JP4420521B2 - 連続鋳造鋳鉄及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、亜共晶成分の鉄−炭素系連続鋳造材、すなわち炭素量が比較的少ない連続鋳造鋳鉄、及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に亜共晶成分の鉄−炭素材においては炭素当量が小さくなるほど黒鉛化の膨張が小さくなるため凝固収縮量が大きくなり鋳造時に引けが生じやすくなる。また、炭素当量が小さくなるほど鉄−炭素系平衡状態図における液相線温度と固相線温度の差も大きくなり(炭素当量が2.1%まで)、冷却中の鋳造材料の固相と液相の間に固液共存領域が存在し、これにより押し湯効果が小さくなり、鋳造欠陥が生じやすくなることは良く知られている。このような成分の鋳造材を連続鋳造法で製造すると、鋳型部で凝固した部分は凝固収縮により鋳型との間に隙間が生じるため冷却効果が著しく小さくなり、内部の未凝固の湯から供給される熱により先に形成された外周部の凝固層が再溶解され、ブレークアウトによる湯洩れが発生し易かった。また、固液共存温度領域が大きいため引き抜き力が凝固先端まで伝わらず、固液共存領域の途中でその外周の固相部分に割れが生じたり、製品がちぎれるなどにより引抜継続が殆ど不可能となっていた。これらの理由により、亜共晶成分の鉄−炭素系材の連続鋳造は殆ど実施されていなかった。
【0003】
鋳鉄組成の溶湯を連続鋳造方法により製造する場合、溶湯が溶湯保持炉から鋳型に流入し凝固する際の冷却速度により組織は大きく異なるものとなる。すなわち、冷却速度が大きい外層部はチル化し易く、また黒鉛が晶出したとしても微細なE型になり易い。一方、外層部に比べて冷却速度が小さい内部はチル化の程度は外層部に比べて小さく、黒鉛が晶出した場合外層部に比べて大きくなり易い。このように連続鋳造においては、内外層で均一な炭化物面積率/黒鉛面積率(炭化物と黒鉛との比率に相当する値)、および均一な黒鉛形状を得ることは困難であった。そのため、Ti等の元素を添加することで冷却速度によらず、黒鉛組織をE型にする手法がとられている。このE型は他のものに比べて脆弱で用途が限定される。
【0004】
そして、耐磨耗性、摺動性が要求される部材においては、炭化物、黒鉛が全体に一定の面積率で存在する材料が望まれる。これは炭化物、黒鉛が全体に一定の面積率で存在していないと、部分的に耐磨耗性、摺動性が異なり、これにより偏磨耗を起こすことになるからである。そして、加工の面からも加工精度の点で炭化物、黒鉛が全体に一定の面積率で存在していることが望まれる。すなわち、炭化物面積率/黒鉛面積率が部分的に異なると、機械部品等に加工する際に刃物の逃げが生じて加工精度が著しく悪くなる点で好ましくない。例えば、旋削加工時にバイトが逃げるという現象が起きて所望精度に加工できない、また深穴加工時に真っ直ぐな穴に加工できない、といったことが起こるからである。
【0005】
しかし、これまで内外層で均一な黒鉛組織、または炭化物面積率/黒鉛面積率を有する亜共晶成分の鉄−炭素系材の連続鋳造材は得られていなかった。
前記偏磨耗や刃物の逃げる現象は、一部砂型による鋳造材にも見られるが、連続鋳造方法で製造された場合により発生しやすい。この要因としては一般的な砂型等による鋳造法に比べ連続鋳造方法の場合、冷却速度が大きくなることに起因している。この問題点を解決するため、本願発明者らはかつて連続鋳造法における鋳型材を変更したり、引抜速度を遅くして徐冷する等の対策を施したが、冷却速度を一般的な砂型等を使用する鋳造方法と同じくらいに小さくすることは困難であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、亜共晶成分の鉄−炭素系材料を連続鋳造することを目的とするものであり、その際の最大の問題点である、製品と鋳型の間に隙間が発生しそれが原因で生じるブレークアウトによる湯漏れを、防止することで安定した引抜を達成しようというものである。
また、材質面的には、炭化物面積率/黒鉛面積率が外層部と中心部で近い値となるようにすることである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
連続鋳造において製品と鋳型の間に隙間が発生することを防止するためには、いわゆる押し湯を効かすことが有効である。この点に関連して説明を加えると、本発明に係る亜共晶成分系においては固液共存温度幅が大きいため、凝固開始点から終了点までの固液温度領域が広い場合には、固液共存部分の固相が液相の供給を阻害する。このため凝固先端まで押し湯が効きにくくなる。砂型等の一般的な鋳造方法においては、この固液共存温度領域を小さくするために鋳込み温度を高めにし、押し湯部は高温になるように凝固した部分との温度差を、つまり温度勾配を、大きくとるのが有効である。しかし連続鋳造方法の場合には溶湯温度が高い場合ほど鋳型部で凝固して形成される層の厚みが薄くなり、強度がないものとなるため、引き抜き時の引っ張り応力により割れが発生しやすく、その部分から内部の溶湯が漏れるといった問題がある。また、凝固収縮により鋳型と製品との間に、隙間が生じた場合には以後の冷却作用が極端に低下し、内部の溶湯温度が高い場合には内部からの熱により凝固層の再溶解が起こり、ブレークアウトによる湯漏れの要因となる。また、ブレークアウトに至らなくても内部の冷却は遅れるので、固液共存領域は引き抜き方向に長く存在することになり、押し湯作用が小さくなるから、内部に巣が発生しやすくなる。従って、押し湯を効かせることはブレークアウト等の問題があって必ずしも容易ではない。
【0008】
多数の試験と温度解析の結果、亜共晶の鉄−炭素系材の連続鋳造方法において安定して引き抜きを行うには、外周と内部の温度差をある温度差以内に押さえる必要があることを見出した。すなわち、一般的な鋳造方法では押し湯効果を得るためには溶湯温度は高温が望ましいが、連続鋳造法の場合には前述のごとく内部の温度が高いと連続鋳造特有の問題により、引き抜き不能となる。つまり、内部と外周の温度差が大きいと、凝固層が薄くなると共に固液共存温度領域が長くなり、押し湯作用が小さくなり、隙間を助長させ、これにより隙間が発生した部分の冷却作用は著しく低下し、内部からの高温の熱により凝固層の再溶解を起こしたり、固液共存温度領域をさらに長くする要因になる。そこで逆に、内部と外周部の温度差を小さくすると、凝固層は厚くなると共に固液共存温度領域も短くなり、押し湯作用が大きくなって隙間を小さく保つことが可能になることを見出したのである。
【0009】
また、連続鋳造方法の場合、溶湯保持炉から鋳型に流れ込む溶湯の温度がその後の冷却速度に大きく拘わっているという結論に達した。すなわち、一般的な砂型等の型内に注湯した状態で凝固を完了させる鋳造方法においては、取鍋等から型内に注湯された直後の溶湯温度は鋳型内で略同じ温度であり、鋳型近傍の溶湯が凝固開始温度まで低下する分の熱量を鋳型が吸収する必要があり、そのため鋳型の冷却作用が低下することにより溶湯の冷却速度も低下する。一方連続鋳造方法の場合は、溶湯保持炉から鋳型近傍の導入部においてすでに溶湯に温度勾配が生じており、そのため引き抜き方向に垂直な断面においても鋳型近傍の溶湯温度と鋳型から離れた位置での溶湯温度とは大きな差が生じていることが分かった。そして鋳型に導入された溶湯は鋳型壁近傍ではすぐに熱を奪われ、凝固開始温度まで低下し、砂型と同じ冷却作用を持つ鋳型であっても連続鋳造の場合は鋳型近傍では冷却速度が大きく、中心付近では砂型の冷却速度に近くなっていることを見出した。そのため一般的な砂型による鋳造法に比べ肉厚方向に位置が異なると冷却速度に差が生じやすく、従って炭化物面積率/黒鉛面積率も大きく異なる結果となる。
【0010】
本発明の方法は、溶湯保持炉内の溶湯を鋳型装置により冷却し凝固させながら引き抜くことにより連続的に形成する鋳鉄の連続鋳造方法において、鋳型装置入口での引抜方向に垂直な断面における溶湯の温度差を、50℃以下に制御することを特徴とする。
【0011】
鋳型装置入口での引抜方向に垂直な断面における溶湯の温度差を、50℃以下に制御することにより、鋳型内で冷却される溶湯は、外周面から中心部まで凝固が比較的急速に進行する。つまり、適切に低い温度の溶湯は、鋳型内で急速に凝固がはじまり、その直前の外周面から中心部に至る温度差が小さいことから、より短時間で中心部まで凝固が進行する。従って、溶湯の組成が亜共晶成分のものであっても、鉄−炭素系平衡状態図における固液共存領域を短時間で通過し、鋳造中の製品に生じている固液共存領域の引き抜き方向長さが短くなる。これにより固液共存領域が殆ど生じない従来実施されている鋳鉄組成(炭素等量が4%付近の組成)の場合に近似した凝固形態となる。すなわち、押し湯が有効に作用して鋳型と製品との間に生じる隙間の増大が抑制され、鋳型の冷却作用の低下がなく、早い時期に凝固が完了し、ブレークアウトが生じない。また、得られる鋳造材は、外周部と中心部の冷却速度が大きく相違しないから、炭化物面積率/黒鉛面積率が外周付近から中心部まで近似した値となる。前記温度差を50℃以下としたのは、この温度範囲を超えると固液共存領域の引き抜き方向長さが長くなり、好ましい結果が得られ難いからであり、この温度範囲は可能な限り小さくするのがよい。
【0012】
前記方法において、溶湯保持炉内で溶湯を加熱すると共に溶湯保持炉と鋳型装置入口との間で溶湯を加熱するのがよい。一般に溶湯保持炉内の溶湯の温度は、場所によって異なる。このような溶湯を終始一定した温度で鋳型へ送出することは、保持炉内の溶湯を加熱するように設けられている加熱手段のみではきわめて困難である。溶湯保持炉内で略一定温度となるように制御された溶湯を、溶湯保持炉と鋳型装置入口との間でさらに一定となるように加熱することにより、より高精度で終始一定した温度の溶湯を鋳型へ供給することができるようになり、これにより常に安定した良好な引き抜きが可能となる。
【0013】
本発明の方法によって得られる鋳造材は、従来の連続鋳造法では得られなかった亜共晶成分の連続鋳造鋳鉄であり、鋳鉄構成成分に基づく炭素当量が、2.1〜4.0%である特徴を有する。また、前記連続鋳造鋳鉄において、引抜方向に垂直な断面の、中心部と外周部分との炭化物/黒鉛の面積率の差が20%以下である特徴を有する。また、前記連続鋳造鋳鉄において、炭素重量割合が、1.5〜3.5%である特徴を有する。
【0014】
また、本発明の方法によって得られる鋳造材は、従来の連続鋳造法では得られなかった鉄−炭素系鋳造材であり、鉄−炭素系平衡状態図において固/液共存領域温度の範囲が40℃以上である溶融鉄合金を、連続鋳造方法によって凝固させたものである特徴を有する。また、前記鉄−炭素系鋳造材料において、前記鋳造材料の構成成分に基づく炭素当量が、2.1〜4.0%である特徴を有する。
【0015】
前記炭素等量については、従来多くの研究によって明らかにされている。炭素等量は、溶湯の組成に応じて、例えば、以下の(1)〜(4)に記載の式(丸善株式会社発行の「球状黒鉛鋳鉄の理論と実際」を参照)から得られるCE1〜CE4の値を使用する。同式中の%は重量%である。
(1) CE1%=C%+0.31×Si%+0.33×P%+0.4×S%
但し、Si<5%、P<3%、S<0.4%
(2) CE2%=C%+0.31×Si%+0.33×P%+0.4×S% +0.22×Al%+0.026×Co%
但し、Si<5%、P<3%、S<0.4%、Al<2%、Co<40%、Ni<8%、Cu<4%
(3) CE3%=C%+0.31×Si%+0.33×P%+0.4×S%+0.22×Al%+0.026×Co%+0.053×Ni%+0.074×Cu%−0.27×Mn%−0.063×Cr%−0.135×V%−0.015×Mo%
但し、Si<5%、P<3%、S<0.4%、Al<2%、Co<40%、Ni<8%、Cu<4%、Mn<25%、Cr<9%、V<3.5%、Mo<2%
(4) CE4%=C%+0.31×Si%+0.33×P%+0.4×S%+0.22×Al%+0.026×Co%+0.053×Ni%+0.074× Cu%−0.27×Mn%−0.063×Cr%−0.135×V%−0.015×Mo%
但し、Si<5%、P<3%、S<0.4%、Al<2%、Co<40%、Ni<8%、Cu<4%、Mn<25%、Cr<9%、V<3.5%、Mo<2%、Sn<4.5%、Sb<9%
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を以下に説明する。本発明の方法の実施には図1に略図で示すような連続鋳造装置を使用する。同図の連続鋳造装置は、溶湯保持炉1、鋳型装置2、引抜装置3、制御部4等からなる。溶湯保持炉1は、内部に溶湯10を収容し、その溶湯を所定温度に保持するための溶湯加熱装置11を有し、溶湯を鋳型装置2に供給する送出口12を有する。鋳型装置2は、冷却部13を備えた引抜用鋳型14で構成されている。前記送出口12と引抜用鋳型14の入口との間に溶湯通路15を設けてあり、この溶湯通路15に溶湯加熱装置16を設けてある。引抜装置3は、鋳型装置2から導出される鋳造材17を引き出す構成のもので、鋳造材17を駆動ローラ18で支持している。制御部4は、全体制御部6、溶湯加熱制御部7、8、引抜制御部9等からなり、保持炉1内の溶湯10の温度を検出する温度検出装置19、鋳型14入口の外周近くの温度、および中心部の温度をそれぞれ検出する温度検出装置20、21、鋳型14から出た位置の鋳造材17の外表面温度を検出する温度検出装置22等、からの検出温度に基づいて、溶湯加熱制御部7,8を介して溶湯加熱装置11、16を夫々別々に制御し、また、引抜制御装置9を介して引抜装置3を制御する。溶湯加熱制御部7、8は加熱装置11、12による加熱程度を任意に制御でき、また引抜制御装置9は駆動ローラ18を制御して引抜速度を任意に変更できるようになっている。
【0017】
この連続鋳造装置を使用する本発明の方法の実施の形態としては、溶湯加熱装置11、16の併用により鋳型装置2の入口における温度が、すなわち温度検出装置20、21による検出温度が所定の温度、例えば1280℃になるように加熱装置11、16の出力を調整し、一定速度で引抜を行うのである。鋳型装置2の入口温度を一定になるようにするのは、前述したように温度差が少ない方が好ましい結果が得られるからである。しかし、実際の鋳造においては常に一定の温度を維持するのは困難で若干のばらつきは考慮しなければならない。この点は、実験によると、前記温度検出装置20、21による検出温度差が50℃以下の場合はブレークアウトが起こらないから、温度差を50℃以下でできるだけ小さい値とするのがよい。
【0018】
図2(a)は本発明の方法により亜共晶成分の溶湯を連続鋳造している断面の状態を模式的に示したもので、固液共存領域30aが引き抜き方向(矢印で示す)に短い状態で存在している。このように固液共存領域30aが短い状態では押し湯が有効に作用して鋳型14と鋳造材の外周部との間に隙間が生じ難い。これと対比するために、第2図(b)は従来の方法で、つまり、保持炉内の溶湯温度を制御してできるだけ鋳型装置2の入口温度が一定となるようにして、但し鋳型装置2の入口での加熱は行わないで、連続鋳造している断面の状態を示したもので、固液共存領域が引抜方向(矢印で示す)に長く、押し湯作用が小さく鋳型と外層部との間に隙間eが存在している。同図中、10a、10bは液相部分、31a、31bは固相部分である。
【0019】
このようにして得られる本発明の連続鋳造材17は、亜共晶成分組成の鋳鉄であっても組織差の少ない、すなわち外周部と中心部における炭化物面積率/黒鉛面積率の変動が小さい鋳造材となる。
【0020】
【実施例】
以下に本発明の実施例1、2、および比較例1〜3を示す。実施例および比較例で使用した溶湯の成分は、いずれもT.C:2.7%、Si:2.0%、Mn:0.6%、P:0.08%、S:0.015%、Ni:0.5%、残部が実質的にFeのものである。実施例1、2、および比較例2、3は、前記連続鋳造装置を用いて鋳造したものであり、比較例1は砂型を用いて鋳造したものである。
【0021】
比較例1は、直径50mmの砂型に鋳造し、鋳造直後の砂型表面、中心部の溶湯温度を計測し、得られた鋳造材の炭化物面積率/黒鉛面積率を測定した。
比較例2は、溶湯加熱装置11のみにより外面部の温度が(溶湯温度検出装置21が1280℃になるようにした。このとき中心部の温度(溶湯温度検出装置20)は1380℃を検出した。
比較例3、実施例1,2では、溶湯加熱装置11、16の併用により鋳型装置入口部における外面部の温度(溶湯温度検出装置21)が1280℃になるように各加熱装置の出力を調整すると共に、中心部の温度(溶湯温度検出装置20で検出される温度)を1350℃、1330℃、1300℃に夫々異なるもの(表1参照)とした。引抜は、鋳型内径50mmのものを用い、平均引抜速度20mm/secで行い、ブレークアウトが発生するまでか、50mまでかのいずれかまで行った。
この鋳造条件および結果を表1に示す。
【0022】
【表1】
【0023】
また、得られた鋳造材の炭化物面積率/黒鉛面積率の測定結果、及びこれに基づく組織差、並びにドリルによる穿孔試験の結果を表2に示す。同表中の外面組織、中心組織の欄に示す値が炭化物面積率/黒鉛面積率である。組織差は、その値を使用し、(外面組織―中心組織)×100の計算式で算出したものである。穿孔試験は直径50mmの連鋳材を長さ50mmに切出し、中心から15mm離れた位置に切削条件をそろえて、直径3mmのきり穴加工を実施して、両端での偏芯量を測定したものである。
【0024】
【表2】
【0025】
表1から明らかなように、溶湯加熱装置11による溶湯保持炉1の温度制御だけでは鋳型入口断面における中心部と外面部の温度を独立して制御することは不可能であり、溶湯加熱装置11,16の併用により自由に温度制御ができることが確認できた。
また、鋳型入口断面における中心部と外面部での溶湯温度差が50℃以下の場合、ブレークアウトが発生せず、安定した引抜が可能となることが確認できた。
また、表2から明らかなように、炭化物面積率/黒鉛面積率の外面部と中心部の組織差を砂型と同様の20%以内にできることが確認できた。
また、これによりドリル加工時の穴曲がりを砂型鋳造品と同程度に押さえることが可能であることが確認できた。
【0026】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明は、連続鋳造品であるから、安定した品質で大量に提供できる効果を奏する。
請求項2に記載の発明は、従来砂型鋳込みでなければ得られなかった鋳造材を、連続鋳造によって得ることができる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法の実施に使用する装置の概略の構成図である。
【図2】引抜途中の状態を模式的に示し、(a)は本発明の実施の形態の縦断面図、(b)は従来の方法による縦断面図である。
【符号の説明】
1 溶湯保持炉
2 鋳型装置
3 引抜装置
4 制御部
7、8 溶湯加熱制御部
9 引抜制御装置
10 溶湯
11 溶湯加熱装置
12 送出口
13 冷却部
14 引抜用鋳型
15 溶湯通路
16 溶湯加熱装置
17 鋳造材
18 駆動ローラ
19、20,21,22 温度検出装置
10a、10b 液相部
30a、30b 固液共存領域
31a、31b 固相部
e 隙間
Claims (2)
- 溶湯保持炉内の溶湯を鋳型装置により冷却し凝固させながら引き抜くことにより連続的に形成された連続鋳造鋳鉄において、鋳鉄構成成分に基づく炭素当量が2.1〜4.0%であり、引抜方向に垂直な断面の、中心部と外周部分との炭化物/黒鉛の面積率の差が20%以下であり、炭素重量割合が1.5〜3.5%であることを特徴とする連続鋳造鋳鉄。
- 溶湯保持炉内の溶湯を鋳型装置により冷却し凝固させながら引き抜くことにより連続的に形成する鋳鉄の連続鋳造方法において、溶湯保持炉内で溶湯を加熱すると共に溶湯保持炉と鋳型装置入口との間で溶湯を加熱することにより鋳型装置入口での引抜方向に垂直な断面における溶湯の温度差を、50℃以下に制御することを特徴とする請求項1記載の鋳鉄の連続鋳造方法。
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