JP2952099B2 - 連続鋳造方法 - Google Patents
連続鋳造方法Info
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Description
筒状の冷却鋳型に溶融金属を連続的に供給し、湯面の下
方で凝固を開始させて鋳片を形成し、鋳片を鋳型より引
き抜く連続鋳造方法に関する。
金属のビレットなどの連続鋳造に利用される。
給して湯面下で凝固させる連続鋳造の一形態として、水
平連続鋳造が知られている。水平連続鋳造は設備費、設
置面積および運転費が垂直連続鋳造に比べて少なくてす
み、また鋳片の曲げによる応力発生がなく、鋳片内圧が
小さいことからバルジングの発生も少ないし、特に、小
容量の鋳造設備では経済効率がよい。したがって、近
年、ビレットなどの鋳造に水平連続鋳造が実用化されて
いる。水平連続鋳造では、凝固開始点を安定化させるた
めに、ブレークリングを鋳型の入口に取り付けている。
ブレークリングは外径が鋳型の内径よりも小さく、鋳型
の内側に突出する、周方向に沿った段を形成している。
また、ブレークリングは鋳型と密接させるために、たと
えば両者の接合面をテーパー状にし、鋳型にブレークリ
ングを圧接させる方法が採られる。鋳型に供給された溶
融金属はブレークリングの先端面(溶融金属の流れに関
して下流側の面)の外周寄りの部分より凝固を開始し、
生成した凝固殻は鋳型出口側より間欠的に引き抜かれる
間に成長する。
下にしばしば気泡が発生する。気泡の発生は、次の理由
による。上記のようにブレークリングを鋳型に圧接させ
ていても熱膨脹などにより両者の間に隙間が生じる。ま
た、ブレークリングを用い、湯面下で溶融金属の凝固を
開始させる鋳造法では、凝固開始位置つまりブレークリ
ングにおける溶融金属の静圧は大気圧よりも高いので、
ブレークリング周辺に大気が侵入することはない。しか
し、凝固殻が間欠的に引き抜かれる際にブレークリング
先端面から凝固殻が離れる。このとき、鋳型内周面とブ
レークリング先端面とで形成される鋳型内の三重点部
(図1の符号25参照)において、ブレークリング先端
面と凝固殻の後端面(ブレークリング先端面に向かい合
う面)との間に、僅かの時間であるが真空に近い負圧状
態の空隙が生じる。これらのことから、ブレークリング
の外側から大気がブレークリングと鋳型との接合面の隙
間を通って上記空隙に至り、さらに溶融金属内に侵入し
て気泡となる。また、場合によっては、大気が鋳型の出
口側から鋳型内に侵入して鋳片と鋳型の隙間を通って空
隙に至り、さらに溶融金属内に侵入して気泡となること
もある。
気泡が発生した鋳片を圧延し、製品化した場合、製品表
面に線状きず、縦割れなどの欠陥として残り、製品の品
質を損なう。特に、ステンレス鋼のように表面性状が重
視される場合は、重大な欠陥となる。このために、気泡
が発生した鋳片は、表層を研削などによって除去する表
面手入れが必要となる。鋳片の表面手入れは処理費用の
増加および歩留り低下を招く。
59−66959号公報は、溶融金属を鋳型に供給する
ノズルと鋳型の入口を、溶融金属とは反応しない不活性
ガスでシールする連続鋳造方法を開示している。この特
開昭59−66959号公報で開示された技術の目的
は、鋳型内に侵入して鋳造金属表面を酸化する大気中の
ガスを完全に防ぐことである。
号による連続鋳造方法を提案している。この連続鋳造方
法では、鋳型、ブレークリングおよび中間リングを用
い、鋳型、ブレークリング、中間リングで形成される空
隙部をシールするとともに、空隙部を減圧した状態で鋳
造する。したがって、ブレークリング外側の空隙部の圧
力と前記鋳型内の三重点部の圧力とはほぼ等しくなり、
空隙部から三重点部に大気が侵入することはない。
9−66959号公報の発明の連続鋳造方法では、不活
性ガスが溶融金属内に残存して、鋳造金属内部に気泡が
発生するという問題がある。
術では、空隙部を減圧するので、凝固殻の後端面(ブレ
ークリング先端面に向かい合う面)は三重点部に吸引さ
れ、拘束されるために、凝固殻のブレークリングからの
引抜きが困難となる。特に高温強度の低い材料を遮断空
間内の圧力を著しく低くして鋳造した場合、凝固殻先端
部が破断して三重点部に残ったり、あるいは凝固殻に割
れが発生し、表面欠陥の原因となって欠陥部の手入れが
必要となる。
を防ぐとともに、凝固殻の破断および割れを防止するこ
とができる連続鋳造方法を提供する。
は、タンディッシュから入口および出口を備えた冷却鋳
型に、鋳型入口に接するブレークリングを少なくとも介
して溶融金属を連続的に供給すること、鋳型において溶
融金属を連続的に冷却し、湯面よりも下方で溶融金属の
凝固を開始させて鋳片を形成すること、および上記鋳型
出口側から鋳片を鋳型に対して間欠的に引き抜くことよ
りなっている。直径が鋳型とブレークリングとの接触面
の最大径よりも大きな閉曲線を境界とする大気を遮断す
る遮断空間を鋳型入口に隣接して設け、溶融金属に可溶
なシールガスをこの遮断空間内に供給する。そして、上
記遮断空間内のシールガス圧を検出し、検出したシール
ガス圧に基づいて遮断空間内のシールガス圧を大気圧未
満に保持する。
ガスケットによりブレークリングの外周を囲む。シール
ガスは、ボンベなどに加圧充填されたものを減圧して遮
断空間内に供給する。
るために気泡内のガス分析を行った結果、気泡内のガス
成分はアルゴンが主体であること、および気泡周辺の材
料成分は窒素濃度が高いことを知った。そして、大気中
の窒素は溶融金属中に溶解するが、アルゴンは溶融金属
中に溶解しないために残存して気泡となるものと推定し
た。これの確認のために、前記特開昭59−66959
号公報の方法と同様に不活性ガスであるアルゴンを遮断
空間内に供給して、鋳片を連続鋳造した。その結果、ア
ルゴンを供給しない従来法よりも鋳片表層部に気泡が多
発することが明らかとなった。また、溶融金属に非可溶
のガスであるアルゴンに代えて、可溶ガスである窒素を
供給した場合、気泡はまったく発生しなかった。溶融金
属に可溶なシールガスとして窒素ガスが最も好ましい
が、炭酸ガス等溶融金属に可溶な1種または2種以上の
混合ガスを用いることもできる。
配管を介して遮断空間に接続された排気ポンプにより、
遮断空間内のガスを吸引する。遮断空間内のシールガス
の圧力は、少なくとも遮断空間内と真空状態にある三重
点部との差圧によって鋳型とブレークリングとの接触面
の隙間を通ってシールガスが鋳型内に流入する程度の圧
力でなければならない。鋳造条件および鋳型とブレーク
リングとの接触面の隙間の大きさによって異なるが、高
温強度の高い18Cr−8Niステンレス鋼においても
凝固殻先端部の破断を軽減するために遮断空間内のシー
ルガス圧は200Torr以上とすることが好ましい。高温
強度の低い材料ではさらに該シールガス圧が高い方が望
ましい。しかし、遮断空間内のシールガスの圧力が大気
圧以上となると、シールガスが必要以上に三重点部に流
入し、鋳造する金属がシールガスを溶解しにくい場合に
は気泡が発生する虞れがある。シールガス圧をこのよう
な値に保持するには、検出した遮断空間内のシールガス
圧に基づいてシールガスの遮断空間内への供給量および
遮断空間内からの排出量の少なくとも一つを調節する。
シールガスの供給量は流量調節弁により、またシールガ
スの排出量は流量調節弁または排気ポンプにより調節す
る。
大気が鋳型入口側から鋳型内へ侵入することはない。
に、鋳型内の三重点部は真空に近い状態となるが、遮断
空間との圧力差が大きいため遮断空間内のシールガスが
鋳型とブレークリングとの接触面の隙間を通って真空を
緩和するに必要なシールガス量だけ三重点部に流入し、
極短時間の内に真空状態は解消される。溶融金属に可溶
性のシールガスは溶融金属中に溶け込むので、少量のシ
ールガスであれば侵入しても、鋳片に気泡が発生するこ
とはない。この結果、凝固殻のブレークリングに接する
部分がブレークリング側に吸引され、または拘束される
ことはない。
を水平連続鋳造する装置であり、鋳型入口周辺を示して
いる。
16とはスライディングノズル11、中間リング13お
よびブレークリング14を介して連絡している。スライ
ディングノズル11と中間リング13との間に、不定形
耐火材12が挟み込まれている。タンディッシュ、スラ
イディングノズル11、中間リング13は、それぞれジ
ルコン質やアルミナ質の通常の耐火物で作られている。
ブレークリング14は鋳型16入口に押し込まれてお
り、中間リング13は連結金具23により鋳型16に固
定されている。ブレークリング14は、窒化ほう素、窒
化けい素などの耐熱性セラミックスで作られている。鋳
型16は銅製であって、固定リング21によりハウジン
グ18に固定されている。ハウジング18には冷却水供
給管および冷却水排出管(いずれも図示しない)がそれ
ぞれ接続されており、冷却水Wがハウジング18内を循
環して第1鋳型16は冷却される。
ディングノズル11、中間リング13およびブレークリ
ング14を経て第1鋳型16に供給される。鋳型16内
に供給された溶融金属Mは鋳型16内周面により冷却さ
れ、凝固殻Sを形成する。凝固殻Sの形成はブレークリ
ング14より開始される。ブレークリング14は、凝固
殻Sの生成する開始点を周方向に均一に制御する役目を
する。溶融金属Mが凝固して形成された鋳片Cは、鋳型
の出口側からピンチロール(図示しない)により間欠的
に引き抜かれる。鋳片Cを鋳型16に対して間欠的に引
き抜くと、鋳型16内の三重点部25においてブレーク
リング14と凝固殻Sの端との間に空隙が生じ、その空
隙に新たに溶融金属Mが流れ込み、新たな凝固殻Sを生
成する。なお、ピンチロールを連続的に回転駆動し、鋳
型を引抜き方向に振動させて鋳片を鋳型に対し間欠的に
引き抜くようにしてもよい。
から大気がブレークリング14と鋳型16の接触面の隙
間を通って上記空隙に至り、溶融金属M内に巻き込まれ
て気泡となる。そこで、この発明では、図ようにに示す
シール装置を備えている。すなわち、ブレークリング1
4と固定リング21との間にOリング31が挟み込まれ
ており、環状の遮断空間33が形成されている。
方向に延びる窒素ガス供給孔35、窒素ガス排出孔37
および圧力検出孔49がそれぞれ円周方向に間隔をおい
て設けられており、これらの一端は遮断空間33に開口
している。窒素ガス供給孔35の入口側に窒素ガス供給
管39が接続されている。窒素ガス供給管39には、流
量検出器40および流量調節弁41を介して窒素ガスボ
ンベ42が接続されている。窒素ガスボンベ42内の高
圧窒素ガスは、流量調節弁41により減圧され、窒素ガ
ス供給孔35を経て環状空間33に供給される。また、
窒素ガス排出孔37の出口側には、窒素ガス排出管44
が接続されている。窒素ガス排出管44には、流量調節
弁45および流量検出器46を介して排気ポンプ47が
接続されている。圧力検出孔49の出口側には導圧管5
0が接続されており、導圧管50にはブルドン管式圧力
検出器51が取り付けられている。圧力検出器51の出
力側は、制御用コンピュータ53に接続されている。制
御用コンピュータ53は、それぞれの検出器により検出
した遮断空間内の窒素ガス圧、窒素ガス供給量および窒
素ガス排出量に基づいて演算を行い、上記流量調節弁4
1,45にそれぞれ操作信号を出力する。
て、鋳造開始前に排気ポンプ47により遮断空間33内
を減圧し、予め遮断空間33の気密性を確認する。
は次の方法による。流量調節弁47により窒素ガス供給
量を一定値に設定し、窒素ガスボンベ42から窒素ガス
を遮断空間33に供給する。そして、遮断空間33内の
窒素ガス圧が目標値となるように、排気ポンプ47によ
り遮断空間33から排出する窒素ガス量を流量調節弁4
5により調節する。または、流量調節弁45により窒素
ガス排出量を一定値に設定する。そして、遮断空間33
内の窒素ガス圧が目標値となるように、遮断空間33に
供給する窒素ガスの流量を流量調節弁41により調節す
る。圧力検出器51からの信号に基づいて流量調節弁4
1または45は調節され、遮断空間33内の窒素ガス圧
は目標値となるようにフィードバック制御される。
ームを鋳造した例について説明する。
50 mm 丸ブルームを、鋳造速度1.7m/min で鋳造し
た。流量調節弁41を一定流量200l/min に設定して
窒素ガスを遮断空間33に供給し、遮断空間33内の圧
力が700Torrとなるように遮断空間33から排出する
窒素ガス量を流量調節弁45により調節した。鋳片肌下
気泡の発生は、0.3 mm グラインダ手入れ後には全く
認められず、極めて良好であった。また、凝固殻の破断
に起因する表面欠陥の発生は従来法に比較しておよそ5
0分の1に減少した。
50 mm 角ブルームを、鋳造速度1.7m/min で鋳造し
た。流量調節弁45を排出量300l/min に設定して窒
素ガスを遮断空間33から排出し、遮断空間33内の圧
力が600Torrとなるように遮断空間33に供給する窒
素ガス量を流量調節弁41により調節した。鋳片肌下気
泡の発生は、0.3 mm グラインダ手入れ後には全く認
められず、極めて良好であった。図2は、遮断空間内圧
力と気泡および表面欠陥との関係を示している。図2か
ら明らかなように、この発明の方法による気泡発生個数
は従来法に比べて著しく減少している。また、遮断空間
内の圧力が低くなり過ぎると、表面欠陥の発生数が増加
することも示している。
たシールガスが鋳型入口側から鋳型内への大気の侵入を
防ぎ、またシールガスは溶融金属中に溶け込むので気泡
を発生することはない。さらに、鋳片が鋳型から間欠的
に引き抜かれる際に、極短時間の内に真空状態は解消さ
れ、凝固殻のブレークリングに接する部分がブレークリ
ング側に拘束されないので、凝固殻の破断に起因する表
面欠陥は発生しない。
も表面きずが発生しない良好な品質の鋳片を供給するこ
とができこと、歩留りが向上すること、きず取り作業を
省略することができることなどの格別の効果を奏し、ひ
いては製品価格を低減することができる。
を示す断面図である。
を示すグラフである。
Claims (2)
- 【請求項1】 タンディッシュから、入口および出口を
備えた冷却鋳型に該鋳型の入口に接するブレークリング
を少なくとも介して溶融金属を連続的に供給すること、
前記鋳型において溶融金属を連続的に冷却し湯面よりも
下方で溶融金属の凝固を開始させて鋳片を形成するこ
と、および前記鋳型の出口側から鋳片を鋳型に対して間
欠的に引き抜くことよりなる鋳造方法において、 直径が鋳型とブレークリングとの接触面の最大径よりも
大きな閉曲線を境界とする大気を遮断する遮断空間を鋳
型入口に隣接して設け、前記溶融金属に可溶なシールガ
スを前記遮断空間内に供給すること、前記遮断空間内の
シールガス圧を検出すること、および検出したシールガ
ス圧に基づいて前記遮断空間内のシールガス圧を大気圧
未満に保持することを特徴とする連続鋳造方法。 - 【請求項2】 遮断空間内のシールガス圧が200Torr
〜大気圧未満である請求項1の連続鋳造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP34072191A JP2952099B2 (ja) | 1991-12-24 | 1991-12-24 | 連続鋳造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP34072191A JP2952099B2 (ja) | 1991-12-24 | 1991-12-24 | 連続鋳造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05169198A JPH05169198A (ja) | 1993-07-09 |
JP2952099B2 true JP2952099B2 (ja) | 1999-09-20 |
Family
ID=18339681
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP34072191A Expired - Lifetime JP2952099B2 (ja) | 1991-12-24 | 1991-12-24 | 連続鋳造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2952099B2 (ja) |
-
1991
- 1991-12-24 JP JP34072191A patent/JP2952099B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH05169198A (ja) | 1993-07-09 |
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