JP2968216B2 - 石垣修復方法及び装置 - Google Patents

石垣修復方法及び装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、文化財などの石垣
の石垣修復方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】石垣を修復する従来工法は図5に示すよ
うに、法肩NSにクローラクレーンCを設置し、クレー
ンCにより石Sを吊って積み上げるようにしていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来工法には、次のよ
うな問題がある。 (1) 石Sに玉掛けして吊り上げるのは、面倒で、危
険性があり、また、文化財等の石は、丁寧に取扱うのが
大変である。 (2) 石Sの姿勢制御は、石工が人力で行うので、微
調整が困難であり、作業性が悪い。 (3) 石工の足場をセットし、かつ、移動するのが面
倒である。 (4) 石工とクレーンCのオペレータの意思疎通が、
うまくいかない。
【0004】本発明は、石の保持及び姿勢制御と作業足
場のセット、移動が容易な石垣修復方法及び装置を提供
することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明による方法は、石
垣の法肩に沿ってベースマシンを石積み位置に走行移動
し、走行移動中はベースマシンから浮かした状態で片持
ち支持していた作業足場を作業位置で下ろして法肩に固
定支持し、作業レベルに合せて足場セットレベルを調整
したのち、ベースマシン側方に小運搬しておいた設置す
る石をハンド部で把持し、把持した石を移動して姿勢を
制御し、設定位置に自動的に位置決めして設置すること
を特徴としている。
【0006】本発明による装置は、ベースマシンに起伏
ブームと伸縮ブームと昇降ポストと旋回アームとを介し
て設けられたハンド部と、該ベースマシンに法肩に対し
て選択的に浮かした状態で又は固定して支持される作業
足場と、石垣の個々の石の配置、姿勢のデータを記憶さ
せた制御装置とを備えており、そのハンド部は、昇降ポ
ストに接続された旋回装置と、該旋回装置に接続された
俯仰装置と、該俯仰装置に接続された把持装置及び緊張
装置とからなり、該把持装置が、伸縮シリンダと、該伸
縮シリンダの両端に設けられた下部フィンガが、上部フ
ィンガに対し互いに接近する方向に起伏され、かつ、下
端にクッション体を備えたフィンガとからなり、前記緊
張装置がスリングロープと、該スリングロープを緊張す
る緊張シリンダとからなっている。
【0007】また本発明による装置は、ベースマシンに
起伏ブームと伸縮ブームと昇降ポストと旋回アームとを
介して設けられたハンド部と、該ベースマシンに法肩に
対して選択的に浮かした状態で又は固定して支持される
作業足場と、石垣の個々の石の配置、姿勢のデータを記
憶させた制御装置とを備えており、その作業足場は、両
端に枢着されたそれぞれ一対のねじ軸及び昇降装置と、
これら昇降装置に軸支された一対の足場吊りビームと、
それら吊りビームをベースマシンに支持する起伏アーム
とからなっている。
【0008】
【0009】上記のように構成された本発明において
は、石積み位置にベースマシンを停止し、作業足場を固
定支持して足場セットレベルを調整し、ヘッド部で石を
把持して移動し、姿勢を制御して自動的に位置決めして
設置する。
【0010】
【発明の実施の形態】以下図面を参照して本発明の実施
の形態を説明する。
【0011】図1ないし図3において、ベースマシンで
ある油圧バックホウショベル1には、起伏ブーム2が枢
着され、起伏シリンダ3で起伏されるようになってい
る。その起伏ブーム2の頂部には、伸縮ブーム4が枢着
され、起伏シリンダ5で起伏され、また、伸縮装置6で
伸縮されるようになっている。この伸縮ブーム4の端部
には、昇降ポスト7が設けられ、昇降装置8で昇降され
るようになっている。その昇降ポスト7の下端には、旋
回アーム9の一端が枢着され、旋回モータ10で旋回さ
れるようになっている。この旋回アーム9の他端には、
全体を符号20で示すハンド部が設けられている。
【0012】他方、ショベル1の前後には、それぞれ一
対の起伏アーム11の一端が枢着され、起伏シリンダ1
2で起伏されるようになっている。それらの起伏アーム
11の他端には、足場吊りビーム13が固設されてい
る。そして、このビーム13の中程には、アウトリガジ
ャッキ14が設けられ、端部には、一対の昇降装置15
及びねじ軸16を介して作業足場17が吊設されてい
る。
【0013】図4において、ハンド部20は、旋回アー
ム9の端部に設けられた旋回装置21と、その旋回装置
21の下部に設けられた俯仰装置25と、この俯仰装置
25の下部に設けられた把持装置28及び緊張装置37
とからなっている。
【0014】前記旋回装置21は、本体22と、旋回モ
ータ23と、本体22の下面に設けられたアーム状のブ
ラケット24とからなっている。
【0015】前記俯仰装置25は、ブラケット24の前
端に枢着された本体26と、その本体26とブラケット
24との間に介装された俯仰シリンダ27とからなって
いる。
【0016】前記把持装置28は、俯仰装置25の本体
26の下部に固設された伸縮シリンダ29と、そのシリ
ンダ29の一端に設けられた一対の上部フィンガ30
と、これらフィンガ30の下端に枢着された下部フィン
ガ31と、下部フィンガ31の起伏シリンダ32と、シ
リンダ29の他端に設けられた同様の上部フィンガ3
3、下部フィンガ34及び起伏シリンダ35と、両下部
フィンガ31、34の下端に設けられたクッション体で
あるゴムパッド36とからなっている。
【0017】前記緊張装置37は、伸縮シリンダ29か
ら直交して突設された一対のアーム状の本体38a、3
8bと、一方の本体38aに立設された緊張シリンダ3
9と、そのシリンダ39の作動端と他方の本体38bと
の間に着脱自在に懸け渡されたナイロン製のスリングロ
ープ40とからなっており、シリンダ29の下面には、
ゴム製のストッパ41が突設されている。そして、シリ
ンダ3、5、27、29、32、35及び39と、モー
タ10及び23と、伸縮装置6及び昇降装置8とは、シ
ョベル1に搭載された図示しない制御装置にそれぞれ接
続されている。また、制御装置には、取り外した文化財
などの石垣の個々の石の配置・姿勢のデータが記憶され
ている。
【0018】次に、石垣修復の態様を説明する。ショベ
ル1を石垣Wの法肩NSに沿って石積み位置まで走行、
移動する。この走行、移動中は、起伏アーム11を起こ
して作業足場17を石垣Wから浮かしておく。
【0019】石積み位置に停止したら、起伏アーム11
を伏すと共に、ジャッキ14で足場吊りビーム13を法
肩NSに固定支持し、また、昇降装置15及びねじ軸1
6により作業足場17を作業レベルにセットする。
【0020】次いで、ショベル1の側方に小運搬してお
いた設置する石Sを、ハンド部20で直接把持する。こ
の把持は、先ず、石Sにスリングロープ40を手動で掛
け、伸縮シリンダ29を収縮してフィンガ31、34で
石Sを軽く抑え、位置検出用のエンコーダ等の数値表示
器(図示せず)をセットしたのち、緊張シリンダ39を
収縮してスリングロープ40で石Sを締め上げ、起伏シ
リンダ32、35を伸長してゴムパッド36で石Sの前
後面を優しく把持し固定する。
【0021】次いで、把持した石Sを、記憶されて位置
に自動的に移動する。次いで、ハンド部20により、記
憶されている姿勢に石Sの姿勢を調整し、位置決めして
石積みする。この石積み作業は、自動もしくは作業足場
17に設けた図示しない施工管理用モータ及び遠隔操作
盤による遠隔操作により施工する。
【0022】最後に、緊張シリンダ39を伸長してスリ
ングロープ40を外すと共に、起伏シリンダ32、35
を収縮してフィンガ31、34による石Sの把持を解い
て1個の石Sの石積みを終り、以下同様の手順を繰返し
て石積みを行う。
【0023】
【発明の効果】本発明は、以上説明したように構成され
ているので、以下に記載されるような効果を奏する。 (1) 石をハンド部により直接かつ優しく把持するの
で、従来の玉掛けが不要で簡単、安全で、かつ石を傷付
けることがない。 (2) 石の姿勢制御をハンド部により自動的に行うの
で、作業性が非常によい。 (3) 作業足場のセット・移動が、大変に容易であ
り、かつ、施工地盤の確保が容易である。 (4) 石の把持から設置までの移動距離が少ないた
め、装置の寸法が小さくてすむ。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態を示す正面図。
【図2】図1の側面図。
【図3】図1の斜視図。
【図4】図3のヘッド部の石を把持しない状態を示す図
面。
【図5】従来方法の一例を説明する正面図。
【符号の説明】
C・・・クローラクレーン NS・・・法肩 S・・・石 W・・・石垣 1・・・油圧バックホウショベル 2・・・起伏ブーム 3、5、12、32、35・・・起伏シリンダ 4・・・伸縮ブーム 6・・・伸縮装置 7・・・昇降ポスト 8、15・・・昇降装置 9・・・旋回アーム 10、23・・・旋回モータ 11・・・起伏アーム 13・・・足場吊りビーム 14・・・アウトリガジャッキ 16・・・ねじ軸 17・・・作業足場 20・・・ハンド部 21・・・旋回装置 22・・・本体 24・・・ブラケット 25・・・俯仰装置 26・・・本体 27・・・俯仰シリンダ 28・・・把持装置 29・・・伸縮シリンダ 30、33・・・上部フィンガ 31、34・・・下部フィンガ 36・・・ゴムパッド 37・・・緊張装置 38a、38b・・・本体 39・・・緊張シリンダ 40・・・スリングロープ 41・・・ストッパ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) E02D 29/02 301 E02D 29/02 304

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 石垣の法肩に沿ってベースマシンを石積
    み位置に走行移動し、走行移動中はベースマシンから浮
    かした状態で片持ち支持していた作業足場を作業位置で
    下ろして法肩に固定支持し、作業レベルに合せて足場セ
    ットレベルを調整したのち、ベースマシン側方に小運搬
    しておいた設置する石をハンド部で把持し、把持した石
    を移動して姿勢を制御し、設定位置に自動的に位置決め
    して設置することを特徴とする石垣修復方法。
  2. 【請求項2】 ベースマシンに起伏ブームと伸縮ブーム
    と昇降ポストと旋回アームとを介して設けられたハンド
    部と、該ベースマシンに法肩に対して選択的に浮かした
    状態で又は固定して支持される作業足場と、石垣の個々
    の石の配置、姿勢のデータを記憶させた制御装置とを備
    えており、そのハンド部は、昇降ポストに接続された旋
    回装置と、該旋回装置に接続された俯仰装置と、該俯仰
    装置に接続された把持装置及び緊張装置とからなり、該
    把持装置が、伸縮シリンダと、該伸縮シリンダの両端に
    設けられた下部フィンガが、上部フィンガに対し互いに
    接近する方向に起伏され、かつ、下端にクッション体を
    備えたフィンガとからなり、前記緊張装置がスリングロ
    ープと、該スリングロープを緊張する緊張シリンダとか
    らなっていることを特徴とする石垣修復装置。
  3. 【請求項3】 ベースマシンに起伏ブームと伸縮ブーム
    と昇降ポストと旋回アームとを介して設けられたハンド
    部と、該ベースマシンに法肩に対して選択的に浮かした
    状態で又は固定して支持される作業足場と、石垣の個々
    の石の配置、姿勢のデータを記憶させた制御装置とを備
    えており、その作業足場は、両端に枢着されたそれぞれ
    一対のねじ軸及び昇降装置と、これら昇降装置に軸支さ
    れた一対の足場吊りビームと、それら吊りビームをベー
    スマシンに支持する起伏アームとからなっていることを
    特徴とする石垣修復装置。
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