JP2001129643A - 連続鋳造方法および鋳型 - Google Patents

連続鋳造方法および鋳型

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JP2001129643A
JP2001129643A JP30605599A JP30605599A JP2001129643A JP 2001129643 A JP2001129643 A JP 2001129643A JP 30605599 A JP30605599 A JP 30605599A JP 30605599 A JP30605599 A JP 30605599A JP 2001129643 A JP2001129643 A JP 2001129643A
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cooling plate
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Masashi Hara
昌司 原
Hideo Mizukami
英夫 水上
Yoshihisa Shirai
善久 白井
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Abstract

(57)【要約】 【課題】溶鋼中に含有される水素ガスなどのガス成分の
含有率が高い場合にも、拘束性ブレークアウトの事故の
発生を防止でき、表層部に気泡性欠陥の発生のない表面
品質の良好な鋳片を得ることができる鋼の連続鋳造方法
および鋳型の提供。 【解決手段】鋳型1の冷却板7と凝固殻4との間の隙間
12の雰囲気ガスを排気しながら鋳造する方法およびそ
の方法に用いる鋳型。多孔質部9の代わりに、鋳型内面
に開口する排気孔を冷却板内に備える構造の鋳型でもよ
い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する分野】本発明は、拘束性ブレークアウト
の発生を防止でき、表層部に気泡性欠陥の発生のない表
面品質の良好な鋳片を得ることができる鋼の連続鋳造方
法およびその方法に用いる鋳型に関する。
【0002】
【従来の技術】溶鋼中に含有される窒素、水素、酸素な
どの各ガス成分が溶解し得る最高値(以下、飽和溶解度
と記す)、および凝固殻中でのこれらの各ガス成分の含
有率の最高値(以下、固溶限と記す)は、溶鋼または凝
固殻が接するそれぞれの雰囲気中の各ガス成分の分圧お
よび溶鋼や凝固殻の温度によってほぼ決まる。ただし、
通常の炭素鋼では、ガス成分の飽和溶解度および固溶限
は、鋼の化学組成が変化しても、ほとんど変化しない。
【0003】したがって、通常の炭素鋼では、溶鋼また
は凝固殻が接する雰囲気中の各ガス成分の分圧および溶
鋼や凝固殻の温度が低いほど、各ガス成分の飽和溶解度
および固溶限は低くなる。また、固溶限は飽和溶解度よ
りも低いため、溶鋼中の各ガス成分の含有率が固溶限以
上の場合、溶鋼が鋳造されて凝固殻になるとき、固溶限
を超える過飽和分の各ガス成分は、凝固殻からガスとな
って放出される。
【0004】溶鋼中の含有率と固溶限の差が大きい場合
に、溶鋼と凝固殻の界面では、気泡が生成しやすく、こ
の気泡は凝固界面で凝固殻に捕捉される。この現象は、
凝固速度が大きい凝固初期に顕著なため、鋳片表層部に
気泡性欠陥が発生しやすい。この鋳片表層部の気泡性欠
陥は、その鋳片を素材とする熱間圧延製品における線状
疵や割れ疵などの表面欠陥の原因となりやすい。
【0005】とくに、溶鋼中の水素含有率が高い場合
に、鋳片表層部に気泡性欠陥が発生しやすく、また、拘
束性ブレークアウトが発生しやすくなることが知られて
いる。拘束性ブレークアウトが発生しやすくなるのは、
溶鋼中の水素含有率が高いことにより、何らかの要因
で、溶融パウダの潤滑性能が悪くなり、凝固殻が鋳型の
冷却板に焼き付きやすくなるためである。
【0006】そこで、従来から、RH真空処理装置など
を用いて、連続鋳造前の溶鋼を脱ガス処理することが行
われている。しかし、RH真空処理装置を用いる場合に
は、高い設備費が必要であり、また、脱ガス処理に多大
の処理時間が必要である。さらに、脱ガス処理中に真空
槽内の溶鋼表面からガスの気泡が抜けるとき、溶鋼が飛
散するため、真空処理槽内面の耐火物に多量の溶鋼が付
着する。そのため、溶鋼の歩留まりが低下し、製造コス
トが高くなる。
【0007】特開平4−59915号公報では、たとえ
ば、取鍋を密封可能な容器内に配置し、容器内の雰囲気
を減圧するとともに、さらに、多孔質の耐火物からなる
中空パイプを取鍋内の溶鋼に浸漬し、その中空パイプの
中空部の雰囲気を減圧することにより、溶鋼中のガス成
分を中空パイプの中空部を経由して除去する方法が提案
されている。しかし、この方法でも、取鍋を密封可能な
容器内に配置するための設備が必要で、高い設備費が必
要となり、また多孔質の耐火物の中空パイプに溶鋼が付
着しやすく、溶鋼の歩留まりが低下し、製造コストが高
くなる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、安価な設備
および安価な製造コストで、溶鋼中に含有される水素ガ
スなどのガス成分に起因する拘束性ブレークアウトの発
生を防止でき、表層部に気泡性欠陥の発生のない表面品
質の良好な鋳片を得ることができる鋼の連続鋳造方法お
よびその方法に用いる鋳型を提供することを目的とす
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、下記
(1)に示す鋼の連続鋳造方法、(2)および(3)に
示す連続鋳造用の鋳型にある。
【0010】(1)鋳型の冷却板と凝固殻との間の隙間
の雰囲気ガスを排気しながら鋳造する鋼の連続鋳造方
法。
【0011】(2)上記(1)に記載の連続鋳造方法に
用いる鋳型であって、鋳型の冷却板の一部に、背面が排
気系に接続され、かつ表面が鋳型内面と同一面に配置さ
れた通気性の多孔質部を備える連続鋳造用の鋳型。
【0012】(3)上記(1)に記載の連続鋳造方法に
用いる鋳型であって、排気系に接続され、かつ鋳型内面
に開口する排気孔を備える連続鋳造用の鋳型。
【0013】本発明者らは、前述の本発明の課題を、下
記の知見に基づいて、下記の対策を採ることにより
解決した。
【0014】溶鋼中の水素含有率が高い場合に、溶融
パウダの潤滑性能が悪くなり、凝固殻が鋳型の冷却板に
焼き付きやすくなって、拘束性ブレークアウトが発生し
やすい。その原因は、次のとおりである。
【0015】炭素鋼では、凝固直前の溶鋼中の水素ガス
の飽和溶解度および凝固直後の凝固殻中の固溶限は、質
量%でそれぞれ23ppm程度と7ppm程度であっ
て、その差が大きい。したがって、溶鋼が凝固すると
き、鋳型内の凝固殻中の水素含有率が固溶限を超えやす
く、その場合には過飽和分の水素がガスとなって放出さ
れる。このとき、凝固殻が薄いうちは、水素ガスは鋳型
冷却板と凝固殻との隙間に放出される。
【0016】溶鋼中の水素含有率が低い場合、鋳型冷却
板と凝固殻との隙間に放出された水素ガスは、溶融パウ
ダ(厚み100〜300μm)中を上昇し、未溶融のモ
ールドパウダを通過して大気中に逃げるか、または、溶
融パウダ中に滞留して、溶融パウダとともに鋳型の下方
に移動した後、大気中に逃げる。
【0017】一方、溶鋼中の水素含有率が高く、鋳型冷
却板と凝固殻との間の隙間に放出される水素ガスが多い
場合、この隙間の上部に存在するスラグベア近傍に水素
ガスが滞留するとともに、この隙間の雰囲気ガスの圧力
が上昇する。そのため、溶融パウダの流れ込みが阻害さ
れ、鋳型の冷却板と凝固殻との間の潤滑が悪くなり、凝
固殻が鋳型冷却板に焼き付きやすくなる。そのために、
拘束性ブレークアウトが発生しやすくなる。
【0018】本発明では、鋳型の冷却板と凝固殻との
間の隙間の雰囲気ガスを排気しながら鋳造する。そのた
め、鋳型冷却板と凝固殻との隙間に放出される水素ガス
を排気でき、また、この隙間の雰囲気ガスの圧力を低下
できる。したがって、鋳型の冷却板と凝固殻との間の隙
間への溶融パウダの流れ込みが阻害されることはないの
で、凝固殻が鋳型冷却板に焼き付きつくこともなく、拘
束性ブレークアウトが発生することを防止できる。
【0019】さらに、鋳型の冷却板と凝固殻との隙間に
滞留する水素ガスを排気すると、その隙間の水素ガスの
分圧が低下する。そのために、凝固殻からこの隙間に水
素ガスが放出され、凝固殻中の水素量が低下する。した
がって、溶鋼中の水素が凝固殻中に移行する。したがっ
て、溶鋼と凝固殻の界面での気泡の生成が抑制される。
そのため、鋳片表層部の気泡性欠陥の発生を防止でき
る。
【0020】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の方法およびその
方法に用いる鋳型の詳細を説明する。図1は、鋳型の冷
却板の一部に、背面が排気系に接続され、かつ表面が鋳
型内面と同一面に配置された多孔質部を備える本発明の
鋳型および方法を説明するための図である。図1(a)
は、横断面が長方形の鋳型を短辺側から見た縦断面図で
あり、図1(b)は、図1(a)中のA1−A2線にお
ける水平断面のうち、片側の長辺面の多孔質部の近傍の
みを拡大して示す図である。
【0021】図2は、排気系に接続され、かつ鋳型内面
に開口する排気孔を備える本発明の鋳型および方法を説
明するための図である。横断面が長方形の鋳型を短辺側
から見た縦断面図である。
【0022】浸漬ノズル2を介してタンディッシュ(図
示していない)から鋳型1内に注入された溶鋼3は、鋳
型の冷却板7で冷却されて凝固し、凝固殻4が形成され
る。溶鋼表面に添加されたモールドパウダ5は溶鋼の熱
により溶融し、溶融パウダ6−1が形成される。溶融パ
ウダは、鋳型の冷却板と凝固殻との隙間に流入する。凝
固殻と接する側の溶融パウダは液相のままであるが、鋳
型の冷却板と接する側では、溶融パウダは固化して固相
のパウダ6−2となる。また、溶鋼のメニスカス近傍で
は、溶融パウダが鋳型の冷却板に接して固化するので、
スラグベア8が形成される。鋳型の冷却板と凝固殻との
隙間の雰囲気を排気装置10により排気しながら鋳造す
ることにより、冷却板と凝固殻との間の隙間12におけ
るスラグベア近傍の位置に滞留したガスを排気でき、ま
た、この隙間の雰囲気ガスの圧力を低下できる。
【0023】まず、本発明の鋳型において、鋳型の冷却
板7の一部に、背面が排気系に接続され、かつ表面が鋳
型内面と同一面に配置された多孔質部9を備える鋳型1
を説明する。
【0024】多孔質部9を配置する状況は、図1(b)
に示すとおりである。通常の冷却板は、バックフレーム
16側に冷却水を通水するための冷却水通路15を備え
るが、本発明の鋳型では、多孔質部9を備える部分に
は、冷却水通路15を配置しない。多孔質部9は、たと
えば鋼製の板13で囲い、この鋼製の板に排気用の配管
14を接続すればよい。
【0025】多孔質部を配置する鋳型の冷却板内の位置
は、鋳型の横断面形状が長方形の場合には、鋳型の冷却
板の両長辺側に配置するのがよい。また、鋳型の横断面
形状が円形または正方形の場合には、相対する冷却板の
2カ所の位置に配置するのがよい。
【0026】鋳型の冷却板の一部に、鋳型内面と同一面
に多孔質部を配置するのは、鋳型内面より凝固殻側に突
出すると、凝固殻の表面に疵を付けたり、また、鋳型内
面より引っ込んでいると、溶融パウダが堆積したりする
からである。
【0027】金属の焼結体などの多孔質部の鋳型内面に
露出させる形状は、長方形や正方形でもよく、また、円
形でもよい。また、鋳型の冷却板の大きさに対するこの
多孔質部の縦断面の大きさは、後述するとおりである。
【0028】多孔質部を配置する鋳型の高さ方向の位置
は、鋳型上端から50〜300mmの位置と鋳型下端か
ら50〜300mmの位置との間の位置が望ましい。鋳
型上端から50mm未満のときには、多孔質部にスラグ
ベアが付着し、ガスが通過できなくなる場合がある。ま
た、鋳型下端から50mm未満のときには、鋳型内の凝
固殻が振動し、多孔質部に接触する場合があり、このと
き、多孔質部が摩耗しやすい。
【0029】多孔質部を配置する鋳型の幅方向の位置に
ついては、幅の中央部で、少なくとも幅の1/10程度
以上あればよい。全幅に配置してもよい。多孔質部の背
面を鋼製の板13で覆い、配管14をその板と排気装置
の間に配置するなどにより、多孔質部を排気する。
【0030】凝固殻4と接する鋳型1の冷却板7に配置
する多孔質部9は、Al2 3 などのいわゆる多孔質の
耐火物でも構わないが、金属の焼結体が望ましい。金属
の焼結体とは、20〜250メッシュの細かく砕いた金
属を焼結したもので、互いに連絡しあった無数の毛細管
の集合体であり、毛細管は焼結体の表面に開口してい
る。そのため、通気性がある。一般的に流体中のゴミの
除去などの濾過用に用いられているものでよい。
【0031】本発明で用いる金属の焼結体用の金属とし
ては、ステンレス鋼、銅、銅合金、通常の炭素鋼などを
用いることができる。気孔率は10〜50%が望まし
い。10%未満では、ガスが金属の焼結体を通過しにく
くなる。また50%を超えると、金属の焼結体の熱伝導
率が悪くなるので、鋳型の本来の目的である凝固殻の冷
却が不十分となる。
【0032】次に、排気系に接続され、かつ鋳型内面に
開口する排気孔を備える本発明の鋳型を説明する。冷却
板の孔11を配置する状況は、図2に示すとおりであ
る。
【0033】冷却板に備える孔のサイズは、直径0.5
〜2mmが望ましい。0.5mm未満では、異物などで
詰まりやすく、鋳造前の鋳型の孔の整備を頻繁にする必
要がある。また、2mmを超えると、排気装置に異物を
吸入しやすい。
【0034】孔を配置する冷却板の位置は、前述の多孔
質部を配置する領域と同じでよい。また、孔の数は、鋳
型の横断面形状やその大きさで決めればよいので、とく
に限定しない。鋳型の横断面形状が長方形で、幅約10
00mmの鋳型で、鋳型の冷却板の両長辺側に孔を配置
する場合で、片側の冷却板あたり5〜50個を、できる
だけ均等に配置するのが望ましい。5個未満では、減圧
する効果が少なく、50個を超えると、冷却板内に配置
することが、冷却水路との取り合いから困難となる。孔
の背面と減圧装置との間に配管を配置するなどにより、
孔を減圧する。
【0035】本発明の方法では、鋳型の冷却板と凝固殻
との隙間の雰囲気ガスを排気しながら鋳造する。
【0036】排気時の圧力は、多孔質部の種類や大き
さ、または孔の大きさや個数などにより決めればよいの
で、とくに限定しない。後述する250メッシュのステ
ンレス鋼を原料として、気孔率40%、厚み20mmに
焼結したものを用いる場合、または、横断面形状が長方
形で、幅約1000mmの鋳型において、直径1mmの
孔を片側の冷却板あたり25個配置する場合で、鋳型の
冷却板と凝固殻との隙間の圧力が大気圧〜0.8気圧程
度になるように排気するのがよい。
【0037】排気装置として、たとえば、ロータリーポ
ンプのような通常の排気装置を用いることができる。
【0038】
【実施例】垂直曲げ型連続鋳造機を用いて、C含有率が
0.09〜0.14質量%の中炭素鋼を速度1.5m/
分で鋳造した。連続鋳造の前にはRH真空処理装置によ
る脱ガス処理は行わなかった。各試験では、1ヒートの
鋳造を行った。孔の角度が下向き30゜で、2孔の浸漬
ノズルを用い、浸漬ノズルを通過する溶鋼には、浸漬ノ
ズルに設けたポーラスプラグから5リットル(標準状
態)/分の流量でArガスを吹き込んだ。用いた鋳型の
横断面形状は、厚み200mm、幅1500mmの長方
形で、高さは900mmである。
【0039】本発明例の試験の一部では、鋳型の両長辺
側の冷却板の鋳型上端からの距離が150mm〜700
mmの範囲の位置で、全幅に多孔質部を配置した。多孔
質部には、SUS316L相当のステンレス鋼を250
メッシュに砕いたものを原料とする気孔率40%の金属
の焼結体を用いた。金属の焼結体の厚みは20mmとし
た。なお、冷却板は、銅合金製で、厚みは40mmであ
る。金属の焼結体を取り付ける部分の冷却板は、金属の
焼結体を組み込めるように切り取った。また、本発明例
の試験の一部では、鋳型の両長辺側の冷却板の鋳型上端
からの距離が150mm〜700mmの範囲の位置で、
全幅に、直径1mmの孔を片側の冷却板あたり25個均
等に配置した。鋳型の冷却板内の金属の焼結体の部分に
は、鋼製の鉄板を巻き付け、その一部に鋼製の管を配置
した。また、孔の背面にも同様に管を配置した。それら
の配管を鋳型の外部に設けたロータリーポンプに繋ぎ、
排気した。比較例の試験では、多孔質部または孔のない
冷却板で構成された鋳型を用いた。
【0040】連続鋳造前の取鍋内の溶鋼中および鋳造試
験中のタンディッシュ内の溶鋼中の水素の含有率を、ヘ
レウス・エレクトロナイト社製のHYDRISを用いた
水素迅速分析法によって測定した。鋳型の冷却板に金属
の焼結体や孔を配置して排気する試験では、回収したガ
スの成分をガスクロマトグラフィーで分析した。
【0041】鋳造中に拘束性ブレークアウトの発生の有
無を調査するとともに、各試験では、長さ約10mの鋳
片を採取し、鋳片の天側の長辺側表面の約1mmの厚み
を溶削し、目視で気泡性欠陥の発生状況を調査した。試
験条件および試験結果を表1に示す。
【0042】
【表1】
【0043】本発明例の試験No.1〜No.4では、
連続鋳造前の取鍋内およびタンデイッシュ内の溶鋼中と
もに水素含有率は質量%でそれぞれ10〜14ppmで
あった。試験No.1〜No.3では、鋳型の冷却板内
に配置した金属の焼結体を用いて排気するときに、0.
8気圧まで減圧した。また、試験No.4では、鋳型の
冷却板内に配置した孔を用いて排気するときに0.8気
圧まで減圧した。
【0044】排気中に回収したガスの平均的な組成は、
各試験とも、体積%で水素30%、窒素50%、酸素1
0%、その他一酸化炭素等10%の割合であった。いず
れも1ヒートを鋳造している間、タンディッシュ内の水
素含有率が高いので、拘束性ブレークアウトの発生が懸
念されたが、鋳型の冷却板と凝固殻との隙間の雰囲気ガ
スを排気できたので、拘束性ブレークアウトは発生しな
かった。鋳片表層部の気泡性欠陥の発生状況は、0.1
〜0.2個/cm2 で、良好な品質状況であった。
【0045】比較例の試験No.5〜No.7では、連
続鋳造前の取鍋内およびタンデイッシュ内の溶鋼中とも
に水素含有率は質量%でそれぞれ9〜14ppmであっ
た。
【0046】タンディッシュ内の溶鋼中の水素含有率が
質量%で11および14ppmである試験No.5およ
びNo.6では、それぞれ鋳造の途中で、拘束性ブレー
クアウトが発生した。タンディッシュ内の水素含有率が
高いため、溶融パウダの流れ込みが悪くなり、鋳型の冷
却板と凝固殻との潤滑が悪くなったためである。
【0047】タンディッシュ内の溶鋼中の水素含有率が
質量%で9ppmである試験No.7では、拘束性ブレ
ークアウトは発生しなかった。しかし、鋳片表層部の気
泡性欠陥の発生状況は1.82個/cm2 で、気泡性欠
陥の多い、表面品質の悪い鋳片であった。
【0048】
【発明の効果】本発明の方法の適用により、溶鋼中に含
有される水素ガスなどガス成分の含有率が高い場合で
も、RHなどの真空処理装置を用いての脱ガス処理を必
要とせず、安価な設備および安価な製造コストで、凝固
殻および溶鋼から脱ガスを行い、表層部に気泡性欠陥の
発生のない鋳片を得ることができ、また、拘束性ブレー
クアウトの事故の発生を防止できる。
【0049】さらに、本発明の方法で用いる鋳型では、
凝固殻を緩冷却することができるので、鋳片表面が割れ
やすい鋼を鋳造するとき、割れの発生を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の鋳型の1例を示す図で、(a)は、横
断面が長方形の鋳型を短辺側から見た縦断面図であり、
(b)は、図1(a)中のA1−A2線における水平断
面のうち、片側の長辺面の多孔質部の近傍のみを拡大し
て示す図である。
【図2】本発明の鋳型の多の例を示す図で、排気系に接
続され、かつ鋳型内面に開口する排気孔を備える鋳型を
示す図である。
【符号の簡単な説明】
1:鋳型 2:浸漬ノズル
3:溶鋼 4:凝固殻 5:モールドパウダ
6:溶融パウダ 7:冷却板 8:スラグベア
9:多孔質部 10:排気装置 11:冷却板の孔 12:冷却板と凝固殻との間の隙間 13:鋼製の板 14:配管
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 白井 善久 大阪府大阪市中央区北浜4丁目5番33号住 友金属工業株式会社内 Fターム(参考) 4E004 AA08 MC11 NC01

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】鋳型の冷却板と凝固殻との間の隙間の雰囲
    気ガスを排気しながら鋳造することを特徴とする鋼の連
    続鋳造方法。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の連続鋳造方法に用いる鋳
    型であって、鋳型の冷却板の一部に、背面が排気系に接
    続され、かつ表面が鋳型内面と同一面に配置された通気
    性の多孔質部を備えることを特徴とする連続鋳造用の鋳
    型。
  3. 【請求項3】請求項1に記載の連続鋳造方法に用いる鋳
    型であって、排気系に接続され、かつ鋳型内面に開口す
    る排気孔を備えることを特徴とする連続鋳造用の鋳型。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2017001079A (ja) * 2015-06-15 2017-01-05 Jfeスチール株式会社 鋼の連続鋳造方法
CN114799097A (zh) * 2022-04-29 2022-07-29 鞍钢股份有限公司 一种系统降低连铸坯皮下气泡夹杂的方法

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