JP2004009079A - タンディッシュ上ノズル及び連続鋳造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】連続鋳造におけるタンディッシュから鋳型への溶鋼供給流路11の一部を構成し、この溶鋼供給流路内を流下する溶鋼中に不活性ガスを吹き込むタンディッシュ上ノズル3であって、吹き込み用の不活性ガスを供給するためのガス供給手段25と、このガス供給手段に連通され、溶鋼中に不活性ガスを吹き込むポーラス煉瓦22と、を具備し、該ポーラス煉瓦がアルミナを主成分とするアルミナ質系耐火物からなり、且つ、ポーラス煉瓦の嵩密度が3.0g/cm3以上であるタンディッシュ上ノズル3から溶鋼中に不活性ガスを吹き込む。
【選択図】 図6
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、連続鋳造におけるタンディッシュから鋳型への溶鋼供給流路の一部を構成する上ノズル、並びに、この上ノズルを用いた連続鋳造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
酸化精錬された溶鋼は通常Alにより脱酸され、酸化精錬により増加した溶鋼中の酸素が除去される。脱酸生成物であるアルミナ(Al2O3)粒子は溶鋼との密度差によって溶鋼から分離されるが、密度差のみによる分離には限界があり、微細なアルミナ粒子は懸濁した状態で溶鋼中に残留する。又、溶鋼中酸素を安定して低減させるために、Al脱酸後の溶鋼中にはAlが溶解して存在しており、このAlが取鍋からタンデッシュへの注入過程やタンデッシュ内において大気と接触して酸化した場合には、新たにアルミナが溶鋼中に生成される。溶鋼中に懸濁しているこれらのアルミナ粒子がアルミナ−黒鉛質からなる浸漬ノズルを通過する際にノズル内壁に付着・堆積して、浸漬ノズルの閉塞が発生する。
【0003】
浸漬ノズルが閉塞すると、鋳造作業上及び鋳片品質上で様々な問題が発生する。例えば、鋳片引き抜き速度を低下せざるを得ず、生産性が落ちるのみならず、甚だしい場合には鋳込み作業そのものの中止を余儀なくされる。又、浸漬ノズル内壁に堆積したアルミナが突然剥離し、大きなアルミナ粒子となって鋳型内に排出され、これが凝固シェルに捕捉された場合には製品欠陥となり、更には、この部分の凝固が遅れて溶鋼が流出し、ブレークアウトにつながることさえもある。このような理由から種々のアルミナ付着防止対策が実施されている。
【0004】
このアルミナ付着防止対策の一つとして、タンディッシュから鋳型への溶鋼供給流路の一部を構成する上ノズルからAr等の不活性ガスを当該流路内に吹き込むことが行われている。即ち、上ノズルの全部若しくは一部をポーラス煉瓦で構成し、ポーラス煉瓦からのガス吹き込みにより溶鋼中に懸濁するアルミナ粒子をガス気泡で捕捉して鋳型内へ流出させ、鋳型内湯面へ浮上させると云うものである。この場合、不活性ガス吹き込みによる乱流によりノズル内壁面が洗浄されると云う効果もある。但し、アルミナ付着を効率良く防止するには、ガス気泡の大きさを調整することやポーラス煉瓦全体から均一に吹き込むことが重要である。例えば、ガス気泡が大きすぎる場合にはアルミナ粒子の捕捉量が少なく、付着抑制効果が発揮されない上に、鋳型内湯面での擾乱をもたらしモールドパウダーの巻き込みの原因となる。
【0005】
このような観点から、特開平2−307654号公報(以下「先行技術1」と記す)には、ポーラス煉瓦のガス通過用の気孔が平均径で25μm以下である上ノズルが提案されている。先行技術1によれば、平均気孔径を25μm以下にすることでポーラス煉瓦が緻密化され、上ノズル全体から均一にガスが吹き込まれ、ノズル閉塞が防止されるとしている。又、特開2000−84647号公報(以下「先行技術2」と記す)には、ガス吹き込みの背圧を1.2kg/cm2G以上、ガス吹き込み流量を5〜10Nl/minとして上ノズルから不活性ガスを吹き込む方法が提案されている。先行技術2によれば、背圧を高くすることにより、ポーラス煉瓦の各部位における気孔率に多少のばらつきがあっても均一に吹き込むことができ、ノズル閉塞が防止されるとしている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、先行技術1のような平均気孔径が25μm以下の均質な耐火物を安定して製造することは困難であり、先行技術1では上ノズルの製作コストが上昇すると云う問題があった。又、平均気孔径が小さくなり過ぎた場合には、ガス気泡も小さくなり過ぎ、ガス気泡の溶鋼からの浮上・分離が妨げられ、ガス気泡に捕捉されたアルミナ粒子が鋳片に残留し、鋳片の清浄性が悪化すると云う問題も生じていた。先行技術2では、ポーラス煉瓦の気孔率のばらつきを改善するには自ずと限度があり、ノズル閉塞を安定して防止することは極めて困難であった。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、特殊な耐火物成形方法を必要とせずにガス気泡径を小さくすることができ、長時間の連続鋳造においても鋳片の清浄性を悪化させることなく浸漬ノズルの詰まりを生じさせないタンディッシュ上ノズル及びこれを用いた連続鋳造方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意検討を行った。以下に検討結果を説明する。
【0009】
上ノズルから吹き込む不活性ガスのガス気泡径が小さいほど、溶鋼中に懸濁する微細なアルミナ粒子はこのガス気泡に捕捉されて、浸漬ノズル内壁のアルミナ付着が防止される。即ち、アルミナ付着を効率的に防止するには、ガス気泡径が小さいことが必要である。それ故、吹き込まれるガス気泡を小さくする方法を検討した。尚、前述の先行技術1では、主に原料粉末の平均粒径を小さくすることによってポーラス煉瓦の気孔径を25μm以下に調整しているが、平均粒径の小さい原料粉末を使用することに問題があり、コスト増の原因となっていた。
【0010】
本発明者等は、ポーラス煉瓦の気孔率即ち嵩密度と、ポーラス煉瓦の気孔径即ちガス気泡径とには何らかの相関関係があるはずと想定し、ポーラス煉瓦の嵩密度を変更させることを考えた。嵩密度は、粉体原料からポーラス煉瓦を圧縮成形加工する際の圧縮成形力に依存し、圧縮成型力の増加に伴って嵩密度が上昇する。この場合、嵩密度が大きくなれば気孔率が低下し、嵩密度が小さくなれば気孔率が大きくなる。嵩密度は、その外形寸法と質量とを測定すれば求めることができ、気孔率に比べて容易に測定することができるため、ポーラス煉瓦を評価するには極めて好都合である。
【0011】
図1に、アルミナ質系耐火物からなるポーラス煉瓦の嵩密度を変更し、そのポーラス煉瓦における気孔の平均径を調査した結果を示す。ポーラス煉瓦の気孔の平均径は次のようにして求めた。即ち、ポーラス煉瓦を水銀中に埋没させ、特定の気孔径に相当する圧力をかけた際にポーラス煉瓦内に吸い込まれる水銀量を求め、この水銀量から該当気孔径の比率を求めた。この作業を様々な圧力下で行うことにより全体の気孔径分布を求め、その後に平均径を定めた。
【0012】
ポーラス煉瓦は、90mass%をアルミナ(Al2O3)とし、残部をシリカ(SiO2)、マグネシア(MgO)及びクロミア(Cr2O3)とする耐火物で作製した。因みに、これら酸化物の真密度は、アルミナが4.0g/cm3、シリカが2.6g/cm3、マグネシアが3.5g/cm3、クロミアが5.0g/cm3であり、仮にアルミナを90mass%以上含有する上記組成のポーラス煉瓦の真密度を算出すれば、3.9〜4.1g/cm3程度になる。尚、従来のアルミナ質系耐火物からなるポーラス煉瓦の嵩密度は、先行技術1にも見られるように、2.80g/cm3程度以下である。
【0013】
その結果、図1に示すように、ポーラス煉瓦の嵩密度の増加に伴って気孔の平均径が小さくなることが分かり、従って、ポーラス煉瓦の嵩密度を制御することにより吹き込まれるガス気泡の平均径を調整可能であることが分かった。又、図1から明らかなように、嵩密度が3.0g/cm3以上になると気孔の平均径は20μm以下になることも分かった。即ち、平均径が20μm以下のガス気泡を得るためには、ポーラス煉瓦の嵩密度を3.0g/cm3以上にする必要があることが分かった。尚、この場合、従来の成形方法に比べて圧縮成型力を増大させる必要がある。
【0014】
一方、ガス気泡が小さくなり過ぎると鋳型内におけるガス気泡の浮上・分離が損なわれ、ガス気泡に捕捉されたアルミナ粒子が鋳片に残留し、鋳片の清浄性が悪化する。従って、鋳片の清浄性からは小さすぎるガス気泡は好ましくない。そこで、嵩密度を変化させた場合の気孔径の分布を調査した。この場合、比較のために先行技術1によるポーラス煉瓦における気孔の分布も併せて調査した。先行技術1によるポーラス煉瓦の嵩密度は2.80g/cm3であった。気孔の分布は前述の水銀を用いる方法により測定した。
【0015】
図2、図3及び図4に、それぞれ嵩密度が2.96g/cm3、3.01g/cm3及び3.23g/cm3の場合のポーラス煉瓦における気孔径の分布を示し、又、図5に先行技術1によるポーラス煉瓦における気孔径の分布を示す。
【0016】
図2〜図4に示すように、嵩密度の増加に伴って気孔の平均径が小さくなると10μm未満の微細な気孔が増加することが分かった。特に、嵩密度が3.23g/cm3のポーラス煉瓦では10μm未満の気孔の頻度が高いことが分かった。
【0017】
一方、図5に示すように従来例では気孔径の分布範囲が広く、従って、例えば気孔の平均径が20μmであっても直径が10μm未満の微細な気孔の頻度が高いことが分かった。又、従来例においてはこの10μm未満の微細な気孔が多いことが、鋳片の清浄性に悪影響を及ぼしていることも分かった。図5に示す従来例に比較すると、嵩密度を2.96g/cm3、3.01g/cm3及び3.23g/cm3に上昇させたポーラス煉瓦では気孔径の分布範囲が狭くなることが分かった。
【0018】
これらの結果から、圧縮加工成形時に圧縮成型力を増加させ、ポーラス煉瓦の嵩密度を3.0g/cm3以上に調整することで、気孔径即ちガス気泡の平均径が20μm以下となり、浸漬ノズルにおけるアルミナ付着を抑制することができるとの知見が得られた。又、この場合に、10μm未満の微細なガス気泡の発生頻度が低くなるように嵩密度の上限を3.2g/cm3以下とすることにより、鋳片の清浄性が悪化されないとの知見も得られた。
【0019】
本発明は上記知見に基づきなされたもので、第1の発明に係るタンディッシュ上ノズルは、連続鋳造におけるタンディッシュから鋳型への溶鋼供給流路の一部を構成し、この溶鋼供給流路内を流下する溶鋼中に不活性ガスを吹き込むタンディッシュ上ノズルであって、吹き込み用の不活性ガスを供給するためのガス供給手段と、このガス供給手段に連通され、溶鋼中に不活性ガスを吹き込むポーラス煉瓦と、を具備し、該ポーラス煉瓦がアルミナを主成分とするアルミナ質系耐火物からなり、且つ、ポーラス煉瓦の嵩密度が3.0g/cm3以上であることを特徴とし、第2の発明に係るタンディッシュ上ノズルは、第1の発明において、前記ポーラス煉瓦の嵩密度が3.2g/cm3以下であることを特徴とするものである。
【0020】
又、第3の発明に係る連続鋳造方法は、第1の発明又は第2の発明のタンディッシュ上ノズルを用い、タンディッシュから鋳型への溶鋼供給流路内を流下する溶鋼中に前記タンディッシュ上ノズルから不活性ガスを吹き込みながら鋳造することを特徴とするものである。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図6は、本発明の実施の形態を示す図であって、本発明に係る上ノズルの拡大図、図7は、本発明に係る上ノズルを備えた連続鋳造用タンディッシュ及び鋳型の概略縦断面図である。
【0022】
本発明に係る上ノズル3は、ポーラス煉瓦22及びノズル母材23とからなる耐火物と、これら耐火物を取り囲む鉄皮24と、ポーラス煉瓦22に連通するガス導入管25とから構成されている。上ノズル3の軸芯部の開孔部がタンディッシュから鋳型への溶鋼供給流路11の一部分となる。ノズル母材23は通常高アルミナ質煉瓦を用いることが多いが、高アルミナ質煉瓦に限るものではなく、他の組成であってもよい。鉄皮24は、ポーラス煉瓦22及びノズル母材23の補強材としての役割と、ポーラス煉瓦22に吹き込まれる不活性ガスの背面への漏洩を防止する役割とをなしている。
【0023】
ポーラス煉瓦22は、アルミナを80mass%以上含有する高アルミナ質系の耐火物とする。この高アルミナ質耐火物は、高温強度が高く溶鋼に対する耐摩耗性に優れており、ポーラス煉瓦22の材料として好適である。ポーラス煉瓦22は、アルミナの他にシリカ、マグネシア、クロミア等から構成する。これらの耐火物原料としては、酸化アルミナ、ボーキサイト、珪石、石英、マグネシアクリンカー、酸化クロム等を用いることができる。
【0024】
これらの耐火物原料を所定の配合比で配合して混合し、上ノズル3用のポーラス煉瓦22の形状に圧縮成型する。ポーラス煉瓦22に用いる耐火物原料は特に微粉にまで粉砕する必要はなく、通常の粒度で十分である。圧縮成型されたポーラス煉瓦22の嵩密度が3.0g/cm3以上となるように圧縮力を調整する。但し、嵩密度が3.2g/cm3を超えると10μm未満の微細なガス気泡が増加し、鋳片の清浄性が悪化するので、嵩密度は3.2g/cm3以下とすることが好ましい。
【0025】
成形したポーラス煉瓦22にガス導入管25を取り付け、ガス導入管25が取り付けられたポーラス煉瓦22とノズル母材23を構成する耐火物原料とを上ノズル3を成形する金型内の所定の位置に配置し、これらを圧縮成型して上ノズル3を成型する。そして、成形した上ノズル3を焼成し、連続鋳造用タンディッシュ上ノズル3として仕上げる。
【0026】
上ノズル3の他の製造方法は、ポーラス煉瓦22を構成するための、酸化アルミナ、ボーキサイト、珪石、石英、マグネシアクリンカー、酸化クロム等が所定の配合比で混合された耐火物原料と、ノズル母材23を構成する耐火物原料と、ガス導入管25とを準備し、これらを上ノズル3を成形する金型内の所定の位置に配置し、圧縮成型して上ノズル3を成形し、そして、成形した上ノズル3を焼成し、連続鋳造用タンディッシュ上ノズル3として仕上げる方法である。
【0027】
この場合も、圧縮成形後のポーラス煉瓦22の嵩密度が3.0g/cm3以上であり且つ好ましくは3.2g/cm3以下となるように、圧縮力を調整する。この場合には上ノズル3中のポーラス煉瓦22のみの嵩密度を測定することができないので、予め圧縮力を種々変更して上ノズル3を成形し、成形した上ノズル3からポーラス煉瓦22を切り出し、このポーラス煉瓦22の嵩密度を測定して、ポーラス煉瓦22の嵩密度が3.0g/cm3以上であり且つ好ましくは3.2g/cm3以下となるように、圧縮力と嵩密度との関係を定めておき、それに基づき圧縮成型加工すれば所定の嵩密度を有する上ノズル3を得ることができる。
【0028】
このような構成の上ノズル3を用いて溶鋼の連続鋳造を行うが、本発明に係る上ノズル3を使用する連続鋳造設備としては、例えば図7に示すような連続鋳造設備を用いることができる。
【0029】
図7において、相対する鋳型長辺13と、鋳型長辺13内に内装された相対する鋳型短辺14とにより構成される鋳型2の上方所定位置に、外郭を鉄皮15で覆われ、内部を耐火物16で施行されたタンディッシュ1が配置され、このタンディッシュ1の底部には耐火物16に嵌合して本発明に係る上ノズル3が設けられている。図7では示していないが、上ノズル3に取りつけられたガス導入管25は流量計が設置されたガス供給本管に接続されており、ガス供給本管から供給されるAr等の不活性ガスが上ノズル3から溶鋼供給流路11内に吹き込まれるようになっている。そして、この上ノズル3の下面に接続して、上部固定板5、摺動板6、下部固定板7、及び整流ノズル8からなるスライディングノズル4が配置され、更に、スライディングノズル4の下面に接して、下部に一対の吐出孔10を有する浸漬ノズル9が配置され、タンディッシュ1から鋳型2への溶鋼供給流路11が形成されている。摺動板6は、往復型アクチュエーター12と接続されており、往復型アクチュエーター12の作動により、上部固定板5と下部固定板7との間をこれらの固定板と接触したまま移動し、摺動板6と下部固定板7とで形成する開口部面積を調整することにより溶鋼供給流路11を通過する溶鋼量が制御される。浸漬ノズル9は、吐出孔10が鋳型2内の溶鋼17中に埋没するようにその先端が浸漬されて使用される。
【0030】
このように構成される連続鋳造設備を用いて、取鍋(図示せず)からタンディッシュ1内に注入された溶鋼17を、上ノズル3からAr等の不活性ガスを吹き込みながらスライディングノズル4で溶鋼流量を調整しつつ、溶鋼供給流路11を経由させ、吐出孔10から吐出流18を鋳型短辺14に向けて鋳型2内に注入する。注入された溶鋼17は鋳型2内で冷却されて凝固シェル19を形成し、鋳型2の下方に連続的に引き抜かれ鋳片となる。鋳型2内の溶鋼湯面20上にはモールドパウダー21を添加して鋳造する。
【0031】
上ノズル3から吹き込む不活性ガス流量は特に限定するものではなく、例えば5〜15Nl/min程度の通常の吹き込み量で良い。上ノズル3のポーラス煉瓦22の嵩密度を3.0〜3.2g/cm3の範囲にすることにより、不活性ガス気泡の平均径は12〜20μmとなり、且つ、10μm未満の微細なガス気泡の発生頻度が抑えられる。そのため、溶鋼供給流路11内を流下する溶鋼17の中に懸濁するアルミナ粒子は、ポーラス煉瓦22から吹き込まれる不活性ガス気泡に捕捉されて鋳型2内に流出し、不活性ガス気泡と共にガス気泡の浮力により溶鋼湯面20に浮上し、モールドパウダー21に吸収される。
【0032】
その結果、浸漬ノズル9の内壁面を初めとして溶鋼供給流路11の内壁面でのアルミナ付着が抑制され、アルミナによるノズル閉塞が防止され、鋳造可能時間を飛躍的に延長させることが可能となる。又、鋳型2内に流入したアルミナ粒子は浮上してモールドパウダー21に吸収されるため、鋳造される鋳片の清浄性を悪化させることがない。更に、浸漬ノズル9の内壁でのアルミナ粒子の付着・堆積による粗大化を防止することができるので、粗大化したアルミナの剥離に起因する鋳片の大型介在物を大幅に削減することができる。
【0033】
尚、上記説明では上ノズル3の二箇所をポーラス煉瓦22とした例で説明したが、上ノズル3の全体をポーラス煉瓦22としても、又、一箇所若しくは二箇所以上をポーラス煉瓦22としても良い。更に、連続鋳造機の個々の装置は上記に限るものではなく、例えば三枚板構造のスライディングノズル4の替わりに二枚板構造のスライディングノズルを用いても良いように、その機能が同一であればどのような装置としても良い。
【0034】
【実施例】
図7に示す連続鋳造設備を用い、図6に示す上ノズルの嵩密度を2.83〜3.23g/cm3の範囲で変化させて鋳造した試験鋳造の結果を説明する。上ノズルのポーラス煉瓦の組成は、アルミナを90mass%、シリカを6mass%、マグネシアを2mass%、及びクロミアを2mass%を含有するアルミナ質系耐火物とした。
【0035】
この上ノズルから10Nl/minのArを吹き込み、4時間以上の連続鋳造を実施した。鋳造後、使用した浸漬ノズルを回収し、浸漬ノズル下端から200mmの位置における浸漬ノズル内壁のアルミナ付着量を測定した。測定結果を図8に示す。
【0036】
図8からも明らかなように、ポーラス煉瓦の嵩密度が3.0g/cm3以上の範囲では、ノズル内壁の部分的には極少量のアルミナ付着が存在するもののアルミナ付着量は実質的に測定されず、極めて少ない結果であった。一方、嵩密度が3.0g/cm3よりも小さい範囲では嵩密度の低下に伴いアルミナ付着量が増加することが分かった。
【0037】
又、鋳造した鋳片を薄鋼板に圧延し、薄鋼板において介在物性欠陥を調査した結果、ポーラス煉瓦の嵩密度が3.00〜3.23g/cm3の範囲で鋳造した鋳片では、鋳片のアルミナに起因する表面欠陥は全く発生しないことが分かった。即ち、鋳片の清浄性は極めて高いことが分かった。
【0038】
【発明の効果】
本発明によれば、アルミナ質系耐火物からなるポーラス煉瓦の嵩密度を3.0g/cm3以上とすることによって吹き込むガス気泡を小さくするので、特殊な耐火物成形方法を用いることなく安定して吹き込みガス気泡を20μm以下にすることができる。その結果、浸漬ノズルの内壁面でのアルミナ付着が抑制され、アルミナによるノズル閉塞が防止され、鋳造可能時間を飛躍的に延長させることが可能となり、又、鋳型内に流入したアルミナ粒子は浮上してモールドパウダーに吸収されるため、鋳造される鋳片の清浄性を悪化させることがない。更に、浸漬ノズルの内壁でのアルミナ粒子の付着・堆積による粗大化を防止することができるので、粗大化したアルミナの剥離に起因する鋳片の大型介在物を大幅に削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ポーラス煉瓦の嵩密度と気孔平均径との関係を示す図である。
【図2】嵩密度が2.96g/cm3のポーラス煉瓦における気孔径の分布を示す図である。
【図3】嵩密度が3.01g/cm3のポーラス煉瓦における気孔径の分布を示す図である。
【図4】嵩密度が3.23g/cm3のポーラス煉瓦における気孔径の分布を示す図である。
【図5】従来例のポーラス煉瓦における気孔径の分布を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態の例を示す図であって、本発明に係る上ノズルの拡大図である。
【図7】本発明に係る上ノズルを備えた連続鋳造用タンディッシュ及び鋳型の概略縦断面図である。
【図8】実施例における浸漬ノズル内壁のアルミナ付着量の測定結果を示す図である。
【符号の説明】
1 タンディッシュ
2 鋳型
3 上ノズル
4 スライディングノズル
9 浸漬ノズル
11 溶鋼供給流路
16 耐火物
17 溶鋼
22 ポーラス煉瓦
23 ノズル母材
24 鉄皮
25 ガス導入管
Claims (3)
- 連続鋳造におけるタンディッシュから鋳型への溶鋼供給流路の一部を構成し、この溶鋼供給流路内を流下する溶鋼中に不活性ガスを吹き込むタンディッシュ上ノズルであって、吹き込み用の不活性ガスを供給するためのガス供給手段と、このガス供給手段に連通され、溶鋼中に不活性ガスを吹き込むポーラス煉瓦と、を具備し、該ポーラス煉瓦がアルミナを主成分とするアルミナ質系耐火物からなり、且つ、ポーラス煉瓦の嵩密度が3.0g/cm3以上であることを特徴とするタンディッシュ上ノズル。
- 前記ポーラス煉瓦の嵩密度が3.2g/cm3以下であることを特徴とする請求項1に記載のタンディッシュ上ノズル。
- 請求項1又は請求項2に記載のタンディッシュ上ノズルを用い、タンディッシュから鋳型への溶鋼供給流路内を流下する溶鋼中に前記タンディッシュ上ノズルから不活性ガスを吹き込みながら鋳造することを特徴とする連続鋳造方法。
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