JP2957425B2 - 光磁気ディスクおよびその製造方法 - Google Patents

光磁気ディスクおよびその製造方法

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JP2957425B2 JP26823994A JP26823994A JP2957425B2 JP 2957425 B2 JP2957425 B2 JP 2957425B2 JP 26823994 A JP26823994 A JP 26823994A JP 26823994 A JP26823994 A JP 26823994A JP 2957425 B2 JP2957425 B2 JP 2957425B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光磁気ディスクとその
製造方法とに関する。
【0002】
【従来の技術】大容量情報担持媒体として光ディスクが
注目されている。このなかには、磁界変調方式の光磁気
ディスクがあり、データファイル等への応用が期待され
ている。磁界変調方式では、光ヘッドからレーザー光を
ディスクの記録膜にDC的に照射してその温度を上昇さ
せておき、これと同時に、変調された磁界を光ヘッドの
反対側に配置した磁気ヘッドから記録膜に印加し、記録
を行なう。従って、この方式ではオーバーライト記録が
可能である。
【0003】最近、コンパクトディスク(CD)と同等
(1.2〜1.4m/s)の低い線速度で記録・再生が
可能な磁界変調方式の光磁気ディスク(ミニディスク)
が実用化されている。この光磁気ディスクは、CDに準
じた規格の再生専用光ディスクと駆動装置を共用するこ
とが可能である。この光磁気ディスクの駆動装置は携帯
型としての用途も考えられているが、この場合、消費電
力を抑えることが要求される。しかし、磁界変調型の光
磁気ディスクでは光ヘッドの他に記録用磁気ヘッドが必
要であり、一般に消費電力が多くなってしまう。したが
って、低磁界で記録可能な磁界感度の高いディスクが望
まれている。低磁界で記録可能であれば消費電力が少な
くなるので、バッテリを小さくすることもできる。さら
に、磁気ヘッドのコイル巻数を少なくできるなど、磁気
ヘッドの設計上も有益である。
【0004】しかし、従来の光磁気ディスク、例えばI
SO準拠の3.5インチ光磁気ディスクでは、一般に十
分なC/Nを得るためには200 0e以上の記録磁界
が必要である。一方、上記したミニディスクでは、消費
電力を抑えるために記録磁界を100 0e以下、好ま
しくは80 0e以下に抑えることが望ましく、このよ
うな弱磁界強度で46dB以上のC/Nを得る必要があ
る。さらに、将来的には、記録磁界強度60 0eで4
6dB以上のC/Nを得ることが要望されている。
【0005】さらに、ミニディスクは、屋外での使用が
重視されているため、高温や高湿に対するいっそうの耐
性が必要である。また、一方では、ミニディスクはコン
ピュータ用のデータディスクとしても利用され始めてい
るため、データ保全性をいっそう向上させることも要求
される。
【0006】特開平4−313835号公報では、「基
板上に少なくとも希土類−遷移金属合金薄膜と誘電体膜
とを順次成膜する光磁気記録媒体の製造方法において、
前記希土類−遷移金属合金薄膜を成膜した後、少なくと
も酸素ガスもしくは酸素を一構成元素とする化合物のガ
スを含む放電状態の雰囲気中に基板を保持する」方法を
提案しており、これにより低記録磁界下で高C/Nが得
られるとしている。しかし、周知のように希土類は極め
て酸化されやすい材料であり、本発明者らの実験によれ
ば、酸素を構成元素とする化合物のガス(CO等)を
適量に制御することが極めて難しく、目的とする特性を
安定して得るのは困難であった。また、希土類−遷移金
属合金の磁性層中に酸素を含ませた場合、信頼性に悪影
響を及ぼす可能性が大きい。
【0007】この他、「Recording fiel
d sensitivity ofmagneto−o
ptical disks usingvery th
in exchange−coupled film
s」{Ichitani et al.,J.Mag
n.Soc.Jpn.,Vol.17,Supplem
ent No.S1(1993),pp.196−20
0}では、記録膜としてGdFeCoとTbFeCoと
の積層膜を用いることにより、磁界変調方式に好適な高
磁界感度が得られるとしているが、この方法では工数が
増加し、低コスト化が難しい。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、磁界感度が
高く、しかも信頼性が高い光磁気ディスクと、磁界感度
が高く、しかも再生の安定性が良好な光磁気ディスクと
を、安価に提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】このような目的は下記
(1)〜(4)のいずれかの構成により達成される。 (1)透明基板上に、第一の誘電体膜、希土類元素−遷
移元素合金の記録膜および第二の誘電体膜をこの順で有
し、記録膜と第二の誘電体膜との間に中間膜を有し、第
二の誘電体膜が少なくとも1種の金属元素および窒素を
含有し、中間膜がCoまたはNiを成膜したものであ
り、中間膜の厚さが1〜18Åであり、中間膜が含む金
属元素と第二の誘電体膜が含む金属元素とが異なる光磁
気ディスク。 (2)第二の誘電体膜が金属の窒化物であるか、または
金属の窒化物に加え、金属の酸化物、炭化物および硫化
物の少なくとも1種を含む混合物である上記(1)の光
磁気ディスク。 (3)第二の誘電体膜上に反射膜を有する上記(1)ま
たは(2)の光磁気ディスク。 (4)上記(1)〜(3)のいずれかの光磁気ディスク
を製造する方法であって、中間膜を希ガス雰囲気中でス
パッタ法により形成することを特徴とする光磁気ディス
クの製造方法。
【0010】
【作用および効果】本発明では、記録膜と第二の誘電体
膜との間に中間膜を設ける。この中間膜は所定の金属を
成膜したものであり、中間膜が含む金属元素と、隣接す
る第二の誘電体膜が含む金属元素とは異なる。
【0011】この中間膜は、第二の誘電体膜構成元素と
記録膜構成元素との相互拡散を抑制する作用を有し、こ
の作用により、第二の誘電体膜との界面付近における記
録膜の磁気特性劣化が抑えられ、低磁界下での記録にお
けるC/Nが向上する。第二の誘電体膜との界面付近に
おける記録膜の磁気特性劣化は、第二の誘電体膜形成時
に第二の誘電体膜から記録膜中に拡散する窒素原子に起
因すると考えられる。また、第二の誘電体膜を反応性ス
パッタ法により形成する場合、反応性ガス(特に窒素ガ
ス)に由来する原子やイオンが記録膜にダメージを与
え、低磁界下での記録におけるC/Nが著しく劣化する
が、中間膜を設けることによりこのようなダメージを防
ぐことができる。
【0012】また、中間膜がCoまたはNiを成膜した
ものであれば、再生時の安定性が良好となる。前述した
ように、ミニディスクでは省電力化が要求され、このた
めに印加磁界やレーザー光に対する感度を向上させる必
要がある。しかし、他方、ミニディスクをコンピュータ
用のデータディスクとして用いる場合には、いったん記
録された情報が外部からの磁界や加熱によって誤消去さ
れることを防ぐ必要がある。本発明において、中間膜が
CoまたはNiを成膜したものであるので、例えば、再
生用レーザー光を照射しているときに外部から磁界が印
加された場合でも情報が消去されにくいため、安定した
再生が可能となる。
【0013】なお、特開平5−258368号公報に
は、「基板上に、干渉層、希土類−遷移金属アモルファ
ス合金からなる記録層、膜厚が10〜30Åの範囲にあ
る金属または半導体からなる熱伝導層、誘電体層および
反射層が順次積層されてなることを特徴とする光磁気記
録媒体」が記載されている。この光磁気記録媒体の熱伝
導層は、金属からなる点および厚さの点で本発明におけ
る中間膜と類似しているが、同公報において熱伝導層の
具体例として挙げられているのは、Al、Ag、Au、
Cu、Si、グラファイトであり、本発明とは異なる。
すなわち、同公報に具体的に示されている熱伝導層材料
を用いた場合には、本発明による信頼性の向上や再生の
安定性は実現しない。また、同公報には、外部磁界強度
100 0e以下でのC/Nの具体値は記載されていな
いので、磁界感度向上効果についても例証されていると
はいえない。
【0014】また、前述した特開平4−313835号
公報には、磁性膜が成膜された基板を、酸素ガスまたは
酸素を含む化合物ガスを1.6×10−5〜1×10
−3Torr程度含む放電状態の雰囲気中に保持するこ
とにより、磁性膜上部に酸素を含む組成の層が形成さ
れ、この層が誘電体膜に由来する元素(NやN等)の
磁性膜への混入を防止すると推測される旨の記述があ
る。磁性膜への窒素の混入を防ぐという点では同公報記
載の発明は本発明と類似するが、前述したように、酸素
ガス等を含む放電状態の雰囲気中に磁性膜を保持する方
法では、目的とする特性を安定して得るのは困難であ
る。
【0015】また、特公平5−32816号公報では、
記録層形成後、記録層用ターゲットを酸素含有雰囲気中
でスパッタするか、酸化物ターゲットをスパッタするこ
とにより、30〜100Åの厚さを有し、0.1〜20
原子%の酸素原子を含有する耐腐食性層を形成する提案
がなされている。この提案は記録層の腐食を防ぐことを
目的としており、同公報にはC/Nに関する記載はな
い。同公報記載の方法のように酸素含有雰囲気中でのス
パッタあるいは酸化物ターゲットを使ったスパッタによ
り記録層上に成膜する方法では、本発明の効果は実現し
ない。
【0016】また、特開平4−252443号公報で
は、記録膜表面を酸素プラズマにより変性して、記録膜
の腐食を防ぐ提案がなされている。同公報の実施例で
は、酸素ガスを導入して反応性スパッタエッチングし、
厚さ約50Åの変性酸化膜を形成している。同公報には
47dBのC/Nが得られた旨の記載があるが、100
0e以下の低磁界下でのC/N向上については記載がな
い。この方法においても本発明の効果は実現しない。
【0017】本発明では、これら従来の方法と異なり希
ガス中でのスパッタにより中間膜を形成するので、低磁
界下で安定して高いC/Nを得ることができる。
【0018】特開平2−297738号公報には、「通
気性を有するプラスチック成形ディスク上に、Si
、Al等の酸化物もしくはAlN、Si
等の窒化物から成る保護層を形成し、この保護層上に
光磁気記録膜層を形成し、さらにこの記録層の上に上記
と同じ保護層を形成して成る光磁気媒体において、前記
保護層と記録層の間にそれぞれTiもしくはZrの中間
層を形成した」情報記録用光ディスクが開示されてい
る。同公報記載の中間層は、ゲッタ作用により水蒸気お
よび酸素の透過を防ぐために設けられている。同公報に
は、透過を効果的に防止するために中間層の厚さを30
Å以上とすることが好ましい旨が記載されており、実施
例では50〜100Åとしている。
【0019】また、特開昭61−115258号公報に
は、「REを希土類元素から選ばれた一種以上の元素と
し且つTMを遷移金属元素から選ばれた一種以上の元素
とし、RE−TM系合金の非晶質膜を記録層とした光磁
気記録用媒体において、Ti、CrおよびAlから選ば
れた一種類以上の金属からなる層が前記非晶質膜上に表
面層として被着されている」光磁気記録用媒体が開示さ
れている。同公報の実施例では、厚さ100nmの金属
保護膜を表面層として設けている。同公報には、金属保
護膜の厚さの範囲は開示されていない。この金属保護膜
は、酸素のゲッタとなって記録層への酸素の侵入を防止
するものである。同公報には、表面層の上にさらに誘電
体膜を形成することは開示されていない。
【0020】また、特開平2−96951号公報には、
「保護層に少なくとも金属保護層を有する光磁気記録媒
体において、該金属保護層がRe、Cr、Taからなる
群より選ばれた1種以上の元素MとTiとのチタン合金
からなる」光磁気記録媒体が開示されている。同公報に
は、この金属保護層が、誘電体膜からの酸素、窒素、フ
ッ素、水分等の記録層への侵入を抑える作用をもつ旨が
記載されている。同公報の実施例では、基板側の誘電体
層と光磁気記録層との間に厚さ約15Åのチタン合金膜
を、また、光磁気記録層の上には厚さ約500Åのチタ
ン合金膜を形成している。また、同公報の比較例では、
光磁気記録層の上に厚さ約500Åのチタン膜を形成し
ている。しかし、同公報には、光磁気記録層の上に形成
するチタン合金膜やチタン膜の厚さ範囲は開示されてい
ない。
【0021】これら各公報に開示されている中間層や金
属保護層は、記録層への酸素や水分等の侵入を防ぐため
のものであり、そのために記録層上に30〜1000Å
の厚さに形成することが必要とされている。一方、本発
明で記録膜上に中間膜を設けるのは磁界感度を向上させ
るためであり、30Å以上の厚さでは磁界感度向上効果
が著しく低下してしまう。
【0022】この他、特開昭62−43848号公報に
は、「非磁性基板上に、垂直磁化膜の保磁力を増大させ
る歪異方性を誘起するような軟磁性層よりなる下地層を
介して、希土類と遷移金属を主体とする垂直磁化膜を形
成し、さらに上記、垂直磁化膜上に軟磁性膜を形成し
た」光磁気記録媒体が開示されている。同公報記載の軟
磁性膜は、垂直磁化膜から生ずる磁束を閉じさせること
により、書き込んだ磁区を安定させるものである。同公
報の実施例では、垂直磁化膜の上下に厚さ20ÅのFe
膜を形成しているが、誘電体膜は形成していない。同公
報には、垂直磁化膜上に形成される軟磁性膜の厚さ範囲
の開示はない。
【0023】
【具体的構成】以下、本発明の具体的構成について詳細
に説明する。
【0024】図1に、本発明の光磁気ディスクの構成例
を示す。同図において、光磁気ディスク1は、透明基板
2表面上に、第一の誘電体膜4、記録膜5、第二の誘電
体膜6、反射膜7および保護コート8を有し、記録膜5
と第二の誘電体膜6との間に中間膜9が設けられてい
る。
【0025】本発明の光磁気ディスクに対し記録および
再生を行なう際には、光学ヘッドは透明基板2の裏面側
(図中下側)に位置し、透明基板を通してレーザー光が
照射される。透明基板には、ガラスやポリカーボネー
ト、アクリル樹脂、非晶質ポリオレフィン、スチレン系
樹脂等の透明樹脂が用いられる。
【0026】第一の誘電体膜4および第二の誘電体膜6
は、C/Nの向上および記録膜の腐食防止作用を有す
る。第一の誘電体膜の厚さは40〜200nm程度、第
二の誘電体膜の厚さは10〜100nm程度とされる。
第一の誘電体膜は、金属の窒化物、酸化物、炭化物およ
び硫化物の1種からなるか、これらの2種以上を含む混
合物であることが好ましい。第二の誘電体膜は、金属の
窒化物であるか、または金属の窒化物に加え、金属の酸
化物、炭化物および硫化物の少なくとも1種を含む混合
物であることが好ましい。この場合、金属としてはS
i、Al、Zn、あるいはこれらにLa、Ce、Nd、
Y等を加えたものが好ましい。また、NはO、C、Sと
の総計中30〜100原子%であることが好ましい。第
二の誘電体膜をこのような構成とすることにより、高磁
界感度でかつ高C/Nが得られ、記録膜の劣化も少なく
なる。各誘電体膜は少なくとも1種の金属元素を含有す
るが、その組み合わせは特に限定されない。第一の誘電
体膜と第二の誘電体膜とは、構成元素が同一である必要
はない。
【0027】記録膜5には、変調された熱ビームあるい
は変調された磁界により情報が磁気的に記録され、記録
情報は磁気一光変換して再生される。本発明の光磁気デ
ィスクは、通常、磁界変調方式に適用される。記録膜5
は、希土類元素および遷移元素を含有する合金である。
希土類元素としては、Tb、Dy、Nd、Sm、Prお
よびCeから選択される少なくとも1種の元素が好まし
く、遷移元素としては、Feを必須とし、さらにCoが
含まれることが好ましい。各元素の具体的含有量は、要
求されるキュリー温度、保磁力、再生特性等に応じて適
宜決定すればよいが、希土類元素をRとし原子比組成を
FeOCとしたとき、通常、 であることが好ましい。また、これらの元素に加え、さ
らにCrやTi等の各種元素が必要に応じて添加されて
いてもよいが、記録膜中におけるこれらの添加元素の含
有量は12原子%以下とすることが好ましい。添加元素
としては特にCrおよび/またはTiが好ましく、これ
らが合計で1〜10原子%含まれていることが好まし
い。具体的組成としては、例えば、Tb−Fe−Co
や、Tb−Fe−Co−Cr、Tb−Fe−Co−T
i、Tb−Fe−Co−Cr−Ti、Dy−Tb−Fe
−Co、Nd−Dy−Fe−Co等が挙げられる。記録
膜5の層厚は、通常、10〜100nm程度とする。
【0028】中間膜9は、CoまたはNiを成膜したも
のである。中間膜はCoまたはNiを成膜したものであ
るので、再生の安定性が優れた光磁気ディスクが得られ
る。
【0029】中間膜の厚さの下限は、1Å、好ましくは
2Åである。また、厚さの上限は、18Å、好ましくは
10Å、より好ましくは9Åである。中間膜を適当な厚
さとすることにより、80 0e以下の低磁界強度で4
6dB以上の十分なC/Nを得ることが可能となる。中
間膜が薄すぎると、低磁界下で記録したときのC/Nが
著しく低くなってしまうので、磁気ヘッドの負担が増大
して消費電力が増えてしまう。中間膜が厚すぎると、低
磁界下でのC/N向上効果が著しく低くなってしまう。
【0030】なお、本明細書において、各膜の厚さはス
パッタレートとスパッタ時間とから算出する。膜厚算出
に用いるスパッタレートは、実際の成膜の際の条件と同
じ条件で長時間スパッタを行なって厚い膜を形成してそ
の厚さを実測により求め、この厚さとスパッタ時間とか
ら算出する。
【0031】中間膜は金属を成膜したもの、例えば、後
述するように金属ターゲットをスパッタして成膜したも
のであるが、例えば、オージェ電子分光法などにより中
間膜付近の元素分析を行なった場合、誘電体膜に含まれ
る元素や記録膜に含まれる元素、あるいは、各膜を形成
するときの雰囲気中に含まれるアルゴンや酸素、窒素な
どの不純物が、通常、検出される。中間膜は極めて薄い
ため、拡散により誘電体膜から中間膜に侵入した元素の
中間膜中での比率が、他の混入元素に比べ比較的高くな
るが、本発明はこのような場合も包含する。中間膜の厚
さはスパッタレートとスパッタ時間とから算出されるも
のなので、例えば厚さが1〜2Å程度と薄いと実質的に
は膜状化していない場合もあると考えられる。しかし、
計算上、1〜2Åの厚さの膜が形成されるような成膜操
作を行なえば、実際には膜状化していない場合でもC/
N向上効果は十分に実現する。
【0032】誘電体膜の形成には、スパッタ法を用いる
ことが好ましい。通常のスパッタ法を用いた場合でも反
応性スパッタ法を用いた場合でも、本発明の効果は実現
する。なお、La、Si、OおよびNを含む誘電体膜
(LaSiON膜)など酸素および窒素を含む誘電体膜
は、通常、スパッタ法により形成するが、酸化物ターゲ
ットを用いて、窒素を含む雰囲気中で反応性スパッタ法
により形成することもできる。膜中におけるN量が15
原子%以上となる条件で第二の誘電体膜を形成したとき
に、本発明は特に効果が高い。
【0033】中間膜の形成は希ガス雰囲気中で行ない、
真空槽中に酸素を導入しないが、通常、真空槽中には極
微量の酸素が残存している。このため、オージェ電子分
光法などにより元素分析を行なうと、誘電体膜が酸化物
を含まない場合でも中間膜付近で酸素が検出される。そ
して中間膜の形成方法によっては、中間膜と記録膜との
界面付近で酸素含有率がやや増加することがある。本発
明では、このような場合でも、前記界面付近における酸
素含有率の最大値が好ましくは25原子%以下、より好
ましくは20原子%以下となるようにする。酸素含有率
の最大値を低く抑えることにより、信頼性および繰り返
し耐久性が良好となり、高磁界下、高温度下での記録に
おいても安定して高C/Nが得られるようになる。これ
に対し酸素含有率が高すぎる場合、記録膜中の希土類元
素が選択的に酸化されて記録膜の保磁力が低くなってい
るので、高磁界下や高温度下での記録に際して、隣接ト
ラックに影響が及びやすい。なお、本発明では低磁界下
での記録において高C/Nを得ることを目的としている
が、記録媒体として用いる場合には、高磁界下での記録
においても高特性を保証する必要がある。
【0034】膜中への酸素の混入を抑えるためには、真
空槽の到達圧力をできるだけ低くすることが好ましい
が、酸素含有率が上記範囲であれば十分な性能が得られ
るので、真空槽の到達圧力は1×10−4Pa以下とす
れば十分である。
【0035】これらの他、スパッタ条件は特に限定され
ず、公知の通常の条件で行なえばよい。
【0036】反射膜7は必須ではないが、C/N向上の
ためには設けることが好ましい。反射膜7を構成する材
質は、Au、Ag、Pt、Al、Ti、Cr、Ni、C
o等の金属、あるいはこれらの合金、あるいはこれらの
化合物であることが好ましい。反射膜7は、スパッタ法
により形成することが好ましい。反射膜7の層厚は30
〜200nm程度とすることが好ましい。
【0037】保護コート8は、反射膜7までのスパッタ
積層膜の保護のために設けられる樹脂膜である。保護コ
ート8を構成する樹脂は特に限定されないが、放射線硬
化型化合物の硬化物であることが好ましい。放射線硬化
型化合物としてはアクリル基を有するものが好ましく、
これと光重合増感剤ないし開始剤とを含有する塗膜を、
紫外線や電子線により硬化して保護コートを形成するこ
とが好ましい。保護コート8の厚さは、通常、1〜30
μm、好ましくは2〜20μmとする。膜厚が薄すぎる
と一様な膜を形成することが困難となり、耐久性が不十
分となってくる。また、厚すぎると、硬化の際の収縮に
よりクラックが生じたり、ディスクに反りが発生しやす
くなってくる。
【0038】なお、透明基板2の裏面側には、図示され
るように透明なハードコート3を形成してもよい。ハー
ドコートの材質および厚さは、保護コート8と同様とす
ればよい。ハードコートには、例えば界面活性剤の添加
などにより帯電防止性を付与することが好ましい。ハー
ドコートは、ディスク主面だけに限らず、ディスクの外
周側面や内周側面に設けてもよい。
【0039】
【実施例】以下、本発明の具体的実施例を挙げ、本発明
をさらに詳細に説明する。
【0040】透明基板上に、第一の誘電体膜、記録膜、
中間膜、第二の誘電体膜、反射膜および保護コートを以
下に示す条件で順次形成して、下記の各表に示す光磁気
ディスクサンプルを作製した。
【0041】<透明基板> 透明基板には、外径64mm、内径11mm、厚さ1.
2mmのディスク状ポリカーボネート樹脂板を用いた。
【0042】<第一の誘電体膜> 真空槽内を5.0×10−5Pa以下まで減圧した後、
ArガスとNガスとを真空槽内に流しながら、Siを
ターゲットに用いて反応性マグネトロンスパッタを行な
い、第一の誘電体膜を形成した。スパッタの際の条件
は、 投入パワー:1kW、 スパッタガス圧力:0.1Pa、 Arガス流量:31SCCM、 Nガス流量:19SCCM とした。第一の誘電体膜の厚さは60nmとした。
【0043】<記録膜> 第一の誘電体膜形成後、再び真空槽内を5.0×10−
Pa以下まで減圧し、Arガスを真空槽内に流しなが
ら、Tb−Fe−Co系合金をターゲットとしてマグネ
トロンスパッタを行ない、Tb−Fe−Coを主成分と
する記録膜を形成した。スパッタの際の条件は、 投入パワー:1kW、 スパッタガス圧力:0.2Pa、 Arガス流量:98SCCM とした。記録膜の厚さは20nmとした。記録膜の組成
は、原子比でTb20.0Fe70.0Co7.0Cr
3.0であった。
【0044】<中間膜> 記録膜形成後、再び真空槽内を5.0×10−5Pa以
下まで減圧し、Arガスを真空槽内に流しながら、表1
に示すターゲットを用いてマグネトロンスパッタを行な
い、中間膜を形成した。スパッタの際の条件は、 投入パワー:400W、 スパッタガス圧力:0.1Pa、 Arガス流量:40SCCM とした。中間膜の厚さを各表に示す。なお、中間膜を形
成しないサンプルも作製した。
【0045】<第二の誘電体膜> 中間膜形成後、再び真空槽内を5.0×10−5Pa以
下まで減圧した後、スパッタ法により各表に示すターゲ
ットを用いて第二の誘電体膜を形成した。各表のターゲ
ットの欄にSi(N)と記載してあるものは、Arガス
とNガスとを真空槽内に流しながら、Siターゲット
を用いて反応性マグネトロンスパッタを行なったもので
ある。この反応性スパッタの際の条件は、 投入パワー:1kW、 スパッタガス圧力:0.1Pa、 Arガス流量:31SCCM、 Nガス流量:19SCCM とした。第二の誘電体膜の厚さは20nmとした。
【0046】<反射膜> 第二の誘電体膜形成後、再び真空槽内を5.0×10
−5Pa以下まで減圧し、Arガスを真空槽内に流しな
がら、Al合金をターゲットとしてマグネトロンスパッ
タを行なって反射膜を形成した。スパッタの際の条件
は、 投入パワー:750W、 スパッタガス圧力:0.15Pa、 Arガス流量:10SCCM とした。反射膜の厚さは60nmとした。
【0047】<保護コート> 下記の重合用組成物の塗膜をスピンコートによって形成
し、この塗膜に紫外線を照射して硬化した。硬化後の平
均厚さは約5μmであった。
【0048】重合用組成物 オリゴエステルアクリレート (分子量5,000) 50重量部 トリメチロールプロパントリアクリレート 50重量部 アセトフェノン系光重合開始剤 3重量部
【0049】このようにして得られた各光磁気ディスク
サンプルに、線速度1.28m/sで表1に示す外部磁
界強度(Hex)にてEFMの3T信号を記録し、ソニ
ーテクトロニクス製MD評価システムMJ−6100を
使用してC/Nを測定した。結果を表1に示す。
【0050】また、再生の安定性を評価した。まず、各
サンプルに、線速度1.28m/s、外部磁界強度10
0 0eにて3T信号を記録した。次に、70℃の温度
下で200 0eの外部磁界が印加された状態で、線速
度1.28m/sにて1トラックだけ1×10回再生
し、再生初期からのC/N低下量が2dB以下となる最
大再生パワーを求めた。結果を表1に示す。この最大再
生パワーが大きいほど再生時に誤消去されにくいことに
なり、データ保全性に優れていることになる。
【0051】
【表1】
【0052】以上の結果から、本発明の効果が明らかで
ある。前述したようにミニディスクでは100 0e以
下、好ましくは80 0e以下の低磁界下での記録で4
6dB以上のC/Nが望まれるが、所定の金属を所定厚
さに成膜した中間膜を有する本発明サンプルでは、80
0eでいずれも46.0dB以上のC/Nが得られて
おり、特に、中間膜の厚さを10Å未満としたもので
は、極めて高いC/Nが得られている。
【0053】そして、表1に示されるように、Coまた
はNiを所定厚さに成膜した中間膜をもつ本発明サンプ
ルは、Alの中間膜をもつ比較サンプルに比べ、再生の
安定性が良好である。
【0054】次に、中間膜付近の酸素含有率をオージェ
電子分光法により測定した。まず、各サンプルの保護コ
ートを除去した後、各サンプルをオージェ電子分光装置
の真空容器内に入れて24時間排気を行なって容器内の
圧力を7.0×10−10Torrまで減じ、さらに排
気を続けながらオージェ電子分光法により厚さ方向に元
素分布の測定を行なった。オージェ電子分光法の条件
は、 電子銃の加速電圧:5kV、 電子銃の照射電流:500nA、 イオン銃の加速電圧:2kV、 アルゴンイオンの入射角:58.9度 とし、間欠エッチング(一回のエッチング時間45秒
間)により厚さ方向にアルゴンイオンでエッチングしな
がら元素量を測定した。エッチングレートは、第二の誘
電体膜で13.2A/min、記録膜で12.2A/m
inであった。この結果、各サンプルの中間膜と記録膜
との界面付近には酸素のピークが認められたが、これら
のピークにおける酸素含有率は21原子%以下であっ
た。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光磁気ディスクの構成例を示す部分断
面図である。
【符号の説明】
1 光磁気ディスク 2 透明基板 3 ハードコート 4 第一の誘電体膜 5 記録膜 6 第二の誘電体膜 7 反射膜 8 保護コート 9 中間膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 井上 弘康 東京都中央区日本橋一丁目13番1号 テ ィーディーケイ株式会社内 (56)参考文献 特開 平4−195751(JP,A) 特開 昭60−197966(JP,A) 特開 昭62−252551(JP,A) 特開 平6−223422(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G11B 11/10

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透明基板上に、第一の誘電体膜、希土類
    元素−遷移元素合金の記録膜および第二の誘電体膜をこ
    の順で有し、記録膜と第二の誘電体膜との間に中間膜を
    有し、 第二の誘電体膜が少なくとも1種の金属元素および窒素
    を含有し、中間膜がCoまたはNiを成膜したものであ
    り、中間膜の厚さが1〜18Åであり、中間膜が含む金
    属元素と第二の誘電体膜が含む金属元素とが異なる光磁
    気ディスク。
  2. 【請求項2】 第二の誘電体膜が金属の窒化物である
    か、または金属の窒化物に加え、金属の酸化物、炭化物
    および硫化物の少なくとも1種を含む混合物である請求
    項1の光磁気ディスク。
  3. 【請求項3】 第二の誘電体膜上に反射膜を有する請求
    項1または2の光磁気ディスク。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかの光磁気ディス
    クを製造する方法であって、中間膜を希ガス雰囲気中で
    スパッタ法により形成することを特徴とする光磁気ディ
    スクの製造方法。
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