仮決定し、エンジン冷却水温度がエンジンOFF水温より高ければ、f(Tw)=OFFとしてエンジン50の停止を仮決定する。
次に、ステップS104にて、吹出口が窓ガラスに空調風を送風するデフモード(DEFモード)で、車両モードが、電池電力を利用した走行用モータの駆動力にて走行するEV(電気自動車)走行モードで、目標吹出温度TAOが20℃以上で、かつf(TW)がONの値の時は、通常は、エンジンONを許可するが、外気温度が15℃以上の場合には、エンジンONを許可しない。
このように図10の要求水温決定においては、ステップS101において、エンジンON水温の補正量αを演算している。この場合、外気温度が低い場合、防曇性を確保するため、通常は外気導入とする。よって、外気温度が例えば−20℃時は、ヒータコア34の上流温度は−20℃になる。このような状態の場合、ヒータコア34から空気側に放熱される熱量は非常に大きくなり、水温の低下速度が早くなる。
エンジン冷却水温が、エンジンON閾値に達すると、エンジンON要求が出されるので、外気温度が低い時は、エンジンOFFからエンジンONまでの時間が短くなり、頻繁なエンジン稼動・停止に乗員の注意が向くので非常に煩わしい。これに鑑み、外気温度が低い時は、上記以外の時に比べて、エンジンON、OFFを判断するエンジン冷却水温の閾値のヒステリシス幅を広くすることで、エンジンON、OFF頻度が低下するため、エンジン騒音の変化回数が少なくなる。これにより、頻繁なエンジンのON、OFFに関わる上記煩わしさが軽減される。
次に、電動ウォータポンプ作動決定処理(ステップS11)に関して説明する。ステップS11は、具体的には、図11に従って実行する。図11は、図4のステップS11における電動ウォータポンプ作動決定処理の詳細を示すフローチャートである。
図11に示すように、本制御がスタートすると、ステップS111にて、冷却水温センサによって検出されるエンジン冷却水温度Twがエバポレータ後温度TEより高いか否かを判定する。エンジン冷却水温度Twが、エバポレータ後温度TE以下であると判定されると、ステップS112で電動ウォータポンプ32をOFFする要求を決定し、本制御を終了する。
ステップS111にて、冷却水温度センサによって検出される冷却水温度Twが比較的低く、エンジン冷却水温Twがエバポレータ後温度TE以下であると判定されると、エンジン冷却水をヒータコア34に流した時、かえって吹出温度を低くしてしまうため、ステップS112で電動ウォータポンプ32をOFFするのである。
ステップS111でエンジン冷却水温度Twが、エバポレータ後温度TEよりも高いと判定すると、ステップS113で図1のブロワ16をON(運転)した状態であるか否かを判定する。ブロワ16をONしていない状態であれば、ステップS112に進み、電動ウォータポンプ32をOFFする要求を決定し、本制御を終了する。ブロワ16をONした状態であれば、ステップS114に進み、電動ウォータポンプ32をONする要求を決定し、本制御を終了する。
つまり、エンジン冷却水温Twが比較的高いときにブロワ16がOFF(停止)の時は、省動力のため、電動ウォータポンプ32をOFFする。一方、ブロワONの時は、電動ウォータポンプ32のON要求を行う。これにより、エンジンOFFの時でも、エンジン冷却水が持っている熱量を空調に利用することができる。従って、吹出温度が上がり、吹出温度を目標吹出温度TAOに近づけることができるので、エンジンOFFの状態でも室温が下がるのを緩和できる。
次に、図4のステップS12では、以上のようにして求めた制御信号を出力して、ブロワ16の制御、インバータ42の制御による圧縮機41の回転数制御、室外ファン4の回転数制御、内外気切替ドア13の制御、吹出口切替ドア21、22の制御、電動ウォータポンプ32の制御、電気ヒータ35となるヒータ線(PTC)351〜353の通電本数制御を行う。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。なお、以降の各実施形態においては、上述した第1実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付して説明を省略し、異なる構成および特徴について説明する。図12は、本発明の第2実施形態を示す要求水温決定処理(援用される図4のステップS10)の詳細を示すフローチャートである。
図12のステップS121において、エンジンON水温の補正量αを演算する。ブロワ電圧が高くブロワ風量が多い場合、ヒータコア34から空気側に放熱される熱量は非常に大きくなり、エンジン冷却水温の低下速度が早くなるため、αの値を大きくしている。
エンジン冷却水温がエンジンON閾値に達すると、エンジンON要求が出されるので、ブロワ電圧が高い時は、エンジンOFFからエンジンONに至るまでの時間が短くなり、頻繁なエンジン稼動・停止に乗員の注意が向くので非常に煩わしい。
これに鑑みて、ブロワ電圧が高い時は、それ以外の時に比べて、エンジンON、OFFを判断するエンジン水温閾値のヒステリシス幅を広くしている。これにより、エンジンON、OFFの頻度が低下するため、エンジン騒音の変化回数が少なくなるので、上記煩わしさが軽減される。
次に、ステップS122において、図10と同じく、要求水温を演算する。そして、ステップS123にて、仮のエンジンON要求要否を演算する。現在の冷却水温度が要求水温より低ければ、エンジンON要求を行う(この時点では仮決定である)。
次に、ステップS124にて、空調からの最終のエンジンON要求有無を演算する。この場合、吹出口がDEFモードであり、車両モードがEV走行モードであり、目標吹出温度TAOが20℃以上であり、かつf(TW)がONの時、通常はエンジンONを許可するが、外気温度が15℃以上の場合には、エンジンONを許可しない。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について説明する。上述した実施形態と異なる特徴部分を説明する。図13は、本発明の第3実施形態を示す要求水温決定処理の詳細を示すフローチャートである。図13において、ステップS131にて、エンジンON許可信号f(TIMER)を演算する。
暖房負荷が高い場合、ヒータコア34から空気側に放熱される熱量は非常に大きくなり、エンジン冷却水温の低下速度が早くなる。エンジン冷却水温がエンジンON閾値に達すると、エンジンON要求が出されるので、空調負荷が高い時は、エンジンOFFからエンジンONまでの時間が短くなり、エンジンON、OFFが頻繁になって頻繁に乗員の注意が向くので非常に煩わしい。
これを防ぐため、エンジン冷却水温が所定以下に下がったとしても、エンジンがONしている状態からエンジンがOFFして、このOFFからの経過時間が短い時は、エンジンON要求を出さない、あるいは無視することにより、エンジンON、OFFのヒステリシスを結果的に大きくし、エンジンON、OFFの頻度を低減させ、乗員の上記煩わしさを軽減する。
次に、ステップS132において、図10と同じく、要求水温を演算する。また、ステップS133において、仮のエンジンON要求要否を演算する。現在の冷却水温度が要求水温より低ければ、エンジンON要求を行う(この時点では仮決定である)。
更に、ステップS134にて、エアコンECU60からの最終のエンジンON要求有無を演算する。この場合、吹出口がDEFモードであり、車両モードがEV走行モードであり、目標吹出温度TAOが20℃以上であり、f(TW)がONの時、通常はエンジンONを許可するが、外気温度が15℃以上の場合には、エンジンONを許可しない。
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について説明する。上述した実施形態と異なる特徴部分を説明する。図14は、本発明の第4実施形態を示す要求水温決定処理の詳細を示すフローチャートである。図14において、ステップS141において、車両の速度(車速)Spに応じてヒステリシス幅α(エンジンON水温の補正量α)を演算する。
車速Spが低く車両表面から外部への冷輻射が小さい時は、空調風の吹出温度が低くても乗員の温感が下がりにくいため、上記以外時に比べて、エンジンON、OFFを判断するエンジン冷却水温閾値のヒステリシス幅を広くすることで、エンジンON、OFFの頻度が低下する。そのため、エンジン騒音の変化回数が少なくなるので、温感維持と煩わしさの軽減が両立できる。
ステップS142において、図10と同じく、要求水温を演算する。次に、ステップS143にて、仮のエンジンON要求の要否を演算する。現在のエンジン冷却水温度が要求水温より低ければ、エンジンON要求を行う(この時点では仮決定である)。
ステップS144にて、エアコンECU60からの最終のエンジンON要求の有無を演算する。吹出口がDEFモードであり、車両モードがEV走行モードであり、目標吹出温度TAOが20℃以上であり、かつf(TW)がONの時は、通常はエンジンONを許可するが、外気温度が15℃以上の場合には、エンジンONを許可しない。
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態について説明する。上述した実施形態と異なる特徴部分を説明する。図15は、本発明の第5実施形態を示す要求水温決定処理の詳細を示すフローチャートである。図15において、ステップS151において、日射量に応じて、エンジンON水温の補正量αを演算する。
日射量が多い時は、吹出温度が低くても乗員の温感が下がりにくいため、上記以外時に比べて、エンジンON、OFFを判断するエンジン水温閾地のヒステリシス幅を広くすることで、エンジンON、OFFの頻度が低下する。そのため、エンジン騒音の変化回数が少なくなる。これにより、温感維持と煩わしさの軽減が両立できる。
ステップS152において、図10と同様に、要求水温を演算する。ステップS153にて、仮のエンジンON要求の要否を演算する。現在のエンジン冷却水温度が要求水温より低ければ、エンジンON要求を行う(この時点では仮決定である)。
ステップS154にて、エアコンECU60からの最終のエンジンONON要求有無を演算する。吹出口がDEFモードであり、車両モードがEV走行モードであり、目標吹出温度が20℃以上であり、f(TW)がONの時は、通常はエンジンONを許可するが、
外気温度が15℃以上の場合には、エンジンONを許可しない。
(第6実施形態)
次に、本発明の第6実施形態について説明する。上述した実施形態と異なる特徴部分を説明する。図16は、本発明の第6実施形態を示す要求水温決定処理の詳細を示すフローチャートである。図16において、ステップS161にて、乗員のシートを温めるシートヒータ101(図3)への通電(ON)と非通電(OFF)の状態に応じて、エンジンON水温の補正量αを演算する。
シートヒータ101に通電されて、シートヒータONの時は、吹出温度が低くても乗員の温感が下がりにくいため、上記以外時に比べて、エンジンON、OFFを判断するエンジン冷却水温閾値のヒステリシス幅を広くすることで、エンジンON、OFFの頻度が低下する。よって、エンジン騒音の変化回数が少なくなるので、温感維持と煩わしさの軽減が両立できる。
ステップS162において、図10と同様に、要求水温を演算する。ステップS163にて、仮のエンジンON要求の要否を演算する。現在のエンジン冷却水温度が要求水温より低ければ、エンジンON要求を行う(この時点では仮決定である)。
ステップS164にて、エアコンECU60からの最終のエンジンON要求の有無を演算する。吹出口がDEFモードであり、車両モードがEV走行モードであり、目標吹出温度が20℃以上であり、かつf(TW)がONの時は、通常はエンジンONを許可するが、外気温度が15℃以上の場合には、エンジンONを許可しない。
(第7実施形態)
次に、本発明の第7実施形態について説明する。上述した実施形態と異なる特徴部分を説明する。図17は、本発明の第7実施形態を示す要求水温決定処理の詳細を示すフローチャートである。図17において、ステップS171にて、エンジンON水温の補正量αを、車両内の後席における乗員の着座状態または不在状態に応じて演算する。この後席における乗員の着座または不在の各状態は、例えば、乗員の重さによってスイッチが作動する着座スイッチ102によって検出することができる。着座す02は、エアコンECU60に信号を供給している。
車両の足元吹出温度は、空調ユニットからの距離が近い前席より、空調ユニットからの距離が遠い後席の方が、空調ダクトからの放熱分だけ低くなる。このため、後席乗員が足元吹出温度を暖かく感じるためには、エンジン冷却水温を高く維持する必要がある。しかし、後席乗員が不在で前席乗員のみであれば、エンジン冷却水温は比較的低くても、前席にはほとんど放熱することなく空調風が吹出されるので、低いエンジン冷却水温でも暖房が成立する。
よって、後席不在時は、後席在席時に比べて、エンジンON、OFFを判断するエンジン冷却水温閾値のヒステリシス幅を広くすることで、エンジンON、OFFの頻度が低下するため、エンジン騒音の変化回数が少なくなる。よって、温感維持と煩わしさの軽減が両立できる。
ステップS172において、図10と同様に、要求水温を演算する。ステップS173にて、仮のエンジンON要求の要否を演算する。この場合、現在の冷却水温度が要求水温より低ければ、エンジンON要求を行う(この時点では仮決定である)。
ステップS174にて、エアコンECU60からの最終のエンジンON要求の有無を演算する。この場合、吹出口がDEFモードであり、車両モードがEV走行モードであり、目標吹出温度TAOが20℃以上であり、かつf(TW)がONであるの時に、通常はエンジンONを許可するが、外気温度が15℃以上の場合には、エンジンONを許可しない。
(その他の実施形態)
本発明は上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、次のように変形または拡張することができる。例えば、エンジン冷却水温の低下が早いとの判定は、実際に実測したエンジン冷却水温の単位時間当たりの、あるいは、所定時間内の低下勾配が大きいときに、閾値間のヒステリシス幅を広くしてもよい。
また、例えば、上述の第1実施形態では、エンジン(50)が停止してから、少なくともあらかじめ設定された所定時間(T1)経過後を条件として、車両用空調装置(100)からのエンジン稼動要求を許可させる手段(S131〜S133)を有するが、所定時間(T1)は、固定時間でなくともよく、外気温度等で変わるようにしてもよい。
次に、乗員の温感が上がっているとの判定は、赤外線センサ(IRセンサ)で乗員の表面温度を測定して行ってもよい。同様に、後席における乗員の不在を検出する手段を、上記赤外線センサで行ってもよい。
更に、例えば、上記実施形態においては、エンジン冷却水温度の閾値間のヒステリシス幅を広くしたが、これはエンジン冷却水温度でなくともよく、エンジン冷却水温度に関係する数値であってもよい。要は、結果的にエンジンがOFFしてから再びエンジンがONするタイミングを決定する閾値間の幅からなるヒステリシスが拡大すればよい。