JP2959573B2 - 情報記録媒体 - Google Patents

情報記録媒体

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JP2959573B2
JP2959573B2 JP1034165A JP3416589A JP2959573B2 JP 2959573 B2 JP2959573 B2 JP 2959573B2 JP 1034165 A JP1034165 A JP 1034165A JP 3416589 A JP3416589 A JP 3416589A JP 2959573 B2 JP2959573 B2 JP 2959573B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、磁気的に情報の記録,再生(及び消去)が
可能な、ディスク状又はカード状の情報記録媒体に関す
る。
〔従来技術及び発明が解決しようとする課題〕
近年の情報化社会を担うものとして欠かせない情報記
録媒体(以下単に「媒体」又は「メディア」とも記載す
る)は、最近益々高密度化,大容量化へと進歩してい
る。かかるメディアを更に高密度のものにする手段の1
つに、レーザー光等を照射して微小な光スポットや微小
な磁区を形成する試みが検討されている。又、記録膜に
関しては、光磁気膜や垂直磁化膜の研究,開発が精力的
に進められている。また、メディアを大容量にする手段
の1つに、その表面(樹脂膜,基板面等)に予め溝を物
理的,化学的に形成しておいて、溝信号を検出しながら
制御信号を得て、情報の記録,再生を行なう媒体も開発
されつつある。
光磁気ディスクはその代表的な例であるが、磁気ディ
スクの分野でも、溝を形成してトラッキング用に使用す
る技術が提案されており、たとえば特開昭57−167172号
(静電容量方式),特開昭51−42485号(光方式)等が
既に知られている。記録媒体にトラッキング用の溝を形
成する技術は、光ディスクが先行しているが、これには
スタンパと呼ばれる金型を用いて熱可塑性樹脂を射出成
形する方法や、透明な樹脂基板上に紫外線硬化樹脂(2
P)層を形成した後これを硬化させる方法(2P法)等が
ある。
本出願人は、一層の高密度,且つ大容量化を実現する
ための記録メディアを鋭意検討したところ、光磁気膜,
垂直磁化膜のいずれにおいても微小磁区の形成が必要で
あり、そのためには記録膜の粒子の小径化,優れた配向
性,及び高保磁力化が重要であることを突止めた。そし
てこれらの特性は、高い基板温度におけるスパッタリン
グ又は真空蒸着により達成できることが判明した。
そこで本出願人は、このようなスパッタリング又は蒸
着に耐え得る耐熱性基板を捜し求めたが、射出成形され
た熱可塑性樹脂基板は、ガラス転移点(Tg)を越えると
急激に軟化する性質があり、転移点を高く設定した材料
で作った基板では、トラッキング溝やアドレスの形成が
不十分となり、実用に適さないことが判った。一方、市
販の2P(紫外線硬化樹脂)レジンを用いた2P基板の実験
では、トラキング溝やアドレスは十分形成されるが、耐
熱性に乏しく、スパッタリングを行なうと2P表面に微細
な皺が発生してしまい、やはり実用には適さないことが
判った。
以上の実験結果から、基板は支持体と2P層とを積層し
た構造とすると共に、耐熱性の高い2P樹脂を新規に開発
すべきであるという結論に達した。
〔課題を解決するための手段〕
本発明は、支持体の上に情報記録用の溝を有する紫外
線硬化樹脂層を形成した基板と、この基板上に形成さ
れ、スパッタリングにより前記基板を200℃程度に加熱
しながら成膜する磁気記録層と、この磁気記録層上に形
成される保護膜とから成り、上記紫外線硬化樹脂層とし
て200℃でのヤング率が70Kg/mm2以上の範囲の物を使用
して作製した情報記録媒体を提供することにより上記問
題点を解決した。
〔実施例〕
本発明の情報記録媒体の一実施例について説明する。
まず、上記支持体としては、熱可塑性樹脂,熱硬化性樹
脂,ガラス,又は金属のいずれの材料でも良い。次に、
2P(紫外線硬化樹脂)層といては、200℃でのヤング率
が70kg/mm2以上である物を使用する。かかる特性を有す
る2P樹脂としては、以下に示す化学式を有する化合物 のうちの少なくともいずれか一方の化合物を含む樹脂
で、且つそれにDarocur 1173等の光重合開始剤が0.1〜1
0重量%均一に配合されたものを用いる。なお、両式中
Xは(メタ)アクリロイル基(n=3〜6)、Yは水素
である。
次に、具体的実施例及びその製造方法について、支持
体としてポリエチレンテレフタレート,ルミラーQ77
(東レ株式会社)を用い、2P樹脂上にCoCr垂直磁化膜及
びカーボン膜をスパッタリングにより成膜したディスク
を例にとって説明する。なお、支持体上に2P樹脂を成膜
する方法は周知の2P成形法によった。
<比較例1> 2P樹脂として(株)スリーボンド社のUVX−SS120を用
いて基板を作製した。このとき基板の表面にはスタンパ
上のピットが正しく転写されており、滑らかな表面状態
を呈していた。続いて基板温度=20℃,Arガス圧=0.8mT
orrで、CoCrを2000Åスパッタリングして取出したとこ
ろ、表面全体が白色になっており、これを顕微鏡で観
察,調査したら、微細な皺になっていることが判明し
た。また、ピットの一部が歪んでいることも発見され
た。このディスクの磁気特性をVSM(振動試料式磁力
計)により測定したところ、垂直成分のHc(保持力)は
170Oeであり、垂直磁気記録には不十分な値であった。
<比較例2> 2P樹脂として東洋インキ製造(株)社のLE−3629を用
いて基板を作製し、その他は比較例1と同様にしてディ
スクを作製した。この場合にも、基板の表面にはスタン
パ上のピットが正しく転写され、滑らかな表面状態を呈
しており、CoCrのスパッタリング後もピットの歪みは認
められなかったが、VSMにより測定した垂直成分のHcは
比較例1と同様170Oeであり、垂直磁気記録には不十分
な値であった。
<比較例3> 比較例2と同一条件で基板を作製し、基板温度=80
℃,Arガス圧=0.8mTorrで、CoCrを2000Åスパッタリン
グして取出したところ、表面全体が白色になっており、
顕微鏡観察の結果、やはり微細な皺が生じて全面を覆っ
ていた。VSMにより測定した垂直成分のHcは240Oeに向上
したが、垂直磁気記録にはまだ不十分な値であった。
従来よりCoCrの磁気特性の垂直成分のHcは、スパッタ
リング時の基板温度の上昇と共に増大すると言われてお
り、上記各比較例にも同様の傾向が認められた。従っ
て、最少限必要といわれるHc 700を得るためには、基
板温度を最低でも200℃まで加熱することが必要と考え
られる。
そこで、2P樹脂の耐熱性を評価するために、TMA(熱
機械分析)により、2P樹脂単独の温度−ヤング率特性を
調べたところ、上記比較例1及び2で使用したUVX−SS1
20及びLE−3629は第1図のような特性を示した。即ちUV
X−SS120は20〜50℃の低温域で急激に軟化する特徴があ
る。従って、基板の温度を20℃に設定しても、スパッタ
リング時のプラズマに晒されて表面温度が上昇し、軟化
した樹脂が支持体上を漂って皺を発生させたと考えられ
る。
一方、LE−3629は、基板温度20℃でのスパッタリング
には耐えたが、80℃では皺を生じてしまった。この樹脂
の20℃及び80℃でのヤング率は夫々105kg/mm2及び64kg/
mm2であり、スパッタリング中には更に低下すると考え
られる。
そこで、耐熱性の高い2P樹脂でシワを生じるヤング率
の条件はどの程度の値なのかにつき調査、検討した。検
討資料としては以下の材料を用いた。すなわち、DPH
A,M−309,DPCA−60,M−315,MANDA,R−551
の6種類のモノマー(とは東亜合成化学工業
(株),その他は日本化薬(株)の製品)を選び(各々
の分子構造式は13頁の第1表に示すとおりである)、夫
々に対して、光開始剤Darocur 1173(メルク・ジャパン
(株)製)を全体の3重量%添加して2P樹脂を作製し
た。これらの硬化サンプルの温度−ヤング率特性を第2
図に示す。この図から明白なように、200℃において70k
g/mm2以上のヤング率を持つモノマーはとだけであ
る。両者とも温度変化に対してヤング率は略一定で、安
定な樹脂と言える。モノマー,とその他のオリゴマ
ーの分子構造を第1表から比較してみると、,のみ
が3次元的架橋を構成し得る構造、即ち、少なくとも3
官能以上の(メタ)アクリロイル基を持っていることが
判明した。更に、各々のアクリロイル基間の鎖の長さが
短いという特徴も条件に挙げられる。
以上の実験結果ら、皺を生じない(基板表面が白化し
ない)ヤング率の条件は、約70Kg/mm2以上、望ましくは
100Kg/mm2以上てあるということがわかる。
<実施例1> 日本化薬(株)製のDPHAにメルク・ジャパン(株)製
のDarocur 1173を全体の3重量%添加して2P樹脂を得
た。この樹脂を用いて前記比較例1と同様な方法で基板
を作製した。続いて基板温度=150℃,Arガス圧=0.8mTo
rrでCoCrを2000Åスパッタリングした。ここで表面を顕
微鏡で観察,調査したところ、ピットの歪みはい認めら
れず、滑らかな表面状態を呈しており、皺の発生も認め
られなかった。又、磁気特性をVSMにより測定したとこ
ろ、垂直成分のHc(保磁力)は800Oeであり、垂直磁気
記録には十分なレベル値であった。
<実施例2> 東亜合成化学工業(株)のM−309にDarocur 1173を
3重量%添加して2P樹脂を得た。この樹脂を用いて実施
例1と同様な方法で基板を作製し、続いて同様に基板温
度=150℃,Arガス圧=0.8mTorrでCoCrを2000Åスパッタ
リングを行なった。この場合にも基板表面上のピットの
歪みや皺の発生は認められなかった。又、垂直成分のHc
は800Oeと良好な値であった。
<実施例3> DPHAとM−309を夫々50重量%ずつ計量,混合し、こ
れにDarocur 1173を全体の3重量%添加して2P樹脂を得
た。この樹脂を用いて実施例1と同様にして基板を作製
し、続いて同一条件下でCoCrを2000Åスパッタリングし
た後、更に保護膜としてカーボンを、Arガス圧=13mTor
rで300Åスパッタリングした。この場合も皺の発生やピ
ットの歪みは認められず、垂直成分のHc(保持力)も80
0Oeと良好なレベル値であった。リングヘッドを用いた
記録再生実験を行ったところ、D50が70kFCI,C/N=50dB
の再生出力が得られた。
なお、この実施例3の2P樹脂を単独で硬化させ、TMA
(熱機械分析)により温度−ヤング率特性を測定したと
ころ、第2図に破線で示すような結果が得られた。
このように、本発明による2P樹脂は耐熱性に優れ、良
質の垂直磁化膜を形成し得る基板となる。
なお、以上の説明においては、記録膜として垂直磁化
膜を取上げて実験したが、CoNi,CoNiCr,CoPt等の面内磁
化膜においても基板温度とHc(面内成分)に相関がある
ことから、同様の硬化が得られる。又、TbFe,TbFeCo,Dy
Fe,GdFe等の光磁気膜においても、高い基板温度下で高H
c(垂直成分)の良質な膜を得ることができる。
ところで、光磁気膜では一般に再生時のカー回転角
(θk)と記録膜のキュリー点(Tc)との相関が知られ
ている。本発明媒体に使用される耐熱性基板を使用すれ
ば、高Tcの材料を選定でき、結果的にS/Nの向上が図れ
る。又、このような磁気特性の他に、高い基板温度下で
の成膜は、基板と記録膜間の密着力向上にも貢献し、媒
体(ディスク)の信頼性を各段に上げる効果もある。
更に、従来の光磁気ディスクや光ディスクの場合に
は、記録時にレーザー光が基板を加熱することにより、
案内溝を変形させたり、記憶膜にクラックを発生させた
りすることがあるが、本発明による2P樹脂の場合にはか
かる不都合は非常に少なく、記録レーザー出力を高く設
定できるという利点もある。
なお、本実施例ではいずれも支持体にポリエチレンテ
レフタレートを用いたが、本発明になる媒体はこれに限
定されるものではなく、その他ポリカーボネート,ポリ
サルフォン,ポリイミド,ポリエーテルサルフォン,ポ
リエーテルイミド等の樹脂や、金属板,更にはガラス板
でも使用可能である。
また、2P樹脂の光重合開始剤といてDarocur 1173を用
いたが、その他、ベンジル,ベンゾイン,ベンゾフェノ
ン,4−メトキシベンゾフェノン,ベンジルジメチルケタ
ール,ベンゾインエチルエーテル,ベンゾインイソプロ
ピルエーテル,ミルラーズケトン,アントラキノン,2−
メチルアントラキノン,アセトフェノン,αα−ジクロ
ル−4−フェノキシアセトフェノン,P−tertブチルトリ
クロロアセトフェノン,メチルオルソベンゾイルベンゾ
エート,2−クロロチオキサントン,及び2,4−ジエチル
チオキサントンでも使用可能である。又、必要に応じ
て、光重合促進剤としてアミン化合物を添加しても良
い。更に又、支持体との接着性を良好にするために、支
持体との濡え性の良好なモノマー或いはシランカッリン
グ剤を添加しても良い。
なお、本発明の情報記録媒体は、硬度の高い基板を提
供するという特徴もあるが、柔軟性を持たせる必要があ
れば、日本化薬(株)製のHX−620,HX−220等に代表さ
れる柔軟性モノマーを添加することも可能である。但
し、この場合には耐熱性が低下するので、本発明の特
徴,効果を失わない程度に添加量を制限することが肝心
である。
〔効 果〕
叙上の如く、本発明の情報記録媒体によれば、耐熱性
に優れ良質の記録膜を成形し得るので、垂直磁気記録媒
体等の、高密度化を図ることができる等の特長を有す
る。
【図面の簡単な説明】
第1図は代表的な2P樹脂単独の温度−ヤング率特性図、
第2図は代表的なオリゴマーにて作製した2P樹脂硬化サ
ンプルと本発明記録媒体各実施例の温度−ヤング率特性
図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−134836(JP,A) 特開 昭61−198420(JP,A) 特開 昭63−112825(JP,A) 特開 昭62−180782(JP,A) 特開 昭63−100635(JP,A) 特開 昭62−145553(JP,A) 特開 昭64−70738(JP,A) 特開 昭57−113433(JP,A) 特開 昭61−210542(JP,A)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】支持体の上に情報記録用の溝を有する紫外
    線硬化樹脂層を形成した基板と、この基板上に形成さ
    れ、スパッタリングにより前記基板を200℃程度に加熱
    しながら成膜する磁気記録層と、この磁気記録層上に形
    成される保護膜とから成り、上記紫外線硬化樹脂層とし
    て200℃でのヤング率が70Kg/mm2以上の範囲の物を使用
    して作製したことを特徴とする情報記録媒体。
  2. 【請求項2】熱可塑性樹脂、熱硬化樹脂、ガラスのいず
    れかよりなる支持体の上に情報記録用の溝を有する紫外
    線硬化樹脂層を形成した基板と、この基板上に形成さ
    れ、スパッタリングにより前記基板を200℃程度に加熱
    しながら成膜する磁気記録層と、この磁気記録層上に形
    成される保護膜とから成り、上記紫外線硬化樹脂層は、
    下記(I)又は(II)の一般式で示される化合物の少な
    くとも一方を50重量%以上含み、且つ光重合開始剤が0.
    1乃至10重量%均一に配合された紫外線硬化樹脂組成物
    を硬化させたものであり、200℃でのヤング率が70Kg/mm
    2以上の範囲の物を使用して作製したことを特徴とする
    情報記録媒体。
JP1034165A 1989-02-14 1989-02-14 情報記録媒体 Expired - Lifetime JP2959573B2 (ja)

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