JP2017001079A - 鋼の連続鋳造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 溶鋼の水素含有量に応じた最適な鋳型振動条件で鋳型を振動させ、これにより、溶鋼中の水素起因による拘束性ブレークアウトの発生を防止する。【解決手段】 本発明の鋼の連続鋳造方法は、鋳型を正弦波形または偏倚正弦波形で振動させながら鋳型内にモールドパウダーを添加してタンディッシュ内の溶鋼を鋳型内に注入して連続鋳造するにあたり、連続鋳造される溶鋼の水素含有量、使用するモールドパウダーの結晶化温度、使用するモールドパウダーの粘度、及び鋳片引き抜き速度に応じて設定した鋳型振動条件で、前記鋳型を振動させながら連続鋳造する。【選択図】 図1

Description

本発明は、溶鋼中の水素に起因する拘束性ブレークアウトを防止することのできる鋼の連続鋳造方法に関する。
鋼の連続鋳造では、取鍋内の溶鋼を一旦タンディッシュに注入し、タンディッシュ内に所定量の溶鋼を滞在させた状態で、タンディッシュ内の溶鋼を、タンディッシュ底部に設置した浸漬ノズルを介して鋳型内に連続的に注入している。この場合、鋳型内の溶鋼湯面上にはモールドパウダーが添加されている。
モールドパウダーは鋳型内溶鋼から受ける熱によって溶融し、溶融したモールドパウダーは鋳型と凝固シェルとの隙間に流入して消費されており、消費された量を補うように、新たなモールドパウダーが鋳型内に添加されている。このモールドパウダーは、鋳型内溶鋼の酸化防止機能や、鋳型と凝固シェルとの潤滑機能を発揮し、安定した連続鋳造操業及び鋳片品質に寄与している。
ところで、溶鋼は水素を含有しており、水素含有量が高い溶鋼を連続鋳造する場合には、鋳型と凝固シェルとの隙間に発生する水素気泡により、モールドパウダーの流入不良が発生し、凝固シェルが鋳型に焼き付き、これによってブレークアウトが発生することが知られている。凝固シェルが鋳型に焼き付くことで発生するブレークアウトは、拘束性ブレークアウトと呼ばれている。
そこで、溶鋼中の水素起因による拘束性ブレークアウトの発生を防止するための手段が提案されている。尚、溶鋼にRH真空脱ガス装置などによる脱ガス精錬を施せば、溶鋼の水素含有量は低下し、水素起因による拘束性ブレークアウトは防止できるが、脱ガス精錬を施すことにより製造コストが上昇する。
例えば、特許文献1には、鋳型銅板の一部に通気性の多孔質部を設ける、または、鋳型銅板に貫通孔を設け、前記多孔質部または前記貫通孔を介して、鋳型と凝固シェルとの隙間の雰囲気ガスを排気しながら鋳造する連続鋳造方法が提案されている。
特許文献2には、溶鋼中の水素含有量と鋳型内に添加するモールドパウダー中の付着水分の含有量とが、「H×M≦5(但し、Hは溶鋼中の水素含有量(ppm)、Mはモールドパウダー中の付着水分の含有量(質量%))」なる関係を満足する条件で鋳造する連続鋳造方法が提案されている。
また、特許文献3には、鋳片引き抜き速度とタンディッシュ内溶鋼の水素含有量とが、「Vc≦7.2/(H−6.6)(但し、Vcは鋳片引き抜き速度(m/min)、Hはタンディッシュ内溶鋼の水素含有量(ppm))なる関係を満足するように、タンディッシュ内溶鋼の水素含有量に応じて鋳片引き抜き速度を制御する連続鋳造方法が提案されている。
特許文献1〜3によれば、鋳型と凝固シェルとの隙間に存在する水素ガスが少なくなり、これにより、鋳型と凝固シェルとの隙間へのモールドパウダーの流入量が確保され、鋳型と凝固シェルとの焼き付きが防止されて、溶鋼中の水素起因による拘束性ブレークアウトの発生が防止できるとしている。
特開2001−129643号公報 特開2001−321909号公報 特開2001−225157号公報
しかしながら、上記従来技術には以下の問題がある。
即ち、特許文献1では、鋳型に通気性の多孔質部を設ける場合には、鋳型の使用回数の低下や、不均一冷却による鋳片表面欠陥の発生などの問題があり、また、鋳型に貫通孔を設ける場合には、この貫通孔を介して鋳型冷却水が鋳片に向けて流出し、これによるブレークアウトの発生が懸念される。また、鋳型の加工のみならず、排気装置が必要であり、設備費用が高い。
特許文献2では、モールドパウダー中の付着水分の下限値は、大気中で保管する限り自ずと決まっており、また、梅雨期の付着水分は高く、したがって、その時期の最も付着水分の低いモールドパウダーを使用しても、溶鋼中の水素含有量が高くて規定する関係を満足できない場合には、連続鋳造そのものを行うことができなくなるという問題がある。
特許文献3は、例えば、タンディッシュ内溶鋼の水素含有量が8.5ppm(=0.00085質量%)のときに、鋳片引き抜き速度が3.7m/minまで可能であるという技術である。一方、鋳片厚みが200〜300mmである一般的なスラブ連続鋳造機における現在の鋳片引き抜き速度は、脱ガス精錬を施した溶鋼であっても高々3.0m/min程度である。つまり、特許文献3で規定する鋳片引き抜き速度は余りにも高速で、特許文献3の技術は、現在の一般的なスラブ連続鋳造機には適用することができない。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、連続鋳造設備を改造することなく、溶鋼の水素含有量に応じた最適な鋳型振動条件で鋳型を振動させ、これにより、溶鋼中の水素起因による拘束性ブレークアウトの発生を防止することのできる、鋼の連続鋳造方法を提供することである。
上記課題を解決するための本発明の要旨は以下のとおりである。
[1]鋳型を正弦波形または偏倚正弦波形で振動させながら鋳型内にモールドパウダーを添加してタンディッシュ内の溶鋼を鋳型内に注入して連続鋳造するにあたり、連続鋳造される溶鋼の水素含有量、使用するモールドパウダーの結晶化温度、使用するモールドパウダーの粘度、及び鋳片引き抜き速度に応じて設定した鋳型振動条件で、前記鋳型を振動させながら連続鋳造することを特徴とする、鋼の連続鋳造方法。
[2]前記鋳型の振動波形の振幅及び振動数が、鋳造する溶鋼の水素含有量、使用するモールドパウダーの結晶化温度、使用するモールドパウダーの粘度、及び鋳片引き抜き速度に対して下記の(1)式を満足する範囲内で、前記鋳型を振動させることを特徴とする、上記[1]に記載の鋼の連続鋳造方法。
Figure 2017001079
但し、(1)式において、aは振動波形の振幅(mm)、fは振動波形の振動数(cpm)、Tcsはモールドパウダーの結晶化温度(℃)、ηはモールドパウダーの1300℃における粘度(poise)、Vcは鋳片引き抜き速度(m/min)、Hは溶鋼の水素含有量(104×質量%)、πは円周率である。
本発明では、連続鋳造される溶鋼の水素含有量、使用するモールドパウダーの結晶化温度、使用するモールドパウダーの粘度、及び鋳片引き抜き速度に応じて設定した鋳型のオシレーション条件で、鋳型をオシレーションさせながら連続鋳造する。この場合、一般的に、使用するモールドパウダーの結晶化温度及び粘度、並びに、鋳片引き抜き速度は予め決まっており、これらを変更することはほとんど発生しないことから、実質的に、連続鋳造される溶鋼の水素含有量に応じて、鋳型のオシレーション条件を、溶鋼の水素含有量が高くなるほどモールドパウダーの流入量が多くなる条件に設定するので、鋳造される溶鋼の水素含有量が高くても、鋳型と凝固シェルとの隙間へのモールドパウダーの流入量が確保され、溶鋼中の水素起因による拘束性ブレークアウトの発生を防止することが可能となる。
正弦波形及び偏倚正弦波形での鋳型の変位及び鋳型の振動速度を比較して示す図である。
以下、本発明を具体的に説明する。
鋼の連続鋳造では、鋳型と凝固シェルとの焼き付きを防止するために、鋳型を周期的且つ連続的に鋳造方向に上下振動させている。この振動は「オシレーション」とも呼ばれており、この鋳型振動によって、連続鋳造鋳片の表面には、水平方向に伸びる凹状の、所謂、オシレーションマークが形成される。この鋳型振動では、鋳型振動の1周期において、或る時間帯は、鋳型の下降速度が、凝固シェルの下降速度、つまり鋳片引き抜き速度よりも速くなるように、振動条件を設定している。鋳型振動の1周期において、鋳型の下降速度が凝固シェルの下降速度よりも速くなる期間をネガティブストリップ期、その時間をネガティブストリップ時間と称し、それ以外の期間をポジティブストリップ期、その時間をポジティブストリップ時間と称している。
また、鋼の連続鋳造では、鋳型振動だけでは鋳型と凝固シェルとの焼き付きを防止することが困難であるので、鋳型と凝固シェルとの潤滑剤として、モールドパウダーを鋳型内に添加している。鋳型内に添加されたモールドパウダーは溶融し、溶融したモールドパウダーが鋳型と凝固シェルとの隙間に流れ込み、鋳型と凝固シェルとの間に溶融状態のモールドパウダーが存在することで、潤滑機能が発現する。
鋳型振動の波形としては、一般的に、下記の(2)式に示す正弦波形が用いられている。但し、(2)式において、yは鋳型の変位(mm)、a0は振幅(mm)、fは振動数(cpm=サイクル/min)、tは時間(min)、πは円周率である。
Figure 2017001079
振動する鋳型の上限位置と下限位置との距離をストロークと呼んでおり、鋳型が正弦波形で振動する場合は、ストローク(S)は振幅a0の2倍(S=2×a0)となる。また、正弦波形で振動する場合、鋳型の下降速度の最大値(絶対値)は「2π×f(振動数)×a0(振幅)」となる。
鋼の連続鋳造において、鋳型と凝固シェルとの隙間へのモールドパウダーの流れ込み量は、鋳型振動のポジティブストリップ時間に比例することが公知である(例えば、特開昭60−87955号公報を参照)。鋳型振動が正弦波形の場合、振幅a0と振動数fとの積が一定の条件では、振幅a0を増加して振動数fを減少することで、ポジティブストリップ時間が長くなり、モールドパウダーの流れ込みは多くなる。但し、この場合には、オシレーションマークが深くなるという問題がある。
そこで、モールドパウダーの流れ込み量を確保し、且つ、オシレーションマーク深さを浅くするために、最近では、鋳型を偏倚正弦波形で振動させることも行われている。図1に、正弦波形及び偏倚正弦波形での鋳型の変位及び鋳型の振動速度を比較して示す。図1において、Aで示す波形が正弦波形で、Bで示す波形が偏倚正弦波形である。尚、図1におけるVcは鋳片引き抜き速度である。
図1に示すように、偏倚正弦波形では、鋳型振動の1周期中で鋳型が上昇した時の最大変位をとる時間が正弦波形の場合よりも後半にずれ、且つ、鋳型が下降した時の最大変位をとる時間が正弦波形の場合よりも前半にずれた波形となっている。
この偏倚正弦波形の正弦波形とのずれは、偏倚正弦波形における1周期中で鋳型が上昇した時の最大変位をとる時間をTnon-sin、正弦波形における1サイクル中で鋳型が上昇した時の最大変位をとる時間をTsinとして、波形歪率λ(λ=(Tnon-sin−Tsin)×100/Tsin)で表示されている。
また、偏倚正弦波形は下記の(3)式で表される。但し、(3)式において、yは鋳型の変位(mm)、anは振幅(mm)、fは振動数(cpm)、tは時間(min)、πは円周率である。
Figure 2017001079
尚、(3)式において、例えば、n=1〜3とし、振幅a1=4.0mm、振幅a2=−0.8mm、振幅a3=0.1mmとすると、実際の鋳型振動波形の振幅aが4.2mm、ストロークが8.4mm、波形歪率λが0.24の偏倚正弦波形となる。このように、(3)式における振幅anは、振動波形の振幅aとは異なる。正弦波形の場合には、鋳型振動波形の振幅aと(2)式の振幅a0とが一致する。
この偏倚正弦波形では、正弦波形に比較して鋳型の上昇速度が遅くなり、逆に、鋳型の下降速度が速くなるという特徴がある。振動波形の振幅a及び振動数fが同一の場合、偏倚正弦波形の方が正弦波形に比較してポジティブストリップ時間を伸長でき、換言すればネガティブストリップ時間を短縮でき、これにより、モールドパウダーの消費量が増加される。
水素が溶鋼中に溶解し得る最高値(以下、「飽和溶解度」と記す)、及び、凝固シェル中での水素含有率の最高値(以下、「固溶限」と記す)は、溶鋼及び凝固シェルが接するそれぞれの雰囲気中の水素ガスの分圧及び溶鋼や凝固シェルの温度によって決まる。
通常の炭素鋼では、水素の固溶限は飽和溶解度よりも低いために、溶鋼中の水素含有率が固溶限以上の場合、溶鋼が冷却されて凝固シェルになるとき、固溶限を超える過飽和分の水素は、凝固シェルから水素ガスとなって放出される。つまり、凝固シェルから、鋳型と凝固シェルとの隙間に向かって水素ガスが放出される。
したがって、溶鋼中の水素含有率が高い場合には、鋳型と凝固シェルとの隙間に放出される水素ガスが多くなる。鋳型と凝固シェルとの隙間に放出された水素ガスが多い場合に、鋳型と凝固シェルとの隙間は狭いので、この隙間の雰囲気の圧力が上昇する。これにより、この部位への、溶融したモールドパウダーの流れ込みが阻害され、鋳型と凝固シェルとの間の潤滑が悪くなり、凝固シェルが鋳型に焼き付きやすくなって、拘束性ブレークアウトが発生しやすくなる。
本発明では、鋳型内にモールドパウダーを添加し、且つ、鋳型を正弦波形または偏倚正弦波形で振動させた連続鋳造において、連続鋳造される溶鋼の水素含有量、使用するモールドパウダーの結晶化温度、使用するモールドパウダーの粘度、及び鋳片引き抜き速度に応じて、鋳型振動条件、つまり、実際の鋳型振動波形の振幅a及び/または振動数fを設定し、設定した鋳型振動条件で振動させながら、タンディッシュ内の溶鋼を、浸漬ノズルを介して鋳型内に連続鋳造する。尚、モールドパウダーの結晶化温度とは、温度を徐々に降下させたとき、溶融状態のモールドパウダーが或る温度で固体状態になり、その後、固体状態のモールドパウダーから結晶が析出するときの温度である。溶融状態のモールドパウダーが固体状態になる温度は、固化温度または凝固温度という。結晶化温度は、一般的に固化温度に比較しておよそ10〜100℃低い。
この場合、鋳型振動波形の振幅a及び振動数fが、鋳造する溶鋼の水素含有量、使用するモールドパウダーの結晶化温度、使用するモールドパウダーの粘度、及び鋳片引き抜き速度に対して下記の(1)式を満足する範囲内で、鋳型を振動させることが好ましい。
Figure 2017001079
但し、(1)式において、aは鋳型振動波形の振幅(mm)、fは鋳型振動波形の振動数(cpm)、Tcsはモールドパウダーの結晶化温度(℃)、ηはモールドパウダーの1300℃における粘度(poise)、Vcは鋳片引き抜き速度(m/min)、Hは溶鋼の水素含有量(104×質量%)、πは円周率である。
このように、本発明では、連続鋳造される溶鋼の水素含有量、使用するモールドパウダーの結晶化温度、使用するモールドパウダーの粘度、及び鋳片引き抜き速度に応じて設定した鋳型のオシレーション条件で、鋳型をオシレーションさせながら連続鋳造するが、一般的に、使用するモールドパウダーの結晶化温度及び粘度、並びに、鋳片引き抜き速度は予め決まっており、これらを変更することはほとんど発生しない。したがって、本発明は、実質的に、連続鋳造される溶鋼の水素含有量に応じて、鋳型のオシレーション条件を設定する技術である。
上記(1)式を満足する条件で鋳型を振動させることで、鋳造される溶鋼の水素含有量が高くても、鋳型と凝固シェルとの隙間へのモールドパウダーの流入量が確保され、つまり、鋳型と凝固シェルとの潤滑が損なわれることはなく、溶鋼中の水素起因による拘束性ブレークアウトの発生を防止することが可能となる。
本発明は、水素含有量が高い溶鋼を対象とする技術であり、したがって、RH真空脱ガス装置などの真空脱ガス設備で処理されていない溶鋼を対象とする。また、溶鋼中の水素含有量が高いほど、溶鋼中の水素起因による拘束性ブレークアウトの発生が懸念されることから、本発明は、溶鋼中水素含有量が0.0007質量%以上の溶鋼を対象とすることが好ましい。
溶鋼の水素含有量の測定は、取鍋内またはタンディッシュ内の溶鋼から分析用試料を採取して凝固させ、常温及び加熱の際に凝固した分析用試料から放出される水素ガスの含有量を求める方法や、特許文献3に開示される、HYDRISと称する水素迅速分析装置を用いる方法などで実施すればよい。
以上説明したように、本発明によれば、鋳造される溶鋼の水素含有量が高くても、鋳型と凝固シェルとの隙間へのモールドパウダーの流入量が確保され、溶鋼中の水素起因による拘束性ブレークアウトの発生を防止することが可能となる。
炭素含有量が0.10質量%の中炭素鋼を、鋳型を正弦波形で振動させて、厚みが220mm、幅が1300mmのスラブ鋳片に連続鋳造する際に本発明を適用した。定常鋳造域における鋳片引き抜き速度を2.4m/minとし、使用するモールドパウダーは、結晶化温度が950℃、1300℃における粘度が0.5poiseのものを使用した。
転炉から出鋼された後の取鍋内の溶鋼から分析用試料を採取し、溶鋼中の水素含有量を分析した。この分析値に基づき、(1)式を満足するように、鋳型振動波形の振幅a及び振動数fを設定した。具体的には、例えば、溶鋼中の水素含有量が0.0008質量%の場合には、振幅aを9.0mm、振動数fを200cpmとした。
本発明を適用する以前は、上記と同じモールドパウダーを使用し、上記と同じ鋳片引き抜き速度で、溶鋼中の水素含有量に拘わらず、振幅aを5.0mm、振動数fを250cpmとする鋳型振動条件で、連続鋳造操業を実施していた。この場合には、溶鋼中水素含有量が0.00073質量%以上のときは、鋳型の振動条件が(1)式を満足しない。
数ヶ月間の操業の結果、本発明を適用することで、溶鋼中水素起因による拘束性ブレークアウトの発生率は0回/チャージとなった。従来操業における溶鋼中水素起因による拘束性ブレークアウトの発生率が0.000025回/チャージであったことから、本発明を適用することで、溶鋼中水素起因による拘束性ブレークアウトを大幅に低減できることが確認できた。尚、溶鋼中水素含有量の平均値は、本発明を適用する以前及び本発明を適用した期間ともに同等で、およそ、0.00018質量%であった。

Claims (2)

  1. 鋳型を正弦波形または偏倚正弦波形で振動させながら鋳型内にモールドパウダーを添加してタンディッシュ内の溶鋼を鋳型内に注入して連続鋳造するにあたり、連続鋳造される溶鋼の水素含有量、使用するモールドパウダーの結晶化温度、使用するモールドパウダーの粘度、及び鋳片引き抜き速度に応じて設定した鋳型振動条件で、前記鋳型を振動させながら連続鋳造することを特徴とする、鋼の連続鋳造方法。
  2. 前記鋳型の振動波形の振幅及び振動数が、鋳造する溶鋼の水素含有量、使用するモールドパウダーの結晶化温度、使用するモールドパウダーの粘度、及び鋳片引き抜き速度に対して下記の(1)式を満足する範囲内で、前記鋳型を振動させることを特徴とする、請求項1に記載の鋼の連続鋳造方法。
    Figure 2017001079
    但し、(1)式において、aは振動波形の振幅(mm)、fは振動波形の振動数(cpm)、Tcsはモールドパウダーの結晶化温度(℃)、ηはモールドパウダーの1300℃における粘度(poise)、Vcは鋳片引き抜き速度(m/min)、Hは溶鋼の水素含有量(104×質量%)、πは円周率である。
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