JP2961029B2 - 炭素含有耐火物の製造方法 - Google Patents

炭素含有耐火物の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、炭素含有耐火物の製
造方法に関し、特に耐酸化性、耐蝕性、機械的強度に優
れた炭素含有耐火物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】炭素含有耐火物は、マグネシア−カ−ボ
ン系、アルミナ−カ−ボン系の外、無機材質−カ−ボン
系耐火物などが知られている。マグネシア−カ−ボン系
の炭素含有耐火物は、例えば転炉用内張材などに、また
アルミナ−カ−ボン系炭素含有耐火物は、取鍋、タンデ
ィシュなどの溶融金属容器の底部に取付けられるスライ
ドゲ−ト、ロングノズル、浸漬ノズルなどによく用いら
れている。
【0003】これらの炭素含有耐火物は、従来、耐火物
無機材料に、結合剤としてフェノ−ル樹脂などの熱硬化
性樹脂を添加、混練し、成形後に焼成して製造されてい
る。さらに、用途によっては焼成後にこれにピッチ或い
はタ−ル含浸しその特性向上を図っていた。
【0004】しかしながら、これら従来の製法で用いら
れる耐火物で、結合剤として用いられる熱硬化性樹脂
は、炭化されたとき他の無機材料との結合部分が非常に
弱く、従ってこれは耐熱衝撃性の向上にはほとんど寄与
していなかったた。このため熱硬化性樹脂にピッチや黒
鉛などを添加して、耐熱衝撃性を高める対策がとられる
場合があった。
【0005】しかし、この場合に添加されるピッチや黒
鉛は、一般に空気酸化の抵抗値を向上させるために不純
物の少ないものが使用されていた。こうしたピッチや黒
鉛は、確かに空気中では耐酸化性があるが、これが例え
ば鉄鋼用の耐火物として使用されると、溶鋼と直接接触
するためにたちまち反応して消失し、ついには部材が脱
炭状態となって無機質骨材を保持することが出来ず、製
品寿命の低下に繋がる恐れがあった。
【0006】これらの問題に対する対策として、原料に
添加するピッチや黒鉛を、あらかじめ例えばアルミニウ
ムなどの酸化防止剤で化学メッキやCVD蒸着により被
覆しておくことが既に考えられているが、コスト高で実
用的ではないとされてきた。また、原料にシリコンやア
ルミニウムなどの低融点金属物質を添加、混合し、焼成
時にカ−ボンと反応させ、カ−ボン表面に酸化防止膜を
形成することも考えられてきた。
【0007】しかし、この方法によっても添加物に隣接
してカ−ボンが常に位置するようにすることは難しく、
従って全てのカ−ボンの表面を被覆することは出来ず、
カ−ボンの酸化および溶鋼などの浸蝕抵抗の向上に結び
付けることは出来なかった。またすでに、アルミナ系原
料にシリカを含有させた耐火物が公知となっているが、
これらは耐火物の耐熱衝撃抵抗を向上するために添加し
ているもので、耐酸化性や耐蝕性の点では逆に低減した
ものとなっていた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、耐酸化
性、耐蝕性および機械的強度のすべてを同時に向上出来
るようにした炭素含有耐火物を得ようとするものであ
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】この発明は、耐火物無機
材料の一種または二種以上に、シリカを0.5〜30%
含有するカ−ボンを添加し、さらに結合剤として熱硬化
性樹脂を加えて混練、成形し、これを還元雰囲気で11
00〜1500℃の温度で焼成することを特徴とする炭
素含有耐火物の製造方法である。以下に、この発明をさ
らに説明する。この発明は、原料として耐火物無機材料
の一種または二種以上に、シリカを含有するカ−ボンを
添加して用いるものである。耐火物無機材料としては特
に限定されないが、例えばマグネシア−カ−ボン系、ア
ルミナ−カ−ボン系、マグネシア質レンガなどである。
【0010】また、シリカを含有するカ−ボンは、シリ
カを0.5〜30%含有していることが必要である。シ
リカの含有量が0.5%未満ではシリカとカ−ボンが反
応してカ−ボンの周囲を反応生成物であるSiCで十分
に被覆することは出来ない。またシリカが30%を超え
ると、成形体の焼成段階でシリカとカ−ボンとの反応で
シリカの全てが消費されずに残存し、シリカの一部が存
在する状態となる。こうした状態の耐火物を例えば溶鋼
容器などで使用すると、溶鋼と反応しやすいカ−ボン
と、さらに溶鋼に侵されやすい残存シリカが実質的に同
位置に存在し、この部分が溶鋼の浸蝕拠点となる恐れが
あり好ましくない。
【0011】こうしたシリカを含有するカ−ボンは、天
然に産するもの或いは合成のいずれでもよいが、天然に
産するものとしては土状黒鉛などがある。合成したもの
は、例えばカ−ボン源をゾル・ゲル状シリカなどで含浸
後乾燥したものが用いられる。これらの原料は均一に混
合し、さらにこれに結合材として熱硬化性樹脂、例えば
フェノ−ル樹脂を添加して混練し、次いで常法によって
成形する。
【0012】この成形体は1100〜1500℃で焼成
する。焼成温度が1100℃未満では、カ−ボンに含有
されたシリカがカ−ボンと十分に反応せず、カ−ボンを
SiCで十分に被覆することが出来ない。このため、カ
−ボンが酸素と反応したり或いは、例えば耐火物を使用
中に溶鋼と接触した場合に大きな浸蝕を受けたりする。
また、焼成温度が1500℃を超えると焼成設備、コス
トが不必要にかかり得策でない。以下にこの発明の実施
例を説明する。
【0013】
【実施例】
(実施例1および2)耐火物無機材料にいずれも電融ジ
ルコニアおよび焼結アルミナを用いた。また、結合材と
してフェノ−ル樹脂を用いた。
【0014】これらの耐火物無機材料と、フェノ−ル樹
脂と、シリカを含有したカ−ボンを表1に示す割合で配
合して混練した。次に、この混練物をプレス装置でプレ
−ト状に成形し、その後この成形体を仮焼して揮発成分
を揮発させた。続いて、この成形体をコ−クス粉末中の
還元雰囲気下で1100℃で焼成し、炭素含有耐火物と
した。
【0015】ここに得られた炭素含有耐火物について、
常温および1400℃での曲げ強さ、耐蝕性および耐酸
化性を測定した。なお、耐蝕性は、誘導加熱された溶鋼
中に、試料を6 r.p.m. で回転させながら浸漬し、1時
間保持したのちの試料の被面積(cm2 )を測定し、比較
例1の場合を100とする指数表示で示した。この値が
小さいほど耐蝕性に優れていることを示す。
【0016】また、耐酸化性のテストは、25×25×
110mmに加工した試料を電気炉で800℃および14
00℃に加熱し3時間保持し、その後これを取り出し大
気中に放置して室温まで自然冷却したのち試料の中央部
を切断し、その被酸化面積を測定した。その結果を比較
例1の被酸化面積を100とする指数表示で示した。結
果を表1に示した。なお、比較例は、カ−ボン源中のシ
リカ量が本発明の範囲から外れたもの、焼成温度が本発
明の範囲外の場合などを示したものである。
【0017】
【表1】 (実施例3)
【0018】表2に示す原料配合比で実施例1と同様に
して溶鋼のスライディングノズル装置のスライドゲトプ
レ−トを製造した。このスライドゲ−トプレ−トについ
て、実施例1と同様にして曲げ強さ、耐蝕性、耐酸化性
を測定した。また、さらに250トンの取鍋により溶鋼
の排出実用試験を行った。その結果を表2に示した。
【0019】
【表2】
【0020】
【発明の効果】以上のように、この発明によると炭化け
い素でその周囲が被覆された状態のカ−ボンが耐火物中
に存在するので、耐酸化性、耐蝕性および機械的強度の
優れた炭素含有耐火物を製造することが出来る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 丹羽 茂樹 愛知県刈谷市小垣江町南藤1番地 東芝 セラミックス株式会社刈谷製造所内 (72)発明者 斉藤 幸治 愛知県刈谷市小垣江町南藤1番地 東芝 セラミックス株式会社刈谷製造所内 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C04B 35/00 - 35/22 C04B 35/622 - 35/636

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 耐火物無機材料の一種または二種以上
    に、シリカを0.5〜30%含有するカ−ボンを添加
    し、さらに結合剤として熱硬化性樹脂を加えて混練、成
    形し、これを還元雰囲気で1100〜1500℃の温度
    で焼成することを特徴とする炭素含有耐火物の製造方
    法。
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