JP2956321B2 - 車両用エンジンの懸架装置 - Google Patents

車両用エンジンの懸架装置

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JP2956321B2
JP2956321B2 JP30080291A JP30080291A JP2956321B2 JP 2956321 B2 JP2956321 B2 JP 2956321B2 JP 30080291 A JP30080291 A JP 30080291A JP 30080291 A JP30080291 A JP 30080291A JP 2956321 B2 JP2956321 B2 JP 2956321B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は車両用エンジンを車体に
懸架し、そのエンジンの振動が車体へ伝わるのを防止す
るための車両用エンジンの懸架装置に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来、車両用エンジンを車体に支えるた
めのエンジンマウントとしては、ゴム製基体の内部の空
間を仕切板によって区画して2つの液室を設け、両液室
内に液体を封入するとともに、仕切板にオリフィスを設
けて両液室を連通させた、いわゆる液体封入式エンジン
マウントがある。このエンジンマウントでは、エンジン
の振動により一方の液室が変形すると、その変形にとも
なって同液室内の液体がオリフィスを通過して他方の液
室内へ流入する。このオリフィスを通過する際に減衰力
が生じ、同減衰力が前記エンジンから車体への振動の伝
播を抑制する。しかし、前記エンジンマウントでは、一
つの防振特性しか発揮できない。
【0003】そこで、例えば実開平2−114237号
公報には、前記構成に加えて防振特性を調整可能とした
可変エンジンマウントが開示されている。この可変エン
ジンマウントでは、前記オリフィスの両側に可撓性を有
する薄膜を装着し、各薄膜と仕切板とによって一対の空
気室を形成している。仕切板には両空気室を連通させる
通路を形成し、可変エンジンマウント外から空気室への
空気導入又は空気室から可変エンジンマウント外への空
気の排出により両空気室の容積を可変としている。
【0004】前記可変エンジンマウントによると、両空
気室に空気を導入して薄膜を仕切板から離間させると、
ばね定数の低い状態となり、前記空気室の空気を排出さ
せて薄膜を仕切板に密着させると、前記状態よりもばね
定数の高い状態となる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、前記従来技
術においては、各可変エンジンマウント自身の防振特性
は開示されているものの、エンジンの懸架位置(可変エ
ンジンマウントの取付け位置)についての記載がなく、
最適な懸架位置での防振効果まで考慮されていない。そ
こで、エンジンの任意の位置に複数の可変エンジンマウ
ントを配置し、エンジンの運転状態に応じて全ての可変
エンジンマウントを、同時にいずれかの状態にすること
が考えられるが、たとえこのようにしても、振動を低減
できる回転数域が狭いという問題がある。
【0006】本発明は前述した実情に鑑みてなされたも
のであり、その目的は、エンジンマウントによる振動低
減の可能な領域を拡大し、特にエンジンの運転状態が同
エンジンからエンジンマウントへ入力される振動を相殺
し得ない所定の運転状態において振動を効果的に相殺す
ることのできる車両用エンジンの懸架装置を提供するこ
とにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1に記載の発明は、車両用エンジンのクラン
クシャフトを間に挟むように配置された第1及び第2の
エンジンマウントによって同エンジンを車体に懸架する
とともに、当該エンジンの運転状態に応じてそれら第1
及び第2のエンジンマウントのマウント特性を個別に制
御する車両用エンジンの懸架装置において、前記エンジ
ンの運転状態が同エンジンから前記エンジンマウントへ
入力される振動を相殺し得ない所定の運転状態にあるこ
とを条件に、当該入力振動を互いに相殺させるよう前記
第1及び第2のエンジンマウントのマウント特性を互い
に相違する特性に制御することをその要旨とする。
【0008】
【作用】エンジンの運転にともない発生し、エンジンか
らエンジンマウントへと入力される振動の特性は、エン
ジンの運転状態に応じて変化する。上記構成によれば、
エンジンマウントへの入力振動が互いに相殺されない所
定の運転状態にあることを条件として、入力振動を互い
に相殺させるよう第1及び第2のエンジンマウントのマ
ウント特性を互いに相違する特性に制御することで、同
運転状態にあるエンジンのエンジンマウントへの入力振
動を好適に相殺させることができるようになり、ひいて
は車体への出力振動が低減されるようになる。
【0009】この状態の切り換えにより、各可変エンジ
ンマウントが有する2つの状態の特性を有効に利用する
ことが可能となる。つまり、前記所定状態においては両
可変エンジンマウントをともに第1の状態にすることに
より全体のばね定数が小さくなる。また、前記所定状態
以外のときにおいて、第1の可変エンジンマウントを第
1の状態にし、第2の可変エンジンマウントを第2の状
態にすることにより振動の位相が変えられる。さらに、
前記所定状態以外のときにおいて、第1の可変エンジン
マウントを第2の状態にし、第2の可変エンジンマウン
トを第1の状態にすることにより第2の可変エンジンマ
ウントのばね定数が小さくなる。これらの状態の切り換
えによって、エンジンから両可変エンジンマウントへの
入力振動が広い周波数域にわたって相殺され、車体への
出力振動が低減される。
【0010】
【実施例】以下、本発明を具体化した一実施例を図面に
従って説明する。図1は、車両におけるエンジン1の懸
架装置2を側方から見た状態の概略図であり、図1の左
側が車両前側、右側が車両後側である。この車両は、エ
ンジン1を前部に搭載しかつ前輪を駆動する、いわゆる
FF(フロントエンジン・フロントドライブ)タイプの
車両である。エンジン1はこの車両のエンジンルーム内
に横置きされている。そして、同エンジン1のクランク
シャフト3は、車両の左右方向(紙面と直交する方向)
へ延びている。
【0011】前記エンジン1を車体4に懸架するため
に、クランクシャフト3を中心とするエンジン1の前部
及び後部には、それぞれブラケット5,6が取付けられ
ている。前側のブラケット5と車体4との間には、第1
の可変エンジンマウントとしての前部可変エンジンマウ
ント7が介在され、後側のブラケット6と車体4との間
には、第2の可変エンジンマウントとしての後部可変エ
ンジンマウント8が介在されている。前後両可変エンジ
ンマウント7,8は互いに同一構成をなし、いずれも、
所定のばね定数を有する第1の状態と、その第1の状態
とは異なるばね定数を有する第2の状態のいずれかの状
態を選択的に採り得る。
【0012】ここで、第1の状態及び第2の状態につい
て簡単に説明する。図5のグラフは、前後各可変エンジ
ンマウント7,8における周波数と複素ばね定数との関
係を示している。複素ばね定数は動ばね定数と減衰係数
とからなり、前後各可変エンジンマウント7,8の防振
特性に直接的に関与するパラメータである。本実施例で
はこの複素ばね定数をばね定数として扱い、図5におい
て破線の状態を第1の状態とし、実線の状態を第2の状
態としている。第1の状態は、25Hz付近でばね定数
が高くなるものの概ね低いばね定数を有している。ま
た、第2の状態は、10〜35Hzの広い周波数域にわ
たって高いばね定数を有している。
【0013】次に、これらの前後両可変エンジンマウン
ト7,8の内部構成について説明する。図3に示すよう
に、前後各可変エンジンマウント7,8は、上下両端を
開口した略円筒状の本体ケース9と、その本体ケース9
の下半部に嵌入されて下部開口端9bを閉塞する有底の
下部カバー11とを備えている。下部カバー11及び本
体ケース9はボルト等(図示しない)によって前記車体
4に固定されている。一方、本体ケース9の上部には緩
衝用ゴム基体12が配設され、そのゴム基体12は外周
部にて本体ケース9にかしめ固定されている。ゴム基体
12には取付金具13が埋設され、その上端は本体ケー
ス9の上部開口端9aから上方へ突出している。そし
て、この取付金具13がブラケット5(6)に固定され
ている。従って、ゴム基体12を介して本体ケース9に
取付けられた取付金具13は、その本体ケース9に対し
て相対変位可能である。
【0014】前記下部カバー11の内底部には、可撓性
を有する下部ダイヤフラム14が張設されている。ま
た、本体ケース9及び下部カバー11の内部において、
下部ダイヤフラム14と前記ゴム基体12との間の空間
には液体15が封入されている。そして、エンジン1の
振動によりゴム基体12が変形すると、その変形力が液
体15を介して下部ダイヤフラム14に伝達される。こ
の際、下部ダイヤフラム14の両面に差圧が生ずると、
その大きさに応じて下部ダイヤフラム14が撓むように
なっている。
【0015】前記下部カバー11内には剛体からなる中
間体16が配設され、前記液体15の封入された空間
が、この中間体によって上部液室17及び下部液室18
に仕切られている。この中間体16の外周部には、車両
の高速走行時に車体4、シート、ステアリング等が振動
する現象(シェイク)を低減するためのシェイク用オリ
フィス19が形成されている。シェイク用オリフィス1
9の上端19aは上部液室17に開口し、下端19bは
下部液室18に開口しており、上下両液室17,18を
連通させている。このため、上部液室17と下部液室1
8との間で液体15の流動が可能である。
【0016】前記中間体16の内部は空洞となってお
り、その内底部には中央部ほど深く凹む湾曲面21が形
成されている。空洞部分には可撓性を有する上部ダイヤ
フラム22が張設されており、この上部ダイヤフラム2
2によって空洞部分が、液体15を有する中間液室23
と、空気を有する空気室24とに仕切られている。中間
体16の上部中央部分には、エンジン1のアイドル運転
時に発生する振動を低減するためのアイドル用オリフィ
ス25が形成されている。アイドル用オリフィス25の
上端は上部液室17に開口し、下端は中間液室23に開
口しており、両液室17,23を連通させている。この
ため、上部液室17と中間液室23との間で液体15の
流動が可能である。
【0017】前記中間体16、本体ケース9及び下部カ
バー11には給排用通路26が設けられている。給排用
通路26の内端は前記空気室24に開口し、外端は本体
ケース9外に開口している。そして、図3において矢印
で示すように、給排用通路26を介して大気を空気室2
4内へ導入したり、その空気室24内の空気を排出した
りすることにより、空気室24の容積を可変としてい
る。
【0018】上記のように構成された前後両可変エンジ
ンマウント7,8においては、空気室24に大気が導入
されると第1の状態となる。すなわち、上部ダイヤフラ
ム22が図3において実線で示すように上方へ膨らん
で、所定容積の空気室24が形成される。そのため、エ
ンジン1の振動が前後両可変エンジンマウント7,8に
伝わると、ゴム基体12が弾性変形するとともにその弾
性変形により上部液室17内の液体15が加圧される。
この加圧された液体15は、アイドル用オリフィス25
を通って中間液室23内に流入する。この液体15の流
入は前記上部ダイヤフラム22の変位によって吸収され
る。この作用により、シェイク用オリフィス19での液
体15の通過がほとんどなくなり、減衰効果が少なくな
る。
【0019】また、空気室24から空気が排出される
と、前後両可変エンジンマウント7,8は前記第2の状
態となる。すなわち、上部ダイヤフラム22が図3にお
いて二点鎖線で示すように下方へ撓んで湾曲面21に密
着し、空気室24を有しない場合と同様の状態になる。
そのため、エンジン1の振動が前後両可変エンジンマウ
ント7,8に伝わると、ゴム基体12の弾性変形により
上部液室17内の液体15が加圧されるが、この加圧さ
れた液体15は中間液室23内へ流入不能となる。この
作用により、液室17,18内の液体15がシェイク用
オリフィス19を通過して他方の液室18,17へ移動
し、この通過にともない大きな減衰効果を発揮する。
【0020】さらに、前記第1の状態と第2の状態とで
は、エンジン1から前後各可変エンジンマウント7,8
に伝達される振動(入力振動)の位相と、同可変エンジ
ンマウント7,8から車体4に伝達される振動(出力振
動)の位相とのずれ量が互いに異なる。この現象を図6
のグラフに従って説明する。図6の縦軸は前記入力振動
と出力振動の位相のずれ量を示しており、この図から明
らかなように、前記前後各可変エンジンマウント7,8
が第1の状態にある場合、10〜約22Hzの領域では
周波数が高くなるに従い位相のずれが大きくなり、約2
2Hzで位相のずれが最大となり、約22〜35Hzの
領域では周波数が高くなるに従い位相のずれが小さくな
る。一方、前後各可変エンジンマウント7,8が第2の
状態にある場合、10〜約15Hzの領域では位相のず
れが若干量あるものの、全体的に位相のずれが少ない。
【0021】前記前後両可変エンジンマウント7,8に
おいて、空気室24に大気を導入したり、あるいは空気
室24内の空気を排出したりするために、本実施例では
エンジン1で発生する負圧を利用している。図1で示す
ように、前記エンジン1の燃焼室に連通する吸気管にお
いて、スロットルバルブ(図示しない)よりも下流側部
分からは配管27が分岐し、この配管27の端部が空気
タンク28に接続されている。空気タンク28は、スロ
ットルバルブが閉弁されたときに発生する負圧を一時溜
めておき、同スロットルバルブが全開となって負圧が発
生しない場合にも、前後両可変エンジンマウント7,8
に負圧を作用させるためのものである。
【0022】前記空気タンク28と前部可変エンジンマ
ウント7とは給排用配管29によって接続され、同様に
空気タンク28と後部可変エンジンマウント8とは給排
用配管31によって接続されている。一方の給排用配管
29の途中には第1の駆動手段としての前部バキューム
スイッチングバルブ(以下、単に「VSV」という)3
2が介在され、他方の給排用配管31の途中には第2の
駆動手段としての後部VSV33が介在されている。
【0023】前後両VSV32,33は電気信号により
給排用配管29,31を開閉する制御弁であり、オン
(通電)されると各給排用配管29,31と空気タンク
28とを連通させる。この連通により、前後各可変エン
ジンマウント7,8には、前記空気タンク28内の負圧
が前後各給排用配管29,31を介して導入される。そ
の結果、前後各可変エンジンマウント7,8はばね定数
の大きな第2の状態となる。また、前後各VSV32,
33はオフ(非通電)されると前後各給排用配管29,
31と空気タンク28との連通を遮断し、同給排用配管
29,31を大気に開放する。この大気開放により、前
後各可変エンジンマウント7,8には大気が導入され
る。その結果、前後各可変エンジンマウント7,8はば
ね定数の小さな第1の状態となる。
【0024】前後両VSV32,33の作動を制御する
ために、前記エンジン1にはエンジン回転数NEを検出
する運転状態検出手段としての回転数センサ34が設け
られている。一般に、エンジン1のアイドル振動の周波
数はエンジン回転数NEに比例する傾向があることか
ら、本実施例では回転数センサ34によるエンジン回転
数NEによって前記振動の周波数を代表させている。回
転数センサ34は制御手段としてのコントローラ35の
入力側に電気的に接続されている。また、コントローラ
35の出力側には前部VSV32及び後部VSV33が
それぞれ電気的に接続されている。コントローラ35
は、前記回転数センサ34によるエンジン回転数NEに
応じて、前後各可変エンジンマウント7,8を第1の状
態又は第2の状態にするために、前後各VSV32,3
3に駆動信号を出力する。
【0025】本実施例では、前後各可変エンジンマウン
ト7,8を第1の状態から第2の状態へ、あるいは第2
の状態から第1の状態へ切り換える際のエンジン回転数
NEとして、第1の回転数α(例えば540rpm)
と、同第1の回転数αよりも高い第2の回転数β(例え
ば840rpm)とが予め設定されている。第1の回転
数αはアイドル振動の周波数で約18Hzに相当し、第
2の回転数βは約28Hzに相当する。
【0026】前記第1の回転数α及び第2の回転数β
は、図7及び図8の特性を考慮して決定されている。図
7は、前後両可変エンジンマウント7,8に代えて、互
いに同一構成でかつ一つの防振特性のみを有する一対の
エンジンマウントをエンジン1の前後に取付け、前側の
エンジンマウントから車体4の所定位置(例えばフロ
ア)に伝達される振動の位相と、後側のエンジンマウン
トから同所定位置に伝達される振動の位相との差(位相
差)を測定した結果を示すグラフである。ここでのエン
ジンマウントとしては、コンベンショナルエンジンマウ
ント(液体や気体を用いずゴムの弾性変形のみによって
振動伝達を減衰するようにしたタイプのエンジンマウン
ト)、あるいはゴム基体の内部の空間を仕切板によって
区画して2つの液室を設け、両液室内に液体を封入する
とともに、仕切板にオリフィスを設けて両液室を連通さ
せた液体封入式エンジンマウントを用いている。
【0027】図7から、約22Hzよりも低い領域では
周波数が高くなるに従って位相差が増加し、約22Hz
で位相差が最大となり、約22Hzよりも高い領域では
周波数が高くなるに従って位相差が減少する傾向があ
る。このように、同一構成のエンジンマウントを使用
し、しかも両エンジンマウントにはエンジン1から同一
の振動が伝達されているにもかかわらず所定位置で位相
差が生じるのは、前側のエンジンマウントから所定位置
までの距離と、後部エンジンマウントから所定位置まで
の距離とが相違していることによる。
【0028】また、図8は図7と同一のエンジンマウン
トを用いた場合に、車体4の所定位置で測定されるイナ
ータンスを示している。ここでのイナータンスとは、出
力と入力の比、つまり現象の伝達状態を示す伝達関数の
うちの一種である。イナータンスは、加速度/力で定義
され、単位m/(Ns2 )で表される。図8より、約2
4Hzよりも低い周波数領域では前側のエンジンマウン
トによるイナータンスの方が、後側のエンジンマウント
によるイナータンスよりも大きく、約24Hzのとき前
後両エンジンマウントによるイナータンスが一致し、さ
らに約24Hzよりも高い周波数領域では、後側のエン
ジンマウントによるイナータンスの方が前側のエンジン
マウントによるイナータンスよりも大きいことがわか
る。
【0029】図7及び図8から判る所定位置での振動特
性(位相差、イナータンス)と、前述した図5及び図6
から判る前後両可変エンジンマウント7,8の防振特性
(複素ばね定数、位相のずれ)とから、本実施例では周
波数領域を例えば、18Hz(=540rpm)よりも
低い第1の領域Aと、18Hz以上かつ28Hz(=8
40rpm)よりも低い第2の領域Bと、28Hz以上
の第3の領域Cとに分けている。
【0030】第1の領域Aは、前記所定位置での振動の
位相差が小さく、前側のエンジンマウントによるイナー
タンスが後側のエンジンマウントによるイナータンスよ
りも大きい領域である。第2の領域Bは前記所定位置で
の振動の位相差が大きくなる領域であり、両イナータン
スが一致する周波数を境として、前側のエンジンマウン
トによるイナータンスが後側のエンジンマウントによる
イナータンスよりも大きい領域と、前側のエンジンマウ
ントによるイナータンスが後側のエンジンマウントによ
るイナータンスよりも小さい領域とを含んでいる。第3
の領域Cは、前記所定位置での振動の位相差が小さく、
前側のエンジンマウントによるイナータンスが後側のエ
ンジンマウントによるイナータンスよりも小さい領域で
ある。
【0031】そして、本実施例では、第1の領域Aと第
2の領域Bとの境のエンジン回転数NEを第1の回転数
αとし、第2の領域Bと第3の領域Cとのエンジン回転
数NEを第2の回転数βとしている。加えて、本実施例
では、第1の領域Aにおいて前後両可変エンジンマウン
ト7,8をともに第1の状態にしてばね定数を小さく
し、第2の領域Bでは前部可変エンジンマウント7を第
1の状態にし、後部可変エンジンマウント8を第2の状
態にして振動の位相を変え、第3の領域Cでは前部可変
エンジンマウント7を第2の状態にし、後部可変エンジ
ンマウント8を第1の状態にすることにより後部可変エ
ンジンマウント8のばね定数を低くするようにしてい
る。
【0032】次に、前記のように構成された本実施例の
作用を図4のフローチャートを用いて説明する。エンジ
ン1の始動にともない、同エンジン1からは、ピストン
の上下運動に基づく上下振動や、トルク変動(ピストン
及びコネクティングロッドの運動による慣性力によって
クランクシャフト3が受けるトルクの周期的変動)、発
進時のエンジンロール等に基づくロール振動や、発進
時、停止時のエンジン慣性に基づく前後振動が発生す
る。これらの振動は前後両可変エンジンマウント7,8
に伝達される。
【0033】一方、前記エンジン1の運転時には回転数
センサ34によってエンジン回転数NEが検出される。
そして、コントローラ35は前記回転数センサ34によ
るエンジン回転数NEに基づき、以下のように前後両V
SV32,33をオン又はオフして前後両可変エンジン
マウント7,8の状態を選択的に切り換え、前記振動を
減衰する。
【0034】コントローラ35は、まずステップ101
で回転数センサ34によるエンジン回転数NEを読み込
み、ステップ102でそのエンジン回転数NEが第1の
回転数α(=540rpm)よりも低いか否かを判定す
る。エンジン回転数NEが第1の回転数αよりも低い
(NE<α)と、コントローラ35はステップ103で
前部VSV32及び後部VSV33をともにオフさせる
ための駆動信号を出力する。前後両VSV32,33の
オフにより、前後両可変エンジンマウント7,8に大気
が導入されて第1の状態となる。
【0035】前記ステップ102においてエンジン回転
数NEが第1の回転数α以上である(NE≧α)と、コ
ントローラ35はステップ104へ移行し、そのエンジ
ン回転数NEが第2の回転数β(=840rpm)より
も低いか否かを判定する。エンジン回転数NEが第2の
回転数βよりも低い(NE<β)と、コントローラ35
はステップ105で前部VSV32をオフさせるための
駆動信号を出力するとともに、後部VSV33をオンさ
せるための駆動信号を出力する。前部VSV32がオフ
されると、前部可変エンジンマウント7に大気が導入さ
れて第1の状態となる。また、後部VSV33がオンさ
れると、後部可変エンジンマウント8に負圧が導入され
て第2の状態となる。
【0036】前記ステップ104においてエンジン回転
数NEが第2の回転数β以上である(NE≧β)と、コ
ントローラ35はステップ106で前部VSV32をオ
ンさせるための駆動信号を出力するとともに、後部VS
V33をオフさせるための駆動信号を出力する。前部V
SV32がオンされると、前部可変エンジンマウント7
に負圧が導入されて第2の状態となる。また、後部VS
V33がオフされると、後部可変エンジンマウント8に
大気が導入されて第1の状態となる。
【0037】前記のように、前後両可変エンジンマウン
ト7,8の状態が切り換えられることによって、エンジ
ン1からの振動が減衰され、その結果、車体4への振動
の伝達が抑制される。
【0038】図2には、前記のように前後両可変エンジ
ンマウント7,8の状態を切り換えたときの所定位置
(この場合、車体4のフロア)での振動レベルを示す。
図中、実線は前後両可変エンジンマウント7,8をとも
に第1の状態とした場合の特性を示し、二点鎖線は前部
可変エンジンマウント7を第1の状態にし、かつ後部可
変エンジンマウント8を第2の状態にした場合の特性を
示し、破線は前部可変エンジンマウント7を第2の状態
にし、かつ後部可変エンジンマウント8を第1の状態に
した場合の特性を示している。そして、前記のように第
1の回転数α及び第2の回転数βで状態を切り換えるこ
とは、図2において第1〜3の各領域A,B,C毎に最
も振動レベルの低い状態(図2の斜線部分)に制御して
いることになる。
【0039】このように本実施例では、回転数センサ3
4によってエンジン回転数NEを検出し(ステップ10
1)、そのエンジン回転数NEが予め定めた第1の領域
A(NE<540rpm)にあるとき、前後両VSV3
2,33をオフして前後両可変エンジンマウント7,8
をともに第1の状態にし(ステップ103)、前記エン
ジン回転数NEが前記第1の領域A以外のとき、つま
り、第2の領域B(540rpm≦NE<840rp
m)又は第3の領域C(840rpm<NE)のとき、
前後両VSV32,33をオン又はオフして、前後両可
変エンジンマウント7,8の一方を第1の状態にすると
ともに他方を第2の状態にするようにした(ステップ1
05,106)。
【0040】このため、前後各可変エンジンマウント
7,8におけるばね定数の異なる2つの状態を有効に利
用できる。つまり、第1の領域Aにおいては全体のばね
定数を小さくし、第2の領域Bでは振動の位相を変え、
第3の領域Cでは後部可変エンジンマウント8のばね定
数を低くすることによって、エンジン1から前後両可変
エンジンマウント7,8への入力振動を相殺し、車体4
への出力振動を低減することができる。従って、前後両
可変エンジンマウント7,8による振動低減の可能な領
域を従来技術よりも拡大し、広範囲の周波数域にわたり
振動を効果的に低減することができる。
【0041】さらに、本実施例によると前記以外にも次
の効果を奏する。すなわち、通常の液体封入式エンジン
マウントは防振特性を一つしか備えていない。そのた
め、アイドル振動を改善するという観点に基づきばね定
数を低くすると、減衰係数を高くすることができない。
これに対し、本実施例の前後両可変エンジンマウント
7,8の場合は、ばね定数の異なる第1の状態と第2の
状態とに特性を切り換えることができるので、特に第2
の状態でのばね定数を高めに設定することにより減衰係
数を通常の液体封入式エンジンマウントよりも高くする
ことができる。この作用により、アイドル時の振動低減
及び車両走行時の振動低減の両立を図ることができる。
【0042】なお、本発明の懸架装置は前記実施例の構
成に限定されるものではなく、例えば以下のように発明
の趣旨を逸脱しない範囲で任意に変更してもよい。 (1)本発明は、横置きのエンジン1以外にも縦置きの
エンジンに適用してもよい。この場合には、前記実施例
における前後両可変エンジンマウント7,8をエンジン
1の左右に取付けることになる。 (2)前後両可変エンジンマウント7,8の状態を切り
換える際のエンジン回転数NEを適宜変更してもよい。 (3)前部可変エンジンマウント7の数及び後部可変エ
ンジンマウント8の数はそれぞれ1個に限らず、複数個
に変更してもよい。
【0043】
【発明の効果】以上詳述したように本発明によれば、
ンジンマウントへの入力振動が互いに相殺されない所定
の運転状態にあることを条件として、入力振動を互いに
相殺させるよう第1及び第2のエンジンマウントのマウ
ント特性を互いに相違する特性に制御することで、同運
転状態にあるエンジンのエンジンマウントへの入力振動
を好適に相殺させることができ、ひいては車体への出力
振動を低減することができるという優れた効果を奏する
ことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を具体化した一実施例における車両用エ
ンジンの懸架装置の概略構成を示す図である。
【図2】一実施例の前後両可変エンジンマウントの状態
を種々切り換えた場合のエンジン回転数と振動レベルと
の関係を示すグラフである。
【図3】一実施例における可変エンジンマウントの断面
図である。
【図4】一実施例において、前後両可変エンジンマウン
トの状態を切り換え制御するためのフローチャートであ
る。
【図5】一実施例において、各可変エンジンマウントを
第1の状態及び第2の状態にしたときの周波数と複素ば
ね定数との関係を示すグラフである。
【図6】一実施例において、エンジンから各可変エンジ
ンマウントに伝達される振動の位相と、同可変エンジン
マウントから車体に伝達される振動の位相とのずれを周
波数毎に示すグラフである。
【図7】一実施例において、前側のエンジンマウントか
ら車体の所定位置に伝達される振動と、後側の可変エン
ジンマウントから同所定位置に伝達される振動との位相
差を示すグラフである。
【図8】一実施例において、周波数と前側のエンジンマ
ウントによる所定位置でのイナータンスとの関係、及び
周波数と後側のエンジンマウントによる所定位置でのイ
ナータンスとの関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1…エンジン、3…クランクシャフト、4…車体、7…
第1の可変エンジンマウントとしての前部可変エンジン
マウント、8…第2の可変エンジンマウントとしての後
部可変エンジンマウント、32…第1の駆動手段として
の前部VSV、33…第2の駆動手段としての後部VS
V、34…運転状態検出手段としての回転数センサ、3
5…制御手段としてのコントローラ

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】車両用エンジンのクランクシャフトを間に
    挟むように配置された第1及び第2のエンジンマウント
    によって同エンジンを車体に懸架するとともに、当該エ
    ンジンの運転状態に応じてそれら第1及び第2のエンジ
    ンマウントのマウント特性を個別に制御する車両用エン
    ジンの懸架装置において、 前記エンジンの運転状態が同エンジンから前記エンジン
    マウントへ入力される振動を相殺し得ない所定の運転状
    態にあることを条件に、当該入力振動を互いに相殺させ
    るよう前記第1及び第2のエンジンマウントのマウント
    特性を互いに相違する特性に制御することを特徴とする
    車両用エンジンの懸架装置。
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