JP3656420B2 - 情報記録坦体及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ディスク等の情報記録坦体及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、読み取り可能な情報が記録され、更に記録された情報を読み出すディスク状情報記録坦体があり、近年はこのディスク状情報記録坦体の高密度化が進んでいる。こうしたディスク状情報記録坦体には磁気ディスク、光ディスク、静電容量ディスクなど様々な種類のディスクがあるが、光ディスクの進歩はめざましい。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
さて、前記した高密度情報記録坦体の普及と最近のパーソナルコンピュータの高性能化に伴い、重要情報もこれら高密度情報記録坦体に記録する機会が多くなっている。しかし、セキュリティの問題は解決されていないと言ってもよい。
つまり、これらの高密度情報記録坦体は1枚に大容量の情報が記録できるという大きな利点が有る反面、市販の製造設備でたやすく複製が可能であるという欠点をもつ。特に、顧客銀行預金情報、電子マネーなどといった財産的な重要情報が大量に記録されている高密度情報記録坦体の原盤を盗み出して、これを大量に複製(偽造)して利害関係者に大量に配布するという犯罪を未然に防止できない。この結果、顧客個人のプライバシーの蹂躙、金融取引の信用不安などが発生し、安定した商取引に支障を来し、この結果、社会的な信用不安が発生する恐れがあった。
【0004】
そこで、こうした重要情報が記録されている高密度情報記録坦体が偽造されない方法が必要とされていた。その解決手段として、従来いわゆる暗号を利用したコピープロテクトが数々提案されている。いわゆる電子的なコピーに対するプロテクトである。暗号の高度化に伴って、この方法は困難になりつつある。代わって台頭してきたのが物理的なコピー方法である。偽造の方法は、ディスクを層状に剥離し、その情報面を露出し、情報を他に転写することによって行われる。そしてそれを鋳型として、別のフラットなプラスチック板に信号を転写することができる。この鋳型は繰り返し使用できるので、本物と寸分違わぬ信号パターンを複数作ることができるのである。つまり電子的なコピー以外に、情報を丸ごとコピーする物理的なコピー法があり、これに対しては対抗手段がなかった。
【0005】
図3は、光ディスクの構造を説明するための図である。
図3に示すように、光ディスクAは、微細パターン列1Aを有する信号面である基板1上に、反射膜である記録層2、保護層3を順次積層して構成される。こうした構成の光ディスクAの場合、剥離が行えるのは基板1と記録層2との界面である。一般に保護膜3は記録層2に対して充分な密着力が得られるように、そして保護膜3として必要な強度を持つように硬い膜となっている。しかし基板1と記録層2の界面については、密着力が弱く、粘着テープを用いて丹念に剥がしを行えば基板1の表面が露出することになる。基板1上に記録層2を形成する方法は、蒸着やスパッタリングなどがあるが、後者は密着力がすぐれているものの不充分で、粘着テープを用いて信号面が露出していた。
こうした課題に着目して、本発明は、粘着テープを用いても基板1と記録層2の界面において記録層2が剥離することがなく、物理的なコピー(偽造)を確実に防止することができる構造を有する情報記録坦体及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記した課題を解決するために、本発明は、下記(1)〜(12)の構成になる情報記録坦体及びその製造方法を提供する。
【0007】
(1) 図1,2に示すように、微細パターン列1Aを有する基板1上に、記録層2と、剥離防止層4と、保護層3とを順次積層し、
前記剥離防止層4は、JISK−6301記載の試験方法による伸び率が下限100%、上限300%の樹脂B,C,D,Eからなり、
前記保護層3は、前記試験方法による伸び率が5%以下の樹脂α,βからなることを特徴とする情報記録坦体(光ディスク)AA。
(2) 図1に示すように、前記(1)記載の情報記録坦体(光ディスク)AAであって、
前記記録層2は、光反射膜、光磁気膜、相変化膜、色素膜を少なくとも1つ含む単層又は積層構造体でなることを特徴とする情報記録坦体。
(3) 前記(2)記載の情報記録坦体(光ディスク)AAであって、
前記光反射膜は、アルミニウム、金、銀、シリコン、チタン、タンタル、クロム、又は、アルミニウム、金、銀、シリコン、チタン、タンタル、クロムを含む合金のいずれかでなることを特徴とする情報記録坦体。
(4) 前記(2)記載の情報記録坦体(光ディスク)AAであって、
前記光磁気膜は、TbFeCo、GdFeCo、NdFeCo、コバルト、白金を少なくとも1つ含んでなることを特徴とする情報記録坦体。
(5) 前記(2)記載の情報記録坦体(光ディスク)AAであって、
前記相変化膜は、GeSbTe、AgInSbTeを少なくとも1つ含んでなることを特徴とする情報記録坦体。
(6) 前記(2)記載の情報記録坦体(光ディスク)AAであって、
前記色素膜は、シアニン色素、アゾ色素を少なくとも1つ含んでなることを特徴とする情報記録坦体。
(7) 前記(1)ないし(6)のいずれかに記載の情報記録坦体(光ディスク)AAであって、
前記剥離防止層4は、放射線(紫外線)硬化樹脂、熱硬化樹脂、電子線硬化樹脂を少なくとも1つ含んで硬化させたものであることを特徴とする情報記録坦体。
(8) 前記(1)ないし(6)のいずれかに記載の情報記録坦体(光ディスク)AAであって、 剥離防止層4と保護層3を合わせた層5の光線透過率が70%以上であることを特徴とする情報記録坦体。
(9) 微細パターン列1Aを有する基板1上に記録層2と剥離防止層4と保護層3とを順次積層した情報記録坦体(光ディスク)AAを製造する情報記録坦体の製造方法であって、
前記記録層2上に、樹脂B,C,D,Eを塗布する工程と、
次に、前記記録層2上に塗付した樹脂B,C,D,Eを硬化して、JISK−6301記載の試験方法による伸び率が下限100%、上限300%である前記剥離防止層4を形成する工程と、
次に、前記剥離防止層4上に、樹脂α,βを塗布する工程と、
次に、前記剥離防止層4上に塗布した樹脂α,βを硬化して、前記試験方法による伸び率が5%以下である前記保護層3を形成する工程とを有することを特徴とする情報記録坦体の製造方法。
(10) 前記記録層2上に剥離防止層4となる樹脂B,C,D,Eを塗布する工程は、スピンコート法、バーコート法、ロールコート法、スプレー法、浸漬法、印刷のいずれかの方法を用いて行われることを特徴とする前記(9)記載の情報記録坦体の製造方法。
(11) 前記記録層2上に塗付した樹脂B,C,D,Eを硬化して前記剥離防止層4を形成する工程は、放射線照射、電子線照射、ベーキングのいずれかの方法、またはこれらの方法を複合して行われることを特徴とする前記(9)記載の情報記録坦体の製造方法。
(12) 前記ベーキングは、50度〜150度のヒーター加熱、または赤外線加熱であることを特徴とする前記(11)記載の情報記録坦体の製造方法。
【0021】
【発明の実施の態様】
以下、本発明の情報記録坦体及びその製造方法について、図面に沿って説明する。図1は本発明の情報記録坦体の構造を説明するための図、図2は実施例1〜実施例8、比較例1〜比較例11における剥離試験結果を説明するための図である。前述したものと同一構成部分には同一符号を付し、その説明を省略する。
下記に、(1)情報記録坦体(実施例1〜実施例8)、(2)情報記録坦体製造方法、(3)情報記録坦体(実施例9〜実施例19)の順に説明する。
【0022】
(1)情報記録坦体
本発明になる情報記録坦体は、前述した図3に示した光ディスクAを構成する記録層2と保護層3との間に、後述する剥離防止層4を間隙なく介挿した構造に等しいものである。即ち、本発明になる情報記録坦体である光ディスクAAは、図1に示すように、微細パターン列1Aを有する信号面である基板1上に、反射膜である記録層2、剥離防止層4、保護層3を順次積層して構成される。
【0023】
記録層2と保護層3との間に剥離防止層4を介在させる理由は、伸び率が互いに異なる樹脂を用いた剥離防止層4と保護層3とを積層することにより、基板1と記録層2との界面における剥離を不可とすることにある。即ち、剥離防止層4は伸び率100%〜300%の柔軟性樹脂を用い、また、保護層3は伸び率5%以下の非柔軟性樹脂を用いる。こうすることで、保護層3側からの剥離による剪断力が下層(剥離防止層4)で分散、吸収されるので、この結果、基板1と記録層2との界面における剥離は不可となるのである。
【0024】
しかし、伸び率5%より上の柔軟性樹脂を保護層3として用いると、その表面が極めて柔らかくなり外部からの傷に対して極めて弱くなるため、伸び率5%以下の硬い保護層3を形成するのである。
剥離試験後の顕微鏡観察では、上層(保護層3)が壊れているのが確認できるが、その破片は下層(剥離防止層4)に強固に接着しており、下層の剥離は認められない。従って、剥離防止層4と記録層2とは常時安定した密着接着状態であるから、基板1と記録層2との界面における剥離は不可となり、基板1を利用した光ディスクAAの偽造を未然にしかも確実に防止することができる。
【0025】
[実施例1〜実施例8と比較例1〜比較例11との対比]
次に、本発明の情報記録担体の実施例1〜実施例8について、比較例1〜比較例7の対比で説明する。
【0026】
[実施例1〜実施例8]
前記した光ディスクAAはCD−ROMと同様な構造とする。
この光ディスクAAを構成する基板1は1.2mm厚のポリカーボネートからなる。この基板1の表面には微細パターン列1Aが螺旋状または同心円状に刻設されており、微細パターン(線幅0.6μm)が情報として刻まれている。この基板1上には記録層2がスパッタ法でアルミニウム70nm厚で形成されている。この記録層2上には剥離防止層4が5μm〜10μm厚で形成されている。そして、この剥離防止層4上には保護層3が5μm〜10μm厚で形成されている。
【0027】
これら剥離防止層4と保護層3とは、いずれも下記する「樹脂A」〜「樹脂E」、「樹脂α」、「樹脂β」を用いてなるものであり、また、これら樹脂はいずれも紫外線硬化タイプに調整されている。剥離防止層4は記録層3上に樹脂B,C,D,Eを塗布する工程(スピンコート)と、塗付した樹脂B,C,D,Eを硬化させる工程(紫外線照射)とにより形成される。また、保護層3は硬化した剥離防止層4上に樹脂α,βを塗布する工程(スピンコート)と、塗付した樹脂α,βを硬化させる工程(紫外線照射)とにより形成される。紫外線照射は、高圧水銀灯の紫外線を2000mJ照射で行った。
【0028】
ところで、図2に示す剥離試験の方法は、保護層3表面にカッターナイフで、1mm刻みの傷を碁盤の目状につけ、100個のマスをつくる(テストピースをつくる)。この結果、剥離防止層4、記録層2、基板1の表層に傷が入ることになる。ここまでの作業は、JIS−K5400に記載された方法と同じである。JISではこの作業で剥がれたマス目の数を数えてランク分けするが、本発明の情報記録坦体(光ディスクAA)の剥離試験方法では、このマスにスコッチ・ポリイミドテープ5413(接着力700g/25mm)を貼り付けて剥離する。そしてこの試験を同一箇所で10回行い、1つでも剥離が認められれば「NG」とした。この試験方法は、カッターナイフによる保護層3の切断に加え、テープによる保護層3の引き剥がしが加わり、さらに、その試験を同一箇所で繰り返すことによって微小な保護層3の剥がれも拡大して剥離するので、JISK−5400よりも、ずっと厳しい剥離試験方法である。
【0029】
前記した剥離防止層4と保護層3は、「樹脂A」〜「樹脂E」、「樹脂α」、「樹脂β」を、図2に示すように、組み合わせてなるものである。図2中、「NG」は基板1と記録層2間に剥離状態が生じたとき、「OK」は基板1と記録層2間に剥離状態が全く生じないときをそれぞれ指す。
【0030】
即ち、図2に示すように、「実施例1」〜「実施例4」は剥離防止層4として「樹脂B,C,D,E」を、保護層3として全て「樹脂α」を用いてなる。また、「実施例5」〜「実施例8」は剥離防止層4として「樹脂B,C,D,E」を、保護層3として「樹脂β」を用いてなる。そして、「実施例1」〜「実施例8」の剥離試験結果は、全て「OK」である。
【0031】
「樹脂A」…伸び率50%(モノマー、M−5500(東亜合成(株)社製)に光開始剤ダロキュア1173(メルクジャパン(株)社製)を3%添加したもの)
「樹脂B」…伸び率100%(紫外線硬化型組成物、UV−3630(東亜合成(株)社製))
「樹脂C」…伸び率150%(モノマー、CL−50(日本化薬(株)社製)に光開始剤ダロキュア1173(メルクジャパン(株)社製)を3%添加したもの)
「樹脂D」…伸び率200%(モノマー、U−340A(新中村化学工業(株)社製)に光開始剤ダロキュア1173(メルクジャパン(株)社製)を3%添加したもの)
「樹脂E」…伸び率300%(モノマー、M−5700(東亜合成(株)社製)に光開始剤ダロキュア1173(メルクジャパン(株)社製)を3%添加したもの)
「樹脂α」…伸び率0〜5%.値が小さいために測定誤差がこの位生じる。
(紫外線硬化型組成物、SD−1700(大日本インキ化学工業 (株)社製))
「樹脂β」…伸び率0〜5%.値が小さいために測定誤差がこの位生じる。
(紫外線硬化型組成物、XR−11(住友化学工業(株)社製))
なお、伸び率の測定方法はJISK−6301に記載された試験方法によるものである。
【0032】
[比較例1〜比較例7]
[比較例1〜比較例7]は、前述した[実施例1〜実施例8]の剥離防止層4と保護層3とに用いる樹脂が相違する。これ以外のディスクの構成は[実施例1〜実施例8]と同様である。図2に示すように、「比較例1」〜「比較例7」は剥離防止層4として「樹脂α,β,A,β,β,β,β,」を、保護層3として「樹脂β,α,α,B,C,D,E」を用いてなる。そして、「比較例1」〜 「比較例7」の剥離試験結果は、全て「NG」である。
【0033】
[比較例8〜比較例11]
[比較例8〜比較例11]は、図3に示した光ディスクAの構成における保護層3の厚さ及び樹脂を適宜選択したものである。光ディスクAの基板1は1.2mm厚のポリカーボネート、記録層2は70nm厚のアルミニウムで形成されている。図2に示すように、保護層3として、「比較例8」は8μm厚の「樹脂α」を用い、「比較例9」は8μm厚の「樹脂β」を用い、「比較例10」は16μm厚の「樹脂α」を用い、「比較例11」は16μm厚の「樹脂β」を用いてなる。そして、「比較例8」〜「比較例11」の剥離試験結果は、全て「NG」である。
【0034】
この結果、[実施例1〜実施例8]の剥離試験結果は全て「OK」であるのに対して、「比較例1」〜「比較例11」の剥離試験結果は全て「NG」である。よって、上記した剥離防止層4、保護層3を[実施例1〜実施例8]にあるような樹脂を用いることにより、剥離防止層4と記録層2とは常時安定した密着接着状態がえられ、基板1と記録層2との界面における剥離は完全に不可となり、基板1を利用した光ディスクAAの偽造を未然にしかも確実に防止することができる。
【0035】
以上のように、伸び率100%〜300%の樹脂からなる剥離防止層4と、伸び率5%以下の樹脂からなる保護層3を積層したものについてのみ剥離が認められず、剥離防止効果が認められる。なお、上述した剥離防止層4は最大伸び率300%の樹脂を用いたものしか示していないが、これ以上の伸び率(300%〜1000%)の樹脂を用いたものでも良いことは勿論である。樹脂は主剤であるモノマー及び硬化させるための重合開始剤からなる。例えば「樹脂E」においては、モノマーがM−5700、重合開始剤がダイキュア1173である。なお、「樹脂B」,「樹脂α」,「樹脂β」は開始剤を含んだ組成物である。本発明の最大の特徴である伸び率はモノマーの種類によって主に決定される。しかし、塗布性を考え粘度調整の目的で各種エチレン性不飽和樹脂を添加しても良い。しかしあくまでも本発明の範囲を逸脱しない量で添加すべきである。
【0036】
また必要に応じて各種ポリマーをバインダーとして添加してもよい。しかしあくまでも本発明の範囲を逸脱しない量で添加すべきである。
なお後述する実施例13のように、信号面サイドより読みとるタイプの光ディスクの場合は剥離防止層4と保護層3の透過率に留意しなければならない。すなわち読み取りや書き込みに使用する光は、ピックアップレンズを出射した後、この2つの層5を通過して記録層2に照射され、ここで反射され、再度2つの層5を通過してピックアップレンズに戻る。これら2つの層は記録再生に使用するレーザー波長で、充分透過することが必要であり、少なくとも70%以上必要である。この透過率を下回ると再生信号の出力が半減(0.7X0.7=0.49)して安定した再生が不可能になる。記録層2の材質によっては記録層2自身の反射率が低い場合もあるから、望ましくは90%以上の透過率が必要である。
【0037】
この透過率の測定には石英ガラスにこれら2層を同一膜厚で順に積層した試験片を用いることができる。石英ガラス単独の試験片も併せて用意し、赤外光から紫外光まで波長を選択できる透過型分光器でこれら2つの試験片の透過光量を測定して、それらの比から透過率を定義することができる。勿論選択する波長は記録または再生レーザーの波長であって、例えば830,780,690,650,635,532,430,410,370nmの波長やその近辺を用いる。
【0038】
また、各種エチレン性不飽和樹脂の例としては、単官能アクリレート(メタクリレート)、2官能アクリレート(メタクリレート)、3官能アクリレート(メタクリレート)、4官能アクリレート(メタクリレート)、6官能アクリレート(メタクリレート)などを挙げることができる。具体的には単官能アクリレートとして、2ーエチルヘキシルアクリレート、2ーヒドロキシエチルアクリレート、Nービニルピロリドン、t−ブチルアクリレート、イソボルニルアクリレート、2官能アクリレートとして、エチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、1、4ーブタンジオールジアクリレート、1、5ーペンタンジオールジアクリレート、1、6ーヘキサンジオールジアクリレート、1、10ーデカンジオールジアクリレート、3官能アクリレートとして、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、グリセロールトリアクリレート、4官能アクリレートとして、テトロメチロールメタンテトラアクリレート、6官能アクリレートとして、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートなどを挙げることができる。またこれらの官能基(アクリロイル基)をメタクリロイル基に置き換えたものでも可能である。
【0039】
また、重合開始剤は、実施例では紫外線硬化に対応した光開始剤とした。但し、ここで使用した重合開始剤はダロキュア1173(2ーヒドロキシー2ーメチルー1ーフェニルプロパンー1ーオン)に限定されるものではない。ベンジル、ベンゾイン、ベンゾフェノン、4−メトキシベンゾフェノン、ベンジルジメチルケタール、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ミルラーズケトン、アントラキノン、2−メチルアントラキノン、アセトフェノン、αα−ジクロルー4ーフェノキシアセトフェノン、p−tert−ブチルトリクロロアセトフェノン、メチルオルソベンゾイルベンゾエート、2ークロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントンでも使用可能である。これらの重合開始剤は紫外線硬化用として混合できるばかりではなく、γ線、電子線、マイクロ波硬化用としても混合して用いることができる。またこれらには必要に応じて重合促進剤として、アミン化合物を添加してもよい。
【0040】
なお、この重合開始剤を熱硬化用とするならば、先述の重合開始剤ではなく、一般的な重合用開始剤(例えばアゾビスイソブチロニトリルなど)を混合して用いる。
【0041】
ところで、特開平5ー81702号公報には、保護膜を2層にし、上層である高い表面硬度を有する表面層と、下層である密着性を有する内面層の構成が説明されている。この特許の構成は断面構造上、本発明に類似しているが、磁界変調式光磁気ディスクのCSS動作を良好にするため特に表面硬度を高くした表面層(鉛筆硬度HB以上)に特徴があり、実施例では鉛筆硬度でHと2Hの硬度が例示されている。そして内面層については、単に金属に対する密着性の優れた樹脂としてしか記載がなく、その物性や材料についてはなんら限定がない。実施例として挙げられているSD−101やSD−301は、光ディスクで一般的に用いられる保護膜であり、その伸び率は0〜5%の範囲であり、測定できないほど小さい。表面層、内面層とも伸び率についての言及がなく、両層の物性上のバランスと偽造防止につながる剥離性との関係についても示されていない。また実施例で行われている密着力試験はJIS−K5400であって、本発明で行っている試験方法に比べてずっと緩やかな条件のものである。以上述べたように本発明と従来技術とは根本的に目的、物性的構成、効果が異なるものである。
【0042】
(2)情報記録坦体製造方法
次に、上述した本発明になる情報記録坦体を製造する製造方法について説明する。以下の説明においては、本発明の要部である、記録層2上に剥離防止層4を形成する工程と、剥離防止層4上に保護層3を形成する工程とに絞って、詳述する。これ以外のディスク製造工程(基板1、記録層2形成工程)は周知のものであるので、その説明は省略する。
【0043】
さて、本発明になる情報記録坦体製造方法は、反射層である記録層2上に柔軟層である剥離防止層4を塗布する工程と、この剥離防止層4を硬化させる工程と、剥離防止層4上に保護層3を塗布する工程と、この保護層3を硬化させる工程の順であることが望ましい。剥離防止層4を硬化させる工程を省いたときには密着性が著しく低下することが実験で確かめられている。
【0044】
剥離防止層4及び保護層3を塗布する工程は、スピンコート法、バーコート法、ロールコート法、スプレー法、浸漬法、印刷が望ましい。以下、剥離防止層4に適応した場合の各工法の特徴を整理する。
スピンコート法は、回転数や回転時間を調整することで膜厚を容易に設定できるという利点がある。ただし剥離防止層4は粘度が高いために回転数を大きく設定することが必要になってきて、量産にはあまり向かない反面、従来の光ディスクラインの設備を共用できるという利点がある。バーコーター法は、バーの目の粗さと掃引速度で膜厚を決めることができ、装置が簡単で、速度も速い利点がある反面、目の痕跡が残りやすい欠点も合わせ持っている。ロールコータ法は、ロール間のギャップと回転速度で膜厚が決まり、高粘度でもスピードの速いライン構築が可能であり、更に表面粗さの最も小さい綺麗な層を形成することができる。スプレー法は、設備コストが最も安くできるが、表面粗さが大きくなる欠点や、作業環境が汚れやすいという欠点もある。浸漬法は、溶液に漬けて引き上げるだけで、これも設備コストが安くできるが、裏面にもついてしまうという欠点を持っている。印刷の場合(例えばスクリーン印刷)は高粘度でありながら高速で、しかも表面だけ、しかも綺麗に塗布できるという利点がある。また設備コストも比較的安くできる。
以上の長所短所を考慮して、利用者が塗布方法を選択すればよい。
【0045】
剥離防止層4、保護層3を硬化させる工程は、先例では紫外線としたがこれに限定されない。可視光やマイクロ波、γ線を含む放射線でも良く、また、電子線照射であっても良く、共に硬化が高速で行える。また剥離防止層4、保護層3を硬化させる工程は、オーブンなどでの加熱法でも良い。この場合は熱重合用の開始剤添加が必要になるが、50度〜150度程度の加熱で硬化を行うことができる。硬化時間は紫外線、電子線、マイクロ波照射に比べると10倍〜100倍かかるが、設備コストの安い製造方法である。なお加熱温度は高ければ高いほど硬化が短時間で済む。効果のはっきり認められる温度は50度以上である。また温度が高すぎると基板に反りが発生してしまい、信号読み取り性能に影響が発生する。ポリカーボネートの場合、融点が140度であるので、極めて短時間の加熱硬化であっても最大150度の温度であることが必要である。反りを考慮に入れると50度〜80度の温度範囲で硬化させるのが最も好ましい。硬化させる方法としては、一般的なヒーター加熱が使用できるが、赤外線加熱が直接的、スポット的に加熱できるという点で効果的である。
【0046】
以上、本発明について実施例1〜実施例8を示したが、これらは発明の基本骨格を示すための説明であり、本発明はこれに限定されるものではない。例えば保護層3の上に、印刷膜を施してもよい。また、記録層2、剥離防止層4、保護層3を、塗布する範囲を徐々に変えて、剥離防止層4が記録層2を、保護層3が剥離防止層4を包み込むように形成しても良い。また基板1の読み取り面側に、傷防止層や帯電防止層、あるいは、反り矯正層、透湿防止層を設けてもよい。
【0047】
上記実施例1〜実施例8ではCD−ROMに代表させ、再生専用光ディスクを元にして説明したが、いわゆる光磁気ディスク(例:MDデータなど)や相変化ディスク(例:PDなど)のような記録再生型光ディスクであっても良いし、追記型ディスク(CD−Rなど)であってもよい。その場合には記録層2は、それら記録機能を有する機能膜に置き換えることができる。また順次書き込みデーターを消去してゆくことで情報を変更してゆくディスクであってもよい。また貼り合わせ構造を持つディスク(DVD−ROM、DVD−RAM、DVD−Rなど)であってもよい。また、本発明を既存のコピープロテクト法と組み合わせて、高度なセキュリティーシステムとしてもよい。
【0048】
(3)情報記録坦体
次に、このような多種類のディスクに適用可能な本発明の情報記録坦体について、具体的に説明する。
即ち、ここで説明する本発明の情報記録坦体は、図1に示した光ディスクAAと同一の構成を備えており、微細パターン列1Aを有する信号面である基板1上に、反射膜である記録層2、剥離防止層4、保護層3を順次積層して構成される。
【0049】
この構成に加えて、特に、この記録層2を、光反射膜、光磁気膜、相変化膜、色素膜を少なくとも1つ含む単層又は積層構造体で構成したものである。また、これら光反射膜、光磁気膜、相変化膜、色素膜を使用する媒体(ディスク)としては、次のような再生専用媒体、光磁気媒体、相変化媒体、追記型色素媒体、追記型相変化媒体が上げられる。
【0050】
[再生専用媒体]
前記した光反射膜を使用する再生専用媒体としては、アルミニウム、金、銀、銅、ニッケル、クロム、シリコン、チタン、タンタルやこれらを主成分とする合金、そしてSiN、SiC、SiO、SiON、SiAlONなどを用いることができる。
【0051】
[光磁気媒体]
また、前記した光磁気膜を使用する光磁気媒体としては、TbFeCo、GdFeCo、DyFeCo、TbCo、TbFeなどの遷移金属と希土類の合金、コバルトと白金の交互積層膜を用いることができる。遷移金属はHo、Er、Yb、Luに置換しても良く、また、Bi、Snなどを添加しても良い。
【0052】
[相変化媒体]
さらに、前記した相変化膜を使用する相変化媒体としては、GeSbTe、GeTe、GeTeS、GeSnTe、GeSnTeAu、GeSeS、GeSeAs、SbTe、SbSeTe、SeTe、SeAs、InTe、InSe、InSb、InSbSe、InSbTe、AgInSbTe、CuAlTeSbなどのカルコゲン系合金を用いることができる。
【0053】
[追記型色素媒体]
さらにまた、前記した色素膜を使用する追記型色素媒体としては、シアニン色素、フタロシアニン色素、ナフタロシアニン色素、アゾ色素、ナフトキノン色素などを用いることができる。
【0054】
[追記型相変化媒体]
さらにまた、前記した相変化膜を使用する追記型相変化媒体としては、テルル、ビスマス、TeO、TeCなどの低融点金属や合金を用いることができる。
なお、これら光磁気媒体、相変化媒体、追記型色素媒体、追記型相変化媒体に、再生出力向上の目的で、光学干渉膜(SiN、SiO、ZnS、ZnSSiO、AlO、MgF、InO、ZrOなど)や光反射膜(アルミ、金など)を併用して積層してもよい。また、高密度記録再生を行うために、公知の超解像マスク膜やコントラスト増強膜を併用して積層しても良い。
【0055】
次に、前記した光磁気媒体、相変化媒体、追記型色素媒体、追記型相変化媒体を記録層2として用いた各種のディスク実施例を示す。
[実施例9]
光磁気ディスクで説明する。
基板1はアクリル、1.2mm厚である。その表面には微細パターン(グルーブ線幅1.0μm、トラックピッチ1.6μm)1Aが情報として刻まれている。その信号面上に記録層2として光磁気膜TbFeCoが90nm、更に光学干渉膜SiOが80nm、共にスパッタ法で形成されている。剥離防止層4の成膜を樹脂Bにてスプレー法で行い、膜厚を20μmとした。硬化方法は実施例1と同じである。続いて保護膜3の材料、成膜方法、硬化方法を実施例1と同じ内容で行って、ディスクを完成させた。先と同じ剥離試験を行ったところ、OKであった。
【0056】
[実施例10]
相変化ディスクで説明する。
基板1材料はポリカーボネートとポリスチレンのブレンド品、1.2mm厚である。その表面には微細パターン(クルーブ線幅0.4μm、トラックピッチ1.6μm)1Aが情報として刻まれている。その信号面上に記録層2として、相変化膜AgInSbTe100nmがスパッタ法で形成されている。剥離防止層4の成膜方法をバーコート(膜厚15μm)とした他は実施例3と同じ内容で剥離防止層4、保護層3を形成した。先と同じ剥離試験を行ったところ、OKであった。
【0057】
[実施例11]
追記型ディスク、CD−Rで説明する。
基板1はポリカーボネート、1.2mm厚である。その表面には微細パターン (グルーブ線幅0.6μm、トラックピッチ1.6μm)1Aが情報として刻まれている。その信号面上に記録層2として、スピンコート法で追記型色素膜アゾ系色素150nm及び光反射膜として蒸着法で銀が60nm形成されている。剥離防止層4の材料はモノマーCL−50に熱硬化剤アゾビスイソブチロニトリルを5%添加したものとし、ロールコートで9μm塗布した。硬化は70℃のオーブンの中をコンベア搬送しながら30分で硬化させた。そして保護膜は樹脂βをスピンコートで7μmに塗布し、実施例1と同じ紫外線ランプで硬化させた。先と同じ剥離試験を行ったところ、OKであった。
【0058】
[実施例12]
追記型ディスク、CD−Rで説明する。
基板1はポリカーボネート、1.2mm厚である。その表面には微細パターン (グルーブ線幅0.6μm、トラックピッチ1.6μm)1Aが情報として刻まれている。その信号面上に記録層2として、スピンコート法で追記型色素膜シアニン系色素120nm及び光反射膜がスパッタ法で金が70nm形成されている。剥離防止層4の材料は樹脂Bとし、スピンコートで12μm塗布した。それをマイクロ波照射5分で硬化させた。そして保護膜3は樹脂βをスピンコートで7μmに塗布し、実施例1と同じ紫外線ランプで硬化させた。先と同じ剥離試験を行ったところ、OKであった。
【0059】
[実施例13]
再生専用型ディスクであって、信号面サイドより読み取る超高密度ディスクで説明する。
基板1はポリカーボネート、1.2mm厚である。その表面には微細パターン (線幅0.15μm、10種類の長さのピット、トラックピッチ0.4μm)1Aが情報として刻まれている。その信号面上に記録層2としてスパッタ法で光反射膜AlTiが60nm形成されている。剥離防止層4の材料は樹脂Cをそのまま用い、スクリーン印刷で30μm塗布した。硬化は実施例1と同じ紫外線ランプで硬化させた。この塗布と硬化を重ねて合計3回行い、更に保護膜3として樹脂βをスピンコートで10μmに塗布し、実施例1と同じ紫外線ランプで硬化させた。先と同じ剥離試験を行ったところ、OKであった。なお、この時、同じ剥離防止層4、保護膜3を積層した石英ガラスを用意し、波長532nmの光ビームの透過率を測定したところ、82%であった。
【0060】
[実施例14]
短波長対応光磁気ディスクで説明する。
基板1はガラス、1.2mm厚である。その表面には微細パターン(グルーブ線幅0.4μm、トラックピッチ0.9μm)1Aが情報としてエッチングで刻まれている。その信号面上に記録層2として、光磁気媒体コバルト(0.5nm)白金(0.5nm)が交互に20層ずつスパッタ法で積層形成されている。剥離防止層4を樹脂Dにてスプレー法で行い、膜厚を20μmとした。硬化は電子線を30秒間連続照射して行った。続いて保護膜3の材料、成膜方法、硬化方法を実施例1と同じ内容で行ってディスクを完成させた。先と同じ剥離試験を行ったところ、OKであった。
【0061】
[実施例15]
短波長対応光磁気ディスクで説明する。
基板1材質はアモルファスポリオレフィンの一種である商品名ゼオネックス280、1.2mm厚である。その表面には微細パターン(グルーブ線幅0.4μm、トラックピッチ0.9μm)1Aが情報として刻まれている。その信号面上に記録層2として、光学干渉膜SiN80nm、光磁気膜NdFeCo90nm、SiN80nm、光反射膜AlTa80nmがスパッタ法で形成されている。剥離防止層4、及び保護膜3は実施例2と同じ内容で行ってディスクを完成させた。先と同じ剥離試験を行ったところ、OKであった。
【0062】
[実施例16]
高密度光磁気ディスクASMOで説明する。
基板1はポリカーボネート、0.6mm厚(ただしセンタークランプ部は1.2mm)である。その表面には微細パターン(グルーブ線幅0.3μm、トラックピッチ0.6μm)1Aが情報として刻まれている。その信号面上に記録層2が光学干渉膜SiN80nm、光磁気膜GdFeCo40nm、光磁気媒体TeFeCo60nm、光学干渉膜SiN60nm、光反射膜AlTi70nmがスパッタ法で形成されている。剥離防止層4は樹脂Dにモノマー1.6ヘキサンジオールジアクリレートを10%添加して粘度を下げたものをスピンコートで7μm塗布した。硬化方法は実施例1と同じである。また保護膜3の材料、成膜方法、硬化方法は実施例1と同じ内容で形成した。更に基板の読み取り面側に反り矯正及び透湿防止用にSiOをスパッタ法で形成した。先と同じ剥離試験を行ったところ、OKであった。
【0063】
[実施例17]
貼り合わせ型相変化ディスクDVD−RAMで説明する。
基板1はポリカーボネート、0.6mm厚である。その表面には微細パターン (グルーブ線幅0.7μm、トラックピッチ1.48μm)1Aが情報として刻まれている。この基板1を2枚用意し、それぞれの信号面上に記録層2がスパッタ法で、光学干渉膜ZnSSiO90nm、相変化膜GeSbTe20nm、光学干渉膜ZnSSiO20nm、光反射膜AlCr150nmを形成した。剥離防止層4、保護膜3は各々実施例8と同じ内容で形成した。更に2つの半ディスクを貼り合わせるに当り、片側の保護膜3面上にスクリーン印刷でSK−7000(ソニーケミカル製)を30μm印刷し、紫外線を500mJ照射した。そして他方のディスクを重ね合わせ、プレスした。この貼り合わせディスクを縦置きで24時間エージングし、ディスクを完成させた。カッターナイフを用いて2つの半ディスクに分解したものについて、先と同じ剥離試験を行ったところ、OKであった。
【0064】
[実施例18]
貼り合わせ型ディスクDVDの再生専用2層タイプで説明する。
基板1はポリカーボネート、0.6mm厚である。その表面には微細パターン (線幅0.3μm、10種類の長さのピット、トラックピッチ0.74μm)1Aが情報として刻まれている。この基板1を2枚用意した。1枚には信号面上に記録層2がスパッタ法で、光反射膜金14nmを形成し、もう1枚には同様に光反射膜としてスパッタ法でアルミニウムを主成分とする合金、A6061を60nm形成した。そしてそれぞれの記録層2上にスピン法で樹脂Eを15μm形成し、実施例1と同じ方法で硬化させた。片側の半ディスクをスピナーで低速回転させながら、保護膜兼接着剤として樹脂αを塗布し、回転中に他の半ディスクを気泡が入らないように重ね合わせ、続いて1500rpmで回転させ余剰の樹脂を振り切った。そしてこれに金を形成した基板側より紫外線を1000mJ照射して接着してディスクを完成させた。金とA6061の間の樹脂の厚みは合計45μmとなった。この貼り合わせディスクをカッターナイフを用いて2つの半ディスクに分解したものについて、先と同じ剥離試験を行ったところ、OKであった。
【0065】
[実施例19]
貼り合わせ型ディスクDVDの再生専用2層タイプで説明する。
基板1はポリカーボネート、0.6mm厚である。その表面には微細パターン (線幅0.3μm、10種類の長さのピット、トラックピッチ0.74μm)1Aが情報として刻まれている。この基板1を2枚用意した。1枚には信号面上に記録層2が光反射膜SiN40nmをスパッタ法で形成し、もう1枚には同様に光反射膜としてスパッタ法でクロムを100nm形成した。そしてそれぞれの記録層2上にスピン法で樹脂Eを20μm形成し、実施例1と同じ方法で硬化させた。片側の半ディスクをスピナーで低速回転させながら、保護膜3兼接着剤として樹脂βを塗布し、回転中に他の半ディスクを気泡が入らないように重ね合わせ、続いて2000rpmで回転させ余剰の樹脂を振り切った。そしてこれにSiNを形成した基板側より紫外線を1000mJ照射して接着してディスクを完成させた。SiNとクロム間のの樹脂の厚みは合計45μmとなった。この貼り合わせディスクをカッターナイフを用いて2つの半ディスクに分解したものについて、先と同じ剥離試験を行ったところ、OKであった。
【0066】
【発明の効果】
上述した構成を有する本発明は、基板と記録層の界面において記録層が剥離することがなく、この基板上に形成されてある微細パターン列の物理的なコピー(偽造)を確実に防止することができる構造を有する情報記録坦体及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の情報記録坦体の構造を説明するための図である。
【図2】実施例1〜実施例8、比較例1〜比較例11における剥離試験結果を説明するための図である。
【図3】光ディスクの構造を説明するための図である。
【符号の説明】
1 基板
1A 微細パターン列
2 記録層
3 保護層
4 剥離防止層
5 層
A,AA 光ディスク
B,C,D,E,α,β 樹脂
Claims (12)
- 微細パターン列を有する基板上に、記録層と、剥離防止層と、保護層とを順次積層し、
前記剥離防止層は、JISK−6301記載の試験方法による伸び率が下限100% 、 上限300%の樹脂からなり、
前記保護層は、前記試験方法による伸び率が5%以下の樹脂からなることを特徴とする情報記録坦体。 - 請求項1記載の情報記録坦体であって、
前記記録層は、光反射膜、光磁気膜、相変化膜、色素膜を少なくとも1つ含む単層又は積層構造体でなることを特徴とする情報記録坦体。 - 請求項2記載の情報記録坦体であって、
前記光反射膜は、アルミニウム、金、銀、シリコン、チタン、タンタル、クロム、又は、アルミニウム、金、銀、シリコン、チタン、タンタル、クロムを含む合金のいずれかでなることを特徴とする情報記録坦体。 - 請求項2記載の情報記録坦体であって、
前記光磁気膜は、TbFeCo、GdFeCo、NdFeCo、コバルト、白金を少なくとも1つ含んでなることを特徴とする情報記録坦体。 - 請求項2記載の情報記録坦体であって、
前記相変化膜は、GeSbTe、AgInSbTeを少なくとも1つ含んでなることを特徴とする情報記録坦体。 - 請求項2記載の情報記録坦体であって、
前記色素膜は、シアニン色素、アゾ色素を少なくとも1つ含んでなることを特徴とする情報記録坦体。 - 請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の情報記録坦体であって、
前記剥離防止層は、放射線硬化樹脂、熱硬化樹脂、電子線硬化樹脂を少なくとも1つ含んで硬化させたものであることを特徴とする情報記録坦体。 - 請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の情報記録坦体であって、前記剥離防止層と前記保護層を合わせた層の光線透過率が70%以上であることを特徴とする情報記録坦体。
- 微細パターン列を有する基板上に記録層と剥離防止層と保護層とを順次積層した情報記録坦体を製造する情報記録坦体の製造方法であって、
前記記録層上に、樹脂を塗布する工程と、
次に、前記記録層上に塗付した樹脂を硬化して、JISK−6301記載の試験方法による伸び率が下限100%、上限300%である前記剥離防止層を形成する工程と、
次に、前記剥離防止層上に、樹脂を塗布する工程と、
次に、前記剥離防止層上に塗布した樹脂を硬化して、前記試験方法による伸び率が5%以下である前記保護層を形成する工程とを有することを特徴とする情報記録坦体の製造方法。 - 前記記録層上に剥離防止層となる樹脂を塗布する工程は、スピンコート法、バーコート法、ロールコート法、スプレー法、浸漬法、印刷のいずれかの方法を用いて行われることを特徴とする請求項9記載の情報記録坦体の製造方法。
- 前記記録層上に塗付した樹脂を硬化して前記剥離防止層を形成する工程は、放射線照射、電子線照射、ベーキングのいずれかの方法、またはこれらの方法を複合して行われることを特徴とする請求項9記載の情報記録坦体の製造方法。
- 前記ベーキングは、50度〜150度のヒーター加熱、または赤外線加熱であることを特徴とする請求項11記載の情報記録坦体の製造方法。
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