JP3642015B2 - ステンレス鋼の連続鋳造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ステンレス鋼の連続鋳造にかかわり、とくに表面性状に優れた鋳片を製造するためのステンレス鋼の連続鋳造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
鋼の連続鋳造は、一般に、図1に部分的に例示するような連続鋳造機により行われる。すなわち、図1において、取鍋(図示せず)からタンディッシュに移された溶鋼は、タンディッシュ底部レンガ1に密接状態で固定されている、タンディッシュノズル2、固定板3、摺動板4、コレクターノズル5、浸漬ノズル6を経て、浸漬ノズルの溶鋼吐出口6aから鋳型7に供給される。鋳型7内に供給された溶鋼は、外部から強制的に冷却されながら、凝固シェルの厚みを順次増しながら凝固が進み鋳片となる。このとき、タンディッシュノズル2あるいは浸漬ノズル6の内側に非金属介在物が付着してノズル詰まりを起こすことを防止するために、また溶鋼からの介在物を浮上分離させるために、通常、タンディッシュノズル2のガス吹き込み口2aからArガスなどの不活性ガスが吹き込まれる。
【0003】
ステンレス鋼の連続鋳造も同様に行われるが、ステンレス鋼の場合には、製品したがってまた鋳片の段階で、とくに良好な表面性状が要求されることから、Si脱酸するのが一般的であった。なぜなら、Al脱酸鋼では、アルミナクラスターに起因する表面性状の低下を懸念されるからである。
ただし、こうしたSi脱酸ステンレス溶鋼を連続鋳造する際には、気泡性欠陥が発生しやすい傾向があった。こうしたSi脱酸ステンレス鋼における気泡性欠陥に対しては、例えば特開平11−57958号公報に提案されているように、不活性ガスとしてArガスを用いるのではなく、溶鋼に可溶性のガス(N2ガスなど)を用いる技術が実用化されてきた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したような、Si脱酸したステンレス溶鋼を溶鋼に可溶性のガスの吹き込みのもとで連続鋳造すると、鋳造の開始初期に相当する部位の鋳片(以下、「鋳造初期鋳片」と略記する)で、非金属介在物などの巻き込みが増すという現象が見られた。これは、ステンレス鋼の表面性状を著しく悪化させ、手入れ工数の増大、生産性の低下を招き早急な解決が求められていた。
このような鋳造初期鋳片の表面性状を改善するため、従来から、鋳造開始時に溶鋼中の非金属介在物を分離する見地で、所定量の溶鋼をタンディッシュに溜めてから鋳造を開始するなど、多くの試みがなされてきたが、未だ決定的な改善策にはなっていないのが現状である。
【0005】
そこで、本発明は、従来技術が抱えていた上掲の問題に鑑み、ステンレス溶鋼、とくにSi脱酸したステンレス溶鋼を連続鋳造するに際の、鋳造初期鋳片に見られる非金属介在物の巻き込みなどを低減して、より健全な鋳造初期鋳片を得るためのステンレス鋼の連続鋳造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
発明者らは、上記課題を解決するために、鋳造初期鋳片におけるこれら欠陥の発生状況を詳細に観察し、発生機構とともにその防止方法について検討した。
その結果、溶鋼に可溶性のガスをタンディッシュノズルから吹き込むと、溶鋼中ガスの絶対量はArガスの単独吹き込みの場合にくらべて少なくなり、気泡性欠陥の低減に有利に作用する反面、一方では、吹き込みガスによる鋳型内溶鋼の攪拌作用が弱まるために、メニスカス部の溶鋼温度が低下し、非金属介在物のトラッピングサイトを形成して不利となり、後者の影響の度合いがむしろ大きいことを知見したのである。
【0007】
本発明は、上記知見を基盤としたさらなる追求のもとに完成したものであって、ステンレス溶鋼をタンディッシュの底部に設けたタンディッシュノズルを経て鋳型内に供給して連続鋳造するステンレス鋼の連続鋳造方法において、前記タンディッシュノズルから、鋳造の開始から定常鋳込み状態に至るまでの期間では、溶鋼に不溶性のガスまたは不溶性のガスと可溶性のガスの混合ガスを吹き込み、定常鋳込み状態以降では、前記タンディッシュノズルから、溶鋼に可溶性のガスを吹き込むことを特徴とするステンレス鋼の連続鋳造方法である。
上記発明において、タンディッシュノズルから吹き込まれる、溶鋼に不溶性のガスの流量(NL/min )を、タンディッシュから鋳型への溶鋼供給量(t/min )に応じて、2〜35NL/tとすることが好ましい。
また、上記各発明においては、溶鋼に不溶性のガスがArガスであり、溶鋼に可溶性のガスがN2ガスであることが好ましい。
さらにまた、これら発明は、Si脱酸したステンレス溶鋼に適用するときにより一層有利である。
【0008】
【発明の実施の形態】
発明者らは、鋳造初期鋳片に見られる表面欠陥は、鋳造の開始初期に形成した爪状のトラッピングサイトに、非金属介在物が捕捉されることによってもたらされたものであることを確認した。
すなわち、鋳造開始の初期には、タンディッシュでの拔熱、浸漬ノズルでの拔熱、モールドパウダーの溶解熱などで溶鋼の温度が低下し、これらの温度低下要因に加えて、とくにメニスカス部では熱容量不足となることが重なり、鋳型の側壁から中心に向かって成長した、爪状のトラッピングサイトを形成することになる。その状況を図2中sで摸式的に示す。このようにしてできたトラッピングサイトsに、モールドパウダーp、タンディッシュ内や鋳型内でできた再酸化物r、スラグ、脱酸生成物などが捕捉されることとなる。これらは、鋳片や製品では非金属介在物性欠陥として顕在化するものである。
【0009】
したがって、非金属介在物性欠陥を低減するには、上述したようなトラッピングサイトの形成を阻止することにより、非金属介在物を上方に浮上できるようにすることがポイントとなる。
発明者らは、鋳造開始の初期でトラッピングサイトの形成を阻止するために、メニスカス部へ十分な熱量供給を行う有効な方法について検討した。その結果、鋳造開始の初期においては、全量をN2などの溶鋼に可溶性のガスとしないで、Arガスなどの溶鋼に不溶性のガスの使用割合を増加させることが極めて有効であることがわかった。
【0010】
ここで、タンディッシュノズルから吹き込まれる、溶鋼に不溶性のガスの流量(NL/min )を、タンディッシュから鋳型への溶鋼供給量(t/min )に応じて、2〜35NL/tとすることが好ましい。というのは、溶鋼に不溶性のガスの流量が2NL/tに満たないと該ガスによる溶鋼リフトアップ効果が十分ではなく、一方35NL/tを超えると溶鋼の攪拌が過度になり、パウダー巻き込みが却って多発し易くなるからである。
なお、溶鋼に可溶性のガスの吹き込み量は、0〜35NL/tとし、不溶性のガスとの合計で35NL/t以下とするのが好ましい。
【0011】
このようにして、鋳造開始の初期には溶鋼に不溶性の不活性ガスを増加させると、溶鋼とともに鋳型内に供給された不溶性の不活性ガスは、そのリフトアップ効果により鋳型内溶鋼を十分に攪拌することとなり、メニスカス部への熱量供給によってトラッピングサイトの形成を阻止することができる。
ただし、このような処置を行うのは、鋳造開始の初期のみであって、鋳造作業が定常状態になってから以降においては、溶鋼に可溶性のガスのみに復帰させればよい。鋳造の定常状態で溶鋼に可溶性のガスのみにすれば、定常状態の下での気泡性欠陥の低減に対する可溶性ガスがもっている本来の作用を発揮して、表面性状の向上に有効に寄与する。
【0012】
ここに、定常状態とは、本発明の趣旨からして厳密には、メニスカス部への熱量供給が定常になった状態であると定義できるが、実操業上は鋳造速度が溶鋼の過熱度ΔTによって定まる基準鋳込速度に到達した状態、あるいはタンディッシュの溶鋼重量が定常(満杯)の状態になったときをもって定常状態になったものとみなして差し支えない。
【0013】
【実施例】
次に、実施例により本発明を説明する。
Siにより脱酸したSUS304ステンレス溶鋼を、図1に部分的に示すような垂直曲げ型連続鋳造機(タンディッシュ満杯重量30t、鋳型サイズは厚み200mmで幅800〜1600mm)により鋳片を製造した。
取鍋の溶鋼を注入開始してタンディッシュ重量4tになるまでは、タンディッシュストッパーにより溶鋼を溜めて鋳造を開始した。タンディッシュ重量が20tになるまでは、スループット0.3〜1.5t/min に対して、Arガス単体をタンディッシュノズルから10NL/min (すなわち33.3〜6.7NL/t)で吹き込み、鋳込み全長2mの定常状態に達してから、吹き込みガスを10NL/min (5.0〜6.7NL/t)のN2ガスに切り替えた。
【0014】
鋳込みを終了後、鋳造開始部の全長2mはスクラップとして廃却し、それに続く鋳造初期鋳片を熱間圧延し、熱延鋼帯におけるへげ疵の発生率(=へげ疵が発生した鋳造初期鋳片の本数/全鋳造初期鋳片の本数) を調査し、従来法のそれと比較した。
その結果、従来法ではへげ疵発生率が45%であったのに対し、本発明法を適用することによって、鋳造初期鋳片の表面性状が向上し、熱延鋼帯のへげ疵発生率が10%にまで減少して、表面性状が大幅に改善された。
【0015】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、タンディッシュノズルからの吹き込みガスを鋳造の開始から定常状態に至るまでの期間ではAr等の溶鋼に不溶性のガスを用いるようにしたので、鋳型内メニスカス部への熱量供給が十分に行われるようになって、鋳込み初期の非金属介在物の巻き込みが減少する。このため、本発明をステンレス鋼の連続鋳造に適用することにより、鋳片ひいては熱延鋼帯におけるへげ疵などが減少し、表面性状が大幅に向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用するに用いられる連続鋳造機の要部を例示する側面図である。
【図2】鋳造開始の初期に発生する爪状トラップサイトを示す模式図である。
【符号の説明】
1 タンディッシュ底部レンガ
2 タンディッシュノズル
2a ガス吹き込みノズル
3 固定板
4 摺動板
5 コレクターノズル
6 浸漬ノズル
6a 溶鋼吐出口
7 鋳型
g 凝固シェル
p モールドパウダー
r 再酸化物
s 爪状トラップサイト
Claims (4)
- ステンレス溶鋼をタンディッシュの底部に設けたタンディッシュノズルを経て鋳型内に供給して連続鋳造するステンレス鋼の連続鋳造方法において、前記タンディッシュノズルから、鋳造の開始から定常鋳込み状態に至るまでの期間では、溶鋼に不溶性のガスまたは不溶性のガスと可溶性のガスの混合ガスを吹き込み、定常鋳込み状態以降では、溶鋼に可溶性のガスを吹き込むことを特徴とするステンレス鋼の連続鋳造方法。
- タンディッシュノズルから吹き込まれる、溶鋼に不溶性のガスの流量(NL/min )を、タンディッシュから鋳型への溶鋼供給量(t/min)に応じて、2〜35NL/tとすることを特徴とする請求項1に記載の連続鋳造方法。
- 溶鋼に不溶性のガスがArガスであり、溶鋼に可溶性のガスがN2ガスである請求項1または2に記載の連続鋳造方法。
- ステンレス溶鋼がSi脱酸したものである請求項1から3のいずれか1項に記載の連続鋳造方法。
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