JPH0857584A - 表面品位並びに加工性の良好なステンレス鋼鋳片の製造方法 - Google Patents

表面品位並びに加工性の良好なステンレス鋼鋳片の製造方法

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JPH0857584A
JPH0857584A JP21796894A JP21796894A JPH0857584A JP H0857584 A JPH0857584 A JP H0857584A JP 21796894 A JP21796894 A JP 21796894A JP 21796894 A JP21796894 A JP 21796894A JP H0857584 A JPH0857584 A JP H0857584A
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Hiroyuki Tanaka
宏幸 田中
Ryusuke Miura
龍介 三浦
Ryoji Nishihara
良治 西原
Ryoichi Hisatomi
良一 久富
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 溶鋼温度の低い鋳造条件下で鋳片にオシレー
ションマークを発生させることが少なく、しかも、加工
性の良好な等軸晶の比率を向上させることのできるステ
ンレス鋼鋳片の製造方法を提供する。 【構成】 断面四角形の鋳型15に浸漬ノズル11より
低温のステンレス溶鋼を供給してステンレス鋼鋳片を連
続して製造する方法において、鋳型15のメニスカスか
ら下方200〜600mmの位置に、該鋳型の長辺の全
幅方向に広がる略均等な磁束密度の静磁界を設け、かつ
メニスカス部における溶鋼過熱度を10℃以上に維持し
て操業を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、連続鋳造の際、ステン
レス鋼鋳片に発生するパウダー噛み込みやオシレーショ
ンマークが少なく、かつ等軸晶率の高いステンレス鋼鋳
片を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】普通鋼、ステンレス鋼の連続鋳造におい
ては、図5に示すようにタンディッシュ50に保持した
溶湯を、その底部に接続した浸漬ノズル51を経由して
連続鋳造鋳型52に導き、連続的に鋳片を製造すること
が行われている。そして、浸漬ノズル51から鋳型内に
注入される溶湯には、多数の気泡や介在物が含まれ、こ
れらの介在物や気泡が鋳片内に侵入すると欠陥となるの
で、例えば、特公平2−20349号公報においては、
浸漬ノズルから注入される溶融金属の流れに対してブレ
ーキをかけ、溶湯中の前記介在物が鋳型深くに侵入する
のを防止する連続鋳造鋳型内の溶融金属の撹拌方法が提
案されている。
【0003】また、特開平3−142049号公報に
は、鋳型の長辺の対向側壁の浸漬ノズル吐出口の上下に
各一対の磁極を配置し、下部の磁極で浸漬ノズルからの
吐出流による下降流の抑制を行い、上部の磁極で反転流
によってメニスカス部の溶湯流速を低減することによ
り、介在物の侵入とメニスカス部でのパウダー巻き込み
の抑制を行う静磁界を用いた鋼の連続鋳造方法が提案さ
れている。さらに特開平4−41058号公報には、鋳
型内で浸漬ノズル吐出口位置に鋳造方向に磁束を有する
静磁界を作用させることにより、吐出流起因の介在物の
侵入を防止する技術が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記公
報記載の技術は、いずれも主として浸漬ノズルから鋳型
内に注入される溶湯の流れを抑制して、外部からの介在
物の侵入を抑制し、パウダー巻き込みの低減を目的とし
たものであり、ステンレス鋼鋳片を製造する場合に、ス
テンレス鋼鋳片自体の凝固条件に起因して生じる圧延性
及び加工性の問題を解決することは困難である。即ち、
一般にステンレス鋼鋳片には表層部にチル晶と呼ばれる
結晶粒の細かい組織が少量生成し、中間層に柱状晶、芯
部に等軸晶となって結晶組織を構成しているが、このう
ち前記柱状晶は結晶粒子の形態が大きく、かつ鋳片表面
に対して略直角な方向性を持った結晶組織となるため、
この鋳片を最終的に厚み1mm以下にまで圧延する工程
では、前記柱状晶がつぶれ難いために、柱状晶の分布状
態およびその形態の差異によって鋼鋳片の圧延及び加工
の際に厚みの差となって現れる。これが圧延工程におけ
るローピング、加工工程におけるリジングと呼ばれる現
象であって、ステンレス鋼製品の歩留を悪化させる要因
となっているが、前記の公報においては、結晶組織の問
題に対しての解決策とはならない。
【0005】ステンレス鋼鋳片中の柱状晶を減少させて
等軸晶を増加させるためには、タンディッシュにおける
溶鋼温度を溶鋼の凝固点近くにまで下げた状態で鋳造す
ることで達成できる。しかし、このような低温鋳造にお
いては、鋳型内のメニスカス部で溶鋼がデッケルと呼ば
れる凝固殻を形成したり、また、連続鋳造用パウダーが
凝固してスラグベアが生成し、これが鋳型と溶鋼との接
触部から溶鋼中に巻き込まれてステンレス鋼鋳片の表面
性状を悪化させる要因となる。しかも、連続鋳造用鋳型
は絶えず上下に振動させることによって、鋳型面におけ
る健全な凝固殻の生成を促しているが、溶鋼温度が低く
なると最初に生成する凝固殻の粘性が高くなること、及
び前記スラグベアの噛み込みによって鋳片の表面にオシ
レーションマークと呼ばれる欠陥を生成するという問題
があった。
【0006】また、前記公報記載の技術には、鋳片内部
に介在物による欠陥の少ない普通鋼の連続鋳造を主目的
にしたものであって、普通鋼の場合には、仮に鋳片表面
に介在物が捕捉されても、圧延工程や熱処理の過程にお
いて、表面に厚い酸化スケールが発生するので、最終製
品ではこれらの欠陥が除去され、特に問題とならない
が、ステンレス鋼鋳片の連続鋳造においては、酸化スケ
ールの厚みが薄いので鋳片表面でオシレーションマーク
がそのまま残ってしまい、製品不良となるという問題が
ある。本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、溶
鋼温度の低い鋳造条件下で鋳片にオシレーションマーク
を発生させることが少なく、しかも、加工性の良好な等
軸晶の比率を向上させることのできるステンレス鋼鋳片
の製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記目的に沿う請求項1
記載の表面品位並びに加工性の良好なステンレス鋼鋳片
の製造方法は、断面四角形の鋳型に浸漬ノズルより低温
のステンレス溶鋼を供給して、該ステンレス鋼鋳片を連
続して製造する方法において、前記鋳型のメニスカスか
ら下方200〜600mmの位置に、該鋳型の長辺の全
幅方向に広がる略均等な磁束密度の静磁界を設け、かつ
メニスカス部における溶鋼過熱度を10℃以上に維持し
て操業を行うように構成されている。ここでメニスカス
とは鋳型中にある溶鋼の溶融表面を表しており、メニス
カス部とは前記メニスカス近傍位置を表すものとする。
また、請求項2記載の表面品位並びに加工性の良好なス
テンレス鋼鋳片の製造方法は、請求項1記載の方法にお
いて、前記静磁界より下方位置における溶鋼過熱度を5
℃以下とするように構成されている。
【0008】ここで、溶鋼過熱度とは、溶鋼の液相線温
度を基点として表記した溶鋼温度の意味であり、溶鋼温
度と液相線温度との差を表している。また、前記ステン
レス溶鋼の液相線温度とは、該ステンレス溶鋼をゆっく
り冷却したときに固相が析出し始める時の温度であり、
該ステンレス溶鋼の成分構成によって理論的または実験
的に決まる温度である。鋳型のメニスカス部における溶
鋼過熱度は、鋳造中の鋳型における溶鋼温度を熱電対ま
たは放射温度計等により、不連続または連続的に測定し
た温度と上記の溶鋼の液相線温度との差を表している。
請求項1記載の方法においては、この鋳型のメニスカス
部における溶鋼過熱度が10℃以上となるように静磁界
の強さ、静磁界の位置、溶鋼の加熱冷却、及び鋳造速度
等の鋳造条件を制御する。請求項2記載の表面品位並び
に加工性の良好なステンレス鋼鋳片の製造方法において
は、前記静磁界より下方位置における溶鋼過熱度は、該
下方位置に熱電対等の測温装置を鋳型の外側から鋳型内
に挿入し直接的に測定するか、あるいは鋳造後の等軸晶
率及び鋳片組織の解析等によって実験的に求めた温度
と、上記の液相線温度との差を表わしている。
【0009】
【作用】ステンレス鋼鋳片のオシレーションマークは連
続鋳造用パウダーの鋳型面での噛み込みと鋳型自体の上
下振動とにより生成し、低温鋳造になるほどオシレーシ
ョンマークの発生比率が高くなって表面性状が悪化す
る。該オシレーションマークの発生を避けるために溶鋼
温度を上昇させると、鋳片内部の温度も上昇するが、鋳
片中の等軸晶率が低下し、加工性が悪化する。また、ス
テンレス鋼鋳片の結晶組織はステンレス溶鋼を凝固させ
る時点における鋳造条件によって左右される。即ち、溶
融部の温度が低く、かつ温度勾配の大きい条件の下で溶
鋼を凝固させる場合には、結晶の成長速度に比べて結晶
核の生成が盛んであり、結晶粒子の小さいチル晶、等軸
晶の比率が高くなるが、逆に、温度勾配の小さい条件の
下で凝固させる場合には、結晶成長の方が結晶核の生成
より優勢なために、結晶粒子の大きい柱状晶等の析出比
率が高くなる。従って、凝固点近くの温度で溶鋼を保持
して、これを急速に冷却凝固させることによって、鋳片
中に加工性の優れた等軸晶の比率を増大させることがで
きる。しかし、溶鋼温度を溶鋼の凝固点近傍まで単に低
下させるだけでは鋳型内のメニスカス部に溶鋼の凝固殻
を形成したり、図3に示すようにオシレーションマーク
爪深さが許容される限度を越えて深くなり、表面欠陥が
発生する。ここでオシレーションマーク爪深さとは、鋳
片側面におけるパウダー巻き込み等によって生じる表面
疵の深さであり、鋳片の切断面を観察することによっ
て、その長さを実測することができる。
【0010】請求項1、2記載の表面品位並びに加工性
の良好なステンレス鋼鋳片の製造方法においては、鋳型
のメニスカスから下方200〜600mm好ましくは3
00〜600mm位置に静磁界を設け、浸漬ノズル吐出
口から下方に向かう吐出流を該静磁界により制動抑制し
て、上方のメニスカス部に向かう下部の溶鋼より比較的
高温の溶鋼流を増加させ、前記静磁界より上部の溶鋼領
域における温度を低下させずに溶鋼を凝固点温度の近傍
で維持することができる。このため、凝固点近傍の低温
の溶鋼を鋳造してもパウダーが凝固することがなく、オ
シレーションマークを低減させることができる。ここ
で、前記静磁界をメニスカスより下方200mm以内に
設置する場合には浸漬ノズルの吐出口と静磁界とが近づ
きすぎるために、吐出口からの溶鋼流が静磁界を突き抜
けて流出してしまい、メニスカス部での溶鋼の温度上昇
効果がない。一方、静磁界がメニスカスより600mm
以上深い位置ではメニスカスからの距離が離れすぎるた
めに、メニスカス部の溶鋼過熱度を維持することができ
ず、溶鋼過熱度が低下してスラグベアの析出及び溶鋼凝
固等が生じる。
【0011】一方、静磁界より下方部では前記浸漬ノズ
ル吐出口からの吐出流の流入が抑制され、かつ鋳型周囲
から溶鋼が抜熱されるために、静磁界を作用させない場
合に較べてさらに低く溶鋼温度を維持させることができ
る。従って、鋳型内の前記静磁界の上方部と下方部とで
は溶鋼の温度差が大きくなる。即ち静磁界の上下では温
度勾配が大きくなるために、前記静磁界を通過する溶鋼
が溶鋼内部で冷却凝固する過程で結晶粒子の小さい等軸
晶等の生成比率を増加させる(例えば、50%以上)こ
とができる。このようにして得られた等軸晶率の高いス
テンレス鋼鋳片は圧延特性が均一であり、しかもオシレ
ーションマークが少なく表面品位並びに加工性に優れた
ステンレス鋼鋳片となる。さらに、請求項2記載の表面
品位並びに加工性の良好なステンレス鋼鋳片の製造方法
においては、前記静磁界より下方位置における溶鋼過熱
度ΔTを5℃以内として、かつメニスカス部の溶鋼過熱
度ΔTを10℃以上としているため、静磁界の前後での
溶鋼の温度差が一定に維持される。このため溶鋼から析
出する結晶組織が均一で、かつ品質安定性に優れたステ
ンレス鋼鋳片が得られる。また、静磁界より下方位置の
溶鋼過熱度ΔTを5℃以上とした場合には、静磁界の前
後での温度差が小さくなるために柱状晶の析出比率が増
加して鋳片の加工性が悪くなるので好ましくない。
【0012】図2は静磁界の位置とパウダー巻き込み指
数及び等軸晶率との関係を示す図である。ここで、パウ
ダー巻き込み指数を黒丸で、等軸晶率を白丸で表示して
いる。同図においてパウダー巻き込み指数は圧延後に磁
粉探傷法で検出された欠陥の発生率で定義される鋳片の
清浄度を示す量である。ここではメニスカスから磁極中
心位置までの距離(mm)のみを変化させて、その他の
鋳造条件を全て同一に設定して、得られた鋳片のパウダ
ー巻き込み指数及び等軸晶率を測定したものである。静
磁界をメニスカスから下方200mm未満の距離に配置
した場合には、パウダー巻き込み指数が高くオシレーシ
ョンマークが発生しやすい鋳片であるが、磁極位置を2
00mm以上に増加させることにより、パウダー巻き込
み指数が極端に減少するが、一方、等軸晶率はなだらか
な減少傾向をたどる。さらに磁極位置が600mm以上
の領域では鋳片の圧延加工時に必要とされる60%以上
の等軸晶率を確保できないことが分かる。従って、静磁
界の位置は200〜600mmの領域とすることが適当
である。図3はステンレス鋼鋳片におけるオシレーショ
ンマーク爪深さ(mm)と溶鋼過熱度ΔTとの関係を示
す図である。これにより、ステンレス鋼鋳片の溶鋼過熱
度ΔTを10℃以上とすることにより、オシレーション
マークの爪深さを2mm以下にできることが分かる。図
4はスラグベア発生率と溶鋼過熱度ΔTとの関係を示す
図であり、溶鋼過熱度ΔTが10℃を境としてスラグベ
アの発生率が大幅に変化することが分かる。
【0013】
【実施例】続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明
を具体化した実施例につき説明し、本発明の理解に供す
る。ここに、図1は本発明の一実施例に係る表面品位並
びに加工性の良好なステンレス鋼鋳片の製造方法を適用
した装置の概略構成図である。
【0014】図1に示すように、溶鋼容量25tのタン
ディッシュ12からタンディッシュ12の底部に設けた
アルミナ黒鉛質の浸漬ノズル11を介して、短辺が0.
25m、長辺が1.2mの断面が四角形の鋳型15への
ステンレス溶鋼17の鋳造を鋳造速度0.6m/min
で行った。ここで、Cr含有量が18Wt%、液相線温度
が1460℃のステンレス溶鋼17を用いた。浸漬ノズ
ル11には溶鋼吐出口16の角度が下向き15度で50
×40mmの矩形断面形状の2個の吐出口16を有する
アルミナ黒鉛質の耐火材を使用して、鋳型15のメニス
カスから下部300mmに磁極10の中心が位置するよ
うにして、電磁石からなる幅約200mmの磁極10を
対向して配置した。
【0015】最初は前記電磁石を励磁せずタンディッシ
ュ12中の溶鋼過熱度ΔTを40℃として鋳造後圧延を
行ったところ、鋳造中にメニスカス部13の連続鋳造用
パウダーが凝固してしまい、スラグベアが発生した。ま
た、メニスカス部13の溶鋼過熱度ΔTが5℃程度まで
低下したためにメニスカス部13の初期凝固シェルに異
常成長が生じて、オシレーションマークの爪深さが2.
5mmと深く、この表面欠陥は後のスケールオフによっ
ても容易に除去できなかった。そこで、タンディッシュ
12内の溶鋼過熱度ΔTを60℃まで上昇させて鋳造を
行った。その結果、スラグベアやオシレーションマーク
の爪深さは0.5mmまで浅くなったが、反面、鋳型1
5内の溶鋼温度が上昇してステンレス鋼鋳片中の等軸晶
率が40%に低下して、加工時の伸び不良が発生した。
そこでさらに、前記電磁石によって鋳型15の長辺の全
幅方向に広がる略均等な磁束密度0.2Tの静磁界を作
用させて浸漬ノズル11の吐出口16より下方に向かう
溶鋼流14を制動し、メニスカス部13の溶鋼過熱度Δ
Tを10℃に維持し、メニスカスから下方200mm位
置における溶鋼の溶鋼過熱度ΔTを10℃に制御して鋳
造を行った。このようにして得られたステンレス鋼鋳片
におけるオシレーションマークの爪深さは0.5mmと
なって表面疵が低減され、該ステンレス鋼鋳片中の等軸
晶率は70%となって等軸晶が多く、オシレーションマ
ークの少ない鋳片を安定して製造することが可能となっ
た。
【0016】前記ステンレス鋼鋳片の製造においては、
鋳型15のメニスカス部13における溶鋼の溶鋼過熱度
ΔTを10℃以上として操業を行うが、このために前記
メニスカス部13における溶鋼過熱度を監視し、取鍋か
らタンディッシュ12内への溶鋼の注入条件及びタンデ
ィッシュ12から鋳型15への注入条件を制御しつつ、
バーナによる溶鋼の加熱または誘導加熱等を併用するこ
とによってメニスカス部13の溶鋼過熱度ΔTを制御す
ることが重要となる。
【0017】前記実施例では、静磁界の磁束密度を0.
2Tとしたが、これに限定されるものではなく、鋳型1
5の大きさ及び、形状、鋳造速度、ステンレス鋼の種類
等の鋳造条件等によって当然変わるものである。また、
磁極10の幅については余り狭いと溶湯に有効に電磁力
が作用しないので、5cm以上有することが好ましく、
更に40cm以上とすることは無駄である。また、浸漬
ノズル11の吐出口16の角度を下向き15度とした
が、前記吐出口16の角度を調整してメニスカス部13
の溶鋼過熱度を制御することもできる。なお、前記実施
例において、浸漬ノズルから注入する低温のステンレス
溶鋼の温度はΔTが60℃程度であったが、タンディッ
シュの溶鋼温度よりも低く、70℃以下であるのが好ま
しい。また、メニスカス部での溶鋼のΔTは10〜30
℃程度とするのが好ましい。
【0018】
【発明の効果】請求項1、2記載の表面品位並びに加工
性の良好なステンレス鋼鋳片の製造方法は、以上の説明
から明らかなように、低温のステンレス溶鋼を注入しな
がらメニスカス部の溶鋼温度を所定レベルに維持して、
かつメニスカスより下方の特定位置に静磁界を作用させ
ているので、低温度の鋳造条件下でも鋳片にオシレーシ
ョンマークの発生を低減させ、しかも、加工性の良好な
等軸晶の比率を向上させることができる。特に、請求項
2記載の表面品位並びに加工性の良好なステンレス鋼鋳
片の製造方法は、静磁界の上下における溶鋼過熱度が規
定されているので、品質のばらつきが少なく略均質なス
テンレス鋼鋳片を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る表面品位並びに加工性
の良好なステンレス鋼鋳片の製造方法を適用した装置の
概略構成図である。
【図2】静磁界の位置とパウダー巻き込み指数及び等軸
晶率との関係を示す図である。
【図3】ステンレス鋼鋳片におけるオシレーションマー
ク爪深さ(mm)と溶鋼過熱度ΔTとの関係を示す図で
ある。
【図4】スラグベア発生率と溶鋼過熱度ΔTとの関係を
示す図である。
【図5】従来例における鋳片の製造方法を示す概略構成
図である。
【符号の説明】
10 磁極 11 浸漬ノズル 12 タンディッシュ 13 メニスカス部 14 溶鋼流 15 鋳型 16 吐出口 17 ステンレス溶鋼
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 久富 良一 福岡県北九州市戸畑区飛幡町1番1号 新 日本製鐵株式会社八幡製鐵所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 断面四角形の鋳型に浸漬ノズルより低温
    のステンレス溶鋼を供給してステンレス鋼鋳片を連続し
    て製造する方法において、 前記鋳型のメニスカスから下方200〜600mmの位
    置に、該鋳型の長辺の全幅方向に広がる略均等な磁束密
    度の静磁界を設け、かつメニスカス部における溶鋼過熱
    度を10℃以上に維持して操業を行うことを特徴とする
    表面品位並びに加工性の良好なステンレス鋼鋳片の製造
    方法。
  2. 【請求項2】 前記静磁界より下方位置における溶鋼過
    熱度を5℃以下とした請求項1記載の表面品位並びに加
    工性の良好なステンレス鋼鋳片の製造方法。
JP21796894A 1994-08-18 1994-08-18 表面品位並びに加工性の良好なステンレス鋼鋳片の製造方法 Withdrawn JPH0857584A (ja)

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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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