JP2968146B2 - 電極の製造方法 - Google Patents

電極の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電極の製造方法に関す
る。さらに詳しくは微細、均一及び簡便に形成する必要
があるヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT)等
の電極の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、高信頼性電極として、高融点金属
を用いた電極が活発に採用されている。高融点金属とし
ては、一般的にタングステン(W)あるいはW化合物等
が多く使われている。しかしながらこれらの金属等は、
その膜自身の比抵抗が高く、これらだけで電極を形成す
ると電極の拡がり抵抗が高く問題である。この問題を解
決するために、金(Au)等の低抵抗金属を上部に積層
したりして拡がり抵抗の低減を図っている(特開平第1
−194468号公報参照)。
【0003】これらの電極の製造方法として、高融点金
属と低抵抗金属を順次積層した後、レジスト等で所望の
形状にパターニングして、ドライエッチング等で低抵抗
金属と高融点金属を順次エッチングして所望の形状に成
形するのが最も単純である。しかし、低抵抗金属には一
般的にAu系の金属を使用することが多く、Au系の金
属をエッチングするには、選択エッチングできる良好な
ガスや、薬品がなかったりエッチング後に残渣等が発生
して、後のプロセスに悪影響を与えるために、図2に示
すような製造方法が用いられている。
【0004】まず図2(a)に示すように、半導体基板
21上に高融点金属28を全面に積層したあと、レジス
トマスク25等でパターニングしたあと、RIE(反応
性イオンエッチング)等でエッチング加工して高融点金
属膜38を形成する。次に図2(b)に示すように、レ
ジストマスク27を高融点金属膜38の内側部分が開口
するようにパターンニングしたあと、蒸着、リフトオフ
法で低抵抗金属膜39を形成して多層電極を形成するこ
とが一般的である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記方
法では低抵抗金属パターンを形成するときに、アライメ
ントマージン(α)が必要になる。この場合電極サイズ
が大きいときは特に支障ないが、近年のように電極サイ
ズが非常に小さく(2αに近く)なってくると、このア
ライメントマージン(α)の値が低抵抗金属パターンの
寸法を律速する。このためこの値はできるかぎり小さく
する必要があり、非常に小さいアライメント精度が要求
されることになる。つまり従来の製造方法では、製造コ
ストがかかること及びアライメントエラーにより、上部
の低抵抗金属が直接基板上にずれ落ちて電極の信頼性不
良を起こしたりする問題があった。
【0006】
【課題を解決するための手段及び作用】かくして本発明
によれば、基板上の電極形成予定領域に、断面形状が逆
テーパー型の開口を有するマスクパターンを形成し、該
マスクパターンを介して基板上に等方性の成膜法によっ
て高融点金属膜を成膜し、次に前記マスクパターンを介
して前記高融点金属膜上に異方性の成膜法によって低抵
抗金属膜を形成することを特徴とする電極の形成方法が
提供される。
【0007】本発明は、基板上に電極を有する装置であ
ればどのような物にでも適用できるが、そのような装置
として例えば、HBT、HEMT、FET等が挙げられ
る。この内、低抵抗で、微細化が要求されるHBTの電
極の形成に使用することが好ましい。使用できる基板と
しては、特に限定されることはないが、例えばシリコ
ン、GaAs、InP InGaAs等の基板が挙げら
れ、その上に直接電極を形成する際に、本発明の方法を
適用することができる。更に、本発明の基板には、エミ
ッタ・コレクタ・ベース或いはソース・ドレイン・ゲー
ト等を形成する際の基板上に形成された半導体層も含ま
れる。
【0008】本発明に使用される高融点金属は、融点が
2000℃以上で、比抵抗が2×10-6Ω・cm2 以上
の金属であり、そのような金属として、タングステン、
モリブデン等あるいはそれらの化合物等が挙げられる。
更に、低抵抗金属には、融点が1500℃以下で、比抵
抗が1×10-6Ω・cm2 以下の金属が使用でき、その
ような金属として、Ti,Au,Cr,Pt等が挙げら
れ、単独或いは積層させることもできる。
【0009】次に本発明の電極の形成方法を説明する。
まず基板上に、断面形状が逆テーパー形状の開口を有す
るマスクパターンを形成する。ここで前記逆テーパー形
状の開口は、結果的に逆テーパー形状を示せばよく、例
えば下部領域が広く上部領域が狭い、逆T字型形状の開
口を有したマスクパターンを使用することもできる。更
に台形状の開口を有したマスクパターンも当然使用する
ことができる。
【0010】このような逆テーパー形状の開口を有する
マスクパターンは次のように形成できる。まず、透過率
が高くない公知のネガ形あるいはポジ形のホトレジスト
を用い、基板上このホトレジストをスピンコート法によ
って膜厚1〜2μmで塗布し、乾燥させる。このホトレ
ジストを、公知の方法で露光・現像することによって、
逆テーパー形状の開口を有するマスクパターンを容易に
形成することができる。ここで上部開口端の幅は、以下
で形成される低抵抗金属膜の幅と同じ幅からなってい
る。低抵抗金属膜の幅は、一般的には0.3〜10μm
の幅である。
【0011】また、上記で挙げた逆T字型形状の開口を
有したマスクパターンは、例えば次のようにして形成す
ることができる。まず基板上にSiNX 等からなる膜を
CVD法等で成膜する。この膜の膜厚は以下で形成され
る、高融点金属膜の膜厚以上であることが好ましく、例
えば500〜3000Åの膜厚で形成される。次に上記
膜上にホトレジストをスピンコート法によって膜厚0.
5〜2μmで塗布し、乾燥させる。ホトレジストを露光
し、現像することによって、以下で形成される低抵抗金
属膜の幅と同じ幅の開口を形成する。次に上記ホトレジ
ストをマスクとして、エッチングを行い、SiNX 等か
らなる膜を除去する。使用できるエッチング溶液として
は、フッ酸を含んだいわゆるバッファードフッ酸(BH
F)を使用することが好ましい。このエッチングによっ
て、SiNX 等からなる膜をオーバーエッチングし、以
下で形成される、高融点金属膜の幅を有する開口を形成
する。高融点金属膜の幅は、一般的には0.5〜10μ
mの幅である。このようにして逆T字型形状の開口を有
するマスクパターンが形成される。
【0012】ここで、上記マスクパターンの上端部の幅
と下端部の幅の差をβとする。次に上記マスクパターン
を用いて、等方性の成膜法によって高融点金属膜を膜厚
500〜5000Åで成膜する。等方性の成膜法として
は、RF(高周波)スパッタ蒸着法、プラズマCVD
法、斜め蒸着法等が挙げられる。このうち例えばRFス
パッタ蒸着法を使用する場合、その条件は、圧力が3〜
10mTorrであり、RFは13.56MHz程度、
50〜100Wであり、ターゲットにタングステン、モ
リブデン等を使用し、系内にAr、N2 等のガスを流す
ことによって行うことができる。このような異方性が生
じにくい等方性の成膜法によって成膜することにより、
オーバーエッチングによってエッチングされた幅β中に
も、高融点金属膜が形成される。
【0013】次に高融点金属膜上に異方性の成膜法によ
って、低抵抗金属膜を膜厚1000〜3000Åで成膜
する。異方性の成膜法としては、EB(電子ビーム)蒸
着法、抵抗加熱蒸着法等が挙げられる。このうち例えば
EB蒸着法を使用する場合、その条件は、圧力が1×1
-5〜1×10-3Paであり、電子ビームの加速電圧は
5〜10kVで、1〜10Aの電流を流すことによって
行うことができる。このような異方性の成膜法によれ
ば、マスクパターンの上端部の幅と同じ幅の低抵抗金属
膜が形成されるので、上記オーバーエッチングされた幅
βの部分には形成する膜が入り込むことはほとんどな
い。
【0014】次に上記マスクパターンを、リフトオフ等
の方法で除去することによって電極が形成される。本発
明の製造方法では、高融点金属膜と低抵抗金属膜の形成
のためのマスクパターンは同一のものが使用でき、従来
のようなアライメント精度は要求されず、工程数が減
り、製造コストを大幅に下げることができる。更にマス
クパターンが、上端部に対して下端部の幅がβ大きい開
口を有しており、上端部の幅で低抵抗金属膜の幅を決定
し、下端部の幅で高融点金属膜の幅を決定している。つ
まり、低抵抗金属膜が基板上に直接触れることがないの
で、電極不良は無くなり、信頼性が非常に向上する。
【0015】
【実施例】以下、本発明の製造方法をHBTに適用した
場合の実施例を図1を用いて説明する。図1は本発明の
製造方法の工程断面図である。まず半絶縁性基板1上
に、MBE(分子線エピタキシャル)成長法によって膜
厚5000Åのn+ −GaAsからなるサブコレクタ層
2、膜厚5000Åのn + −GaAsからなるコレクタ
層3を積層した。更に同じ方法によって、コレクタ層3
上に膜厚1000Åのp+ −GaAsからなるベース層
4を積層した。次にベース層上に同じ方法で膜厚100
0Åのn+ −AlGaAs、膜厚1000Åのn+ −G
aAs及び膜厚1000ÅのInGaAsをこの順で積
層し、エミッタ層5を形成した。更にこの基板上にレジ
ストを塗布し、エミッタメサエッチング用のレジストマ
スク6を形成した(図1(a)参照)。
【0016】次にレジストマスク6を用いて、クエン酸
と過酸化水素水からなるエッチング液を使用してエミッ
タメサエッチングを行いエミッタ層15を形成した。同
様にしてベース層、コレクタ層及びサブコレクタ層をエ
ッチングしてそれぞれベース層14、コレクタ層13及
びサブコレクタ層12を形成した。ここでベース層14
を形成するエッチング液と、コレクタ層13及びサブコ
レクタ層12を形成するためのエッチング液は、上記エ
ミッタメサエッチングのエッチング液と同様のものを使
用した(図1(b)参照)。
【0017】次に上記基板上にSiNX 膜7をプラズマ
CVD法で約1500Å形成した。この後SiNX 膜7
上全面にレジストを塗布した。エミッタ電極形成予定領
域のレジストを露光することによって取り除いて開口さ
せ、レジストマスク8を形成した。次にバッファードH
F(組成比水:フッ酸=10:1)からなるエッチング
液を使用して、上記開口部分に存在するSiNX 膜7を
除去した。ここでバッファードHFによってSiNX
7が2000Åオーバーエッチングされた。このオーバ
ーエッチングの幅をβとする。
【0018】この後RFスパッタ蒸着機を使用して高融
点金属であるWNX 膜9を約500Å積層した。RFス
パッタ蒸着は、室温で、圧力を6mTorrとし、1
3.56MHz、70Wの高周波を用い、ターゲットを
チタンとし、系内にArガスとN2 ガスを流すことによ
って行った。ここでRFスパッタ法は異方性が生じにく
い等方性の成膜法なので、オーバーエッチングによって
エッチングされた幅β中にもWNX 膜9が形成される。
【0019】次にEB蒸着機を使用して、低抵抗金属膜
であるTi(膜厚500Å)/Au(膜厚1000Å)
膜10を異方性の蒸着で順次積層を行った。EB蒸着
は、室温で、圧力を1×10-4Paとし、電子ビームの
加速電圧は10kVで、4Aの電流を流すことによって
行った。この蒸着は異方性であるので上記オーバーエッ
チングされた部分には形成する膜が入り込むことはない
(図1(c)参照)。
【0020】次にレジストマスク8をアセトン等からな
る溶媒を使用して溶解除去(リフトオフ)して、エミッ
タ電極9(上記WNX 膜から構成されている)及び10
(上記Ti/Au膜から構成されている)を形成した。
エミッタ電極9の幅がエミッタ電極10の幅よりも約2
β大きくなるので、エミッタ電極10がずれ落ちてエミ
ッタ層15と接触することは全くない。次に上記エミッ
タ電極の作成方法と同様にしてリフトオフを行うことに
よってベース電極16及びコレクタ電極17を形成する
ことができ、HBTが製造される(図1(d)参照)。
【0021】
【発明の効果】本発明により、高融点金属膜と低抵抗金
属膜は同じレジストパターンを用いて形成できるので、
製造工程が簡略化できる上、低抵抗金属膜はセルフアラ
イン的に高融点金属膜上の内側に形成できるので、低抵
抗金属膜が直接基板に触れることは全くなく、電極の信
頼性が向上する。よって、本発明によれば、信頼性の高
い、かつ低抵抗の電極を簡便に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の工程の概略断面図である。
【図2】従来の工程の概略断面図である。
【符号の説明】
1 半絶縁性基板 2 サブコレクタ層 3 コレクタ層 4 ベース層 5 エミッタ層 6 レジストマスク 7 SiNX 膜 8 レジストマスク 9 高融点金属膜 10 低抵抗金属膜 12 サブコレクタ層 13 コレクタ層 14 ベース層 15 エミッタ層 16 ベース電極 17 コレクタ電極 21 半絶縁性基板 25 レジストマスク 27 レジストマスク 28 高融点金属 29 低抵抗金属 38 高融点金属膜 39 低抵抗金属膜
フロントページの続き (72)発明者 篠崎 敏幸 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シャープ株式会社内 (72)発明者 辻 秀行 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シャープ株式会社内 (72)発明者 紀之定 俊明 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シャープ株式会社内 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01L 21/28 - 21/288 H01L 21/44 - 21/445 H01L 29/40 - 29/51 H01L 29/872

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上の電極形成予定領域に、断面形状
    が逆テーパー型の開口を有するマスクパターンを形成
    し、該マスクパターンを介して基板上に等方性の成膜法
    によって高融点金属膜を成膜し、次に前記マスクパター
    ンを介して前記高融点金属膜上に異方性の成膜法によっ
    て低抵抗金属膜を形成することを特徴とする電極の形成
    方法。
  2. 【請求項2】 マスクパターンに形成される逆テーパー
    型の開口が、下部領域が広く上部領域が狭く、かつ、逆
    T字型の形状であることからなる請求項1記載の電極の
    製造方法。
  3. 【請求項3】 高融点金属膜が、タングステン、モリブ
    デン及びそれらの化合物からなる請求項1あるいは2記
    載の電極の製造方法。
  4. 【請求項4】 低抵抗金属膜が、チタン、金、クロム、
    白金からなる請求項1あるいは2記載の電極の製造方
    法。
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JP5355954B2 (ja) * 2008-07-30 2013-11-27 日本電信電話株式会社 ヘテロ接合バイポーラトランジスタ
JP2015032631A (ja) * 2013-07-31 2015-02-16 住友電気工業株式会社 半導体装置及びその製造方法

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