JP3918026B2 - インゴットの鋳造装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、鋳造技術分野に属し、インゴットの製造プロセスにおいて、インゴットの品質及び歩留まりを向上させるための鋳造技術に係る。
【0002】
【従来の技術】
大型鋼塊に代表されるインゴットの典型的な鋳造方法(以下慣用語に準じて鋳造方案または単に方案と呼ぶ)を図1に示す。鋳型は大きく分けて押湯部と製品部から成る。鋳型を構成する基本要素は定盤1、鋳型2、押湯スリーブ3及び押湯カバー4である。定盤及び鋳型は通常鋳鉄が用いられる。押湯スリーブ3には断熱性の耐火物レンガ、テルミット反応を利用した発熱スリーブ等が用いられる。押湯カバー4には焼モミ等の断熱性保温材、テルミット反応を利用した発熱性保温材等が用いられる。符合7は溶融金属である。
【0003】
押湯の目的は凝固の際、液体と固体の密度差により生ずる収縮(凝固収縮と呼ぶ)、液相及び固相の温度降下による収縮等によって製品部に生ずる収縮を補償し、引け巣ならびに鋳物内部あるいは表面に生ずるポロシティ(空隙)の発生を防止することである。押湯設計の良し悪しは上記欠陥の有無を左右するのみならず、歩留まり(押湯を含む鋳物重量に対する製品部重量比)、押湯部の切断の手間等の生産性にも大きな影響を与えるので、鋳造方案の設計において重要な部分であり、どの鋳物工場においても日常的に改善の努力がなされている。
【0004】
押湯改善策の一例として図2に示すごとく押湯と鋳物の間の断面を絞り(押湯ネックと呼ばれる)、押湯−鋳物間の熱移動を適度に小さくすることにより指向性凝固を促進させる(すなわち押湯効果を上げる)方案がある(非特許文献1のp.239〜240参照)。また、図3に示すごとく押湯と鋳物の境界にbreaker core(ノックオフコアとも呼ばれる)を設置する方案があるが、その目的は凝固完了後の押湯の分離作業の効率を上げるためである(非特許文献2参照)。
しかしながら、本発明が対象とするインゴット、特に大型鋼塊の鋳造プロセスにおいてマクロ偏析及びこれに伴う欠陥を解決するためにこれらの方案が適用された例は本発明者の知る限り見当たらない。[尚、インゴットとは一般に熱間加工あるいは再溶解に適したシンプルな形状の鋳物と定義されている(例えば非特許文献2のp.7参照)。これに対し、鋳物とは所望の製品形状を有する鋳型へ鋳造したものと定義されている(例えば非特許文献2のp.2参照)]
その他、インゴット製造において押湯の効果を上げるため押湯カバーとして溶融スラグを用い電極を挿入し、通電することにより発生するジュール熱を利用して積極的に加熱する方法なども実際に用いられている。
【0005】
【従来技術文献】
【非特許文献1】
Flemings, M.C.: "Solidification Processing", McGraw-Hill, Inc., (1974)
【非特許文献2】
ASM Handbook Vol.15 Casting(1988), p.587
【非特許文献3】
P.C. Carman: Trans.Inst.Chem.Eng., Vol.15 (1937), p.150
【非特許文献4】
T.Fujii, D.R.Poirier and M.C.Flemings: Metallurgical Transactions B, Vol.10B(1979), p.331
【特許文献1】
戎 嘉男:平成8年特許願第155942号
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は大型鋼塊に代表されるインゴットの製造において品質(マクロ偏析、引け巣等の欠陥)を改善するとともに製品歩留まり(全重量に対する製品部の重量で定義する)を高めようとするものである。このような改善は生産性の向上はもちろんのこと、エネルギーの低減につながるので環境改善に寄与するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記構成要因から成る鋳型システムにおいて、押湯と鋳型の境界に仕切り板5を配置し、この仕切り板には押湯部から製品部への溶湯補給を可能にする空間(貫通孔)6を設けることにより、上記の課題を解決しようとするものである(図5参照)。
【0008】
【作用】
〔押湯効果について〕
上記仕切り板5に用いる材料として、通常断熱性の素材を用いる。当該仕切り板は、押湯部及び製品部の質量に比べて充分小さく、両者からの熱を受け固相温度以上に昇温するので仕切り板から凝固が始まることはない。また、製品部の凝固にともなう収縮は貫通孔6を通して押湯から液相が補給されるので押湯機能は十分に発揮される。
【0009】
〔インゴット材質の特徴〕
大型鋼塊に生成するA偏析、V偏析等のいわゆるチャンネル偏析は固液共存相における液相の流動に起因することが知られている。この液相の流動パターンは合金の組成によって異なる。例えば鋼の場合、C(炭素)、Si(シリコン)、Mn(マンガン)等の元素はFe(鉄)に比べて密度が小さいので、凝固の進行につれてこれらの元素が濃化するデンドライト間液相の密度は相対的に小さくなる。従って、凝固中の固液共存相内において固相率の大きい部分と小さい部分では液相の密度差を生じ自然対流を引き起こす。このような合金を本明細書では‘浮上型’と呼ぶこととする。これとは逆にMo(モリブデン)、Nb(ニオブ)、W(タングステン)等(ただし平衡分配係数<1とする)Feより重い元素を含む合金においては凝固に伴うデンドライト間濃化液相密度は相対的に重くなる。その結果自然対流パターンは浮上型合金とは異なる。本明細書ではこのような合金を‘沈降型’と呼ぶこととする。
実際の低合金鋼はC,Si,Mn等の浮上型とMo,Nb,W等の沈降型の両者を含むので、これらのバランスで浮上型か沈降型かあるいはこれらの混合型かが決まる。
【0010】
〔仕切り板の作用〕
後ほど具体例で示すごとく沈降型あるいは浮上型合金の自然対流の規模は押湯からインゴット底部までの広範囲にわたる。沈降型合金の場合、固液共存相内の液相流れ(Darcy流れと呼ばれる)は固相率の大きい固相側(鋳型側)で下降流を呈し、中心部液相側で上昇流となる大規模な対流ループを形成する。このデンドライト間液相流れがマクロ偏析を引き起こすかどうかはインゴットのサイズによる。サイズが小さい場合、デンドライト結晶が微細なためDarcy流れ抵抗が大きく流速が小さくなるとともに凝固時間も短いので(従って流動期間が短くなり)偏析の程度もごく小さい。サイズが大きくなるとデンドライト結晶が粗大となるためDarcy流れ抵抗が小さくなる結果、流速が増すとともに凝固時間も長くなるので(従って流動期間が長くなり)マクロ偏析を生じやすくなる。後述の大型鋼塊に生ずるマクロ偏析はこの寸法効果によるものである。インゴットのサイズが小さくても鋳型が砂型の場合、凝固時間が長くなるので同様の効果を生ずる。また、対流速度は当然浮力の大きさ、すなわち固液共存相内の液相の密度差に依存する。
【0011】
[上記インゴットの寸法効果の目安としてデンドライトアームスペーシングDAS(凝固完了後デンドライトの方向に無関係に測定するものとする。本明細書ではこの定義に準ずる)が挙げられる。概略、DASは凝固速度の速い金型鋳物において10μm以下、通常の鋳物及び比較的断面積の大きい連続鋳造品においては10〜100μmのオーダー、本発明が対象とするサイズの大きいインゴットでは約150μm以上である]
【0012】
仕切り板5がある場合、上記の大規模な対流ループは仕切り板によって大きく2分され、製品内部と押湯内部の二つの対流ループが形成されることとなる。そして、流動パターンが変化するとともに製品内の流速が小さくなる結果、A偏析、V偏析等のチャンネル偏析(もしあれば)及び通常のマクロ偏析は軽減あるいは解消される。
浮上型合金の場合、上記対流ループの流動方向は逆転する。
【0013】
〔凝固解析手段〕
上記のような凝固現象を解析するために本発明者が開発した汎用凝固シミュレーションシステム(システム名CPRO)による数値解析方法の概要を以下に述べる。
凝固現象を記述するための物理変数は温度、凝固中液相及び固相中に再配分される合金元素の濃度(合金元素数分、n個とする)、温度と固相率の関係を与える液相温度、液相及び固液共存相における液相の流速(3つのベクトル成分)及び圧力によって与えられる。これらを本明細書では巨視的スケールにおける物理変数と呼ぶ。これらn+6個の物理変数に対応する支配方程式を図4に示す。
【0014】
固液共存相における流れはDarcyの式(数1)によって記述されることが知られている(前記非特許文献1のp.234参照)。Darcy流れ現象は図4の運動方程式中に流動抵抗項として含まれている。
【0015】
【数1】
【0016】
ここに、ベクトルVLはデンドライト間の液相流れ速度、μは液相の粘度、gLは液相の体積率、Kは透過率、Pは液相の圧力、Xは重力、遠心力などの物体力ベクトルである。Kはデンドライトの幾何学的構造によって決まりKozney-Carmanの式(非特許文献3参照)より次式で与えられる。
【0017】
【数2】
【0018】
Sbはデンドライト結晶の単位体積当りの表面積(比表面積)であり、無次元定数fは多孔質媒体中の流動実験により5の値を持つことが分かっている。透過率Kはデンドライトの成長時における形態解析(本明細書において微視的スケールと呼ぶ)により求められる。凝固は液相及び固相における一種の拡散律速過程であることからデンドライトを円柱形の枝及び幹と半円球の先端部からなるモデル化を行い固相及び液相における溶質の拡散方程式を解いて求めた。
【0019】
以上、巨視的スケールにおける物理変数は全て相互作用を有しており、さらに微視的スケールにおけるデンドライト成長とも深く関わっているので繰返し収束計算を行った。本数値計算法については本発明者出願の特許文献1:平成8年特許願第155942号において詳細に記述されている。なお、大型鋼塊における液相領域中の流れは乱流となるので上記支配方程式の他に現在広く用いられているk−εモデル(kは乱流エネルギー及びεは乱流エネルギーの散逸速度)を導入した。上記数値解法により凝固現象を完全に記述することができる。ただし、固液共存相における固相は流動しないものと仮定した。
【0020】
【発明の実施の形態】
〔具体例1〕
次に本発明の原理を“沈降型”(鋼A)大型鋼塊の鋳造に適用した場合の鋳造方案を図5に示す。計算に用いたインゴットの寸法を図6に示す。符号5は押湯スリーブ3と製品部の鋳型2の境界に設置した断熱性の仕切り板である。この仕切り板には押湯から製品部に通ずる貫通孔6が設けられている。
【0021】
計算に用いた鋼の化学成分及び種々の物性値を図7に示す。
図8はFeを母合金とし、Feと各合金元素の2元状態図の重ね合わせによって多元系合金鋼の温度と固相率の関係を計算したグラフである。図中、鋼Aについては1446℃、固相率0.95で共晶を生ずるものと仮定した。鋼B(浮上型)についても同様1348℃、固相率0.95で共晶反応を生ずるものと仮定した。
合金元素は凝固の進行とともに固液界面から液相に排出されるのでこれらの元素のデンドライト間液相濃度は上昇する。この様子を図9及び図10に示す。ここでデンドライト間液相密度は合金濃度C1L, C2L・・・・,及び温度Tの関数として表されることから(図7中のρL式参照)
【0022】
【数3】
【0023】
図11に凝固中における鋼A及び鋼BのρLを示す。
鋼Aは凝固の進行とともに密度が増大する“沈降型”合金であり、鋼Bは“浮上型”合金であることがわかる。
【0024】
また、鋳造温度、鋳型初期温度及び境界熱伝達係数を図14に示す。
インゴット内部の要素分割は半径方向分割キザミ△r=25.0(mm)、軸方向分割キザミ△Z=45(mm)とした。要素数は半径方向52x軸方向98=5096である。
【0025】
凝固完了後のCの分布状態を等高線表示により図12に示す。マクロ偏析の程度はC/C0により評価する。ここに、Cは計算濃度(wt%)、C0は初期濃度(wt%)である。C/C0>1は正偏析、C/C0<1は負偏析を示す(C0=0.2wt%である)。
【0026】
通常の方案の場合図12(a)より押湯中心部から直下にかけてC/C0=2.8〜3もの大きい正偏析が生じており、製品中心部においても巨大なV状の偏析バンドが認められる(C/C0=1.85,位置r=112.5mm,Z=2587.5mm。要素番号(5,53))。
これに対し仕切り板5を設置した本発明による方案(図12(b))では押湯直下の製品部の偏析は大幅に減少しており製品内部のV状の偏析バンドも無くなっている。Crを除く他の合金元素についても同様の傾向を示すので省略する(Crの偏析は逆の傾向を示すがその程度は無視できるほど小さい)。
【0027】
これは上述のごとく本沈降型鋼の場合、固液共存相内の液相の流れが固相率の大きい固相側で下降流、固相率の小さい中心部で上昇流となる大規模対流ループが仕切り板5によって分けられる結果、流動パターンが変化するとともに製品内の流速が小さくなるためである。凝固途中(11.6hrs後)におけるこの様子を図13に示す。従来方案(a)に見られる中心部巨大V状偏析バンドを形成する高固相率(高溶質濃度)から低固相率(低溶質濃度)への流れが、発明方案(b)においては(固液共存相の形が変化するとともに)軽減されているのがわかる。
同時刻における製品内部の流速は従来方案で2〜8x10−3cm/sのオーダーであるのに対して、仕切り板を設置した場合1.5〜3x10−3cm/sと半分以下(約0.4倍)に低下している。また、製品内部のデンドライトアームスペーシングはいずれの場合も180〜300μmのオーダーであった。
以上のごとく仕切り板を設置することにより品質が大幅に改善されることがわかる。また、鋳込み重量は80.7トン(製品部58.6トン、押湯部22.1トン)から78.2トンへ3.1%減少した。製品部について従来方案の場合、中心部の欠陥が製品規格により許容される水準まで切断するものと見なし、この水準をC/C0=1.4とすると、上部より約370mm切断することとなる(この場合、製品部重量58.6トンに対し切断部重量9.5トンとなり、製品部の歩留まりは84%)。これに対し発明法案では切断除去は不要である。
【0028】
〔具体例2〕
次に浮上型鋼Bについて具体例を示す。当該鋼の化学成分及び物性値を図7に、鋳造パラメータを図14に、温度と固相率の関係を図8(b)に、凝固中のデンドライト間液相濃度変化を図10に、液相密度変化を図11に示す。鋳造方案及び要素分割については具体例1と同じ条件に設定した。
【0029】
通常方案の場合、図15(a)より製品部でCは負偏析(C/C0の最大値=0.78、Cの初期濃度C0=0.72wt%)、押湯部で正偏析となっている(押湯直下でC/C0は約2。押湯表面要素では偏析計算精度が悪くなる)。(−)の領域は0.52〜0.69wt%、及び(+)の領域は0.69〜0.87wt%である。
一方、仕切り板5を設置した方案においては図15(b)に示すごとく製品部にチャンネル偏析を生じている。(−)の領域は0.57〜0.76wt%。及び(+)の領域は0.76〜0.95wt%である。
【0030】
浮上型合金の場合、インゴット外側(高固相率側)で溶質濃化液相の密度が低固相率中心部での液相密度に比べて相対的に小さくなる結果浮力を生じ外側で上昇、中心部で下降の対流ループを生じる(図16(a)参照)。
仕切り板5によってこの大きい対流ループが分けられると、製品肩部における流れは外側から中心部へ曲げられる(図16(b)参照)。その結果、高固相率から低固相率への流れとなるので正偏析となる。そしてこのとき流速が等温度線の移動速度を超えると、液相はより高温の環境に入って行くのでその場の温度と濃度に一致するよう固相が溶ける現象を生じる。この再溶融現象は局部的に生じ、一度生ずるとその部分は液相が通りやすくなるので再溶融がさらに進み、いわゆるチャンネルが形成される。このチャンネルは局所的に大きな偏析を伴う。[上記偏析形成のメカニズムに関しては前記非特許文献1のp.249に詳しく書かれている]。また、鋼Bインゴットに関してはチャンネル偏析が生ずるとの非特許文献4に照らしてデンドライト比表面積Sbの補正係数α=0.3(図7参照)に調整した。図15(b)に示すごとく、製品上部において下方側面から上方中心に向ってチャンネル偏析が認められるが、これはこのようなメカニズムによって生じたものである。チャンネル生成部では周囲の液相がチャンネルに流入し速度場が乱れる(簡単のため図示せず)。チャンネル偏析は周囲に比べて液相率が高いので周囲が凝固完了してもまだ液相が残留しており、これらの液相が凝固する際収縮孔(空洞欠陥)を生じる。
【0031】
以上、沈降型及び浮上型合金においてマクロ偏析及びチャンネル偏析を生ずる固液共存相中の液相流動の特徴はそれぞれ図13及び16に示すとおりである。
以上より沈降型(具体例1)の場合、仕切り板5は内部品質の改善に有効であるが、浮上型(本具体例2)の場合、仕切り板5はむしろ有害であることがわかった。
【0032】
[コメント]
(1)上記具体例は断面形状が円筒形状を有するインゴットに適用した場合であるが、四角形、楕円形などのシンプルな断面形状を有するインゴットにおいても固液共存相中における液相の流動パターンは本質的に似たパターンとなるので本発明による鋳造方案が有効であることは自明である。
(2)上記具体例では、仕切り板材として一般的に押湯鋳型内張りに用いられる耐火レンガを用いた。仕切り板部から凝固開始するのは好ましくないので一般には耐火性とともに断熱性を有する材料(アルミナ系、マグネシア系などの素材)を用いればよい。高熱伝導性を有する材料(例えばグラファイト系素材)を用いる場合も考えられるが、この場合は押湯及び製品部の体積と比べて仕切り板の体積を充分小さくする、溶湯金属に匹敵する高温まで上昇した熱が鋳型を通して外に流れるのを防ぐ(熱的に絶縁する)などの工夫をすることにより仕切り板部からの凝固を防止するようにすればよい。また、仕切り板部からガスが発生しないような材料が望ましい。仕切り板5に設けた貫通孔の形状は円形に限る必要はない。例えば、角インゴットに対して円形孔を採用しても仕切り板による効果に本質的な差はない。また、貫通孔を複数孔配置しても同様である(技術的にあまり意味はない)。
(3)仕切り板5により形成される貫通孔6が製品部より先に凝固すると押湯供給効果が失われる。従って凝固は製品部、貫通孔そして押湯の順に指向性凝固するよう適切な貫通孔の断面積を決める。これは本明細書で述べた凝固シミュレーションあるいは最小限の実験により容易に決定できる。
(4)仕切り板5の施工に際しては、凝固完了後分離しやすいように割り型にする、テーパーを付けるなどの工夫をする。上注ぎ注湯に際しては仕切り板5に設けた貫通孔6を介して溶融金属を注湯するためのタンディッシュ+ノズル装置を配置すればよい(公知の技術ゆえ図示せず)。
(5)上記具体例で明らかなごとく、本発明による鋳造方案の効果を評価するための手段として本発明者が開発した凝固シミュレーションが極めて有用である。すなわち、合金成分及びインゴットの形状・寸法が与えられたとき、当凝固シミュレーションを行うことにより、沈降型、浮上型(あるいは混合型などの他のタイプ)の判定を行い、仕切り板5の最適設計を行いその効果を精度良く判断することができる。
【0033】
【発明の効果】
以上の具体例から、沈降型及び浮上型合金鋼の大型インゴット鋳造において、押湯部から製品部に亘って形成される固液共存相において液相の密度差に基因する対流が生じ、マクロ偏析欠陥が生成する過程を明らかにした。
上記二つの具体例は凝固理論に基づく数値実験であり、その精度は主として種々の物性値の正確さによるが、沈降型合金鋼インゴットの鋳造において、製品部と押湯部の境界に仕切り板5を配置することにより上記対流ループを分離せしめ、流動パターンを変化させるとともに流速を減じる効果のあることは明白であり、これによりマクロ偏析欠陥を大幅に低減させることができることを示した。インゴットのサイズが大きくなるほどマクロ偏析は生じやすくなるので、本発明による方案は特に大型インゴットに対して有効である。
【0034】
以上本発明による新鋳造方法の効果をまとめると次のとおりである。
(1)従来の鋳造方案に比べてインゴットの内部品質を大幅に改善することができるとともに製品歩留まりを大幅に改善できる(すなわち切断除去すべき欠陥部を無くすあるいは最小にする)。内部品質の向上は(例えば発電用ガスタービンのローターシャフトあるいは圧延用ロールなどの)製品使用時の寿命・信頼性の向上に寄与する。
(2)仕切り板の容積に匹敵する溶解重量を削減することができる。[具体例1の場合3.1%削減される]
(3)仕切り板部がくびれているため押湯切断効率が大幅に向上する。
(4)本発明による新鋳造方法は‘沈降型’合金に対して有用であるが、‘浮上型’合金に対して適用する際、浮上力が大きくなると逆に有害となるので注意が必要である。
【0035】
以上、(1)〜(3)に述べたごとく品質の向上はもちろん経済的効果は極めて大きい。また溶解量の低減はCO2ガス排出量の低減をもたらすので環境にも優しい。本法の適用に際しては、本発明者が開発した凝固シミュレーション手段によって沈降型、浮上型合金あるいは混合型等の判定を行い、事前にその効果を予測することが極めて有効である。
【0036】
本明細書では低合金鋼インゴットを中心に述べて来たが、他の合金インゴットに対しても同様の効果が得られることは原理的に明らかである。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来技術による鋳造方案図である。
【図2】押湯−鋳物境界断面を絞った従来技術による方案例である。
【図3】押湯−鋳物境界にbreaker coreを設置した従来技術による方案例である。
【図4】物理変数と支配方程式の関係を示す。
【図5】押湯部と製品部の境界に仕切り板5及び貫通孔6を設けることを特徴とする本発明による鋳造方案図である。
【図6】具体例1及び2の鋳造方案において具体的寸法を示す図である。
【図7】化学成分及び熱物性値を示す。
【図8】凝固シミュレーションシステム(CPRO)の非線形多元合金モデルを用いて計算した温度と固相率の関係である。
【図9】凝固シミュレーションシステム(CPRO)の非線形多元合金モデルを用いて計算した鋼Aの凝固過程における溶質濃度変化を示す図である。
【図10】凝固シミュレーションシステム(CPRO)の非線形多元合金モデルを用いて計算した鋼Bの凝固過程における溶質濃度変化を示す図である。
【図11】凝固シミュレーションシステム(CPRO)の非線形多元合金モデルを用いて計算した凝固過程における液相の密度変化を示す図である。
【図12】具体例1(鋼A)の凝固完了後におけるCのマクロ偏析を示す図である。(a)は従来方案及び(b)は本発明による方案によるマクロ偏析を示す。
【図13】具体例1(鋼A)の凝固途中(11.6hrs後)において、固液共存相内の液相の流動パターンを示す図である。(a)は従来方案(b)は本発明による方案の場合を示す。
【図14】数値計算に用いた鋳造温度、鋳型初期温度及び境界熱伝達係数を示す。
【図15】具体例2(鋼B)の凝固完了後におけるCのマクロ偏析を示す図である。(a)は従来方案及び(b)は本発明による方案によるマクロ偏析を示す。
【図16】具体例2(鋼B)の凝固途中において、固液共存相内の液相の流動パターンを示す図である。(a)は12.5hrs後における従来方案(b)は10.3hrs後における本発明方案の場合を示す。
【図17】Fe-C状態図における液相線及び固相線の線形化入力データを示す。
【図18】数値計算に用いた鋼A及びBの比熱及び熱伝導率である(両鋼の値は同じと仮定した)。
【図19】数値計算に用いた鋳鉄鋳型の比熱及び熱伝導率である。
【符号の説明】
1 鋳型定盤
2 製品部鋳型
3 押湯スリーブ
4 押湯カバー
5 押湯−製品境界部に設けた仕切り板
6 押湯−製品境界部に設けた空間(貫通孔)
7 溶融金属
【発明が属する技術分野】
本発明は、鋳造技術分野に属し、インゴットの製造プロセスにおいて、インゴットの品質及び歩留まりを向上させるための鋳造技術に係る。
【0002】
【従来の技術】
大型鋼塊に代表されるインゴットの典型的な鋳造方法(以下慣用語に準じて鋳造方案または単に方案と呼ぶ)を図1に示す。鋳型は大きく分けて押湯部と製品部から成る。鋳型を構成する基本要素は定盤1、鋳型2、押湯スリーブ3及び押湯カバー4である。定盤及び鋳型は通常鋳鉄が用いられる。押湯スリーブ3には断熱性の耐火物レンガ、テルミット反応を利用した発熱スリーブ等が用いられる。押湯カバー4には焼モミ等の断熱性保温材、テルミット反応を利用した発熱性保温材等が用いられる。符合7は溶融金属である。
【0003】
押湯の目的は凝固の際、液体と固体の密度差により生ずる収縮(凝固収縮と呼ぶ)、液相及び固相の温度降下による収縮等によって製品部に生ずる収縮を補償し、引け巣ならびに鋳物内部あるいは表面に生ずるポロシティ(空隙)の発生を防止することである。押湯設計の良し悪しは上記欠陥の有無を左右するのみならず、歩留まり(押湯を含む鋳物重量に対する製品部重量比)、押湯部の切断の手間等の生産性にも大きな影響を与えるので、鋳造方案の設計において重要な部分であり、どの鋳物工場においても日常的に改善の努力がなされている。
【0004】
押湯改善策の一例として図2に示すごとく押湯と鋳物の間の断面を絞り(押湯ネックと呼ばれる)、押湯−鋳物間の熱移動を適度に小さくすることにより指向性凝固を促進させる(すなわち押湯効果を上げる)方案がある(非特許文献1のp.239〜240参照)。また、図3に示すごとく押湯と鋳物の境界にbreaker core(ノックオフコアとも呼ばれる)を設置する方案があるが、その目的は凝固完了後の押湯の分離作業の効率を上げるためである(非特許文献2参照)。
しかしながら、本発明が対象とするインゴット、特に大型鋼塊の鋳造プロセスにおいてマクロ偏析及びこれに伴う欠陥を解決するためにこれらの方案が適用された例は本発明者の知る限り見当たらない。[尚、インゴットとは一般に熱間加工あるいは再溶解に適したシンプルな形状の鋳物と定義されている(例えば非特許文献2のp.7参照)。これに対し、鋳物とは所望の製品形状を有する鋳型へ鋳造したものと定義されている(例えば非特許文献2のp.2参照)]
その他、インゴット製造において押湯の効果を上げるため押湯カバーとして溶融スラグを用い電極を挿入し、通電することにより発生するジュール熱を利用して積極的に加熱する方法なども実際に用いられている。
【0005】
【従来技術文献】
【非特許文献1】
Flemings, M.C.: "Solidification Processing", McGraw-Hill, Inc., (1974)
【非特許文献2】
ASM Handbook Vol.15 Casting(1988), p.587
【非特許文献3】
P.C. Carman: Trans.Inst.Chem.Eng., Vol.15 (1937), p.150
【非特許文献4】
T.Fujii, D.R.Poirier and M.C.Flemings: Metallurgical Transactions B, Vol.10B(1979), p.331
【特許文献1】
戎 嘉男:平成8年特許願第155942号
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は大型鋼塊に代表されるインゴットの製造において品質(マクロ偏析、引け巣等の欠陥)を改善するとともに製品歩留まり(全重量に対する製品部の重量で定義する)を高めようとするものである。このような改善は生産性の向上はもちろんのこと、エネルギーの低減につながるので環境改善に寄与するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記構成要因から成る鋳型システムにおいて、押湯と鋳型の境界に仕切り板5を配置し、この仕切り板には押湯部から製品部への溶湯補給を可能にする空間(貫通孔)6を設けることにより、上記の課題を解決しようとするものである(図5参照)。
【0008】
【作用】
〔押湯効果について〕
上記仕切り板5に用いる材料として、通常断熱性の素材を用いる。当該仕切り板は、押湯部及び製品部の質量に比べて充分小さく、両者からの熱を受け固相温度以上に昇温するので仕切り板から凝固が始まることはない。また、製品部の凝固にともなう収縮は貫通孔6を通して押湯から液相が補給されるので押湯機能は十分に発揮される。
【0009】
〔インゴット材質の特徴〕
大型鋼塊に生成するA偏析、V偏析等のいわゆるチャンネル偏析は固液共存相における液相の流動に起因することが知られている。この液相の流動パターンは合金の組成によって異なる。例えば鋼の場合、C(炭素)、Si(シリコン)、Mn(マンガン)等の元素はFe(鉄)に比べて密度が小さいので、凝固の進行につれてこれらの元素が濃化するデンドライト間液相の密度は相対的に小さくなる。従って、凝固中の固液共存相内において固相率の大きい部分と小さい部分では液相の密度差を生じ自然対流を引き起こす。このような合金を本明細書では‘浮上型’と呼ぶこととする。これとは逆にMo(モリブデン)、Nb(ニオブ)、W(タングステン)等(ただし平衡分配係数<1とする)Feより重い元素を含む合金においては凝固に伴うデンドライト間濃化液相密度は相対的に重くなる。その結果自然対流パターンは浮上型合金とは異なる。本明細書ではこのような合金を‘沈降型’と呼ぶこととする。
実際の低合金鋼はC,Si,Mn等の浮上型とMo,Nb,W等の沈降型の両者を含むので、これらのバランスで浮上型か沈降型かあるいはこれらの混合型かが決まる。
【0010】
〔仕切り板の作用〕
後ほど具体例で示すごとく沈降型あるいは浮上型合金の自然対流の規模は押湯からインゴット底部までの広範囲にわたる。沈降型合金の場合、固液共存相内の液相流れ(Darcy流れと呼ばれる)は固相率の大きい固相側(鋳型側)で下降流を呈し、中心部液相側で上昇流となる大規模な対流ループを形成する。このデンドライト間液相流れがマクロ偏析を引き起こすかどうかはインゴットのサイズによる。サイズが小さい場合、デンドライト結晶が微細なためDarcy流れ抵抗が大きく流速が小さくなるとともに凝固時間も短いので(従って流動期間が短くなり)偏析の程度もごく小さい。サイズが大きくなるとデンドライト結晶が粗大となるためDarcy流れ抵抗が小さくなる結果、流速が増すとともに凝固時間も長くなるので(従って流動期間が長くなり)マクロ偏析を生じやすくなる。後述の大型鋼塊に生ずるマクロ偏析はこの寸法効果によるものである。インゴットのサイズが小さくても鋳型が砂型の場合、凝固時間が長くなるので同様の効果を生ずる。また、対流速度は当然浮力の大きさ、すなわち固液共存相内の液相の密度差に依存する。
【0011】
[上記インゴットの寸法効果の目安としてデンドライトアームスペーシングDAS(凝固完了後デンドライトの方向に無関係に測定するものとする。本明細書ではこの定義に準ずる)が挙げられる。概略、DASは凝固速度の速い金型鋳物において10μm以下、通常の鋳物及び比較的断面積の大きい連続鋳造品においては10〜100μmのオーダー、本発明が対象とするサイズの大きいインゴットでは約150μm以上である]
【0012】
仕切り板5がある場合、上記の大規模な対流ループは仕切り板によって大きく2分され、製品内部と押湯内部の二つの対流ループが形成されることとなる。そして、流動パターンが変化するとともに製品内の流速が小さくなる結果、A偏析、V偏析等のチャンネル偏析(もしあれば)及び通常のマクロ偏析は軽減あるいは解消される。
浮上型合金の場合、上記対流ループの流動方向は逆転する。
【0013】
〔凝固解析手段〕
上記のような凝固現象を解析するために本発明者が開発した汎用凝固シミュレーションシステム(システム名CPRO)による数値解析方法の概要を以下に述べる。
凝固現象を記述するための物理変数は温度、凝固中液相及び固相中に再配分される合金元素の濃度(合金元素数分、n個とする)、温度と固相率の関係を与える液相温度、液相及び固液共存相における液相の流速(3つのベクトル成分)及び圧力によって与えられる。これらを本明細書では巨視的スケールにおける物理変数と呼ぶ。これらn+6個の物理変数に対応する支配方程式を図4に示す。
【0014】
固液共存相における流れはDarcyの式(数1)によって記述されることが知られている(前記非特許文献1のp.234参照)。Darcy流れ現象は図4の運動方程式中に流動抵抗項として含まれている。
【0015】
【数1】
【0016】
ここに、ベクトルVLはデンドライト間の液相流れ速度、μは液相の粘度、gLは液相の体積率、Kは透過率、Pは液相の圧力、Xは重力、遠心力などの物体力ベクトルである。Kはデンドライトの幾何学的構造によって決まりKozney-Carmanの式(非特許文献3参照)より次式で与えられる。
【0017】
【数2】
【0018】
Sbはデンドライト結晶の単位体積当りの表面積(比表面積)であり、無次元定数fは多孔質媒体中の流動実験により5の値を持つことが分かっている。透過率Kはデンドライトの成長時における形態解析(本明細書において微視的スケールと呼ぶ)により求められる。凝固は液相及び固相における一種の拡散律速過程であることからデンドライトを円柱形の枝及び幹と半円球の先端部からなるモデル化を行い固相及び液相における溶質の拡散方程式を解いて求めた。
【0019】
以上、巨視的スケールにおける物理変数は全て相互作用を有しており、さらに微視的スケールにおけるデンドライト成長とも深く関わっているので繰返し収束計算を行った。本数値計算法については本発明者出願の特許文献1:平成8年特許願第155942号において詳細に記述されている。なお、大型鋼塊における液相領域中の流れは乱流となるので上記支配方程式の他に現在広く用いられているk−εモデル(kは乱流エネルギー及びεは乱流エネルギーの散逸速度)を導入した。上記数値解法により凝固現象を完全に記述することができる。ただし、固液共存相における固相は流動しないものと仮定した。
【0020】
【発明の実施の形態】
〔具体例1〕
次に本発明の原理を“沈降型”(鋼A)大型鋼塊の鋳造に適用した場合の鋳造方案を図5に示す。計算に用いたインゴットの寸法を図6に示す。符号5は押湯スリーブ3と製品部の鋳型2の境界に設置した断熱性の仕切り板である。この仕切り板には押湯から製品部に通ずる貫通孔6が設けられている。
【0021】
計算に用いた鋼の化学成分及び種々の物性値を図7に示す。
図8はFeを母合金とし、Feと各合金元素の2元状態図の重ね合わせによって多元系合金鋼の温度と固相率の関係を計算したグラフである。図中、鋼Aについては1446℃、固相率0.95で共晶を生ずるものと仮定した。鋼B(浮上型)についても同様1348℃、固相率0.95で共晶反応を生ずるものと仮定した。
合金元素は凝固の進行とともに固液界面から液相に排出されるのでこれらの元素のデンドライト間液相濃度は上昇する。この様子を図9及び図10に示す。ここでデンドライト間液相密度は合金濃度C1L, C2L・・・・,及び温度Tの関数として表されることから(図7中のρL式参照)
【0022】
【数3】
【0023】
図11に凝固中における鋼A及び鋼BのρLを示す。
鋼Aは凝固の進行とともに密度が増大する“沈降型”合金であり、鋼Bは“浮上型”合金であることがわかる。
【0024】
また、鋳造温度、鋳型初期温度及び境界熱伝達係数を図14に示す。
インゴット内部の要素分割は半径方向分割キザミ△r=25.0(mm)、軸方向分割キザミ△Z=45(mm)とした。要素数は半径方向52x軸方向98=5096である。
【0025】
凝固完了後のCの分布状態を等高線表示により図12に示す。マクロ偏析の程度はC/C0により評価する。ここに、Cは計算濃度(wt%)、C0は初期濃度(wt%)である。C/C0>1は正偏析、C/C0<1は負偏析を示す(C0=0.2wt%である)。
【0026】
通常の方案の場合図12(a)より押湯中心部から直下にかけてC/C0=2.8〜3もの大きい正偏析が生じており、製品中心部においても巨大なV状の偏析バンドが認められる(C/C0=1.85,位置r=112.5mm,Z=2587.5mm。要素番号(5,53))。
これに対し仕切り板5を設置した本発明による方案(図12(b))では押湯直下の製品部の偏析は大幅に減少しており製品内部のV状の偏析バンドも無くなっている。Crを除く他の合金元素についても同様の傾向を示すので省略する(Crの偏析は逆の傾向を示すがその程度は無視できるほど小さい)。
【0027】
これは上述のごとく本沈降型鋼の場合、固液共存相内の液相の流れが固相率の大きい固相側で下降流、固相率の小さい中心部で上昇流となる大規模対流ループが仕切り板5によって分けられる結果、流動パターンが変化するとともに製品内の流速が小さくなるためである。凝固途中(11.6hrs後)におけるこの様子を図13に示す。従来方案(a)に見られる中心部巨大V状偏析バンドを形成する高固相率(高溶質濃度)から低固相率(低溶質濃度)への流れが、発明方案(b)においては(固液共存相の形が変化するとともに)軽減されているのがわかる。
同時刻における製品内部の流速は従来方案で2〜8x10−3cm/sのオーダーであるのに対して、仕切り板を設置した場合1.5〜3x10−3cm/sと半分以下(約0.4倍)に低下している。また、製品内部のデンドライトアームスペーシングはいずれの場合も180〜300μmのオーダーであった。
以上のごとく仕切り板を設置することにより品質が大幅に改善されることがわかる。また、鋳込み重量は80.7トン(製品部58.6トン、押湯部22.1トン)から78.2トンへ3.1%減少した。製品部について従来方案の場合、中心部の欠陥が製品規格により許容される水準まで切断するものと見なし、この水準をC/C0=1.4とすると、上部より約370mm切断することとなる(この場合、製品部重量58.6トンに対し切断部重量9.5トンとなり、製品部の歩留まりは84%)。これに対し発明法案では切断除去は不要である。
【0028】
〔具体例2〕
次に浮上型鋼Bについて具体例を示す。当該鋼の化学成分及び物性値を図7に、鋳造パラメータを図14に、温度と固相率の関係を図8(b)に、凝固中のデンドライト間液相濃度変化を図10に、液相密度変化を図11に示す。鋳造方案及び要素分割については具体例1と同じ条件に設定した。
【0029】
通常方案の場合、図15(a)より製品部でCは負偏析(C/C0の最大値=0.78、Cの初期濃度C0=0.72wt%)、押湯部で正偏析となっている(押湯直下でC/C0は約2。押湯表面要素では偏析計算精度が悪くなる)。(−)の領域は0.52〜0.69wt%、及び(+)の領域は0.69〜0.87wt%である。
一方、仕切り板5を設置した方案においては図15(b)に示すごとく製品部にチャンネル偏析を生じている。(−)の領域は0.57〜0.76wt%。及び(+)の領域は0.76〜0.95wt%である。
【0030】
浮上型合金の場合、インゴット外側(高固相率側)で溶質濃化液相の密度が低固相率中心部での液相密度に比べて相対的に小さくなる結果浮力を生じ外側で上昇、中心部で下降の対流ループを生じる(図16(a)参照)。
仕切り板5によってこの大きい対流ループが分けられると、製品肩部における流れは外側から中心部へ曲げられる(図16(b)参照)。その結果、高固相率から低固相率への流れとなるので正偏析となる。そしてこのとき流速が等温度線の移動速度を超えると、液相はより高温の環境に入って行くのでその場の温度と濃度に一致するよう固相が溶ける現象を生じる。この再溶融現象は局部的に生じ、一度生ずるとその部分は液相が通りやすくなるので再溶融がさらに進み、いわゆるチャンネルが形成される。このチャンネルは局所的に大きな偏析を伴う。[上記偏析形成のメカニズムに関しては前記非特許文献1のp.249に詳しく書かれている]。また、鋼Bインゴットに関してはチャンネル偏析が生ずるとの非特許文献4に照らしてデンドライト比表面積Sbの補正係数α=0.3(図7参照)に調整した。図15(b)に示すごとく、製品上部において下方側面から上方中心に向ってチャンネル偏析が認められるが、これはこのようなメカニズムによって生じたものである。チャンネル生成部では周囲の液相がチャンネルに流入し速度場が乱れる(簡単のため図示せず)。チャンネル偏析は周囲に比べて液相率が高いので周囲が凝固完了してもまだ液相が残留しており、これらの液相が凝固する際収縮孔(空洞欠陥)を生じる。
【0031】
以上、沈降型及び浮上型合金においてマクロ偏析及びチャンネル偏析を生ずる固液共存相中の液相流動の特徴はそれぞれ図13及び16に示すとおりである。
以上より沈降型(具体例1)の場合、仕切り板5は内部品質の改善に有効であるが、浮上型(本具体例2)の場合、仕切り板5はむしろ有害であることがわかった。
【0032】
[コメント]
(1)上記具体例は断面形状が円筒形状を有するインゴットに適用した場合であるが、四角形、楕円形などのシンプルな断面形状を有するインゴットにおいても固液共存相中における液相の流動パターンは本質的に似たパターンとなるので本発明による鋳造方案が有効であることは自明である。
(2)上記具体例では、仕切り板材として一般的に押湯鋳型内張りに用いられる耐火レンガを用いた。仕切り板部から凝固開始するのは好ましくないので一般には耐火性とともに断熱性を有する材料(アルミナ系、マグネシア系などの素材)を用いればよい。高熱伝導性を有する材料(例えばグラファイト系素材)を用いる場合も考えられるが、この場合は押湯及び製品部の体積と比べて仕切り板の体積を充分小さくする、溶湯金属に匹敵する高温まで上昇した熱が鋳型を通して外に流れるのを防ぐ(熱的に絶縁する)などの工夫をすることにより仕切り板部からの凝固を防止するようにすればよい。また、仕切り板部からガスが発生しないような材料が望ましい。仕切り板5に設けた貫通孔の形状は円形に限る必要はない。例えば、角インゴットに対して円形孔を採用しても仕切り板による効果に本質的な差はない。また、貫通孔を複数孔配置しても同様である(技術的にあまり意味はない)。
(3)仕切り板5により形成される貫通孔6が製品部より先に凝固すると押湯供給効果が失われる。従って凝固は製品部、貫通孔そして押湯の順に指向性凝固するよう適切な貫通孔の断面積を決める。これは本明細書で述べた凝固シミュレーションあるいは最小限の実験により容易に決定できる。
(4)仕切り板5の施工に際しては、凝固完了後分離しやすいように割り型にする、テーパーを付けるなどの工夫をする。上注ぎ注湯に際しては仕切り板5に設けた貫通孔6を介して溶融金属を注湯するためのタンディッシュ+ノズル装置を配置すればよい(公知の技術ゆえ図示せず)。
(5)上記具体例で明らかなごとく、本発明による鋳造方案の効果を評価するための手段として本発明者が開発した凝固シミュレーションが極めて有用である。すなわち、合金成分及びインゴットの形状・寸法が与えられたとき、当凝固シミュレーションを行うことにより、沈降型、浮上型(あるいは混合型などの他のタイプ)の判定を行い、仕切り板5の最適設計を行いその効果を精度良く判断することができる。
【0033】
【発明の効果】
以上の具体例から、沈降型及び浮上型合金鋼の大型インゴット鋳造において、押湯部から製品部に亘って形成される固液共存相において液相の密度差に基因する対流が生じ、マクロ偏析欠陥が生成する過程を明らかにした。
上記二つの具体例は凝固理論に基づく数値実験であり、その精度は主として種々の物性値の正確さによるが、沈降型合金鋼インゴットの鋳造において、製品部と押湯部の境界に仕切り板5を配置することにより上記対流ループを分離せしめ、流動パターンを変化させるとともに流速を減じる効果のあることは明白であり、これによりマクロ偏析欠陥を大幅に低減させることができることを示した。インゴットのサイズが大きくなるほどマクロ偏析は生じやすくなるので、本発明による方案は特に大型インゴットに対して有効である。
【0034】
以上本発明による新鋳造方法の効果をまとめると次のとおりである。
(1)従来の鋳造方案に比べてインゴットの内部品質を大幅に改善することができるとともに製品歩留まりを大幅に改善できる(すなわち切断除去すべき欠陥部を無くすあるいは最小にする)。内部品質の向上は(例えば発電用ガスタービンのローターシャフトあるいは圧延用ロールなどの)製品使用時の寿命・信頼性の向上に寄与する。
(2)仕切り板の容積に匹敵する溶解重量を削減することができる。[具体例1の場合3.1%削減される]
(3)仕切り板部がくびれているため押湯切断効率が大幅に向上する。
(4)本発明による新鋳造方法は‘沈降型’合金に対して有用であるが、‘浮上型’合金に対して適用する際、浮上力が大きくなると逆に有害となるので注意が必要である。
【0035】
以上、(1)〜(3)に述べたごとく品質の向上はもちろん経済的効果は極めて大きい。また溶解量の低減はCO2ガス排出量の低減をもたらすので環境にも優しい。本法の適用に際しては、本発明者が開発した凝固シミュレーション手段によって沈降型、浮上型合金あるいは混合型等の判定を行い、事前にその効果を予測することが極めて有効である。
【0036】
本明細書では低合金鋼インゴットを中心に述べて来たが、他の合金インゴットに対しても同様の効果が得られることは原理的に明らかである。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来技術による鋳造方案図である。
【図2】押湯−鋳物境界断面を絞った従来技術による方案例である。
【図3】押湯−鋳物境界にbreaker coreを設置した従来技術による方案例である。
【図4】物理変数と支配方程式の関係を示す。
【図5】押湯部と製品部の境界に仕切り板5及び貫通孔6を設けることを特徴とする本発明による鋳造方案図である。
【図6】具体例1及び2の鋳造方案において具体的寸法を示す図である。
【図7】化学成分及び熱物性値を示す。
【図8】凝固シミュレーションシステム(CPRO)の非線形多元合金モデルを用いて計算した温度と固相率の関係である。
【図9】凝固シミュレーションシステム(CPRO)の非線形多元合金モデルを用いて計算した鋼Aの凝固過程における溶質濃度変化を示す図である。
【図10】凝固シミュレーションシステム(CPRO)の非線形多元合金モデルを用いて計算した鋼Bの凝固過程における溶質濃度変化を示す図である。
【図11】凝固シミュレーションシステム(CPRO)の非線形多元合金モデルを用いて計算した凝固過程における液相の密度変化を示す図である。
【図12】具体例1(鋼A)の凝固完了後におけるCのマクロ偏析を示す図である。(a)は従来方案及び(b)は本発明による方案によるマクロ偏析を示す。
【図13】具体例1(鋼A)の凝固途中(11.6hrs後)において、固液共存相内の液相の流動パターンを示す図である。(a)は従来方案(b)は本発明による方案の場合を示す。
【図14】数値計算に用いた鋳造温度、鋳型初期温度及び境界熱伝達係数を示す。
【図15】具体例2(鋼B)の凝固完了後におけるCのマクロ偏析を示す図である。(a)は従来方案及び(b)は本発明による方案によるマクロ偏析を示す。
【図16】具体例2(鋼B)の凝固途中において、固液共存相内の液相の流動パターンを示す図である。(a)は12.5hrs後における従来方案(b)は10.3hrs後における本発明方案の場合を示す。
【図17】Fe-C状態図における液相線及び固相線の線形化入力データを示す。
【図18】数値計算に用いた鋼A及びBの比熱及び熱伝導率である(両鋼の値は同じと仮定した)。
【図19】数値計算に用いた鋳鉄鋳型の比熱及び熱伝導率である。
【符号の説明】
1 鋳型定盤
2 製品部鋳型
3 押湯スリーブ
4 押湯カバー
5 押湯−製品境界部に設けた仕切り板
6 押湯−製品境界部に設けた空間(貫通孔)
7 溶融金属
Claims (2)
- インゴットの中央部領域におけるデンドライトアームスペーシングが凝固完了後デンドライトの方向に無差別に測定したときの値が約150μm以上となるインゴットの鋳造において、製品部鋳型と押湯部鋳型との境界に仕切り板を設置し、この仕切り板には押湯部と製品部を貫通する空間を設けることを特徴とする鋳造装置。
- 請求項1記載のインゴットの材料はデンドライト間液相の密度が凝固の進行とともに増加する、あるいは凝固開始前の液相の初期密度に比べて大きい合金(いわゆる沈降型合金)であることを特徴とする請求項1記載の鋳造装置。
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