JP2969039B2 - ピアノの止音装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、押鍵に基づくハンマの
打弦動作時に、ハンマシャンクの移動を阻止して、ハン
マの打弦による発音を防止する、ピアノの止音装置に関
する。

【０００２】

【従来の技術】従来より、アコースティックピアノに電
子音源を組み合わせて、ハンマの打弦による通常のアコ
ースティック演奏モードに加え、電子音源による演奏モ
ードにも切り換え可能な複合ピアノが提案されている。

【０００３】そして、この種の複合ピアノにおいては、
電子音源を使った演奏時に、ハンマの打弦による発音を
防止する止音装置として、打弦動作時にハンマシャンク
に当接されてハンマシャンクの移動を停止させるハンマ
ストップレールが使用されている。

【０００４】またこの種の止音装置においては、ピアノ
の通常演奏時には、ハンマストップレールを、打弦動作
時にハンマシャンクに当接しない退避位置に配設してお
く必要があることから、例えば、図６に示す如く、ハン
マストップレール９０の両端に下方に伸びるストップレ
ールアーム９１を設け、このストップレールアーム９１
をハンマシャンク９２の回転軸９３に平行な支持軸９４
に固定し、この支持軸９４をレバー９５の操作により回
動させることによって、ハンマストップレール９０を、
ハンマシャンク９２の移動を阻止する図に実線で示す停
止位置と、ハンマシャンク９２に当接しない図に点線で
示す退避位置とに、夫々、位置決めできるようにされて
いる。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の止音装置は、ハンマストップレールを停止位置又は
退避位置に位置決めする際、レバー操作等によって、ス
トップレールアームの支持軸を直接回転させるように構
成されていたため、ハンマストップレールの位置の切り
替えに、大きな駆動力を要するといった問題があった。

【０００６】また、ハンマストップレールにハンマシャ
ンクが当接すると、そのときの衝撃により支持軸が退避
位置方向に回動し、停止位置がずれてしまい、止音効果
が充分得られなくなるといった問題もあった。本発明
は、こうした問題に鑑みなされたもので、ハンマストッ
プレールの位置を小さな駆動力で切り替えることがで
き、しかもハンマストップレールを所定の停止位置にし
っかりと固定することのできるピアノの止音装置を提供
することを目的としている。

【０００７】

【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するた
めになされた請求項１に記載の発明は、押鍵に基づきハ
ンマが打弦動作を開始してから実際に打弦を行なうまで
の間の所定の停止位置でハンマシャンクに当接して、該
ハンマシャンクの移動を阻止する長尺状のハンマストッ
プレールと、該ハンマストップレールを、上記ハンマシ
ャンクの移動を阻止する上記停止位置と、該停止位置か
ら退避して上記ハンマによる打弦を可能にする退避位置
とに変位可能に支持する支持機構と、該支持機構により
変位可能に支持された上記ハンマストップレールを、上
記停止位置又は上記退避位置に位置決めする位置決め機
構と、を備えたピアノの止音装置であって、上記支持機
構が、上記ハンマストップレールの長手方向に沿った複
数箇所に、該ハンマストップレールと略直交する方向に
突設された複数のストップレールアームと、該ストップ
レールアームの上記ハンマストップレールとは反対側端
部を、上記ハンマストップレールと平行な軸に沿って回
動可能に軸支する複数の支持部と、からなり、上記位置
決め機構を、上記ハンマストップレールと略平行に回転
可能に配設された長尺状の回転軸と、該回転軸と各スト
ップレールアームとを接続する複数のリンクと、外部操
作に応じて上記回転軸を所定角度回動させる回動部材
と、からなるリンク機構により構成してなることを特徴
としている。

【０００８】また次に請求項２に記載の発明は、請求項
１に記載のピアノの止音装置において、上記位置決め機
構を、上記リンク機構に代えて、上記各ストップレール
アームの回動位置に、上記ハンマストップレールと略平
行に配設された長尺状のカム軸と、該カム軸の上記各ス
トップレールアームの回動位置に固定され、該カム軸の
回転により上記各ストップレールアームを上記ハンマス
トップレールの退避位置と停止位置との間で変位させる
複数のカムと、上記各ストップレールアームを上記カム
軸側に付勢して、上記各ストップレールアームを上記各
カムに当接させる付勢部材と、外部操作に応じて上記カ
ム軸を所定角度回動させる回動部材と、からなるカム機
構により構成してなることを特徴としている。

【０００９】

【作用】上記のように構成された請求項１に記載の止音
装置においては、ハンマストップレールを支持する支持
機構が、ハンマストップレールの長手方向に沿った複数
箇所にハンマストップレールと略直交する方向に突設さ
れた複数のストップレールアームと、ストップレールア
ームの端部をハンマストップレールと平行な軸に沿って
回動可能に軸支する複数の支持部とから構成されてい
る。このため、ハンマストップレールは、図６に示した
従来装置と同様、ストップレールアームの支持部を中心
とする回動により、打弦動作時にハンマシャンクに当接
する停止位置からハンマシャンクに当接しない退避位置
へと変位できる。

【００１０】また、位置決め機構は、ハンマストップレ
ールと略平行に回転可能に配設された長尺状の回転軸
と、回転軸と各ストップレールアームとを接続する複数
のリンクと、外部操作に応じて回転軸を所定角度回動さ
せる回動部材とからなるリンク機構により構成されてい
る。このため、回動部材を介して回転軸を回動させれ
ば、ストップレールアームが変位することになり、ハン
マストップレールの停止位置及び退避位置は、回転軸と
各ストップレールアームを接続するリンクの数，形状、
及び回動部材による回転軸の回転角度等によって決定さ
れる。

【００１１】また次に請求項２に記載の止音装置におい
ては、位置決め機構が、ストップレールアームの回動位
置にハンマストップレールと略平行に配設された長尺状
のカム軸と、カム軸の各ストップレールアームの回動位
置に固定された複数のカムとを備えたカム機構により構
成され、しかも支持機構を構成する各ストップレールア
ームは付勢部材の付勢力によって各カムに常に当接され
る。このため、カム軸に設けられた回動部材を外部操作
によって回転させれば、カム軸，延いてはカムが回動
し、カムに当接された各ストップレールアームが変位す
ることになる。そして、ハンマストップレールの停止位
置及び退避位置は、カムの形状、回動部材によるカム軸
の回転角度等によって決定される。

【００１２】

【実施例】以下に本発明の実施例を図面と共に説明す
る。まず図２は、本実施例の止音装置が設けられたアッ
プライトピアノのアクション機構の概略構成を表わす断
面図である。

【００１３】本実施例のアップライトピアノは、図示し
ない電子音源を備え、鍵盤の操作によって電子音源から
演奏音を発生できるようにされた複合ピアノであり、電
子音源からの演奏音を、外部に放音することなくヘッド
ホンを介して聴くことができるようにされている。

【００１４】図２に示すようにアクション機構は、演奏
者の操作によって揺動する鍵１１と、鍵１１が押される
と上昇するキャプスタンスクリュー１２と、ウイッペン
フレンジ１３を介してセンターレール１４に回動可能に
支持され、キャプスタンスクリュー１２の上昇によって
上向きに回動するウイッペン１５と、ウイッペン１５に
回動可能に連結され、ジャックテール１７ａがレギュレ
チングボタン１６に当接するまでウイッペン１５と共に
上昇するジャック１７と、ジャック１７に対して当接・
離間すると共に、センターレール１４に固着されたバッ
トフレンジ１８ａのセンターピン１８ｂに回動可能に支
持されるバット１８と、バット１８に連結され、バット
１８がジャック１７により突き上げられると反時計回り
に回動するハンマシャンク２１と、ハンマシャンク２１
と直交する方向へ突出するようバット１８に突設された
キャッチャシャンク１９と、キャッチャシャンク１９の
先端に装着されたキャッチャ２０と、ハンマシャンク２
１の先端に装着されたハンマ２３と、ハンマ２３によっ
て叩かれる弦２５と、打弦後に揺り戻したハンマシャン
ク２１の側部と当接してハンマ２３の振動を緩和する緩
衝部２８ａを装着したハンマレール２８とを備えてい
る。

【００１５】またセンターレール１４には、打弦後の弦
２５の振動を抑えるダンパ装置の支持部材３０が取り付
けられている。ダンパ装置は、支持部材３０の固定軸３
０ａにより、弦２５に向けて揺動可能に支持されたダン
パレバー３２と、ダンパレバー３２の上端部から伸びた
ダンパレバーワイヤ３４と、ダンパレバーワイヤ３４の
先端に取り付けられ、弦２５に当接するフェルト３６が
設けられたダンパヘッド３８と、ダンパレバー３２の上
端部と支持部材３０とに夫々端部が固定され、ダンパレ
バー３２をダンパヘッド３８のフェルト３６が弦２５に
当接する方向に付勢するダンパレバースプリング４０
と、ウイッペン１５のキャプスタンスクリュー１２とは
反対側の端部に設けられ、ウイッペン１５の回動に応じ
てダンパレバー３２の下端部に当接するダンパスプーン
４２と、押鍵によりダンパレバー３２が図中右方向に回
転した際にダンパレバーワイヤ３４に当接してその回転
を停止させるダンパストップレール４４とから構成され
ている。なお、ダンパレバー３２の下端部とダンパスト
ップレール４４の表面とには、夫々衝撃緩衝用のフェル
ト３４ａ，４４ａが張り付けられている。

【００１６】なお、センターレール１４，ハンマレール
２８，ダンパストップレール４４は、当該アップライト
ピアノの鍵の配列方向に沿った複数箇所（例えば左右両
端とその中央部の３箇所）に設けられた後述のアクショ
ンブラケット５４に固定されている。

【００１７】また、打弦動作時に移動するハンマシャン
ク２１の移動経路上には、ハンマシャンク２１に当接し
てその移動を阻止するためのハンマストップレール５０
が配設されている。なお、このハンマストップレール５
０は、止音時に当該アップライトピアノの各音階のハン
マシャンク２１の移動を阻止できるように、ピアノの幅
方向（鍵の配列方向）に全音域に渡って配設されてい
る。また、ハンマストップレール５０のハンマシャンク
２１への当接面には、ハンマシャンク２１当接時の衝撃
を吸収するための緩衝部材として、クッションフェルト
５２が設けられている。

【００１８】以下、このハンマストップレール５０を含
む本実施例の止音装置について、図１を用いて詳細に説
明する。図１に示す如く、ハンマストップレール５０の
下端には、アクションブラケット５４との対向位置に、
夫々、ストップレールアーム５６が突設されている。そ
して、このストップレールアーム５６のハンマストップ
レール５０とは反対側端部は、夫々、アクションブラケ
ット５４に、支持ピン５６ａを介して、ハンマストップ
レール５０と平行な軸に沿って回動可能に固定されてい
る。従って、ハンマストップレール５０は、支持ピン５
６ａを中心とする回動により、打弦動作時にハンマシャ
ンク２１に当接する停止位置（図３に実線で示す）から
ハンマシャンクに当接しない退避位置（図３に点線で示
す）へと変位できるようになる。

【００１９】一方、ストップレールアーム５６の回動位
置には、ハンマストップレール５０と平行に、長尺状の
回転軸６０が配設されている。そしてこの回転軸６０と
ストップレールアーム５６とは、一端がストップレール
アーム５６に固定ねじ５６ｂを介して固定されたクラン
ク５８と、一端がクランク５８の他端に回動自在に接続
され、他端が回転軸６０に固定されたクランクレバー６
２とからなるリンク機構によって接続されている。

【００２０】また、回転軸６０の一端（両端でもよい）
には、外部操作によって回転軸を所定角度回動させるた
めの固定金具６４が装着されている。そして、この固定
金具６４の一端は、回転軸６０をハンマストップレール
５０の退避位置方向に付勢するコイルスプリング６６が
接続され、他端には外部操作によって回転軸６０をコイ
ルスプリング６６の付勢力に抗して回動させるためのワ
イヤ６８が取り付けられている。

【００２１】なお、回転軸６０は、当該アップライトピ
アノの左右の側板近傍に設けられた図示しない支持機構
により回転可能に軸支されている。また、コイルスプリ
ング６６の固定金具６４とは反対側端部は、ピアノ本体
に固定されている。一方、ワイヤ６８は、先端が固定部
材６８ａを介してピアノ本体に固定されたチューブ６８
ｂ内に収納されている。そして、このチューブ６８ｂの
他端は、当該アップライトピアノの棚板下面に設けられ
た図示しない操作レバーに接続されている。従って、本
実施例では、この操作レバーを操作して、チューブ６８
ｂからワイヤ６８を引き出すことによって、固定金具６
４，延いては回転軸６０をコイルスプリング６６の付勢
力に抗して回転させることができるようになる。

【００２２】以上説明したように、本実施例の止音装置
においては、図６に示した従来装置のように、アクショ
ンブラケット等に回動自在に固定されたストップレール
アームの支持軸をレバー操作等によって直接回転させる
のではなく、ストップレールアーム５６にクランク５８
及びクランクレバー６２からなるリンク機構を介して回
転軸６０を接続し、レバー操作によって回転軸６０を回
転させることによって、ハンマストップレール５０を、
打弦動作時にハンマシャンク２１に当接して止音を行な
う図３に実線で示す停止位置、又はその停止位置から退
避した図３に点線で示す退避位置に、各々位置決めでき
るようにされている。このため、本実施例の止音装置に
よれば、従来の止音装置に比べて、ハンマストップレー
ルの位置変更を小さな駆動力で行なうことができるよう
になる。

【００２３】また、ハンマストップレール５０は、クラ
ンク５８及びクランクレバー６２からなるリンク機構に
よって停止位置又は退避位置に位置決めされるため、停
止位置にてハンマシャンク２１が当接した際にハンマス
トップレール５０に加わる退避位置方向への駆動力は、
リンク機構によって吸収されることになり、止音時にハ
ンマストップレール５０が退避位置方向に回動して、ハ
ンマストップレール５０によるハンマシャンク２１の停
止位置がずれるのを防止できる。従って、本実施例によ
れば、ハンマ２３を所望の停止位置にて確実に停止させ
ることができるようになる。

【００２４】なお、ハンマストップレール５０の位置
は、固定部材６８ａから固定金具６４までのワイヤ６８
の長さにより決定される。従って、ハンマストップレー
ル５０の停止位置及び退避位置での位置調整は、操作レ
バーのワイヤ６８への取付け位置及び操作レバーの操作
に伴うワイヤ６８の引き出し量により簡単に調整でき
る。

【００２５】ここで、上記実施例では、ハンマストップ
レール５０を、ストップレールアーム５６に接続された
リンク機構を介して位置決めする止音装置について説明
したが、例えば図４に示す如く、ハンマストップレール
５０を、ストップレールアーム５６に当接されたカム機
構を介して位置決めするようにしても、上記実施例と同
様の効果を得ることができる。

【００２６】すなわち、図４に示す止音装置は、ハンマ
ストップレール５０の下端に設けられた複数のストップ
レールアーム７６、ストップレールアーム７６のハンマ
ストップレール５０とは反対側端部をアクションブラケ
ット５４に回動可能に固定する支持ピン７６ａ、上記実
施例の回転軸６０と同様、ピアノの左右の側板近傍に設
けられた支持機構により回転可能に軸支されたカム軸８
０、カム軸８０の各ストップレールアーム７６との対向
位置に設けられたカム８２、一端がハンマストップレー
ル５０のクッションフェルト５２とは反対側の面に固定
され、ハンマストップレール５０を退避位置方向に付勢
して、ストップレールアーム７６をカム８２に当接させ
る付勢部材としてのコイルスプリング７８、カム軸８０
の一端に設けられた固定金具８４、固定金具８４，延い
てはカム軸８０をハンマストップレール５０の退避位置
方向に付勢するコイルスプリング８６、外部操作によっ
て、固定金具８４，延いてはカム軸８０をコイルスプリ
ング８６の付勢力に抗して回動させるためのワイヤ８８
から構成されている。なお、ワイヤ８８は、先端が固定
部材８８ａを介してピアノ本体に固定され、ワイヤ８８
を収納するチューブ８８ｂ内に収納されている。

【００２７】従って、図４に示す止音装置においても、
ワイヤ８８を図示しない操作レバーにて引き出すことに
より、各カム８２をカム軸８０を中心に回動させて、ス
トップレールアーム７６，延いてはハンマストップレー
ル５０を、図５に点線で示す退避位置から図５に実線で
示す停止位置に変位させることができ、リンク機構を利
用した上記実施例の止音装置と同様、従来の止音装置に
比べて、ハンマストップレールの位置変更を小さな駆動
力で行ない、しかもハンマ２３を所望の停止位置にて確
実に停止させることができるようになるのである。

【００２８】そして、この止音装置においても、ハンマ
ストップレール５０の位置は固定部材８８ａから固定金
具８４までのワイヤ８８の長さにより決定されるため、
ハンマストップレール５０の停止位置及び退避位置での
位置調整は、操作レバーのワイヤ８８への取付け位置及
び操作レバーの操作に伴うワイヤ８８の引き出し量によ
り簡単に調整できる。

【００２９】なお、上記各実施例では、ハンマストップ
レール５０には、単にハンマシャンク２１当接時の衝撃
を吸収するクッションフェルト５２が設けられていると
して説明したが、このクッションフェルト５２は、例え
ば、当該ピアノの全音域を複数に分割した音域毎、或は
各ハンマシャンク毎に設けるようにしてもよい。そして
このようにすれば、各音域又は各音階毎にクッションフ
ェルト５２の厚みを調整することにより、ハンマ２３の
停止位置を調整することができるようになる。

【００３０】また、このハンマシャンク２１当接時の衝
撃を吸収するためにハンマストップレール５０に設ける
緩衝部材としては、こうしたクッションフェルト以外に
も、ゴム等の弾性材を使用することもできる。また更
に、上記各実施例では、回転軸６０，カム軸８０は、ア
ップライトピアノの左右の側板近傍に設けられた支持機
構により回転可能に軸支されているものとして説明した
が、アクションブラケット５４の形状を変更して、これ
ら各軸をアクションブラケット５４に回動可能に固定す
るようにしてもよい。

【００３１】また、上記各実施例では、アップライトピ
アノに設けられた止音装置について説明したが、本発明
の止音装置は、グランドピアノであっても適用できるの
は、いうまでもない。

【００３２】

【発明の効果】以上説明したように、請求項１及び請求
項２に記載の止音装置においては、従来装置のように、
ストップレールアームの支持軸をレバー操作等によって
直接回転させるのではなく、ストップレールアームに接
続されたリンクまたはストップレールアームに当接され
たカムを介して、ストップレールアームをその支持軸を
中心に回動させる、リンク機構又はカム機構により、ハ
ンマストップレールを停止位置又は退避位置に各々位置
決めするように構成されている。

【００３３】このため、本発明の止音装置によれば、従
来の止音装置に比べて、ハンマストップレールの位置変
更を小さな駆動力で行なうことができるようになる。ま
た、ハンマストップレールは、クランク機構又はカム機
構により位置決めされるため、停止位置にてハンマシャ
ンクが当接した際にハンマストップレールに加わる退避
位置方向への駆動力を、リンク機構又はカム機構により
吸収することができ、止音時にハンマストップレールが
退避位置方向に回動して、ハンマシャンクの停止位置が
ずれるのを防止できる。従って、本発明によれば、ハン
マを所望の停止位置にて確実に停止させることができる
ようになる。

【図面の簡単な説明】

【図１】実施例の止音装置の構成を表わす斜視図であ
る。

【図２】実施例の止音装置が取り付けられたアップライ
トピアノのアクション機構を表わす断面図である。

【図３】実施例の止音装置の停止位置から退避位置への
変位状態を説明する説明図である。

【図４】止音装置の他の構成例を表わす斜視図である。

【図５】図４の止音装置の停止位置から退避位置への変
位状態を説明する説明図である。

【図６】従来の止音装置の構成及びその動きを説明する
説明図である。

【符号の説明】

１１…鍵 ２１…ハンマシャンク ２３…ハンマ
２５…弦 ５０…ハンマストップレール ５２…クッションフェ
ルト ５４…アクションブラケット ５６，７６…ストップ
レールアーム ５８…クランク ６０…回転軸 ６２…クランクレ
バー ６４，８４…固定金具 ６６，７８，８６…コイルス
プリング ６８，８８…ワイヤ ８０…カム軸 ８２…カム

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) G10C 1/00 - 9/00 G10F 1/02

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 押鍵に基づきハンマが打弦動作を開始し
   てから実際に打弦を行なうまでの間の所定の停止位置で
   ハンマシャンクに当接して、該ハンマシャンクの移動を
   阻止する長尺状のハンマストップレールと、 該ハンマストップレールを、上記ハンマシャンクの移動
   を阻止する上記停止位置と、該停止位置から退避して上
   記ハンマによる打弦を可能にする退避位置とに変位可能
   に支持する支持機構と、 該支持機構により変位可能に支持された上記ハンマスト
   ップレールを、上記停止位置又は上記退避位置に位置決
   めする位置決め機構と、 を備えたピアノの止音装置であって、 上記支持機構が、 上記ハンマストップレールの長手方向に沿った複数箇所
   に、該ハンマストップレールと略直交する方向に突設さ
   れた複数のストップレールアームと、 該ストップレールアームの上記ハンマストップレールと
   は反対側端部を、上記ハンマストップレールと平行な軸
   に沿って回動可能に軸支する複数の支持部と、からな
   り、 上記位置決め機構を、 上記ハンマストップレールと略平行に回転可能に配設さ
   れた長尺状の回転軸と、 該回転軸と各ストップレールアームとを接続する複数の
   リンクと、 外部操作に応じて上記回転軸を所定角度回動させる回動
   部材と、 からなるリンク機構により構成してなることを特徴とす
   るピアノの止音装置。
2. 【請求項２】 上記位置決め機構を、上記リンク機構に
   代えて、 上記各ストップレールアームの回動位置に、上記ハンマ
   ストップレールと略平行に配設された長尺状のカム軸
   と、 該カム軸の上記各ストップレールアームの回動位置に固
   定され、該カム軸の回転により上記各ストップレールア
   ームを上記ハンマストップレールの退避位置と停止位置
   との間で変位させる複数のカムと、 上記各ストップレールアームを上記カム軸側に付勢し
   て、上記各ストップレールアームを上記各カムに当接さ
   せる付勢部材と、 外部操作に応じて上記カム軸を所定角度回動させる回動
   部材と、 からなるカム機構により構成してなることを特徴とする
   請求項１に記載のピアノの止音装置。