JP7157387B2 - タンディッシュ上ノズル - Google Patents

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Description

本発明は、タンディッシュの流出口に設置される上ノズルに関する。
酸化精錬された溶鋼は通常Alにより脱酸され、酸化精錬により増加した溶鋼中の酸素が除去される。脱酸生成物であるAl(アルミナ)粒子は溶鋼との密度差によって溶鋼から浮上して分離されるが、密度差のみによる分離には限界があり、微細なアルミナ粒子が溶鋼中に懸濁した状態で残留する。
また、Al脱酸後の溶鋼中にはAlが溶解しており、このAlが取鍋からタンディッシュへの注入過程やタンディッシュ内において大気と接触して酸化することにより、アルミナが新たに溶鋼中に生成される。
溶鋼中に懸濁しているこれらアルミナ粒子は、アルミナ-カーボン質耐火物からなる上ノズルやスライディングノズル、浸漬ノズルといった連続鋳造用ノズルを通過する際に、ノズル内壁に付着して堆積しノズル閉塞を引き起こす要因となる。また、アルミナ粒子が鋳型内に侵入して凝固シェルに捕捉され製品欠陥となるおそれがある。
ノズル内壁にアルミナ粒子が付着・堆積してノズル閉塞が起きると、鋳造作業及び鋳片品質において様々な問題が発生する。具体的には、鋳片引抜速度を低下せざるを得ず、生産性が落ちるのみならず、場合によっては鋳込作業そのものの中止を余儀なくされる。また、浸漬ノズル内壁に堆積したアルミナが突然剥離し、大きなアルミナ粒子となって鋳型内に排出され、これが凝固シェルに捕捉された場合には製品欠陥となる。さらには、欠陥部位の凝固が遅れて溶鋼が流出しブレークアウトにつながることさえある。
このような理由から種々のアルミナ付着抑制対策が実施されている。その一つとして、タンディッシュから鋳型への溶鋼供給流路の一部を構成する上ノズルからAr等の不活性ガスを当該流路内に吹き込むことが行われている。具体的には、上ノズルの内壁部を貫通孔を有する耐火物で構成し、貫通孔からの不活性ガス吹き込みによる乱流によってノズル内壁面を洗浄しアルミナの付着を抑制する。もしくは、上ノズルの内壁部をポーラス性耐火物で構成し、ポーラス性耐火物からの不活性ガス吹き込みによって溶鋼中に懸濁するアルミナ粒子をガス気泡で捕捉して鋳型内へ流出させ鋳型内湯面へ浮上させる。
例えば特許文献1では、ノズル本体内に、ノズル孔とほぼ同心で軸方向に延びる環状スリットと、環状スリットに不活性ガスを供給する供給路と、環状スリットと連通しノズル孔に不活性ガスを吹き込む直径0.5mm以下の貫通孔を複数形成したタンディッシュ上ノズルが提案されている。特許文献1によれば、直径0.5mm以下の貫通孔を水平もしくは下向きに所定角度傾けて形成することにより、タンディッシュに注入された溶鋼が撹拌され、ノズル内壁へのアルミナ付着を防止することができるとしている。
また、特許文献2には、ガス吹き込み時の背圧を1.2kg/cmG以上、ガス吹き込み流量を5~10NL/minとして、タンディッシュ上ノズルのポーラスレンガから不活性ガスを吹き込む方法が提案されている。特許文献2によれば、背圧を高くすることによって均一なガスを吹き込むことができ、ガス気泡内にアルミナが捕捉されて浸漬ノズル内壁にアルミナが付着することがなく、ノズル閉塞が防止されるとしている。
特開2005-279729号公報 特開2000-84647号公報
アルミナ付着を効率良く抑制するには、鋳造初期から末期までガス吹き込み機能を維持することやガス気泡の大きさを調整することが必要となる。
特許文献1記載の技術のように、ノズル本体内に貫通孔を形成して不活性ガスをノズル孔に吹き込む場合、比較的大きなガス気泡が吹き込まれることから、ノズル内壁へのアルミナ付着抑制効果は得られるものの、溶鋼中に懸濁しているアルミナ粒子を浮上・分離させる効果が小さいため、鋳片品質の改善が十分に得られないという課題がある。
また、特許文献2記載の技術では、鋳造初期の背圧を高くすることによりノズル閉塞は防止できても、長時間の鋳造に伴ってポーラス性耐火物を構成する材料中のシリカ粒子のガス化により組織劣化が進行し、背圧の低下と共にガス気泡の肥大化が進行することがわかった。その結果、溶鋼中に懸濁しているアルミナ粒子の捕捉量が低下し、浸漬ノズルへのアルミナ付着が抑制できなくなると共に、安定した鋳片品質を得ることが困難となる。また、アルミナ粒子を捕捉した微細な気泡が鋳型内で浮上しきれずに凝固シェルに捕捉され、鋳片品質を悪化させる場合もあった。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、鋳造初期から末期まで連続鋳造用ノズルへのアルミナ付着を安定的に抑制し、且つ高い鋳片品質を実現することが可能なタンディッシュ上ノズルを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は、タンディッシュの流出口に設置される上ノズルにおいて、
ノズル本体内に、ノズル孔と同心で軸方向に延びる環状スリットと、前記環状スリットに不活性ガスを供給する供給路とを備え、
前記ノズル孔と前記環状スリットに挟まれた内壁耐火物の上部がポーラス性耐火物とされると共に、前記内壁耐火物の下部に、前記環状スリットと連通し前記ノズル孔に不活性ガスを吹き込む貫通孔が設けられ、
前記ポーラス性耐火物は、C(カーボン)を5質量%以上30質量%未満、SiO(シリカ)を5質量%以上15質量%未満、Al(アルミナ)を50質量%以上90質量%未満含有し、且つ前記SiOの粒径が1.0mm未満であり、
鋳造に使用する前の状態でのSiO粒子の周囲90%以上がCによって被覆され、前記ポーラス性耐火物の気孔率が18%以上27%以下であることを特徴としている。
ノズル内壁へのアルミナ付着抑制と、高い鋳片品質を実現するため、本発明では、アルミナ付着抑制効果が得られやすい貫通孔によるガス吹き込みと、アルミナ粒子の捕捉が促進されやすいポーラス性耐火物によるガス吹き込みを組み合わせた構造としている。さらに、長時間鋳造しても組織劣化しない組成からなるポーラス性耐火物とすることで、鋳造初期から末期まで微細気泡を維持できるようにしている。
本発明に係るタンディッシュ上ノズルでは、長時間の鋳造においても組織劣化しない組成からなるポーラス性耐火物から吹き出る微細なガス気泡によってアルミナ介在物の捕捉促進を図ると同時に、内壁耐火物の下部に設けた貫通孔からノズル孔に不活性ガスを吹き込むことによりノズル内壁へのアルミナ付着を抑制すると共に、ポーラス性耐火物からの微細な気泡と合体して浮上しやすくするので、鋳造初期から末期まで連続鋳造用ノズルへのアルミナ付着を安定的に抑制し、且つ高い鋳片品質を実現することができる。
本発明の一実施の形態に係るタンディッシュ上ノズルの縦断面図である。 従来のタンディッシュ上ノズルと本実施の形態に係るタンディッシュ上ノズルについて、鋳造に使用する前と鋳造後のポーラス性耐火物部分の各気孔率を比較したグラフである。 従来のポーラス性耐火物からなるタンディッシュ上ノズルと本実施の形態に係るタンディッシュ上ノズルについて、鋳造長と上ノズル背圧指数の関係を比較したグラフである。
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態について説明し、本発明の理解に供する。
[上ノズルの構造]
本発明の一実施の形態に係るタンディッシュ上ノズル10の縦断面を図1に示す。
タンディッシュの流出口に設置されるタンディッシュ上ノズル10は、溶鋼の流通路となるノズル孔14と、ノズル孔14を囲繞する耐火物からなる概略円筒状のノズル本体11とから構成されている。
ノズル本体11の外周面は鉄皮17で被覆され、ノズル本体11内には、ノズル孔14とほぼ同心で軸方向に延びる環状スリット12が形成されている。環状スリット12には供給路13を介して外部から不活性ガスが供給される。環状スリット12のクリアランスは1mm程度である。
ノズル孔14と環状スリット12に挟まれた内壁耐火物15の上部15aはポーラス性耐火物とされ、内壁耐火物15の下部15bには、環状スリット12と連通しノズル孔14に不活性ガスを吹き込む複数の貫通孔16が設けられている。貫通孔16の直径は0.5mm以上1.0mm以下とし、貫通孔16の数は50~150程度とするのが好ましい。直径0.5mm未満の貫通孔は製造が難しく、1.0mm超では気泡が大きくなり過ぎてノズルへのアルミナ付着抑制効果が小さくなる。
ポーラス性耐火物は、C(カーボン)を5質量%以上30質量%未満、SiO(シリカ)を5質量%以上15質量%未満、Al(アルミナ)を50質量%以上90質量%未満含有し、残部は他の耐火物成分及び不可避的不純物とし、SiOの粒径は1.0mm未満とする。
また、鋳造に使用する前の状態でのSiO粒子の周囲90%以上がCによって被覆され、ポーラス性耐火物の鋳片鋳造前後における気孔率は18%以上27%以下とする。
なお、貫通孔16を設ける耐火物の組成は特に限定されず、ノズル本体11を構成するアルミナ-カーボン質耐火物もしくは本発明に使用するポーラス性耐火物と同じでもよい。
[本発明の考え方]
タンディッシュ上ノズルから吹き込む不活性ガスのガス気泡径が小さいほど、溶鋼中に懸濁する微細なアルミナ粒子はガス気泡に捕捉され、スライディングノズルや浸漬ノズルの内壁へのアルミナ付着が抑制される。従って、連続鋳造用ノズルへのアルミナ付着を長時間安定して抑制するためには、ポーラス性耐火物が組織劣化することなく、小さいガス気泡径を維持することが重要となる。
ポーラス性耐火物の組織劣化は、耐火物中に含まれるSiO粒子の1550℃還元雰囲気下におけるガス化反応によって出現する現象であり、以下の反応式1によって進行する。なお、(s)は固体、(g)はガスを意味する。
SiO(s) + C(s) → SiO(g)+CO(g) ・・・ 反応式1
上記反応によるSiO粒子のガス化によってポーラス性耐火物の組織劣化が進行する。これにより、ポーラス性耐火物組織内の気孔が三次元的に連結してガス流路が大きくなり、発生する気泡も大きくなってしまう。
本発明に係るタンディッシュ上ノズルでは、上記反応式1によって進行するポーラス性耐火物の組織劣化を抑制すると同時に、連続鋳造用ノズルを亀裂や割れ等の問題なく安定して使用可能とするため、ポーラス性耐火物の組成を上記構成とし、さらにSiO粒子の周囲90%以上がCによって被覆されるようにする。このような構成とすることで、1550℃還元雰囲気下では、上記反応式1と同時に以下の反応式2が進行する。
SiO(g)+2C(s)→ SiC(s)+CO(g) ・・・ 反応式2
上記反応式2より、SiO粒子がガス化して発生したSiOが、その周囲に隣接するCと反応して緻密なSiC層を形成する。これにより、ポーラス性耐火物組織内における気孔の連結が抑制される。その結果、鋳造末期においても小さいガス気泡径を維持することが可能となる。それ故、製造に使用する前の状態でのポーラス性耐火物では、SiO粒子の周囲にCを予め隣接させることが重要となる。
なお、ポーラス性耐火物を構成する成分を上記数値範囲に限定した理由は以下の通りである。
Cが5質量%未満では、SiO粒子周囲のC被覆率が低下するため、反応式2による組織劣化抑制効果が得られず、鋳造中における組織劣化の進行によって背圧低下を招いてしまう。一方、Cが30質量%以上では、余剰なCによるポーラス性耐火物の損耗が鋳造中に生じやすくなる。
SiOが5質量%未満では、SiO量不足による耐熱衝撃性の低下によって亀裂が発生する一方、SiOが15質量%以上では、ポーラス性耐火物の損耗が鋳造中に生じやすくなる。
ポーラス性耐火物中の主原料であるアルミナは耐火性原料として一般的に使用されるものであり、50質量%未満ではポーラス性耐火物の損耗が生じやすくなる一方、90質量%以上では、SiOやCが規定量未満となる。
SiO粒子の粒径が1.0mm以上の場合、鋳造中にガス化した後、亀裂の起点となり割れやすくなる。
また、SiO粒子周囲のC被覆率が90%未満の場合、組織劣化の抑制効果が得られず、鋳造中における組織劣化が進行する。
ポーラス性耐火物の気孔率が18%未満では、気孔率が小さすぎて気泡が出にくくなる一方、27%超では、気孔率が大きすぎ、発生する気泡径も大きくなり過ぎる。
図2は、従来のポーラス性耐火物(SiO粒子へのC被覆率が90%未満の耐火物)からなるタンディッシュ上ノズルと本実施の形態に係るタンディッシュ上ノズルについて、鋳造に使用する前と鋳造後のポーラス性耐火物部分の各気孔率を比較したグラフである。
気孔率は開孔気孔の値であり、アルキメデス法により測定した。具体的には、ポーラス性耐火物のサンプル片を乾燥させた時の重量(W0)、水中に完全浸漬させた際の重量(W1)、及び水中に完全浸漬させた状態で真空引きした際の重量(W2)を測定し、その比率から気孔率(P)を算出した。算出式は、P=(W2-W0)/(W2-W1)となる。
同図より、従来のタンディッシュ上ノズルに比べて本実施の形態に係るタンディッシュ上ノズルのほうが、鋳造前後における気孔率の増大幅が小さいことがわかる。
また、図3は、従来のポーラス性耐火物からなるタンディッシュ上ノズルと本実施の形態に係るタンディッシュ上ノズルについて、鋳造長と上ノズル背圧指数の関係を比較したグラフである。不活性ガスはAr、流量は6L/min、鋳片の幅は1700mm、鋳造速度は1.2m/min~1.4m/minである。なお、上ノズル背圧指数は、従来と本実施の形態それぞれの鋳造初期における上ノズル背圧を100とした時に、鋳造長(=鋳造時間)に伴う上ノズル背圧を指数表記した値である。
従来のタンディッシュ上ノズルは、鋳造長が増大するにつれて背圧が低下しているが、本実施の形態に係るタンディッシュ上ノズルは、鋳造長鋳造時間にかかわらず背圧が安定していることが同図よりわかる。
[タンディッシュ上ノズルの製造方法]
原料である粉体を所定の量比で配合し、液状もしくは粉末状のバインダーを加えてミキサーで混練する。混練物はノズル本体用と内壁耐火物用の各々を作製する。ここで、ポーラス性耐火物の原料を配合する際、予めSiO原料とC原料を混合しておく。これにより、SiO粒子の周囲90%以上をCによって被覆することができる。
各々の混練物を用いて、環状スリットと貫通孔を所定位置に有する上ノズル形状に成型するため、乾燥・焼成段階で環状スリットと貫通孔が形成されるように、可燃性物質からなる環状スリットと貫通孔の型を上ノズル形状の型枠に予め設置しておく。予め設置した型に対して、外側にノズル本体用混練物、内側に内壁耐火物用混練物を投入し、等方加圧成形機等の高圧成形機で圧縮して上ノズル形状の成形体を得る。得られた成形体を乾燥・焼成することにより、環状スリットと貫通孔、ポーラス性耐火物を所定位置に有するタンディッシュ上ノズル耐火物が製造される。
製造したタンディッシュ上ノズルは、加工機によって所定寸法の外径に加工され、シール材を塗布した状態で外周に鉄ケース(鉄皮)を被せる。次いで、鉄ケースに孔を開け、さらにノズル本体にも孔を空け、環状スリット部分まで到達させる。空けた孔にパイプ(供給路)を挿入し、耐火物とパイプの隙間からガスが漏れないようシール材で封止する。
なお、上記方法によって製造されるタンディッシュ上ノズルの形状は特に規定するものではなく、タンディッシュ底部に固定することができれば、どのような形状でも適用可能である。
[タンディッシュ上ノズルの使用方法]
上ノズル使用時に吹き込むAr等の不活性ガスの流量や圧力は特に限定するものではないが、通常は2~30NL/minのガス流量、0.5~1kg/cmのガス圧力で使用する。
以上、本発明の一実施の形態について説明してきたが、本発明は何ら上記した実施の形態に記載の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されている事項の範囲内で考えられるその他の実施の形態や変形例も含むものである。
本発明の効果について検証するために実施した検証試験について説明する。
試験条件及び試験結果の一覧を表1に示す。
Figure 0007157387000001
[試験条件]
(a)使用前のタンディッシュ上ノズル
内壁耐火物上部に使用したポーラス性耐火物の使用前における気孔率は、上述したアルキメデス法により測定した開孔気孔の値である。
使用前におけるポーラス性耐火物の水中ガス気泡径は、鋳造初期のガス気泡径を想定した数値であり、使用前の上ノズルを軸方向に半分に切断した後に切断面とノズル内面の貫通孔を非水溶性の接着剤で塞ぎ、水中に漬けて2.0kg/cmの圧力でガスを吹き込むことにより、ポーラス性耐火物から噴き出た気泡を撮影し、気泡10個について画像解析により測定した直径の平均値である。
SiO粒子へのC被覆率は、使用前のポーラス性耐火物からサンプルを切り出して断面のSEM-EPMA観察を行い、SiO粒子の外周がCで覆われている割合をC被覆率として算出した。
なお、SEM-EPMAは、走査型電子顕微鏡に波長分散形X線検出機を取り付けて、試料表面の元素の同定や定量分析をする装置である。
(b)鋳造後のタンディッシュ上ノズル
鋳造時間300分、連々数6回、ガス吹込み圧力0.7kg/cm以上の条件でAlキルド鋼の連続鋳造を実施した後、使用したタンディッシュ上ノズルを回収して評価した。
鋳造後のポーラス性耐火物の気孔率は、上記と同様、アルキメデス法により測定した開孔気孔の値である。
1550℃熱処理後におけるポーラス性耐火物の水中ガス気泡径は、鋳造末期のガス気泡径を想定した数値であり、1550℃で5時間保持する熱処理後の上ノズルを軸方向に半分に切断した後に切断面とノズル内面の貫通孔を非水溶性の接着剤で塞ぎ、水中に漬けて2.0kg/cmの圧力でガスを吹き込むことにより、ポーラス性耐火物から噴き出た気泡を撮影し、気泡10個について画像解析により測定した直径の平均値である。厳密には、鋳造後のポーラス性耐火物の水中ガス気泡径を測定する必要があるが、原型を留めた状態で鋳造後の上ノズルを回収することが非常に困難であるため、1550℃熱処理後の水中ガス気泡径を鋳造末期のガス気泡径と想定して測定した。
SiC緻密層の生成については、走査型電子顕微鏡による組織観察からSiC層の生成の有無を判断した。
[評価方法]
鋳片内アルミナ介在物個数密度指数は、連々鋳の最後に鋳造された鋳片をサンプリングし、スライム分析により得られたアルミナ介在物個数密度について、比較例1を100として指数表記した値である。
また、アルミナ付着厚み指数は、上ノズル、スライディングノズル、浸漬ノズル各内壁への最大アルミナ付着厚みの合計値について、比較例1を100として指数表記した値である。
[結果と考察]
実施例1~3は、鋳造過程においてポーラス性耐火物の組織内にSiC緻密層が生成されたため、気孔率の増大による組織劣化が抑制され、背圧も低下することなく初期の微細なガス気泡径が維持されている。それ故、鋳造初期から末期までアルミナ介在物の捕捉効果が維持され、ノズル内壁へのアルミナ付着抑制も安定した結果が得られたと推察される。
一方、比較例1は、ポーラス性耐火物中のSiOが25質量%と本発明範囲より多いことから、鋳造過程でSiC緻密層が生成せず、SiO粒子のガス化によって組織が顕著に劣化して気孔率が増大した結果、背圧の低下に伴うガス気泡の肥大化が進行し、鋳片品質の改善に課題が残る結果になったと考えられる。
また、比較例2は、ポーラス性耐火物が本発明範囲内の組成であっても、内壁耐火物の下部に貫通孔を持たない構造であることから、ノズル内壁へのアルミナ付着抑制において課題が残る結果になったと考えられる。
10:タンディッシュ上ノズル、11:ノズル本体、12:環状スリット、13:供給路、14:ノズル孔、15:内壁耐火物、15a:上部、15b:下部、16:貫通孔、17:鉄皮

Claims (1)

  1. タンディッシュの流出口に設置される上ノズルにおいて、
    ノズル本体内に、ノズル孔と同心で軸方向に延びる環状スリットと、前記環状スリットに不活性ガスを供給する供給路とを備え、
    前記ノズル孔と前記環状スリットに挟まれた内壁耐火物の上部がポーラス性耐火物とされると共に、前記内壁耐火物の下部に、前記環状スリットと連通し前記ノズル孔に不活性ガスを吹き込む貫通孔が設けられ、
    前記ポーラス性耐火物は、Cを5質量%以上30質量%未満、SiOを5質量%以上15質量%未満、Alを50質量%以上90質量%未満含有し、且つ前記SiOの粒径が1.0mm未満とされ、
    鋳造に使用する前の状態でのSiO粒子の周囲90%以上がCによって被覆され、前記ポーラス性耐火物の気孔率が18%以上27%以下であることを特徴とするタンディッシュ上ノズル。
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