JP2001276958A - 連続鋳造鋳鉄及びその製造方法 - Google Patents

連続鋳造鋳鉄及びその製造方法

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JP2001276958A JP2000090915A JP2000090915A JP2001276958A JP 2001276958 A JP2001276958 A JP 2001276958A JP 2000090915 A JP2000090915 A JP 2000090915A JP 2000090915 A JP2000090915 A JP 2000090915A JP 2001276958 A JP2001276958 A JP 2001276958A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 亜共晶成分の鉄−炭素系材料を連続鋳造する
こと、ブレークアウトを防止し、安定した引抜を達成す
る。炭化物面積率/黒鉛面積率を外層部と中心部で近い
値とする。 【解決手段】 鋳鉄の連続鋳造方法において、鋳型装置
入口での引抜方向に垂直な断面における溶湯の温度差
を、50℃以下に制御する。また、溶湯保持炉内で溶湯
を加熱すると共に溶湯保持炉と鋳型装置入口との間で溶
湯を加熱する。連続鋳造材の特徴は、鋳鉄構成成分に基
づく炭素当量が、2.1〜4.0%であること、引抜方
向に垂直な断面の、中心部と外周部分との炭化物/黒鉛
の面積率の差が20%以下であること、炭素重量割合
が、1.5〜3.5%であること。また、鉄−炭素複平
衡状態図において固/液共存領域温度の範囲が40℃以
上である溶融鉄合金を、連続鋳造方法によって凝固させ
たもの。鋳造材料の構成成分に基づく炭素当量が、2.
1〜4.0%であること。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、亜共晶成分の鉄−
炭素系連続鋳造材、すなわち炭素量が比較的少ない連続
鋳造鋳鉄、及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に亜共晶成分の鉄−炭素材において
は炭素当量が小さくなるほど黒鉛化の膨張が小さくなる
ため凝固収縮量が大きくなり鋳造時に引けが生じやすく
なる。また、炭素当量が小さくなるほど鉄−炭素系平衡
状態図における液相線温度と固相線温度の差も大きくな
り(炭素当量が2.1%まで)、冷却中の鋳造材料の固
相と液相の間に固液共存領域が存在し、これにより押し
湯効果が小さくなり、鋳造欠陥が生じやすくなることは
良く知られている。このような成分の鋳造材を連続鋳造
法で製造すると、鋳型部で凝固した部分は凝固収縮によ
り鋳型との間に隙間が生じるため冷却効果が著しく小さ
くなり、内部の未凝固の湯から供給される熱により先に
形成された外周部の凝固層が再溶解され、ブレークアウ
トによる湯洩れが発生し易かった。また、固液共存温度
領域が大きいため引き抜き力が凝固先端まで伝わらず、
固液共存領域の途中でその外周の固相部分に割れが生じ
たり、製品がちぎれるなどにより引抜継続が殆ど不可能
となっていた。これらの理由により、亜共晶成分の鉄−
炭素系材の連続鋳造は殆ど実施されていなかった。
【0003】鋳鉄組成の溶湯を連続鋳造方法により製造
する場合、溶湯が溶湯保持炉から鋳型に流入し凝固する
際の冷却速度により組織は大きく異なるものとなる。す
なわち、冷却速度が大きい外層部はチル化し易く、また
黒鉛が晶出したとしても微細なE型になり易い。一方、
外層部に比べて冷却速度が小さい内部はチル化の程度は
外層部に比べて小さく、黒鉛が晶出した場合外層部に比
べて大きくなり易い。このように連続鋳造においては、
内外層で均一な炭化物面積率/黒鉛面積率(炭化物と黒
鉛との比率に相当する値)、および均一な黒鉛形状を得
ることは困難であった。そのため、Ti等の元素を添加
することで冷却速度によらず、黒鉛組織をE型にする手
法がとられている。このE型は他のものに比べて脆弱で
用途が限定される。
【0004】そして、耐磨耗性、摺動性が要求される部
材においては、炭化物、黒鉛が全体に一定の面積率で存
在する材料が望まれる。これは炭化物、黒鉛が全体に一
定の面積率で存在していないと、部分的に耐磨耗性、摺
動性が異なり、これにより偏磨耗を起こすことになるか
らである。そして、加工の面からも加工精度の点で炭化
物、黒鉛が全体に一定の面積率で存在していることが望
まれる。すなわち、炭化物面積率/黒鉛面積率が部分的
に異なると、機械部品等に加工する際に刃物の逃げが生
じて加工精度が著しく悪くなる点で好ましくない。例え
ば、旋削加工時にバイトが逃げるという現象が起きて所
望精度に加工できない、また深穴加工時に真っ直ぐな穴
に加工できない、といったことが起こるからである。
【0005】しかし、これまで内外層で均一な黒鉛組
織、または炭化物面積率/黒鉛面積率を有する亜共晶成
分の鉄−炭素系材の連続鋳造材は得られていなかった。
前記偏磨耗や刃物の逃げる現象は、一部砂型による鋳造
材にも見られるが、連続鋳造方法で製造された場合によ
り発生しやすい。この要因としては一般的な砂型等によ
る鋳造法に比べ連続鋳造方法の場合、冷却速度が大きく
なることに起因している。この問題点を解決するため、
本願発明者らはかつて連続鋳造法における鋳型材を変更
したり、引抜速度を遅くして徐冷する等の対策を施した
が、冷却速度を一般的な砂型等を使用する鋳造方法と同
じくらいに小さくすることは困難であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、亜共晶成分
の鉄−炭素系材料を連続鋳造することを目的とするもの
であり、その際の最大の問題点である、製品と鋳型の間
に隙間が発生しそれが原因で生じるブレークアウトによ
る湯漏れを、防止することで安定した引抜を達成しよう
というものである。また、材質面的には、炭化物面積率
/黒鉛面積率が外層部と中心部で近い値となるようにす
ることである。
【0007】
【課題を解決するための手段】連続鋳造において製品と
鋳型の間に隙間が発生することを防止するためには、い
わゆる押し湯を効かすことが有効である。この点に関連
して説明を加えると、本発明に係る亜共晶成分系におい
ては固液共存温度幅が大きいため、凝固開始点から終了
点までの固液温度領域が広い場合には、固液共存部分の
固相が液相の供給を阻害する。このため凝固先端まで押
し湯が効きにくくなる。砂型等の一般的な鋳造方法にお
いては、この固液共存温度領域を小さくするために鋳込
み温度を高めにし、押し湯部は高温になるように凝固し
た部分との温度差を、つまり温度勾配を、大きくとるの
が有効である。しかし連続鋳造方法の場合には溶湯温度
が高い場合ほど鋳型部で凝固して形成される層の厚みが
薄くなり、強度がないものとなるため、引き抜き時の引
っ張り応力により割れが発生しやすく、その部分から内
部の溶湯が漏れるといった問題がある。また、凝固収縮
により鋳型と製品との間に、隙間が生じた場合には以後
の冷却作用が極端に低下し、内部の溶湯温度が高い場合
には内部からの熱により凝固層の再溶解が起こり、ブレ
ークアウトによる湯漏れの要因となる。また、ブレーク
アウトに至らなくても内部の冷却は遅れるので、固液共
存領域は引き抜き方向に長く存在することになり、押し
湯作用が小さくなるから、内部に巣が発生しやすくな
る。従って、押し湯を効かせることはブレークアウト等
の問題があって必ずしも容易ではない。
【0008】多数の試験と温度解析の結果、亜共晶の鉄
−炭素系材の連続鋳造方法において安定して引き抜きを
行うには、外周と内部の温度差をある温度差以内に押さ
える必要があることを見出した。すなわち、一般的な鋳
造方法では押し湯効果を得るためには溶湯温度は高温が
望ましいが、連続鋳造法の場合には前述のごとく内部の
温度が高いと連続鋳造特有の問題により、引き抜き不能
となる。つまり、内部と外周の温度差が大きいと、凝固
層が薄くなると共に固液共存温度領域が長くなり、押し
湯作用が小さくなり、隙間を助長させ、これにより隙間
が発生した部分の冷却作用は著しく低下し、内部からの
高温の熱により凝固層の再溶解を起こしたり、固液共存
温度領域をさらに長くする要因になる。そこで逆に、内
部と外周部の温度差を小さくすると、凝固層は厚くなる
と共に固液共存温度領域も短くなり、押し湯作用が大き
くなって隙間を小さく保つことが可能になることを見出
したのである。
【0009】また、連続鋳造方法の場合、溶湯保持炉か
ら鋳型に流れ込む溶湯の温度がその後の冷却速度に大き
く拘わっているという結論に達した。すなわち、一般的
な砂型等の型内に注湯した状態で凝固を完了させる鋳造
方法においては、取鍋等から型内に注湯された直後の溶
湯温度は鋳型内で略同じ温度であり、鋳型近傍の溶湯が
凝固開始温度まで低下する分の熱量を鋳型が吸収する必
要があり、そのため鋳型の冷却作用が低下することによ
り溶湯の冷却速度も低下する。一方連続鋳造方法の場合
は、溶湯保持炉から鋳型近傍の導入部においてすでに溶
湯に温度勾配が生じており、そのため引き抜き方向に垂
直な断面においても鋳型近傍の溶湯温度と鋳型から離れ
た位置での溶湯温度とは大きな差が生じていることが分
かった。そして鋳型に導入された溶湯は鋳型壁近傍では
すぐに熱を奪われ、凝固開始温度まで低下し、砂型と同
じ冷却作用を持つ鋳型であっても連続鋳造の場合は鋳型
近傍では冷却速度が大きく、中心付近では砂型の冷却速
度に近くなっていることを見出した。そのため一般的な
砂型による鋳造法に比べ肉厚方向に位置が異なると冷却
速度に差が生じやすく、従って炭化物面積率/黒鉛面積
率も大きく異なる結果となる。
【0010】本発明の方法は、溶湯保持炉内の溶湯を鋳
型装置により冷却し凝固させながら引き抜くことにより
連続的に形成する鋳鉄の連続鋳造方法において、鋳型装
置入口での引抜方向に垂直な断面における溶湯の温度差
を、50℃以下に制御することを特徴とする。
【0011】鋳型装置入口での引抜方向に垂直な断面に
おける溶湯の温度差を、50℃以下に制御することによ
り、鋳型内で冷却される溶湯は、外周面から中心部まで
凝固が比較的急速に進行する。つまり、適切に低い温度
の溶湯は、鋳型内で急速に凝固がはじまり、その直前の
外周面から中心部に至る温度差が小さいことから、より
短時間で中心部まで凝固が進行する。従って、溶湯の組
成が亜共晶成分のものであっても、鉄−炭素系平衡状態
図における固液共存領域を短時間で通過し、鋳造中の製
品に生じている固液共存領域の引き抜き方向長さが短く
なる。これにより固液共存領域が殆ど生じない従来実施
されている鋳鉄組成(炭素等量が4%付近の組成)の場
合に近似した凝固形態となる。すなわち、押し湯が有効
に作用して鋳型と製品との間に生じる隙間の増大が抑制
され、鋳型の冷却作用の低下がなく、早い時期に凝固が
完了し、ブレークアウトが生じない。また、得られる鋳
造材は、外周部と中心部の冷却速度が大きく相違しない
から、炭化物面積率/黒鉛面積率が外周付近から中心部
まで近似した値となる。前記温度差を50℃以下とした
のは、この温度範囲を超えると固液共存領域の引き抜き
方向長さが長くなり、好ましい結果が得られ難いからで
あり、この温度範囲は可能な限り小さくするのがよい。
【0012】前記方法において、溶湯保持炉内で溶湯を
加熱すると共に溶湯保持炉と鋳型装置入口との間で溶湯
を加熱するのがよい。一般に溶湯保持炉内の溶湯の温度
は、場所によって異なる。このような溶湯を終始一定し
た温度で鋳型へ送出することは、保持炉内の溶湯を加熱
するように設けられている加熱手段のみではきわめて困
難である。溶湯保持炉内で略一定温度となるように制御
された溶湯を、溶湯保持炉と鋳型装置入口との間でさら
に一定となるように加熱することにより、より高精度で
終始一定した温度の溶湯を鋳型へ供給することができる
ようになり、これにより常に安定した良好な引き抜きが
可能となる。
【0013】本発明の方法によって得られる鋳造材は、
従来の連続鋳造法では得られなかった亜共晶成分の連続
鋳造鋳鉄であり、鋳鉄構成成分に基づく炭素当量が、
2.1〜4.0%である特徴を有する。また、前記連続
鋳造鋳鉄において、引抜方向に垂直な断面の、中心部と
外周部分との炭化物/黒鉛の面積率の差が20%以下で
ある特徴を有する。また、前記連続鋳造鋳鉄において、
炭素重量割合が、1.5〜3.5%である特徴を有す
る。
【0014】また、本発明の方法によって得られる鋳造
材は、従来の連続鋳造法では得られなかった鉄−炭素系
鋳造材であり、鉄−炭素系平衡状態図において固/液共
存領域温度の範囲が40℃以上である溶融鉄合金を、連
続鋳造方法によって凝固させたものである特徴を有す
る。また、前記鉄−炭素系鋳造材料において、前記鋳造
材料の構成成分に基づく炭素当量が、2.1〜4.0%
である特徴を有する。
【0015】前記炭素等量については、従来多くの研究
によって明らかにされている。炭素等量は、溶湯の組成
に応じて、例えば、以下の(1)〜(4)に記載の式
(丸善株式会社発行の「球状黒鉛鋳鉄の理論と実際」を
参照)から得られるCE〜CEの値を使用する。同
式中の%は重量%である。 (1) CE%=C%+0.31×Si%+0.33
×P%+0.4×S%但し、Si<5%、P<3%、S
<0.4% (2) CE%=C%+0.31×Si%+0.33
×P%+0.4×S%+0.22×Al%+0.026
×Co%但し、Si<5%、P<3%、S<0.4%、
Al<2%、Co<40%、Ni<8%、Cu<4% (3) CE%=C%+0.31×Si%+0.33
×P%+0.4×S%+0.22×Al%+0.026
×Co%+0.053×Ni%+0.074×Cu%−
0.27×Mn%−0.063×Cr%−0.135×
V%−0.015×Mo%但し、Si<5%、P<3
%、S<0.4%、Al<2%、Co<40%、Ni<
8%、Cu<4%、Mn<25%、Cr<9%、V<
3.5%、Mo<2% (4) CE%=C%+0.31×Si%+0.33
×P%+0.4×S%+0.22×Al%+0.026
×Co%+0.053×Ni%+0.074×Cu%−
0.27×Mn%−0.063×Cr%−0.135×
V%−0.015×Mo%但し、Si<5%、P<3
%、S<0.4%、Al<2%、Co<40%、Ni<
8%、Cu<4%、Mn<25%、Cr<9%、V<
3.5%、Mo<2%、Sn<4.5%、Sb<9%
【0016】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を以下に説明
する。本発明の方法の実施には図1に略図で示すような
連続鋳造装置を使用する。同図の連続鋳造装置は、溶湯
保持炉1、鋳型装置2、引抜装置3、制御部4等からな
る。溶湯保持炉1は、内部に溶湯10を収容し、その溶
湯を所定温度に保持するための溶湯加熱装置11を有
し、溶湯を鋳型装置2に供給する送出口12を有する。
鋳型装置2は、冷却部13を備えた引抜用鋳型14で構
成されている。前記送出口12と引抜用鋳型14の入口
との間に溶湯通路15を設けてあり、この溶湯通路15
に溶湯加熱装置16を設けてある。引抜装置3は、鋳型
装置2から導出される鋳造材17を引き出す構成のもの
で、鋳造材17を駆動ローラ18で支持している。制御
部4は、全体制御部6、溶湯加熱制御部7、8、引抜制
御部9等からなり、保持炉1内の溶湯10の温度を検出
する温度検出装置19、鋳型14入口の外周近くの温
度、および中心部の温度をそれぞれ検出する温度検出装
置20、21、鋳型14から出た位置の鋳造材17の外
表面温度を検出する温度検出装置22等、からの検出温
度に基づいて、溶湯加熱制御部7,8を介して溶湯加熱
装置11、16を夫々別々に制御し、また、引抜制御装
置9を介して引抜装置3を制御する。溶湯加熱制御部
7、8は加熱装置11、12による加熱程度を任意に制
御でき、また引抜制御装置9は駆動ローラ18を制御し
て引抜速度を任意に変更できるようになっている。
【0017】この連続鋳造装置を使用する本発明の方法
の実施の形態としては、溶湯加熱装置11、16の併用
により鋳型装置2の入口における温度が、すなわち温度
検出装置20、21による検出温度が所定の温度、例え
ば1280℃になるように加熱装置11、16の出力を
調整し、一定速度で引抜を行うのである。鋳型装置2の
入口温度を一定になるようにするのは、前述したように
温度差が少ない方が好ましい結果が得られるからであ
る。しかし、実際の鋳造においては常に一定の温度を維
持するのは困難で若干のばらつきは考慮しなければなら
ない。この点は、実験によると、前記温度検出装置2
0、21による検出温度差が50℃以下の場合はブレー
クアウトが起こらないから、温度差を50℃以下ででき
るだけ小さい値とするのがよい。
【0018】図2(a)は本発明の方法により亜共晶成
分の溶湯を連続鋳造している断面の状態を模式的に示し
たもので、固液共存領域30aが引き抜き方向(矢印で
示す)に短い状態で存在している。このように固液共存
領域30aが短い状態では押し湯が有効に作用して鋳型
14と鋳造材の外周部との間に隙間が生じ難い。これと
対比するために、第2図(b)は従来の方法で、つま
り、保持炉内の溶湯温度を制御してできるだけ鋳型装置
2の入口温度が一定となるようにして、但し鋳型装置2
の入口での加熱は行わないで、連続鋳造している断面の
状態を示したもので、固液共存領域が引抜方向(矢印で
示す)に長く、押し湯作用が小さく鋳型と外層部との間
に隙間eが存在している。同図中、10a、10bは液
相部分、31a、31bは固相部分である。
【0019】このようにして得られる本発明の連続鋳造
材17は、亜共晶成分組成の鋳鉄であっても組織差の少
ない、すなわち外周部と中心部における炭化物面積率/
黒鉛面積率の変動が小さい鋳造材となる。
【0020】
【実施例】以下に本発明の実施例1、2、および比較例
1〜3を示す。実施例および比較例で使用した溶湯の成
分は、いずれもT.C:2.7%、Si:2.0%、M
n:0.6%、P:0.08%、S:0.015%、N
i:0.5%、残部が実質的にFeのものである。実施
例1、2、および比較例2、3は、前記連続鋳造装置を
用いて鋳造したものであり、比較例1は砂型を用いて鋳
造したものである。
【0021】比較例1は、直径50mmの砂型に鋳造し、
鋳造直後の砂型表面、中心部の溶湯温度を計測し、得ら
れた鋳造材の炭化物面積率/黒鉛面積率を測定した。比
較例2は、溶湯加熱装置11のみにより外面部の温度が
(溶湯温度検出装置21が1280℃になるようにし
た。このとき中心部の温度(溶湯温度検出装置20)は
1380℃を検出した。比較例3、実施例1,2では、
溶湯加熱装置11、16の併用により鋳型装置入口部に
おける外面部の温度(溶湯温度検出装置21)が128
0℃になるように各加熱装置の出力を調整すると共に、
中心部の温度(溶湯温度検出装置20で検出される温
度)を1350℃、1330℃、1300℃に夫々異な
るもの(表1参照)とした。引抜は、鋳型内径50mm
のものを用い、平均引抜速度20mm/secで行い、
ブレークアウトが発生するまでか、50mまでかのいず
れかまで行った。この鋳造条件および結果を表1に示
す。
【0022】
【表1】
【0023】また、得られた鋳造材の炭化物面積率/黒
鉛面積率の測定結果、及びこれに基づく組織差、並びに
ドリルによる穿孔試験の結果を表2に示す。同表中の外
面組織、中心組織の欄に示す値が炭化物面積率/黒鉛面
積率である。組織差は、その値を使用し、(外面組織―
中心組織)×100の計算式で算出したものである。穿
孔試験は直径50mmの連鋳材を長さ50mmに切出し、中
心から15mm離れた位置に切削条件をそろえて、直径3
mmのきり穴加工を実施して、両端での偏芯量を測定し
たものである。
【0024】
【表2】
【0025】表1から明らかなように、溶湯加熱装置1
1による溶湯保持炉1の温度制御だけでは鋳型入口断面
における中心部と外面部の温度を独立して制御すること
は不可能であり、溶湯加熱装置11,16の併用により
自由に温度制御ができることが確認できた。また、鋳型
入口断面における中心部と外面部での溶湯温度差が50
℃以下の場合、ブレークアウトが発生せず、安定した引
抜が可能となることが確認できた。また、表2から明ら
かなように、炭化物面積率/黒鉛面積率の外面部と中心
部の組織差を砂型と同様の20%以内にできることが確
認できた。また、これによりドリル加工時の穴曲がりを
砂型鋳造品と同程度に押さえることが可能であることが
確認できた。
【0026】
【発明の効果】請求項1〜請求項5に記載の発明は、連
続鋳造品であるから、安定した品質で大量に提供できる
効果を奏する。請求項6、および請求項7に記載の発明
は、従来砂型鋳込みでなければ得られなかった鋳造材
を、連続鋳造によって得ることができる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法の実施に使用する装置の概略の構
成図である。
【図2】引抜途中の状態を模式的に示し、(a)は本発
明の実施の形態の縦断面図、(b)は従来の方法による
縦断面図である。
【符号の説明】
1 溶湯保持炉 2 鋳型装置 3 引抜装置 4 制御部 7、8 溶湯加熱制御部 9 引抜制御装置 10 溶湯 11 溶湯加熱装置 12 送出口 13 冷却部 14 引抜用鋳型 15 溶湯通路 16 溶湯加熱装置 17 鋳造材 18 駆動ローラ 19、20,21,22 温度検出装置 10a、10b 液相部 30a、30b 固液共存領域 31a、31b 固相部 e 隙間
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B22D 11/16 B22D 11/16 A 11/18 11/18 Z C22C 37/04 C22C 37/04 Z

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶湯保持炉内の溶湯を鋳型装置により冷
    却し凝固させながら引き抜くことにより連続的に形成さ
    れた連続鋳造鋳鉄において、鋳鉄構成成分に基づく炭素
    当量が、2.1〜4.0%であることを特徴とする連続
    鋳造鋳鉄。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の連続鋳造鋳鉄におい
    て、引抜方向に垂直な断面の、中心部と外周部分との炭
    化物/黒鉛の面積率の差が20%以下であることを特徴
    とする連続鋳造鋳鉄。
  3. 【請求項3】 請求項1、又は請求項2に記載の連続鋳
    造鋳鉄において、炭素重量割合が、1.5〜3.5%で
    あることを特徴とする連続鋳造鋳鉄。
  4. 【請求項4】 鉄−炭素系平衡状態図において固/液共
    存領域温度の範囲が40℃以上である溶融鉄合金を、連
    続鋳造方法によって凝固させたものであることを特徴と
    する鉄−炭素系鋳造材料。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載の鉄−炭素系鋳造材料に
    おいて、前記鋳造材料の構成成分に基づく炭素当量が、
    2.1〜4.0%であることを特徴とする鉄−炭素系鋳
    造材料。
  6. 【請求項6】 溶湯保持炉内の溶湯を鋳型装置により冷
    却し凝固させながら引き抜くことにより連続的に形成す
    る鋳鉄の連続鋳造方法において、鋳型装置入口での引抜
    方向に垂直な断面における溶湯の温度差を、50℃以下
    に制御することを特徴とする鋳鉄の連続鋳造方法。
  7. 【請求項7】 請求項6に記載の鋳鉄の連続鋳造方法に
    おいて、溶湯保持炉内で溶湯を加熱すると共に溶湯保持
    炉と鋳型装置入口との間で溶湯を加熱することを特徴と
    する鋳鉄の連続鋳造方法。
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